MUSEUM

暇があればいってしまう

2009/07/11

早く行ったほうがいいですよ

 東京の博物館、美術館で開催される展覧会で、企画展と呼ばれる特別な展示は、企画によってはものすごく混雑します。ちょっと前、上野の東京国立博物館でやっていた「阿修羅展」は、平日でも何十分待ちでした。東京はやっぱり人が多いんだな、とつまらんことを思ったりします。
 一般的に、企画展は始まってから日が経つにつれて、人手が増えてきます。いろんな評判が広がって、人が集まってきたり、「そのうち行こう」という人が行き始めたりして、展覧会の終盤近くになりと大変な混雑になることも少なくありません。
 昨日、国立近代美術館で先週末から始まっている「ゴーギャン展」に行ってきました。この展覧会、ゴーギャンの代表作である「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」(ボストン美術館蔵)が、日本では公開されています。19世紀末に描かれたこの作品は、武蔵美で履修した「西洋美術史」の教科書にも載っていました。
 この作品をみるだけでも十分に行く価値がある「ゴーギャン展」ですが、まだ混み合ってはいませんでした。夜6時半過ぎに美術館に着いたのですが、チケット売り場には列はありません。並んでいる人の日よけ用にテントがありました。混雑を予想しての措置でしょう。

Kinbi

 いづれ混雑するでしょう。話題になりそうな展覧会は始まったらすぐいくことですね。「阿修羅展」では早い時期に行きそびれ、ひどい目にあいました。興味があるかたには、早くいくことをおすすめします(肝心のゴーギャン展については後ほど)。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/06/22

渋谷区立の博物館

 美術館にはよく行くのですが、文学館にはほとんど行きません。文学が興味の対象ではないせいです(小説は読むんですが)。また、郷土資料館とか郷土博物館といったところもあまり縁がないです。
 しかし、大学の授業で渋谷区のとあることを調べる必要があり、昨日「白根記念渋谷区郷土博物館・文学館
」なるところにいきました。文学館と郷土博物館が同居する施設ですね。県とか市では文学館や、郷土博物館を持っているところは少なくないですが、東京都の区ではあまり知らないです。でも、調べてみると郷土博物館は足立区とか杉並区にはあります。文学館がある区は、渋谷区以外なさそうですが。
 この白根記念渋谷区郷土博物館・文学館は、文学館と博物館の展示が別のフロアーになっていて、しっかりした構成で展示されています。2005年にリニューアルされたそうです。こんな立派な施設ですが、日曜にもかかわらず、館内には見学者がいなく、貸し切り状態でした。休みの日に、わざわざ見学にくる人はいないんですかね。ちょっともったいない気がします。

Bunngakukan

昭和初期の居間だそう

白根記念渋谷区郷土博物館・文学館

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2009/05/06

久しぶり、上野のミュージアム

 連休ながら、その前半は学校へいったり、勉強したりで過ごしました。さすがにちょっと飽きてきて、昨日午後から上野へ出かけてきました。私の場合、学生証をみせると、東京国立博物館の平常展と国立西洋美術館の常設展は無料です。この2つのミュージアムにいったの、久しぶりです。
 西洋美術館新館は改修中で、常設展は本館のみの展示です。20世紀のアーティスト作品(例えばポロックとか)は見られないのが、ちょっと残念。特別展の「ルーヴル美術館展」は50分待ちでしたが、常設展も賑わっていました。
 そのあと、東博へ。特別展「国宝 阿修羅展」も混雑してます(なんとか、平日に見たいと思いながらはや5月。見られるのか?)。久しく来ていなかったら、本館がリニューアルされていました。2階の「日本美術の流れ」はわかりやすい展示になっています。時間がないので駆け足になってしまいました。本格的にみようとすると本館だけでもたっぷり3、4時間はかかりますね。
 目立たないのですが、本館で「平成21年新指定国宝・重要文化財」が展示されています。これは平成21年(2009)に新たに国宝・重要文化財に指定される美術工芸品のうち、39件を展示したもの。特に興味をひいたのは、青森県八戸市風張1遺跡から出土した国宝の「土偶」です。

 20090428shinsitei21

 この土偶、座って合掌しています。不思議な姿勢です。顔の表現もちょっと奇怪なものです。どうしてこんな表現になるんでしょう。紀元前15~紀元前10世紀の縄文時代の作品ですが、遙かな時空をこえてなお、確かな存在感があります。
 この「平成21年新指定国宝・重要文化財」、5月10日までの開催です。阿修羅展を見にいかれる際にはぜひ寄ってみてください。不思議な土偶くんにあえますよ。
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/04/29

たばこと塩の博物館前のカフェ

 渋谷の公園通りという場所にありながら、なかなか目立たない「たばこと塩の博物館」。なかなか充実した展示をしていすが、注目度は高くないのでは。このたばこと塩の博物館が去年秋からリニューアルの工事をしていて、先週リニューアルオープンしました。
 リニューアル後の博物館はまだ体験していないのですが、ちょっと目を引くのは博物館の前にできたこのカフェ。「セボンプラージュ」なるミュージアムカフェなのですが、なんとも色が派手。好き嫌いはあるとは思うのですが、「たばこと塩の博物館」と地味な感じとは、どうみても似合わないです。でも、仕事でよくこの前を通るのですが、ほどほど人は入っています。やっぱり場所はいいから、それなりに人気はあるようです。
 このカフェ、博物館に入らないでも利用ができますし、夜は23時までやっているの便利かもしれません。こんど、機会があったら、利用しようかな。でも、このピンク落ち着かないなあ。

Siototabaco


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/03/15

不況の影響受ける米国のミュージアム

 やはり、と思わせる記事が昨日の日経新聞に載っていました。「米国の美術館・博物館 寄付金減り運営危機」と題された記事です。在米キュレーター。三木美裕さんによるレポートによれば、アメリカでは急速な景気悪化により、学芸員などのスタッフ解雇したり、所蔵作品を売却しようとするミュージアムの例が伝えられています。
 マサチューセッツ州のブランダイス大学付属ローズ美術館は、開館して50年の現代美術館。しかし、金融危機により大口の寄付が減った上に、信託基金の25%にあたる約160億円が消えたといいます。その結果、評価額約300億円のコレクションをすべて売却すると表明。さすがに、これは米博物館協会などの反対を受け、「閉館はしないが、資金繰りによっては数点の作品を売却するかもしれない」と修正されました。
 ローズ美術館だけでなく、アメリカのミュージアムは大半が非営利の民間法人によって運営されています(日本の博物館、美術館の多くが官営もしくはそれに近い形の運営になっているのと対照的です)。日経新聞の記事によれば個人、企業、団体からの寄付で運営費の約35%をまかない、政府からの援助は25%以下が一般的とされています。したがって、今回のような不況に影響を直接に受けやすくなっています。寄付などの減額や、株価や金利の下落により、信託基金が目減りし、運用益が確保できにくくなっているためです。
 今回の不況では、ミュージアムを巡る環境まで影響を及ぼしています。雇用問題と同じく、これも先が見えない課題でしょうか。

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2009/02/02

根津美術館が出来てきた

 青山学院大学にいったあと、父の墓にしばらくいっていないのを思いだし、青山にある墓地に寄りました。その途中に、いま改築(というより、新築)中の根津美術館の前を通りました。もうかなりできつつあります。

Nezu_museum

 美術館の設計は隈研吾さん。素敵なミュージアムになりそうです。今年の秋開館だそうです。楽しみです。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009/01/04

ブリヂストン美術館の福袋

 我が家のカレンダーに、ここ2年ほどブリヂストン美術館のものを使ってました。年末に買いそびれて、昨日行ってきました。ミュージアムでは小さい企画展『都市の表象と心象 版画家・近代画家たちが描いたパリ』を開催中。この企画、ちょっと地味ではありますが、充実しています。このミュージアムの版画コレクションがみられるのは、珍しい機会ではないでしょうか。
 さて、鑑賞を終えてカレンダーを求めにミュージアムショップへ。すると「福袋」がありました。ミュージアムの福袋なんて、珍しい。何種類かありましたが、「カレンダー+ミュージアムグッズ」という福袋があり、そもそもカレンダーを買うつもりだったので、買ってみました。
 肝心のミュージアムグッズは、クリアファイル(大、小)、ジグソーパズル、グリーティングカードセット、絵はがき、マジックキューブなど。そして、ブリヂストン美術館のコレクションを収録したDVDまで入ってます。計11種のミュージアムグッズが入ってカレンダーとセットで3000円。カレンダーだけ買うと1800円なので、これはお得かも。限定16袋とありましたが、まだかなりありました。
 年の初めから、アート関係では福が来たかも(笑)。


Bridgestone


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/12/07

十和田市現代美術館へ

 先週末、一日休みを取って青森から仙台に行ってきました。JR東日本の格安チケットが使える季節で、それを使って遙か遠くの十和田へ。十和田氏現代美術館は今年4月に開館。入場者が開館から4ヶ月で10万人をこえ、順調な滑り出しのミュージアムです。
 この美術館の建物を設計したのは、金沢21世紀美術館を妹島和世さんとともに手がけた西沢立衛さん。建物は、塔のように3階まで伸びる展示室を真ん中にする展示室群と天井高9メートルのカフェ&ミュージアムショップから構成されていて、デザインは直線、色は真っ白を基調としています。

Towada

Towada2

 展示室は常設展示と企画展示室があり、常設展示として21名、22点の作品が置かれています。ロン・ミュエク、オノ・ヨーコ、ジム・ランピーらの現代アートが常にみられる美術館です。作品は展示室の中、建物の床、建物の外、建物の壁と所々にあり、美術館の建物そのものがアートとなっている感があります。
 また、3うある企画展示室では、定期的に企画展が行われるようです(私が行ったときは、開催されていませんでした)。
 十和田氏現代美術館といいながら、その内容をみるとアートセンターに近い位置にいると思います。このミュージアム、英文表記は「Towada Art Center」であり、その直訳=十和田アートセンターとしたほうが、内実には即している感じです。でも十和田市現代美術館のほうが人は呼べるでしょうね。
 展示されているアートは、みていてどれも心にひっかっかり、印象に残る作品です。現代アートに詳しくないのですが、おそらく作品の質は高いと思います。
 機会があれば、訪れる価値があるミュージアムです。

続きを読む "十和田市現代美術館へ"

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008/11/30

社会と対話する美術館

 昨日、日経新聞主催のシンポジウム『美術館の未来~社会と対話する美術館』に参加してきました。このシンポジウムは日仏交流150周年記念として開催されたものです。(プログラムはこのパンフを参照ください「081129.pdf」をダウンロード)美術教育普及のテーマを中心として、日仏のミュージアムの現状と課題をプレゼン、討議する内容で、朝9時半から夕方6時過ぎまでの長丁場でした。
 全体で4つのセッションがあり、それぞれに日仏のミュージアム状況の違いや、抱えている課題を知ることができ、通り一遍の内容ではなく、いくつかの発見を与えてくれたシンポジウムでした。モデレーターは武蔵美の岡部あおみ教授と三菱一号館美術館(2010年開館)館長の高橋明也さん。
 特に、ちょっと驚いたのはフランス大使館文化担当官で、元カルティエ現代美術財団学芸員のエレーヌ・ケレマシューターさんの話。カルティエ現代美術財団は、パリに展示スペースを有し、所蔵品の展示を行っています。そこでのスタッフは、ボランティアは使わず、必ず報酬を払う仕組みで運営しているとのこと。
「ボランティアは、アングロ・サクソンの文化」とおっしゃっていました。
 日本のミュージアム運営では、ボランティアが関わっているところが多いのですが、これもフランスでは事情は異なるようです。
 また、討議されたテーマの主要課題は教育普及ですが、ここで「メディエーション」や「メディエーター」という言葉が使われています。この言葉、私にとっては初耳。このシンポジウムでは、芸術文化と人を結ぶ役割をメディエーションと定義しているようです。
 日経新聞もなかないいことやってくれます。私にとって、これからの勉強テーマを探すために有意義なシンポジウムでした。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008/08/25

引き出し博物館とワークショップ20年

 目黒区美術館では、今、ちょっと個性的な企画展が開催されています。「画材と素材の引き出し博物館+ワークショップ20年のドキュメント展」と長めなタイトルの企画。目黒区美術館は、所蔵作品を持ちながら、常設展示室がありません。そのかわり、ワークショップスペースがあり、そこで開催されるワークショップの充実度には定評があります。
 この企画展は、ワークショップ20年の歴史を振り返る展示です。これをみると、様々な企画を行ってきたことがわかります。ワークショップは苦手な私ですが、それでも参加してみたいと思わせてくれる企画がいくつもありました。

Workshop

 また、目黒区美術館では画材、素材などをコレクションしていて、それらを「引き出し」の形式にしてオブジェとして作り上げるユニークな活動をしています。例えば、画材として「15世紀イタリアの色」とか紙として「フランスの手漉き紙」とか、引き出しの中に展開する小さい博物館です。この引き出し博物館計81個が展示されています。
 地味な活動かもしれませんが、芸術、アートを支えるための基本を実行している美術館として、目黒区美術館の活動は評価されていいと思います。絵画を見せることだけが美術館の仕事ではないことを知る、しっかりした企画です。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008/08/22

連携する港区のミュージアム

 東京は美術館、博物館には恵まれています。ほんと、週末にはどのミュージアムに行こうかと迷います(最近は時間がなく、あまり行けませんが)。昨日の日経新聞、東京版に「港区の美術館・博物館 24館で新組織 文化の街PR」なる記事がありました。
 この記事によると、国立新美術館、サントリー美術館など港区内のミュージアム24館が共通イベントを実施する新組織を発足させるとのこと。この組織は「港区ミュージアムネットワーク」で、共通イベント開催、共通WEBの開設、情報誌に発刊など予定。また各館の学芸員を区内の学校に派遣する「出張授業」も09年度から始めるとのこと。
 記事には書いてはありませんが、この新組織は港区の予算で行うものです。港区の教育委員会のWEBに明記されています。港区は区立美術館をもっていないためか、区内の施設、学校などの連携して活動を行っています。慶應義塾大学のアートセンターと連携してアート関連の講座などを実施しています。
 慶應義塾のアートセンターとの企画は、以前に触れましたが、内容面ではちょっと不満が残るものでした。その理由は、主催者の港区が主体性を持たないことにある、と思っています。港区ミュージアムネットワークも、お金だけだして、運営はミュージアムにお任せ、といったことになるのでは、と危惧します。港区には、しっかりと主体性を持って運営してくれるといいな、と思っています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/07/24

博物館好きですか?

「そういえば、博物館にしばらく行ってないなあ・・・」と思いながら、買ってきた最新号のBRUTUS。特集は『博物館 ラブ』。美術館(ART MUSEUM)にはいくけど博物館(MUSEUM)には最近ご無沙汰です。東京国立博物館(東博)は、大学の課題を抱えていたころはよく行きました。学生証をみせれば常設展示は無料だったし。国立科学博物館もメディア論の課題のため、行きました。そもそも、あまり博物館好きではないんですね。特に自然系はほとんど興味がないので、足がむきません。
 Brutusともあれ、BRUTUSの特集です。子どもたちが夏休みのこの時期、博物館はうまいテーマです。記事も東京のミュージアムが中心ではありますが、福島県立博物館も取り上げていて、しっかりした編集になっています。考えてみれば、国の文化力量は美術館ではなく、博物館で計られるものではないでしょうか。子どもだけでなく、大人ももっと博物館に足を運んだほうがいい、と思わせてくれたBRUTUSの企画です。
 ゆっくり一日かけて東博の常設展示を見てみたいです。そんな余裕がない自分がちょっと悲しい今日この頃です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/07/14

美術ファンなら誰しも・・・

 週刊百科というものは、なんとも危険なものです。いったん、買い始めると50冊以上買わねばいけないはめになります。アート関連のものを少なくなく。時々「買おうか」と悩みます。
 さて、美術ファンならすでにご存じかと思いますが、講談社から「週刊 世界の美術館」なる週刊百科がスタートしています。全80冊、約1年半の刊行期間。金額にして計46,110円。こう書くと結構なボリュームですね。ネットで調べてみると、10年以上前同じ講談社から「世界の美術館 ラ ミューズ」という週刊百科が刊行されていました。今回の企画は、それの焼き直しか、とも疑ってしまいます。
 World_museumまずは、創刊号は週刊百科の常套手段、安い特別定価の290円なので、買ってみました。ルーヴル美術館の特集で、表紙はモナ・リザ。膨大なルーヴル美術館は都合5回取り上げられるようです。
 どうせ、この企画で取り上げられるミュージアムは、ほとんど行けないだろうから、せめて本で楽しむのもいいかな、とも思いますが。でも、所詮は本と、現物は違うし。悩ましいところです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/07/12

青森県立美術館の今

 ネットをいくつか散策していると、青森県立美術館のことに触れているブログがありました。首都圏にお住まいのアートファンにとっては、この美術館と今年の春に開館した同じ青森県にある十和田市現代美術館はいってみたいミュージアムのようです。
 そういえば今月で開館2年を迎える靑森県立美術館は、最近どうかなとWEBをみてみました。現在企画展は行われていません。今月末から「大ナポレオン展」があります。これ以前江戸東京博物館で開催された企画の巡回ですが、美術館で行われる企画としては、適切ではない気がします。また、企画展はこの大ナポレオン展が終われば、今年はもう予定されていません。昨年は4つ開催された企画展が、今年は2つです。それもひとつは巡回展。かなり厳しい状況がうかがい知れます。(企画展の内容はここを)
 東北では随一ともいえるコレクションをもつ美術館ですが、その行く末はすこし不安なものがあります。企画展がすべてではありませんが、もう少し工夫が必要だと感じます。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008/06/24

知られざる美術館

 先週末、谷中を散歩した後、上野方面へ。東京芸術大学の前を通り、鶯谷の駅を目指して歩いていると、古めかしい建物が目にとまりました。

Kuroda_kinenkan

「黒田記念館」とあります。そして『公開中』と。よく分からないまま、中へ。館内の解説を読んで、やっと分かりました。画家の黒田清輝の遺言で作られた建物で、昭和3年竣工。東京文化財研究所のもので、長らくこの建物を使っていましたが、新庁舎の完成後リニューアルされ、平成13年から公開されています。
 ただ、古い建物のためか、公開は毎週木曜日と土曜日の13〜16時のみ。限られた時間ではありますが、歴史のある建物と、黒田清輝の作品を堪能できます。有名な「湖畔」も展示されていました。隠れた美術館といっていいでしょう。入場料も無料です。上野ミュージアム散歩のついでに、訪れるのもよさそうです。

| | コメント (5) | トラックバック (2)

2008/04/28

練馬区立美術館のコレクション展

 用事があって江古田までいったので、ちょっと足をのばして練馬区立美術館に寄ってみました。今、「練馬区立美術館コレクション展 新所蔵作品を中心に」が開催されています。この美術館で近年コレクションに加わった作家6人の作品を展示しています。津田一江(1950-/日本画)、高山良策(1917-1982/油彩画)、吉沢岩美(1912-2000/油彩画)、近藤(1933-/油彩画)、小作青史(1936-/版画)、郭徳俊(1937-/版画)の6人。油彩、版画、日本画と表現形式は様々ですが、全体を通してみると、ひとつの傾向が感じられます。ちょっと適切ではないかもしれませんが、「前衛」という形容詞がつけられるます。

Garden


 この美術館では、コレクションを続けています。作家やその遺族からの寄贈も多いようですが、WEBで調べてみると近藤竜男の作品は購入もしています。財政面から新規購入ができない公立美術館が多い中、練馬区立美術館は地道に収集を行っているのは、評価していいのではないでしょうか。
 東京にある区立美術館の中でも、あまり目立たない館かもしれませんが、しっかりとした活動を行っているミュージアムだということを、改めて感じました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008/04/21

宮本三郎の引く一線

 東京に帰ってきて約3週間がたつのに、単身赴任中に増殖した荷物の整理が終わりません。どうしてこんなに多いんだろう。昨日も、出掛けずに整理をしていました。夕方にはさすがに飽きて、街に散歩に出ました。そのついでに、宮本三郎記念美術館に寄ってみました。うちから歩いて20分足らずでいけます。
 世田谷区はいくつも美術館をもっている贅沢な区です。アンリ・ルソー、ジョアン・ミロ、リチャード・ロングなど区立美術館としては充実したコレクションを持つ本館に加え3つの分館を運営しています。(仙台市なんか、市立美術館ないんですから)
 Miyamoto_musemu宮本三郎記念美術館は、小さな建物ではありますが、ミュージアム内の空間は快適です。ここでは宮本の遺族から寄贈された作品を、さまざまな企画でみせてくれます。今は『宮本三郎の線』が開催されています。画家の引く線に注目した企画です。油彩の大作と並んで、木炭や鉛筆で描かれたデッサンや習作が展示されています。宮本といえば、赤、黄色、緑などのあでやかな色彩で描かれた女性像が印象にありますが、その作品は細やかに引かれた線によって支えられていることがわかります。
 全体的に地味な印象を受けがちですが、宮本三郎の新たな魅力を見いだせる企画展です。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008/02/27

青森県立美術館の今

 久しぶりに青森県立美術館に寄ってみました。仕事が終わり、仙台に帰る前だったのでゆっくり見る時間はありませんでしたが。この美術館、開館して1年半ほどがすぎましたが、その運営は順調なんでしょうか。
 今の時期の展示は、企画展はなく常設展のみです。館内を駆け足で見たところで、目に見える変化は、奈良美智の「あおもり犬」が撮影できるようになったことでしょう。ガラス越しですが、撮影ができます。これは、おおきなサービス向上です。
 それ以外、細かい改善はしているのでしょうが、特に気づいたことはありませんでした。それより気になるのは、昨年末に企画展が終わり、次の企画展「寺山修司 劇場美術館」が始まるのが4月1日と、企画展のない期間が3ヶ月以上になること。県立美術館で、これほど長い期間、企画展が開催されないというのは、よくあることなんでしょうか。ちょっと常態ではない気がします。

Aomri_museum

 今、開催されている常設展の内容は、版画の企画が中心です。「青森『創作版画誌』時代」「銅版画と青森を結ぶ糸」「屏風仕立て」と3展示室を使って展開されています。充実した内容で、小規模な美術館ならば企画展でいけそうな企画です。これ以外の展示も、しっかりした内容です。でも全体的には、地味です。企画展があって、そこに対比する常設展としてならいいのですが、これだけを見に行くにはよほどの美術好きでしょう。
 このミュージアム、所蔵作品の質では東北一だと思いますが、集客面ではうまくいっているのでしょうか。ちょっと心配しています。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2008/02/08

十和田に現代美術館ができる

 昨日は仕事で青森の八戸方面へ。クルマだったので、ちょっと十和田へも寄ってみました。十和田市に今年の4月、新しい美術館が誕生します。「十和田市現代美術館」と名付けられた現代アートに特化したミュージアムです。建物はかなり出来上がっていました。

Img_8355

Img_8356

 建物の設計は、「金沢21世紀美術館」を妹島和世さんと設計した西沢立衛さん。外壁は白で統一され、直線を基調とするデザインです。
 既に公開されているウェブによると、コミッションワーク(依頼制作による恒久展示作品)が展示されるとのこと。現代アーティストは、まったく詳しくないのですが、かのオノ・ヨーコや大きな人間をつくるロン・ミュエクなど21人のアーティストが参加しています。
 いま、現代アートの美術館をつくることはかなり冒険です。十和田市はアクセスが便利な場所ではありません。素直に考えると、どうしてここに? と感じます。ただ、アートで街を変えていこうと姿勢、志は大いに評価できます。このミュージアムのオープンは4月26日です。どんなスペースになるのか。ぜひ、訪れたいと思います。

| | コメント (9) | トラックバック (0)

2007/12/29

夜のブリヂストン美術館

 Bridgestone昨日の夜、ちょっと早めに東京に戻りました。新幹線も帰省ラッシュとは逆方向で、いつもの週末よりもすいています。7時過ぎに東京駅についたので、思い立ってブリヂストン美術館へ。うちの家ではここ数年、この美術館のカレンダーを使っています。来年のものを、まだ買っていなかったので、これを買いに。このミュージアム、夜は8時まで開館しているので、便利です。
 ついでに、時間があったので開催中のコレクション展をみてきました。最近は、時間がなくほとんど首都圏の美術館にはいかないので、絵をみるのは、久しぶり。ここの展示室、なぜか落ち着きます。都会のなかのミュージアムとは思えないゆったりとした空間です。なんどもみている作品も多いのですが、遅い時間のためか、鑑賞者もまばらで、ゆったりとみられました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007/10/22

宮城県美術館の魅力

 一昨日、「日展100年」をみに、宮城県美術館へ。このミュージアム。少しばかり街中から離れ、訪れるのには便利とはいえませんが、周辺の環境は素晴らしいです。ミュージアムは、広瀬川を渡った緑豊かな中にあります。

Img_7970

 この美術館がいいなと思うのは、エントランスを入ったとき。目の前に吹き抜けが広がります。企画展示室は、広がりのある吹き抜けの中、階段を上がっていく2階。アートに触れる高揚感が起きる素敵な空間です。
 この美術館にはとてもお世話になっています。大学の課題で、研究対象にさせていただきました。ここ、「なんでも相談」といって、美術に関することなら、なんでも相談していいんです。課題作成のため、お話を伺わせてもらいました。またこの美術館の教育普及、つまりワークショップはその内容の充実さから有名です。
 ところで、この宮城県美術館、来月末から一年近く休館です。空調の工事のためとのことですが、ちょっと長いです。再開するころには、仙台に居ないかもしれない(?)。休館までにもう一回は訪れたいと思ってます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007/09/07

ニューヨークに行きたくなった

 先週末、仙台のうちの片付けをしました。なんといっても多いのが、本、雑誌のたぐい。仙台にきて3年半、なんでこんなに増えたのだろう、という量です。その中でも、「芸術新潮」がかなりの冊数がありました。気になるテーマのときだけ買っているのに、増えてます。
 Img_7822とはいっても、今月号は買わないわけにはいけません。特集が『全一冊 ニューヨーク 美術館をめぐる冒険』です。アートを勉強し始めてから出来た(作った?)目標が、ニューヨークでのミュージアム三昧です。まだ、全部読んでいませんが、ニューヨークの美術館は素敵です。これまで、2回、ニューヨークに行っているのですが、遙か以前のことで、その時は美術館に寄りませんでした。
 大学をなんとも卒業して、ニューヨークに行きたいです。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007/07/22

魅力ある札幌のミュージアム

 昨日は札幌で過ごした休日。めったにない機会なので、札幌市内の美術館巡りをしてきました。全部で、5つのミュージアム、ギャラリーを訪問。ほんとは、こんなことしたくないのですが、めったにない機会なので、無理してまわってみました。
 最初は、北海道立近代美術館。今年で開館30年を迎えた歴史あるミュージアムです。ちょうど特別展『ダリ展 創造する多面体』がこの日から始まっています。昨年、東京で開かれた『ダリ回顧展』とは違った視点での展示がされていて、興味深く鑑賞しました。

北海道立近代美術館
Img_7544

 近代美術館のそばには、北海道立三岸好太郎美術館があります。札幌出身の三岸好太郎の作品を展示する美術館です。31歳で夭折した画家ですが、多様な表現をみせてくれます。

 3つめのミュージアムは、札幌宮の森美術館。一昨年にオープンした現代美術を対象とした美術館。大きめのギャラリーといった規模ですが、快適な展示スペースです。今は『森山大道写真展 <記録/記憶』が開催されています。

札幌宮の森美術館
 Img_7558

 札幌市の郊外にある札幌芸術の森は、自然の中に鑑賞、発表、制作、研修、情報交流の機能を備えた施設が点在しているアート支援のスペースです。鑑賞のための美術館や、各種工芸を制作できる施設がいくつもあります。これだけの施設を札幌市が運営していることは、とても羨ましい限りです。(正確には札幌市芸術文化財団の運営)

芸術の森美術館
 Img_7575

 最後は、サッポロファクトリーの中にある札幌市写真ライブラリー。ここは札幌市の写真専門ギャラリー。スペースとしては常設展示と貸しギャラリーがあり、また札幌の写真の収集、保存を行っています。いわば、小さな写真美術館ですが、自治体が写真ギャラリーをもっているのは珍しく、評価されていい活動です。

 ほんとに駆け足の訪問でしたが、札幌のアート環境は充実していると感じました。街の規模が大きいこともあるでしょうが、それ以上にアートに対する自治体の取り組みが前向きなのではないでしょうか。
 こんどは、ゆっくりとミュージアム巡りをしたいものです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007/06/10

美術館をはしご

 珍しくも昨日は三つものアート展にいってしまいました。スクーリングの2日目は、2つの展覧会を見るのがその内容。移動スケジュールに余裕があったので、教室のそばの美術館にも速攻で寄って都合3つの美術展にいってしまいました。
Peruzini まずは、新宿の損保ジャパン東郷青児美術館で開催されている「ペルジーノ展」。ペルジーノはイタリア・ルネサンス期の画家。ラファエロの師であり、レオナルド・ダ・ヴィンチとほぼ同年代です。恥ずかしながら、名前を聞くのも絵を見るのも初めて。近年、ペルジーノについて海外で再評価がされ、国内では初めての展覧会です。展示されている絵画は、どれも状態がよく、精緻な筆遣いの作品が揃っています。残念ながら、この時期の絵画は、ちょっと苦手です。勉強不足を痛感しました。
 
Fuzimori 二つめは東京オペラシティアートギャラリーでの「藤森建築と路上観察」。屋根に植物を植えた『タンポポハウス』、『ニラハウス』で有名な建築史研究家の藤森照信さんの建築の紹介と、路上観察を展示したユニークな内容。昨年のヴェネチア・ビエンナーレ建築展で開催されたものを国内でみせてくれるものです。
 藤森氏の建築は、自然素材を使い、工法もその良さを生かす工夫されているのが特徴です。いわば、自然と共生していく家づくりです。また「路上観察学会」は、赤瀬川原平さん、南伸坊さんらと、20年以上も前にはじめた活動です。会場ではビデオで活動内容が発表されていましたが、面白いですね。
 
Fashion  最後は、国立新美術館で行われている「スキン+ボーンズ」。「1980年代以降の建築とファッション」とサブタイトルが付けられた企画展ですが、建築とファッションの共通点を探る新しい試みの展覧会。国立新美術館とロサンゼルス近代美術館の主催なのですが、なんとも理解するのが難しいものでした。ファッションの知識がない私にとって、展示の主旨を理解することは、ほぼ不可能。かなりハードルの高い内容でした。

 テーマとするジャンルが違う展覧会を三つもみて、贅沢な一日でした。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007/05/05

宇都宮美術館の愉しさ

 GWの後半は栃木方面に。(女房の実家です)昨日は、宇都宮の宇都宮美術館を見にいってきました。このミュージアムを訪れるのは2回目ですが、緑豊かな環境のなかにあり、館内も心地よく落ち着きます。チケットを買ってから展示室へ入っていくところが、明るく、開放感があり、気持ちいい。設計者は岡田新一さん。最高裁判所、警視庁本部庁舎などを設計した大家ですが、心配りのあるつくりだと思います。

Utunomiya_museum

 この宇都宮美術館、開館し今年で10年。公立美術館にとってもっとも厳しい時代を生きてきたミュージアムですが、その活動をみると元気を感じます。常設展も充実しています。いま、開館10周年記念展「シュルレアリスムと美術」が開催されており、これも見ごたえある企画展です。

 また、宇都宮美術館ではポイントカードを導入していて、観覧料100円につき1ポイント。30ポイント(3,000円相当)で、1枚の招待券、50ポイント(5000円相当)で2枚招待券がもらえます。これも美術館としては珍しいことです。

Utunomiya_museum3

 そばにあれば、頻繁に通いたい、素敵な美術館です。

彫刻作品も置かれている「文化の森」の一画にあります。
Utunimiya_museum2

 

| | コメント (4) | トラックバック (1)

2007/03/25

東京都現代美術館の充実度

 東京にくると、多くの美術館が魅力ある展覧会を開催しています。この時期は、上野で、ダヴィンチやオルセーなど一般受けする企画展も多く、さぞかし混雑しているんでしょうね。最近は、とんと東京の大きな企画展にいっていないことに気づき(?)、とはいっても混雑してるとこは嫌なので、東京都現代美術館に、出掛けてみました。確か昨年の夏前にいった以来なので、久しぶり。
 東京・木場公園の一画にある東京都現代美術館。ここは、他の大規模なミュージアムに比べて、交通アクセスがいいとはいいません。また、テーマも現代美術を扱っているので、ちょっと敬遠しがちかもしれません。でも、館内の雰囲気は、快適。建物の構造としては、好きな美術館のひとつです。

Mot

 現在、企画展として、「中村宏・図画事件 1953-2007」と「MOTアニュアル2007 等身大の約束」を開催中。「中村宏・図画事件 1953-2007」は70歳を過ぎた現在も活躍中の中村宏さんの作品を時系列に見せてくれる展覧会です。その作品群は、乱暴に一言でいってしまえば「前衛絵画」です。
 また、「MOTアニュアル2007 等身大の約束」は毎年開催されている新進アーティストを紹介する展覧会。いまのアートを感じられます。
 また、この美術館の常設展も充実しています。MOTコレクションと称して、定期的に展示替えをしています。ウォーホルやリキテンシュタインなど海外の有名アーティストもコレクションされていて、レベルは高いです。現在、ロスコの作品が展示されていて、これもコレクションなんだと、ちょっと驚きました。
 常設展示では特別展示があり、いまは「闇の中で in the darkness」が行われています。これは、闇をテーマにし、闇の魅力、怖さ、ポテンシャリティを再考するもの。展示作品の中には、ちょっと怖いものがありました。
 
 充実したふたつの企画展と常設展をみて、観覧料は1500円です。安いのではないでしょうか。久しぶりに多くのアートをみて、ゆったりとした時間が過ごせました。来月には岡本太郎の大壁画「明日の神話」が公開されます。これ、昨年の夏に汐留で公開されたとき見逃しているので、ぜひ見にいかねば、と思っています。
 
 

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2007/03/20

塩竃、2つの美術館

 塩竃の街はほとんど訪れる機会がありません。この前の週末、塩竃にある小さな美術館にいってみました。
 まずは、菅野美術館。ここは、ちょうど一年前の3月に開館した美術館です。東北本線の塩釜駅から歩いて10分ほど住宅地の中にあります。

Imgp0439

 医師の菅野喜與さんが私財を投じてつくった美術館で、西洋の近代彫刻など10点ほどの作品が常設で展示されています。作品はどれも質の高さを感じます。

 また、塩釜駅の駅前の生涯学習施設・エスプ塩竃の中には、長井勝一漫画美術館があります。長井勝一さんは、伝説のマンガ誌「月刊漫画ガロ」の初代編集長で青林堂創業者。この美術館は、塩竃出身である長井さんの業績を辿ることができる美術館です。ガロは白土三平、つげ義春、滝田ゆう、林静一、永島慎二などが活躍しした。先日、惜しくもなくなったイラストレーターの渡辺和博さんもガロで仕事をしていました。私は、ガロと同世代ながら、なぜかほとんど読んでいません。でも、展示をみていると懐かしい気持ちになってきます。

 ちょっと面白い体験ができる塩竃の美術館です。

菅野美術館WEB
長井勝一漫画美術館WEB

※菅野美術館の詳しい記事はココ

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007/03/12

和楽の特集は「日本の美術館はどこへ行く?」

 今月号の和楽は、特に表紙が艶やかです。江戸時代の「源氏物語図屏風」(花宴)の部分ですが、桜の花の下での朧月夜と光源氏の出会いのシーンを絵描いた美しい絵です。表紙には桜の花の型押しがされていて、コストがかかっている感じです。

Waraku

 特集は「21世紀、日本の美術館はどこへ行く?」で。美術専門誌や、ブルータス、エスクァイアあたりがやりそうな固いタイトルの特集で、女性誌の和楽が組む特集としては意外な感があります。この春、東京・六本木のミッドタウンにサントリー美術館と21_21DESIGN SIGHT、2つのミュージアムができ、森美術館、そして先日オープンした国立新美術館と、「美術館トライアングル」が出現します。そんな中、美術館とは何か、特に大型ミュージアムの動向は注目されています。
 こ和楽という雑誌は、定期購読のみで読めるもので、一部の書店を除いては店頭で買えません。先日、女性誌創刊ラッシュのことに触れましたが、この和楽も35歳から45歳をターゲットにしているようです。年齢としては創刊された marisolと同じような層を狙っていますが、そのつくりはまったく違います。和楽では、美術関連の記事が多い。そしてどれもオジサン美術ファン(私のこと)でも楽しめます。 marisolでは美術の記事がわずか1ページなのと対照的です。
 特集「21世紀、日本の美術館はどこへ行く?」では建築家・安藤忠雄と三宅一生との対談など充実しています。また折り込み付録として、『「知的日本美術鑑賞53のキーワード』がついてます。表紙になっている「源氏物語図屏風」は六曲一双の屏風ですが、これがどういう意味なのが、この付録をみればわかります。
 ともかく、東京周辺のアートファンには楽しみな春ですね。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007/02/19

福島県立美術館で、名画の散歩

 昨日は、福島県立美術館へいってきました。一昨日から企画展「名画の散歩道」が始まっています。この美術館は昨年の秋、「ハギレの日本文化誌」をみにいって以来です。この企画展は、山形美術館のコレクションから約80点をみせるもの。他の美術館の所蔵作品をみせる企画というと、安直だと思うかもしれませんが、山形美術館のコレクションは、なかなかまとまってみせてくれる機会はありませんでした。
 Img_6905山形美術館は、県立ではありませんが、その所蔵作品は充実しています。ヨーロッパの印象派からピカソなどの現代絵画。また、日本画では、重要文化財である与謝野蕪村『奥の細道図屏風』などの江戸絵画や、近代の洋画など珠玉の作品が揃っています。
 美術館のwebではどんな画家の作品が展示されているか、残念ながら充分に書かれていません。この企画のサブタイトルは「蕪村、劉生、モネ、ルノワール、ピカソ、シャガール・・・ひびきあう東西の美」です。モネは『睡蓮』、ピカソは2点。また岸田劉生は『麗子坐像』が展示されています。このアーティスト以外では、ミレー、コロー、マネ、シスレー、ドガ、ゴッホ、マティス、ルオー、カンディンスキー、円山応挙、高橋由一、萬鉄五郎、安井曾太郎など巨匠、大家の作品が並びます。作品の質も、充実しています。見ごたえ充分です。
 おすすめです。お近くの方はぜひどうぞ。

※詳しくはここ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007/02/06

夕張市美術館の閉館に思うこと

 昨日の日経新聞・文化欄に、美術ファンとして見逃せない記事がありました。「夕張 炭坑画家の遺志」と題された記事。筆者は夕張市美術館の学芸員、源藤隆一さん。財政再建団体となった夕張市、その美術館は3月いっぱいで閉館です。
 記事を読んではじめて知ったのですが、夕張市美術館が所蔵する絵画700点の大半は、炭鉱労働者の描いた作品。30年代から70年代にかけて、労働者が美術サークルをつくり、24時間三交代の過酷な勤務の合間に、絵筆を握って描きました。
 その炭坑画家の一人、畠山哲雄さん(1926-1999)、日展にも入選、生涯に500点ほどの作品を残しています。小学生のころ、坑内作業員だった父からミレーの画集を買ってもらいました。それと西洋美術を扱った新聞記事の切り抜きを頼りに、絵を独学で絵を描きはじめたといいます。畠山さんを代表とする炭坑画家は、どうして絵を描いたのか。

炭坑画家は過酷な境遇にあっても絵画を通じて自分を高め、這い上がろうとしたのだろう。(源藤さん)

 夕張市美術館は3月いっぱいで閉じられるため、それ以降は電気も止められます。当然、作品の保管には劣化の危惧があります。源藤さんはこう書きます。

地域がどん底に沈むのなら、なおさら若い世代に炭坑画家の這い上がっていく精神を伝えなければいけない。自分自身の今後も見えない現状でどうしたらこの使命をまっとうできるか。

 美術館では11日から「Finish and Begin」が始まります。美術館にとって、あらたなスタートになってくれるように祈るばかりです。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2007/01/25

エスクァイアのミュージアム特集

 今月号(3月号)のエスクァイアの特集は「成田発、知られざる エリートミュージアムへ。」。先月のCASA BRUTUSの1月号に引き続き、ミュージアムを取り上げています。ちょっと長いですが、リード文を引用してみます。
いま、世界でミュージアム旋風が吹き荒れている。2007年にはNY『ニューミュージアム』開館。'08年にロンドン『テート・モダン』の増築、その後もフランスの『ルーブル美術館分館』と続く。この空前の美術館ブームに、各美術館には建築、展示、サービスにわたる高いクオリティが求められ、観客にはそれを見抜く目が必要となる。オープンラッシュ前夜の今こそ際立つ個性を持った“エリートミュージアム”に出会う旅が、いよいよ始まる。


Img_6770

 

 どの記事も充実しています。特に「モダンデザイン100年のアーカイブ。知られざるコレクション大国ドイツへ。」は興味深いです。博物館(ミュージアム)の起源とされる、王侯貴族が珍しい品々を集めたヴァンダーカンマー(驚異の部屋)。コレクション大国、ドイツへ焦点をあてた記事は読みごたえがあります。    

 付録に「日本の美術館、その個性を知る」がついています。独自の視点で選んだ国内のミュージアムが45館取り上げられていて、その選択基準が面白いなと思わせる企画です。     

 今年は、国内ではミュージアムの年でしょう。新国立美術館が先日オープン、これからサントリー美術館も開館します。これを機会に、アートファンが増えて欲しいですね。  

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/12/14

いま、ミュージアムから目が離せない

 本屋で見つけた今月号のCASA BRUTUSは、美術館の特集。『いま、ミュージアムから目が離せない。』と題され、充実しています。特に面白いのは「恐るべき世界の最新ミュージアムBEST9。」建築の視点から新しい美術館を紹介。日本では青森県立美術館が取り上げられています。別冊付録として『日本のミュージアムカフェ&レストラン54軒』がついていて、これも楽しい。
 いま、ミュージアムの建築では日本人が注目されています。2009年に開館予定のルーブル美術館分館のSANAA(妹島和代+西沢立衛)、まもなく着工のポンピドーセンターの分館坂茂と日本人建築家が設計を担当しています。

Img_6495

 ミュージアム訪問の旅に出たくなりました。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2006/12/04

鎌倉への超短い旅

 昨日は、ちょっと事情があって鎌倉へ。目的は神奈川県立近代美術館です。大学の課題で、あるテーマの事例を探しているのですが、なかなか思うように見つからず、気分転換もかねて、いってみました。実はこの美術館、日本で最初の公立の美術館ですが、訪れるのは初めて。場所は鶴岡八幡宮の手前と、抜群のロケーションです。

 Kanagawakinbi

日曜ということもあって、鶴岡八幡宮の境内は多くの人が行き来していましたが、美術館のエリアに入るとほとんど人もいません。静かです。開催中の展覧会が、ちょっと地味めなこともあって、(『イメージの迷宮に棲む 柄澤齊』:版画家 柄澤齊の回顧展)鑑賞者は多くはありませんでした。神奈川県立近代美術館は、この鎌倉館のほかに、すぐぞばに別館、そして葉山の海のそばに葉山館があります。どこも、観光地に位置する贅沢なロケーション。街の賑わいと、美術館の静寂の対比が、心に引っかかりました。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/11/26

ギャラリーと美術館の距離

 昨日は久しぶりに銀座のギャラリーに出かけてみました。きっかけはアート情報サイト『芸力』を主催されているsayakaさんに久しぶりにお会いして、いろいろお話をうかがったせいです。この芸力、最近大幅にパワーアップされ、東京周辺のギャラリー、画廊に情報を知るには、大いに役立ちます。
 銀座には多くのギャラリー、画廊があります。昨日は出かけたのが遅かったので、6か所ほど見てみました。ギャラリーて、なれない人には入りづらいですよね。場所もビルの中の一室であることも少なくなく、入っていくのに抵抗があったりします。でも、入ってみれば主催者は暖かく迎えてくれます。昨日は2か所でお茶を出してもらいました。とあるところでは「画家さんですが?」なんてきかれたりして(どうみても、ただのおっさんなんですがねぇ)。
 ギャラリーでは、思いがけない作品に出会える楽しさがあります。昨日見たなかで、良かったなと感じたのは、奥野淑子さんの木口木版作品。(Oギャラリー UP・S)木版でつくられた黒と白の小さな世界。その精巧さにひきつけられます。(先日、エッシャー展をみたせいで、版画にひっかかります)

奥野さんの作品Okuno_1

 ギャラリーを見た後、京橋のブリヂストン美術館に行きました。ギャラリーと美術館でのアート鑑賞、展示されている作品の完成度は違うかもしれませんが、アートをみる姿勢は変わりません。時間をつくって、ギャラリーにも足を運ばねば、と感じた週末でした。

☆久しぶりに別館を更新しました。
 

| | コメント (2) | トラックバック (3)

2006/11/20

宮城県美術館の賑わい

 昨日は、午後から宮城県美術館へ。お目当ては「パウル・クレー 創造の物語」です。すでに、先月から始まっていますが、週末仙台のいないことが続き、やっといくことができました。 このパウル・クレー展は、川村記念美術館、北海道近代美術館から巡回してきたものですが、国内有数のクレー作品を所蔵する宮城県美術館から多くの作品が出展されています。
 チケットを買い会場にはいると、かなりのひとがいます。ちょっと意外。この美術館の企画展は、玄人好みのものが少なくなく、鑑賞者が多くないこともよくあります。ちょうど、学芸員さんによるギャラリートーク「ウィークエンド・トーク」が始まりました。10人以上の人が聞き入っています。宮城県美術館にしては珍しい賑わいではないでしょうか(関係者の方、すみません)。

Img_6372

「パウル・クレー 創造の物語」、約160点の作品が内外のミュージアムから集まった本格的なクレーの回顧展です。おすすめです。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2006/11/08

青森県立美術館からプレゼント

 昨晩、家に帰るとポストにメール便。青森県立美術館からの封筒です。あけてみると、「ポストカード当選のお知らせ」と書かれた書面が入っています。どうやら先日、青森県立美術館でシャガール展を見たとき、アンケートに答えた人のなかから、抽選でポストカードをプレゼントしてくれるらしく、それに当選したようです。中には5枚のポストカードが同封されています。

Img_6316_1

 ポストカードは「美術館外観」「青森犬(奈良美智)」「Mumps(奈良美智)」「カネゴン決定稿(成田亨)」「御吉祥大辨財天御妃尊像図(棟方志功)」の5種。これが、青森県立美術館を代表する作品なんでしょうね。裏には非売品とありますから、ミュージアムショップではうっていないのでしょうか。
 美術館にいったときは、極力アンケートに記入することにしています。鑑賞した感想を美術館に伝えることも大事、だと思っているからです。
 ともあれ、ちょっと嬉しくなるプレゼントです。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2006/07/18

ブリジストン美術館の心地よさ

 きのう、仙台に帰る前に、久しぶりにブリジストン美術館に行ってきました。この美術館のカレンダーが我が家にあるのですが、今月はマティスの「縞ジャケット」。この作品を女房が気に入って、「本物」を見にいってきました。折しも「なつの常設」と題し、このマティス作品も展示されています。
 ブリジストン美術館は、いつ訪れても、心地よくなります。来館者も多くはありません、好きな絵を、じっくりと見られます。しっかりとしたパンフレットも、受付で渡されます。絵画を楽しむ時間が、贅沢で濃厚です。このミュージアムの、余裕がある雰囲気がとても好きです。京橋、というロケーションもいいのでしょうね。
 
 ブリジストン美術館でお気に入りの絵画をみて。そのあと銀座で一杯、なんてコースが最高なんでしょうが、単身赴任オヤジには、ちょっと難しい夢かもしれません。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2006/06/27

東京都現代美術館のMOTコレクション

 場所が悪いとか、閉館時間が早いとか、いろいろ文句をつけた東京都現代美術館ですが、ここの常設展示は充実しています。確か昨年からここは常設展をMOTコレクションと名付け、テーマ性を明確にして展示を行っています。現在は「1960年代以降の美術」として、60年代のポップアートから、90年代のアジア美術、2000年代に制作された作品まで、10年単位でテーマ性をもたせての展示は、バラエティに富み、楽しめる内容です。
 60年代のポップアートのコーナーでは、ウオーホル、リキテンシュタインの元祖ポップアートと、横尾忠則の国産ポップアートが並べて展示されているのが、面白いです。
 このMOTコレクションの中で、特集展示として、二人のアーティストの小さな個展が展開されています。このうちの中村一美さんの作品は、ダイナミックな筆遣いと、華やかな色彩で、主題の重さを感じるものの、なぜか、みていると幸せな気持ちになります。特に大作「連差-破房 XI(斜傾精神)」は、9.11テロに題材をとった作品とのことですが、縦4メートル横8メートルの絵画世界は、圧倒的な迫力です。
 この美術館は、いく機会が多くはないのですが、常設展だけみにいくのも良さそうだな、と思い直しました。

| | コメント (4) | トラックバック (2)

2006/06/25

鮮やかな版画の世界「吹田文明展」

 久しぶりの世田谷美術館で、「吹田文明展」をみてきました。吹田文明(ふきたふみあき)さんは、1926年生まれ、まだ現役で活躍する版画家です。会場に飾られた作品をみて感じたのは、版画にもこれほどまでに多彩な表現ができるのか、という驚きでした。古今東西の巨匠と称される画家たちが、油彩作品だけでは満ち足りずに、版画作品を制作しています。版画という表現手法は、それほどまでに魅力があるものなんでしょう。
 吹田さんの版画は、そのほとんどが抽象作品です。色彩と形が織りなすイメージの世界は、幻想的で、刺激的で、また安らぎを与えてくれます。
 会場にはいって、冒頭に飾られている宇宙を想起させてくれる一連の作品。青、紺などの色を多用し、果てのない広がりを感じさせてくれます。作品のほとんどが、木版に油彩、水彩の2つの絵の具を使って刷られています。油彩絵の具を版画に使うことが、新鮮です。
 どうやって水彩と油彩を使うのか、と思ってみていたら、「制作の現場から」というコーナーで、その謎が解けました。下地に水性、その上に油性を重ねて刷っていたのです。
 また、作品よっては版画手法に、墨流しを加えた作品もあります。黒、緑などの絵の具をたらして、あいまいな形を表現。線と線で区切られた版画表現と、不定形であいまいな形の墨流しの対比が、刺激的な効果を生んでいます。

 会場の最終章「光の彼方へ」と題されたコーナーにあるひとつの作品に惹きつけられました。「南に散りし友に捧ぐ Ⅱ」(戦後50年の鎮魂歌)。そこには、もの悲しく、でも懐かしい世界があります。自分がかつていた場所、でももうそこのは戻れない場所、となぜか思う世界が広がります。しばらく作品の前で、佇んでしまいました。
 
 吹田作品は、単に版画の範疇をこえ、みるものに様々なイメージを与えてくれるすてきなものばかりです。版画の奥深さを感じる美術展です。


 

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2006/06/21

アフリカ・リミックスの世界

 森美術館に久しぶりにいってみました。いま、「アフリカ リミックス」展が開催されています。この美術展、アフリカの現代美術を、様々な形態のアート作品で紹介するもの。84名、約140点の作品が展示されていますが、誰一人として、名前を知っているアーティストはいません。私にとっては、作品のもつ権威にとらわれることなく、自由にみられるアート展といえます。
 Africa_remix多くの作品が、2000年代に制作されたもので、まさにアフリカの現代美術といえる作品が並びます。現代美術は、表現するのが難しい面があります(というより、私の表現能力の不足)。アフリカの風土や民族のことに、まったく知識がないことを承知の上であえて言うと、全体的な印象として、作品に「アフリカのにおい」や「アフリカ特有の作風」はあまり感じませんでした。しかし個々の作品は、奇抜、刺激的、不思議など、コンテンポラリーアートをみていて感じる感情を想起させてくれるものが多く、芸術としての完成度が高い作品ばかりです。
 先週末、駆け足でみた「カルティエ現代美術財団コレクション展」は、これも面白く感じた作品が多かったのですが、どこか無機質、暖かみの欠如みたいなものを感じる作品いくつかありました。これに対し、「アフリカ リミックス」では、作品の奥に、人間くささ、暖かさ、感情の高ぶりなどを感じられることが多かったです。
 いまの日本で紹介されるアートは、やはり西洋中心です。アフリカ、それも現代美術をみる機会は、それだけで貴重な体験だと思います。お時間がある方には、おすすめです。

| | コメント (6) | トラックバック (16)

2006/06/19

刺激的なカルティエ現代美術財団展

 昨日まで、大学のスクーリングでした。「ミュゼオロジー」とういう科目で、美術館での課題を、グループでまとめ上げるもの。もの凄くハードで、終わった後は脱力状態でした。
 この課題では、東京都現代美術をテーマにしたものでしたが、講義のひとつしてこの美術館の学芸員さんから、現在開催されている「カルティエ現代美術財団コレクション展」のこともきくことができました。
 カルティエ現代美術財団は、1980年代の設立。この財団の活動は、特徴的です。既存の美術作品をコレクションするのではなく、活動している作家に制作を依頼。その作家の企画展を開催し、終了後作品は財団が買い取ります。つまり、この作品は一定期間開催された企画展でだけでみることができ、その後は財団の所蔵庫に収められたまま、人目に触れなくなってしまうわけです。考えてみると、もったいない話ですね。
 今回の「カルティエ現代美術財団コレクション展」は、財団所有のコレクションから特別に出展し、みせてくれるものですから、価値ある展覧会といっていいしょう。
 肝心の鑑賞ですが、課題の制作におされて、30分くらいしか見られませんでした。全体的な印象としては、インスタレーション、オブジェもかなり刺激的でしたが、それ以上に映像作品が面白かったです。
 また、森山大道の作品もコレクションにあり、特に多数のポラロイドで構成した作品が不思議な空間を作っています。
 刺激を求める方には、ぜひおすすめです。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2006/06/18

東京都現代美術館の不便さ

 昨日は、大学のスクーリング実習で東京都現代美術館へ。朝の開館時から、閉館時間の18時まで、一日中館の中で過ごしました。常設展をみたり、館のバックヤード、所蔵庫の見学、そして駆け足での「カルティエ展」の見学。
 朝から晩までここにいると、いつも展覧会での訪問では気づかないことに、気づきます。美術館の周辺には、食事をしたり、お茶を飲んだりできるところが、ほとんどないんですね。隣が木場公園なので、緑は豊富ですが、アフターミュージアムを楽しむレストラン、カフェは皆無です。どうしてなんでしょうね。
 一緒に勉強していた人の話によりと、以前は週末の夜間開館も行っていたのですが、夜は周辺が寂しく、夜間展示もやめてしまったとか。
 周辺部、再開発とかしてくれないでしょうか・・・。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2006/06/17

東京都現代美術館のPODCAST

 昨日から武蔵美のスクーリング。これは通信大学生に課せられた短期的な通学授業です。金曜から3日、「ミュゼオロジーⅡ」という科目の授業。一日目は、新宿のサテライト教室での講義です。そして、明日は東京都現代美術館にいっての「実習」。最近、いっていなかったので楽しみです。
 この東京都現代美術館では、POD CASTによる音声ガイドサービスを提供しています要ははiPodでミュージアム展示の解説がきけるえわけです。学芸員による展示解説と、更に常設展に出展している中村一美さん自身による作品解説もあります。国内の美術館としては、新しいメディアでの情報伝達を試みている点で、大いに評価できると思います。
 また現代美術館では、MOT THE RADIOとして、企画展の最新情報もネットラジオで配信しています。これも面白い企画。たとえばフレンチレストラン・クィーンアリスの石鍋さんをゲストに迎え、現代アートについて話してもらっていたり、意欲的な企画です。
 東京都現代美術館の新たな企画は、ちょっと刺激的なものを感じます。

東京都現代美術館ウェブサイト

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/06/14

東北歴史博物館で「中国★美の十字路展」

 Img_5277多賀城市にある東北歴史博物館に、初めていってきました。仙台駅から東北線に乗って15分ほど、国府多賀城駅前にあります。思っていたよりすっと立派な建物です。ネットで調べてみると、開館は1999年と、比較的新しいミュージアムです。
 現在、特別展の「中国★美の十字路展」を開催しています。これは昨年夏に森美術館で行われたものの巡回。当時はまったくノーマークだったのですが、かなり見ごたえがありました。
 中国の後漢から盛唐にいたる長い時代に生まれた、一級品の作品ばかりが展示されています。俑(よう:墳墓に副葬された人形)、壁画、仏像、工芸品などが200点以上もあり、中国造形の技量の高さと、奥深さを堪能できます。
 特に俑、これだけ様々な時代のものをまとめてみたのは初めてで、その造形の細かさ、人物の表情の豊かさに驚きます。
 また正倉院の遺品との関係が指摘されているササン朝ペルシャの切り子ガラスも興味深いです。中国とイランとの交流ををうかがい知る貴重な資料です。
 
 中国の美術品は、ほんと膨大です。その歴史も充分に頭に入っていない状態でみてしまったため、展示されていた作品の価値が理解できなかったものも多かったのが実態。東洋美術史は、どうも苦手ですね。
ともあれ、中国と西方圏との交流を、一流の作品でみせてくれる、素晴らしい展覧会であることは間違いがありません。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2006/06/13

人生を刻んだカミーユ・クローデル

 福島県立美術館で「カミーユ・クローデル展」をみてきました。カミーユといえば、ロダンとの交際があった彫刻家、くらいの知識しかありませんでしたが、この展覧会をみて、カミーユの壮絶な人生を知り、その人生が乗り移ったような作品に、魅せられました。
 カミーユは、彼女が生きた時代(1864年生まれ)には珍しい女性の彫刻家を目指し、ロダンの弟子となります。そして、愛人となり、才能を開花させていき、天才と称えられます。しかしカミーユはロダンと別れたのち、精神に支障をきたします。78年の生涯で、作品を発表したのは43歳の時が最後です。人生の後半の30年は、精神療養所に収容されたまま、生涯を終えます。悲しい物語のようです。
 作品はそのカミーユの壮絶な人生を、そのまま表しています。ロダンとの蜜月時代に つくられた一連の「ワルツ」は抱きあいながらワルツを踊る男女が、まさに動きだしそう。すてきな愛の世界です。
 ロダンと別れたあとにつくられた「波」。3人の女が、襲いかかるような波間に置かれている作品。北斎の有名な富嶽36景「神奈川沖浪裏」に触発された作品。ユニークな彫刻で、刺激的。
 暖炉と、その前に座る女性を構成した「暖炉の夢」(1899)は、暖かい物語を思い描かせてくれる、懐が深い作品です。カミーユが、この作品を発展させ、深化させていけば、新たな彫刻世界をつくっていたのでは、と感じました。
 
「愛と運命を刻んだ彫刻家」-この企画のサブタイトルですが、まさにカミーユは自らの人生を、作品に彫っていたのです。ちょっと重く感じた展覧会でした。

Img_5282

絵はがきの作品が「ワルツ」(上)と「波」

※7月には府中市美術館に巡回します。

| | コメント (10) | トラックバック (4)

2006/06/12

平福百穂を知っていますか?

 宮城県美術館では開館25周年記念の全館展示企画の「コレクションの四半世紀」の第2部がはじまっています。タイトルは「平福百穂を知っていますか」です。なかなか挑戦的で、大胆な企画名です。残念ながら、平福百穂(ひらふくひゃくすい)、知りませんでした。
 平福は秋田出身、明治10年生まれの日本画家で歌人でもあった人です。代表作の「猟」は、緑鮮やかなすすき野を、白と茶の馬にまたがった青い装束の男たちがいく姿が、細やかな線で描かれています。万葉集から題材をとった作品とのことですが、詩的な画面構成が魅力的です。平福の作品は、この「猟」を含み、7点が展示されていますが、どれも繊細な線描で表現される絵画世界です。
 このほか、この企画展では「それぞれの東北」と題され、東北にゆかりのある画家、写真家の作品が展示されています。萬鉄五郎、松本俊介の個性溢れる作品に加え、岡本太郎の直弟子であった村上善男の作品も展示されています。この人の作品は初めてみましたが、綿布、アクリル、和紙、布などのいわゆるミクストメディアを使い、色、形、文字で構成された個性豊かな作品です。
 また、写真家・木村伊兵衛の秋田をとった一連の作品や、森山大道の70年代の東北での撮影作品も興味を引きます。木村の有名な「青年 秋田市仁井田」や森山のこれも有名な「野良犬 三沢市」、どちらもモノクロながらそれぞれ存在感がある写真です。

 これ以外にも、「表現主義と日本」や「発見された画家」など、充実した展示があります。ぜひ再訪したいと思わせてくれる、充実した企画展です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/06/02

青森県立美術館は来月オープン

 昨日、仕事で青森へ。駅前のアーケードを歩いていたら、こんなディスプレイが飾ってありました。

Img_52262

 来月13日に「青森県立美術館」がオープンです。これまで青森には県立の美術館はなかったのですね。青森県内の芸術関係の施設としては、2001年に開館した「国際芸術センター青森」があります。ここはアーティスト・イン・レジデンス、すなわちアーティストが一定期間居住しながら創作活動を行う施設で、アートセンターに区分されるもの。
 また、地元出身の版画家・棟方志功の作品を所蔵する「棟方志功記念館」が青森市内にあります。

 全国でも後発の県立美術館、「青森県立美術館」は、どのような方向を目指すのでしょう。ホームページによると、シャガールのバレエ「アレコ」の舞台装飾、岡本太郎、猪熊弦一郎、棟方志功の作品や、地元出身の奈良美智作品などをコレクションしています。
 県立美術館の置かれている状況は、どの自治体でも厳しいものがあります。作品の新規購入予算も確保できない美術館も少なくありません。青森県立美術館が、どのような活動をしていくのか、どんなアートメッセージを発信していくのか、とても気になるところです。

青森県立美術館WEB

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2006/05/28

宮城県美のパウル・クレー再び

 宮城県美術館で開催されている「コレクションの四半世紀」の第1部「パウル・クレーに会おう」。5月になって、クレー作品が展示替えになっているのを、やっとみてきました。会期は今日までなので、駆け込み。
 展示替えで、新たに出されているクレー作品は7点。
「情熱の園」は14×10センチほどの小品ですが、エッジングで細かく描きこまれた線画。ちかよってみると、小さな人間みたいなものが描かれています。クレー流ミニチュール(細密画)でしょうか。
「アフロディテの解剖学」は2次元の表現で、円柱、円錐があでやかな色彩で描かれています。アフロディテは、ギリシャ神話の美、恋愛の女神ですが、その解剖学とは?なかなかなタイトルですね。
「パレッシオ・ヌア」は赤、青、グレーなどの矩形で構成された、色と形が織りなすクレーらしい作品です。

この「パウル・クレーに会おう」は、残念ながら本日で終了。第2部は「平福百穂を知っていますか」がはじまります。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2006/05/23

東京国立博物館、常設展の楽しみ

 この前の週末、中国の陶磁器をみに、東京国立博物館の東洋館に。このミュージアムは、4月から私の大学では常設展が無料でみられることになりました。今のところは、130円ですが、秋頃に400円に値上げされるようなので、うれしいことです。
 東洋館は、いついっても見入ってしまいますね。じっくりみているとあっというまに時間がたってしまいます。常設展のいいところは、写真を撮れること(フラッシュ、三脚を使わない条件ですが)。中国の陶磁器を、課題用に何枚も撮影。これは西洋美術館の常設も同じで、ロダンの彫刻、モネの絵画などを写真に納めることができます。

 現在、東洋館ではエトルリアの美術品が展示されています。これは、以前イタリア国立東洋術館より寄贈されたものを、期間限定で展示しているもの。紀元前8世紀、中央イタリアに現れたエトルリア人によって展開された独自の美術品をみることができます。色、文様が独特です。

Img_5196

 東京国立博物館の東洋館をみるだけでも、半日はかかりそう。いつかはじっくりと見にいきたいのものです。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2006/05/21

出光美術館の名品展 1

 出光美術館の「名品展Ⅰ」をみてきました。実は、大学の課題を書くために中国の陶磁器を見なくてはいけくなり、この美術展にかなりの作品が出展されているので、久しぶりに日比谷まで出かけてみました。
 
 Idemituこの「名品展」は出光美術館の開館40周年を記念し、春と秋の2回に分けて、美術館の所蔵する作品から選りすぐってみせてくれるもの。出展されているのは仏画、絵巻物、朝鮮陶磁、書、茶道具、中国絵画、室町屏風そして中国の陶磁です。日本美術のみものは国宝の「伴大納言絵巻」と古筆手鑑「見努世友」。室町時代の屏風は、どれも見事です。また同じ室町時代の雪舟の描いた「破墨山水図」は、墨でさらりと表現された山水図が、小品ながら魅力的。
 
 お目当ての中国陶磁器は、期待以上の作品が揃っていました。陶磁器が誕生する遙か前、殷時代の青銅器「饕餮紋か」(=とうつてつもんか・かの字が変換できません)は、根津美術館にあるものより小さい(高さ45センチほど)ですが、青銅器に作り込まれた文様が細かく、当事の技量の高さがわかる傑作。
「彩陶双耳壺」は仰韶文化時代の陶磁器・彩陶。文様のデザイン性が興味深く、その細かさに驚きます。日本でいえば縄文時代に、このような見事な陶磁器を作っていたことは驚きです。
 西晋時代の古越磁「青磁神亭壺」は、上部に作り込まれた楼閣の細かな仕事に驚きます。東京国立博物館にある青磁神亭壺よりも細工が細かい傑作。
 また、景徳鎮窯の陶磁器も、どれもすばらしい名品揃い。

 日本と中国の作品が同じところに並べられちょっと頭が混乱しました。でも、展示されている品々は、どれも至宝の名品ばかり。みごたえたっぷりです。

| | コメント (6) | トラックバック (2)

2006/05/09

根津美術館のゆとり

 一昨日、東京・青山の根津美術館にいってきました。この日を最後に、改築のため3年半の休館です。尾形光琳の「燕子花図」を目当てに出掛けました。最終日といいながら、そんな混雑はしておらず、「燕子花図」などの屏風を堪能しました。燕子花の青も印象深かったですが、「吉野龍田図」(六曲屏風 一双)のあでやかさが、印象的。一双の右が薄紅色の桜の図、左が赤い紅葉の図、その見事な色彩の対比に、しばらく見とれてしまいました。

 根津美術館は、うちの墓のそばにあるのですが、なぜかあまり足を運ぶことはありません(墓参りには、年3,4回いっているのですが)。しかし、改築のためとはいえ、3年半も休館してしまうとは、なんとも余裕があるな、と思いました。
 この美術展、女房と一緒にいったのですが、観覧券が大人と大高学生(私は大学生です)のデザインが違うのです。これも余裕でしょうか。

Img_5119

 この美術館の創始者、根津嘉一郎さんは息子が通っている学校の創設者でもありました(いまごろ気づきました)。子供と一緒にいけばよかったと、ちょっと後悔した美術鑑賞でした。

| | コメント (5) | トラックバック (1)

2006/05/08

天台宗の美術に、ただ感嘆

 昨日で残念ながら終わってしまいましたが、上野の東京国立博物館で「最澄と天台宗の国宝」展を、駆け込みでみてきました。京都に引き続き、東京での展示が始まり、早く行かねばと思いつつ、ついに最終日の前日に会場へ。おまけに、まったく予習なしに鑑賞に臨むという無謀さです。開き直って、単純に展示されているものを楽しむことにしました。
 すごいですね。仏像、絵、書、工芸、どれもすばらしく、みていて飽きることがありません。国宝、重要文化財が目白押し。これだけまとまった天台宗の美術品がみられる機会は、めったにないかもしれません。
 特に仏像は、どれをみても心が和みます。その表情、姿勢、そして彫り込まれ、作り込まれた造形は、優雅で、力強さを感じました。
 
 膨大な展示作品の中で、気に入ったのは運慶・湛慶作 「梵天立像・帝釈天立像」。彩色された仏像の、繊細で優雅な姿に魅せられました。
 また、神仏習合思想で作られたとされる、一連の曼荼羅図は、ちょっと曼荼羅らしからぬ表現がおもしろいです。

 ともあれm日本人としては、もう少しこの分野のこと勉強せねば、反省した展覧会でした。

| | コメント (6) | トラックバック (1)

2006/05/07

西洋美術館のユビキタスを体験

 以前このブログで触れた「ウェル.con美術館」上野の国立西洋美術館で携帯端末での情報提供の実験が、この連休中に行われています。昨日、たまたま国立博物館にいったとき、西洋美術館の前を通りかかり、ちょうど借り出しができる時間帯だったので、試させてもらいました。
 
「ユビキタス・コミュニケーター(UC)」と呼ばれる携帯端末は、予想よりちょっと大きい。

Ubikitasu

 この端末で、美術館の前庭にあるロダンの3作品「カレーの市民」、「考える人」、「地獄の門」の前にたつと、映像+音声、文字+音声の情報がきいたり、みたりできるもの。情報は、作品の基本情報やエピソードで構成。映像は青柳館長により解説と作品を巡る映像(各1分くらい)が楽しめます。

 音声、映像で作品に関する情報を提供することはいいことだと思います。これまで漫然とみていた「カレーの市民」なども、情報があることで、見方が変わったりします。提供される情報は、ほどよい量と質で、使い勝手はよいように感じました。
 ただ、端末の出来はまだまだ。液晶画面が見にくく、明るい屋外では、ほとんど見えませんでした。また、端末はもう少しコンパクトなほうがいいでしょう。
 
 今後は、西洋美術館の常設展でもトライアルの予定があるようです。新たな試みが、改善、発展していくことを期待したいです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/05/06

戸栗美術館にみる「17世紀の伊万里焼」

 Toguri_2大学の科目で工芸論をとり、その課題のため伊万里焼のことを調べなくてはいけなくなりました。陶磁器のような工芸品は、上野の東京国立博物館にいくのが基本のようですが、渋谷にある戸栗美術館もかなりの陶磁器、とくに伊万里を所蔵しています。これまで訪れたことのない美術館なので、鑑賞をかねて出かけてみました。ちょうど「17世紀の伊万里焼」が開催されていて、伊万里焼の歴史を整理することができました。
 「古伊万里」からはじまり「藍九谷」、「古九谷」、「柿右衛門」そして「藍柿右衛門」といった各様式の磁器が、解説をつけられ展示されています。「藍九谷」や「藍柿右衛門」という様式は、はじめて知りました。 この企画展では、わかりやすい解説が、作品やコーナーに細かくつけられ、鑑賞者には親切な展示になっています。もちろん、展示されている陶磁器は、どれも一級品ばかり。伊万里焼の作風に、感心させられました。
 伊万里焼、陶磁器が好きな方には、おすすめの展覧会です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/05/02

「大正期の異色画家たち」の魅力

 江古田まで行ったので、久しぶりに練馬区立美術館を訪れてみました。昨秋の「佐伯祐三展」以来です。この美術館ではいま「大正期の異色画家たち」が開催されています。これは和歌山県立近代美術館所蔵の作品から、大正から昭和の初期に活躍した「異色」画家の作品をみせてくれるもの。
 西暦の年代でいうと、大正元年が1912年、昭和元年が1926年。西洋絵画は大きく変化、変貌を遂げた時です。キュビズム、フォービズム、シュルレアリスムと新しい美術様式が生まれた時代。西洋絵画の潮流をうけ、新しい画風、作品の制作に取り組んだ日本の画家たちを「異色画家」と表現しているように感じました。
 
 出展されているのは、日本画、油彩、版画、彫刻の4つのジャンルで、佐伯祐三、川口軌外、長谷川潔、東郷青児など私にも馴染みのある名前から、はじめて名前を知った画家まで40人以上。ほとんどが、初めて作品をみる画家です。 

 最初の日本画のパートでは野長瀬晩花の作品が、刺激的。「大原めと舞妓」(1916頃)は日本画の手法・材料(絹本着色)で描かれた作品ですが、その作風は明らかにマティスのよう。線をさらさらっと描き、書き込まない表現で二人の女性が描かれていて、ちょっと日本画とは感じられない作品。
 版画では、樋口五葉の「化粧の女」に魅せられます。女性が手鏡をもつ構図の浮世絵。喜多川歌麿の美人画を連想しますが、表現にどことなく近代を感じます。
 また、1914年に制作された田中恭吉の一連の版画は、女性をモティーフとして、内なる精神世界を表現しているように感じる作品。年代的にはシュルレアリスムが誕生するより前に、どうしてこのような作品をつくられたのか、画家の創作過程に興味が沸きます。
 油彩画では、佐伯祐三の作品が5点。いづれも昨年の佐伯回顧展に出展されていたものに再会できました。
 川口軌外の作品は、幻惑的ですね。好きなジャンルの作品で、じっくり見入ってしまいました。特に大作「少女と貝殻」(1934)は、象徴的に置かれた少女と貝殻、そこに差し込む光を、色彩と形で表現した作品。キュビズムの影響をうけているのでしょうか?もう少し川口のこと、勉強しないといけないです。

 20世紀前半、西洋絵画の変化と、その日本への影響を考えるには、とても有意義な展覧会だと思います。この時期の美術に興味がある人には必見です。
 

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2006/04/29

ウェル.com 美術館、って?

 昨日の日経新聞の夕刊に、「携帯端末で美術品と対話」と題されたコラム。これは上野の国立西洋美術館ではじめられた実験の紹介で、文庫本ほどの携帯端末で作品の基本データや、動画、音声での作品解説が呼び出せるもの。
 先日、発表された「ウェル.com 美術館」って、このことだったんですね。記者発表の記事みただけでは、なんのことやらよくわからなかったんですが、要は手元の端末で、作品の鑑賞をサポートするための、知識、情報を提供しようということ。この取り組み、青柳館長は、
「国立西洋美術館は面積あたりで計算すると、おそらく世界一の来館者数となる。これほどの効率化をしているので、来館者を増やすというより、来てくださった方々が、今まで以上の満足感を得られるようにやっていくことが目的」
といっています。
 とういうことは、ミュージアムでのCS(顧客満足度)を高めることが目的ということですね。考え方はいいことだと思います。企画展などでは、作品の解説が掲示されていることも多いですが、これが難しい文章が多い。私のような素人美術愛好家にとって、なんの知識もなく作品をみるより、情報があったほうが作品をより楽しめます。このシステムでは、できるだけ分かりやすい言葉、表現で作品解説がされることが重要でしょう。
 連休中に、希望者に携帯端末を貸しだしてくれます。試してみたいですね。

国立西洋美術館の関連ウェブ

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2006/04/17

ブリヂストン美術館、充実の企画展

 京橋のブリヂストン美術館で開催されている「雪舟からポロックまで」は、石橋財団50周年記念の企画展です。石橋財団で運営しているミュージアムは、ブリヂストン美術館と、久留米にある石橋美術館があり、通常は石橋の所蔵作品は、現地まで行かないとみられませんが、この企画展では、両美術館のコレクションを見せてくれます。
 展示された作品は、すごいものばかり。タイトルの「雪舟からポロックまで」にあるように、西洋絵画では、自然主義のコローから、印象主義のモネ、セザンヌ、ルノアール、そして20世紀の巨匠、ピカソ、マティス、そして現代美術のポロックまで。日本画では、11世紀の「古今和歌集巻 第一断簡 高野切」から雪舟、円山応挙など、名作がそろいます。
 
 気に入ったのは、やはりルノアール。パステルで描かれた「少女」は、ルノアールらしいふくよかな印象は薄く、ピュアーで、清楚な少女の像に、惹きつけられました。
 この春、話題の藤田嗣治は3作品が展示。「横たわる女と猫」は、乳白色の肌、墨色で細かに描かれた線は、まさに藤田作品そのもの。女の衣装とベッド、それぞれが繊細にかき分けられ、質感が見事です。
 また、「ドルドーニュの家」は、先日、仙台のカメイ記念展示館でみたものと、同じ意匠の作品です。細部は違っているはずなのですが、覚えていなく残念。絵葉書をかってきたので、カメイ記念展示館を再訪しようと思います。

「少女」と「ドルドーニュの家」
Brigdstone

 この企画展、時代、ジャンルなどがあまりに多岐にわたって、頭を整理するのが大変。なんとか冷静にみられたのは、ピカソ、マティスまででした。みたい作品を決めて、再訪したほうがよさそうです。


 

| | コメント (6) | トラックバック (1)

2006/04/16

銀座にて 2:「本の仕立屋さん」の仕事

 銀座にあるポーラ ミュージアムで「本の仕立屋さん」という企画展にいってきました。『仕立屋』という言葉、ちょっと懐かしい響きです。最近はあまり仕立て、という言葉はききません。
 この企画展、書籍の装丁デザイナーに焦点をあてたもの。会場では4人の装丁家の作品(書籍)が並べられ、その仕事をみることができます。
 本屋で、単行本を選ぶとき、まず気になるのが装丁。本の装丁、そして帯がすてきなデザインだとつい手に取ってします。装丁は、いわば本のお化粧、とでもいえば、言い過ぎでしょうか。
 本好きには、とても楽しい時間が過ごせる企画展です。

ポーラミュージアム「本の仕立屋さん」

| | コメント (4) | トラックバック (2)

2006/04/11

カメイ記念展示館にみる藤田嗣治

 仙台の駅から歩いて5分くらいのところにカメイ記念展示館があります。この展示館は仙台に本社があるカメイ(株)が母体の、いわゆる企業ミュージアムです。(運営はカメイ社会教育振興財団)前からいってみなくてはと思っていたのですが、やっと先週末に行ってきました。
 この記念館では、会社で収集した絵画を定期的に公開しています。この時期は「カメイコレクション秀作展」と題され、絵画や彫刻が50点近く展示されています。大半を占める油彩画は、収集した方の好みからか、すべて具象画。その中には、国内外の有名画家の作品もあります。
 まずは、この春話題の藤田嗣治。展示されているのは2作品。ひとつは1952年の「アルジェリアの子供達」。二人の子供と、その後ろに大人が4人。この時期の藤田らしい、大人みたな顔つきの子供の表情が、独特の魅力。
 もう一枚の藤田作品は「ドルドーニュの家」(1940)。藤田の住まいを描いたものらしいのですが、黒、茶、白とほとんどモノトーンで描かれた室内風景。藤田の特徴である細かい線描はなく、ラフなタッチの作品です。

 藤田以外には、安井曾太郎、東郷青児、加山又造、小磯良平など、いわゆる有名画家の絵が並びます。また、海外の画家では、ヴラマンク、ローランサン、デフュイの作品も。 ヴラマンクの「風景」(1940)は、日の陰りを感じさせる時間に、一軒家を描いた寂寥感のただよう一枚。

 日曜の午後に訪れたのですが、お客さんはひとりもいません(私が入っていったら、館内の照明をつけてました)。せっかくの名画たちも、寂しそうでした。

カメイ記念展示ウェブ

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2006/04/09

宮城県美術館で、クレーに会おう

 Img_5015 昨日から仙台の宮城県美術館で「コレクションの四半世紀」展がはじまりました。宮城県美術館は今年で開館25周年を迎えます。これを機にミュージアムの全館をつかってコレクションを見せる特別展が、2回企画されています。
 まず第1部として「パウル・クレーに会おう」が開催されています。この美術館は国内でも有数のクレー作品を保有しています。また、併せてクレーが生きた時代、「ドイツ表現主義」の画家たち;カンディンスキー、キルヒナー、ココシュカ、ヘッケル、マルクなどの作品も展示されています。クレー作品は4月が前期、5月を後期に分け、展示替えをしながら、計18点が展示されます。第1期では、淡く美しい色と、細い線描で描かれた小品「金色の縁のあるミニチュアール」(1916)や赤、オレンジ、黒、水色の矩形と円が織りなすシンプルな「橋の傍らの三件の家」(1922)がとくに印象に残ります。
 また、ヴァシリー・カンディンスキーは、抽象表現に到達する以前の傑作「商人たちの到着」や「水門」が展示されています。
 表現主義の時代の作品は、クレー、カンディンスキーを含め、理解するのが難しい。素人美術愛好家にとっては、とても手強いです。

 この「コレクションの四半世紀」では表現主義以外にも、国内近代絵画、現代美術、そして佐藤忠良作品が展示されています。ボリュームがあり、見ごたえがあります。何回も足を運びたい美術展です。

なお、パウル・クレーの出展作品リストは、以下のブログに記載してあります。

sendai art crossing

| | コメント (4) | トラックバック (1)

2006/04/04

藤田嗣治:多彩な絵画世界

 やられました、レオナール・フジタに。すごいです、フジタの世界。
 Img_4990きのう、休みをとって「藤田嗣治展」へ。藤田の天賦の才能を十分に感じられる充実した回顧展でした。

 会場で、作品の前でじっと立ち尽くし、そこから暫し離れなくなることが、たびたびありました。特に印象に残った作品について、感想を書いてみます。

 藤田30代前半の作品「幻想風景」。エコール・ド・パリの時代、まだ藤田が作風を模索している時代の作品ですが、キャンバスに描かれたひょろ長い5人の女性が、私が持っていた藤田の女性像とは違った奇妙な印象を与えてくれます。
 
 藤田といえば、裸婦のイメージ。「横たわる裸婦」の前に立ったとき、まさにそこに裸婦がいるような錯覚に陥りました。肌の色とそこに描かれた唇と乳首のピンク、そして背景に塗られた黒。ほとんどこれだけの色づかいなのに、女性が目の前にいるような存在感はすごいです。この作品をふまえ、翌年に描かれた「五人の裸婦」は、幻想的ともいえる女性像で、背景がディテールまで細かに描かれ、圧倒的な存在感です。

 藤田の作品でキリストの絵画表現も大きなテーマ。ひろしま美術館が所蔵する「十字架降下」は,中世以来、西洋絵画の必須ともいうべきテーマのひとつ『十字架降下』を、藤田の解釈で描いた傑作でしょう。絵には日本固有の表現材料である金箔が大胆に使われています。ここに、日本人藤田としての、創作への強いこだわりを感じます。

 1930年代、藤田が中南米に旅して、それまでの作風と違った作品を描いています。この時期の作品は、私はあまり好きではありません。フジタの繊細さ、ナイーブさが感じられないからです。その中では、「狐を売る男」は水彩で描かれ、藤田らしさが表現された佳作です。同じ時期に日本国内で描かれた作品では、沖縄に滞在しての作品「孫」の色彩感、構図に惹かれます。

 戦時に描かれた「アッツ島玉砕」。なんとも言葉にしようがありません。藤田が戦争絵画を描いた経緯、心情は、他人がとやかく言うものではないと、私は思っています。

 フランスへ再び戻った藤田の作品は、画家というより、イラストレーター、デザイナー的です。奇妙な動物たちの姿を表現した「動物宴」は、みているうちに、日本、平安時代の『鳥獣戯画』の作品世界を連想してしまいました。
 
 この展覧会をみて、これまでは藤田のほんの一部しかみていなかったことを痛感しました。藤田の絵画世界は、とても深そうです。機会を作って、再訪したいと思います。

| | コメント (20) | トラックバック (15)

2006/04/02

長谷川町子美術館で、最高の花見

 東京は桜が満開。花見をかねて、女房と桜新町の長谷川町子美術館に出かけてみました。この長谷川町子美術館を訪れるは、何年ぶりでしょうか。満開の桜並木に沿い、美術館の赤い煉瓦の建物があります。

Hasegawamachiko

 館内に入り、展示品をみてはじめて気付いたのですが、長谷川町子さんが亡くなったあとも美術館では新しい作品を購入しているんですね。長谷川町子さんのコレクションだけを公開している美術館だと思いこんでいました。町子さんのお姉さんの毬子さんがまだ館長をされていて、作品を購入しています。例えば一階展示室にある千住博さんの幽玄なる「ウォーターフォール」は一昨年の作品。

 この時期は「春爛漫」と題された企画展が開催されています。いちばん印象に残るのは三栖右嗣(みすゆうじ)さんの500号の大作「爛漫」。有名な福島・三春滝桜を、あでやかな色彩で描いた力作です。あわせて「水辺爛漫」(盛岡市内の米内の桜)、「桜の径」(これも三春の桜)が展示され、華やかな桜が広がります。
 満開の桜に囲まれた美術館で、美しい桜の作品をみて、春爛漫を堪能しました。

| | コメント (5) | トラックバック (0)

2006/03/27

豊麗な宮本三郎の女性像

 この週末は東京に帰ったのですが、大学の課題が終わらず、家にこもりっきり。見たかった長谷川潔も、町田久美さんもついに見逃しました(泣)。なんとか、時間をつくって東京宅から歩いていける宮本三郎記念美術館に行きました。ここでは、ちょうど「宮本三郎の描いた女性像 豊麗なる絵画世界」が開催されていて、最終日でした。 
 この企画では宮本の描いた女性像を、10代の作品から、69歳での絶筆となった作品まで37点が出展されています。宮本の絵を年代を追ってみていくと、作風が変わっていくさまが、興味深いです。
 若き10代の作品「婦人像」は印象主義の影響が色濃い作品。「婦女三容」(小松市立宮本三郎美術館蔵)は、全体が淡いトーンで描かれ、絵からは安井曾太郎作品から受けるものと同じもの(曖昧な表現ですが)を感じました。
 宮本が30代、40代に描かれた一連の裸婦作品は、暗色を基本として描かれています。「不詳」は、暗い肌色で塗られた裸婦が、独特の存在感です。
 宮本の50代の作品は、厚く塗られた油絵の具が特徴的。描かれた女性に瞳が、どれも大きく印象的です。
 晩年、60代は、幻想的な世界の作品が、多く描かれています。色合いは、華やかになり、赤、ピンク、青などあでやかな表現で、宮本は新たな作品をつくりだします。絶筆となった「假眠」は、横たわる裸婦のまわりを、子供の人形がとりかかこむ、ちょっと不気味な幻想世界が、あでやかな赤をつかって描かれています。
 日曜の午後ながら、会場では貸し切り状態で、宮本作品を堪能しました。来月からは、また違ったテーマで、展示が行われます。また、訪れたいと思います。


「假眠」(上)と「婦女三容」
miyamoto

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/03/23

福島県立美術館の常設展示

「名取洋之助と日本工房」を福島県立美術館でみたあと、常設展示に。ここの所蔵品は、現代日本の工芸、近代日本洋画、20世紀のアメリカ絵画などが中心。アメリカ絵画では、アンドリュー・ワイエス、ベン・シャーンを所蔵。
 今は、ピカソ、ルオー、シャガールの版画が展示されています。ピカソは「二人の裸婦」と題された作品が9点出ていますが、その画風の変遷が面白い。ルオーは、版画でも太い輪郭と、赤を印象的につかった”ルオー様式”で、小品ながら、魅力的。
 また近代日本絵画では、安井曾太郎の「ターブルの上」は20代前半の作品。まだ安井様式を確立する以前か、ゼザンヌの影響が色濃く感じられます。
 展示されていない所蔵品にも、みたい作品がたくさんあります。機会をつくってまたみにいかなければ、と痛感しました。

福島県立美術館ウェブ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/03/22

名取洋之助の真価をみる展覧会

 IMG_4933 週末、福島県立美術館までいってきました。昨年のポール・デルボー展以来、久しぶりです。お目当ては「名取洋之助と日本工房:報道写真とグラフィック・デザインの青春時代」です。写真家の名取の作品は、ほとんどみたことがないんで、福島まで出かけてみました。
 この企画は、名取が昭和8年に結成した写真とデザインの制作工房「日本工房」の活動を中心に、名取の戦前、戦中の足跡をたどるもの。展示をみて感じたのは、名取は写真家というより、プロデューサーだった、とういこと。もちろん、写真家としての作品はすばらしいのですが、創作集団、「日本工房」の刊行した雑誌『NIPPON』の独創性は、大いに注目すべきです。この雑誌は、英独仏西の4カ国語で書かれた、日本紹介のグラフ誌。表紙のデザインセンス、いまの時代でも決して古くない高い質感を示しています。
 展示は、『NIPPON』を中心に、写真をはじめ、書籍、印刷物、ポスターなど、かなりのボリュームです。名取を師とした土門拳の作品も展示されています。土門の写真はすごいです。考え抜かれたような、隙のない構図に唸らされます。
 太平洋戦争を経る時代、これだけレベルの高いグラフィックデザインがあったとは、ちょっと驚きでした。現代のグラフィックデザインの原点をみた、見応えのある企画です。

IMG_4935
 
※7月から川崎市民ミュージアムなどに巡回します。

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2006/03/12

ロダンとカリエール、新しい出会い

 上野の森、西洋美術館ではじまったロダンとカリエール』を家族とみにいってきました。近代彫刻の父と呼ばれるロダン、マティスやドランの師であるカリエール。交流が深かった二人の作品を比較し、アーティストの感覚、思想性の共通点を探ろうとする、意欲的な企画です。
  rodin ロダンは「考える人」があまりに有名、西洋美術館でも「地獄の門」など多くのコレクションを保有。一方、カリエールはこの美術館のコレクションで、その作品をみたくらいです。昨年開催された『プーシキン美術館展』に「母の接吻」が出展されていましたが、なぜか印象に残っていません。(一緒にみにいった女房が、しっかり覚えていました)その作品は、ほとんどモノトーンとも見える彩色表現と、全体に霧がかかったような描写で、幻想的な世界が広がります。展覧会は全体を5つのゾーン(章)に分け、約140点が展開され、綿密に準備された展示構成です。
 
 私のロダンのイメージは、ダイナミックかつ、精緻に造られたブロンズ像ですが、『ロダンとカリエールをめぐる人々の肖像』のゾーンでの肖像彫刻は興味ふかいものがありました。テラコッタ(赤色粘土)を素材につかった「ジョルジュ・クレマンソー」の肖像は、ロダン彫刻の多様性を感じさせてくれます。同じゾーンにあるカリエールの「ギュスターヴ・ジェフロワ氏の肖像」は、見つめられているような目と、ちょっと不自然な組み方をした手が印象的な肖像画。
『ロダンとカリエールにおける象徴主義』のゾーンでのロダン作品は刺激的です。人物を量魂(マッス)でつくる表現が、新鮮です。大きな大理石の塊から切り出し、彫りだしたような作品は、すごく迫力と存在感があります。「母親と死んだ娘」は、その母の眠るような表情が、魅せられてしまいます。同じゾーンにあるカリエールの「母性」。娘に接吻をする母の姿が、輝いてみえるすてきな作品。
『ロダンとカリエールを結ぶ糸』のゾーンでは、特にこの展覧会のひとつのテーマである「手」の素描や習作がいくつか展示されています。二人が手の表現にこだわった意味は、残念ながらわかりませんでした。 ここではカリエールの「浴後」がおもしろい。本来の『カリエール様式』から離れて、印象主義作品を思わせる表現で、裸婦を描いていて、女性のなまめかしさを感じます。

 この展覧会をみて痛感したのは、ロダン、カリエールに対する知識のなさ。内容はかなり深いものがあり、もっと予習していけば、更に作品を楽しめたなと思いました。東京展のあとはオルセー美術館に巡回するというこの企画、時間をつくり、準備して再訪したいと思います。

| | コメント (12) | トラックバック (8)

2006/03/07

よみがえる源氏物語絵巻の世界

 毎年春に、東京・五島美術館で国宝「源氏物語絵巻」が公開されます。昨年、この絵巻を見にいきましたが、(→以前の記事)遙か昔、平安時代につくられた源氏物語の世界に魅了されました。ただ作品は、変色、剥落があり、制作当時の華やかな絵巻の世界は、想像のなかで形作るしかありません。
 この絵巻の世界が、最新の解析技術と、素晴らしい画家の技量によって復元されました。NHKでドキュメンタリー番組として放映されたときから公開を楽しみにしていたのですが、五島美術館の「よみがえる源氏物語絵巻」でみることができます。
 この企画では、展示に工夫が凝らされています。原本のデジタル出力の絵と、復元された絵巻、そして、1958〜63年にかけてつくられた徳川美術館・桜井清香による復元模本の3点が並べて展示されています。

 復元作品、あでやかで、華やかで、そして艶やかに描かれています。なんとも美しい平安絵巻の世界が広がり、素晴らしいとしかいいようがありません。作品を見ながら、私の知識が貧弱なせいで、「源氏物語」世界の理解が不十分、絵巻の価値の一部しかわかっていないことを実感しました。
 また驚いたのは、桜井清香による復元模本。現代のような解析技術もない時代にもかかわらず、素晴らしい模本をつくっています。
 まだまだ不明なことが多い、「源氏物語絵巻」の制作過程ですが、この復元作業により、作品解明の新たな道が開かれることでしょう。
 膨大な復元作業と、完成された作品は、大いに賞賛されていいと思います。
 
IMG_4860

| | コメント (2) | トラックバック (2)

2006/02/28

素晴らしき「美の伝統展」

 ぜひいきたいと思いつつ、なかなか足を運べなかった「大いなる遺産 美の伝統展」をみてきました。最終日の午後でしたが、生憎の朝から雨のためか、思ったほどは混雑していませんでした。binodentou

「美術商の100年」と副題がつけられたこの美術展は、美術商の団体・東京美術倶楽部が設立100年を記念して行われたものです。会場は新橋にある東京美術倶楽部「東美アートフォーラム」です。この企画では、美術商たちが美術館、博物館、コレクターなどから集めた逸品、名品が展示されています。

 なんとも見事な作品が揃っています。明治以来の日本画家の傑作、隠れた名作の数々。朝鮮、中国の陶磁器。そして近代工芸の名品。さらには国宝を中心とする古美術まで、どれも一級品ばかりです。素人美術愛好家の私には、名前は知っているが、その作品は見たことがない、という画家、作家の作品が多くあり、とても勉強になります。

 どの作品も素晴らしいのですが、特に気に入った作品について触れてみます。
 まずは上村松園「櫛」。櫛を小道具として女性を描く手法は喜多川歌麿の浮世絵を思わせますが、歌麿浮世絵とは違った女性のあでやかさが感じられます。
 また、伊東深水の「通り雨」、その描かれた女性の美しさ、艶やかさにぞくぞくしてきます。西洋絵画で、ここまで艶のある女性を描けるのかな、と思ってしまう名品です。
 近代絵画では、松本竣介の「都会」は、赤、緑、黄の彩色で描かれた人物像が不思議な雰囲気をつくり出します。ちょっとキュビズム的なものを感じました。
 藤田嗣治の「私の夢」は、裸婦とまわりを囲む動物たちの構図に、ちょっと恐ろしいものを感じながら、やはり藤田らしいな、と思わせてくれる傑作です。

 朝鮮の青磁や、中国の磁器の数々は、どれも一級品でみていて飽きません。色、造形、技法、どれをとっても素晴らしいものばかりです。
 また、池大雅の「離合山水図屏風」は、省略されたような描写ながら、雄大な風景をつくり出しています。みていて気持ちがよくなってきます。
 工芸では富本憲吉の「色絵飾箱」の色鮮やかさに惹かれました。

 これだけの名品をまとまってみられる機会は、ほとんどないのでは。選りすぐった日本の美術品。どれも素晴らしく、堪能しました。

| | コメント (26) | トラックバック (7)

2006/02/26

黒色の存在感:須田国太郎展

 油彩での黒色を、ここまで意識させられた画家は、初めてかもしれません。東京・竹橋の国立近代美術館で「須田国太郎展」をみてきました。須田の作品をまとめてみるのは初めてです。
 須田は28歳の時(1919年)から4年間、スペインのマドリッドを拠点として、絵画を独学で学びました。学生時代から「なぜ東洋西洋と違った方向に向いて絵が発達したのだろう」と考えていた須田は、バロック絵画の色彩の明暗対比にひかれていたといいます。 須田の多くの作品では、黒色が重要な色として使われています。黒色のもつイメージは、人それぞれでしょうが、一般的には「暗い」「重い」などネガティブな印象をもたれがちです。しかし須田は、黒という色に積極的な意味を見いだし、この色を多用していたように思えます。須田の作品をみていると、黒は、どんな色とも強い関係を保ち、意味を持ち得る色なのだ、と感じました。
 セザンヌの構想が意識されたとされる「水浴」。そこに描かれた女性たちは、セザンヌ絵画とは違った生命力を感じます。暗色が引き出す女性の肌色に、沸き上がるような力を感じます。
「夏の朝」「夏の午後」「夏の夕」の3部作は、印象派の影響が色濃く感じられる手法ですが、黒などの暗色が、より他の色をひきたさせています。
「冬」は、ほとんど黒だけで木々を描き、須田の絵をつくろうとする力に、おもわず後ずさりしてしまうような恐ろしい迫力をもっています。
「断崖と漁夫達」は、男達の白い服、肌色と、背景の暗色の対比が鮮やかな作品。画面の多くを暗色がしめながら、沈んだ絵にならず、人物が逆に生き生きとしています。

suda

 須田の作品と向き合いながら、黒色のもつ意味をずっと考えていました。須田より7歳年下ながら夭逝した佐伯祐三も、黒、暗色を多く使った画家です。須田と佐伯、それぞれの黒の意味を考えてみないといけないな、とも思いました。

| | コメント (4) | トラックバック (6)

2006/02/21

確固たるスタイルに魅せられる前川國男展

 私事ですが、母の知り合いの方が、前川國男さんの設計事務所で仕事をされていました。もうかなり前のことですが、その方の東京・桜新町にあるお宅に何回かお邪魔しましたが、かなり個性的な家だったことが記憶にあります。東京ステーションギャラリーで「前川圀男建築展」をみてきました。建築にはまったく素人ですが、前川の作品にふれ、確固たるスタイルに魅せられました。
 前川の作品には、いくつかの主張が感じられます。それは前川のスタイルといっていかもしれません。
IMG_4797まず、直線の主張。建物で、柱、梁、窓、階段などが強調されて設計されていて、曲線より、直線のイメージがつよく感じられます。
 また、前川の作品は、その外壁が特徴的。特に「打ち込みタイル工法」を考案してからは、外壁にどんなタイルや煉瓦を使うかにこだわったように感じました。どの建物も外壁が強く主張しています。
 さらに、建物に作り出された空間も、独自の存在感が感じられます。うまく表現できないのですが、最近の建物でありがちな単なる吹き抜けではない、空気感のある空間がつくられ主張しています。
 仙台の宮城県美術館も前川の設計です。81年の完成ですから、前川晩年の作品。美術館に入り、2階の企画展示室へと、階段であがっていくときの気分は、ほかの美術館では決して味わえないすてきな感覚です。前川の設計のすごさでしょう。
 独自のスタイルを持ち続けた前川の設計にふれることのできる、すばらしい企画展です。

| | コメント (4) | トラックバック (6)

2006/02/19

パウル・クレーの線と色彩

klee380昨年スイス・ベルンにパウル・クレー・センターが開館。そこには4000点ものクレーの作品が収められています。開館記念として、大丸ミュージアム・東京で「パウル・クレー展」が開催されています。招待券をもらったので、昨日いってきました。この企画では60点ほどのクレーの作品が時系列に並び、クレーの画業が俯瞰できる構成をとっています。

クレーといえば、美しい色彩と線描で独自の作品をつくっているイメージがありました。しかし、ここでは、私が持っていたイメージとはちょっと違った作品も多く見ることができました。
フランスのアンソロジー『カンディード』の挿画。繊細な線画で描かれた人物像は、崩れたフォルムながら魅力のある絵です。線にこだわったクレーらしい作品といっていいのではないでしょうか。
一般的に、クレーがクレーになったといわれるチュニジアへの旅での作品は、色と形で風景を表現しています。そのなかでも「山腹」は気に入りました。水彩で、厚紙に、きれいな色と形で描かれた風景に魅せられます。
「眼」は麻布にパステルで描かれたもので、タイトル通り、大きな眼に惹きつけられます。絵を見ているうちに、自分の心の中を覗かれているような気分になってきました。不思議です。
細い線で細かく描かれた「オルフェイスの庭」は、立体感を感じさせながら、絵を見ているうちに異次元空間にいるような感覚にとらわれます。
交差する線の作り出す細かい領域でつくられる「喪に服して」。この絵をみていたら、全然違う手法なのですが、リキテンシュタインの網点描写手法を連想してしまいました。

作品数がちょっと少なく、物足りない感もありましたが、クレーの創作過程は理解できる、充実した美術展です。

| | コメント (14) | トラックバック (6)

2006/02/14

わざわざ訪れたい宮城県美術館の常設展

宮城県美術館に「彫刻家が描く:佐藤忠良の絵本絵画」を見にいった際、まずは常設展を鑑賞しました。時間があるときは、常設展→企画展の順でみることにしています。今の常設展は先月から展示替えをしたものです。
最初の展示は「洲之内コレクション」。展示替えしながらも、海老原喜之助の「ポワソニエール」はみることがでます。次の展示は、以前は最後に展示してあった海外作品。もちろんカンディンスキーの「商人たちの到着」は展示されています。この海外コーナーは『世紀末の版画』が小特集。ミシャの一連の多色石版が印象的です。
年代別に展示されている国内の絵画では、『80年代の絵画』が見物です。李禹煥の「線より」(1980)は、アイボリーのキャンバスに、下から上へ描かれた青い線の連続が存在感を示す作品。百瀬寿の「十本の帯、パールイエローからイエロー」(1988)は、タイトルが示すように、10本の帯で表現されたされた色が、グラデーションにように連続し、みていると心地よくなってくる作品。

今回の常設展の特集は『反芸術の作家たち』。1960年前後に読売アンデパンダン展を発表の場として創作活動をはじめ、その後も革新的な作品を発表してきた作家たちの作品を展示。当時、前衛と呼ばれた作家たちです。荒川修作の「惑星に乗ったトンボー氏」は、セメントで作られた奇怪な固まりが、木の箱に納められた不思議なる作品。秋山祐徳太子の作品もあります。「タートル・ブルー・エンペラー」はトタンで作られた彫像。生きているよな錯覚を起こす存在感です。篠原有司男の「おいらん」は、鮮やかな蛍光色で描かれた面と線が作り出す、現像的な世界です。

宮城県美の所蔵品の幅広さを知り、充分楽しめた常設展です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/02/13

佐藤忠良の描く絵本絵画

昨日、宮城県美術館で「彫刻家が描く:佐藤忠良の絵本絵画」展を見てきました。宮城県美術館には「佐藤忠良記念館」があり、地元宮城出身の作家の彫刻が、常時展示されています。この企画展では、佐藤が描いた絵本の挿画の原画を約200点展示。絵本が有名な「おおきなかぶ」など、どれも彫刻家佐藤の違う創作を見られる興味深いものです。
IMG_4759展示されている作品は、細やかで、的確な描写で、絵本の物語が想像できる素敵な絵ばかりです。佐藤の彫刻は、女性や子供を主なモチーフとして、肉体の美しさや、生命力を表現した作品が特徴的。その彫刻に比べて、この絵本絵画は、より細やかで、控えめな表現が印象に残ります。

宮城県美の所蔵品でみせるこの企画は、意欲的なものだと思います。ただ、ちょっと美術展らしい展示にこだわりすぎた感があります。たとえば、原画が使われた実際の絵本などをあわせて展示するとか、子供づれの家族が気軽に楽しみながら見られる工夫があれば、もっとよかったと思います。

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2006/02/11

仙台市博物館の「三の丸ボックス」

昨日は仙台城址あたりで仕事。昼時になり、食事をしに、仙台市博物館の中にあり「レストラン三の丸」にいってみました。「三の丸」とは、博物館が仙台城の三に丸跡に位置することからつけられたようです。このレストラン、博物館の2階にあり、窓からの眺めは仙台市街が広がり、素敵です。
メニューに「三の丸ボックス」というのがあり、ちょっとかわいいネーミングにひかれ、頼んでみました。

IMG_4746

塗りの器の入っているのは、サラダ、豚生姜焼きがのったご飯、海老フライとポテトサラダ。味噌汁つき。なかなかボリュームがある洋風お弁当です。これで1000円。
わざわざ足を運んでも、損はなさそうです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/01/31

堂本尚郎の織りなす色と形の世界

世田谷美術館で開催されている「堂本尚郎展」を見てきました。副題に「絵画探求60年の足跡とその未来」とつけられ、堂本の画業を振り返る本格的な回顧展です。
堂本の作品をまとめてみるのは初めてですが、色、形の織りなす世界に魅了されました。展示された作品は、初期の日本画作品以外はすべて『抽象絵画』に属する作品です。
 展覧会は年代に沿って、6つのパートに分けられ作品が展示されています。抽象絵画を言葉で表現することは難しいのですが、堂本の作品は、現実世界を、図形と鮮やかな色彩で描いた絵画といっていいのではないでしょうか。作風は、年代を追って変貌していますが、基本たる創作表現は変わっていないように思えます。
 フランスに渡った20代の作品は、キャンバスに厚い油彩を塗り、そのボリューム感と絵の具の色彩に引きつけられます。
 そのあと「連続の溶解」と名付けられた一連の作品では、更に色彩表現に重点が置かれているようです。例えば63年の「連続の溶解 1963-58」はカンバスに油彩と金箔を使って制作され、独自の色彩世界をつくっています。
 60年代後半から、その色彩表現は更に力を持ちます。78年の大作「宇宙」は、そのあでやかな色彩で、絵を見ているとなにか幸せな気分になりました。
 また「臨界」と題された作品群は、規則的に並ぶ図形と、青、ピンク、黄色などの明るい色彩で、絵画との会話が弾みます。

 IMG_4685堂本は50年代のフランスでの美術運動「アンフォルメル」の中心として活躍した画家。作品をみていると、20世紀初頭の様々な美術運動、主義の影響を感じます。キュビズム、ドイツ表現主義、シュルレアリスム(オートマティスム手法)など。また作品で多用されている絵の具を垂らす手法は、抽象表現主義でのアクションペインティング、ドリッピング技法です。堂本は、まさしく20世紀の美術を体現している画家かもしれません。

| | コメント (6) | トラックバック (3)

2006/01/30

見ごたえあるブリジストン美術館の常設展

東博で「書の至宝」を見たあと、久しぶりに東京・京橋のブリジストン美術館にいってみました。ここは日曜、祝日以外は夜の8時まで開館していて、親切です。
今、常設展で「印象派と20世紀の美術」を開催しています。美術ファンにとっては、まさしく正統派ともいえる企画です。これ、見ごたえ充分です。17世紀のレンブラントから、印象派、後期印象派、そしてマティス、ピカソの20世紀美術まで、西洋絵画が100点近く展示されています。
 その中でも、マティス、ピカソはすてきな作品が出ています。マティスの「青い胴着の女」は、不思議な魅力の作品。赤い椅子に座る女性の、赤いパンツにピンク色に描かれた肌が鮮やな印象を与えてくれます。
 ピカソは「腕を組んですわるサンタンバンク」は繊細な描写に引きつけられます。紫の椅子に座る女性。鮮やかな赤の衣装との対比が印象的です。
 また、西洋絵画に加えて、安井曾太郎、藤田嗣治など日本の近代絵画も展示されています。特に藤田の「猫のいる静物」は、静物の繊細すぎる描写をみていると、ちょっと空恐ろしい気持ちになってくる作品です。
 土曜日の夕方に訪れたのですが、来場者は多くなく、ゆったり見られました。これだけの名画を、常設展で堪能できて、すてきな気分になりました。

今年のブリジストン美術館のカレンダー:1月はピカソ「腕を組んですわるサンタンバンク」
picaso_ishibashi


| | コメント (4) | トラックバック (2)

2006/01/29

日本と中国の名筆に出会える「書の至宝」

syonoshihou書の作品を見る機会は、そう多くありません。書に詳しくないので(というよりほとんど無知状態)、まず見にいくことはありません。そんな私ながら、東京国立博物館の「書の至宝;日本と中国」をみてきました。この企画は日中の歴史上の名筆を200点近くも集めたもの。中国の王羲之(おうぎし)、欧陽詢(おうようじゅん)、虞世南(ぐせいなん)、蘇軾(そしょく)、米芾(べいふつ)、趙孟頫(ちょうもうふ)など中国美術史上の蒼々たる書家の書が展示されているのに興味をもち、出かけてみました。書はまったく知識がないので、素人な感想を。

会場に入ると中国歴史上最古の王朝・殷時代の甲骨文を刻んだ碑があります。甲骨文の実物、初めてみました。造形としては、ほとんど象形文字です。この甲骨文で、政治の重要事項を決めていたんですね。どんな意味のことが書いてあるのかわかりせんが、不思議です。
中国パートの最大の見物は、王羲之の作品。作品といっても王羲之は真筆は残っていないとされています。出展されているのは双鉤填墨(そうこうてんぼく)といわれる中国の謄写方式で写し取られた作品や、刻本(印刷物ですね)で、王羲之の筆がみられます。双鉤填墨の有名な「喪乱帖」は残念ながら展示が終わっていましたが、「妹至帖」は見事です。刻本では「淳化閣帖」「蘭亭序」で書風をうかがいしることができます。行書を確立したといわれる王義之の書は、みていて引きこまれる力をもった筆致です。

日本の書では、聖徳太子の写経「法華義疏巻」が面白い。すごく個性的な書です。ちょっと丸みがあり、行書とも楷書とも違う独特の文字です。(ちなみにこの書、所蔵が御物となっています。これは正倉院の保有ということでしょうか?)
日本の書は、仮名文字を表現することで、書の独創性を確立したように思えます。意匠が凝らされた料紙と、そこに書かれた文字、そして空白が織りなす美が、素敵です。

時間的にさらっとみられると思って、3時半から見始めたのですが、甘かった。じっくり見ると、2時間以上はかかる質と量です。おまけに、予想以上に大混雑でした。会場には書道ファンらしい年配の方が多かったですが、若い来場者も目立ちました。書の世界の奥深さを感じた展覧会でした。おすすめです。

| | コメント (8) | トラックバック (2)

2006/01/09

素敵な西洋美術館の常設展示

kangaeruhito東京芸大の図書館にいった帰り、久しぶりに西洋美術館によってみました。ここは美術ファンならご存じでしょうが、「松方コレクション」がその基礎になっています。美術館の前庭にはロダンの彫刻が置かれています。有名な「考える人」や、大きな傑作「地獄の門」があります。この彫刻、ロダンの真作だと知らない人、意外と多いのででは)(女房もそうでした)。ここだけでも充分、鑑賞の価値があります。
館内の常設展示も、久しぶりみたのですが、とても充実しています。ちょっとした美術館の企画展よりずっと見ごたえがあることを、再認識しました。17世紀以前にイタリア絵画から、印象派のルノアール、モネを経てから20世紀の抽象表現主義のポロックまで、絵画史を俯瞰するような作品が並んでいます。とても、短時間ではみられません。

ここにはルノアールが3点あるのですが、どの作品もいいです。特に「帽子の女」は魅力的です。女性のしばらく作品の前から離れなくなってしまいました。
白いドレスをまとった女性の、なにかを見つめるような表情。青、赤、黄色で構成された背景。そして女性がかぶっている白い帽子の、存在感。絵からはルノアールらしいふくよかさが感じられる素晴らしい作品です。

館内は来場者も多くなく、ゆったりと鑑賞できました。たまには、常設展を見にいくのもいいですね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/01/04

博物館に初もうで

東京のいくつかの公立博物館や美術館は、正月2日から開館しています。東京国立博物館は「博物館に初もうで」と題し、お正月のイベントをやっているので、みてきました。taiko

本館(日本ギャラリー)では、「犬と吉祥の美術」と題された特別展示が行われています。今年の干支の戌(犬)を描いた作品と、吉祥をモチーフにした作品を集めています。古墳時代の埴輪犬から江戸時代の絵画、明治時代の見事な打掛まで51点。中でも円山応挙の「朝顔狗子図杉戸」はちょっと太めの犬がかわいいです。
東洋館でも中国の吉祥図と、朝鮮の吉祥になんだ漆工・陶磁などを展示。ここでは、中国の清時代の「花卉図」が見事です。華やかな色合いに魅せられる作品。また、明時代・景徳鎮窯の「黄地緑彩寿桃文角皿」は小品ながら黄と緑の色が鮮やかな作品です。

博物館内では和太鼓の演奏、獅子舞、クラリネットコンサートなどいくつものイベントが行われていました。来場者も多く、外人さんの姿もみかけました。この新春を飾る博物館の企画、いいと思いますね。
正月から、吉祥図をいくつもみて、今年は縁起がよさそうです。

tokyo_musuem


| | コメント (18) | トラックバック (8)

2005/12/27

19世紀名画との出会い:スコットランド美術館展

IMG_4440一昨日で終わってしまいましたが、最終日に「スコットランド国立美術館展」(ザ・ミュージアム)を見てきました。この美術展では、バルビゾン派、写実主義から印象派までのフランス絵画。イギリスのラファエロ前派、そしてスコットランドの画家など、95点をみせてくれます。時代でいえば19世紀の中頃から、20世紀直前までの作品が大半を占めます。全体的には、オーソドックスな作品が多く、風景画、人物画などゆったりと楽しみました。
いいな、と思った作品は何点もありました。クールベの「峡谷の川」は、色彩の使い方に魅せられます。川の青、山の青、空の青、それぞれ違った青色で描かれ、そこに木々の緑が置かれ、独特の色彩世界を創りだしています。写実主義のクールベが、こんなタッチの絵を描いていたなんて、知りませんでした。
モネの「積み藁、雪の効果」は、ちょっと幻想的な作品。藁の背景が、クリーム、白、ブルー、ピンクと塗り分けられ、絵をみていると妙に心がやすらぎます。
ドガの「開演前」は、ドガお得意の踊り子を描いた作品ですが、赤、黄、オレンジの織りなす色彩が印象的です。

この美術展では、スコットランドの画家を含め、名品が揃っています。こころ和む、素敵な時間を過ごしました。

| | コメント (4) | トラックバック (1)

2005/12/24

李禹煥のつくる余白と空間

ri昨日、やっと横浜美術館で「李禹煥(リ・ウファン) 余白の芸術」を見てきました。会期最終日、ほんと駆け込みです。李禹煥の作品を見るのは初めてです。横浜美術館にいくと、建物の外にも作品が展示されていました。会場内にはいると、作品が飾られる壁は真っ白に塗られ、床はタイルカーペットが剥がされ、コンクリート地が剥き出しになっています。李の作品展に対するこだわりと、それに呼応するミュージアムの姿勢が感じられます。
展示されている作品は36点と多くはありません。その内容はおおまかに2つの作品群に分かれます。キャンバスに油彩で描かれた作品と、石、鉄、木を素材として作られた作品です。

キャンバス作品は「照応」と題された作品が多くを占めます。薄いクリーム地の一部に、太い絵筆で描かれたような、いくつかのグレーの四角な物体。地色とグレーの物体のつくりだす空間を見ていると、自分はいまどこにいるのかな、という思いになりました。絵の中に入っていっている自分がいます。不思議です。
同じ「照応」でも、グレーな物体がキャンバスに一個描かれた作品があります。この作品を見ていると、違う物が見えてきました。「テーブルの上のグラス」だったり、「部屋の窓」とか、「工場の中のゴミ箱」とか、どんどんイメージが広がります。

石、鉄を使った作品群は『関係項』という題で表現されています。石、鉄の作り出す空間は、緊張感とか安らぎ、癒し、愛情を表現しているよう。作品は、まわりから様々な角度でみたり、しゃがみ込んで俯瞰したり、いろいろな見方をすると、それぞれ表情が違い、面白いです。

60年代後半から70年代に活躍した「もの派」の代表的アーティストの李。彼の伝えるメッセージは強く感じました。でも、私の力不足で、すべてのメッセージを受け取れることができなかったよう。ちょっと残念です。しかし、アーティスト李禹煥のすばらしさ、意気込みが感じられた、充実した美術展です。

| | コメント (8) | トラックバック (4)

2005/12/09

すてきな美術指南書:ニューヨーク美術案内

いつもお邪魔している、すばらしいTakさんのアートブログ「弐代目・青い日記帳」で知った本「ニューヨーク美術案内」。この本、美術ファンにはかなりのおすすめ。画家の千住博さん(バイオリニスト・千住真理子さんのお兄さんですね)とノンフィクション作家の野地秩嘉さんの共著。野地さんが千住さんからニューヨークの美術館を題材に、作品の読み方、楽しみ方を解説するという形をとる、美術指南書です。
題名が「ニューヨーク美術案内」となっているので、ニューヨークの美術館、ギャラリーのガイド的な内容と思って読み始めましたが、実は作品をどう見るか、読み解き方を千住さんの視点で教えてくれる「作品解読の方法」が中心です。もちろん、メトロポリタン美術館や、MoMAの作品も数多く紹介されています。
千住さんの作品の見方は、とても参考になります。私がいちばん面白いなと思ったのは、「困ったら耳を見る」とのアドバイス。千住さんによれば耳は描くのが難しい、でも、あまり注目されるものではないから、いちばん手を抜きやすいところでもあるので、実力がでる、とのこと。なるほどな、と思います。
千住さんのアドバイスに従って、野地さんが美術館に作品を見にいった文章も、すごく面白く書かれて、読んでいて楽しい。
千住さんはこう言っています。

私には「美はすべてを超える」という考えがあります。

すてきな言葉です。

IMG_4316

ニューヨーク美術案内(光文社新書・735円)

MUSEUM, 書籍・雑誌 | | コメント (6) | トラックバック (1)

2005/12/06

ベトナム近代絵画を発見する美術展

先日、竹橋の近美でみた「アジアのキュビズム」は、アジア各国のキュビズム作品がみられ、とても印象的な展覧会でした。また、刺激的な美術作品に出会いたくなって、ひょっとした見られるかなと思い、ステーションギャラリーの「ベトナム近代絵画展」にいってみました。結論を先にいうと、正解でした。
この「ベトナム近代絵画展」は1925年から75年までのベトナムの絵画を年代順にみせてくれるもの。ベトナムの絵画って、まとまってみるのは初めてですが、その絵画世界は独特です。展示されている作品の多くを占めるのが、板に漆で描いたもの。この技法はベトナム独自のものかは、浅学な私は知らないのですが、その作品は質感、印象、表現が伝統的な油彩とは、まったく違うもの。漆画は、見る角度によって、絵画の見え方が違います。会場の解説に「下からみると違った印象に見えます」と書いてあるので、来場者はみなさんしゃがみ込んで絵を見ています。確かに印象が全然違いますね。不思議です。
気にいった作品はたくさんあります。「寺院の祭り」は、全面を支配する赤にこころをつかまれます。そして、描かれた人物の表情がどれも違っていて、魅力的に描かれています。
有名な作品らしい「リエン嬢」は、あどけなくて、ちょっとうつろな女性が、赤を基調に美しく描かれている一枚。
チャン・チュン・ティンの新聞紙に描かれた一連の作品は、強い反戦メッセージを伝えます。また、「遊んでる子どもたち」は、モダニズムの影響を感じながらも、しかしオリジナル性が強く、楽しげな作品です。

作品を見ていると、ベトナムの「民族のパワー」を感じます。20世紀、決して恵まれた環境になかったベトナムという国の、美術の力に触れた刺激的な美術展でした。

「リエン嬢」と「遊んでいる子どもたち」
vetonam


| | コメント (16) | トラックバック (6)

2005/12/05

巨匠の作品に出会える「プーシキン美術館展」

pusikin前売り券を買いながら、なかなかいけなかった「プーシキン美術館展」をみてきました。この美術展は2人のロシア人実業家がパリを中心に収集した「シチューキン・モロゾフ・コレクション」をみせてくれるもの。会場は予想通り(?)おばさん、おじさん(私を含む)で賑わっていました。
この展覧会では、モネ、ルノワールらの印象主義、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン、マティス、ピカソらのモダニズム(キュービズム、フォービズム)まで、近代の代表的画家の作品が見られます。私的なコレクションの近代名画を時代順に見せていく構成は、今年の夏に行われた「フィリップス・コレクション」と同様の主旨です。

気になった作品を、いくつか書いてみます。ルノアールの「黒い服の娘たち」は、タイトルのとおり、フォーマルな黒いスーツを着た娘を描いた作品ですが、私としてはもう一つ好きになれない。何故かな?ルノワールらしい華やかさがないせいかもしれません。
セザンヌの「池にかかる橋」は、会場の作品解説でも触れられていましたが、キュビズムの基礎理論に基づき描かれたような、実験的な色合いの作品です。
アルマン・ギヨーマンの「廃墟のある風景」は、この展覧会でもっとも関心をもった作品です。風景の表現を、光の効果で描くのではなく、純粋に色彩の作り出す印象で構築している作品。そのあとの時代の、カンディンスキーが創始した抽象絵画への繋がりを感じさせてくれる興味深い一枚です。
この美術展の最大の見どころ、マティスの「金魚」。意外と大きい作品だなと感じました。写真を見た感じで、なんとなく小品かと思いこんでいました。不安定な構図、絵を支配する金魚の赤と緑の葉、背景のピンク色の与えるふくよかな印象、そしてあえて描き込まない表現と、さすがマティスと感じる作品ですね。
ピカソは「アルカンと女友達」など4作がきていましたが、もうひとつ感動しませんでした。

近代絵画を俯瞰するには、少しばかり質、量ともに物足りない印象。しかし、19世紀後半から20世紀初頭のヨーロッパ絵画を、巨匠たちの作品を中心に、充分に楽しめる美術展です。

| | コメント (14) | トラックバック (7)

2005/12/04

華麗なる伊万里、雅の京焼

imari_kyoyaki「北斎展」で賑わう東京国立博物館で開催されている「華麗なる伊万里、雅の京焼」をみてきました。伊万里焼、京焼とも江戸時代に発展した焼物です。伊万里の知識はすこしだけあるのですが、京焼はまったく知識がありません。
会場にはいると、まずは伊万里のゾーン。白磁、染付、古久谷、柿右衛門、古久谷、金欄手、鍋島と年代順に作品が展示されています。いちばん見ごたえがあったのは古久谷様式の青手作品『色絵波に兎文大皿』。兎を意匠に使ったところが面白く、ちょっと変わった古久谷青手。また、同じく古久谷の五彩手『色絵鳳凰大皿』は白地を大胆に広く残したところが印象的な作品。鍋島の『色絵三壺文皿』は、その描かれた絵の斬新さが、現代でも受け入れそうなデザイン性の高い皿です。この伊万里ゾーンは、展示作品の3分の一以上が個人蔵で、ちょっと驚きます。
京焼ゾーンのトップは、野々村仁清の作品。まずは、石川県立美術館所蔵の『色絵雉香炉』(国宝)。この作品、現物を見るのは初めて。雉の表面に彩られた無数とも思える色が、幻想的なイメージを作り出します。すごいです。尾形乾山の『色絵紅葉図透彫反鉢』は、まさに絵画が焼物になったような焼物。鉢の中に、紅葉の風景が広がっています。

作風の変遷が興味深い伊万里、個性豊かな京焼と、磁器の魅力と奥深さを楽しめる美術展です。

| | コメント (19) | トラックバック (3)

2005/11/21

膨大な展示に圧倒される「北斎展」

前から見にいきたいと思っていた「北斎展」に、やっといってきました。この美術展、約500点の作品をみせる膨大な企画。すべての作品を展示できないので、会期中展示替えをしながら、みせてくれます。とはいっても常時300余点は展示しているので、それだけでもすごい点数です。比較的みるのが早いほうの私でも、2時間近くかかりました。
葛飾北斎とは、「冨嶽三十六景」を代表作とする江戸時代の浮世絵師、くらいの認識しかなかったのですが、作品を見ていくうちに、その認識が間違いだったことを思い知らされました。北斎は浮世絵師の枠を超えた、江戸時代の代表的日本画家といっていいのではないでしょうか。
多色刷りの浮世絵「錦絵」が完成されていた時代に活躍した北斎の浮世絵には、およそ版画とは思えない精巧さ、表現力の豊かさ、構図の妙味で魅了されます。
また肉筆画は、版画では表現しきれない微妙なる色遣い、細やかな表現で描かれ、北斎の才気を充分に感じ取れます。
印象に残った作品はいくつもあるのですが、心に引っかかったのは「三国妖狐伝 第一班足王御てんのだん」。天竺、唐、日本の三国で絶世の美女になりすまし国家滅亡を謀る九尾狐の伝説物語の読本のために描かれた挿絵ですが、ちょっと異質な作品。構図は絵巻風でもあり、現代なら横尾忠則あたりが描きそうな趣きの一作です。

残念ながらメトロポリタンの「グレートウエーブ」は見損ないましたが、傑作は「富嶽三十六景」だけではありません。その質、量ともに圧倒される美術展です。会場では、高校生から年配の方まで、幅広い年齢層の数多くの来場者が熱心にみていました。また、外人の方も多かったですね。
日本の代表的な美術分野である浮世絵。北斎の作品をみるためにこれだけ多くの人が足を運ぶことに、美術ファンの質の高さを感じ、これらの美術ファンのひとりでも多くの人が、有名ではないアーティストの美術展にも足を運ぶようになってくれればいいのに、とも思いました。

ともあれ、北斎展、必見です。

hokusai2

| | コメント (32) | トラックバック (9)

2005/11/13

美しい力を感じるパウラ・モーダーゾーン=ベッカー

昨日から宮城県美術館ではじまった、「パウラ・モーダーゾーン=ベッカー:時代に先駆けた女性画家」展をみてきました。「儚くも美しき祝祭」とサブタイトルがつけられているとおり、パウラは1876年にドイツ・ドレスデンに生まれ、わずか31歳で夭逝した女性画家。
パウラの絵は、ほとんどが油絵の具ではなく、油性のテンペラで描かれています。また支持体(絵を描くもの)も、キャンバスだけでなく、厚紙が多く使われ、絵からうける感触が独特です。パウラの絵を見るのは初めてなのですが、会場に並べられた絵をみていると、女性を描いた作品が多いことに気づきます。少女、子供、母と子、老女など、それぞれの構図、色彩を凝らして描かれています。
「白いシャツを着て座る少女と裸で立つ少女」では個性的な表現で描かれた二人の少女の顔が、印象的な作品。また「膝に子どもを抱く母」は、全面がブラウンの色彩で塗られ、少し恐ろしい存在感の絵です。
「膝に子をおき左向きに座る女」では、描かれた女の赤と黒の衣装の色彩的対比と、塗りつぶされたような顔が、何かを訴えかけているようです。
パウラの描いた女性の絵をみていると、迫ってくるような力を感じます。彼女の短い生涯ゆえ、一枚一枚の絵に、類い希なる力が込められていたためなのでしょうか。絵の前から離れられなくなる力がありました。

美術史的には、ドイツ表現主義の先駆者と位置づけられるパウラ・モーダーゾーン=ベッカーですが、まとまった回顧展は日本初とのこと。美しいパウラの絵に出会え、素敵な時間を過ごしました。

IMG_4142

この美術展、来年には神奈川近美、栃木県美に巡回します。
詳しくはWEBで

| | コメント (6) | トラックバック (5)

2005/11/06

「北斎展」のおもしろい仕掛け

芸術の秋らしく、この時期東京では見逃せないような美術展が目白押しです。上野の東京国立博物館で開催されている「北斎展」もそのひとつ。昨日、新聞にはいっていた折り込みに、この企画の広告があり、眺めていたら面白いものを見つけました。『北斎壁紙十選!』で、携帯の待ち受け用の壁紙が無料でダウンロードできる企画。QRコードで読み取ると、携帯の北斎展サイトにいけます。そこで北斎の壁紙が10種類用意されていて、ダウンロードできます。こんな感じで、いいでしょ?(北斎展のWEBに情報がのってます)

hokusai

この壁紙は、100円割引のクーポンになります。これも気が利いた企画です。
もうひとつ気が利いた企画があります。2回券というのが販売されています。この北斎展、海外から500点をこえる作品がきていて、どうやら一回ではすべてみられないためもあるのでしょう。通常大人は1500円ですが、2回券なら2700円です。2回いかないでも、奥さんと彼氏とかといってもいいですよね。

ともあれ、この北斎展はその規模からみて、見逃せない美術展です。はやく、見にいかねばいけません。

| | コメント (4) | トラックバック (2)

2005/10/31

様々な表情の仏像に出会えた「円空さん」

仙台市博物館で開催されていた「円空さん」にいってきました。会期が昨日までなので、まさに駆け込み。話題の展覧会とあって来場者で賑わっていました。円空は、江戸時代の僧侶ですが、生涯で12万体とも、10万体ともいわれる膨大な仏像を、木彫りでつくりました。
会場では、釈迦如来、薬師如来、観音菩薩、不動明王など円空の多彩な仏像が展示されています。この展覧会の副題「ほほえみの仏像」のとおり、様々なほほえみ、安らぎの表情に仏像をみていると、こころが和んできます。よくこれだけの仏像を集めたな、と感心してしまいます。
如来や、菩薩には魅力的なものがいっぱいですが、特に気にいったのが「柿本人麿像」。3体の柿本人麿像が展示されていたのですが、どれも表情、ポーズが違い、魅せられます。
また、「千体仏」はかわいい傑作。千体仏とは大型仏像をつくったときの破片材を利用してつくった、超ミニチュア仏像。小さくても、表情はしっかり作り込まれているところが、すごい。
会場の最後に展示してあった「護法神像」は、自然の木をうまく使った仏像。インスタレーションのようです。
円空の作品をまとめてみられる機会は、そうはありません。素敵な企画展だと思います。

「柿本人麿像」(左)と「千体仏」  IMG_4000

☆「円空さん」をご覧になった方にTBさせていただきます。


| | コメント (8) | トラックバック (4)

2005/10/23

エナジーヴォイドの力:イサム・ノグチ展

motすっかり天気予報がはずれ雨模様の中、子供と一緒に、木場の東京都現代美術館に「イサム・ノグチ展」を見にいってきました。話題は、なんと言っても「エナジー・ヴォイド」。高さ3.5メートル、重さ17トンの大きな作品。会場は土曜日ということもあり、来場者は多かったです。私のようなオジサンは少なく、やはり若い人の姿が目立ちました。
父が日本人、母がアメリカ人という生まれ。更に日米の戦争に時代に生きたノグチは、深い人生のへの葛藤があったようです。
ノグチの作品をみて感じたのは、「柔らかさ、やさしさ」と「ごつごつ感、強さ」が共存していること。これは、金属を使った作品や、石をつかった彫刻でも感じました。
特に心をひかれたのは、石を使った彫刻。玄武岩が素材の作品『エイジ』。ノグチが70歳代後半の時に制作したものですが、若々しいパワーを感じました。また『オリジン』は、大きな曲面をみていると、不思議な力を感じてきました。
そして『エナジー・ヴォイド』、まわりを何回かまわりながら、作品のパワーを楽しむのがいいです。曲面の作り出す「ねじ曲がりぐあい」が眺める角度で変わってくるのが、面白いです。

noguchiまた美術展に関連して、ワークショップなどのイサム・ノグチをもっと楽しむための企画が、いくつか用意されていますし、会場では「こどものためのガイドブック」も配布されています。これはいい企画だと思います。
この企画では、現代美術館の地下1階だけの展示で、作品数はちょっと少なめです。見終わったあと、もう少しノグチの作品を見たくなりました。それは、またの楽しみですね。
イサム・ノグチのパワーを感じる美術展でした。

| | コメント (12) | トラックバック (10)

2005/10/17

ますます訪れたくなった大原美術館

昨日、宮城県美術館で行われた大原美術館の館長・高階秀爾さんの講演会に参加してきました。開演時間の15分前にいったのですが、既に講堂の席は満席状態。やっと後方の補助席に座ることができました。
高階さんはかつて国立西洋美術館の館長を務められた方。西洋美術館の所蔵品は、松方コレクションが重要な位置を占めます。この松方コレクションと並ぶ戦前のコレクションが、大原コレクションです。戦前の二大コレクションを擁する美術館の館長を務め、著作も多い高階さんの講演ですから、来場者が詰めかけるのも当然でしょう。
高階さんの講演は、大原美術館のコレクションを、年代順、流派別にスライドを使ってわかりやすく解説してくれました。バルビゾン派、印象派、象徴主義、シュルレアリズム、フォービズム、エコール・ド・パリそして前衛の作品まで。また日本の画家の作品も多く所蔵。改めて大原美術館のコレクションの膨大さがわかりました。
高階さんの話で、いくつか面白いなと思ったことがありました。まず、大原美術館の創始者、大原孫三郎は一度もヨーロッパにいったことがなかった。コレクションの買い付けは庇護した洋画家児島虎次郎にすべて任していた。児島は、モネ、マティスなどのアトリエにいきなりいって、絵の購入を申し出たんです。なかなかすごいことですね。
またコレクションを集めるに際し、当初から公開することも想定していたといいます。単なる金持ちの絵画買い漁りではではないんですね。
また孫三郎の息子の大原總一郎は、こう言っていました。
「美術館は時代ともに進む。」

大原美術館、至宝のコレクションを見たくなりました。

| | コメント (4) | トラックバック (2)

2005/10/09

短かい生涯ながら、凝縮した佐伯祐三の芸術世界

neria_museum練馬区立美術館で開かれている「佐伯祐三展:芸術家への道」を見てきました。初めて訪れた練馬区立美術館、開館20周年記念の企画です。佐伯の作品をまとめてみるのは、これも初めてです。
10月6日付け日経新聞の『文化往来』でこの展覧会を取り上げています。この記事に「その風景画が過酷な精神の緊張から生まれたことを改めて印象づける展覧会」と書かれたことが心に残り、会場でも佐伯がどうして作品を描いたかを、少しでもわかろうという気持ちで鑑賞しました。佐伯は1898年に生まれ、1928年に亡くなっています。わずか30年という短い生涯の中で、何を描きたかったのか。
26歳のときパリに渡り、一時帰国を挟み、死ぬまでパリで絵を描き続けました。時代はちょうど『エコール・ド・パリ』の全盛期。ユトリロ、モジリアニ、そして日本人では藤田嗣治が活躍した時期です。佐伯も、パリの地で生活した時間は短かったですが、多くの傑作を残しています。
「パリ郊外風景」は、ねじ曲がった建物の構図と空の雲に、見ていると不安な気持ちになってくる絵です。
「ノートル・ダム」を描いた4枚の絵は、どれも盛り上がるばかりにキャンバスの上に置かれた絵の具と、2次元的な構図に、圧倒的な存在感があります。
佐伯はパリの街に魅せられていたのでしょうか。二度目の渡仏(1927年)以降、パリを描いた作品が多くなります。
特に気に入ったのは「ラ・クロワッシュ」。色遣い、デザイン力がすばらしく、奔放とも感じられる筆致が、すばらしい作品。
亡くなる年に描かれた「カフェ・レストラン」は、フォービズムの影響もありそうな、ちょっと楽しげで、かわいらしい作品です。

saeki今回出展されている約140点の作品には、かなり個人所有のものがあり、佐伯の作品をまとめて見られる機会は、今後しばらくはないかもしれません。この時代の美術に興味があるかたは、ぜひ見ることをおすすめします。

1時間以上、会場で作品と向き合いましたが、残念ながら佐伯の描きたかったものはわかりませんでした。でも、彼の絵を描くことへのひたむきさは充分感じ取れることができる、すばらしい美術展です。

| | コメント (12) | トラックバック (5)

2005/09/26

見ごたえのある「アジアのキュビズム」展

久しぶりに竹橋の国立近代美術館へ。企画展の「アジアのキュビズム」をみてきました。テーマがキュビズム+アジアなので、さすがに観覧者はそんな多くはなく、ゆったりとみられました。キュビズム、というとピカソとブラックがその創始者。作品としてはピカソの「アビニョンの娘たち」がキュビズムを表現した最初の作品、くらいの知識しか持ち合わせていません。
この美術展では、アジア11ヵ国(中国、インド、インドネシア、日本、韓国、シンガポール、マレーシア、スリランカ、フィリピン、タイ、ベトナム)からキュビズムをテーマに作品が展示され、出展数は約120点。
展示も、国別ではなく美術史の観点からテーマを設定し、展示されています。テーマは「1.テーブルの上の実験」、「2.キュビスムと近代性」、「3.身体」、「4.キュビスムと国土(ネイション)」の4つ。

会場の冒頭にピカソ、ブラックのキュビズム作品があり、キュビズムの世界へと導いてくれます。キュビズムは、素人が勝手にいってしまうと、ちょっとわかりにくい表現方式。具象画でもあり、抽象画でもあり、って感じです。(時系列的には、抽象画の誕生前の運動ですね)
ということで、堅苦しくみないで、単純に面白い、刺激的?な観点で、作品をみてみました。テーマとしてやはり興味深くみたのは「身体」。キュビズムの表現方法での人物、特に女性像は印象に残る作品が多かったです。例えば、フォービズムの画家の印象があったyorozu 萬鉄五郎の「もたれて立つ人」は、キュビズムの手法+フォービズムの色彩で、心にひっかっかりました。(右の写真)

会場にピカソの言葉がありました。

私たちは芸術によって、自然とは別なものに対する私たちの根拠を表現する。

ちょっと難しいなあ。要は自分の中にいる自然を表現する、ってことですか。ピカソは生涯数多くの自画像を描いた人ですが、キュビズム運動に染まっていた時期には、一枚も自画像を描かなかったそう。なぜでしょう。

キュビズム、かなり奥が深いです。もっと勉強して再訪しなければ、と思いました。

ともあれ、これだけの作品が見られて、入場料650円はお得です(私は大学生なので350円!)。この美術展、アジア各国の美術、およびその近代化を知るためには、とてもいい企画。よく練られ、充実した展覧会だなと感じました。

余談ですが。

続きを読む "見ごたえのある「アジアのキュビズム」展"

| | コメント (13) | トラックバック (3)

2005/09/19

名画の宝石箱:大原美術館展

IMG_3757宮城県美術館で開催されている「大原美術館展」には、「名画の宝石箱」というサブタイトルが付けられています。会場をみると、まさにその言葉が実感できます。大原美術館の至極のコレクションから、82点が選りすぐられて展示されています。その中には人気の高いモディリアーニの『ジャンヌ・エビュテルヌの肖像』もあります。
会場に入るとまずバルビゾン派のコロー、ミレー、印象派のドガ、セザンヌ、ナビ派のボナールなど、19世紀後半の名画が並びます。まずは、わかりやすい絵で、大原美術館の世界へと導いてくれます。
そのあとは、ムンクのちょっと恐い一連の版画や、ピカソのエッチング、赤が印象的なシャガールの『アレキサンドル・ロムの像』など西洋の秀作が並びます。また美術館創始者の大原孫三郎の庇護を受けた児島虎次郎の一連の作品も、存在感があります。特に『朝顔』は、あでやかな朝顔とういういしい和服姿の少女が、まぶしい世界を作り上げています。
紙に木炭、鉛筆、墨などで描かれたマティスの素描。画材の違いにより、作品の印象が違い、面白いです。
アベルの『母と子』は赤、黒の対比が何かを語りかけているような、重厚感のある作品。

日本の絵画は、ちょっとごつごつした作品が、多く選ばれている印象。萬鉄五郎の『雲のある自画像』、梅原龍三郎の『竹窓裸婦』が、特に気に入りました。

ぜひ倉敷の地にいきたくなった、すてきな美術展です。
IMG_3754


| | コメント (4) | トラックバック (2)

2005/09/18

大原美術館と、地域創造

昨日から宮城県美術館で「大原美術館展」が始まりました。大原美術館といえば、昭和5年に倉敷の地に開設された日本で初めての私設ミュージアム。この美術展の関連企画として大原美術館理事長の大原謙一郎さんの講演会があり、参加してきました。宮城県美術館の講堂が8割ほど埋まり、席には大原美術館館長の高階秀爾さんの姿もありました。
講演会のテーマは、「美術館と地域創造」。大原美術館の創始者、大原孫三郎を祖父とする謙一郎さん。大原美術館の成り立ち、そして岡山県・倉敷という地方での美術館運営について、熱く語ってくれました。公立の美術館は、いま厳しい運営状況です。作品の新規購入費のここ何年かゼロの美術館も多い。宮城県美術館も例外ではありません。
そのような時代に、大原美術館のような私設美術館も厳しい状況は変わらないかもしれませんが、地域のアート振興のため、頑張って欲しいなと思います。大原さんはこう話されていました。

人の心を豊かにし、美の創造を後押しし、世のため人のために働く美術館。

地域振興と美術館、いましっかり考えたい課題です。

美術展のことは、明日書く予定です。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2005/09/11

宮城県美術館、もうひとつの楽しみかた

昨日は、調べたいことがあって宮城県美術館へ。昼時になったので、美術館の中にあるレストラン「サリックス」に入ってみました。『週刊朝日』の連載で「お散歩レストラン」という記事があります。主に首都圏の美術館内のレストランの料理が紹介されていて、どれも美味しそうです。
宮城県美術館のレストランも、明るい雰囲気で快適なスペース。日替わりランチのお弁当を頼んでみました。

IMG_3647

ミュージアムのレストランというと、なんとなく高いイメージがありますが、ここは「庶民派」。日替わりランチは950円で、ボリュームもあり、お味も満足レベルです。食事だけでなく、スイーツもあり、楽しめます。ここは仙台のホテル仙台プラザ」がやっているとか。サービスもいいです。

またレストランの隣にあるブックショップは、広くはないのですが、美術関係の本がかなり充実。ここもおすすめ。
レストランとか、ブックショップを目的に、ミュージアムにいくのも、たまにはいいと思いました。

| | コメント (4) | トラックバック (2)

2005/09/05

ドラマとポエジーの世界へ:和田義彦展

渋谷の雑踏から歩くこと15分、渋谷区立松濤美術館で「ドラマとポエジーの画家 和田義彦」展をみてきました。この美術館は、所蔵品を持たず、企画展のみを行っています。和田義彦は渋谷区在住の現役の画家。私は初めてみさせてもらいました。美術展のサブタイトル「ドラマとポエジーの画家」、なんとも見にいきたくなる素晴らしい表現です。
会場の入り口の紹介文の中に、和田の言葉がこうあります。
「変化し続けることが最も重要」
この企画展では和田の最新作とあわせ、1990年代の作品も展示されています。
展示室に入ると、まず目に入ってくるのは「食べる人」と題された最近の連作。外人の男女が、スパゲッティとかを食べているところを描いた作品。檜にテンペラ、油彩で描かれており、檜の木目と描かれた絵が、妙な調和を生んでいます。
その後ろにある2004年の大作「神戸」。中央に描かれている女性は、聖母なのでしょうか。宗教的な印象をうける、迫力がある作品です。
これらの作品に比べると、1992年に描かれた「Rossi夫妻の宴」は、明らかに作風が違います。スパゲッティを食べる男、男のような横顔のウエイトレス、それにうつろな表情でベッドの腰掛ける裸の女。シュルレアリスム的作品といっていいのでしょうか。幻想的な作品です。
和田の作品は、空想世界から描き出されたように感じるものが多いです。単に表現主義やシュルレアリスムの範疇に分類できない作品世界。
作品をみていて感じることは、その線と面、そして色の調和の織りなす表現の豊かさ。無意味に描かれたようにみえる線が、意味があり、主張しています。色は、赤、緑が印象的に使われています。

和田義彦の絵画世界を堪能できる、素敵な美術展だと思います。

20050802_wada
この作品はいいです。「赤い部屋」

| | コメント (4) | トラックバック (2)

2005/08/28

見事な美術に出会えた「遣唐使と唐の美術」

kentoushi先週、東京で「遣唐使と唐の美術」をみてきました。8世紀前半に、遣唐使として唐に渡った井真成(セイシンセイ)の墓誌が昨年発見されました。この美術展は墓誌を核に、唐の美術品をみせてくれるものです。
美術品は、中国の陝西歴史博物館、洛陽博物館所蔵のものを中心に、日本の美術館で所蔵しているものを加えて展示されています。
工芸品には詳しくないのですが、中国からきた工芸品は一流品だと感じます。その制作の技術はかなりの高水準です。
すごいな、と素直に感じたのは三彩陶器です。日本の陶磁器に大きな影響を与えた中国の焼き物の、技術の真髄をみせてくれます。たとえば「三彩高脚蓮座付壷」は、見事な造形に加え、流れるような釉のかかり具合が、なんとも美しいです。また「三彩貼花文灯」は、独特の造形と釉の彩色が見事です。
また、この美術展では日本の美術館で所蔵している中国の陶磁器も出展されていて、これも見物。たとえば静嘉堂文庫美術館でもっている「三彩貼花文有蓋壷」(重要文化財)や、永青文庫の所蔵「三彩印花宝相華文三足盤」(これも重文)は、めったに本物は見られないはず。

中国では、最近になっても美術品の発掘が続いているようで、まだまだ発見されていないものも多いようです。
遙か遠い唐の時代が、目の前にあらわれたような気持ちになりました。

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2005/08/22

おもしろく、ためになるポラカード

pola_cardポーラ美術館にいったとき、ミュージアムショップで、ポラカードを買ってきました。これ、ムサビの先生に教えてもらったのですが、おもしろいです。50枚のカードには、美術館所蔵の絵画を原画としたイラストと質問が書かれています。『ポラカードの使い方』には「そこの書かれているのは、今のあなたにきっと必要な質問のはずです」とあります。
まずは、一枚ひいてみました。女性が二人、手を上げてますね。

pola_card2

質問は「うれしくてたまらない時、どんなことしますか?」なにするかな・・・、やっぱり手を上げちゃうかな。ちなみにこのカードの原画は、ドガの「腕を上げた二人の踊り子」です。
こんなカードが50枚はいってます。いいと思いませんか?
ポラカード:1260円

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005/08/21

箱根の森の中、ポーラ美術館へ

pola

木々に囲まれた美術館は、素敵な世界です。箱根の森の中、仙石原にあるポーラ美術館にいってきました。このミュージアム所蔵の美術品は、ポーラ化粧品グループのオーナー、鈴木常司さんのコレクションでその数約9,500点。この数はすごいですね。
アプローチブリッジを渡り、ガラスが美しいエントランスを入ると、エスカレーターで下へ。広々とした空間が、ただただ気持ちがいい。展示室は、さらにエスカレーターで下の階に。建物が、斜面をうまく利用され、作られているんですね。
多くの所蔵品の中核は、19世紀の印象派やエコール・ド・パリの西洋絵画。現在その中から選りすぐられた作品で「ポーラ美術館の印象派」を開催しています。

続きを読む "箱根の森の中、ポーラ美術館へ"

| | コメント (6) | トラックバック (2)

2005/08/19

版画の表現力を感じる:棟方志功展

munakata2宇都宮美術館でコレクション展をみたのに続き、企画展の「棟方志功展」をみました。この企画展は、棟方に大きな影響を与えた柳宗悦、河井寛次郎とともに、民藝運動の中心であった濱田庄司が、栃木県の窯、益子で制作していたことより、栃木ゆかりの美術として企画されたもの。出展作品の多くは、大原美術館所蔵のものです。

棟方の作品をまとまってみたのは、初めてです。200点以上の作品を展示。どの作品も力強い躍動感に満ち、版画とは思えない存在感です。
「星座の花嫁」と題された10点の連作は、ロマンチックな秀作。多色刷りで刷られた版画で、独特の人物を表現しています。谷崎潤一郎の詩を版画に表現した「歌々版画柵」は、詩と版画の作る独自の世界が、心地よい作品。
また「群鯉図」は、棟方が屏風絵を描いた珍しい作品。版画とは違った表現ですが、棟方らしいダイナミックさです。

これだけの棟方ワールドをみる機会は、そうはありません。おすすめです。

鑑賞後、宇都宮名物も堪能。

続きを読む "版画の表現力を感じる:棟方志功展"

| | コメント (8) | トラックバック (0)

2005/08/18

ゆとりを感じる宇都宮美術館

utunomiya_museum先週末、女房の実家から近い宇都宮美術館にいってきました。この美術館は宇都宮市立で、平成9年に開館した比較的新しい美術館。JR宇都宮駅からバスで25分ほどの「うつのみや文化の森」、緑に囲まれた場所にあります。
所蔵作品は「生活と美術」、「地域と美術」、「環境と美術」の3つのテーマで集められています。「生活と美術」はデザインをテーマに、ヨーロッパ系のポスターや家具調度、アメリカのプロダクトデザインを収集。
「地域と美術」は『世界』、『日本』、『宇都宮ゆかり』のテーマで集められています。「環境と美術」は美術館周辺に作品が設置されています。

宇都宮美術館の所蔵作品で、注目されるのはマグリット、カンディンスキー、クレー、シャガール、マティスといった近代美術の大家たちの作品。特にシュルレアリスムの代表的画家であるマグリットの「大家族」は、タイトルと絵画の関連が、どうしてもわからない不思議な作品。同じマグリットでも「夢」のほうが、理解しやすい。
ここの常設展(コレクション展)では、主要作品の解説カードがあり、自由に持っていけます。このカード、表に作品の写真と画家の略歴、裏に解説があるもの。これはなかなかいいものです。

kaisetu_card

解説カード

utunomiya_zuroku

所蔵作品選(全所蔵作品は2000点以上とのこと)

美術館の建物は、白を基調とした、心地いい空間です。ミュージアムショップも充実。
近くにあれば、しばしば訪れたいミュージアムです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2005/08/08

ジャン・プルーヴェ展へ

七夕まつりで賑わう定禅寺通りの「せんだいメディアテーク」で開催されている『20世紀デザインの異才:ジャン・プルーヴェ』展をみてきました。ジャン・プルーヴェははじめて知りました。リーフレットによると、デザイン、建築、エンジニアリングの領域で革新的な創造者のひとりに数えられるフランス人。有名な建築家のル・コルビジェからも賞賛されていて、工業デザインから建築までその才能を発揮した人。
これだけではいまひとつわかりにくいのですが、展示をみた限りでは、工業デザインから建築まで、デザイン才能を発揮した人のようです。プルーヴェは自らを『建設家』(建築家ではありません)とみなしていたそうです。
会場には、彼のデザインした家具から建築物の模型、資料が展示されています。
展示をみて感じたのは、家具と建築は違うんだな、ということ。展示パネルにこうありました。
「家具と住宅の建設は何の違いもない」
そうでしょうか?家具は基本的にはいくつもつくる工業品。住宅は、基本はオーダーメイドです。プレハブとかマンションはありますが、やはり住宅は注文生産。プルーヴェの生きた時代には、プレハブ住宅はなかったので、彼の思想は、先進的だったかもしれません。
かれのデザインした住宅は、なにか暖かみがなく、魅力を感じませんでした。それに対して、家具は素敵なデザインだな、とおもったものが、いっぱいありました。
プルーヴェは、すこしばかり早い時代に生まれたデザイナーだったのでは、と思わせるアート展でした。

| | コメント (4) | トラックバック (1)

2005/08/02

やはりルノアール:フィリップス・コレクション展

「アートの教科書」と副題がつけられた「フィリップス・コレクション展」。子供が最近絵を習い始めたので、一緒にいってきました。森アートセンターギャラリーながら、来場者は中年以上の方が目立ちます。
私のお目当ては、なんといってもルノアール「舟遊びの昼食」。なにせ、中学生の時からのルノアール好き。(中学の時、上野・松坂屋でルノアール展をみたこと、思い出しました)ルノアールの絵の魅力は、「ふくよかさ」にあると思います。それは単に、描かれた人物がふくよかなだけではなく、絵を見ていてイメージされるものが、まさに「ふくよかさ」だと思うのです。この「舟遊びの昼食」も、みていて、なんとも幸せな気持ちになってきます。

ルノワール以外も、「アートの教科書」というだけあって、17世紀のスペイン絵画、新古典主義、ロマン主義からキュビズム、フォービズムのマティスまで、多彩な傑作が並びます。ほんとに見応え十分。最近近現代の美術史を勉強したせいで、頭の中で「バルビゾン派の特徴は・・・」と思いながらみていました。特に気に入ったのは、カンディンスキーの「連続」。抽象画の創始者、表現主義の画家らしからぬかわいい絵です。また、ボナールの「棕櫚の木」。この絵の色はすごい。しばらく見入ってしまいました。

これだけの傑作がそろう美術展も、珍しいのでは。おすすめです。

☆フィリップス・コレクション展をご覧になったブログにTBさせていただきます。

| | コメント (16) | トラックバック (5)

2005/07/30

伊万里の奥深さを知る:ドレスデン国立美術館展その1

昨日は夏休みパート1。上野の森、西洋美術館で開催中の「ドレスデン国立美術館展」をみに出かけました。日経新聞からもらった招待券が8月12日までしか使えないことに気付き、急いでいってきました。平日の昼間なのに、結構混雑してました。来場者の多くはおばさまがた。
この美術展の見どころは、ザクセン選帝侯のコレクションが広範囲にみられること。科学計測器からはじまり、工芸、磁器、絵画など最高の美を感じられる作品が多数展示されています。
ここでは、レンブラント、フェルメールなどのオランダ絵画がいちばん注目されているようですが、私は中国と日本の磁器の展示が、まずはみたかったセクションです。
海外の日本陶磁コレクションとしては、ドレスデン国立美術館は最大の規模をほこります。日本、中国、マイセンの陶磁あわせて約2万点を所蔵。このほんの一部が、展示されています。

中国磁器の「五彩」から影響を受け、日本の伊万里焼の「色絵」が誕生。この伊万里焼の海外輸出仕様として「柿右衛門様式」ができ、これがドイツのマイセン磁器に影響を与えた。この歴史の流れをふまえ、有田(伊万里)、マイセン、中国の3地域の同じ意匠の作品が並べられ、磁器作品の違いがわかる展示になっています。展示された作品は多くはなかったですが、なかなか見ごたえがありました。
例えば、有田の「ジョッキ」とマイセンの「蓋付きジョッキ」。マイセンは有田のコピーで、ちょっとみるとそっくりです。でもよく見ると、地色の白が違います。有田のほうが、より白を表現。マイセンは少しアイボリーに近い白。また描かれた花も、微妙に違いがあるように感じました。花と葉の大きさのバランスが、両者では違うようです。
マイセンが単なるコピーをしていなかったと考えられるのが、「染付花卉文皿(ブルーオニオン)」。これは中国の「色絵薔薇文皿」をもとに作られたものですが、まったく別の素晴らしい作品に仕上がっています。
中国−日本ーマイセン(ドイツ)の磁器の流れがわかった展示でした。ドレスデンのこれ以外の陶磁器をみたくなりました。

フェルメール、レンブラントなど絵画についても書きたかったんですが、それは明日以降に。

☆「ドレスデン国立美術館展」について書かれているいくつかのブログにTBさせていただきます。

| | コメント (6) | トラックバック (5)

2005/07/17

美術史の副読本?:ゲント美術館名品展

昨日、課題のため近現代の美術史を勉強してました。特にシュルレアリスムあたりをやっていたら行き詰まってしまい、ネットで素材を検索していたら世田谷美術館の「ゲント美術館名品展:西洋近代美術のなかのベルギー」に行き着きました。この美術展、ベルギーのゲント美術館が所蔵する近現代の絵画を美術史の流れに沿って見せてくれるもの。新古典主義、ロマン主義からシュルレアリスムまで、ベルギーからの視点で近現代の美術史が総覧できます。
ベルギーの画家の作品に加え、美術史の本にのっている画家の作品も展示されています。新古典主義のダヴィッド、ロマン主義のドラクロワ、バルビゾン派のコロー、クールベ、ルソー、ドービニー。表現主義のココシュカ、キルヒナーやシュルレアリスムでは巨匠エルンスト、ベルギーの代表的画家デルボーとマグリット。
森アーツセンターギャラリーでは『アートの教科書』と副題が付けられた「フィリップス・コレクション展」が開催されていますが、この「ゲント美術館名品展」は、ベルギーからの視点での、美術史の副読本といった趣きです。
デルボー、マグリット以外のベルギー画家の作品は初めてみました。その中では、ジョニー・モンティニイの「庭師」(新古典主義)、グスターブ・デ・スメットの「ラ・ボンヌ・メゾン」(キュビズム)が印象に残りました。
ちょっと勉強っぽい、美術展でした。

| | コメント (6) | トラックバック (2)