MUSEUM

2017/10/31

気持ちのいい<富山市ガラス美術館>

 時間があったので「富山市ガラス美術館」にいくことができました。隈研吾さんの設計の建物<TOYAMAキラリ>にある現代グラスアートを中心とする美術館です。
<TOYAMAキラリ>の3階から5階には富山市ガラス美術館と富山市図書館が同じフロアにあります。エレベーターで昇っていくと、左のゾーンが美術館、右のゾーンが図書館で、真ん中を広い吹き抜けになっていて、開放感のある空間です。

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 隈さんらしい木をふんだんに使った設計。気持ちよく、心が和らぎます。建物をみるだけでも、わざわざ訪れる価値があると思います。こんな素敵な建物を使える富山の人が羨ましいです。


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2017/10/30

新しい富山県美術館

 富山旅行の目的のひとつが今年の8月に開館した新しい富山県美術館。富山には富山県立近代美術館がありましたが、ここを閉館して、移転して新しい美術館をつくり、館の名称も富山県美術館と改めました。
 金沢に住んでいた20年ほど前の頃、富山県立近代美術館には何回かいきました。当時は金沢には近現代のアートを見せる美術館がなく、近現代の豊富なコレクションをもつ近代美術館は魅力的でした。
 近代美術館は富山駅からは路面電車を使わなければいけませんでしたが、新しい富山県美術館は富山駅から徒歩15分ほどの富岩運河環水公園内にあります(ちなみにこの公園にあるスターバックスは世界一景色がいいとも言われています)。
 新しい美術館の外観には富山の主要産業であるアルミが使われている3階建て。エントランスから入り、エスカレーターで上階へ。展示室は2階、3階。現在は開館記念展「生命と美の物語 LIFE - 楽園をもとめて」が開催されています。
 ふつうのミュージアムだな、というのが展示室をまわった感想。もう少しわくわく感が欲しかったです。ともあれ、新しいミュージアムを見るのは楽しい。おすすめです。


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2017/09/30

すみだ北斎美術館にいく

 やっとすみだ北斎美術館にいってきました。昨年11月にオープンしたのですが、なにせうちからはかなり遠方です。なかなか足が向きません。上野のミュージアムとセットでまわりました。
 そもそもすみだ北斎美術館とは、葛飾北斎が90年の生涯のほとんどを葛飾区で過ごしたことから、墨田区が、
「この郷土の偉大な芸術家である北斎を区民の誇りとして永く顕彰するとともに、地域の産業や観光へも寄与する地域活性化の拠点として」(美術館ホームページより)
 設立した美術館です。
 このミュージアムの売りはなんと言っても建物です。著名な建築家・妹島和世さんの設計です。銀色の外見が特徴的です。

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 1階のエントランスで企画展のチケットを買い(平日だったせいか、列はありません)、エレベーターへ上階へ。展示室は3階と4階です。チケット売場のお姉さんが教えてくれたのを聞き流していて、最上階の4階にまず上ってしまいました。上階から降りてくるのが自然だろうと、思い込んでいたせいです。
 ところが企画展は3階から始まり、続きの展示が4階という流れです。同じ4階に常設展示があります。要は3階までエレベーターで昇り、見終わったら階段(もしくはエレベーターで)4階に昇る、というのが正しい順路です。細かいことですが、3階と4階は逆のほうがいいと思います。
 美術館の建物は想像していたよりずっと小さかったです。展示室は2フロアーだけですし、なにせ4階にはトイレもないほどのスペースです。
 開館まで紆余曲折があったすみだ北斎美術館ですが、運営は順調なんでしょうか。今後の動向が気になります。


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2017/06/16

ポーラ美術館の遊歩道

 ポーラ美術館に遊歩道があります。4年前にできたものです。「森の遊歩道」と名付けられた遊歩道は全長670メートル。
ホームページには
ブナ・ヒメシャラが群生する富士箱根伊豆国立公園内の自然をお楽しみ頂けます。
四季を通じて訪れる野鳥たちのさえずりや、時折姿を見せる小動物を愛でながら、自然の中で心休まるひとときをお楽しみください。

 とあります。
 自然と触れるだけでなく、各所に彫刻も置かれています。

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 遊歩道は入館しなくても入れます。箱根の隠れスポットかもしれません。


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2017/06/15

ポーラ美術館へ

 久しぶりにポーラ美術館へいってきました。いつ以来かとこのブログで調べてみたら(笑)、前訪れたのは2005年8月なので、12年ぶり。今年で開館15周年、記念展の「ピカソとシャガール」をみてきました。 
 ピカソ、シャガールという同時代に生きた偉大なアーティストを堪能できる企画展です。ポーラ美術館の所蔵作品に加えて、国内の美術館やパリのピカソ美術館からも作品が出展され、充実した内容になっています。開館記念展ということで、力が入っています。
 ピカソ、シャガーをまとめてみる機会はありそうで、なかなかありません。ましてや二人のアーティストの作品が同じ空間にまとまって展示されるのは、珍しいのではないでしょうか。
 ピカソは相変わらず魅力的ですが、シャガールもいいです。赤、青など原色をつかいながら独特の世界が描かれるシャガールワールドに惹きこまれます。
 ちょっと遠いけど、魅力的なポーラ美術館です。

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2017/05/07

美術館の友の会

 美術館・博物館には友の会なる制度(仕組み)があります。すべてのミュージアムで制度化されているわけではありません。友の会とは要はミュージアムの会員制みたいなもの。
 世田谷美術館の友の会を更新しました。会員は1年単位なので、毎年更新が求められます。去年、世田美の美術大学を受講するために、この美術館の友の会に入りました。世田谷区民以外は、友の会にはいることが美術大学に参加する条件になっているからです。が
 世田美の友の会は、年会費が4000円(個人会員の場合)です。企画展が無料で見ることができる特典がありますが、4000円という金額に見合うのか。深く考えると分からなくなります(笑)。
 地元目黒美術館の友の会は、年間2000円です。世田美の半分。これは美術館の格の違いでしょうか。ミュージアムの友の会も、言ってみれば寄付みたいなものです。継続することが大事なんでしょう、恐らく。

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2017/03/21

蔵の美術館

 昨日、「アートリンクとちぎ」ついて記事にしましたが、紹介した2つの美術館は蔵を再利用したスペースです。とちぎ蔵の街美術館は何回か訪れたことがありましたが、小山市立車屋美術館は初めていきました。
 小山市立車屋美術館は
「国登録有形文化財である小川家住宅の文化財的価値を尊重しつつ、地域活動の拠点や文化創造の場として活用することを目的に平成21年4月小山市立車屋美術館として開館しました」(artscapeより引用)
 と歴史ある建物を活用したものですが、美術館になっているのは旧米蔵を改修した建物です。敷地内には小川家住宅の主屋もあり、公開されています。
 こんなところに歴史が残っていたなんて。意外なことを発見した小山市立車屋美術館でした。

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2017/02/18

上野でフライデーナイトミュージアム

 昨日の朝日新聞夕刊に「フライデーナイトミュージアム@上野」という全面広告が2ページにわたって掲載されていました。フライデーナイトミュージアム、って何だ。プレミアムフライデーの便乗企画か? なんて思いました。
「フライデーナイトミュージアム@上野」は文化庁が主催するイベント。文化庁のホームページから引用すると、
<文化庁では,日本有数の文化資源が集積する上野公園(東京都台東区)において,プレミアムフライデーの初日である2月24日(金)から,国立美術館・博物館の夜間開館の機会を活かし,「フライデー・ナイト・ミュージアム@上野」を開催する予定です>
 とやはりプレミアムフライデー関連企画です。
 東京国立博物館,国立西洋美術館,国立科学博物館では金曜は夜8時まで開館しているので、それに合わせてイベントをしようという目論見です。開催日は2月24日(金),3月10日(金),3月17日(金),3月31日(金)の4日。ずっとやるわけではないんですね。予算の関係かな。ホームページもありますが、イベントは24日しか公開されていません。3月の予定アップはこれからです。
「フライデー・ナイト・ミュージアム@上野」は誰をターゲットにしているのか。普段はミュージアムに行く習慣がないホトに、行ってもらおうということ? 文化庁のホームページには
「夜に文化を楽しむライフスタイル」を上野から発信します」
 とあります。
 少しでもミュージアムに行く人が増えればいいのですが、なんか難しい気がします。」

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2016/11/23

美術館、博物館にいく割合

 先日、日経新聞で小さな記事として載っていた内閣府が行っている「文化に関する世論調査」についての話題。記事によれば、
「過去1年間に映画や音楽、美術、文化財などの文化芸術を劇場などで鑑賞した人は59.2%だった。2009年の前回調査(62.8%)から3.6ポイント減少した」(11月19日 日経新聞)
 とあります。前回調査とは(多分)平成21年。
「文化庁は『文化芸術の振興に関する基本的な方針』で、鑑賞活動をする国民の割合を2020年までに8割にする目標を掲げている」(日経新聞)
 と目標には届かないレベル。
 記事には
「鑑賞したものは映画(アニメ除く)が31.1%で最も多く、音楽(24.8%)が続いた」
 とありますは、美術はどうしたのかと出典をみると、
<映画(アニメを除く)」を挙げた者の割合が31.1%と最も高く,以下,「音楽(オペラ,オーケストラ,室内楽,合唱,吹奏楽,ジャズ,ポップス,ロック,歌謡曲など)」(24.8%),「美術(絵画,版画,彫刻,工芸,陶芸,書,写真など)」(22.5%)などの順となっている>(内閣府ホームページより)
 という数字。
 美術館・博物館などで鑑賞するのは1割強ということ。
 日本人は忙しすぎるのか、ミュージアムにいっている時間がないようです。

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2016/10/21

美術館のシルバーデー

 一昨日、仕事を休みにして恵比寿の写真美術館に出かけました。「世界報道写真展2016」のチケットをもらったので、見に行ってきました。平日、水曜の午後でしたが、会場にはいると、予想外に混雑しています。
 どちらかと言えば地味な報道写真展なのに、賑わっています。どうしたのかとちょっと思いながら、「杉本博司 ロスト・ヒューマン」のチケットを買い、会場へ。ここも賑わっています。「やはり、杉本博司は人気だな」と思いながら鑑賞しているうち、来場者に年配の方が多いことに気付きました。
 写真美術館の来場者は比較的若い人が多い。シニア層とおぼしき方は少ないというのがこれまでの印象です。どうしてかなと思い、美術館のパンフレットを見ると・・・・・・。疑問が解けました。この日はシルバーデーです。毎月第3水曜日はシニアは無料の日です。東京都のミュージアムはどこも実施しています。知りませんでした。そういえば、チケットを買うとき、65歳以上ではないかと確認されたことを思い出しました。
 平日の写真美術館の賑わいは、いつもとは違う光景でした。

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2016/09/04

成城学園の小さなミュージアム

 仕事の予約が入らなかった週末に、久しぶりに成城学園まで出掛けてきました。目的は「清川泰次記念ギャラリー」です。清川泰次のアトリエ兼住居を一部改築し、ギャラリーとして公開しているミュージアムです。世田谷美術館の分館として、世田谷区が運営しています。
 奧沢にある、これも世田美分館の「宮本三郎記念美術館」は小さいながら2階建てでミュージアムらしい建物ですが、「清川泰次記念ギャラリ」は小さな建物です。建物の一部は区民ギャラリーで、清川泰次の作品が展示されているのは、吹き抜けの空間ひとつです。いま、展示されているのは10点の作品と、銀座あたりのギャラリーよりの少ないかも。
 しかし、清川泰次の作品はどれも独奏的で刺激に満ちています。形と色が織りなす表現は、オリジナルな世界です。心地いい空間が広がります。
 こんな贅沢な空間を維持している世田谷区にはほとほと感心します。目黒区とはちょっと違うなあ。

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2016/07/19

益子陶芸美術館にいってみました

 先週の日曜日、予約がなかったので、女房の実家にいくついでに、益子まで足を伸ばしました。10年以上前に行った記憶がありますが、かなり久しぶりです。
 東京の自宅からは北関東自動車道ができたので(もう何年も前でしょうね)、約2時間で着きました。近くなりました。全国的にも有名な益子焼の産地ですが、なかなか足を運ぶ機会はありませんでした。
 益子焼では、益子陶芸美術館を中心に旧濱田庄司邸、笹島喜平館(木版画家・笹島喜平の作品を展示)など陶芸メッセ・益子として展開しています。
 じっくり見たいところですが時間もなく、益子陶芸美術館だけを拝見しました。企画展示と常設展示が併設された美術館で、陶芸作品を堪能することができます。
 陶芸をじっくりとみたのは久しぶり。こんどはもう少し余裕をもって鑑賞したいと思いつつ、現地を後にしました。

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2016/07/07

ヱビスビール記念館

 ヱビスビール記念館に行ってきました。恵比寿ガーデンプレイスにあるサッポロビールがやっている展示施設です。エビスではなくヱビスです。英語表記はMuseum of YEBISU BEER。ヱビスビールの歴史が分かるミュージアムです。Photo

ここでは無料の自由見学と有料(500円)のツアーがあります。友人が有料ツアーをとってくれて、参加してきました。ブランドコミュニケーターのお姉さんが40分で説明してくれます。前半はヱビスビールの歴史。後半は2種類のヱビスビールの試飲。なかなか楽しい見学ツアーでした。

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記念館の中には「テイスティングサロン」があり、様々なヱビスビールとおつまみが楽しめます。ここには入りませんでしたが、コストパフォーマンスが良いビアバーといった感じのようです。
恵比寿にこんな素敵な場所があるなんて知りませんでした。おすすめです。

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2016/06/08

宇都宮美術館で「ガレの庭」

 先週の日曜、がら空きの栃木県立美術館を出て、宇都宮美術館にいってみました。昨年、夏にパウル・クレー展をみて以来です。このミュージアムは宇都宮市の郊外にあり、公共交通機関は1時間に一本ほどのバスで宇都宮駅から30分ほどと、クルマを使えない人にとってはおおよそ便利とはいえません。
 しかし訪れた日の展示室は賑わっていました。「ガレの庭」展の最終日だったからかもしれません。「ガレの庭」は今年、東京都庭園美術館で開催されていたものの巡回ですが、なかなか人気。ガレのガラス作品が見事で、見始めると引き込まれてしまいます。
 展示室の賑わいをみると、美術館は企画次第なんだな、と痛感します。巡回展であろうが、人を集めることができる展覧会はやはり強いです。ミュージアムの素敵な空間に触れた宇都宮美術館でした。


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2016/05/19

西洋美術館、世界遺産に

 すっかり忘れ去っていたのですが、国立西洋美術館が世界遺産に登録の見通しというニュースには少し驚きました。詳しくは覚えていないのですが、イコモスから世界遺産に登録できないとされ、そこで終わっていたと思い込んでいました。だから驚いたわけです。
 日経新聞の報道によれば、
「2度の見送りを経た『三度目の正直』。都内では初めての世界文化遺産誕生となる」
 とやっと勝ち取った世界遺産です。
 しかし、何故過去2回は見送りで、今回はOKなんでしょう。
 世界遺産になるのは、国立西洋美術館を含んだコルビジェの建築なので、世界遺産に値するとされた理由が知りたいところ。1回ダメでも、再チャレンジできるのが世界遺産という制度なのか、とも思います。
 日本人にとっては国立西洋美術館が世界遺産になっても、いまひとつ実感がないのでは。日本人が設計したわけでもなく、これまでも普通に入れた建物だし・・・・・・。
 美術ファン以外はほとんど関心がなかった西洋美術館の存在。これを機に、美術館の魅力が広まることを期待します。

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2016/01/29

カマキンはまもなく閉館

 鎌倉にある神奈川県立近代美術館 鎌倉館(通称カマキン)が今週末31日で閉館です。最後の機会に昨日鎌倉まで行ってきました。平日の午後でしたが、チケットを買う列ができていて、20分待ちでした。あと4日で閉館ですから、ミュージアムファンはやってくるのですね。
 館内では最後の企画展<鎌倉からはじまった 1951-2016 PART3 1951-1961 「鎌倉近代美術館」誕生>が開催されています。ミュージアムのコレクションから選ばれた作品展示されていますが、いつもより作品の間隔が狭く、できるだけ多くの作品を見てもらおうという意思を感じます。コレクション展示に加えて館の設計者・坂倉準三のつくった館長の机などの家具も展示されています。
 また作品にはキャプションに加えて、作家の詳しい説明もあり、細やかな展示になっています。お客さんたちも最後の展示を熱心にみています。
 日本で最古の近代美術館であるカマキン。閉館は残念です。

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2015/11/02

神奈川県立近代美術館鎌倉のこと

 今朝の日経新聞・文化欄に神奈川県立近代美術館鎌倉の「鎌倉からはじまった。1951―2016」展の最終章「PART3 1951―1965『鎌倉近代美術館』誕生」展が紹介されています。建物の保存問題がかなり前から報道されていましたが、その結果はちゃんと伝えられていませんでした。
 結論は、神奈川県立近代美術館鎌倉は今回の展示で美術館としては閉館する。しかし、建物は改修工事をして保存される見通し、ということのようです。
 朝日新聞が9月に報道したところによると、
「県は10日、本館棟を保存する意向を明らかにした。本館棟を保存した上で、県と敷地を共有する鶴岡八幡宮に引き継ぐ方向で調整しているという」(9月12日 朝日新聞)
 とのことで、建物は保存されそうです。
 建物は残りますが、神奈川県立近代美術館鎌倉は閉館です。素敵なミュージアムがなくなってしまうのはとても残念。今回の展示にはぜひいきたいと思います。

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2015/10/07

大村さんと美術作品

 今年も日本人がノーベル受賞の嬉しいニュースです。大村さんの功績、半生、人柄などニュースで報じられていますが、驚いたのは美術館を設立していたということ。既に報じられていますが、2007年に私費を投じて韮崎大村美術館を作り、翌年韮崎市に寄贈しました。
 大村さんは美術愛好家でコレクターです。メディアで報じられてところによれば、
「特許料の大半を購入に充てた約3500点にのぼる作品群は『大村コレクション』とも呼ばれています」(Yahoo! ニュース)
 韮崎大村美術館のホームページをみると、コレクションは上村松園、片岡珠子、小倉遊亀、三岸節子など女流画家の作品が中心。若い頃からコレクションをされたということですが、これだけの作品を集めるのは並大抵のことではありません。
 これらの作品を含めまるごと韮崎市に寄付をしたわけで、美術好きにとっては嬉しいし、羨ましいことでもあります。大村さんは
「美術品は人類の共有財産。美術品を鑑賞する喜びを皆さんと分かち合いたい」
 とおっしゃっています。
 ノーベル賞と同じくらいの価値があるミュージアムです。

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2015/10/05

長谷川町子美術館は30周年

 用賀でFPの勉強会があったので、すこし手前でバスを降りて桜新町の長谷川町子美術館に寄ってみました。いま、美術館開館30周年記念 「長谷川町子が描いたサザエさん」が開催されています。
 通常、この美術館の企画展示は所蔵品コレクションを展示することが大半ですが、今回はサザエさんというこのミュージアムにとって本質的な展示です。ただ、ホームページに書かれた展示内容をみても、具体的な内容が想像できにくい。あまり期待しないでいったのですが、かなり充実した展示内容でした。
 展示は3つのパート①漫画の世界、②絵本の世界、③アニメの世界 に分かれています。「漫画の世界」はサザエさんの原画を展示の中心にして、漫画のサザエさんの歴史と長谷川町子の生涯を重ねあわせて展示しています。
「絵本の歴史」はことしのはじめに復刊された「サザエさんえほん」の内容展示。一部は原画が残っていて、興味深いものです。
「アニメの世界」ではサザエさんの家が楽しく再現されています。

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 長谷川町子の生涯を知ることができる「長谷川町子が描いたサザエさん」は魅力的な展示です。サザエさんは永遠なのかな、なんて思いながら館を後にしました。

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2015/05/10

ホキ美術館:写実絵画の世界

 千葉にあるホキ美術館にでかけてきました。日本初の写実絵画専門の美術館で、2010年11月に開館しました。千葉のJR土気駅からバスというちょっと不便なロケーションのため、なかなか行けなかったのですが、やっと訪れることができました。
 そもそも写実絵画とは何なのか。美術史をみれば写実主義という考え(思潮)があります。ネット出調べると「現実をあるがままに再現しようとする芸術上の立場」とあります。ホキ美術館のウエブサイトには
「画家が見たままに、そしてその存在を描いた作品。1年に数点しか描くことができないほど、画家が時間をかけて1枚の絵と向き合い、こつこつと緻密につくりあげた作品です」
 とあります。細密画と言ってもいいのかもしれません。
 この美術館にはホギメディカルの経営者であった保木将夫が集めた約350点の作品を所有しています。美術館は地下1階、地上2階の建物で、9つのギャラリーで構成されています。ここに約160点の作品が展示されています。これだけ多くの写実絵画をまとめてみる機会はめったにありません。多くの作品は日本人画家による作品です。どの作品も驚くほど細かく、丹念に描かれ、圧倒的な描写力に圧倒されます。
 昭和の森公園の隣、住宅街の一角にある美術館の建物も個性的です。展示室は外からみるよりずっとボリュームがあり、じっくり見ると1時間以上かかります。
 写実絵画というのは、わかりやすいですが、絵画から受ける印象をそのまま受け取っていいのか。もっと作品を読み込まなければいけないのでは。そんな思いをいだきながらの鑑賞でした。

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2014/06/22

栃木市の蔵の街美術館

 栃木県の栃木市は人口16万人ほどの市(栃木市という名前ながら県庁所在地ではありません)。ここにとちぎ蔵の街美術館という小さなミュージアムがあります。栃木市は蔵造りの町並みが残され、観光地として人気がある街です。
 とちぎ蔵の街美術館も約200年前に建てられた土蔵3棟を改修し、平成15年に開館した栃木市立の美術館です。地元ゆかりの作家の作品を所蔵し、公開しています。
 ウエブサイトには清水登之、喜多川歌麿、飯塚琅玗斎、橋本邦助といった作家の名前があります。美術史に詳しくない私にとっては存じ上げない作家が多いです。その中で高名な喜多川歌麿は栃木市とどんなゆかりがあったのかな。また奄美大島で暮らしながら創作活動を行った田中一村は栃木市の生まれで、田中の撮影した写真などを所蔵しています。
 現在は、「栃木市の美術と工芸」展が開催されています。蔵を改修した展示室は天井が低いですが、鑑賞には快適なスペース。派手さはありませんが、良質なミュージアムだと感じました。企画展も予定されています。機会を作って再訪したいと思います。

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2014/05/28

鎌倉の神奈川県立近代美術館

 鎌倉投信でお金の話を聞いた後、鎌倉駅へ向かう途中に神奈川県立近代美術館(鎌倉館)に寄りました。日本最古の近代美術館ですが、閉鎖問題で揺れています。
 美術館が建つ土地は鶴ヶ丘八幡宮のもので、2016年の土地契約満了をもって美術館を閉館とするというのが神奈川県の方針です。土地契約終了時に建物を壊して、更地で返還ということが契約にあるということで、異論、反論がでています。美術館の建物は著名な建築家・坂倉準三の設計。建築としても価値が高いとされているため反対論がでているわけです。
 展示室は2階。1階に降りると、そこには彫刻が置かれ、池の睡蓮が広がります。気持ちのいいスペースです。しかし、素人からみると、建物のどのあたりが価値が高いのか。よくわかりません。
 鶴岡八幡宮は休日のため多くの観光客で賑わっていました。その一方、近代美術館あたりはひっそりとして、来場者も少ない。ここを残すためには、よほどの理由がなければ難しいのではないか。そんなことを思いながら美術館を後にしました。


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2014/05/05

川村記念美術館へ

 連休の合間にドライブがてら千葉の佐倉にあるDIC川村記念美術館に行きました。実はこのミュージアムを訪れるの初めてです。編集の仕事をしていた頃、DIC(かつての大日本インキ化学工業)といえば、印刷で使う色見本の定番という印象がありましたが、いまはどうなんでしょう。
 ミュージアムのロケーションはよくはありません。特に東京方面からいくとかなり遠い。公共交通機関だとJRの佐倉駅もしくは京成佐倉駅まで行って、そこから無料の送迎バスで行くことができます。地元の人以外は、ちょっとした旅という感じです。
 ミュージアムのコレクションはDIC創業者の川村一族が集めたものを公開することを目的にして作られたもの。広大な敷地の中に、ミュージアムはあります。

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 コレクションは印象派から現代美術に至る西洋絵画、近代の日本画、彫刻など様々な時代の作品があります。現在は「コレクションは語る」と題して、コレクション作品と文字・言葉・テクストの関係に着目し、企画展示が展開されています。
 このミュージアムの売りのひとつに、ロスコ・ルームがあります。マーク・ロスコの「シーグラム壁画」7点を展示した部屋。もう少し広いスペースかと想像していましたが、意外とこじんまりした場所でした。
 素敵な美術館です。コレクションも充実しています。たっぷり時間をかけて、訪れないともったいない。そんなミュージアムです。

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2014/04/13

ポスカホリックを作ってみる

 どこのミュージアムショップでも売っているのポストカード。いちばん手頃なグッズなので、購入することも多いです。しかし、このポストカード、死蔵されているのが現状。せっかく買ったポストカードを出すのももったいないし、そもそもハガキを書く機会はめっきり減りました。
 ミュージアムのポストカードを活用するために「ポスカホリック」というものがあります。ポストカードを収めて、自分仕様の画集をつくるアルバムです。ポスカ(ポストカード)+ホリック(holic=中毒)=ポストカード中毒という意味かな。朝日新聞が商品化しています。
 先日、このポスカホリックのワークショップに参加してきました。現在三菱一号館美術館で開催中の「ザ・ビューティフル」展の関連企画として行われたものです。主催は経営学習研究所というお堅いところ。以前お目にかかったことのある理事さんからお誘いをいただき、参加してきました。
 ポスカホリックにポストカードを収め、感想を書きこんだり、チケットも貼り付けたりして、自分なりの画集を完成させる体験ワークショップです。面白いです。
 ポスカホリックという素敵なアイディア。まだまだ知名度は高くないようです。ミュージアムファンにはおすすめです。

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2014/04/09

宇都宮美術館のこと

 もう先月のことになりますが、宇都宮美術館にいきました。なんで今更先月のことを書くのかというと、先週末サザエさんの長谷川町子美術館を訪れ、来館者の多さに驚き、「それに比べて宇都宮美術館は」と思い出したからです。
 宇都宮美術館は宇都宮市の設立したミュージアムです。建物の設計は岡田新一。最高裁判所、警視庁などの設計で知られる高名な建築家です。このミュージアムはエントランスから展示室まで開放的な快適な空間がつくられています。

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 訪れたのは3月最終の日曜日午後。企画展として「第4回 宇都宮美術の現在展」を開催中でしたが、展示室は混雑とはほど遠い状態です。ゆっくり鑑賞できるのですが、日曜にこの来場者だと、平日はどのような状態なのか。おおよそ察しはつきます。
 企画展は正直いって刺激的ではありませんでした。しかし、常設展(コレクション展)は椅子をテーマにして、面白いものでした。コレクションの椅子そのものに座ってマグリット作品を見るという場も設けられていて、鑑賞を楽しめます。またカンディンスキーの質のいい作品も展示されていて、これは刺激的です。
 宇都宮美術館、いいミュージアムだと思うのですが、市民の利用度はどうなのか。公立美術館に共通する問題です。運営者は真剣にミュージアムの生き残りを考えているのでしょうか。

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2014/04/06

桜と長谷川町子美術館

 今年の桜も見納めになりそうなので、桜新町に出かけてきました。たまたま隣町の用賀でFPの勉強会に参加したので、花見ついでに長谷川町子美術館に久し振りにいきました。近所のバス停から乗って途中、深沢の桜並木を通り抜けるコースで20分ほどで到着。

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 この美術家にきたのは何年ぶりか。土曜日ということもあって、来館者が多いです。長谷川町子のコレクションを公開することを目的に作られたミュージアムですが、2階建ての展示スペースは程よい広さで落ち着きます。
 現在は収蔵コレクション展「春爛漫/一期一会」が開催されています。桜、春の風景を描いた作品が展示され、季節を感じます。展示されているキャプションをみると2000年代に描かれた作品もあります。長谷川町子が亡くなったのは1992年ですから、没後も作品が収集されています。ミュージアムとして持続的に活動が行われています。
 桜と素敵な作品を楽しんできました。

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2014/03/13

堺屋太一美術館の頓挫

 ここまできて、今更何を言ういう感じの堺屋太一さんです。昨年持ち上がった堺屋太一氏の自社ビルを新宿区の美術施設にする構想を、堺屋氏自身が計画を撤退するとのこと。一昨日の朝日新聞によれば、中山弘子区長宛に文書を提出したと報じられています。
 当初は今年の6月開館を目指していましたが、この美術施設構想に対し議会などが反対、異論が続出。その結果、区は文化芸術振興会議の中に専門部会を設置し、ここで審議を始めていました。専門部会のメンバーは部会長が垣内恵美子政策研究大学院教授。それに美術史家で文化勲章受章者の高階秀爾氏、世田谷美術館館長の酒井忠康氏など重鎮が揃っています。
 審議はまだ始まったばかりのようで、今週末15日に予定されていた会議は当然中止です。
 記事によれば15日の会議では堺屋氏へのヒアリング、現地視察などが予定されていたそうです。突然、逃げ出したということですか。しかし、この美術施設構想、問題の責任は曖昧なまま即断で進めようとした区長にもあるのではないでしょうか。しっかりと区民に説明して欲しいです。
 

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2014/03/04

美しい馬頭広重美術館

 栃木への小旅行、目的のひとつは那珂川町馬頭広重美術館でした。平成12年(2000年)に馬頭町広重美術館として開館し、その後町の合併により、那珂川町になったため、現在の名称になっています。
 建物は隈研吾の設計によるミュージアムです。隈研吾といえば、歌舞伎座、根津美術館、サントリー美術館などの設計が思い浮かびます。和の素材を使った建物が印象的です。那珂川町馬頭広重美術館も木を主体にした美しい建物です。建物の中に入ると、落ち着いた雰囲気に、隈研吾の作品らしい和やかさを感じます。いいミュージアムです。

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 この美術館は実業家の青木藤作が寄贈した美術品(青木コレクション)が所蔵品の中心で、この作品を公開することを目的に作られました。歌川広重の浮世絵。それに加えて歌川国貞、川村清雄、、小林清親など4000点をこえるコレクションです。
 素敵なミュージアムで、広重の版画をみることができます。ただ、ここに辿り着くのはかなり大変。JR宇都宮駅から車で1時間ほどかかりました。東京からだと3時間はかかりました。公共交通機関だと、東武宇都宮駅から2時間に1本ほどのバスで1時間40分ほど。帰りの便を考えると、かなり不便。
 多くの人が訪れることは難しそうです。美しいミュージアムをみながら、ちょっと複雑な気持ちになりました。
 

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2014/02/13

小さな吉祥寺美術館

 吉祥寺は魅力的な街ですが、うちからはちょっと離れているのでめったに足を運びません。思いついて吉祥寺美術館に行ってみました。武蔵野市立のミュージアムですが、場所は駅からほど近いコピス吉祥寺というファッションビルの中にあります。
 商業ビルの中にあるミュージアムでは森美術館が思い浮かびますが、2002年開館の吉祥寺美術館は小さな美術館です。展示スペースは企画展示室、浜口陽三記念室、萩原英雄記念室の3つ。企画展示室は147㎡ほどのスペースですから、画廊ほどの広さです。
 浜口陽三、萩原英雄の記念室があるということは、両作家の作品を保有しています。2人とも武蔵野市の出身ではないので、作家として活動した時期に武蔵野市に住んでいたということでしょうか。吉祥寺美術館では 日本画、油彩、版画、写真など約2000点の作品を所蔵しています。
 専門の建物ではなく、ファッションビルに設置するというは、経費的には負担がかからず良い選択肢かもしれません。今後はこんなミュージアムが増えていくのではないでしょうか。

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2014/02/10

今回のミュージアム・サミット

 2日目のミュージアム・サミットにはいくことが出来ませんでした。午前中は横須賀線が逗子までは走っておらず、会場への唯一の交通機関であるバスが運休で、辿り着くのは無理。登壇者など関係者、遠方からの参加者は現地に宿泊していたので、2日目もサミットは行われました。ただ雪のため、午後予定されていた参加者による討論(ワールドカフェ)が割愛されました。
 Ustreamで配信されていたので、それを見ました。今回のミュージアム・サミットのメインテーマは「ミュージアムが社会を変える」。1日目のテーマは「国の文化政策と政治家の役割」2日目が「ミュージアムがコミュニティを創る」。(詳しいアジェンダはここを)全体のテーマはすごく大きい。はたしてミュージアムは社会を変えることができるのか。かなりハードルが高い課題です。
 ミュージアム関係者にとって、今回のテーマはどれほど響いたのか。1日目の会場で感じたのは参加者が前回より少なかったことです。登壇者、主催者側に方はかなりの人数だったのですが、参加費を払って参加した人は何人くらいだったのかな。定員は80人ですが、その人数はいなかったような感じでした。
 前回のサミットでは参加者同士で討論する時間がかなりあったのですが、今回は2時間足らず。それも雪の影響でカットされてしまいました。ほとんど時間が登壇者の講演、発表をきく形式でした。ちょっと残念です。
 ミュージアム・サミットの内容が変わってきたのは、ミュージアムが置かれている状況がますます厳しくなっているということではないか。そんなことを思った今年のサミットです。

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2014/02/09

雪の湘南国際村へ

 首都圏を襲った大雪の中、昨日出掛けてきました。「第6回 21世紀ミュージアム・サミット」というシンポジウム(会議?)に参加するためです。2年ごとに開催されるミュージアム関係者が集う場です。
 一昨年も参加させていただいたので、今年も申し込んでいたのですが、生憎の大雪です。会場は湘南国際村にある湘南村センター。会議場と宿泊施設を備えた施設です。三浦半島の小高い丘の上にあり、天気が良いときは相模湾、富士山の眺めが素晴らしい絶好の立地です。
 しかし、雪の日は最悪でした。朝、YCATからバスが出ているのでそれに乗ろうとしたら、運転手さんが「スタッドを履いていますが、雪で坂を上れないので、ふもとでチェーンをつけた別のバスに乗り換えていただきます」といいます。いまさら別なルートでいく余裕もなく、言われた通り、バスを乗り継いで会場へ。
 ミュージアムサミットは予定の時間から少し遅れて開始。しかし、天気予報通り、雪は強くなるばかり。午後2時過ぎ、「(帰りの逗子駅行き)2時35分のバスは予定通りですが、その後はバスの運行はわかりません。お泊まりでない方(遠方からきた人、登壇者、スタッフはここに宿泊)はこのバスに乗ることを強くおすすめします」とスタッフからのアナウンス。
 そこまで言われたら帰るしかないでしょう。吹雪のような状態の中、京急の逗子までバスでいき、なんとか帰宅しました。京急はその時点では運行していましたが、横須賀線はすでに運行を中止していました。京急も夜には運行中止。危なかったです。
 サミットは今日も予定されているのですが、参加するか迷います。久し振りの大雪に困りました。

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2014/02/01

茅ヶ崎市美術館と平塚市美術館

 ドライブがてら茅ヶ崎市美術館に出掛けてきました。企画展目当てではなく、まだ訪れたことのないミュージアムに行ってみようと思い立ちました。茅ヶ崎市が運営するこの美術館は、平成10年(1998年)の開館です。開館してまだ16年目ですから、自治体が運営するミュージアムとしては新しいほうです。
 美術館の沿革をみると、計画のはじめは1990年。まだバブル景気のさなかにあった時代です。その後、バブルがはじけても、計画は進められ、1998年開館に至っています。
 美術館の建物は大きくはありませんが、3つの展示室、アトリエ、ハイビジョンシアター、カフェなどがありますコレクションは茅ヶ崎にゆかりのある作家や作品を中心に約1,500点。施設はミュージアムが備える基本機能を備えていますが、ハイビジョンシアターは90年代に作られた多くのミュージアムにあるものですが、今は使われていないようです。

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 建物も快適でいいミュージアムですが、茅ヶ崎市の隣の平塚市には平塚市美術館があります。平塚市美術館は1991年開館。バブル期に計画され、設立されたミュージアムで、建物も大きい立派です。

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 この美術館ではかなりのコレクションを持っているようです。展示室ではコレクション展が開催されていましたが、私以外に観覧者は2人でした。平日はこんな感じなのでしょう。
 茅ヶ崎市美術館から平塚市美術館へは車で20分ほどで行くことができます。これほど近いところに2つの美術館が必要なのかと思わざるを得ません。今後の管理を考えると、行く末が心配になります。


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2013/11/29

堺屋太一のビルが美術館に?

 一昨日の朝日新聞の東京版にいささかあきれる記事が載っていました。記事によれば、作家の堺屋太一氏が新宿に所有する自社ビルの1、2階を所蔵する絵画などを展示する区立の美術展示室にして欲しいと申し出ている。堺屋氏は、ビルの1、2階を無償で新宿に貸し出し、「区立美術愛住館」(仮称・愛住はビルのある地名)にする。中山弘子区長は乗り気だが、区議からは「公平性に問題がある」と異論が続出し、構想が中断しているというのが、その概要。
 問題点はいくつかあって、まず堺屋氏が代表理事を務める財団法人「堺屋記念財団」が指定管理者として区から費用を年間1500万円受け取るとる予定であること。区議が問題視しているのは、入札で決めるのが原則の指定管理者を、区長の独断で決めようとしていました。また、堺屋氏は所蔵する絵画約300点を寄付するとしていますが、そのうちの3分の2が夫人の画家・池口史子氏の作品。
 堺屋ビルの1、2階はすでに美術施設にするつもりで、入居者に立ち退いてもらい、施設の改装や設計をはじめています。この改修費は堺屋氏が負担し、氏の死後は区の寄贈したいといいます。
 まあ、滅茶苦茶な話です。堺屋氏の考えも公的な施設とは何かを理解していると思えない。独断で構想を進めた区長は更にひどい。記事にある中山区長のコメント。
「区は限られた予算の中で、文化的なブランド力を高められる。堺屋氏側にとっても公立美術施設にでき、お互いにメリットがある」
 一部の作家の展示しかしないであろう施設を作って、文化的なブランド力が高まるとは思えません。
 このまま施設が実現したら、新宿区の文化レベルは最低ということを示すことになるでしょう。いますぐ、計画をやめてください。

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2013/11/13

世田谷美術館の豊富なコレクション

 砧公園の中にある世田谷美術館にいくと、「世田谷区というのは別格だな」と思わざるをえません。人口は約83万人と政令指定都市並みです。美術館の規模も大きく、ローカルの県立美術館にも匹敵する存在感。
 先日の日曜に会期を終えた「アンリ・ルソーから始まる素朴派とアウトサイダーズの世界」を見ましたが、企画展ながらすべて世田谷美術館のコレクションで構成されていました。ふつうは○○美術館展といった企画でなければ、企画展では自館のコレクションだけでなく、他館からの借用品も加えて構成されるのがふつうの姿。経費節減という事情もあるのでしょうが、自館のコレクションだけで企画展ができるのは、豊富な所蔵品をもっているからです。
 「アンリ・ルソーから始まる素朴派とアウトサイダーズの世界」では、コレクションの核であるアンリ・ルソーと内外の素朴派およびアウトサイダー・アートの作品 更に作品と関連する近現代作家の作品で構成されていました。草間彌生の70年代のコラージュ作品、マックス・エルンスト、ジョアン・ミロのブロンズ像といった珍しい作品も展示され、こんな作品をもっているのか、驚きでした。
 世田谷美術館のコレクション数は約15,000点とかなり多い点数です。これだけの数を所蔵している公立美術館は少ないと思います。常設展示ではいま「気になる、こんどの収蔵品」と題して展示が行われています。2008年から2012年の5年間に収蔵された作品を公開しているのですが、この5年でもかなりの数のコレクションが増えています。
 もう少し足場がよければ頻繁に通うのですが、車でしかいけないところがちょっと残念なところ。しかし、わざわざ出掛ける価値のあるミュージアムです。世田谷区が羨ましい(笑)。

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2013/08/31

逓信総合博物館が閉館

 大手町にある逓信総合博物館にいってきました。このミュージアムは今日限りで閉館です。大手町というビジネス街の中にあるミュージアムは、その歴史を閉じようとしています。
 なぜ、逓信総合博物館に出掛けたのか。実は小学生の時、ここへ何回か通いました。詳しい経緯は、頭の悪い子供なので覚えていませんが、ワークショップ(当時はワークショップなんて言葉はありません)みたいなイベントがあり、参加したのがきっかけ。その後、何回か通った記憶があります。家から近くはないのに、交通費とかはどうしたんだろう。親にいただいたのでしょう。
 当時の展示は、電話がメインでした。最新技術として教えてもらったクロスバ交換機というのを覚えています。固定電話しかなかった時代は、交換機に技術の粋が集められていました。携帯電話が主流の今はどんなテクノロジーが使われているのでしょうか。時はは流れました。
 逓信総合博物館の展示には懐かしいものがいくつもありました。撮影がOKだったので、写真を紹介します。

 ダイヤル式の電話とプッシュホン。いつ頃まで使っていたのだろう。

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 公衆電話も変遷しています。

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ポケットベルを使った時代もありました。

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 電話というメディアはこれからも進化するのでしょうか。電話という古いメディアの今後を思った逓信総合博物館での体験でした。

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2013/08/24

難度が高いすみだ北斉美術館

 昨日の朝日新聞東京版に小さく報じられた「北斉美術館建築 予算増で再入札」は、なかなか興味深いものがあります。内容は墨田区が2015年に開館を予定している「すみだ北斉美術館」の建築工事入札のことです。入札を行ったところ工事業者が「難度が高くて採算に合わない」と辞退し、入札不調になっていたということです。
 この建物の設計者はプロポーザル方式で選ばれた妹島和世。記事によれば「建屋が複雑に絡み合い、見る角度によって外観が変わるのが特徴」の建物で、予定価格は11億1千万円とされていました。この「すみだ北斉美術館」は区の資料によれば地下1階、地上4階で延べ床面積3500㎡。朝日新聞によれば建物の建築工事費は約18億円。これは適正な価格なのか。専門家でないでよくわかりません。区は補正予算を組んで、予算を増やす考えです。
 しかし、地方公共団体の財政が厳しいこの時代に、新にミュージアムを予定するとはある意味大胆。墨田区の25年度一般会計予算は約1000億円ですから、18億円ほどの出費は大きくないとは言えます。しかし、高名な北斉といえども、1人のアーティストに特化したミュージアムを作るということには、ちょっと驚きます。
 妹島和世の設計はきっと素敵だと思いますが、ミュージアムの価値はあくまでその中身です。墨田区の覚悟はどれほほのものなのか。再来年の完成が楽しみです。

すみだ北斉美術館ウェブサイト

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2013/07/25

お台場のサンダーバード

 お台場の日本科学未来館で開催されている「サンダーバード博」に行ってみました。この館を訪れのは久しぶりです。子供がまだ小さい頃にきたとき以来かも。行き損ねてしまいましたが、今年の前半には「波瀾万丈! おかね道―あなたをうつし出す10の実験」なんて面白そうな企画展をやっていて、最近企画が充実している印象のサイエンスミュージアム。
 さて、サンダーバード博ですが、何故いまサンダーバードなのか。日本のテレビで放映されてから47年が経過し、新しい映像があるわけでもありません。日本では何度もテレビで放映され、DVD、Blue-rayもでているので、幅広いファンがいるでしょうが、ちょっと唐突な企画な感もあります。
 ともあれ、古いサンダーバードマニアとしては、見逃すわけにはいきません。展示は4つのパートで構成されていますが、マニアにとっては「サンダーバードギャラリー」がいちばん嬉しい。サンダーバード1号から5号、ペネロープ号などの精密な模型展示にはこころ踊ります。

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 展示の後半は「先端技術展示」としてサンダーバードで描かれたシーンを現在の日本の技術と比較して展示します。日本科学未来館らしい展示であり、スポンサータイアップ的な企画です。
 開催初日のはNHKのニュースでも取り上げるほどだったので、かなり期待して行ったのですが、展示のボリュームはそんなに大きくなく、入場料1300円(大人)はちょっと高いかな。混雑しているかと思い、夏休み前の先週に訪れたのですが、空いてました。時間とお金に余裕のあるかたにはオススメします。


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2012/12/16

科学技術館のいま

 久しぶりに科学技術館に行きました。北の丸公園、武道館のそばにある科学の博物館です。何十年ぶりのことでしょうか、子どもの頃きて以来です。目的は展示をみることではなく、とある研修会を受けるためです。いまだ健在なのにちょっと驚きました。
 研修は建物の中にある会議室で行われたのですが、さすがに年季を感じます。調べてみるとオープンは1964年(昭和39年)といいますから、東京オリンピックの年。そばにある武道館や代々木の体育館、国立競技場と同じ年齢です。さすがに老朽化は隠せません。
 研修が始まる時間に合わせて、朝の9時過ぎに九段下の駅から科学技術館に向かっていると、館の手前にかなりの行列ができています。優に100人はいます。「科学技術館はこんな人気か?」と思いながら館の入り口に着くと、行列のわけが分かりました。とある衣料メーカーのバーゲンです。地下にあるホールがバーゲン会場でした。
 いまやサイエンスミュージアムでバーゲンをやる時代です。科学技術館の運営は日本科学技術振興財団という公益財団法人ですが、ここが貸し出してビジネスをやっているのでしょうか。つまらないことですが、興味を持ちました。
 ロビーは賑わっていましたが、バーゲンへの人が多そうです。科学技術館も運営が楽ではなさそうです。

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2012/12/06

東京都写真美術館とファンドレイジング

 恵比寿にある東京都写真美術館のファンドレイジングを担当されている方のお話をうかがう機会がありました。ミュージアム関係者の間では、この館が民間からの資金集めに成功しているということは有名です。ファンドレイジングがなかなか定着しないミュージアムで、ファンドレイジングの専任者を置き、企業などからの協賛金を集めています。
 企業、学校、団体などからの協賛は「支援会員」という制度で、1口30万円(年間)。今年の11月6日現在で支援会員になっているのは258法人です東京とはいえ、ひとつのミュージアムでこれだけの企業からの支援を受けていることは、継続的な活動の成果だと思います。
 写真美術館の年間予算は平成24年度で10億円。そのうち東京都からの予算が6.8億円、ファンドレイジングを含めた館の活動で集める自主財源が3.2億円。総予算の内、3分の1が自主財源というのは公立美術館としては驚くべき数字です。都からの予算は平成7年の開館時には20.4億円もありましたが、それが今年度はその3分の1以下です。しかし、開館時に20万人弱だった来館者が、昨年度は42万人です。お金がなくても、来館者を増やすことがきるというわけです。
 うかがったお話で印象深かったのは、民間から資金を導入することの意味。民間から資金を集めることは、多ければ多いほどよい、と思いがちです。しかし、公立美術館は税金で運営されています。
「公立美術館としての節度を持つ」
 という表現で、ファンドレイジングの姿勢を示されていました。やみくもに資金を集めることが正しいことなのか。公立ミュージアムと民間との関係について、改めて考えさせられました。
 東京都写真美術館の挑戦はこれからも続いていくことでしょう。

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2012/12/01

歴博への小さな旅

 シンポジウムに参加するため、歴史民俗博物館にいってきました。通称歴博、正式には国立歴史民俗博物館ですが、はじめての訪問です。私にとっては洛中洛外図の歴博甲本、歴博乙本を所蔵する博物館という程度の認識のミュージアムでした。
 うちからだと遠いのが、これまで行ったことがない最大の理由。最寄り駅は京成線の佐倉ですが、そこから15分以上歩きます。バスもありますが、博物館の前までいくのは1時間に2本程度です。JRの佐倉駅からもバスで行くことができますが、これは1時間に1,2本でそれも14時台までしかありません。
 シンポジウムの合間に企画展、常設展示を拝見しました。常設展示が広いです。時代に沿って第1展示室から第6展示室まで6つの展示室があります(第4展示室はリニューアルのため閉鎖中)。原始時代から現代に至るまで、資料、模型、映像などを使い歴史の変遷が展示されています。開館は1981年ですが、展示は古びた感じがないので最近リニューアルされたのでしょう。広大な展示スペースは、じっくり見ると半日はかかりそうです。
 これだけの立派な施設ですが、平日のため来館者は多くありません。小学生の団体が目立つくらいです。何故、国立でこれほど大規模な博物館が、こんな辺鄙な場所に作られたのか、という疑問が浮かびます。恐らく大人の事情があったのでしょう。でももったいないです。もっと便利なところにあったら、いろいろな利用が可能でしょう。
 佐倉へのちょっと小さな旅になりました。

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2012/11/18

石ノ森萬画館の再開とサイボーグ009

 昨日、石巻の石ノ森萬画館が再開されたことをニュースで知りました。大震災で大きな被害を受けてから1年8ヶ月での再開は、「石巻地域の被災した主要な観光・文化施設の中では初めてとなった」(河北新報)とのことです。昨年4月に現地でみたのは萬画館の周辺建物は津波で流されたひどい光景でした。そこからの復活は、関係者、支援者の大変な苦労、努力があったかと思います。
 石ノ森章太郎と言えば、私にとってはサイボーグ009です。小学生の時、「週刊少年キング」を愛読していました。いまから考えると、「マガジン」「サンデー」と比べてマイナーな週刊マンガ誌と言えますが、当時はそんなことは思わず、毎週楽しみにしていました。サイボーグ009が最初に連載されたのは、この週刊少年キングです。Wikipediaによれば連載開始は1964年。その後、「マガジン」「冒険王」「COM」などに連載されたようです。
 当時は石森章太郎というペンネームの頃でしたが、サイボーグ戦士という卓抜した発想のマンガに熱中しました。マンガを読むだけでなく、石ノ森章太郎の『マンガ家入門』まで買ってきて、マンガを描こうなんて大胆なことを夢想したことも。折しもサイボーグ009は映画「009 RE:CYBORG」が公開されています。サイボーグ戦士たちの現代版のようです。
 復活した石ノ森萬画館。サイボーグ戦士のように強く生き残ってくれることを願っています。

石ノ森萬画館ウエブサイト

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2012/10/26

東工大で益子焼

 大岡山にある東京工業大学博物館「東工大で益子焼  ~知る・ふれる・つかう~」展が開催されています。東工大と益子焼とは、珍しい取り合わせの展示です。東工大と益子焼の関係はどこにあるのか。
 益子に居を構えて本格的に作陶をはじめた濱田庄司は、東工大の前身である東京高等工業学校窯業科を卒業しています。またた濱田に憧れ東京工業大学に入学し、濱田を師として益子の地で修行を積んだ島岡達三もいます。2人は人間国宝になっています。東工大というのは芸術家も輩出しているのです。
 本展は東京工業大学博物館の特別展示として行われているもので、益子の陶芸家15人が作品を出展。展示された作品は、鑑賞するだけではなく値段が付けられ、買うことができます。まさに「知る・ふれる・つかう」というわけです。
 東京からはそんなに遠くはない益子ですが、まとめて作品をみる機会は多くはありません。出展している作家は濱田庄司の次男・濱田晋作、晋作の次男・濱田友緒をはじめ、年齢、キャリアも様々な人達。その作風もそれぞれ個性があり、魅力的な器が展示されています。
 東京工業大学と益子焼という挑戦絵的な展示は、この大学の新たなものに取り組もうという姿勢を感じました。素晴らしい企画展です。会期は28日までです。

「東工大で益子焼  ~知る・ふれる・つかう~」

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2012/07/31

中国の「博物館強国」計画

 ロンドンオリンピックメダル獲得数でトップを走る中国ですが、文化の面でも力強い姿勢を見せています。昨日の朝日新聞夕刊に「中国『博物館強国』計画」なる記事があります。記事の出だしにこうあります。
「中国が国を挙げて、博物館の充実に力を入れている。長大な歴史を誇り、世界的にも豊かな文明をはぐくんだ力を内外にアピールし、文化でも東アジアの主導権を握ろうとの思惑があるようだ」
 中国政府は昨年、「中国博物館事業の中長期発展計画」を策定し、博物館強国を目指してプロジェクトを進めています。記事によれば
「20年までに全国の博物館を6千館と、現状の約3400館から倍増させ、全国の総入場者数も、現在の年間3億人から10億人に増やすとしている」
 わずか8年で今の倍のミュージアムを作るという無謀とも思える計画です。さらには、
「博物館を愛国主義教育の基地として学校教育と連携させることや、外国人観光客向けツアーの創設、全国の博物館グッズの売り上げを20年までに年間1億元(約12億円)以上とするなど、政治・経済的にも活用し、もり立てることをうたう」 
 ということです。愛国主義教育の基地、というのが中国らしい。
 中国政府は博物館強国達成のため、潤沢な文化予算を用意しています。例えば政府が08年に打ち出した博物館の入場無料化では、減収分を補填するために、09年は20億元(約245億円)、10年は24億元(約294億円)もの補助金を全国の博物館に交付したそうです。
 我が国の文化予算は(ちょっと数字は古いですが)2009年で1,015億円(文化庁調べ)。全体で1000億円しかない日本と、博物館の無料化への補填金だけで200億円以上の予算を使い中国。スケールが違います。日本の博物館はいまだ有料のところがほとんどという現状を考えると、ちょっと情けなくなります。
 経済発展の次は文化政策の充実。かつて日本にもそんな時代がありましたが、これからは中国。この国のパワーはこれからも続くのでしょう。

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2012/07/21

マニアックに楽しい特撮博物館

 特撮映画を熱心に見たのはもう何年前のことでしょうか。小学校の頃、東宝の怪獣映画、テレビでのウルトラQ、ウルトラマンなどのシリーズ。もう40年以上も前のことです。その頃の懐かしい記憶が鮮やかに蘇ってくるのが、東京都現代美術館で開催されている「館長庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアでみる昭和平成の技」です。
 毎年、夏休みの時期にはジブリものの企画で集客をする現代美術館ですが、今年はちょっと変わった企画です。新世紀エヴァンゲリオンの監督庵野秀明が企画した特撮映画ワールドで、現代美術館らしからぬ企画ともいえます。
 しかし、特撮映画を見た世代にとっては懐かしく、魅力ある展覧会です。夏休みになると混雑するだろうと、その前の平日にいったのですが、それでも大賑わいです。驚いたのは若い世代が多いこと。女性もいます。特撮の同世代とは見えない若者たちです。
 展覧会では映画で使われた数々の模型、撮影セット、構想のスケッチなどなどが展示され、特撮映像が制作された技がさまざまな角度から紹介されています。大好きな海底軍艦の模型ももちろんあります(笑)。
 特撮映画と言えばなんといっても円谷英二の技術ですが、本展では円谷が作った東宝映画、ウルトラシリーズだけでなく、大映のガメラ、大魔神も展示されています。映画会社を超えた特撮ワールドが展開されているのが嬉しいです。またスタジオジブリが制作した短編映画「巨神兵 東京に現わる」も会場で公開されていて、これもワクワクする映像。
 会場にいると、遙か昔の楽しかった映像を思い出しました。今はCGで映像をつくれる時代ですが、当時特撮とはどれほどの価値、意味があったのか。そんなことまで考えさせられる素敵な展示です。マニアックなファンでなくても楽しめます。ぜひどうぞ。
 
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2012/07/14

橋下市長と文化

 昨日まで日経の文化欄に「橋下改革と文化」と題された連載記事がありました。橋下市長の文化に対する姿勢はかなり厳しいものがあると言われていますが、その内容をレポートした4回の記事でした。批判が中心と思って読んでみるとそうでもなく、橋下市長は文化にとって必要なことを行おうとしていることがわかりました。
 文楽協会や大阪フィルへの予算削減は批判もあるでしょうが、その一方で美術館、博物館の「地方独立行政法人(地方独法)」での一元運営とアーツカウンシル構想は興味深いものがあります。特に地方独立行政法人(地方独法)でのミュージアム運営は以前から大阪市が国に働きかけながら実現しなかったもので、橋下市長の突破力の期待が寄せられているようです。
 5つある国立の美術館は独立行政法人国立美術館という組織で運営されていますが、地方の美術館は行政の直営か外郭の財団が運営するかのどちらかです。また運営形態は指定管理者制度で行われているところも少なくありません。日経の記事によればこれまで国が独立行政法人を地方に認めてこなかったのは「指定管理者制度の導入を優先すべきだ」という理由が大きいとのこと。
 しかし、指定管理者制度はコスト削減を目的とするところもあり、ミュージアムの継続的な運営に対しては適さないとの批判も少なくありません。独立行政法人という形態がベストでないかもしれませんが、地方の美術館、博物館は独立採算の道を目指していかないと、存続は厳しいことは間違いがありません。
 橋下市長は文化行政の改革を語るとき、必ず口にする言葉が「自助・自立」だそうです。地方財政の困窮から、公的な予算だけで文化を支えることができないのは明らかです。新しい文化行政の枠組み作りが求められています。橋下市長の改革で、文化行政がどう変わるか。期待したいところです。

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2012/04/24

東京おもちゃ美術館で遊ぶ

 東京でミュージアムというと大きな展覧会をやっているところが思い浮かびますが、中には小さいながら個性豊かなミュージアムも少なくありません。四谷にある東京おもちゃ美術館はユニークな活動を行っているミュージアムです。
 東京メトロの四谷三丁目の駅から歩いて10分弱のところにある美術館は廃校になった四谷第四小学校校舎に入っています。この建物は昭和11年竣工という歴史があります。東京おもちゃ美術館は以前は中野にあったのですが、2007年地元住民の誘致をうける形で移転して、リニューアルオープンしたものです。
 東京おもちゃ美術館は認定NPO法人の日本グッドトイ委員会によって運営されている私立のミュージアムです。公立の美術館はどこも財政面で厳しい状況ですが、私立のミュージアムも状況は同様です。おもちゃ美術館は、独自の運営方法で、活動を継続しています。
 運営面での特徴で注目されるのは、一口館長とおもちゃ学芸員という制度です。一口館長は美術館基金への寄付をすることで、様々な特典があります。例えば1万円以上を寄付すると、寄付者の名前入りの積み木が入り口に飾られます。個人の寄付募集ですが、一口館長というネーミングがうまいと思います。
 またおもちゃ学芸員は、ボランティアのことです。一般的にミュージアムのボランティアは報酬はありません(ボランティアだから当然)。これに対しておもちゃ学芸員になるためには指定された講習を受けなければいけませんが、これが有料講習です。つまり、おもちゃ美術館でボランティアをするためには無償ではなく、お金がかかります。なかなか素晴らしいシステムです。
 おもちゃ美術館の来館者は子どもと親や祖父母がほとんどですが、おもちゃ学芸員の方はいきいき来館者に対応しています。とても楽しそう。この美術館では来館者よりボランティアのおもちゃ学芸員が主役ではないかと思えるほどです。
 東京おもちゃ美術館は、小さいながらとても魅力的なミュージアムだと思います。大人の方でも楽しめます。ぜひどうぞ。

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2012/02/25

国立美術館の収益が自己資金になるらしい

 昨日の朝日新聞に興味深い記事が出ていました。記事曰く
「国立の美術館や博物館などが入場料、グッズ販売などで得た収益金について、文部科学省は現行制度を見直し、各施設が独自に使えるようにする」
 とのこと。美術館、博物館事情に関心がない人には、よくわからないと思います。国立の美術館、博物館、能楽堂などは独立法人化されて運営されています。独法化はもう10年以上前で、文化に関わる法人は国立美術館、文化財機構(東京国立博物館はここに入ります)、日本芸術文化振興会(国立劇場、能楽堂など)の3法人あります(あと科学博物館が別法人)。
 独法化の運営では、それぞれの館が経営努力してあげた収益は国庫に召し上げられる仕組みです。これでは「職員の頑張りが報われず、民間的な経営理念が育たない」(朝日新聞の表現)ということになりかねません。これに対し文部科学省は現行制度を見直し、各施設が独自に使えるようにするととのこと。これは以前から問題として指摘されていたことで、やっと法人らしいまともな仕組みになるということですかね。
 記事を読んで驚いたのは
、「野田政権は、現在102ある独法を65法人に再編する方針。この改革で、3法人は「文化振興型法人」として統合されることが1月に閣議決定された」
 ということ。こんなこと知らなかった。新聞などマスコミでも詳しくは報じられていません。要は無駄なお金を削減しようということなんでしょう。
 この制度見直し、2013年にも実施する方針だそうで、これを契機に国立のミュージアムなどが変わっていくのか、まだまだ未知数なことが多いように思います。今後の動向に注目です。
 

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2012/02/06

100人で語るミュージアムの未来 その2

 この週末、「21世紀 ミュージアム・サミット」に参加してきました。このミュージアム・サミットは2003年に第1回が開催され、以後隔年で行われていて、今回が第5回になります。第1回から第3回までは国内外からミュージアム著名な関係者を招いての講演、討議が行われる形式ですが、前回の第4回は参加者が討議をしていく「100人で語るミュージアムの未来」が中心となる内容で行われました。
 今回のサミットは「100人で語るミュージアムの未来 Ⅱ」とされ、参加者が分科会に別れてミュージアムの抱えている課題と問題解決の方法について語り合う内容を中心に行われました。会場にはミュージアムで仕事をしている人(館長、学芸員、ボランティアなど)、研究者、企業人、NPOで働いている人など、ミュージアムに関わっている様々な人々が100人以上集いました。
 基調講演として、1日目に作家の池澤夏樹、2日目にジョン・ホールデン(英国シティー大学客員教授)がありました。参加者が討議する分科会は、討議のテーマは次の4つ。
・営む知恵 (ミュージアム・マネジメント)
・高め合う市民とミュージアム (ミュージアム・リテラシー)
・選ぶ、残す、伝える、使う  (ミュージアム×アーカイブズ)
・人が集まるミュージアムのつくり方 (ミュージアムの企画とパブリック・リレーション)
 
 ミュージアムの置かれている状況は、「冬の時代」とも言われ、どの館も厳しい状況です。その中で、ミュージアムに関わる人々は、改善、改革への取り組みのため、真剣に努力をされています。私はミュージアム・マネジメントの分科会に参加したのですが、ミュージアムに関わるプロの方に囲まれて、教えていただきながら、充実した討議をすることができました。
 ミュージアムのこれからの道筋を考えることができたミュージアム・サミット。とても有意義な時間を持てた2日間でした。
 
2012 ミュージアム・サミット

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2011/11/29

全米博物館協会からのメール便

 一昨日だったか、簡素なビニールに包まれたクロネコヤマトのメール便が届きました。なにか広告かと見てみると、宛名が英語で書いてあります。ELVIS.COMかなとよく見ると、と題字の入った冊子です。The American Association of Museumsの会報が来たことにやっと気付きました。
 The American Association of Museumsに9月だったか、入会しました。全米博物館協会と訳せばいいのでしょうか。アメリカのミュージアム学会に入ろうと探したのですが、どうやらこのThe American Association of Museumsが大きな組織のようで、何事も体験と入会してみたわけです。日本での学会とはちょっと違うようです。全米のミュージアムを束ねる組織、といった感じでしょうか。
 ともあれ、年会費90ドルを払って入会したThe American Association of Museumsですが、会報が送られてくるとは思っていませんでした。面白いのは会報の包装。なんといえばいいのか、密閉されていないビニール袋です。なんといえばいいのか、ポケットティッシュの袋を開けたような袋の大きなものです。こんなんで、遙かアメリカから来たなんて。おまけに日本側はクロネコのメール便です。ちょっとすごい。
 
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2011/11/04

面白い! カップヌードルミュージアム

 カップヌードルって最初に食べたのはいつなんだろう。思い出せない。こんなことを思いながら、「カップヌードルミュージアム」を楽しんできました。カップヌードルミュージアム、正式名称は安藤百福発明記念館。9月17日に横浜に開館したインスタントラーメンをテーマにした究極のテーマミュージアムです、
 場所はみなとみらい駅から歩いて10分弱。新しく建てられた5階建ての建物です。カップヌードルミュージアムですが、その内容の多くは日清食品の創業者であり、インスタントラーメン、カップヌードルの発明者・安藤百福の業績をたどる展示です。その内容は映像などを駆使した展示で楽しく作られています。安堵の仕事がよくわかります。
 今回時間がなく体験できなかったのですが、自分オリジナルのカップヌードルが作れる「マイカップヌードルファクトリー」とチキンラーメンができるまでを体験できる「チキンラーメンファクトリー」が大人気でした。特に家族連れ、カップルの方には絶好のエンターテイメントスペースです。

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 日清食品がやっているる企業ミュージアムなので、本来は無料なのが筋でしょうが、しっかり入場料500円がかかります。また、マイカップヌードルファクトリー、チキンラーメンファクトリーも別料金。しかし、平日ながら多くの人で賑わっていました。企業としてはお金をいただいて、商品の宣伝、広報ができるんだから、これ以上のことはありませんね。きっと休日は大混雑なんでしょう。
 ミュージアムとは何か。いくつものことを考えさせてくれるカップヌードルミュージアムでした。

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2011/10/23

贅沢なLOUVRE-DNP MUSEUM LAB

 東京・五反田にあるLOUVRE-DNP MUSEUM LABに久しぶりに行ってきました。ここはパリ・ルーヴル美術館とDNP大日本印刷による共同プロジェクトスペース。ルーブル美術館の作品を数点展示し、この作品について絵像、音声を駆使したマルチメディアコンテンツで鑑賞できるシステムが提供されています。
 定期的に企画展を行っていて、現在は今月8日から始まった「「来世のための供物展 古代エジプト美術から読み解く永遠の生への思い」が開催中です。 古代エジプトの祭礼についての考え方を7点の作品をもとに解説してくれるものです。このLOUVRE-DNP MUSEUM LABの特徴は映像、音声を活用した展示システムです。久しぶりに見た内容は、システムが進化していました。すごくお金がかかっている感じです(詳しくはここを)。
 展示スペースは展示室、シアター、ホワイエの3つですが、見終わったら1時間くらい経っていました。なかなか内容が濃い展示です。これだけの中身がありながら、入場は無料(事前予約が必要です)。土曜日ながら来場者も多くなくゆったりと鑑賞できました。なんとも贅沢なスペースです。

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2011/09/09

藤子・F・不二雄ミュージアムは新しくて、懐かしい

 今月3日に川崎市立の藤子・f・不二雄ミュージアムが開館し、昨日いってきました。場所は、川崎市生田のかつて向丘遊園地があったところです。向丘遊園地が閉園したこと、知りませんでした(ここで30年ほど前、会社の運動会をやったことがあります)。小田急の向丘遊園地駅からも歩けますが、登戸駅から藤子・F・不二雄のキャラクターが描かれたシャトルバスで10分ほどでいけるので、これが便利です。

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 ミュージアムは藤子・F・不二雄が川崎市生田に長らく住んだことにより、この場所につくられました。そもそも私の世代には、藤子・F・不二雄より、藤子不二雄に馴染みがあります。藤本弘と安孫子素雄のコンビが藤子不二雄。このコンビは、1054年から1987年まで続き、その後藤子・F・不二雄と藤子不二雄Ⓐになりました。
 藤子・F・不二雄の代表作は、オバケのQ太郎(共作)、パーマン、21エモン、そしてドラえもん、キテレツ大百科。一方、藤子不二雄Ⓐは忍者ハットリくん、怪物くん、プロゴルファー猿、笑ゥせぇるすまん。私としては「少年キング」(マイナーかな)で子供の頃読んでいた怪物くん、フータくん(これもⒶ)が好きでした。
 さて、ミュージアムは3階建てで、1階、2階が展示室。3階はカフェと周囲の環境と一体となったはらっぱになっています。1階は原画を展示を中心とし、作品と藤子・F・不二雄の生涯をみせてくれます。2階は企画展示室がメインになっていて、作品をビデオ映像を交えて紹介しています。

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 ミュージアム鑑賞の特徴として、来館者すべてに貸し出される「おはなしデンワ」という端末。ミュージアムで有料でサービスされている音声ガイドと同じものです。展示コーナーに番号が掲示されていて、その番号を押すと解説をきくことができます。大人用と子供用の2つのプログラムが用意されています。
 ミュージアムへの入場は日時指定の予約制で、ローソンで購入です。三鷹のジブリ美術館と同じ方式ですね。ただ、ジブリほどは混雑しておらず、いまのところ平日であれば空いていて、かなり前から予約をするほどではないようです。
 懐かしくもあり、新しさもあり、楽しい藤子・F・不二雄ミュージアム。自治体の財政状況が厳しい中、この時期にオープンするミュージアムは珍しいこと。その成果はどうなるか、注目です。

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2011/08/07

安藤忠雄の美術館・博物館

 一昨日だったかセブンイレブンで見つけて買ってきた『安藤忠雄の美術館・博物館へ』。Casa BRUTUSの特別編集版です。1300円と高いですが、このテーマでやられると買わざるを得ません。Cas BRUTUSでは前にも安藤忠雄の特集号をだしていて、こんどはミュージアムという企画とはなかなか商売上手です。
 160ページ余りの本ですが、中身が全部安藤忠雄が設計したミュージアムです。たくさんありますね。国内だけでなく海外での仕事も多い安藤ですから、こんなに多いのでしょう。こうして一冊もまとめられると明らかにひとつの個性が感じられます。力強さの様式とでもいうのでしょうか。パワー溢れる作品が多いことに気づきます。
 巻末に安藤が設計したミュージアム一覧があるのですが、国内だけでも32もあります。修士論文を書いたときに調べてリストを作ったのですが、そこにないものがいくつもありました。資料としても貴重な一冊です。
 でも、本でみるだけではつまらないですね。建築は現物をみないといけません。

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2011/07/28

節電と収蔵品保護

 首都圏の節電で、特に温度管理が必要なものはその対策が大変のようです。博物館、美術館は収蔵品の保存庫のため、空調を一定レベルに保つ必要があります。ここまで節電することはできません。その対応状況が一昨日の日経新聞夕刊で報じられています。
 東京国立博物館は契約電力2400キロワットの大口需要家で、15%削減の義務付け対象。電力使用の半分は館内の空調で、11万点の文化財の保護に微妙な管理が欠かせません。
「例えば漆で作られた仏像は湿度53~57%に保たなければ、カビが生えたり乾いてヒビが入ったりする」
 大変です。東京国立博物館では事務所の節電では追いつかず、3D映像などを鑑賞できる施設を7月から平日は休止し、別館の黒田記念館の夏季閉館期間を約1カ月延長して対応しています。
 東京国立近代美術館では、展示や収蔵品に配慮し事務所を中心にした節電していますが、
「さらに節電が必要になれば、展示室フロアの一部閉鎖も考えざるをえない」
 といいます。
 ちなみに、現在近代美術館で開催されたいる「パウル・クレー おわらないアトリエ」展では、出品者の貸出条件により室温が20度程度と低く設定されています。来場者が多い会場でも涼しかったです。展示室の温度管理は難しそうです。
 収蔵品の管理が重要な美術館、博物館に一律の節電を求めるのは無理がありようです。

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2011/06/20

府中市美術館へいってきた

 東京近郊にあるミュージアムでまだまだ訪問したことのないところは、まだまだ多い。東京都府中市にある府中市美術館もそのひとつで、やっといってきました。このミュージアムは府中の森公園の一角にあり、公園の中の美術館という点で世田谷美術館と同じ環境にあります。建物の大きさもほぼ延床面積をみると同じくらいの規模(8000平方メートル前後)です。
 府中市美術館が開館したのか2000年10月と比較的新しいミュージアムです。施設としては常設展示室、企画展示室、市民ギャラリー、図書室、創作室、カフェ、ミュージアムとして必要な機能はほぼ完備しています。そして洋画家の牛島憲之記念館もあります。
 美術館では現在企画展の「府中市美術館の50点」を開催しています。所蔵品(約1800点)から50点を選び展示しているもので、<江戸絵画><西洋絵画><近代洋画><現代美術>の4つのカテゴリーで構成されています。コレクションは江戸から現代まで幅広い年代をカバーしています。いろいろな作品をみることができるわけですが、その一方で特徴のない展示とも言えます。もう少しコレクションの方針を明確にしたほうがよかったのではないかと感じました。
 人口25万人ほどの府中市。そこにあるちょっと大きめのミュージアム。展示室は日曜にもかかわらず、人は少ないのがちょっと気になりました。

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2011/06/18

美術館の震災被害

 震災で被害を受けたミュージアムは、現在どんな状況なのか。今日の日経新聞文化欄では「美術館、震災後の課題次々 」と題し、今後の防災対策への課題がまとめられています。記事で示されている課題は、地震による建物、展示施設などの破損、原発問題、節電対策。
 地震により多くのミュージアムが被害を受けました。宮城県美術館では展示ガラスが割れました(日経新聞の写真を貼らせてもらいます)。企画展示室のガラスかな。ひどい状況ですね。

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 日経新聞によれば再開のめどはたっていないとのこと。水戸芸術館もかなりの被害を受けましたが、ウエブサイトによれば7月30日から企画展を再開します。
 地震の被害より甚大なのが福島原発の問題。福島県立美術館では
「6月に予定していた米国の個人コレクション展の開催を中止。秋に会期をずらしての開催実現を貸し主に働き掛けている」
 といいます。作品の貸出を受けられなければ、企画展の開催はできません。美術館では独自の対策を講じています。
「館の内外50カ所に測定器を設置し、定期的に詳細な放射線量のデータを包み隠さず報告。館内は事故前と変わらない低い数値であることを相手に伝えている」
 ここまで行っても貸し主は不安感をもっており、秋の開催実現は不透明とのこと。厳しいです。
 そして節電。この夏の電力不足問題に対して、企業、家庭に対策を求められていますが、ミュージアムも同じ状況です。収蔵品保護のためにはセ氏22度を維持することが望ましいとされるそうです。しかし、15~20%という節電要求ではこの規準を保つのも厳しい状況でしょう。
 ミュージアムの課題に対し、これまでにない発想で対応していかないと解決策は見いだせないかもしれません。記事では館の連携を指摘しています。ひとつの館、自治体では解決できなければ、ネットワークをつくっていくのも有効な方法かもしれません。
 

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2011/06/01

平塚市美術館へ

 東京近郊にはいくつも公立のミュージアムがあります。博物館はもちろん多くの自治体で運営されているのですが、美術館もいくつかあります。神奈川県の平塚市美術館もそのひとつ。見る機会がなくありませんでしたが、昨日行ってきました。美術館は平塚駅から徒歩20分ほどのところ。歩くのはちょっと距離がありますが、バスがあり、本数も多いので不便はありません。
平塚市美術館が開館したのは1991年3月。今年でちょうど開館20年です。市役所、中央図書館、博物館など公共施設がある一角にあります。

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 立派な建物です。設計は日建設計。いかにもバブル期に計画されたミュージアムだなと感じます。展示室は2つと市民ギャラリー、ホールもあります。常設展示室はなく、企画展に使う展示室で適宜コレクション展を行っています。
 建物の特徴は展示室前に広がる広い空間。ここまで、と思えるほど広大なスペースです。

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 ちょっと不思議なのは、これだけの広い空間がありながら、何故か美術館らしい非日常な感覚になれない。どうしてなんだろう。目黒区と同じほどの人口の平塚市。美術館は平塚市のほうが大きいです。単純に比べてもしかたありませんが。

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2011/05/10

100人で語る美術館の未来

 ちょっと前にでた『100人で語る美術館の未来』という本なのですが、最近読み終えていい本と思うので紹介します。本書は昨年2月に行われた「第4回ミュージアムサミット 100人で語る美術館の未来」(財団法人かながわ国際交流財団などが主催)の内容を中心に構成されています。
 このミュージアムサミットの内容はこれまで『ミュージアム・パワー』『ミュージアム新時代』という2冊にまとめられています。この2冊に比べて今回の『100人で語る美術館の未来』は編集に工夫があります。ミュージアムサミットの内容だけでなく、このサミットを受けての座談会とアート関係者へのインタビューを行い、収録しています。
 サミットの中身は、その会場にいないとビデオなどのビジュアルをみることができないので、本で読んでも実感として理解できないところがあります。ここに座談会、インタビューを加えることで、サミットの目指すところが分かりやすくなったと感じました。
 かなり盛りだくさんの内容です。ミュージアム関係者、特に現場の方は日々いるいろなことにチャレンジして、ミュージアムが置かれた状況と闘っていることが少しだけですが、理解できました。ミュージアムがお好きな方にはおすすめです。


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2011/05/03

アートと建築を巡る旅

 一週間ほど前に大学の生協で見つけた『日本の美術館ベスト100ガイド』。Casa BRUTUSの特別編集ムックですね。たぶんこれまでに取材したネタを使って編集した一冊だと推測します。ふつうだとパスするところですが、大学院でミュージアムについてかかわらなければいけないことになり、つい買ってしまいました。
 美術館ベスト100が選ばれていて、「いくつ行ったか」数えてみたら、わずか38。少ないですね。西の方面にはほとんど行ったことないですから。でも、日本には美術館ほんと沢山あるんですね。
 このムックの副題は「アートと建築を巡る旅へ!」。記事を読んでいて、行きたくなったのはホキ美術館。ユニークなデザインをした建物ですね。3月に修士論文が合格したら行こう、なんて考えていたのですが、いろいろあって行きそびれてます。連休終わったら、ミュージアムを巡りに行きたいです。

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2011/05/01

「被災ミュージアムの支援と危機管理対策」の第2回

 昨日三田の慶應で行われた公開講座「第2回被災ミュージアムの支援と危機管理対策」に参加してきました。先々週に行われたものを受けて、今回は「海外の危機管理に学ぶ  被災ミュージアム復興の課題」という論題で具体的な内容で、また登壇者も豪華でした。
 内容を紹介しておきます。
・被災文化施設の最新報告と課題
山村真紀(ミュージアム・サービス研究所)
・ドイツ・ドレスデン国立美術館の水害被災と諸外国の危機管理対策
岩渕潤子(慶應義塾大学大学院政策メディア研究科特任教授)
・被災したミュージアム支援のために
南條史生(森美術館館長)
・被災ミュージアムの復興支援と危機管理対策
鈴木隆敏(慶應義塾大学大学院アートマネジメント分野講師)
・特別講演「震災復興の基軸は文化と芸術」
近藤誠一(文化庁長官)
 第1回の講座で文化庁の課長さんが話された「文化財レスキュー」の具体的な実践内容が紹介されました。4月28日の日経新聞にも記事になっていましたが、宮城県石巻市にある石巻文化センターでの事例が写真を交えて奉公されていました。この石巻文化センターのことは、先日宮城県に行ったとき、ちょっと教えていただいたのですが、なかなか大変なようです。
 この石巻文化センターから今後、岩手、青森へと文化財レスキューは進んでいくそうですが、かなり時間のかかる仕事になりそうです。予算措置がしっかりなされるかどうかが、心配な点です。
 南條さんと、近藤文化庁長官の話が無料できけるなんてとても得した感じですが、これだけの登壇者なのに会場では超満員ではありませんでした。USTREAMでも中継されていましたが、視聴数は多くはなかったようです。このテーマに関心があるのは、ミュージアム関係者だけかもしれませんね。
 被災地のミュージアム再建、復興にはやるべきことは厖大にあります。これからも息の長い支援活動が必要なこと。まずは自分がなにをやるか考えなくてはいけません。そして行動ですね。

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2011/04/13

東京国立博物館でお花見

 先週末、東京のお花見はどうだったのでしょう。自粛ムード、ビールも品薄では盛り上がらなかったのかもしれません。桜の名所のひとつ、上野公園に出かけてきました。最近、ほとんど外出もしていなかったので、たまにはと東京国立博物館まで行ってきました。
 東博はいつもより短い午後4時までの開館。それに「写楽展」のオープンが延期になってしまい、この時期は常設展(総合文化展)だけの開催です。「博物館でお花見を」なる企画展が開催されていて、お花見や桜にちなんだ数々の作品が展示されています。
 この時期、博物館の庭園が解放されています。ふだんは入る機会がないところですが、綺麗に桜が咲いています。弁当とかは持ち込むのはダメでしょうが、移動式(クルマ)の喫茶販売があって、コーヒーは楽しめます。桜はちょうど散り始めてきたところで、あと数日が見頃でしょう。庭園解放は17日までなので、上野公園にいく方はよってみたらいかがでしょうか。

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2011/03/21

東北地方のミュージアム状況

 首都圏の美術館、博物館では、地震による一時休館していましたが、先週末から少しずつ再開してしています。しかし、東京国立博物館のようにまだ再開の予定が決まっていないなど、その影響は小さくないようです。
 東北地方のミュージアムの被災状況はどうなのか。地震直後に、ミュージアムの被災状況の情報共有サイトが作成されています(私もささやかに情報を提供させていただきました)。
東日本ミュージアムの被災状況、救援状況
 いくつかのミュージアムを調べてみると、岩手県立美術館が先週18日から再開していますが、青森県、宮城県はまだ再開していないところが多いようです。たとえばせんだいメディアテークは、ネットで広まっている写真をみると天井が落ちているところもあり、復旧には時間がかかりそうです。
 アートという点でみると、アーティスト、クリエイターによる被災地のためのチャリティー支援の活動団体「ACT FOR JAPAN」が立ち上がっています。ACT FOR JAPAN(FACEBOOKのLINKのため、ログインしないとみられなかもしれません)
 被災地のために何ができるか。知恵を絞らなくてはいなけないと、自らに言い聞かせました。

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2011/02/09

東博の「総合文化展」

 上野の東京国立博物館に行ってきました。学生証を出すと割引になるので、それが使える3月末までにできるだけ活用しないと思っていたのですが、なかなかいけません。久しぶりの東博です。せっかくですから「仏教伝来の道 平山郁夫と文化財保護」をみてきました。この展覧会については後ほど書くつもりですが、ちょっと驚いたことがあります。
 これまで「平常展」といっていた展示が、「総合文化展」という名称に変わっていました。どうやら、この1月から変わったようです。総合文化展、ですか。なんかデパートの展示会みたいですね。馴染みません。どうしてこんな名称に
してしまったのでしょう。
 確かに平成館で行われる特別展にはいくけど、その後平常展に寄ることはあまりない、という人も少なくないかもしれません。確かに平常展示を見ないで帰るのはもったいない、とは思います。それを、総合文化展と変えて、鑑賞者が増えるのでしょうか。疑問だなあ。
 東京国立博物館もいろいろ大変なのかもしれません。

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2011/02/03

群馬県立館林美術館にいってきました

 大学院の修士論文を書き上げる前に見ておきたかったのですが、時間がなく、いくことができなかった美術館にいってきました。群馬県立館林美術館。大学の先生から、設立やコレクションについて、ちょっと良くないことをきいたので、興味をもっていました。
 さて、群馬県館林は初めていくところです。東京からは近くはありません。うちからだと、まず渋谷に出て、そこから新宿湘南ライン経由、東北本線の久喜まで約1時間。そこで東武東上線に乗り換えて、多々良という駅で下車。そこから徒歩20分ほどで着きました。遠いです。館林駅からバスがありますが、本数は極端に少ない。美術館の周りは、公園以外ほとんど何もありません。なんで、こんなところに作ったんだろう、という疑問がわきます。場所が悪すぎです。
 美術館の建物を設計したのは、高橋靛一。展示室を構成する建物は緩やかな曲線を描くような形状。建物の中には階段がない1階建てです。美しい外観ですが、建物の外側に貼られたアルミパネルからは、冷たい印象を受けます。

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 この美術館、別館があります。洋風の建物なんですが、妙に浮き上がっています。美術館のコレクションの柱として、フランスの彫刻家フランソワ・ポンポンの作品があります。この別館はポンポンのアトリエを再現した「彫刻家のアトリエ」というものです。問題なのは、どうもこのポンポンのコレクションの内容のようです。確かな資料がないのここでは書くことを控えますが、ウキペディアにはとんでもないことが書いてあります。


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 群馬県には1974年に開館した群馬県立近代美術館があります。館林美術館は2001年の開館ですが、2つも県立美術館が必要でしょうか。なにやら事情があったのでしょうね。
 来場者、少なかったですね。この美術館の将来はどうなるのか、ちょっと心配です。

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2011/01/15

「地域の実験場」としての美術館

 今日の日経新聞文化欄にこんなタイトルの記事がありました。<展覧会だけでなく… 美術館、地域の「実験場」  多様な人材 アートで結ぶ > 。美術館が地域のアートへの様々な試みへの実験の場になっている取り組みを商会する記事です。
「展覧会の開催や作品の研究ばかりが美術館の仕事ではない。地域や異分野の人的資源を結びつけ、多様な実験や研究を実現するセンターとしての役割が問われている。求められる美術館を目指し、各地で始まった試みを追った」
 とあります。
 記事では、3つの事例画商海佐入れています。水戸芸術館の「大友良英 アンサンブルズ2010―共振」展の企画関連公募企画「音のあるまち」での取り組み。地元の団体「MeToo推進室」が関わって展示室の外でのイベントが行われています。
 また、東京都現代美術館で開催中の「東京アートミーティング トランスフォーメーション」展は、長谷川祐子事業企画課長と多摩美術大学芸術人類学研究所の中沢新一所長の共同企画。長谷川さん、学芸員として有名な方ですが、自らの名前を出しての企画展は珍しいのでは。「東京アートミーティング」は、現代アートと他の専門領域の出合いがアートの可能性を広げるという発想を込めた言葉、だそうでなかなか面白うそうです。
 富山県立近代美術館は、小中学校や高校の生徒が自分たちで内容を企画して発表するという「みんなのアート・ミュージアム」展を毎年開催していて、今年で4回目。記事にある生徒の作品は、いいですね。新校舎建築で取り壊される古い校舎をイメージしたインスタレーションです。
 記事で取り上げている地域におけるアート実験場という活動は、特にいま始まったわけではないですね。少なくない美術館でこのような展覧会の枠をはみ出た活動は行われていると思います。この流れが近年特に強まってきた、ということではないでしょうか。ミュージアムの現場は、どこも試行錯誤していて、まだまだ発展しそうです。

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2010/12/19

館を巡る明暗

 偶然でしょうが、昨日の日経新聞にいわゆる「館」、資料館、博物館について対照的な話題が2つ掲載されていました。ひとつめは<らいふ>欄にある「懐かしのヒーロー・CM 資料館にぎわう 」という明るい話題。記事によれば、
「胸を躍らせたあのヒーロー、記憶に刻まれたテレビCM――。アニメや広告といった、身近なメディアの歴史や面白さを学べる資料館・博物館が人気だ。映像などの展示物や関連資料が充実し、高齢者から子どもまで世代を超えて楽しめる」
 だそうです。国内で初めての広告専門の資料館「アド・ミュージアム東京」(電通の関連財団がやっているんですよね、確か)、アニメの博物館「杉並アニメーションミュージアム」、NHKが運営する「NHK放送博物館」が紹介されてます。どこも入場無料ですが、無料とは思えない展示がされていて、来場者の感動の声が報じられています。
 一方、社会面には「印刷局・JAXA・陸自… ハコモノ広報館寒風  仕分けで厳しい目 来場まばら、閉館も」なる記事。記事によれば、
「省庁や公益法人の仕事を展示物などでPRする広報施設に冷たい逆風が吹き付けている。行政刷新会議の事業仕分けでは『廃止』『予算削減』など厳しい判定が続出。年内で閉館に追い込まれる施設がある一方、予算削減に伴い有料化したものの来場者の大幅減に苦しむケースも。ネット時代に“ハコモノ広報”そのものの必要性を疑問視する声も少なくない」
 「お札と切手の博物館」(印刷局)、「JAXAi」(JAXA)、「りっくんランド」(陸上自衛隊)の3つの惨状が報じられています。
 同じ館、ハコモノなのに、この違いはなんでしょう。国がやっているのはやはりダメなんでしょうね。でもなあ、国の広報施設も意外と面白いんですけどね。今の時代には即さないんでしょう。

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2010/12/12

科学博物館の折り込みチラシ

 昨日の日経新聞にちょっと面白い折り込みチラシが入ってきました。上野の国立科学博物館で開催中の「そらと宇宙展」(これです)の広告チラシです。新聞のチラシで博物館の広告やるのって、初めてみました。なかなかです。
 大きなチラシには、キャッチコピー「歴史的日本の快挙をこの目で、肌で感じよう!!」ってあります。また、「『はやぶさ』『イカロス』をはじめ日本の航空・宇宙史に輝く100年の成果が上野に集結!」飛行機マニアではないんですが、これをみてるうちに、いきたくなってきました。そういう人のために、チラシには割引券もついてます。
 朝日新聞にもはいっているかな、とみてみましたがありません。チラシをよく見ると、この企画展、日経新聞の主催なんですね。チラシは自分とこの新聞に入れたってわけです。チラシ、どの辺のエリアまで入れたんだろう。チラシでの広告費って安上がりなのでしょうか。たとえば、駅貼りのポスターに比べた安いかもしれません。こんな折り込み広告もあるのだな、と感心しました。

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2010/12/02

平日の美術館

 昨日、修士論文のため調べ物があり、横須賀まで行ってきました。横須賀美術館のことを事例として取り上げていることから、いくつか資料を見る必要があり、美術館まで出向いたわけです。美術館の発行している資料をみるためですが、横須賀市の図書館にあるのはネットで分かっていたのですが、美術館の図書室にもあるはずなので、展示をみることも兼ねていってきました。
 横須賀美術館にいったのは、2回目です。前はクルマでいったので、こんどは公共交通機関でいってみました。京浜急行の馬堀海岸という駅からバスで10分ほどでが、この馬堀海岸駅が、ほんと寂しい。バスは1時間に3本ほど。あらかじめ時間を調べていったほうが効率的です。
 10時ちょっとすぎに美術館に到着。まずは、図書室へ。ここ、快適なスペースです。そんなには広くないですが、明るくて気持ちがいいです。私の他には、だれもいません。探していた資料は開架にはなく、お願いして貸していただきました。
 一時間半ほど調べ物をして、展示室へ。ここは貸し切りとまではいきませんが、鑑賞者はまばらです。平日の美術館て、こんな具合なんですね。ゆったりとアートを見させていただきました。
 さて昼もすぎたので、美術館にあるイタリアンレストランでビールでも飲んで帰るか、と覗いてみると、なんと満席です。ほとんどがおばさま方ですね。展示室はあんなにすいてたのに、レストランだけは混んでます。ランチ、安いのでも1900円もするのに。
 地方の美術館は、平日と休日の落差が大きいんです。これでいいのか、とふと心配になった横須賀訪問でした。

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2010/11/18

山口県立美術館の建物

 山口市には県立美術館があります。先日、ちょっと書きましたが、ここは歴史を感じさせる建物です。1979年開館、設計は鬼頭梓。モダニズム建築で有名な前川國男の設計事務所にいた人です。鬼頭はWEBで調べたところでは図書館のを多く設計しています。
 山口県立美術館の建物に入ると、吹き抜けの広々した空間が広がります。前川の設計した美術館、博物館に共通する空間の使い方だな、と思いました。古い、っていわれそうですが、このようま空間は美術館には必要だと思うんですが。
 ところで、県立美術館ってどの県にもあるんでしょうか。一度、ちゃんと調べてみようと思っているんですが(そんなに時間かからないのに)、やってません。わかっているのは、島根県、大分県、山形県には県立の美術館はありませんね。大分県はいま計画中のようです。山形県には山形美術館がありますが、これは県立ではなく、地元の新聞、放送局が出資した財団が作ったもの。
 山口県立美術館は、落ち着いてみることができる美術館でした。たまには、こんなちょっと古さを感じさせてくれるミュージアムもいいものです。

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2010/11/16

YCAMとは

山口は遠かったです。私にとって中国地方は縁がなかったところです。高校の修学旅行でいったきり(笑)。山口への行き方さえ分からない始末です。ともかく飛行機に乗って行ってきました。
 目的は昨日も書いたように・山口情報芸術センター、通称YCAM。東京あたりに住んでると、芸術とか建築に興味がある人でも「名前は知ってるがどんなとこか分からない」というところかもしれませんね。
 施設としておおまかにいうと、図書館と多目的に使えるスペースが2つと映画シアターが一つあります。そして、建物の設計が、かの磯崎新さん。
 行く前に建物を写真で見た印象は、かなり尖った感を持っていましたが、現物をみてみると、意外とまっとうだな、と感じました。伊東豊雄さんのせんだいメディアテークのほうがずっと尖っています。
 建物より中身が大切。このことは明日にでも。

Ycam


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2010/11/15

山口の美術館

昨日から山口にきています。この街は初めてです。目的は修士論文のために山口情報芸術センターの見学です。
iPhone なので、ながなが書けないので、とりあえずは昨日行った山口県立美術館、この建物、モダニズム建築でした。
詳しいことは明日にでも。

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2010/11/08

十和田現代美術館とArts Towada

 十和田現代美術館は2008年4月に開館し、現代美術をテーマにした地方美術館であり、建物の設計が西沢立衛さんということもあり、結構話題になっていたと思います。美術館の開館から2年たち、美術館の周辺に整備されていたアート作品の設置が終わり、Arts Towadaとしてオープンしました。十和田市の資料では、このArts Towadaの「グランドオープン」としてオープンという言葉を使っています。この意図はArts Towadaがいわば街を建物にしたミュージアムととらえているからです。
 その中で、十和田現代美術館はアート作品を集合的に展示する「ハコ」です。ただ、美術館の建物そのものも作品となるように求められて設計されているので、単なるハコではありません。従って、美術館だけをみるのではなく、Arts Towada全体の中で、十和田美術館をみていかないと、その意味は正しく分からないと思います。
 しかし、東京からいくのはやっぱり遠い。先に記事にした『観光アート』で十和田現代美術館、青森県立美術館、国際芸術センター青森をセットにして紹介していましたが、この3つを回るのは交通アクセスから考えると丸2日はかかります。十和田の人がちょっと羨ましいArts Towadaです。

Towada_art_center


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2010/10/23

いまとこれからのミュージアムを考える一冊

 現在開催中の「ヴェネチアビエンナーレ国際建築展」で、日本人初、女性初の総合ディレクターに選ばれたのが、建築家の妹島和世。その妹島とSANNNAなる建築ユニットを組む西沢立衛の著書『美術館との対話』は、美術館のいま、これからを語った一冊です。
 この本では西沢が5人と対話する形式で、美術館、アート、アーティスト、鑑賞者などについて、考えていきます。対談者は青木淳(建築家)、平野啓一郎(芥川賞作家)、南條史夫(森美術館館長)、オラファー・エリアソン(アーティスト)、妹島和世の5人。
 語られたテーマは、多様です。気になったものをランダムに書くと、脱象徴化する美術館、展示空間の変化(ホワイトキューブだけでない展示)、キューレーターがつくる美術館、街に溶け込む美術館(たとええば十和田現代美美術館)、アートは来館者、美術館、社会と成り立つ四重奏、などなど。美術館のいまを考えるヒントをいくつも与えてくれます。
 箱物、といわれた時代を経て、いま美術館は新しい段階へ進化しようとしているのかもしれないな、と感じました。まだまだ、日本のミュージアムの可能性はありそうです。
 
Photo


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2010/09/01

久しぶりの西洋美術館

 暑い中、上野の国立西洋美術館にいってきました。時間がなかったので企画展の「ナポリ・宮廷と美―カポディモンテ美術館展」はパスして、学生証で無料ではいれる常設展示へ。確か、常設展示ゾーン、改装して(もうかなり前ですか?)、展示ゾーンが少し変わっていました。
 ロダンの彫刻に迎えられて、二階へ。ここからは年代に沿って西洋絵画が展示されているのはこれまでと同じです。ただ、19世紀の絵画の流れの中で、「モネの部屋」ができています。12点のクロード・モネの絵画が展示されています。また、一階にはロダンの彫刻が置かれているホールもできていました。ここはなかなか快適な空間です。

Photo

 さすがにいい作品が揃っています。たまには西洋美術館の常設展もいいですね。

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2010/08/23

コレクションを生かす美術館の模索

 一昨日の日経新聞になってしまいますが、文化欄に「公立美術館、企画展頼みに限界 所蔵品、市民と模索」という記事がありました。これによると、名品を中心とした企画展がこれまで美術館の売りだったのですが、公立美術館ではコレクション(所蔵品)を見直すところが増えています。
「『日本の美術館は自前のコレクションで人を呼べず、企画展頼みでやってきた歴史がある』と横浜美術館の逢坂恵理子館長は指摘する。ところが近年は不況のあおりで企画展開催や作品の購入予算が激減。手持ちのコレクションを見直し、市民に所蔵品への理解を深めてもらう動きが活発になっている」(日経新聞電子版)
 新潟市美術館は、カビ、クモ発生問題からの一連のごたごたがあり、その調査過程でコレクションの死蔵も明らかに。なんと過去の展示回数が0回、1回の作品がコレクションの6割以上を占めていたことが分かりました。新潟市では全コレクションのデータを公開。購入年や価格、購入元の画廊名などを公表。これまでの展示回数が一目でわかる「展示履歴」も付いるとか。公立美術館でここまでやるのは異例。しかし、他の美術館にも死蔵されているコレクションはありそうです。
 コレクションの活用という点では、横浜美術館の「横浜美術館フレンズ」。横浜美術館が4月からスタートさせたもので、ルネ・マグリットの絵画など10点を対象に、展示や保存活動にあてる資金を募るもの。1作品1万円の参加費を支払うと、支援する作品の展示期間中に名前が掲示され、学芸員のトークや懇親会への招待といった特典が受けられます。これいいですね。知っていたら参加したのに。
 また、他館のコレクションをまとめて借り受けて企画展を行う例も紹介されています。兵庫県立美術館は今夏、神奈川県立近代美術館の名画55点を借り、「麗子登場!―名画100年・美の競演」を開催。岡山県立美術館の「パスキンとエコール・ド・パリ展」は、同館所蔵の洋画家・国吉康雄の絵画と北海道立近代美術館が所蔵するジュール・パスキンらの作品を展示。公立美術館が作品を貸し借りするのは、これまでも行われてきましたが、これからはもっと増えていくでしょうね。
 楽な状況にある公立美術館はありません。今後の生き残りはどうなっていくのでしょうか。日経新聞はこう結んでいます。
「サポーターを増やしつつ、いかにコレクションに磨きをかけるか。美術館の手腕が問われる」

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2010/07/22

美術館がLED照明で変わる

 最近は家庭でもLED照明が広がっていますが、美術館にも展示品の照明にLEDを導入する館がでてきているようです。昨日の朝日新聞夕刊「美術館LED照明で変わる」ではLED照明を採用しているミュージアムの報告があります。LED照明には、鑑賞者にとっては展示品の細部まではっきり見える利点があります。
 東京・汐留のパナソニック電工汐留ミュージアムでは常設展示「ルオーギャラリー」の照明をすべてLEDに変えました。パナソニックなので、自社の製品を使えばいいのは便利(?)。照明デザインの担当者の弁。
「課題だった色の再現性が、技術の進歩で改善された。リニューアルされた美術館やギャラリーは大部分がLEDに変えている」
 東京国立博物館で開催中の「誕生! 中国文明展」でも展示の一部にLEDを使用。また、サントリー美術館、山種美術館は一部に使い、根津美術館は全面的に採用しています。
 LEDの特徴は、電球色から昼白まで色温度が変えることができる、作品に有害な紫外線や赤外線をほとんど含まない、小さな光線の集まりなので光を一方向に集めやすいなどがります。いいことずくめのようですが、まだ欠点もあるのでしょうね。たとえば初期費用が高いとか。
 根津美術館、LED照明だとは全然気がつきませんでした。美術館の展示も変わっています。
 

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2010/07/14

赤ちゃんといける美術館

 美術館に来ている人の年齢層は、意外と広がりがありません。印象派の展覧会であれば中高年、現代アートであれば若い世代中心といった具合。小さな子供連れの鑑賞者は珍しいですね。こどもを連れてはなかなか美術館には行きにくいでしょう。
 昨日の日経新聞夕刊にあった記事『赤ちゃんおいでよ 美術館  ママと作品作り 思わぬ才能発見も!? 』を読むと、鑑賞者の幅をひろげようととする美術館の試みを知ることができます。記事を引用すると、
「美術館が赤ちゃんでにぎわっている。子供向け鑑賞プログラムなどの対象年齢が下がり、0歳児から参加できる展覧会も。子供と一緒にアートを楽しむ若い世代が会場を活気づけている」
 東京都現代美術館、平塚美術館、水戸芸術館での赤ちゃんを対象にしたプログラムを紹介しています。東京都現代美術館は「こどものにわ」展にあわせたワークショップを美術館と同じ区にある子ども家庭支援センターで開催。これは
「『美術館に来たことのない親子、子供がいるために美術鑑賞をあきらめている親にきっかけを作りたかったから』と難波祐子学芸員は説明する」
 とあります。美術館の外でのワークショップは面白い発想ですね。
 平塚市美術館は1歳から2歳3カ月までを対象にした「子育て支援!プログラム 遊んでのびのび 『ベビーアート』」を昨年4月に開始しています。また、水戸芸術館では1組の親子に1人の女性スタッフが付き添い、展覧会を鑑賞できるイベント「赤ちゃんと一緒に美術館散歩」が人気だとか。
 美術館もパブリックスペースとして、新たな活動を行っています。記事を読んでみ、美術家にとって新たな世代開拓は必要なことと再認識しました。

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2010/06/13

新潟市美術館が休館

 昨日の朝日新聞文化欄に掲載された記事「地域への貢献 葛藤続く 展示品にカビ 新潟市美術館が休館」にはいささか驚きました。新潟市美術館のWEBをみると、6月7日から8月31日まで休館のお知らせがでています。市立の美術館がこれだけの長い期間休館とは異例です。
 新潟市美術館では今年4月から開催が予定されていた「奈良の古寺と仏像―會津八一のうたにのせて―」展が、会場を急遽、新潟県立近代美術館に変更される事態がありました。これは
「市美術館では昨年7月にカビ、今年2月にはクモなどが発生。文化庁は今月8日、管理体制に不備があるとして、国宝と重要文化財の貸し出しを許可しないと新潟市に伝えていた」(3月16日 日経新聞電子版より)
 という理由です。
 この「事件」を機に、館長の北川フラムさんが更迭されるなど混乱した状況になっていたようです。朝日新聞の記事によれば、この騒動を受けて新潟市が4月に設けた「市美術館の評価及び改革に関する委員会」の議論を踏まえ決まったとのこと。この委員会から、すきま風が入り込む非常口など施設の不備や、収蔵品のずさん管理などが指摘されました。
 記事によれば、北川フラムさんが館長に就いた2007年以降、美術館に長年在籍した学芸員3人が次々と異動するなど、外部からも批判される事態になっていました、昨夏には「新潟市美術館を考える会」が結成されるなど、事態はかなり深刻化していたようです。
 詳しい状況は当事者しかわからないのですが、美術館運営の不透明さが露見した事件ではないでしょうか。公立のミュージアムで外部評価を行っているところはほんの一部です。美術館運営とはどうすればいいのか、を問い直さねばいけません。

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2010/05/18

大きい江戸東京博物館

 この前の週末に、両国の江戸東京博物館に出かけてきました。この博物館は何年ぶりでしょう。ここへきたのは企画展や常設展をみるためではなく、図書室で調べ物をするためです。修士論文で、建築家の菊竹清訓さんの設計した博物館を研究対象としています。先週、菊竹さんの設計した川崎市民ミュージアムにいったのに続いて、同じ菊竹作品の東京江戸博物館を調べはじめています。
 図書室には、この博物館建設の公的な資料が保管されています。ちょっと遠いのですが、ここでしか閲覧できないので、出向きました。博物館に付随する図書室は、無料です。入場料は要りません。江戸東京博物館の図書室は初めて利用しましたが、デスクにはライトがついているなど、快適なスペースです。
 図書室はいいのですが、博物館そのものは、凄い威圧感です。ほんと大きい建物。高床式を模したデザインなのでしょうか。こんな大きい建物、必要なのかちょっと疑問です。江戸東京博物館の将来、どうなるのか。ちょっと心配。

Edohaku


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2010/05/10

川崎市民ミュージアムの今

「川崎市民ミュージアム」という施設のことは、これまでネガティブなことが本やマスコミで伝えられてきました。ただ、改革を行いつつあり、今は改善しているとも伝えられていました。これまで、一度も訪れたことがなかったのですが、大学院の修士論文で、研究対象としようとも考えていることもあり、出かけてきました。
 このミュージアムは名前の通り、川崎市立の施設です。博物館、美術館、映像ホールなどからなる複合施設で、かなり大きな建物です。設計は、東京江戸博物館、九州国立博物館などを手がけた菊竹清則さん。川崎市民ミュージアムと並べると、共通なイメージがわいてきます。
 このミュージアム、博物館ゾーン、美術ゾーンに分かれています。博物館ゾーンは無料展示ですが、訪れたのが土曜日の午後ながら、来場者は少なく、展示スペースは閑散としていました。ビデオ映像の展示が、古いテレビで流されていて、もう何年たっているのだろうと思わされます。
 美術ゾーンでは無料で「木村伊兵衛写真賞35周年記念展 」が開催されていて、藤原新也、石内都、岩合光昭といった写真家の作品が展示されていましたが、これもかなり人は少ないです。
 企画展示では「横山裕一 ネオ漫画の全記録」が開催中。ここはさすがに若者が多く来場していました(私としては余り魅力を感じませんでしたが)。
 いちばん気になったのは、このミュージアム入ってみても楽しさがほとんどないこと。美術館の魅力って、館の入ったときのわくわくする気持ちがいちばん大切、と思っている私にとって、川崎市民ミュージアムはほとんど魅力を感じません。
 地方ならともかく、首都圏でこれだけ賑わいのないミュージアムも少ないのではないでしょうか。川崎市民ミュージアム、ほんとに大丈夫なんでしょうか。

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2010/05/06

「ハコもの」の行方

 朝日新聞で連載されていた「『ハコもの』の行方」が昨日の紙面で終わりました。日本各地で起こっている「ハコもの」行政の行き詰まりをレポートしてきた企画の最終回は、識者二人への問いかけです。博物館学が専門の矢島國雄・明治大学教授と文化庁・栗原祐司・美術学芸課長へのインタビューで構成されています。
 興味深かったのは栗原さん。この人、部類の博物館好きで、数千の美術館・博物館を訪ねて回ったそうです。凄いな。栗原さんは国の責任も指摘しています。具体的には博物館法の空洞化、行政の縦割りの弊害です。
 博物館法については、公立の館で学芸員を配していることを条件に「登録博物館」「博物館相当施設」と認定しし、館の質を保つ機能があったが、今は空洞化していると言います。
 また、文化庁の担当については、公立・私立の美術館・歴史博物館への支援と国立博物館の所管は美術学芸課、国立美術館は美術文化課と別々。栗原さん、なかなかキャリア官僚とは思えない大胆な発言です。
 美術館・博物館をよいほうこの行政の仕組みを変えることも大切です。それ以上に大切なのは、公立施設を使う市民の意識ではないでしょうか。美術館・博物館が存在し続ける意味を、行政は市民と考える場を作っていくことからはじめなければいけないと思います。

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2010/05/05

吉澤記念美術館の魅力

 この黄金週間、ほとんど外出もせずもっぱら勉強でした。そんな中、女房の実家(栃木)に日帰りでいってきました。いつもは酒の飲みゆえ、電車でいくことが多いのですが、たまには運転もしないと、とクルマで出掛けました。クルマでいくと、行動範囲が広がりますね。実家のそばに、いくつも美術館があり、時間がないなか、ひとつだけ訪ねました。
 佐野市にある「佐野市立吉澤記念美術館」。美術館を知ったのは所蔵品である伊藤若冲「菜蟲譜」が国の重要文化財に指定され、東京国立博物館で展示されたときです。この美術館の所蔵品は地元の旧家・吉澤家が保有するコレクションがもとになっています。吉澤コレクションが地元葛生町(現佐野市)に寄贈され、これをもとに美術館が作られました。吉澤コレクションはその数、約500点。地方の個人コレクションとしてはかなり多いと思います(コレクションの内容はここ)。

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 今、美術館では「橋本雅邦と門人たち/現代の院展作家たち 」が開催されています。橋本雅邦という画家も初めて知ったほど(無知な)私なので、美術館のWEBの紹介を引用させてもらいます。

当館の吉澤コレクションは、地元旧家の吉澤家で5代にわたって収集されたと考えられていますが、このうち4代目のコレクターにあたる吉澤晃南(1987~1951)は橋本雅邦を特に好んだといいます。 

 橋本雅邦のほか下村観山、西郷孤月、川合玉堂、吉川霊華、筆谷等観、桐谷洗鱗、島田墨仙といった画家の作品が見られます。あわせて、板谷波山の陶芸作品も展示されています。
 この吉澤コレクション、数もさることながら、質も高いです。企画展示を定期的に開催しているので、また訪れたいと思います。

Yoshizawa_museum


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2010/04/20

企業美術館が変わってきた

 昨日書いたように日本の美術館・博物館の3分の2は公立です。残りの3分の1には企業が運営している美術館が含まれますが、その数は以外と多いのではないのでしょうか(正確にはどれくらいあるんだろう)。昨日の日系新聞の文化欄に「企業美術館 街をにぎわす」という記事がありました。
 三菱一号館美術館の話題かな、と思いながら読んでみると、意外なところが紹介されています。まず、工作機械のヤマザキマザックが名古屋市に開館する「ヤマザキマザック美術館」。名古屋の地下鉄・新栄駅に直結というロケーションにあるこの美術館は、同社が保有する美術コレクションを活用しようと作ったもの。
「どんな美術館でも単体での黒字化は困難。ならば企業の宣伝広告費と割り切り、街中で一人でも多くの人に来てもらうべきだ」
 とは、館長を兼ねる同社の山崎照幸会長の言葉。企業としてはかなりの英断だと思います。
 また、鋼材加工のシマブンコーポレーションは、神戸市の自社商業施設内に「BBプラザ美術館」を開館。場所は阪急岩屋駅のそぐそば。ここも街中です。
 館長補佐の曽山秀樹氏は
「テナント全体の集客力向上と企業の文化振興の両立を考えたら自然とこの形になった」
 といいます。
 どちらも、街中に位置するミュージアムということも注目すべきですが、それ以上に興味深いのは、それぞれ工作機械や鋼材加工といった工業系の企業が運営していること。固い企業イメージながら、文化芸術振興に関わった活動をしているところが、失礼ながらちょっと驚きです。
 日本における企業美術館の方向性も、変わってきているようで、希望が見えてくる気がしました。

ヤマザキマザック美術館
BBプラザ美術館

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2010/04/19

公立美術館・博物館の今

「箱物」という言葉があります。自治体が作った公共施設が、作っただけでその後の運用が十分になされていないことを揶揄した表現です。その状況を生んだ自治体側の運営を指した箱物行政という言葉もあります。箱物というとき、多くは博物館、美術館、ホールといった文化に関わる施設を対象にしています。これらの施設は活用されていないことが多々ありからです。
 昨日の朝日新聞の一面トップに「ハコモノ文化岐路 博物館戦後初の減少」と題された記事がありました。関係者にはちょっと衝撃的なものでしょう。記事には、日本博物館協会が先月末に発表した08年度の調査が紹介されています。全国で実際に活動している館へのアンケートを行った結果によると、博物館法で定められている博物館、美術館は全国で4041。07年度より21館減り、戦後増え続けてきた博物館が初めて減少になったといいます。
 記事のデータで興味深かったのは、作品や資料の購入費ゼロの館はなんと57パーセント。06からの08年に学芸員系職員を新規採用していない館は72パーセント。大変です。全国にある博物館・美術館のうち公立は3分の2を占めます。自治体により運営されている館の状況は深刻です。
 記事では、閉館された館の所蔵品の問題が指摘されています。たとえば、琵琶湖文化館。滋賀県立の施設ですが、重要文化財197点、国宝18点を所蔵していますが、その行方は決まっていません。行き先も心配ですがそも所蔵品が良好な状態で保管されているのでしょうか。とても心配です。
 日本の文化振興は官主導で行われてきました。これが今、行き詰まっています。なにか打開策はないものか。もう国には頼れないかもしれません。
 

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公立美術館・博物館の今

「箱物」という言葉があります。自治体が作った公共施設が、作っただけでその後の運用が十分になされていないことを揶揄した表現です。その状況を生んだ自治体側の運営を指した箱物行政という言葉もあります。箱物というとき、多くは博物館、美術館、ホールといった文化に関わる施設を対象にしています。これらの施設は活用されていないことが多々ありからです。
 昨日の朝日新聞の一面トップに「ハコモノ文化岐路 博物館戦後初の減少」と題された記事がありました。関係者にはちょっと衝撃的なものでしょう。記事には、日本博物館協会が先月末に発表した08年度の調査が紹介されています。全国で実際に活動している館へのアンケートを行った結果によると、博物館法で定められている博物館、美術館は全国で4041。07年度より21館減り、戦後増え続けてきた博物館が初めて減少になったといいます。
 記事のデータで興味深かったのは、作品や資料の購入費ゼロの館はなんと57パーセント。06からの08年に学芸員系職員を新規採用していない館は72パーセント。大変です。全国にある博物館・美術館のうち公立は3分の2を占めます。自治体により運営されている館の状況は深刻です。
 記事では、閉館された館の所蔵品の問題が指摘されています。たとえば、琵琶湖文化館。滋賀県立の施設ですが、重要文化財197点、国宝18点を所蔵していますが、その行方は決まっていません。行き先も心配ですがそも所蔵品が良好な状態で保管されているのでしょうか。とても心配です。
 日本の文化振興は官主導で行われてきました。これが今、行き詰まっています。なにか打開策はないものか。もう国には頼れないかもしれません。
 

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2010/03/29

現美がちょっと変わってた

 うちからはそんなに近くないのですが、時々訪れたくなるのが、東京都現代美術館。久しぶりにいってみました。今は、「MOTアニュアル2010:装飾」が開催されています。このMOTアニュアルは、若手アーティストを紹介する展覧会で、今年で10回目です。「装飾」をテーマに10人のアーティストが様々な表現で展示室を飾っています。
 特に気に入ったのは、塩保朋子塩保朋子さん 《Cutting Insights》という作品。細かく切り込まれた大きな紙に、光があてられ、不思議な空間がつくり出されています。
 また、美術館のエントランスではマンガ家井上雅彦さんの「井上雄彦 エントランス・スペース・プロジェクト」が行われていて、井上さんの巨大な作品がエントランスの奥に展示されています。現美のエントランスは開放感があるすてきな空間ですが、そこをうまく活用した展示ですね。

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 エントランスを歩いていて気付いたのですが、そこにあったミュージアムショップがなくなっています。よく見ると、カフェの一階に引っ越していました。確か、以前は情報コーナーがあったはず。そういえば、情報コーナー、なくてもよかったかもしれません。ミュージアムショップがエントランスから引っ込んだせいで、エントランスが有効に使えるようになったわけです。
 現代美術館もちょっとだけ、変わっていました。いろいろ大変なのかもしれません。

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2010/02/22

海辺の横須賀美術館

 横須賀美術館にいってきました。場所は観音崎、目の前に海が見え、リゾートホテルとして有名な観音崎京急ホテルの向かい側にあります。2007年4月の開館ですから、まだ新しいミュージアム。自治体の文化予算厳しき中、2000年代になって作られた公立の美術館ですが、建物をみる限りなかなか贅沢な造りです。

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 美術館は地下1階地上2階。外観がカラスに覆われているのが特徴的。展示室は地下1階と地上1階の2フロアあり、展示室は広いスペースを確保しています。館内は白い壁で統一されています。

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 展示が企画展に加えて常設展示もあります。常設展では、「東京:まちの風景」と題されたテーマで織田一麿の石版画と朝井閑右衛門の油彩画が多く展示されています。お二人とも初めて拝見する画家です。それ以外に、萬鉄五郎、安井曾太郎、中川一政、松本竣介、児島善三郎、三岸好太郎・節子、などが展示されていて、所蔵作品は日本の近代画家の作品が多いようです。
 この美術館、海辺にあって環境はいいのですが、交通手段が京急の駅からバスというあまり便利な場所ではありません。神奈川県立近代美術館 葉山館と似たような環境ですが、このちょっと不便な感じが、美術館の集客にはどうなのか。美術館と立地という、地域の美術館にとっての小さくない問題を改めて考えさせられました。

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2010/02/15

永青文庫あたりを散歩

 突然、見知らぬところへ行きたくなって、文京区の永青文庫へ出掛けてきました。永青文庫が美術館だということは知ってはいたのですが、訪れたことはありませんでした。ここは、細川家の屋敷跡にあり、細川家、特に16代当主・細川護立の美術品や蔵書などの資料を保存、展示しています。細川護煕元首相は細川護立の孫にあたります。

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 歴史を充分に感じる建物です。今は企画展「細川サイエンス ―殿様の好奇心」を開催中です。この美術館での企画展示は、絵画などを中心とした芸術をテーマとしたものが多いので、今回の科学を主題とした展示は珍しいようです。展示品には重要文化財である渋川春海昨の「天球儀」を始め、貴重なものが多くあります。このようなものにはまったく素人な私にとって、どう評価していいのやら、少し困りながら見ていました。
 永青文庫は、住所で言えば文京区目白台にあります。椿山荘のそばです。有楽町線の江戸川橋から歩いたのですが、これが結構距離がありました。おまけにこんな長い階段を上らなければいけません。

Kaidan

 帰りは、都電の早稲田駅まででて、久しぶりに都電に乗ってきました(実はおれが目的?)。数時間のぶらり途中下車の旅でした。

Toden


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2010/02/13

埼玉県立近代美術館の個性は

 都道府県で所有している美術館は、当然ですがそれぞれの個性があります。初めて訪れた埼玉県立美術館は、美術館らしい印象が残らない建物でした。黒川紀章の設計ですが、特徴的なのはその外観。格子状の柱が建物の外側を取り囲んでいる独特なデザインです。

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 この柱の中に曲線状の建物があります。

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 同じ黒川紀章設計の国立新美術館外観に似ている感じ。
 建物に入ったときに、空間が広がっていて、「美術館にきた」と感じられる建物が好きなで、たとえば世田谷美術館とか、宮城県美術館、岩手県立美術館などがそうです。しかし、ここはそんな感覚に、残念ながらなりません。入り口から入ったロビースペースは狭くはないんですが、どうしてだろう。
 この美術館の常設展示は「MOMASコレクション」(MOMASはThe Museum of Modern Art, Saitamaの略称
と呼ばれていて、テーマを設定し、定期的に展示替えされています。1982年に開館したため、予算が潤沢な時期があったのでしょう。コレクションは、モネ、ルノワール、ピサロ、ピカソなどいわゆる有名画家の作品も所蔵しています。典型的な自治体型の近代美術館といってもいいでしょう。
 場所は、地方の美術館にありがちな、クルマでしか行けないということはなく、北浦和駅から歩いて5分ほどのところにあり、便利です。建物はいまひとつな感じですが、中身はしっかりとした展示がされていて、機会があればまた訪れたいミュージアムです。
 

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2010/01/11

My Museum、宮本三郎美術館

 我が家やから徒歩20分ほどのところにある宮本三郎美術館。ここは、なんとも贅沢なアート空間です。世田谷美術館の分館ですが、小さなミュージアムです。所蔵する宮本三郎の絵画と資料を、毎回テーマに沿った内容で展示しています。美術館の建物は、2階建てで、展示室は2階だけの大きくないスペースです。
 宮本三郎という画家は、かなりの数の作品を残したようです。この美術館にいくたび、見たことのない作品に出会えます。今開催中の「美を語る言葉」は、洋画壇きっての論客といわれた宮本の美術論や作品批評、そして自作についての解説などを、資料を交えて紹介しています。
 展示されていた資料には所有していたマティスの画集があったり、ドガ、ルオーに言及している文章もあります。そんな事実を知ると、たとえば『室内裸婦』(1937年)などは、マティスから影響を受けたとも感じられ、興味深いものがあります。
 それにしても、この美術館は贅沢な空間です。昨日も訪れたのが閉館間際の夕刻だったせいもあり、他に来場者はいませんでした。自分だけのミュージアムみたいです。色鮮やかな宮本作品に囲まれて、幸せな時間をすごしました。

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2009/11/30

新しい山種美術館にいく

 この秋、根津美術館とともに、新しいミュージアムとして話題の山種美術館にいってきました。以前の山種美術館は、確か半蔵門あたりから歩いたところでした。今度は住所でいうと広尾で、広尾高校のそばです。土曜日、大学の帰りにぶらぶらと歩いていきました。20分くらいかかったでしょうか。
 新しい美術館は、前と同じくビルの中にあります。エントランスが1階で、展示室は地下になっています。前よりかなり広くなった印象です。ビルそもものが新しく、ミュージアムも新しく気持ちがいいです。1階には狭いながらもカフェもあります。

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 肝心の展覧会は、昨日で終わってしまった「速水御舟 日本画への挑戦」。速水御舟の繊細で、細部まで描き込んだ作品に圧倒されます。最終日の前日ということもあって、すごく混んでいました。オバサン、オジサン、そしておばあさん、おじいさんまで来ていて、展示室は多くの人。また、けっして広くないミュージアムショップは大混雑です。いやいや、もっと早くくるべきでした。
 この美術館、恵比寿駅からは歩いて10分程。我が家から近い美術館が増えたのは嬉しい限りです。

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2009/11/10

戸栗美術館のすごさ

 駒場の日本民藝館にいったあと、井の頭線一駅歩いて松濤の戸栗美術館へ。このミュージアムも久しく来ていませんでした。この美術館のコレクションの中核は東洋陶器で、日本の陶器では伊万里焼を多く所蔵しています。
 今、「鍋島と景徳鎮ー君主の磁器」と題された企画展示が行われています。鍋島は江戸時代、佐賀藩が将軍に献上するために焼かれたもの。一方、中国の景徳鎮窯では、明の時代に官や宮廷のためにやきものをつくる官窯が作られました。鍋島と景徳鎮、どちらも君主のためにやかれたという共通点を持ち、それをテーマに展示が企画されています。
 企画としてはまっとうというか、ストレートなものですが、これをコレクションだけで構成できてしまうところが、この美術館の特徴でしょう。コレクションから生み出された企画とも言えます。しかし、展示されている磁器はどれも上質で、美しさをもった素晴らしいものばかり。戸栗さん、よくこれだけの名品を集めたものです。
 しかし、景徳鎮の歴史はほとんど頭になく鑑賞したため、ただ見ただけになってしまいました。もったいなかったです。もう少し勉強して、出直さねばればいけません。

090820

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2009/11/09

柳宗悦の世界をみる

 招待券をいただいたので、久しぶりに駒場の日本民藝館にいきました。折しも、柳宗悦生誕120年記念特別展「柳宗悦の世界」が開催されています。館の全展示室を使って、所蔵品約400点が展示されています。この展示では、柳宗悦の業績を「民藝と個人作家」「茶と美」「琉球の美」「朝鮮を想う」「手仕事の日本」など9つのテーマに分け、柳が集めた品々が紹介されています。
 柳によって提示された民藝という概念は、日々使われる工芸品に美を見いだすことと理解していますが、その民藝は現在ではどのような意味を持っているか、と思いながら展示されていた作品を見ていました。テーマの中で興味深かったのは「手仕事の日本」。こんなところで、こんなものが作られていたのかと驚くものがいくつかありました。例えば、酒田で作られていた曲げ物がありました。隣県の秋田・大館の曲げものは知られていますが、酒田で曲げ物が作られていた事実は意外でした。
 入り口で靴を脱ぎ、スリッパに履き替えて入館する珍しいスタイルのミュージアムです。特別展ということもあり、多くの来場者があり、玄関には靴が溢れていました。他のミュージアムにはない落ち着いた居心地があります。しばらく柳宗悦の世界に浸ってきました。

Mingeikan


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2009/10/18

新しい根津美術館

 新しい根津美術館にいってきました。約3年半の建築期間を経て、今月7日に開館。まったく新しい建物は、隈研吾さんの設計です。建物の中に入ると広がる空間は、ミュージアムに来たのわくわく感を起こさせてくれ、素敵な気持ちにさせてくれます。
 和を基調としながら、現代的なセンスもある建物で、さすが隈さんの設計ですね。やはり隈さんが手がけたサントリー美術館に居るときと同じ気持ちの良さです。

Nedu_museum

 以前の2倍という展示スペースで、開館記念展「新・根津美術館展 国宝那智瀧図と自然の造形」が開催されています。美術館所蔵の国宝「那智瀧図」(5年ぶりの展示)をはじめ、多くの重要文化を含む名品が展示されていて、あらためてこの美術館コレクションの充実度がわかりました。日本画、仏教彫刻、書、陶器、中国の青銅器など、どれも素晴らしい作品。印象に残ったのは、「吉田龍田図屏風」(江戸時代、17世紀)。切り取られた季節の風景ですが、頭の中には美しい自然を広げてくれる屏風絵です。
 美術館はまだ開館して間もないこともあり、私のようなおじさん(笑)、おばさんで賑わっていました。やはり、この美術館はお年寄りが似合うのでしょう。来年の9月まで、8部にわたり開館記念展が開催されます(来年4月には琳派の展示がされます)。この素敵な空間を楽しむため、また訪れたくなりました。

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2009/08/23

サントリーミュージアム天保山、閉館へ

 昨日、新聞などで報じられた「サントリーミュージアム天保山」休館のニュースには、ちょっと驚かされました。サントリーといえば文化事業には積極的な企業の代表格で、大阪のサントリーミュージアム天保山、東京のサントリーホール、サントリー美術館を運営。一般企業人からみるとなんとも贅沢なアート環境を持っていました。
 しかし、サントリーミュージアム天保山もその運営は苦しかったようです。ピーク時年間101万人だった入場者数は、65万人まで減少、毎年数億円の赤字だったとか。ミュージアムの運営を経営面だけでみれば、黒字にすることは難しいでしょう。特にサントリーミュージアム天保山は、美術館ゾーンに加え、IMAXシアターもやっていたので(いまどき、IMAXシアターはあまり魅力がないのでは)、トータルな赤字が大きくなったのでは、と推測します。
 サントリーミュージアム天保山の建物は、昨日記事にした安藤忠雄さんの設計。1994年の完成ですから、まだ15年しか経っていません。建物、どうするのでしょうか。気になります。休館は来年の12月とのことですので、それまでには是非建物を見学に行かねばいけませんね。
 サントリーは、キリンとの経営統合交渉との関係は否定していますが、ほんとかな。非上場、同族経営で、独自の文化事業を行ってきたサントリーですが、それが変わっていく可能性を感じさせるサントリーミュージアム天保山休館のニュースです。

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2009/07/11

早く行ったほうがいいですよ

 東京の博物館、美術館で開催される展覧会で、企画展と呼ばれる特別な展示は、企画によってはものすごく混雑します。ちょっと前、上野の東京国立博物館でやっていた「阿修羅展」は、平日でも何十分待ちでした。東京はやっぱり人が多いんだな、とつまらんことを思ったりします。
 一般的に、企画展は始まってから日が経つにつれて、人手が増えてきます。いろんな評判が広がって、人が集まってきたり、「そのうち行こう」という人が行き始めたりして、展覧会の終盤近くになりと大変な混雑になることも少なくありません。
 昨日、国立近代美術館で先週末から始まっている「ゴーギャン展」に行ってきました。この展覧会、ゴーギャンの代表作である「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」(ボストン美術館蔵)が、日本では公開されています。19世紀末に描かれたこの作品は、武蔵美で履修した「西洋美術史」の教科書にも載っていました。
 この作品をみるだけでも十分に行く価値がある「ゴーギャン展」ですが、まだ混み合ってはいませんでした。夜6時半過ぎに美術館に着いたのですが、チケット売り場には列はありません。並んでいる人の日よけ用にテントがありました。混雑を予想しての措置でしょう。

Kinbi

 いづれ混雑するでしょう。話題になりそうな展覧会は始まったらすぐいくことですね。「阿修羅展」では早い時期に行きそびれ、ひどい目にあいました。興味があるかたには、早くいくことをおすすめします(肝心のゴーギャン展については後ほど)。

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2009/06/22

渋谷区立の博物館

 美術館にはよく行くのですが、文学館にはほとんど行きません。文学が興味の対象ではないせいです(小説は読むんですが)。また、郷土資料館とか郷土博物館といったところもあまり縁がないです。
 しかし、大学の授業で渋谷区のとあることを調べる必要があり、昨日「白根記念渋谷区郷土博物館・文学館
」なるところにいきました。文学館と郷土博物館が同居する施設ですね。県とか市では文学館や、郷土博物館を持っているところは少なくないですが、東京都の区ではあまり知らないです。でも、調べてみると郷土博物館は足立区とか杉並区にはあります。文学館がある区は、渋谷区以外なさそうですが。
 この白根記念渋谷区郷土博物館・文学館は、文学館と博物館の展示が別のフロアーになっていて、しっかりした構成で展示されています。2005年にリニューアルされたそうです。こんな立派な施設ですが、日曜にもかかわらず、館内には見学者がいなく、貸し切り状態でした。休みの日に、わざわざ見学にくる人はいないんですかね。ちょっともったいない気がします。

Bunngakukan

昭和初期の居間だそう

白根記念渋谷区郷土博物館・文学館

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2009/05/06

久しぶり、上野のミュージアム

 連休ながら、その前半は学校へいったり、勉強したりで過ごしました。さすがにちょっと飽きてきて、昨日午後から上野へ出かけてきました。私の場合、学生証をみせると、東京国立博物館の平常展と国立西洋美術館の常設展は無料です。この2つのミュージアムにいったの、久しぶりです。
 西洋美術館新館は改修中で、常設展は本館のみの展示です。20世紀のアーティスト作品(例えばポロックとか)は見られないのが、ちょっと残念。特別展の「ルーヴル美術館展」は50分待ちでしたが、常設展も賑わっていました。
 そのあと、東博へ。特別展「国宝 阿修羅展」も混雑してます(なんとか、平日に見たいと思いながらはや5月。見られるのか?)。久しく来ていなかったら、本館がリニューアルされていました。2階の「日本美術の流れ」はわかりやすい展示になっています。時間がないので駆け足になってしまいました。本格的にみようとすると本館だけでもたっぷり3、4時間はかかりますね。
 目立たないのですが、本館で「平成21年新指定国宝・重要文化財」が展示されています。これは平成21年(2009)に新たに国宝・重要文化財に指定される美術工芸品のうち、39件を展示したもの。特に興味をひいたのは、青森県八戸市風張1遺跡から出土した国宝の「土偶」です。

 20090428shinsitei21

 この土偶、座って合掌しています。不思議な姿勢です。顔の表現もちょっと奇怪なものです。どうしてこんな表現になるんでしょう。紀元前15~紀元前10世紀の縄文時代の作品ですが、遙かな時空をこえてなお、確かな存在感があります。
 この「平成21年新指定国宝・重要文化財」、5月10日までの開催です。阿修羅展を見にいかれる際にはぜひ寄ってみてください。不思議な土偶くんにあえますよ。
 

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2009/04/29

たばこと塩の博物館前のカフェ

 渋谷の公園通りという場所にありながら、なかなか目立たない「たばこと塩の博物館」。なかなか充実した展示をしていすが、注目度は高くないのでは。このたばこと塩の博物館が去年秋からリニューアルの工事をしていて、先週リニューアルオープンしました。
 リニューアル後の博物館はまだ体験していないのですが、ちょっと目を引くのは博物館の前にできたこのカフェ。「セボンプラージュ」なるミュージアムカフェなのですが、なんとも色が派手。好き嫌いはあるとは思うのですが、「たばこと塩の博物館」と地味な感じとは、どうみても似合わないです。でも、仕事でよくこの前を通るのですが、ほどほど人は入っています。やっぱり場所はいいから、それなりに人気はあるようです。
 このカフェ、博物館に入らないでも利用ができますし、夜は23時までやっているの便利かもしれません。こんど、機会があったら、利用しようかな。でも、このピンク落ち着かないなあ。

Siototabaco


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2009/03/15

不況の影響受ける米国のミュージアム

 やはり、と思わせる記事が昨日の日経新聞に載っていました。「米国の美術館・博物館 寄付金減り運営危機」と題された記事です。在米キュレーター。三木美裕さんによるレポートによれば、アメリカでは急速な景気悪化により、学芸員などのスタッフ解雇したり、所蔵作品を売却しようとするミュージアムの例が伝えられています。
 マサチューセッツ州のブランダイス大学付属ローズ美術館は、開館して50年の現代美術館。しかし、金融危機により大口の寄付が減った上に、信託基金の25%にあたる約160億円が消えたといいます。その結果、評価額約300億円のコレクションをすべて売却すると表明。さすがに、これは米博物館協会などの反対を受け、「閉館はしないが、資金繰りによっては数点の作品を売却するかもしれない」と修正されました。
 ローズ美術館だけでなく、アメリカのミュージアムは大半が非営利の民間法人によって運営されています(日本の博物館、美術館の多くが官営もしくはそれに近い形の運営になっているのと対照的です)。日経新聞の記事によれば個人、企業、団体からの寄付で運営費の約35%をまかない、政府からの援助は25%以下が一般的とされています。したがって、今回のような不況に影響を直接に受けやすくなっています。寄付などの減額や、株価や金利の下落により、信託基金が目減りし、運用益が確保できにくくなっているためです。
 今回の不況では、ミュージアムを巡る環境まで影響を及ぼしています。雇用問題と同じく、これも先が見えない課題でしょうか。

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2009/02/02

根津美術館が出来てきた

 青山学院大学にいったあと、父の墓にしばらくいっていないのを思いだし、青山にある墓地に寄りました。その途中に、いま改築(というより、新築)中の根津美術館の前を通りました。もうかなりできつつあります。

Nezu_museum

 美術館の設計は隈研吾さん。素敵なミュージアムになりそうです。今年の秋開館だそうです。楽しみです。


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2009/01/04

ブリヂストン美術館の福袋

 我が家のカレンダーに、ここ2年ほどブリヂストン美術館のものを使ってました。年末に買いそびれて、昨日行ってきました。ミュージアムでは小さい企画展『都市の表象と心象 版画家・近代画家たちが描いたパリ』を開催中。この企画、ちょっと地味ではありますが、充実しています。このミュージアムの版画コレクションがみられるのは、珍しい機会ではないでしょうか。
 さて、鑑賞を終えてカレンダーを求めにミュージアムショップへ。すると「福袋」がありました。ミュージアムの福袋なんて、珍しい。何種類かありましたが、「カレンダー+ミュージアムグッズ」という福袋があり、そもそもカレンダーを買うつもりだったので、買ってみました。
 肝心のミュージアムグッズは、クリアファイル(大、小)、ジグソーパズル、グリーティングカードセット、絵はがき、マジックキューブなど。そして、ブリヂストン美術館のコレクションを収録したDVDまで入ってます。計11種のミュージアムグッズが入ってカレンダーとセットで3000円。カレンダーだけ買うと1800円なので、これはお得かも。限定16袋とありましたが、まだかなりありました。
 年の初めから、アート関係では福が来たかも(笑)。


Bridgestone


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2008/12/07

十和田市現代美術館へ

 先週末、一日休みを取って青森から仙台に行ってきました。JR東日本の格安チケットが使える季節で、それを使って遙か遠くの十和田へ。十和田氏現代美術館は今年4月に開館。入場者が開館から4ヶ月で10万人をこえ、順調な滑り出しのミュージアムです。
 この美術館の建物を設計したのは、金沢21世紀美術館を妹島和世さんとともに手がけた西沢立衛さん。建物は、塔のように3階まで伸びる展示室を真ん中にする展示室群と天井高9メートルのカフェ&ミュージアムショップから構成されていて、デザインは直線、色は真っ白を基調としています。

Towada

Towada2

 展示室は常設展示と企画展示室があり、常設展示として21名、22点の作品が置かれています。ロン・ミュエク、オノ・ヨーコ、ジム・ランピーらの現代アートが常にみられる美術館です。作品は展示室の中、建物の床、建物の外、建物の壁と所々にあり、美術館の建物そのものがアートとなっている感があります。
 また、3うある企画展示室では、定期的に企画展が行われるようです(私が行ったときは、開催されていませんでした)。
 十和田氏現代美術館といいながら、その内容をみるとアートセンターに近い位置にいると思います。このミュージアム、英文表記は「Towada Art Center」であり、その直訳=十和田アートセンターとしたほうが、内実には即している感じです。でも十和田市現代美術館のほうが人は呼べるでしょうね。
 展示されているアートは、みていてどれも心にひっかっかり、印象に残る作品です。現代アートに詳しくないのですが、おそらく作品の質は高いと思います。
 機会があれば、訪れる価値があるミュージアムです。

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2008/11/30

社会と対話する美術館

 昨日、日経新聞主催のシンポジウム『美術館の未来~社会と対話する美術館』に参加してきました。このシンポジウムは日仏交流150周年記念として開催されたものです。(プログラムはこのパンフを参照ください「081129.pdf」をダウンロード)美術教育普及のテーマを中心として、日仏のミュージアムの現状と課題をプレゼン、討議する内容で、朝9時半から夕方6時過ぎまでの長丁場でした。
 全体で4つのセッションがあり、それぞれに日仏のミュージアム状況の違いや、抱えている課題を知ることができ、通り一遍の内容ではなく、いくつかの発見を与えてくれたシンポジウムでした。モデレーターは武蔵美の岡部あおみ教授と三菱一号館美術館(2010年開館)館長の高橋明也さん。
 特に、ちょっと驚いたのはフランス大使館文化担当官で、元カルティエ現代美術財団学芸員のエレーヌ・ケレマシューターさんの話。カルティエ現代美術財団は、パリに展示スペースを有し、所蔵品の展示を行っています。そこでのスタッフは、ボランティアは使わず、必ず報酬を払う仕組みで運営しているとのこと。
「ボランティアは、アングロ・サクソンの文化」とおっしゃっていました。
 日本のミュージアム運営では、ボランティアが関わっているところが多いのですが、これもフランスでは事情は異なるようです。
 また、討議されたテーマの主要課題は教育普及ですが、ここで「メディエーション」や「メディエーター」という言葉が使われています。この言葉、私にとっては初耳。このシンポジウムでは、芸術文化と人を結ぶ役割をメディエーションと定義しているようです。
 日経新聞もなかないいことやってくれます。私にとって、これからの勉強テーマを探すために有意義なシンポジウムでした。

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2008/08/25

引き出し博物館とワークショップ20年

 目黒区美術館では、今、ちょっと個性的な企画展が開催されています。「画材と素材の引き出し博物館+ワークショップ20年のドキュメント展」と長めなタイトルの企画。目黒区美術館は、所蔵作品を持ちながら、常設展示室がありません。そのかわり、ワークショップスペースがあり、そこで開催されるワークショップの充実度には定評があります。
 この企画展は、ワークショップ20年の歴史を振り返る展示です。これをみると、様々な企画を行ってきたことがわかります。ワークショップは苦手な私ですが、それでも参加してみたいと思わせてくれる企画がいくつもありました。

Workshop

 また、目黒区美術館では画材、素材などをコレクションしていて、それらを「引き出し」の形式にしてオブジェとして作り上げるユニークな活動をしています。例えば、画材として「15世紀イタリアの色」とか紙として「フランスの手漉き紙」とか、引き出しの中に展開する小さい博物館です。この引き出し博物館計81個が展示されています。
 地味な活動かもしれませんが、芸術、アートを支えるための基本を実行している美術館として、目黒区美術館の活動は評価されていいと思います。絵画を見せることだけが美術館の仕事ではないことを知る、しっかりした企画です。

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2008/08/22

連携する港区のミュージアム

 東京は美術館、博物館には恵まれています。ほんと、週末にはどのミュージアムに行こうかと迷います(最近は時間がなく、あまり行けませんが)。昨日の日経新聞、東京版に「港区の美術館・博物館 24館で新組織 文化の街PR」なる記事がありました。
 この記事によると、国立新美術館、サントリー美術館など港区内のミュージアム24館が共通イベントを実施する新組織を発足させるとのこと。この組織は「港区ミュージアムネットワーク」で、共通イベント開催、共通WEBの開設、情報誌に発刊など予定。また各館の学芸員を区内の学校に派遣する「出張授業」も09年度から始めるとのこと。
 記事には書いてはありませんが、この新組織は港区の予算で行うものです。港区の教育委員会のWEBに明記されています。港区は区立美術館をもっていないためか、区内の施設、学校などの連携して活動を行っています。慶應義塾大学のアートセンターと連携してアート関連の講座などを実施しています。
 慶應義塾のアートセンターとの企画は、以前に触れましたが、内容面ではちょっと不満が残るものでした。その理由は、主催者の港区が主体性を持たないことにある、と思っています。港区ミュージアムネットワークも、お金だけだして、運営はミュージアムにお任せ、といったことになるのでは、と危惧します。港区には、しっかりと主体性を持って運営してくれるといいな、と思っています。

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2008/07/24

博物館好きですか?

「そういえば、博物館にしばらく行ってないなあ・・・」と思いながら、買ってきた最新号のBRUTUS。特集は『博物館 ラブ』。美術館(ART MUSEUM)にはいくけど博物館(MUSEUM)には最近ご無沙汰です。東京国立博物館(東博)は、大学の課題を抱えていたころはよく行きました。学生証をみせれば常設展示は無料だったし。国立科学博物館もメディア論の課題のため、行きました。そもそも、あまり博物館好きではないんですね。特に自然系はほとんど興味がないので、足がむきません。
 Brutusともあれ、BRUTUSの特集です。子どもたちが夏休みのこの時期、博物館はうまいテーマです。記事も東京のミュージアムが中心ではありますが、福島県立博物館も取り上げていて、しっかりした編集になっています。考えてみれば、国の文化力量は美術館ではなく、博物館で計られるものではないでしょうか。子どもだけでなく、大人ももっと博物館に足を運んだほうがいい、と思わせてくれたBRUTUSの企画です。
 ゆっくり一日かけて東博の常設展示を見てみたいです。そんな余裕がない自分がちょっと悲しい今日この頃です。

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2008/07/14

美術ファンなら誰しも・・・

 週刊百科というものは、なんとも危険なものです。いったん、買い始めると50冊以上買わねばいけないはめになります。アート関連のものを少なくなく。時々「買おうか」と悩みます。
 さて、美術ファンならすでにご存じかと思いますが、講談社から「週刊 世界の美術館」なる週刊百科がスタートしています。全80冊、約1年半の刊行期間。金額にして計46,110円。こう書くと結構なボリュームですね。ネットで調べてみると、10年以上前同じ講談社から「世界の美術館 ラ ミューズ」という週刊百科が刊行されていました。今回の企画は、それの焼き直しか、とも疑ってしまいます。
 World_museumまずは、創刊号は週刊百科の常套手段、安い特別定価の290円なので、買ってみました。ルーヴル美術館の特集で、表紙はモナ・リザ。膨大なルーヴル美術館は都合5回取り上げられるようです。
 どうせ、この企画で取り上げられるミュージアムは、ほとんど行けないだろうから、せめて本で楽しむのもいいかな、とも思いますが。でも、所詮は本と、現物は違うし。悩ましいところです。

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2008/07/12

青森県立美術館の今

 ネットをいくつか散策していると、青森県立美術館のことに触れているブログがありました。首都圏にお住まいのアートファンにとっては、この美術館と今年の春に開館した同じ青森県にある十和田市現代美術館はいってみたいミュージアムのようです。
 そういえば今月で開館2年を迎える靑森県立美術館は、最近どうかなとWEBをみてみました。現在企画展は行われていません。今月末から「大ナポレオン展」があります。これ以前江戸東京博物館で開催された企画の巡回ですが、美術館で行われる企画としては、適切ではない気がします。また、企画展はこの大ナポレオン展が終われば、今年はもう予定されていません。昨年は4つ開催された企画展が、今年は2つです。それもひとつは巡回展。かなり厳しい状況がうかがい知れます。(企画展の内容はここを)
 東北では随一ともいえるコレクションをもつ美術館ですが、その行く末はすこし不安なものがあります。企画展がすべてではありませんが、もう少し工夫が必要だと感じます。

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2008/06/24

知られざる美術館

 先週末、谷中を散歩した後、上野方面へ。東京芸術大学の前を通り、鶯谷の駅を目指して歩いていると、古めかしい建物が目にとまりました。

Kuroda_kinenkan

「黒田記念館」とあります。そして『公開中』と。よく分からないまま、中へ。館内の解説を読んで、やっと分かりました。画家の黒田清輝の遺言で作られた建物で、昭和3年竣工。東京文化財研究所のもので、長らくこの建物を使っていましたが、新庁舎の完成後リニューアルされ、平成13年から公開されています。
 ただ、古い建物のためか、公開は毎週木曜日と土曜日の13〜16時のみ。限られた時間ではありますが、歴史のある建物と、黒田清輝の作品を堪能できます。有名な「湖畔」も展示されていました。隠れた美術館といっていいでしょう。入場料も無料です。上野ミュージアム散歩のついでに、訪れるのもよさそうです。

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2008/04/28

練馬区立美術館のコレクション展

 用事があって江古田までいったので、ちょっと足をのばして練馬区立美術館に寄ってみました。今、「練馬区立美術館コレクション展 新所蔵作品を中心に」が開催されています。この美術館で近年コレクションに加わった作家6人の作品を展示しています。津田一江(1950-/日本画)、高山良策(1917-1982/油彩画)、吉沢岩美(1912-2000/油彩画)、近藤(1933-/油彩画)、小作青史(1936-/版画)、郭徳俊(1937-/版画)の6人。油彩、版画、日本画と表現形式は様々ですが、全体を通してみると、ひとつの傾向が感じられます。ちょっと適切ではないかもしれませんが、「前衛」という形容詞がつけられるます。

Garden


 この美術館では、コレクションを続けています。作家やその遺族からの寄贈も多いようですが、WEBで調べてみると近藤竜男の作品は購入もしています。財政面から新規購入ができない公立美術館が多い中、練馬区立美術館は地道に収集を行っているのは、評価していいのではないでしょうか。
 東京にある区立美術館の中でも、あまり目立たない館かもしれませんが、しっかりとした活動を行っているミュージアムだということを、改めて感じました。

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2008/04/21

宮本三郎の引く一線

 東京に帰ってきて約3週間がたつのに、単身赴任中に増殖した荷物の整理が終わりません。どうしてこんなに多いんだろう。昨日も、出掛けずに整理をしていました。夕方にはさすがに飽きて、街に散歩に出ました。そのついでに、宮本三郎記念美術館に寄ってみました。うちから歩いて20分足らずでいけます。
 世田谷区はいくつも美術館をもっている贅沢な区です。アンリ・ルソー、ジョアン・ミロ、リチャード・ロングなど区立美術館としては充実したコレクションを持つ本館に加え3つの分館を運営しています。(仙台市なんか、市立美術館ないんですから)
 Miyamoto_musemu宮本三郎記念美術館は、小さな建物ではありますが、ミュージアム内の空間は快適です。ここでは宮本の遺族から寄贈された作品を、さまざまな企画でみせてくれます。今は『宮本三郎の線』が開催されています。画家の引く線に注目した企画です。油彩の大作と並んで、木炭や鉛筆で描かれたデッサンや習作が展示されています。宮本といえば、赤、黄色、緑などのあでやかな色彩で描かれた女性像が印象にありますが、その作品は細やかに引かれた線によって支えられていることがわかります。
 全体的に地味な印象を受けがちですが、宮本三郎の新たな魅力を見いだせる企画展です。

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2008/02/27

青森県立美術館の今

 久しぶりに青森県立美術館に寄ってみました。仕事が終わり、仙台に帰る前だったのでゆっくり見る時間はありませんでしたが。この美術館、開館して1年半ほどがすぎましたが、その運営は順調なんでしょうか。
 今の時期の展示は、企画展はなく常設展のみです。館内を駆け足で見たところで、目に見える変化は、奈良美智の「あおもり犬」が撮影できるようになったことでしょう。ガラス越しですが、撮影ができます。これは、おおきなサービス向上です。
 それ以外、細かい改善はしているのでしょうが、特に気づいたことはありませんでした。それより気になるのは、昨年末に企画展が終わり、次の企画展「寺山修司 劇場美術館」が始まるのが4月1日と、企画展のない期間が3ヶ月以上になること。県立美術館で、これほど長い期間、企画展が開催されないというのは、よくあることなんでしょうか。ちょっと常態ではない気がします。

Aomri_museum

 今、開催されている常設展の内容は、版画の企画が中心です。「青森『創作版画誌』時代」「銅版画と青森を結ぶ糸」「屏風仕立て」と3展示室を使って展開されています。充実した内容で、小規模な美術館ならば企画展でいけそうな企画です。これ以外の展示も、しっかりした内容です。でも全体的には、地味です。企画展があって、そこに対比する常設展としてならいいのですが、これだけを見に行くにはよほどの美術好きでしょう。
 このミュージアム、所蔵作品の質では東北一だと思いますが、集客面ではうまくいっているのでしょうか。ちょっと心配しています。

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2008/02/08

十和田に現代美術館ができる

 昨日は仕事で青森の八戸方面へ。クルマだったので、ちょっと十和田へも寄ってみました。十和田市に今年の4月、新しい美術館が誕生します。「十和田市現代美術館」と名付けられた現代アートに特化したミュージアムです。建物はかなり出来上がっていました。

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 建物の設計は、「金沢21世紀美術館」を妹島和世さんと設計した西沢立衛さん。外壁は白で統一され、直線を基調とするデザインです。
 既に公開されているウェブによると、コミッションワーク(依頼制作による恒久展示作品)が展示されるとのこと。現代アーティストは、まったく詳しくないのですが、かのオノ・ヨーコや大きな人間をつくるロン・ミュエクなど21人のアーティストが参加しています。
 いま、現代アートの美術館をつくることはかなり冒険です。十和田市はアクセスが便利な場所ではありません。素直に考えると、どうしてここに? と感じます。ただ、アートで街を変えていこうと姿勢、志は大いに評価できます。このミュージアムのオープンは4月26日です。どんなスペースになるのか。ぜひ、訪れたいと思います。

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2007/12/29

夜のブリヂストン美術館

 Bridgestone昨日の夜、ちょっと早めに東京に戻りました。新幹線も帰省ラッシュとは逆方向で、いつもの週末よりもすいています。7時過ぎに東京駅についたので、思い立ってブリヂストン美術館へ。うちの家ではここ数年、この美術館のカレンダーを使っています。来年のものを、まだ買っていなかったので、これを買いに。このミュージアム、夜は8時まで開館しているので、便利です。
 ついでに、時間があったので開催中のコレクション展をみてきました。最近は、時間がなくほとんど首都圏の美術館にはいかないので、絵をみるのは、久しぶり。ここの展示室、なぜか落ち着きます。都会のなかのミュージアムとは思えないゆったりとした空間です。なんどもみている作品も多いのですが、遅い時間のためか、鑑賞者もまばらで、ゆったりとみられました。

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2007/10/22

宮城県美術館の魅力

 一昨日、「日展100年」をみに、宮城県美術館へ。このミュージアム。少しばかり街中から離れ、訪れるのには便利とはいえませんが、周辺の環境は素晴らしいです。ミュージアムは、広瀬川を渡った緑豊かな中にあります。

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 この美術館がいいなと思うのは、エントランスを入ったとき。目の前に吹き抜けが広がります。企画展示室は、広がりのある吹き抜けの中、階段を上がっていく2階。アートに触れる高揚感が起きる素敵な空間です。
 この美術館にはとてもお世話になっています。大学の課題で、研究対象にさせていただきました。ここ、「なんでも相談」といって、美術に関することなら、なんでも相談していいんです。課題作成のため、お話を伺わせてもらいました。またこの美術館の教育普及、つまりワークショップはその内容の充実さから有名です。
 ところで、この宮城県美術館、来月末から一年近く休館です。空調の工事のためとのことですが、ちょっと長いです。再開するころには、仙台に居ないかもしれない(?)。休館までにもう一回は訪れたいと思ってます。

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2007/09/07

ニューヨークに行きたくなった

 先週末、仙台のうちの片付けをしました。なんといっても多いのが、本、雑誌のたぐい。仙台にきて3年半、なんでこんなに増えたのだろう、という量です。その中でも、「芸術新潮」がかなりの冊数がありました。気になるテーマのときだけ買っているのに、増えてます。
 Img_7822とはいっても、今月号は買わないわけにはいけません。特集が『全一冊 ニューヨーク 美術館をめぐる冒険』です。アートを勉強し始めてから出来た(作った?)目標が、ニューヨークでのミュージアム三昧です。まだ、全部読んでいませんが、ニューヨークの美術館は素敵です。これまで、2回、ニューヨークに行っているのですが、遙か以前のことで、その時は美術館に寄りませんでした。
 大学をなんとも卒業して、ニューヨークに行きたいです。

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2007/07/22

魅力ある札幌のミュージアム

 昨日は札幌で過ごした休日。めったにない機会なので、札幌市内の美術館巡りをしてきました。全部で、5つのミュージアム、ギャラリーを訪問。ほんとは、こんなことしたくないのですが、めったにない機会なので、無理してまわってみました。
 最初は、北海道立近代美術館。今年で開館30年を迎えた歴史あるミュージアムです。ちょうど特別展『ダリ展 創造する多面体』がこの日から始まっています。昨年、東京で開かれた『ダリ回顧展』とは違った視点での展示がされていて、興味深く鑑賞しました。

北海道立近代美術館
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 近代美術館のそばには、北海道立三岸好太郎美術館があります。札幌出身の三岸好太郎の作品を展示する美術館です。31歳で夭折した画家ですが、多様な表現をみせてくれます。

 3つめのミュージアムは、札幌宮の森美術館。一昨年にオープンした現代美術を対象とした美術館。大きめのギャラリーといった規模ですが、快適な展示スペースです。今は『森山大道写真展 <記録/記憶』が開催されています。

札幌宮の森美術館
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 札幌市の郊外にある札幌芸術の森は、自然の中に鑑賞、発表、制作、研修、情報交流の機能を備えた施設が点在しているアート支援のスペースです。鑑賞のための美術館や、各種工芸を制作できる施設がいくつもあります。これだけの施設を札幌市が運営していることは、とても羨ましい限りです。(正確には札幌市芸術文化財団の運営)

芸術の森美術館
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 最後は、サッポロファクトリーの中にある札幌市写真ライブラリー。ここは札幌市の写真専門ギャラリー。スペースとしては常設展示と貸しギャラリーがあり、また札幌の写真の収集、保存を行っています。いわば、小さな写真美術館ですが、自治体が写真ギャラリーをもっているのは珍しく、評価されていい活動です。

 ほんとに駆け足の訪問でしたが、札幌のアート環境は充実していると感じました。街の規模が大きいこともあるでしょうが、それ以上にアートに対する自治体の取り組みが前向きなのではないでしょうか。
 こんどは、ゆっくりとミュージアム巡りをしたいものです。

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2007/06/10

美術館をはしご

 珍しくも昨日は三つものアート展にいってしまいました。スクーリングの2日目は、2つの展覧会を見るのがその内容。移動スケジュールに余裕があったので、教室のそばの美術館にも速攻で寄って都合3つの美術展にいってしまいました。
Peruzini まずは、新宿の損保ジャパン東郷青児美術館で開催されている「ペルジーノ展」。ペルジーノはイタリア・ルネサンス期の画家。ラファエロの師であり、レオナルド・ダ・ヴィンチとほぼ同年代です。恥ずかしながら、名前を聞くのも絵を見るのも初めて。近年、ペルジーノについて海外で再評価がされ、国内では初めての展覧会です。展示されている絵画は、どれも状態がよく、精緻な筆遣いの作品が揃っています。残念ながら、この時期の絵画は、ちょっと苦手です。勉強不足を痛感しました。
 
Fuzimori 二つめは東京オペラシティアートギャラリーでの「藤森建築と路上観察」。屋根に植物を植えた『タンポポハウス』、『ニラハウス』で有名な建築史研究家の藤森照信さんの建築の紹介と、路上観察を展示したユニークな内容。昨年のヴェネチア・ビエンナーレ建築展で開催されたものを国内でみせてくれるものです。
 藤森氏の建築は、自然素材を使い、工法もその良さを生かす工夫されているのが特徴です。いわば、自然と共生していく家づくりです。また「路上観察学会」は、赤瀬川原平さん、南伸坊さんらと、20年以上も前にはじめた活動です。会場ではビデオで活動内容が発表されていましたが、面白いですね。
 
Fashion  最後は、国立新美術館で行われている「スキン+ボーンズ」。「1980年代以降の建築とファッション」とサブタイトルが付けられた企画展ですが、建築とファッションの共通点を探る新しい試みの展覧会。国立新美術館とロサンゼルス近代美術館の主催なのですが、なんとも理解するのが難しいものでした。ファッションの知識がない私にとって、展示の主旨を理解することは、ほぼ不可能。かなりハードルの高い内容でした。

 テーマとするジャンルが違う展覧会を三つもみて、贅沢な一日でした。

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2007/05/05

宇都宮美術館の愉しさ

 GWの後半は栃木方面に。(女房の実家です)昨日は、宇都宮の宇都宮美術館を見にいってきました。このミュージアムを訪れるのは2回目ですが、緑豊かな環境のなかにあり、館内も心地よく落ち着きます。チケットを買ってから展示室へ入っていくところが、明るく、開放感があり、気持ちいい。設計者は岡田新一さん。最高裁判所、警視庁本部庁舎などを設計した大家ですが、心配りのあるつくりだと思います。

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 この宇都宮美術館、開館し今年で10年。公立美術館にとってもっとも厳しい時代を生きてきたミュージアムですが、その活動をみると元気を感じます。常設展も充実しています。いま、開館10周年記念展「シュルレアリスムと美術」が開催されており、これも見ごたえある企画展です。

 また、宇都宮美術館ではポイントカードを導入していて、観覧料100円につき1ポイント。30ポイント(3,000円相当)で、1枚の招待券、50ポイント(5000円相当)で2枚招待券がもらえます。これも美術館としては珍しいことです。

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 そばにあれば、頻繁に通いたい、素敵な美術館です。

彫刻作品も置かれている「文化の森」の一画にあります。
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2007/03/25

東京都現代美術館の充実度

 東京にくると、多くの美術館が魅力ある展覧会を開催しています。この時期は、上野で、ダヴィンチやオルセーなど一般受けする企画展も多く、さぞかし混雑しているんでしょうね。最近は、とんと東京の大きな企画展にいっていないことに気づき(?)、とはいっても混雑してるとこは嫌なので、東京都現代美術館に、出掛けてみました。確か昨年の夏前にいった以来なので、久しぶり。
 東京・木場公園の一画にある東京都現代美術館。ここは、他の大規模なミュージアムに比べて、交通アクセスがいいとはいいません。また、テーマも現代美術を扱っているので、ちょっと敬遠しがちかもしれません。でも、館内の雰囲気は、快適。建物の構造としては、好きな美術館のひとつです。

Mot

 現在、企画展として、「中村宏・図画事件 1953-2007」と「MOTアニュアル2007 等身大の約束」を開催中。「中村宏・図画事件 1953-2007」は70歳を過ぎた現在も活躍中の中村宏さんの作品を時系列に見せてくれる展覧会です。その作品群は、乱暴に一言でいってしまえば「前衛絵画」です。
 また、「MOTアニュアル2007 等身大の約束」は毎年開催されている新進アーティストを紹介する展覧会。いまのアートを感じられます。
 また、この美術館の常設展も充実しています。MOTコレクションと称して、定期的に展示替えをしています。ウォーホルやリキテンシュタインなど海外の有名アーティストもコレクションされていて、レベルは高いです。現在、ロスコの作品が展示されていて、これもコレクションなんだと、ちょっと驚きました。
 常設展示では特別展示があり、いまは「闇の中で in the darkness」が行われています。これは、闇をテーマにし、闇の魅力、怖さ、ポテンシャリティを再考するもの。展示作品の中には、ちょっと怖いものがありました。
 
 充実したふたつの企画展と常設展をみて、観覧料は1500円です。安いのではないでしょうか。久しぶりに多くのアートをみて、ゆったりとした時間が過ごせました。来月には岡本太郎の大壁画「明日の神話」が公開されます。これ、昨年の夏に汐留で公開されたとき見逃しているので、ぜひ見にいかねば、と思っています。
 
 

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2007/03/20

塩竃、2つの美術館

 塩竃の街はほとんど訪れる機会がありません。この前の週末、塩竃にある小さな美術館にいってみました。
 まずは、菅野美術館。ここは、ちょうど一年前の3月に開館した美術館です。東北本線の塩釜駅から歩いて10分ほど住宅地の中にあります。

Imgp0439

 医師の菅野喜與さんが私財を投じてつくった美術館で、西洋の近代彫刻など10点ほどの作品が常設で展示されています。作品はどれも質の高さを感じます。

 また、塩釜駅の駅前の生涯学習施設・エスプ塩竃の中には、長井勝一漫画美術館があります。長井勝一さんは、伝説のマンガ誌「月刊漫画ガロ」の初代編集長で青林堂創業者。この美術館は、塩竃出身である長井さんの業績を辿ることができる美術館です。ガロは白土三平、つげ義春、滝田ゆう、林静一、永島慎二などが活躍しした。先日、惜しくもなくなったイラストレーターの渡辺和博さんもガロで仕事をしていました。私は、ガロと同世代ながら、なぜかほとんど読んでいません。でも、展示をみていると懐かしい気持ちになってきます。

 ちょっと面白い体験ができる塩竃の美術館です。

菅野美術館WEB
長井勝一漫画美術館WEB

※菅野美術館の詳しい記事はココ

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2007/03/12

和楽の特集は「日本の美術館はどこへ行く?」

 今月号の和楽は、特に表紙が艶やかです。江戸時代の「源氏物語図屏風」(花宴)の部分ですが、桜の花の下での朧月夜と光源氏の出会いのシーンを絵描いた美しい絵です。表紙には桜の花の型押しがされていて、コストがかかっている感じです。

Waraku

 特集は「21世紀、日本の美術館はどこへ行く?」で。美術専門誌や、ブルータス、エスクァイアあたりがやりそうな固いタイトルの特集で、女性誌の和楽が組む特集としては意外な感があります。この春、東京・六本木のミッドタウンにサントリー美術館と21_21DESIGN SIGHT、2つのミュージアムができ、森美術館、そして先日オープンした国立新美術館と、「美術館トライアングル」が出現します。そんな中、美術館とは何か、特に大型ミュージアムの動向は注目されています。
 こ和楽という雑誌は、定期購読のみで読めるもので、一部の書店を除いては店頭で買えません。先日、女性誌創刊ラッシュのことに触れましたが、この和楽も35歳から45歳をターゲットにしているようです。年齢としては創刊された marisolと同じような層を狙っていますが、そのつくりはまったく違います。和楽では、美術関連の記事が多い。そしてどれもオジサン美術ファン(私のこと)でも楽しめます。 marisolでは美術の記事がわずか1ページなのと対照的です。
 特集「21世紀、日本の美術館はどこへ行く?」では建築家・安藤忠雄と三宅一生との対談など充実しています。また折り込み付録として、『「知的日本美術鑑賞53のキーワード』がついてます。表紙になっている「源氏物語図屏風」は六曲一双の屏風ですが、これがどういう意味なのが、この付録をみればわかります。
 ともかく、東京周辺のアートファンには楽しみな春ですね。

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2007/02/19

福島県立美術館で、名画の散歩

 昨日は、福島県立美術館へいってきました。一昨日から企画展「名画の散歩道」が始まっています。この美術館は昨年の秋、「ハギレの日本文化誌」をみにいって以来です。この企画展は、山形美術館のコレクションから約80点をみせるもの。他の美術館の所蔵作品をみせる企画というと、安直だと思うかもしれませんが、山形美術館のコレクションは、なかなかまとまってみせてくれる機会はありませんでした。
 Img_6905山形美術館は、県立ではありませんが、その所蔵作品は充実しています。ヨーロッパの印象派からピカソなどの現代絵画。また、日本画では、重要文化財である与謝野蕪村『奥の細道図屏風』などの江戸絵画や、近代の洋画など珠玉の作品が揃っています。
 美術館のwebではどんな画家の作品が展示されているか、残念ながら充分に書かれていません。この企画のサブタイトルは「蕪村、劉生、モネ、ルノワール、ピカソ、シャガール・・・ひびきあう東西の美」です。モネは『睡蓮』、ピカソは2点。また岸田劉生は『麗子坐像』が展示されています。このアーティスト以外では、ミレー、コロー、マネ、シスレー、ドガ、ゴッホ、マティス、ルオー、カンディンスキー、円山応挙、高橋由一、萬鉄五郎、安井曾太郎など巨匠、大家の作品が並びます。作品の質も、充実しています。見ごたえ充分です。
 おすすめです。お近くの方はぜひどうぞ。

※詳しくはここ

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2007/02/06

夕張市美術館の閉館に思うこと

 昨日の日経新聞・文化欄に、美術ファンとして見逃せない記事がありました。「夕張 炭坑画家の遺志」と題された記事。筆者は夕張市美術館の学芸員、源藤隆一さん。財政再建団体となった夕張市、その美術館は3月いっぱいで閉館です。
 記事を読んではじめて知ったのですが、夕張市美術館が所蔵する絵画700点の大半は、炭鉱労働者の描いた作品。30年代から70年代にかけて、労働者が美術サークルをつくり、24時間三交代の過酷な勤務の合間に、絵筆を握って描きました。
 その炭坑画家の一人、畠山哲雄さん(1926-1999)、日展にも入選、生涯に500点ほどの作品を残しています。小学生のころ、坑内作業員だった父からミレーの画集を買ってもらいました。それと西洋美術を扱った新聞記事の切り抜きを頼りに、絵を独学で絵を描きはじめたといいます。畠山さんを代表とする炭坑画家は、どうして絵を描いたのか。

炭坑画家は過酷な境遇にあっても絵画を通じて自分を高め、這い上がろうとしたのだろう。(源藤さん)

 夕張市美術館は3月いっぱいで閉じられるため、それ以降は電気も止められます。当然、作品の保管には劣化の危惧があります。源藤さんはこう書きます。

地域がどん底に沈むのなら、なおさら若い世代に炭坑画家の這い上がっていく精神を伝えなければいけない。自分自身の今後も見えない現状でどうしたらこの使命をまっとうできるか。

 美術館では11日から「Finish and Begin」が始まります。美術館にとって、あらたなスタートになってくれるように祈るばかりです。

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2007/01/25

エスクァイアのミュージアム特集

 今月号(3月号)のエスクァイアの特集は「成田発、知られざる エリートミュージアムへ。」。先月のCASA BRUTUSの1月号に引き続き、ミュージアムを取り上げています。ちょっと長いですが、リード文を引用してみます。
いま、世界でミュージアム旋風が吹き荒れている。2007年にはNY『ニューミュージアム』開館。'08年にロンドン『テート・モダン』の増築、その後もフランスの『ルーブル美術館分館』と続く。この空前の美術館ブームに、各美術館には建築、展示、サービスにわたる高いクオリティが求められ、観客にはそれを見抜く目が必要となる。オープンラッシュ前夜の今こそ際立つ個性を持った“エリートミュージアム”に出会う旅が、いよいよ始まる。


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 どの記事も充実しています。特に「モダンデザイン100年のアーカイブ。知られざるコレクション大国ドイツへ。」は興味深いです。博物館(ミュージアム)の起源とされる、王侯貴族が珍しい品々を集めたヴァンダーカンマー(驚異の部屋)。コレクション大国、ドイツへ焦点をあてた記事は読みごたえがあります。    

 付録に「日本の美術館、その個性を知る」がついています。独自の視点で選んだ国内のミュージアムが45館取り上げられていて、その選択基準が面白いなと思わせる企画です。     

 今年は、国内ではミュージアムの年でしょう。新国立美術館が先日オープン、これからサントリー美術館も開館します。これを機会に、アートファンが増えて欲しいですね。  

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2006/12/14

いま、ミュージアムから目が離せない

 本屋で見つけた今月号のCASA BRUTUSは、美術館の特集。『いま、ミュージアムから目が離せない。』と題され、充実しています。特に面白いのは「恐るべき世界の最新ミュージアムBEST9。」建築の視点から新しい美術館を紹介。日本では青森県立美術館が取り上げられています。別冊付録として『日本のミュージアムカフェ&レストラン54軒』がついていて、これも楽しい。
 いま、ミュージアムの建築では日本人が注目されています。2009年に開館予定のルーブル美術館分館のSANAA(妹島和代+西沢立衛)、まもなく着工のポンピドーセンターの分館坂茂と日本人建築家が設計を担当しています。

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 ミュージアム訪問の旅に出たくなりました。

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2006/12/04

鎌倉への超短い旅

 昨日は、ちょっと事情があって鎌倉へ。目的は神奈川県立近代美術館です。大学の課題で、あるテーマの事例を探しているのですが、なかなか思うように見つからず、気分転換もかねて、いってみました。実はこの美術館、日本で最初の公立の美術館ですが、訪れるのは初めて。場所は鶴岡八幡宮の手前と、抜群のロケーションです。

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日曜ということもあって、鶴岡八幡宮の境内は多くの人が行き来していましたが、美術館のエリアに入るとほとんど人もいません。静かです。開催中の展覧会が、ちょっと地味めなこともあって、(『イメージの迷宮に棲む 柄澤齊』:版画家 柄澤齊の回顧展)鑑賞者は多くはありませんでした。神奈川県立近代美術館は、この鎌倉館のほかに、すぐぞばに別館、そして葉山の海のそばに葉山館があります。どこも、観光地に位置する贅沢なロケーション。街の賑わいと、美術館の静寂の対比が、心に引っかかりました。

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2006/11/26

ギャラリーと美術館の距離

 昨日は久しぶりに銀座のギャラリーに出かけてみました。きっかけはアート情報サイト『芸力』を主催されているsayakaさんに久しぶりにお会いして、いろいろお話をうかがったせいです。この芸力、最近大幅にパワーアップされ、東京周辺のギャラリー、画廊に情報を知るには、大いに役立ちます。
 銀座には多くのギャラリー、画廊があります。昨日は出かけたのが遅かったので、6か所ほど見てみました。ギャラリーて、なれない人には入りづらいですよね。場所もビルの中の一室であることも少なくなく、入っていくのに抵抗があったりします。でも、入ってみれば主催者は暖かく迎えてくれます。昨日は2か所でお茶を出してもらいました。とあるところでは「画家さんですが?」なんてきかれたりして(どうみても、ただのおっさんなんですがねぇ)。
 ギャラリーでは、思いがけない作品に出会える楽しさがあります。昨日見たなかで、良かったなと感じたのは、奥野淑子さんの木口木版作品。(Oギャラリー UP・S)木版でつくられた黒と白の小さな世界。その精巧さにひきつけられます。(先日、エッシャー展をみたせいで、版画にひっかかります)

奥野さんの作品Okuno_1

 ギャラリーを見た後、京橋のブリヂストン美術館に行きました。ギャラリーと美術館でのアート鑑賞、展示されている作品の完成度は違うかもしれませんが、アートをみる姿勢は変わりません。時間をつくって、ギャラリーにも足を運ばねば、と感じた週末でした。

☆久しぶりに別館を更新しました。
 

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2006/11/20

宮城県美術館の賑わい

 昨日は、午後から宮城県美術館へ。お目当ては「パウル・クレー 創造の物語」です。すでに、先月から始まっていますが、週末仙台のいないことが続き、やっといくことができました。 このパウル・クレー展は、川村記念美術館、北海道近代美術館から巡回してきたものですが、国内有数のクレー作品を所蔵する宮城県美術館から多くの作品が出展されています。
 チケットを買い会場にはいると、かなりのひとがいます。ちょっと意外。この美術館の企画展は、玄人好みのものが少なくなく、鑑賞者が多くないこともよくあります。ちょうど、学芸員さんによるギャラリートーク「ウィークエンド・トーク」が始まりました。10人以上の人が聞き入っています。宮城県美術館にしては珍しい賑わいではないでしょうか(関係者の方、すみません)。

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「パウル・クレー 創造の物語」、約160点の作品が内外のミュージアムから集まった本格的なクレーの回顧展です。おすすめです。

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2006/11/08

青森県立美術館からプレゼント

 昨晩、家に帰るとポストにメール便。青森県立美術館からの封筒です。あけてみると、「ポストカード当選のお知らせ」と書かれた書面が入っています。どうやら先日、青森県立美術館でシャガール展を見たとき、アンケートに答えた人のなかから、抽選でポストカードをプレゼントしてくれるらしく、それに当選したようです。中には5枚のポストカードが同封されています。

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 ポストカードは「美術館外観」「青森犬(奈良美智)」「Mumps(奈良美智)」「カネゴン決定稿(成田亨)」「御吉祥大辨財天御妃尊像図(棟方志功)」の5種。これが、青森県立美術館を代表する作品なんでしょうね。裏には非売品とありますから、ミュージアムショップではうっていないのでしょうか。
 美術館にいったときは、極力アンケートに記入することにしています。鑑賞した感想を美術館に伝えることも大事、だと思っているからです。
 ともあれ、ちょっと嬉しくなるプレゼントです。

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2006/07/18

ブリジストン美術館の心地よさ

 きのう、仙台に帰る前に、久しぶりにブリジストン美術館に行ってきました。この美術館のカレンダーが我が家にあるのですが、今月はマティスの「縞ジャケット」。この作品を女房が気に入って、「本物」を見にいってきました。折しも「なつの常設」と題し、このマティス作品も展示されています。
 ブリジストン美術館は、いつ訪れても、心地よくなります。来館者も多くはありません、好きな絵を、じっくりと見られます。しっかりとしたパンフレットも、受付で渡されます。絵画を楽しむ時間が、贅沢で濃厚です。このミュージアムの、余裕がある雰囲気がとても好きです。京橋、というロケーションもいいのでしょうね。
 
 ブリジストン美術館でお気に入りの絵画をみて。そのあと銀座で一杯、なんてコースが最高なんでしょうが、単身赴任オヤジには、ちょっと難しい夢かもしれません。

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2006/06/27

東京都現代美術館のMOTコレクション

 場所が悪いとか、閉館時間が早いとか、いろいろ文句をつけた東京都現代美術館ですが、ここの常設展示は充実しています。確か昨年からここは常設展をMOTコレクションと名付け、テーマ性を明確にして展示を行っています。現在は「1960年代以降の美術」として、60年代のポップアートから、90年代のアジア美術、2000年代に制作された作品まで、10年単位でテーマ性をもたせての展示は、バラエティに富み、楽しめる内容です。
 60年代のポップアートのコーナーでは、ウオーホル、リキテンシュタインの元祖ポップアートと、横尾忠則の国産ポップアートが並べて展示されているのが、面白いです。
 このMOTコレクションの中で、特集展示として、二人のアーティストの小さな個展が展開されています。このうちの中村一美さんの作品は、ダイナミックな筆遣いと、華やかな色彩で、主題の重さを感じるものの、なぜか、みていると幸せな気持ちになります。特に大作「連差-破房 XI(斜傾精神)」は、9.11テロに題材をとった作品とのことですが、縦4メートル横8メートルの絵画世界は、圧倒的な迫力です。
 この美術館は、いく機会が多くはないのですが、常設展だけみにいくのも良さそうだな、と思い直しました。

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2006/06/25

鮮やかな版画の世界「吹田文明展」

 久しぶりの世田谷美術館で、「吹田文明展」をみてきました。吹田文明(ふきたふみあき)さんは、1926年生まれ、まだ現役で活躍する版画家です。会場に飾られた作品をみて感じたのは、版画にもこれほどまでに多彩な表現ができるのか、という驚きでした。古今東西の巨匠と称される画家たちが、油彩作品だけでは満ち足りずに、版画作品を制作しています。版画という表現手法は、それほどまでに魅力があるものなんでしょう。
 吹田さんの版画は、そのほとんどが抽象作品です。色彩と形が織りなすイメージの世界は、幻想的で、刺激的で、また安らぎを与えてくれます。
 会場にはいって、冒頭に飾られている宇宙を想起させてくれる一連の作品。青、紺などの色を多用し、果てのない広がりを感じさせてくれます。作品のほとんどが、木版に油彩、水彩の2つの絵の具を使って刷られています。油彩絵の具を版画に使うことが、新鮮です。
 どうやって水彩と油彩を使うのか、と思ってみていたら、「制作の現場から」というコーナーで、その謎が解けました。下地に水性、その上に油性を重ねて刷っていたのです。
 また、作品よっては版画手法に、墨流しを加えた作品もあります。黒、緑などの絵の具をたらして、あいまいな形を表現。線と線で区切られた版画表現と、不定形であいまいな形の墨流しの対比が、刺激的な効果を生んでいます。

 会場の最終章「光の彼方へ」と題されたコーナーにあるひとつの作品に惹きつけられました。「南に散りし友に捧ぐ Ⅱ」(戦後50年の鎮魂歌)。そこには、もの悲しく、でも懐かしい世界があります。自分がかつていた場所、でももうそこのは戻れない場所、となぜか思う世界が広がります。しばらく作品の前で、佇んでしまいました。
 
 吹田作品は、単に版画の範疇をこえ、みるものに様々なイメージを与えてくれるすてきなものばかりです。版画の奥深さを感じる美術展です。


 

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2006/06/21

アフリカ・リミックスの世界

 森美術館に久しぶりにいってみました。いま、「アフリカ リミックス」展が開催されています。この美術展、アフリカの現代美術を、様々な形態のアート作品で紹介するもの。84名、約140点の作品が展示されていますが、誰一人として、名前を知っているアーティストはいません。私にとっては、作品のもつ権威にとらわれることなく、自由にみられるアート展といえます。
 Africa_remix多くの作品が、2000年代に制作されたもので、まさにアフリカの現代美術といえる作品が並びます。現代美術は、表現するのが難しい面があります(というより、私の表現能力の不足)。アフリカの風土や民族のことに、まったく知識がないことを承知の上であえて言うと、全体的な印象として、作品に「アフリカのにおい」や「アフリカ特有の作風」はあまり感じませんでした。しかし個々の作品は、奇抜、刺激的、不思議など、コンテンポラリーアートをみていて感じる感情を想起させてくれるものが多く、芸術としての完成度が高い作品ばかりです。
 先週末、駆け足でみた「カルティエ現代美術財団コレクション展」は、これも面白く感じた作品が多かったのですが、どこか無機質、暖かみの欠如みたいなものを感じる作品いくつかありました。これに対し、「アフリカ リミックス」では、作品の奥に、人間くささ、暖かさ、感情の高ぶりなどを感じられることが多かったです。
 いまの日本で紹介されるアートは、やはり西洋中心です。アフリカ、それも現代美術をみる機会は、それだけで貴重な体験だと思います。お時間がある方には、おすすめです。

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2006/06/19

刺激的なカルティエ現代美術財団展

 昨日まで、大学のスクーリングでした。「ミュゼオロジー」とういう科目で、美術館での課題を、グループでまとめ上げるもの。もの凄くハードで、終わった後は脱力状態でした。
 この課題では、東京都現代美術をテーマにしたものでしたが、講義のひとつしてこの美術館の学芸員さんから、現在開催されている「カルティエ現代美術財団コレクション展」のこともきくことができました。
 カルティエ現代美術財団は、1980年代の設立。この財団の活動は、特徴的です。既存の美術作品をコレクションするのではなく、活動している作家に制作を依頼。その作家の企画展を開催し、終了後作品は財団が買い取ります。つまり、この作品は一定期間開催された企画展でだけでみることができ、その後は財団の所蔵庫に収められたまま、人目に触れなくなってしまうわけです。考えてみると、もったいない話ですね。
 今回の「カルティエ現代美術財団コレクション展」は、財団所有のコレクションから特別に出展し、みせてくれるものですから、価値ある展覧会といっていいしょう。
 肝心の鑑賞ですが、課題の制作におされて、30分くらいしか見られませんでした。全体的な印象としては、インスタレーション、オブジェもかなり刺激的でしたが、それ以上に映像作品が面白かったです。
 また、森山大道の作品もコレクションにあり、特に多数のポラロイドで構成した作品が不思議な空間を作っています。
 刺激を求める方には、ぜひおすすめです。

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2006/06/18

東京都現代美術館の不便さ

 昨日は、大学のスクーリング実習で東京都現代美術館へ。朝の開館時から、閉館時間の18時まで、一日中館の中で過ごしました。常設展をみたり、館のバックヤード、所蔵庫の見学、そして駆け足での「カルティエ展」の見学。
 朝から晩までここにいると、いつも展覧会での訪問では気づかないことに、気づきます。美術館の周辺には、食事をしたり、お茶を飲んだりできるところが、ほとんどないんですね。隣が木場公園なので、緑は豊富ですが、アフターミュージアムを楽しむレストラン、カフェは皆無です。どうしてなんでしょうね。
 一緒に勉強していた人の話によりと、以前は週末の夜間開館も行っていたのですが、夜は周辺が寂しく、夜間展示もやめてしまったとか。
 周辺部、再開発とかしてくれないでしょうか・・・。

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2006/06/17

東京都現代美術館のPODCAST

 昨日から武蔵美のスクーリング。これは通信大学生に課せられた短期的な通学授業です。金曜から3日、「ミュゼオロジーⅡ」という科目の授業。一日目は、新宿のサテライト教室での講義です。そして、明日は東京都現代美術館にいっての「実習」。最近、いっていなかったので楽しみです。
 この東京都現代美術館では、POD CASTによる音声ガイドサービスを提供しています要ははiPodでミュージアム展示の解説がきけるえわけです。学芸員による展示解説と、更に常設展に出展している中村一美さん自身による作品解説もあります。国内の美術館としては、新しいメディアでの情報伝達を試みている点で、大いに評価できると思います。
 また現代美術館では、MOT THE RADIOとして、企画展の最新情報もネットラジオで配信しています。これも面白い企画。たとえばフレンチレストラン・クィーンアリスの石鍋さんをゲストに迎え、現代アートについて話してもらっていたり、意欲的な企画です。
 東京都現代美術館の新たな企画は、ちょっと刺激的なものを感じます。

東京都現代美術館ウェブサイト

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2006/06/14

東北歴史博物館で「中国★美の十字路展」

 Img_5277多賀城市にある東北歴史博物館に、初めていってきました。仙台駅から東北線に乗って15分ほど、国府多賀城駅前にあります。思っていたよりすっと立派な建物です。ネットで調べてみると、開館は1999年と、比較的新しいミュージアムです。
 現在、特別展の「中国★美の十字路展」を開催しています。これは昨年夏に森美術館で行われたものの巡回。当時はまったくノーマークだったのですが、かなり見ごたえがありました。
 中国の後漢から盛唐にいたる長い時代に生まれた、一級品の作品ばかりが展示されています。俑(よう:墳墓に副葬された人形)、壁画、仏像、工芸品などが200点以上もあり、中国造形の技量の高さと、奥深さを堪能できます。
 特に俑、これだけ様々な時代のものをまとめてみたのは初めてで、その造形の細かさ、人物の表情の豊かさに驚きます。
 また正倉院の遺品との関係が指摘されているササン朝ペルシャの切り子ガラスも興味深いです。中国とイランとの交流ををうかがい知る貴重な資料です。
 
 中国の美術品は、ほんと膨大です。その歴史も充分に頭に入っていない状態でみてしまったため、展示されていた作品の価値が理解できなかったものも多かったのが実態。東洋美術史は、どうも苦手ですね。
ともあれ、中国と西方圏との交流を、一流の作品でみせてくれる、素晴らしい展覧会であることは間違いがありません。

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2006/06/13

人生を刻んだカミーユ・クローデル

 福島県立美術館で「カミーユ・クローデル展」をみてきました。カミーユといえば、ロダンとの交際があった彫刻家、くらいの知識しかありませんでしたが、この展覧会をみて、カミーユの壮絶な人生を知り、その人生が乗り移ったような作品に、魅せられました。
 カミーユは、彼女が生きた時代(1864年生まれ)には珍しい女性の彫刻家を目指し、ロダンの弟子となります。そして、愛人となり、才能を開花させていき、天才と称えられます。しかしカミーユはロダンと別れたのち、精神に支障をきたします。78年の生涯で、作品を発表したのは43歳の時が最後です。人生の後半の30年は、精神療養所に収容されたまま、生涯を終えます。悲しい物語のようです。
 作品はそのカミーユの壮絶な人生を、そのまま表しています。ロダンとの蜜月時代に つくられた一連の「ワルツ」は抱きあいながらワルツを踊る男女が、まさに動きだしそう。すてきな愛の世界です。
 ロダンと別れたあとにつくられた「波」。3人の女が、襲いかかるような波間に置かれている作品。北斎の有名な富嶽36景「神奈川沖浪裏」に触発された作品。ユニークな彫刻で、刺激的。
 暖炉と、その前に座る女性を構成した「暖炉の夢」(1899)は、暖かい物語を思い描かせてくれる、懐が深い作品です。カミーユが、この作品を発展させ、深化させていけば、新たな彫刻世界をつくっていたのでは、と感じました。
 
「愛と運命を刻んだ彫刻家」-この企画のサブタイトルですが、まさにカミーユは自らの人生を、作品に彫っていたのです。ちょっと重く感じた展覧会でした。

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絵はがきの作品が「ワルツ」(上)と「波」

※7月には府中市美術館に巡回します。

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2006/06/12

平福百穂を知っていますか?

 宮城県美術館では開館25周年記念の全館展示企画の「コレクションの四半世紀」の第2部がはじまっています。タイトルは「平福百穂を知っていますか」です。なかなか挑戦的で、大胆な企画名です。残念ながら、平福百穂(ひらふくひゃくすい)、知りませんでした。
 平福は秋田出身、明治10年生まれの日本画家で歌人でもあった人です。代表作の「猟」は、緑鮮やかなすすき野を、白と茶の馬にまたがった青い装束の男たちがいく姿が、細やかな線で描かれています。万葉集から題材をとった作品とのことですが、詩的な画面構成が魅力的です。平福の作品は、この「猟」を含み、7点が展示されていますが、どれも繊細な線描で表現される絵画世界です。
 このほか、この企画展では「それぞれの東北」と題され、東北にゆかりのある画家、写真家の作品が展示されています。萬鉄五郎、松本俊介の個性溢れる作品に加え、岡本太郎の直弟子であった村上善男の作品も展示されています。この人の作品は初めてみましたが、綿布、アクリル、和紙、布などのいわゆるミクストメディアを使い、色、形、文字で構成された個性豊かな作品です。
 また、写真家・木村伊兵衛の秋田をとった一連の作品や、森山大道の70年代の東北での撮影作品も興味を引きます。木村の有名な「青年 秋田市仁井田」や森山のこれも有名な「野良犬 三沢市」、どちらもモノクロながらそれぞれ存在感がある写真です。

 これ以外にも、「表現主義と日本」や「発見された画家」など、充実した展示があります。ぜひ再訪したいと思わせてくれる、充実した企画展です。

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2006/06/02

青森県立美術館は来月オープン

 昨日、仕事で青森へ。駅前のアーケードを歩いていたら、こんなディスプレイが飾ってありました。

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 来月13日に「青森県立美術館」がオープンです。これまで青森には県立の美術館はなかったのですね。青森県内の芸術関係の施設としては、2001年に開館した「国際芸術センター青森」があります。ここはアーティスト・イン・レジデンス、すなわちアーティストが一定期間居住しながら創作活動を行う施設で、アートセンターに区分されるもの。
 また、地元出身の版画家・棟方志功の作品を所蔵する「棟方志功記念館」が青森市内にあります。

 全国でも後発の県立美術館、「青森県立美術館」は、どのような方向を目指すのでしょう。ホームページによると、シャガールのバレエ「アレコ」の舞台装飾、岡本太郎、猪熊弦一郎、棟方志功の作品や、地元出身の奈良美智作品などをコレクションしています。
 県立美術館の置かれている状況は、どの自治体でも厳しいものがあります。作品の新規購入予算も確保できない美術館も少なくありません。青森県立美術館が、どのような活動をしていくのか、どんなアートメッセージを発信していくのか、とても気になるところです。

青森県立美術館WEB

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2006/05/28

宮城県美のパウル・クレー再び

 宮城県美術館で開催されている「コレクションの四半世紀」の第1部「パウル・クレーに会おう」。5月になって、クレー作品が展示替えになっているのを、やっとみてきました。会期は今日までなので、駆け込み。
 展示替えで、新たに出されているクレー作品は7点。
「情熱の園」は14×10センチほどの小品ですが、エッジングで細かく描きこまれた線画。ちかよってみると、小さな人間みたいなものが描かれています。クレー流ミニチュール(細密画)でしょうか。
「アフロディテの解剖学」は2次元の表現で、円柱、円錐があでやかな色彩で描かれています。アフロディテは、ギリシャ神話の美、恋愛の女神ですが、その解剖学とは?なかなかなタイトルですね。
「パレッシオ・ヌア」は赤、青、グレーなどの矩形で構成された、色と形が織りなすクレーらしい作品です。

この「パウル・クレーに会おう」は、残念ながら本日で終了。第2部は「平福百穂を知っていますか」がはじまります。

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2006/05/23

東京国立博物館、常設展の楽しみ

 この前の週末、中国の陶磁器をみに、東京国立博物館の東洋館に。このミュージアムは、4月から私の大学では常設展が無料でみられることになりました。今のところは、130円ですが、秋頃に400円に値上げされるようなので、うれしいことです。
 東洋館は、いついっても見入ってしまいますね。じっくりみているとあっというまに時間がたってしまいます。常設展のいいところは、写真を撮れること(フラッシュ、三脚を使わない条件ですが)。中国の陶磁器を、課題用に何枚も撮影。これは西洋美術館の常設も同じで、ロダンの彫刻、モネの絵画などを写真に納めることができます。

 現在、東洋館ではエトルリアの美術品が展示されています。これは、以前イタリア国立東洋術館より寄贈されたものを、期間限定で展示しているもの。紀元前8世紀、中央イタリアに現れたエトルリア人によって展開された独自の美術品をみることができます。色、文様が独特です。

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 東京国立博物館の東洋館をみるだけでも、半日はかかりそう。いつかはじっくりと見にいきたいのものです。

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2006/05/21

出光美術館の名品展 1

 出光美術館の「名品展Ⅰ」をみてきました。実は、大学の課題を書くために中国の陶磁器を見なくてはいけくなり、この美術展にかなりの作品が出展されているので、久しぶりに日比谷まで出かけてみました。
 
 Idemituこの「名品展」は出光美術館の開館40周年を記念し、春と秋の2回に分けて、美術館の所蔵する作品から選りすぐってみせてくれるもの。出展されているのは仏画、絵巻物、朝鮮陶磁、書、茶道具、中国絵画、室町屏風そして中国の陶磁です。日本美術のみものは国宝の「伴大納言絵巻」と古筆手鑑「見努世友」。室町時代の屏風は、どれも見事です。また同じ室町時代の雪舟の描いた「破墨山水図」は、墨でさらりと表現された山水図が、小品ながら魅力的。
 
 お目当ての中国陶磁器は、期待以上の作品が揃っていました。陶磁器が誕生する遙か前、殷時代の青銅器「饕餮紋か」(=とうつてつもんか・かの字が変換できません)は、根津美術館にあるものより小さい(高さ45センチほど)ですが、青銅器に作り込まれた文様が細かく、当事の技量の高さがわかる傑作。
「彩陶双耳壺」は仰韶文化時代の陶磁器・彩陶。文様のデザイン性が興味深く、その細かさに驚きます。日本でいえば縄文時代に、このような見事な陶磁器を作っていたことは驚きです。
 西晋時代の古越磁「青磁神亭壺」は、上部に作り込まれた楼閣の細かな仕事に驚きます。東京国立博物館にある青磁神亭壺よりも細工が細かい傑作。
 また、景徳鎮窯の陶磁器も、どれもすばらしい名品揃い。

 日本と中国の作品が同じところに並べられちょっと頭が混乱しました。でも、展示されている品々は、どれも至宝の名品ばかり。みごたえたっぷりです。

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2006/05/09

根津美術館のゆとり

 一昨日、東京・青山の根津美術館にいってきました。この日を最後に、改築のため3年半の休館です。尾形光琳の「燕子花図」を目当てに出掛けました。最終日といいながら、そんな混雑はしておらず、「燕子花図」などの屏風を堪能しました。燕子花の青も印象深かったですが、「吉野龍田図」(六曲屏風 一双)のあでやかさが、印象的。一双の右が薄紅色の桜の図、左が赤い紅葉の図、その見事な色彩の対比に、しばらく見とれてしまいました。

 根津美術館は、うちの墓のそばにあるのですが、なぜかあまり足を運ぶことはありません(墓参りには、年3,4回いっているのですが)。しかし、改築のためとはいえ、3年半も休館してしまうとは、なんとも余裕があるな、と思いました。
 この美術展、女房と一緒にいったのですが、観覧券が大人と大高学生(私は大学生です)のデザインが違うのです。これも余裕でしょうか。

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 この美術館の創始者、根津嘉一郎さんは息子が通っている学校の創設者でもありました(いまごろ気づきました)。子供と一緒にいけばよかったと、ちょっと後悔した美術鑑賞でした。

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2006/05/08

天台宗の美術に、ただ感嘆

 昨日で残念ながら終わってしまいましたが、上野の東京国立博物館で「最澄と天台宗の国宝」展を、駆け込みでみてきました。京都に引き続き、東京での展示が始まり、早く行かねばと思いつつ、ついに最終日の前日に会場へ。おまけに、まったく予習なしに鑑賞に臨むという無謀さです。開き直って、単純に展示されているものを楽しむことにしました。
 すごいですね。仏像、絵、書、工芸、どれもすばらしく、みていて飽きることがありません。国宝、重要文化財が目白押し。これだけまとまった天台宗の美術品がみられる機会は、めったにないかもしれません。
 特に仏像は、どれをみても心が和みます。その表情、姿勢、そして彫り込まれ、作り込まれた造形は、優雅で、力強さを感じました。
 
 膨大な展示作品の中で、気に入ったのは運慶・湛慶作 「梵天立像・帝釈天立像」。彩色された仏像の、繊細で優雅な姿に魅せられました。
 また、神仏習合思想で作られたとされる、一連の曼荼羅図は、ちょっと曼荼羅らしからぬ表現がおもしろいです。

 ともあれm日本人としては、もう少しこの分野のこと勉強せねば、反省した展覧会でした。

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2006/05/07

西洋美術館のユビキタスを体験

 以前このブログで触れた「ウェル.con美術館」上野の国立西洋美術館で携帯端末での情報提供の実験が、この連休中に行われています。昨日、たまたま国立博物館にいったとき、西洋美術館の前を通りかかり、ちょうど借り出しができる時間帯だったので、試させてもらいました。
 
「ユビキタス・コミュニケーター(UC)」と呼ばれる携帯端末は、予想よりちょっと大きい。

Ubikitasu

 この端末で、美術館の前庭にあるロダンの3作品「カレーの市民」、「考える人」、「地獄の門」の前にたつと、映像+音声、文字+音声の情報がきいたり、みたりできるもの。情報は、作品の基本情報やエピソードで構成。映像は青柳館長により解説と作品を巡る映像(各1分くらい)が楽しめます。

 音声、映像で作品に関する情報を提供することはいいことだと思います。これまで漫然とみていた「カレーの市民」なども、情報があることで、見方が変わったりします。提供される情報は、ほどよい量と質で、使い勝手はよいように感じました。
 ただ、端末の出来はまだまだ。液晶画面が見にくく、明るい屋外では、ほとんど見えませんでした。また、端末はもう少しコンパクトなほうがいいでしょう。
 
 今後は、西洋美術館の常設展でもトライアルの予定があるようです。新たな試みが、改善、発展していくことを期待したいです。

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2006/05/06

戸栗美術館にみる「17世紀の伊万里焼」

 Toguri_2大学の科目で工芸論をとり、その課題のため伊万里焼のことを調べなくてはいけなくなりました。陶磁器のような工芸品は、上野の東京国立博物館にいくのが基本のようですが、渋谷にある戸栗美術館もかなりの陶磁器、とくに伊万里を所蔵しています。これまで訪れたことのない美術館なので、鑑賞をかねて出かけてみました。ちょうど「17世紀の伊万里焼」が開催されていて、伊万里焼の歴史を整理することができました。
 「古伊万里」からはじまり「藍九谷」、「古九谷」、「柿右衛門」そして「藍柿右衛門」といった各様式の磁器が、解説をつけられ展示されています。「藍九谷」や「藍柿右衛門」という様式は、はじめて知りました。 この企画展では、わかりやすい解説が、作品やコーナーに細かくつけられ、鑑賞者には親切な展示になっています。もちろん、展示されている陶磁器は、どれも一級品ばかり。伊万里焼の作風に、感心させられました。
 伊万里焼、陶磁器が好きな方には、おすすめの展覧会です。

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2006/05/02

「大正期の異色画家たち」の魅力

 江古田まで行ったので、久しぶりに練馬区立美術館を訪れてみました。昨秋の「佐伯祐三展」以来です。この美術館ではいま「大正期の異色画家たち」が開催されています。これは和歌山県立近代美術館所蔵の作品から、大正から昭和の初期に活躍した「異色」画家の作品をみせてくれるもの。
 西暦の年代でいうと、大正元年が1912年、昭和元年が1926年。西洋絵画は大きく変化、変貌を遂げた時です。キュビズム、フォービズム、シュルレアリスムと新しい美術様式が生まれた時代。西洋絵画の潮流をうけ、新しい画風、作品の制作に取り組んだ日本の画家たちを「異色画家」と表現しているように感じました。
 
 出展されているのは、日本画、油彩、版画、彫刻の4つのジャンルで、佐伯祐三、川口軌外、長谷川潔、東郷青児など私にも馴染みのある名前から、はじめて名前を知った画家まで40人以上。ほとんどが、初めて作品をみる画家です。 

 最初の日本画のパートでは野長瀬晩花の作品が、刺激的。「大原めと舞妓」(1916頃)は日本画の手法・材料(絹本着色)で描かれた作品ですが、その作風は明らかにマティスのよう。線をさらさらっと描き、書き込まない表現で二人の女性が描かれていて、ちょっと日本画とは感じられない作品。
 版画では、樋口五葉の「化粧の女」に魅せられます。女性が手鏡をもつ構図の浮世絵。喜多川歌麿の美人画を連想しますが、表現にどことなく近代を感じます。
 また、1914年に制作された田中恭吉の一連の版画は、女性をモティーフとして、内なる精神世界を表現しているように感じる作品。年代的にはシュルレアリスムが誕生するより前に、どうしてこのような作品をつくられたのか、画家の創作過程に興味が沸きます。
 油彩画では、佐伯祐三の作品が5点。いづれも昨年の佐伯回顧展に出展されていたものに再会できました。
 川口軌外の作品は、幻惑的ですね。好きなジャンルの作品で、じっくり見入ってしまいました。特に大作「少女と貝殻」(1934)は、象徴的に置かれた少女と貝殻、そこに差し込む光を、色彩と形で表現した作品。キュビズムの影響をうけているのでしょうか?もう少し川口のこと、勉強しないといけないです。

 20世紀前半、西洋絵画の変化と、その日本への影響を考えるには、とても有意義な展覧会だと思います。この時期の美術に興味がある人には必見です。
 

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2006/04/29

ウェル.com 美術館、って?

 昨日の日経新聞の夕刊に、「携帯端末で美術品と対話」と題されたコラム。これは上野の国立西洋美術館ではじめられた実験の紹介で、文庫本ほどの携帯端末で作品の基本データや、動画、音声での作品解説が呼び出せるもの。
 先日、発表された「ウェル.com 美術館」って、このことだったんですね。記者発表の記事みただけでは、なんのことやらよくわからなかったんですが、要は手元の端末で、作品の鑑賞をサポートするための、知識、情報を提供しようということ。この取り組み、青柳館長は、
「国立西洋美術館は面積あたりで計算すると、おそらく世界一の来館者数となる。これほどの効率化をしているので、来館者を増やすというより、来てくださった方々が、今まで以上の満足感を得られるようにやっていくことが目的」
といっています。
 とういうことは、ミュージアムでのCS(顧客満足度)を高めることが目的ということですね。考え方はいいことだと思います。企画展などでは、作品の解説が掲示されていることも多いですが、これが難しい文章が多い。私のような素人美術愛好家にとって、なんの知識もなく作品をみるより、情報があったほうが作品をより楽しめます。このシステムでは、できるだけ分かりやすい言葉、表現で作品解説がされることが重要でしょう。
 連休中に、希望者に携帯端末を貸しだしてくれます。試してみたいですね。

国立西洋美術館の関連ウェブ

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2006/04/17

ブリヂストン美術館、充実の企画展

 京橋のブリヂストン美術館で開催されている「雪舟からポロックまで」は、石橋財団50周年記念の企画展です。石橋財団で運営しているミュージアムは、ブリヂストン美術館と、久留米にある石橋美術館があり、通常は石橋の所蔵作品は、現地まで行かないとみられませんが、この企画展では、両美術館のコレクションを見せてくれます。
 展示された作品は、すごいものばかり。タイトルの「雪舟からポロックまで」にあるように、西洋絵画では、自然主義のコローから、印象主義のモネ、セザンヌ、ルノアール、そして20世紀の巨匠、ピカソ、マティス、そして現代美術のポロックまで。日本画では、11世紀の「古今和歌集巻 第一断簡 高野切」から雪舟、円山応挙など、名作がそろいます。
 
 気に入ったのは、やはりルノアール。パステルで描かれた「少女」は、ルノアールらしいふくよかな印象は薄く、ピュアーで、清楚な少女の像に、惹きつけられました。
 この春、話題の藤田嗣治は3作品が展示。「横たわる女と猫」は、乳白色の肌、墨色で細かに描かれた線は、まさに藤田作品そのもの。女の衣装とベッド、それぞれが繊細にかき分けられ、質感が見事です。
 また、「ドルドーニュの家」は、先日、仙台のカメイ記念展示館でみたものと、同じ意匠の作品です。細部は違っているはずなのですが、覚えていなく残念。絵葉書をかってきたので、カメイ記念展示館を再訪しようと思います。

「少女」と「ドルドーニュの家」
Brigdstone

 この企画展、時代、ジャンルなどがあまりに多岐にわたって、頭を整理するのが大変。なんとか冷静にみられたのは、ピカソ、マティスまででした。みたい作品を決めて、再訪したほうがよさそうです。


 

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2006/04/16

銀座にて 2:「本の仕立屋さん」の仕事

 銀座にあるポーラ ミュージアムで「本の仕立屋さん」という企画展にいってきました。『仕立屋』という言葉、ちょっと懐かしい響きです。最近はあまり仕立て、という言葉はききません。
 この企画展、書籍の装丁デザイナーに焦点をあてたもの。会場では4人の装丁家の作品(書籍)が並べられ、その仕事をみることができます。
 本屋で、単行本を選ぶとき、まず気になるのが装丁。本の装丁、そして帯がすてきなデザインだとつい手に取ってします。装丁は、いわば本のお化粧、とでもいえば、言い過ぎでしょうか。
 本好きには、とても楽しい時間が過ごせる企画展です。

ポーラミュージアム「本の仕立屋さん」

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2006/04/11

カメイ記念展示館にみる藤田嗣治

 仙台の駅から歩いて5分くらいのところにカメイ記念展示館があります。この展示館は仙台に本社があるカメイ(株)が母体の、いわゆる企業ミュージアムです。(運営はカメイ社会教育振興財団)前からいってみなくてはと思っていたのですが、やっと先週末に行ってきました。
 この記念館では、会社で収集した絵画を定期的に公開しています。この時期は「カメイコレクション秀作展」と題され、絵画や彫刻が50点近く展示されています。大半を占める油彩画は、収集した方の好みからか、すべて具象画。その中には、国内外の有名画家の作品もあります。
 まずは、この春話題の藤田嗣治。展示されているのは2作品。ひとつは1952年の「アルジェリアの子供達」。二人の子供と、その後ろに大人が4人。この時期の藤田らしい、大人みたな顔つきの子供の表情が、独特の魅力。
 もう一枚の藤田作品は「ドルドーニュの家」(1940)。藤田の住まいを描いたものらしいのですが、黒、茶、白とほとんどモノトーンで描かれた室内風景。藤田の特徴である細かい線描はなく、ラフなタッチの作品です。

 藤田以外には、安井曾太郎、東郷青児、加山又造、小磯良平など、いわゆる有名画家の絵が並びます。また、海外の画家では、ヴラマンク、ローランサン、デフュイの作品も。 ヴラマンクの「風景」(1940)は、日の陰りを感じさせる時間に、一軒家を描いた寂寥感のただよう一枚。

 日曜の午後に訪れたのですが、お客さんはひとりもいません(私が入っていったら、館内の照明をつけてました)。せっかくの名画たちも、寂しそうでした。

カメイ記念展示ウェブ

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2006/04/09

宮城県美術館で、クレーに会おう

 Img_5015 昨日から仙台の宮城県美術館で「コレクションの四半世紀」展がはじまりました。宮城県美術館は今年で開館25周年を迎えます。これを機にミュージアムの全館をつかってコレクションを見せる特別展が、2回企画されています。
 まず第1部として「パウル・クレーに会おう」が開催されています。この美術館は国内でも有数のクレー作品を保有しています。また、併せてクレーが生きた時代、「ドイツ表現主義」の画家たち;カンディンスキー、キルヒナー、ココシュカ、ヘッケル、マルクなどの作品も展示されています。クレー作品は4月が前期、5月を後期に分け、展示替えをしながら、計18点が展示されます。第1期では、淡く美しい色と、細い線描で描かれた小品「金色の縁のあるミニチュアール」(1916)や赤、オレンジ、黒、水色の矩形と円が織りなすシンプルな「橋の傍らの三件の家」(1922)がとくに印象に残ります。
 また、ヴァシリー・カンディンスキーは、抽象表現に到達する以前の傑作「商人たちの到着」や「水門」が展示されています。
 表現主義の時代の作品は、クレー、カンディンスキーを含め、理解するのが難しい。素人美術愛好家にとっては、とても手強いです。

 この「コレクションの四半世紀」では表現主義以外にも、国内近代絵画、現代美術、そして佐藤忠良作品が展示されています。ボリュームがあり、見ごたえがあります。何回も足を運びたい美術展です。

なお、パウル・クレーの出展作品リストは、以下のブログに記載してあります。

sendai art crossing

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2006/04/04

藤田嗣治:多彩な絵画世界

 やられました、レオナール・フジタに。すごいです、フジタの世界。
 Img_4990きのう、休みをとって「藤田嗣治展」へ。藤田の天賦の才能を十分に感じられる充実した回顧展でした。

 会場で、作品の前でじっと立ち尽くし、そこから暫し離れなくなることが、たびたびありました。特に印象に残った作品について、感想を書いてみます。

 藤田30代前半の作品「幻想風景」。エコール・ド・パリの時代、まだ藤田が作風を模索している時代の作品ですが、キャンバスに描かれたひょろ長い5人の女性が、私が持っていた藤田の女性像とは違った奇妙な印象を与えてくれます。
 
 藤田といえば、裸婦のイメージ。「横たわる裸婦」の前に立ったとき、まさにそこに裸婦がいるような錯覚に陥りました。肌の色とそこに描かれた唇と乳首のピンク、そして背景に塗られた黒。ほとんどこれだけの色づかいなのに、女性が目の前にいるような存在感はすごいです。この作品をふまえ、翌年に描かれた「五人の裸婦」は、幻想的ともいえる女性像で、背景がディテールまで細かに描かれ、圧倒的な存在感です。

 藤田の作品でキリストの絵画表現も大きなテーマ。ひろしま美術館が所蔵する「十字架降下」は,中世以来、西洋絵画の必須ともいうべきテーマのひとつ『十字架降下』を、藤田の解釈で描いた傑作でしょう。絵には日本固有の表現材料である金箔が大胆に使われています。ここに、日本人藤田としての、創作への強いこだわりを感じます。

 1930年代、藤田が中南米に旅して、それまでの作風と違った作品を描いています。この時期の作品は、私はあまり好きではありません。フジタの繊細さ、ナイーブさが感じられないからです。その中では、「狐を売る男」は水彩で描かれ、藤田らしさが表現された佳作です。同じ時期に日本国内で描かれた作品では、沖縄に滞在しての作品「孫」の色彩感、構図に惹かれます。

 戦時に描かれた「アッツ島玉砕」。なんとも言葉にしようがありません。藤田が戦争絵画を描いた経緯、心情は、他人がとやかく言うものではないと、私は思っています。

 フランスへ再び戻った藤田の作品は、画家というより、イラストレーター、デザイナー的です。奇妙な動物たちの姿を表現した「動物宴」は、みているうちに、日本、平安時代の『鳥獣戯画』の作品世界を連想してしまいました。
 
 この展覧会をみて、これまでは藤田のほんの一部しかみていなかったことを痛感しました。藤田の絵画世界は、とても深そうです。機会を作って、再訪したいと思います。

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2006/04/02

長谷川町子美術館で、最高の花見

 東京は桜が満開。花見をかねて、女房と桜新町の長谷川町子美術館に出かけてみました。この長谷川町子美術館を訪れるは、何年ぶりでしょうか。満開の桜並木に沿い、美術館の赤い煉瓦の建物があります。

Hasegawamachiko

 館内に入り、展示品をみてはじめて気付いたのですが、長谷川町子さんが亡くなったあとも美術館では新しい作品を購入しているんですね。長谷川町子さんのコレクションだけを公開している美術館だと思いこんでいました。町子さんのお姉さんの毬子さんがまだ館長をされていて、作品を購入しています。例えば一階展示室にある千住博さんの幽玄なる「ウォーターフォール」は一昨年の作品。

 この時期は「春爛漫」と題された企画展が開催されています。いちばん印象に残るのは三栖右嗣(みすゆうじ)さんの500号の大作「爛漫」。有名な福島・三春滝桜を、あでやかな色彩で描いた力作です。あわせて「水辺爛漫」(盛岡市内の米内の桜)、「桜の径」(これも三春の桜)が展示され、華やかな桜が広がります。
 満開の桜に囲まれた美術館で、美しい桜の作品をみて、春爛漫を堪能しました。

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2006/03/27

豊麗な宮本三郎の女性像

 この週末は東京に帰ったのですが、大学の課題が終わらず、家にこもりっきり。見たかった長谷川潔も、町田久美さんもついに見逃しました(泣)。なんとか、時間をつくって東京宅から歩いていける宮本三郎記念美術館に行きました。ここでは、ちょうど「宮本三郎の描いた女性像 豊麗なる絵画世界」が開催されていて、最終日でした。 
 この企画では宮本の描いた女性像を、10代の作品から、69歳での絶筆となった作品まで37点が出展されています。宮本の絵を年代を追ってみていくと、作風が変わっていくさまが、興味深いです。
 若き10代の作品「婦人像」は印象主義の影響が色濃い作品。「婦女三容」(小松市立宮本三郎美術館蔵)は、全体が淡いトーンで描かれ、絵からは安井曾太郎作品から受けるものと同じもの(曖昧な表現ですが)を感じました。
 宮本が30代、40代に描かれた一連の裸婦作品は、暗色を基本として描かれています。「不詳」は、暗い肌色で塗られた裸婦が、独特の存在感です。
 宮本の50代の作品は、厚く塗られた油絵の具が特徴的。描かれた女性に瞳が、どれも大きく印象的です。
 晩年、60代は、幻想的な世界の作品が、多く描かれています。色合いは、華やかになり、赤、ピンク、青などあでやかな表現で、宮本は新たな作品をつくりだします。絶筆となった「假眠」は、横たわる裸婦のまわりを、子供の人形がとりかかこむ、ちょっと不気味な幻想世界が、あでやかな赤をつかって描かれています。
 日曜の午後ながら、会場では貸し切り状態で、宮本作品を堪能しました。来月からは、また違ったテーマで、展示が行われます。また、訪れたいと思います。


「假眠」(上)と「婦女三容」
miyamoto

 

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2006/03/23

福島県立美術館の常設展示

「名取洋之助と日本工房」を福島県立美術館でみたあと、常設展示に。ここの所蔵品は、現代日本の工芸、近代日本洋画、20世紀のアメリカ絵画などが中心。アメリカ絵画では、アンドリュー・ワイエス、ベン・シャーンを所蔵。
 今は、ピカソ、ルオー、シャガールの版画が展示されています。ピカソは「二人の裸婦」と題された作品が9点出ていますが、その画風の変遷が面白い。ルオーは、版画でも太い輪郭と、赤を印象的につかった”ルオー様式”で、小品ながら、魅力的。
 また近代日本絵画では、安井曾太郎の「ターブルの上」は20代前半の作品。まだ安井様式を確立する以前か、ゼザンヌの影響が色濃く感じられます。
 展示されていない所蔵品にも、みたい作品がたくさんあります。機会をつくってまたみにいかなければ、と痛感しました。

福島県立美術館ウェブ

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2006/03/22

名取洋之助の真価をみる展覧会

 IMG_4933 週末、福島県立美術館までいってきました。昨年のポール・デルボー展以来、久しぶりです。お目当ては「名取洋之助と日本工房:報道写真とグラフィック・デザインの青春時代」です。写真家の名取の作品は、ほとんどみたことがないんで、福島まで出かけてみました。
 この企画は、名取が昭和8年に結成した写真とデザインの制作工房「日本工房」の活動を中心に、名取の戦前、戦中の足跡をたどるもの。展示をみて感じたのは、名取は写真家というより、プロデューサーだった、とういこと。もちろん、写真家としての作品はすばらしいのですが、創作集団、「日本工房」の刊行した雑誌『NIPPON』の独創性は、大いに注目すべきです。この雑誌は、英独仏西の4カ国語で書かれた、日本紹介のグラフ誌。表紙のデザインセンス、いまの時代でも決して古くない高い質感を示しています。
 展示は、『NIPPON』を中心に、写真をはじめ、書籍、印刷物、ポスターなど、かなりのボリュームです。名取を師とした土門拳の作品も展示されています。土門の写真はすごいです。考え抜かれたような、隙のない構図に唸らされます。
 太平洋戦争を経る時代、これだけレベルの高いグラフィックデザインがあったとは、ちょっと驚きでした。現代のグラフィックデザインの原点をみた、見応えのある企画です。

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※7月から川崎市民ミュージアムなどに巡回します。

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2006/03/12

ロダンとカリエール、新しい出会い

 上野の森、西洋美術館ではじまったロダンとカリエール』を家族とみにいってきました。近代彫刻の父と呼ばれるロダン、マティスやドランの師であるカリエール。交流が深かった二人の作品を比較し、アーティストの感覚、思想性の共通点を探ろうとする、意欲的な企画です。
  rodin ロダンは「考える人」があまりに有名、西洋美術館でも「地獄の門」など多くのコレクションを保有。一方、カリエールはこの美術館のコレクションで、その作品をみたくらいです。昨年開催された『プーシキン美術館展』に「母の接吻」が出展されていましたが、なぜか印象に残っていません。(一緒にみにいった女房が、しっかり覚えていました)その作品は、ほとんどモノトーンとも見える彩色表現と、全体に霧がかかったような描写で、幻想的な世界が広がります。展覧会は全体を5つのゾーン(章)に分け、約140点が展開され、綿密に準備された展示構成です。
 
 私のロダンのイメージは、ダイナミックかつ、精緻に造られたブロンズ像ですが、『ロダンとカリエールをめぐる人々の肖像』のゾーンでの肖像彫刻は興味ふかいものがありました。テラコッタ(赤色粘土)を素材につかった「ジョルジュ・クレマンソー」の肖像は、ロダン彫刻の多様性を感じさせてくれます。同じゾーンにあるカリエールの「ギュスターヴ・ジェフロワ氏の肖像」は、見つめられているような目と、ちょっと不自然な組み方をした手が印象的な肖像画。
『ロダンとカリエールにおける象徴主義』のゾーンでのロダン作品は刺激的です。人物を量魂(マッス)でつくる表現が、新鮮です。大きな大理石の塊から切り出し、彫りだしたような作品は、すごく迫力と存在感があります。「母親と死んだ娘」は、その母の眠るような表情が、魅せられてしまいます。同じゾーンにあるカリエールの「母性」。娘に接吻をする母の姿が、輝いてみえるすてきな作品。
『ロダンとカリエールを結ぶ糸』のゾーンでは、特にこの展覧会のひとつのテーマである「手」の素描や習作がいくつか展示されています。二人が手の表現にこだわった意味は、残念ながらわかりませんでした。 ここではカリエールの「浴後」がおもしろい。本来の『カリエール様式』から離れて、印象主義作品を思わせる表現で、裸婦を描いていて、女性のなまめかしさを感じます。

 この展覧会をみて痛感したのは、ロダン、カリエールに対する知識のなさ。内容はかなり深いものがあり、もっと予習していけば、更に作品を楽しめたなと思いました。東京展のあとはオルセー美術館に巡回するというこの企画、時間をつくり、準備して再訪したいと思います。

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2006/03/07

よみがえる源氏物語絵巻の世界

 毎年春に、東京・五島美術館で国宝「源氏物語絵巻」が公開されます。昨年、この絵巻を見にいきましたが、(→以前の記事)遙か昔、平安時代につくられた源氏物語の世界に魅了されました。ただ作品は、変色、剥落があり、制作当時の華やかな絵巻の世界は、想像のなかで形作るしかありません。
 この絵巻の世界が、最新の解析技術と、素晴らしい画家の技量によって復元されました。NHKでドキュメンタリー番組として放映されたときから公開を楽しみにしていたのですが、五島美術館の「よみがえる源氏物語絵巻」でみることができます。
 この企画では、展示に工夫が凝らされています。原本のデジタル出力の絵と、復元された絵巻、そして、1958〜63年にかけてつくられた徳川美術館・桜井清香による復元模本の3点が並べて展示されています。

 復元作品、あでやかで、華やかで、そして艶やかに描かれています。なんとも美しい平安絵巻の世界が広がり、素晴らしいとしかいいようがありません。作品を見ながら、私の知識が貧弱なせいで、「源氏物語」世界の理解が不十分、絵巻の価値の一部しかわかっていないことを実感しました。
 また驚いたのは、桜井清香による復元模本。現代のような解析技術もない時代にもかかわらず、素晴らしい模本をつくっています。
 まだまだ不明なことが多い、「源氏物語絵巻」の制作過程ですが、この復元作業により、作品解明の新たな道が開かれることでしょう。
 膨大な復元作業と、完成された作品は、大いに賞賛されていいと思います。
 
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2006/02/28

素晴らしき「美の伝統展」

 ぜひいきたいと思いつつ、なかなか足を運べなかった「大いなる遺産 美の伝統展」をみてきました。最終日の午後でしたが、生憎の朝から雨のためか、思ったほどは混雑していませんでした。binodentou

「美術商の100年」と副題がつけられたこの美術展は、美術商の団体・東京美術倶楽部が設立100年を記念して行われたものです。会場は新橋にある東京美術倶楽部「東美アートフォーラム」です。この企画では、美術商たちが美術館、博物館、コレクターなどから集めた逸品、名品が展示されています。

 なんとも見事な作品が揃っています。明治以来の日本画家の傑作、隠れた名作の数々。朝鮮、中国の陶磁器。そして近代工芸の名品。さらには国宝を中心とする古美術まで、どれも一級品ばかりです。素人美術愛好家の私には、名前は知っているが、その作品は見たことがない、という画家、作家の作品が多くあり、とても勉強になります。

 どの作品も素晴らしいのですが、特に気に入った作品について触れてみます。
 まずは上村松園「櫛」。櫛を小道具として女性を描く手法は喜多川歌麿の浮世絵を思わせますが、歌麿浮世絵とは違った女性のあでやかさが感じられます。
 また、伊東深水の「通り雨」、その描かれた女性の美しさ、艶やかさにぞくぞくしてきます。西洋絵画で、ここまで艶のある女性を描けるのかな、と思ってしまう名品です。
 近代絵画では、松本竣介の「都会」は、赤、緑、黄の彩色で描かれた人物像が不思議な雰囲気をつくり出します。ちょっとキュビズム的なものを感じました。
 藤田嗣治の「私の夢」は、裸婦とまわりを囲む動物たちの構図に、ちょっと恐ろしいものを感じながら、やはり藤田らしいな、と思わせてくれる傑作です。

 朝鮮の青磁や、中国の磁器の数々は、どれも一級品でみていて飽きません。色、造形、技法、どれをとっても素晴らしいものばかりです。
 また、池大雅の「離合山水図屏風」は、省略されたような描写ながら、雄大な風景をつくり出しています。みていて気持ちがよくなってきます。
 工芸では富本憲吉の「色絵飾箱」の色鮮やかさに惹かれました。

 これだけの名品をまとまってみられる機会は、ほとんどないのでは。選りすぐった日本の美術品。どれも素晴らしく、堪能しました。

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2006/02/26

黒色の存在感:須田国太郎展

 油彩での黒色を、ここまで意識させられた画家は、初めてかもしれません。東京・竹橋の国立近代美術館で「須田国太郎展」をみてきました。須田の作品をまとめてみるのは初めてです。
 須田は28歳の時(1919年)から4年間、スペインのマドリッドを拠点として、絵画を独学で学びました。学生時代から「なぜ東洋西洋と違った方向に向いて絵が発達したのだろう」と考えていた須田は、バロック絵画の色彩の明暗対比にひかれていたといいます。 須田の多くの作品では、黒色が重要な色として使われています。黒色のもつイメージは、人それぞれでしょうが、一般的には「暗い」「重い」などネガティブな印象をもたれがちです。しかし須田は、黒という色に積極的な意味を見いだし、この色を多用していたように思えます。須田の作品をみていると、黒は、どんな色とも強い関係を保ち、意味を持ち得る色なのだ、と感じました。
 セザンヌの構想が意識されたとされる「水浴」。そこに描かれた女性たちは、セザンヌ絵画とは違った生命力を感じます。暗色が引き出す女性の肌色に、沸き上がるような力を感じます。
「夏の朝」「夏の午後」「夏の夕」の3部作は、印象派の影響が色濃く感じられる手法ですが、黒などの暗色が、より他の色をひきたさせています。
「冬」は、ほとんど黒だけで木々を描き、須田の絵をつくろうとする力に、おもわず後ずさりしてしまうような恐ろしい迫力をもっています。
「断崖と漁夫達」は、男達の白い服、肌色と、背景の暗色の対比が鮮やかな作品。画面の多くを暗色がしめながら、沈んだ絵にならず、人物が逆に生き生きとしています。

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 須田の作品と向き合いながら、黒色のもつ意味をずっと考えていました。須田より7歳年下ながら夭逝した佐伯祐三も、黒、暗色を多く使った画家です。須田と佐伯、それぞれの黒の意味を考えてみないといけないな、とも思いました。

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2006/02/21

確固たるスタイルに魅せられる前川國男展

 私事ですが、母の知り合いの方が、前川國男さんの設計事務所で仕事をされていました。もうかなり前のことですが、その方の東京・桜新町にあるお宅に何回かお邪魔しましたが、かなり個性的な家だったことが記憶にあります。東京ステーションギャラリーで「前川圀男建築展」をみてきました。建築にはまったく素人ですが、前川の作品にふれ、確固たるスタイルに魅せられました。
 前川の作品には、いくつかの主張が感じられます。それは前川のスタイルといっていかもしれません。
IMG_4797まず、直線の主張。建物で、柱、梁、窓、階段などが強調されて設計されていて、曲線より、直線のイメージがつよく感じられます。
 また、前川の作品は、その外壁が特徴的。特に「打ち込みタイル工法」を考案してからは、外壁にどんなタイルや煉瓦を使うかにこだわったように感じました。どの建物も外壁が強く主張しています。
 さらに、建物に作り出された空間も、独自の存在感が感じられます。うまく表現できないのですが、最近の建物でありがちな単なる吹き抜けではない、空気感のある空間がつくられ主張しています。
 仙台の宮城県美術館も前川の設計です。81年の完成ですから、前川晩年の作品。美術館に入り、2階の企画展示室へと、階段であがっていくときの気分は、ほかの美術館では決して味わえないすてきな感覚です。前川の設計のすごさでしょう。
 独自のスタイルを持ち続けた前川の設計にふれることのできる、すばらしい企画展です。

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2006/02/19

パウル・クレーの線と色彩

klee380昨年スイス・ベルンにパウル・クレー・センターが開館。そこには4000点ものクレーの作品が収められています。開館記念として、大丸ミュージアム・東京で「パウル・クレー展」が開催されています。招待券をもらったので、昨日いってきました。この企画では60点ほどのクレーの作品が時系列に並び、クレーの画業が俯瞰できる構成をとっています。

クレーといえば、美しい色彩と線描で独自の作品をつくっているイメージがありました。しかし、ここでは、私が持っていたイメージとはちょっと違った作品も多く見ることができました。
フランスのアンソロジー『カンディード』の挿画。繊細な線画で描かれた人物像は、崩れたフォルムながら魅力のある絵です。線にこだわったクレーらしい作品といっていいのではないでしょうか。
一般的に、クレーがクレーになったといわれるチュニジアへの旅での作品は、色と形で風景を表現しています。そのなかでも「山腹」は気に入りました。水彩で、厚紙に、きれいな色と形で描かれた風景に魅せられます。
「眼」は麻布にパステルで描かれたもので、タイトル通り、大きな眼に惹きつけられます。絵を見ているうちに、自分の心の中を覗かれているような気分になってきました。不思議です。
細い線で細かく描かれた「オルフェイスの庭」は、立体感を感じさせながら、絵を見ているうちに異次元空間にいるような感覚にとらわれます。
交差する線の作り出す細かい領域でつくられる「喪に服して」。この絵をみていたら、全然違う手法なのですが、リキテンシュタインの網点描写手法を連想してしまいました。

作品数がちょっと少なく、物足りない感もありましたが、クレーの創作過程は理解できる、充実した美術展です。

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2006/02/14

わざわざ訪れたい宮城県美術館の常設展

宮城県美術館に「彫刻家が描く:佐藤忠良の絵本絵画」を見にいった際、まずは常設展を鑑賞しました。時間があるときは、常設展→企画展の順でみることにしています。今の常設展は先月から展示替えをしたものです。
最初の展示は「洲之内コレクション」。展示替えしながらも、海老原喜之助の「ポワソニエール」はみることがでます。次の展示は、以前は最後に展示してあった海外作品。もちろんカンディンスキーの「商人たちの到着」は展示されています。この海外コーナーは『世紀末の版画』が小特集。ミシャの一連の多色石版が印象的です。
年代別に展示されている国内の絵画では、『80年代の絵画』が見物です。李禹煥の「線より」(1980)は、アイボリーのキャンバスに、下から上へ描かれた青い線の連続が存在感を示す作品。百瀬寿の「十本の帯、パールイエローからイエロー」(1988)は、タイトルが示すように、10本の帯で表現されたされた色が、グラデーションにように連続し、みていると心地よくなってくる作品。

今回の常設展の特集は『反芸術の作家たち』。1960年前後に読売アンデパンダン展を発表の場として創作活動をはじめ、その後も革新的な作品を発表してきた作家たちの作品を展示。当時、前衛と呼ばれた作家たちです。荒川修作の「惑星に乗ったトンボー氏」は、セメントで作られた奇怪な固まりが、木の箱に納められた不思議なる作品。秋山祐徳太子の作品もあります。「タートル・ブルー・エンペラー」はトタンで作られた彫像。生きているよな錯覚を起こす存在感です。篠原有司男の「おいらん」は、鮮やかな蛍光色で描かれた面と線が作り出す、現像的な世界です。

宮城県美の所蔵品の幅広さを知り、充分楽しめた常設展です。

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2006/02/13

佐藤忠良の描く絵本絵画

昨日、宮城県美術館で「彫刻家が描く:佐藤忠良の絵本絵画」展を見てきました。宮城県美術館には「佐藤忠良記念館」があり、地元宮城出身の作家の彫刻が、常時展示されています。この企画展では、佐藤が描いた絵本の挿画の原画を約200点展示。絵本が有名な「おおきなかぶ」など、どれも彫刻家佐藤の違う創作を見られる興味深いものです。
IMG_4759展示されている作品は、細やかで、的確な描写で、絵本の物語が想像できる素敵な絵ばかりです。佐藤の彫刻は、女性や子供を主なモチーフとして、肉体の美しさや、生命力を表現した作品が特徴的。その彫刻に比べて、この絵本絵画は、より細やかで、控えめな表現が印象に残ります。

宮城県美の所蔵品でみせるこの企画は、意欲的なものだと思います。ただ、ちょっと美術展らしい展示にこだわりすぎた感があります。たとえば、原画が使われた実際の絵本などをあわせて展示するとか、子供づれの家族が気軽に楽しみながら見られる工夫があれば、もっとよかったと思います。

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2006/02/11

仙台市博物館の「三の丸ボックス」

昨日は仙台城址あたりで仕事。昼時になり、食事をしに、仙台市博物館の中にあり「レストラン三の丸」にいってみました。「三の丸」とは、博物館が仙台城の三に丸跡に位置することからつけられたようです。このレストラン、博物館の2階にあり、窓からの眺めは仙台市街が広がり、素敵です。
メニューに「三の丸ボックス」というのがあり、ちょっとかわいいネーミングにひかれ、頼んでみました。

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塗りの器の入っているのは、サラダ、豚生姜焼きがのったご飯、海老フライとポテトサラダ。味噌汁つき。なかなかボリュームがある洋風お弁当です。これで1000円。
わざわざ足を運んでも、損はなさそうです。

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2006/01/31

堂本尚郎の織りなす色と形の世界

世田谷美術館で開催されている「堂本尚郎展」を見てきました。副題に「絵画探求60年の足跡とその未来」とつけられ、堂本の画業を振り返る本格的な回顧展です。
堂本の作品をまとめてみるのは初めてですが、色、形の織りなす世界に魅了されました。展示された作品は、初期の日本画作品以外はすべて『抽象絵画』に属する作品です。
 展覧会は年代に沿って、6つのパートに分けられ作品が展示されています。抽象絵画を言葉で表現することは難しいのですが、堂本の作品は、現実世界を、図形と鮮やかな色彩で描いた絵画といっていいのではないでしょうか。作風は、年代を追って変貌していますが、基本たる創作表現は変わっていないように思えます。
 フランスに渡った20代の作品は、キャンバスに厚い油彩を塗り、そのボリューム感と絵の具の色彩に引きつけられます。
 そのあと「連続の溶解」と名付けられた一連の作品では、更に色彩表現に重点が置かれているようです。例えば63年の「連続の溶解 1963-58」はカンバスに油彩と金箔を使って制作され、独自の色彩世界をつくっています。
 60年代後半から、その色彩表現は更に力を持ちます。78年の大作「宇宙」は、そのあでやかな色彩で、絵を見ているとなにか幸せな気分になりました。
 また「臨界」と題された作品群は、規則的に並ぶ図形と、青、ピンク、黄色などの明るい色彩で、絵画との会話が弾みます。

 IMG_4685堂本は50年代のフランスでの美術運動「アンフォルメル」の中心として活躍した画家。作品をみていると、20世紀初頭の様々な美術運動、主義の影響を感じます。キュビズム、ドイツ表現主義、シュルレアリスム(オートマティスム手法)など。また作品で多用されている絵の具を垂らす手法は、抽象表現主義でのアクションペインティング、ドリッピング技法です。堂本は、まさしく20世紀の美術を体現している画家かもしれません。

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2006/01/30

見ごたえあるブリジストン美術館の常設展

東博で「書の至宝」を見たあと、久しぶりに東京・京橋のブリジストン美術館にいってみました。ここは日曜、祝日以外は夜の8時まで開館していて、親切です。
今、常設展で「印象派と20世紀の美術」を開催しています。美術ファンにとっては、まさしく正統派ともいえる企画です。これ、見ごたえ充分です。17世紀のレンブラントから、印象派、後期印象派、そしてマティス、ピカソの20世紀美術まで、西洋絵画が100点近く展示されています。
 その中でも、マティス、ピカソはすてきな作品が出ています。マティスの「青い胴着の女」は、不思議な魅力の作品。赤い椅子に座る女性の、赤いパンツにピンク色に描かれた肌が鮮やな印象を与えてくれます。
 ピカソは「腕を組んですわるサンタンバンク」は繊細な描写に引きつけられます。紫の椅子に座る女性。鮮やかな赤の衣装との対比が印象的です。
 また、西洋絵画に加えて、安井曾太郎、藤田嗣治など日本の近代絵画も展示されています。特に藤田の「猫のいる静物」は、静物の繊細すぎる描写をみていると、ちょっと空恐ろしい気持ちになってくる作品です。
 土曜日の夕方に訪れたのですが、来場者は多くなく、ゆったり見られました。これだけの名画を、常設展で堪能できて、すてきな気分になりました。

今年のブリジストン美術館のカレンダー:1月はピカソ「腕を組んですわるサンタンバンク」
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2006/01/29

日本と中国の名筆に出会える「書の至宝」

syonoshihou書の作品を見る機会は、そう多くありません。書に詳しくないので(というよりほとんど無知状態)、まず見にいくことはありません。そんな私ながら、東京国立博物館の「書の至宝;日本と中国」をみてきました。この企画は日中の歴史上の名筆を200点近くも集めたもの。中国の王羲之(おうぎし)、欧陽詢(おうようじゅん)、虞世南(ぐせいなん)、蘇軾(そしょく)、米芾(べいふつ)、趙孟頫(ちょうもうふ)など中国美術史上の蒼々たる書家の書が展示されているのに興味をもち、出かけてみました。書はまったく知識がないので、素人な感想を。

会場に入ると中国歴史上最古の王朝・殷時代の甲骨文を刻んだ碑があります。甲骨文の実物、初めてみました。造形としては、ほとんど象形文字です。この甲骨文で、政治の重要事項を決めていたんですね。どんな意味のことが書いてあるのかわかりせんが、不思議です。
中国パートの最大の見物は、王羲之の作品。作品といっても王羲之は真筆は残っていないとされています。出展されているのは双鉤填墨(そうこうてんぼく)といわれる中国の謄写方式で写し取られた作品や、刻本(印刷物ですね)で、王羲之の筆がみられます。双鉤填墨の有名な「喪乱帖」は残念ながら展示が終わっていましたが、「妹至帖」は見事です。刻本では「淳化閣帖」「蘭亭序」で書風をうかがいしることができます。行書を確立したといわれる王義之の書は、みていて引きこまれる力をもった筆致です。

日本の書では、聖徳太子の写経「法華義疏巻」が面白い。すごく個性的な書です。ちょっと丸みがあり、行書とも楷書とも違う独特の文字です。(ちなみにこの書、所蔵が御物となっています。これは正倉院の保有ということでしょうか?)
日本の書は、仮名文字を表現することで、書の独創性を確立したように思えます。意匠が凝らされた料紙と、そこに書かれた文字、そして空白が織りなす美が、素敵です。

時間的にさらっとみられると思って、3時半から見始めたのですが、甘かった。じっくり見ると、2時間以上はかかる質と量です。おまけに、予想以上に大混雑でした。会場には書道ファンらしい年配の方が多かったですが、若い来場者も目立ちました。書の世界の奥深さを感じた展覧会でした。おすすめです。

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2006/01/09

素敵な西洋美術館の常設展示

kangaeruhito東京芸大の図書館にいった帰り、久しぶりに西洋美術館によってみました。ここは美術ファンならご存じでしょうが、「松方コレクション」がその基礎になっています。美術館の前庭にはロダンの彫刻が置かれています。有名な「考える人」や、大きな傑作「地獄の門」があります。この彫刻、ロダンの真作だと知らない人、意外と多いのででは)(女房もそうでした)。ここだけでも充分、鑑賞の価値があります。
館内の常設展示も、久しぶりみたのですが、とても充実しています。ちょっとした美術館の企画展よりずっと見ごたえがあることを、再認識しました。17世紀以前にイタリア絵画から、印象派のルノアール、モネを経てから20世紀の抽象表現主義のポロックまで、絵画史を俯瞰するような作品が並んでいます。とても、短時間ではみられません。

ここにはルノアールが3点あるのですが、どの作品もいいです。特に「帽子の女」は魅力的です。女性のしばらく作品の前から離れなくなってしまいました。
白いドレスをまとった女性の、なにかを見つめるような表情。青、赤、黄色で構成された背景。そして女性がかぶっている白い帽子の、存在感。絵からはルノアールらしいふくよかさが感じられる素晴らしい作品です。

館内は来場者も多くなく、ゆったりと鑑賞できました。たまには、常設展を見にいくのもいいですね。

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2006/01/04

博物館に初もうで

東京のいくつかの公立博物館や美術館は、正月2日から開館しています。東京国立博物館は「博物館に初もうで」と題し、お正月のイベントをやっているので、みてきました。taiko

本館(日本ギャラリー)では、「犬と吉祥の美術」と題された特別展示が行われています。今年の干支の戌(犬)を描いた作品と、吉祥をモチーフにした作品を集めています。古墳時代の埴輪犬から江戸時代の絵画、明治時代の見事な打掛まで51点。中でも円山応挙の「朝顔狗子図杉戸」はちょっと太めの犬がかわいいです。
東洋館でも中国の吉祥図と、朝鮮の吉祥になんだ漆工・陶磁などを展示。ここでは、中国の清時代の「花卉図」が見事です。華やかな色合いに魅せられる作品。また、明時代・景徳鎮窯の「黄地緑彩寿桃文角皿」は小品ながら黄と緑の色が鮮やかな作品です。

博物館内では和太鼓の演奏、獅子舞、クラリネットコンサートなどいくつものイベントが行われていました。来場者も多く、外人さんの姿もみかけました。この新春を飾る博物館の企画、いいと思いますね。
正月から、吉祥図をいくつもみて、今年は縁起がよさそうです。

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2005/12/27

19世紀名画との出会い:スコットランド美術館展

IMG_4440一昨日で終わってしまいましたが、最終日に「スコットランド国立美術館展」(ザ・ミュージアム)を見てきました。この美術展では、バルビゾン派、写実主義から印象派までのフランス絵画。イギリスのラファエロ前派、そしてスコットランドの画家など、95点をみせてくれます。時代でいえば19世紀の中頃から、20世紀直前までの作品が大半を占めます。全体的には、オーソドックスな作品が多く、風景画、人物画などゆったりと楽しみました。
いいな、と思った作品は何点もありました。クールベの「峡谷の川」は、色彩の使い方に魅せられます。川の青、山の青、空の青、それぞれ違った青色で描かれ、そこに木々の緑が置かれ、独特の色彩世界を創りだしています。写実主義のクールベが、こんなタッチの絵を描いていたなんて、知りませんでした。
モネの「積み藁、雪の効果」は、ちょっと幻想的な作品。藁の背景が、クリーム、白、ブルー、ピンクと塗り分けられ、絵をみていると妙に心がやすらぎます。
ドガの「開演前」は、ドガお得意の踊り子を描いた作品ですが、赤、黄、オレンジの織りなす色彩が印象的です。

この美術展では、スコットランドの画家を含め、名品が揃っています。こころ和む、素敵な時間を過ごしました。

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2005/12/24

李禹煥のつくる余白と空間

ri昨日、やっと横浜美術館で「李禹煥(リ・ウファン) 余白の芸術」を見てきました。会期最終日、ほんと駆け込みです。李禹煥の作品を見るのは初めてです。横浜美術館にいくと、建物の外にも作品が展示されていました。会場内にはいると、作品が飾られる壁は真っ白に塗られ、床はタイルカーペットが剥がされ、コンクリート地が剥き出しになっています。李の作品展に対するこだわりと、それに呼応するミュージアムの姿勢が感じられます。
展示されている作品は36点と多くはありません。その内容はおおまかに2つの作品群に分かれます。キャンバスに油彩で描かれた作品と、石、鉄、木を素材として作られた作品です。

キャンバス作品は「照応」と題された作品が多くを占めます。薄いクリーム地の一部に、太い絵筆で描かれたような、いくつかのグレーの四角な物体。地色とグレーの物体のつくりだす空間を見ていると、自分はいまどこにいるのかな、という思いになりました。絵の中に入っていっている自分がいます。不思議です。
同じ「照応」でも、グレーな物体がキャンバスに一個描かれた作品があります。この作品を見ていると、違う物が見えてきました。「テーブルの上のグラス」だったり、「部屋の窓」とか、「工場の中のゴミ箱」とか、どんどんイメージが広がります。

石、鉄を使った作品群は『関係項』という題で表現されています。石、鉄の作り出す空間は、緊張感とか安らぎ、癒し、愛情を表現しているよう。作品は、まわりから様々な角度でみたり、しゃがみ込んで俯瞰したり、いろいろな見方をすると、それぞれ表情が違い、面白いです。

60年代後半から70年代に活躍した「もの派」の代表的アーティストの李。彼の伝えるメッセージは強く感じました。でも、私の力不足で、すべてのメッセージを受け取れることができなかったよう。ちょっと残念です。しかし、アーティスト李禹煥のすばらしさ、意気込みが感じられた、充実した美術展です。

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2005/12/09

すてきな美術指南書:ニューヨーク美術案内

いつもお邪魔している、すばらしいTakさんのアートブログ「弐代目・青い日記帳」で知った本「ニューヨーク美術案内」。この本、美術ファンにはかなりのおすすめ。画家の千住博さん(バイオリニスト・千住真理子さんのお兄さんですね)とノンフィクション作家の野地秩嘉さんの共著。野地さんが千住さんからニューヨークの美術館を題材に、作品の読み方、楽しみ方を解説するという形をとる、美術指南書です。
題名が「ニューヨーク美術案内」となっているので、ニューヨークの美術館、ギャラリーのガイド的な内容と思って読み始めましたが、実は作品をどう見るか、読み解き方を千住さんの視点で教えてくれる「作品解読の方法」が中心です。もちろん、メトロポリタン美術館や、MoMAの作品も数多く紹介されています。
千住さんの作品の見方は、とても参考になります。私がいちばん面白いなと思ったのは、「困ったら耳を見る」とのアドバイス。千住さんによれば耳は描くのが難しい、でも、あまり注目されるものではないから、いちばん手を抜きやすいところでもあるので、実力がでる、とのこと。なるほどな、と思います。
千住さんのアドバイスに従って、野地さんが美術館に作品を見にいった文章も、すごく面白く書かれて、読んでいて楽しい。
千住さんはこう言っています。

私には「美はすべてを超える」という考えがあります。

すてきな言葉です。

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ニューヨーク美術案内(光文社新書・735円)

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2005/12/06

ベトナム近代絵画を発見する美術展

先日、竹橋の近美でみた「アジアのキュビズム」は、アジア各国のキュビズム作品がみられ、とても印象的な展覧会でした。また、刺激的な美術作品に出会いたくなって、ひょっとした見られるかなと思い、ステーションギャラリーの「ベトナム近代絵画展」にいってみました。結論を先にいうと、正解でした。
この「ベトナム近代絵画展」は1925年から75年までのベトナムの絵画を年代順にみせてくれるもの。ベトナムの絵画って、まとまってみるのは初めてですが、その絵画世界は独特です。展示されている作品の多くを占めるのが、板に漆で描いたもの。この技法はベトナム独自のものかは、浅学な私は知らないのですが、その作品は質感、印象、表現が伝統的な油彩とは、まったく違うもの。漆画は、見る角度によって、絵画の見え方が違います。会場の解説に「下からみると違った印象に見えます」と書いてあるので、来場者はみなさんしゃがみ込んで絵を見ています。確かに印象が全然違いますね。不思議です。
気にいった作品はたくさんあります。「寺院の祭り」は、全面を支配する赤にこころをつかまれます。そして、描かれた人物の表情がどれも違っていて、魅力的に描かれています。
有名な作品らしい「リエン嬢」は、あどけなくて、ちょっとうつろな女性が、赤を基調に美しく描かれている一枚。
チャン・チュン・ティンの新聞紙に描かれた一連の作品は、強い反戦メッセージを伝えます。また、「遊んでる子どもたち」は、モダニズムの影響を感じながらも、しかしオリジナル性が強く、楽しげな作品です。

作品を見ていると、ベトナムの「民族のパワー」を感じます。20世紀、決して恵まれた環境になかったベトナムという国の、美術の力に触れた刺激的な美術展でした。

「リエン嬢」と「遊んでいる子どもたち」
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2005/12/05

巨匠の作品に出会える「プーシキン美術館展」

pusikin前売り券を買いながら、なかなかいけなかった「プーシキン美術館展」をみてきました。この美術展は2人のロシア人実業家がパリを中心に収集した「シチューキン・モロゾフ・コレクション」をみせてくれるもの。会場は予想通り(?)おばさん、おじさん(私を含む)で賑わっていました。
この展覧会では、モネ、ルノワールらの印象主義、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン、マティス、ピカソらのモダニズム(キュービズム、フォービズム)まで、近代の代表的画家の作品が見られます。私的なコレクションの近代名画を時代順に見せていく構成は、今年の夏に行われた「フィリップス・コレクション」と同様の主旨です。

気になった作品を、いくつか書いてみます。ルノアールの「黒い服の娘たち」は、タイトルのとおり、フォーマルな黒いスーツを着た娘を描いた作品ですが、私としてはもう一つ好きになれない。何故かな?ルノワールらしい華やかさがないせいかもしれません。
セザンヌの「池にかかる橋」は、会場の作品解説でも触れられていましたが、キュビズムの基礎理論に基づき描かれたような、実験的な色合いの作品です。
アルマン・ギヨーマンの「廃墟のある風景」は、この展覧会でもっとも関心をもった作品です。風景の表現を、光の効果で描くのではなく、純粋に色彩の作り出す印象で構築している作品。そのあとの時代の、カンディンスキーが創始した抽象絵画への繋がりを感じさせてくれる興味深い一枚です。
この美術展の最大の見どころ、マティスの「金魚」。意外と大きい作品だなと感じました。写真を見た感じで、なんとなく小品かと思いこんでいました。不安定な構図、絵を支配する金魚の赤と緑の葉、背景のピンク色の与えるふくよかな印象、そしてあえて描き込まない表現と、さすがマティスと感じる作品ですね。
ピカソは「アルカンと女友達」など4作がきていましたが、もうひとつ感動しませんでした。

近代絵画を俯瞰するには、少しばかり質、量ともに物足りない印象。しかし、19世紀後半から20世紀初頭のヨーロッパ絵画を、巨匠たちの作品を中心に、充分に楽しめる美術展です。

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2005/12/04

華麗なる伊万里、雅の京焼

imari_kyoyaki「北斎展」で賑わう東京国立博物館で開催されている「華麗なる伊万里、雅の京焼」をみてきました。伊万里焼、京焼とも江戸時代に発展した焼物です。伊万里の知識はすこしだけあるのですが、京焼はまったく知識がありません。
会場にはいると、まずは伊万里のゾーン。白磁、染付、古久谷、柿右衛門、古久谷、金欄手、鍋島と年代順に作品が展示されています。いちばん見ごたえがあったのは古久谷様式の青手作品『色絵波に兎文大皿』。兎を意匠に使ったところが面白く、ちょっと変わった古久谷青手。また、同じく古久谷の五彩手『色絵鳳凰大皿』は白地を大胆に広く残したところが印象的な作品。鍋島の『色絵三壺文皿』は、その描かれた絵の斬新さが、現代でも受け入れそうなデザイン性の高い皿です。この伊万里ゾーンは、展示作品の3分の一以上が個人蔵で、ちょっと驚きます。
京焼ゾーンのトップは、野々村仁清の作品。まずは、石川県立美術館所蔵の『色絵雉香炉』(国宝)。この作品、現物を見るのは初めて。雉の表面に彩られた無数とも思える色が、幻想的なイメージを作り出します。すごいです。尾形乾山の『色絵紅葉図透彫反鉢』は、まさに絵画が焼物になったような焼物。鉢の中に、紅葉の風景が広がっています。

作風の変遷が興味深い伊万里、個性豊かな京焼と、磁器の魅力と奥深さを楽しめる美術展です。

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2005/11/21

膨大な展示に圧倒される「北斎展」

前から見にいきたいと思っていた「北斎展」に、やっといってきました。この美術展、約500点の作品をみせる膨大な企画。すべての作品を展示できないので、会期中展示替えをしながら、みせてくれます。とはいっても常時300余点は展示しているので、それだけでもすごい点数です。比較的みるのが早いほうの私でも、2時間近くかかりました。
葛飾北斎とは、「冨嶽三十六景」を代表作とする江戸時代の浮世絵師、くらいの認識しかなかったのですが、作品を見ていくうちに、その認識が間違いだったことを思い知らされました。北斎は浮世絵師の枠を超えた、江戸時代の代表的日本画家といっていいのではないでしょうか。
多色刷りの浮世絵「錦絵」が完成されていた時代に活躍した北斎の浮世絵には、およそ版画とは思えない精巧さ、表現力の豊かさ、構図の妙味で魅了されます。
また肉筆画は、版画では表現しきれない微妙なる色遣い、細やかな表現で描かれ、北斎の才気を充分に感じ取れます。
印象に残った作品はいくつもあるのですが、心に引っかかったのは「三国妖狐伝 第一班足王御てんのだん」。天竺、唐、日本の三国で絶世の美女になりすまし国家滅亡を謀る九尾狐の伝説物語の読本のために描かれた挿絵ですが、ちょっと異質な作品。構図は絵巻風でもあり、現代なら横尾忠則あたりが描きそうな趣きの一作です。

残念ながらメトロポリタンの「グレートウエーブ」は見損ないましたが、傑作は「富嶽三十六景」だけではありません。その質、量ともに圧倒される美術展です。会場では、高校生から年配の方まで、幅広い年齢層の数多くの来場者が熱心にみていました。また、外人の方も多かったですね。
日本の代表的な美術分野である浮世絵。北斎の作品をみるためにこれだけ多くの人が足を運ぶことに、美術ファンの質の高さを感じ、これらの美術ファンのひとりでも多くの人が、有名ではないアーティストの美術展にも足を運ぶようになってくれればいいのに、とも思いました。

ともあれ、北斎展、必見です。

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2005/11/13

美しい力を感じるパウラ・モーダーゾーン=ベッカー

昨日から宮城県美術館ではじまった、「パウラ・モーダーゾーン=ベッカー:時代に先駆けた女性画家」展をみてきました。「儚くも美しき祝祭」とサブタイトルがつけられているとおり、パウラは1876年にドイツ・ドレスデンに生まれ、わずか31歳で夭逝した女性画家。
パウラの絵は、ほとんどが油絵の具ではなく、油性のテンペラで描かれています。また支持体(絵を描くもの)も、キャンバスだけでなく、厚紙が多く使われ、絵からうける感触が独特です。パウラの絵を見るのは初めてなのですが、会場に並べられた絵をみていると、女性を描いた作品が多いことに気づきます。少女、子供、母と子、老女など、それぞれの構図、色彩を凝らして描かれています。
「白いシャツを着て座る少女と裸で立つ少女」では個性的な表現で描かれた二人の少女の顔が、印象的な作品。また「膝に子どもを抱く母」は、全面がブラウンの色彩で塗られ、少し恐ろしい存在感の絵です。
「膝に子をおき左向きに座る女」では、描かれた女の赤と黒の衣装の色彩的対比と、塗りつぶされたような顔が、何かを訴えかけているようです。
パウラの描いた女性の絵をみていると、迫ってくるような力を感じます。彼女の短い生涯ゆえ、一枚一枚の絵に、類い希なる力が込められていたためなのでしょうか。絵の前から離れられなくなる力がありました。

美術史的には、ドイツ表現主義の先駆者と位置づけられるパウラ・モーダーゾーン=ベッカーですが、まとまった回顧展は日本初とのこと。美しいパウラの絵に出会え、素敵な時間を過ごしました。

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この美術展、来年には神奈川近美、栃木県美に巡回します。
詳しくはWEBで

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2005/11/06

「北斎展」のおもしろい仕掛け

芸術の秋らしく、この時期東京では見逃せないような美術展が目白押しです。上野の東京国立博物館で開催されている「北斎展」もそのひとつ。昨日、新聞にはいっていた折り込みに、この企画の広告があり、眺めていたら面白いものを見つけました。『北斎壁紙十選!』で、携帯の待ち受け用の壁紙が無料でダウンロードできる企画。QRコードで読み取ると、携帯の北斎展サイトにいけます。そこで北斎の壁紙が10種類用意されていて、ダウンロードできます。こんな感じで、いいでしょ?(北斎展のWEBに情報がのってます)

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この壁紙は、100円割引のクーポンになります。これも気が利いた企画です。
もうひとつ気が利いた企画があります。2回券というのが販売されています。この北斎展、海外から500点をこえる作品がきていて、どうやら一回ではすべてみられないためもあるのでしょう。通常大人は1500円ですが、2回券なら2700円です。2回いかないでも、奥さんと彼氏とかといってもいいですよね。

ともあれ、この北斎展はその規模からみて、見逃せない美術展です。はやく、見にいかねばいけません。

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2005/10/31

様々な表情の仏像に出会えた「円空さん」

仙台市博物館で開催されていた「円空さん」にいってきました。会期が昨日までなので、まさに駆け込み。話題の展覧会とあって来場者で賑わっていました。円空は、江戸時代の僧侶ですが、生涯で12万体とも、10万体ともいわれる膨大な仏像を、木彫りでつくりました。
会場では、釈迦如来、薬師如来、観音菩薩、不動明王など円空の多彩な仏像が展示されています。この展覧会の副題「ほほえみの仏像」のとおり、様々なほほえみ、安らぎの表情に仏像をみていると、こころが和んできます。よくこれだけの仏像を集めたな、と感心してしまいます。
如来や、菩薩には魅力的なものがいっぱいですが、特に気にいったのが「柿本人麿像」。3体の柿本人麿像が展示されていたのですが、どれも表情、ポーズが違い、魅せられます。
また、「千体仏」はかわいい傑作。千体仏とは大型仏像をつくったときの破片材を利用してつくった、超ミニチュア仏像。小さくても、表情はしっかり作り込まれているところが、すごい。
会場の最後に展示してあった「護法神像」は、自然の木をうまく使った仏像。インスタレーションのようです。
円空の作品をまとめてみられる機会は、そうはありません。素敵な企画展だと思います。

「柿本人麿像」(左)と「千体仏」  IMG_4000

☆「円空さん」をご覧になった方にTBさせていただきます。


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2005/10/23

エナジーヴォイドの力:イサム・ノグチ展

motすっかり天気予報がはずれ雨模様の中、子供と一緒に、木場の東京都現代美術館に「イサム・ノグチ展」を見にいってきました。話題は、なんと言っても「エナジー・ヴォイド」。高さ3.5メートル、重さ17トンの大きな作品。会場は土曜日ということもあり、来場者は多かったです。私のようなオジサンは少なく、やはり若い人の姿が目立ちました。
父が日本人、母がアメリカ人という生まれ。更に日米の戦争に時代に生きたノグチは、深い人生のへの葛藤があったようです。
ノグチの作品をみて感じたのは、「柔らかさ、やさしさ」と「ごつごつ感、強さ」が共存していること。これは、金属を使った作品や、石をつかった彫刻でも感じました。
特に心をひかれたのは、石を使った彫刻。玄武岩が素材の作品『エイジ』。ノグチが70歳代後半の時に制作したものですが、若々しいパワーを感じました。また『オリジン』は、大きな曲面をみていると、不思議な力を感じてきました。
そして『エナジー・ヴォイド』、まわりを何回かまわりながら、作品のパワーを楽しむのがいいです。曲面の作り出す「ねじ曲がりぐあい」が眺める角度で変わってくるのが、面白いです。

noguchiまた美術展に関連して、ワークショップなどのイサム・ノグチをもっと楽しむための企画が、いくつか用意されていますし、会場では「こどものためのガイドブック」も配布されています。これはいい企画だと思います。
この企画では、現代美術館の地下1階だけの展示で、作品数はちょっと少なめです。見終わったあと、もう少しノグチの作品を見たくなりました。それは、またの楽しみですね。
イサム・ノグチのパワーを感じる美術展でした。

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2005/10/17

ますます訪れたくなった大原美術館

昨日、宮城県美術館で行われた大原美術館の館長・高階秀爾さんの講演会に参加してきました。開演時間の15分前にいったのですが、既に講堂の席は満席状態。やっと後方の補助席に座ることができました。
高階さんはかつて国立西洋美術館の館長を務められた方。西洋美術館の所蔵品は、松方コレクションが重要な位置を占めます。この松方コレクションと並ぶ戦前のコレクションが、大原コレクションです。戦前の二大コレクションを擁する美術館の館長を務め、著作も多い高階さんの講演ですから、来場者が詰めかけるのも当然でしょう。
高階さんの講演は、大原美術館のコレクションを、年代順、流派別にスライドを使ってわかりやすく解説してくれました。バルビゾン派、印象派、象徴主義、シュルレアリズム、フォービズム、エコール・ド・パリそして前衛の作品まで。また日本の画家の作品も多く所蔵。改めて大原美術館のコレクションの膨大さがわかりました。
高階さんの話で、いくつか面白いなと思ったことがありました。まず、大原美術館の創始者、大原孫三郎は一度もヨーロッパにいったことがなかった。コレクションの買い付けは庇護した洋画家児島虎次郎にすべて任していた。児島は、モネ、マティスなどのアトリエにいきなりいって、絵の購入を申し出たんです。なかなかすごいことですね。
またコレクションを集めるに際し、当初から公開することも想定していたといいます。単なる金持ちの絵画買い漁りではではないんですね。
また孫三郎の息子の大原總一郎は、こう言っていました。
「美術館は時代ともに進む。」

大原美術館、至宝のコレクションを見たくなりました。

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2005/10/09

短かい生涯ながら、凝縮した佐伯祐三の芸術世界

neria_museum練馬区立美術館で開かれている「佐伯祐三展:芸術家への道」を見てきました。初めて訪れた練馬区立美術館、開館20周年記念の企画です。佐伯の作品をまとめてみるのは、これも初めてです。
10月6日付け日経新聞の『文化往来』でこの展覧会を取り上げています。この記事に「その風景画が過酷な精神の緊張から生まれたことを改めて印象づける展覧会」と書かれたことが心に残り、会場でも佐伯がどうして作品を描いたかを、少しでもわかろうという気持ちで鑑賞しました。佐伯は1898年に生まれ、1928年に亡くなっています。わずか30年という短い生涯の中で、何を描きたかったのか。
26歳のときパリに渡り、一時帰国を挟み、死ぬまでパリで絵を描き続けました。時代はちょうど『エコール・ド・パリ』の全盛期。ユトリロ、モジリアニ、そして日本人では藤田嗣治が活躍した時期です。佐伯も、パリの地で生活した時間は短かったですが、多くの傑作を残しています。
「パリ郊外風景」は、ねじ曲がった建物の構図と空の雲に、見ていると不安な気持ちになってくる絵です。
「ノートル・ダム」を描いた4枚の絵は、どれも盛り上がるばかりにキャンバスの上に置かれた絵の具と、2次元的な構図に、圧倒的な存在感があります。
佐伯はパリの街に魅せられていたのでしょうか。二度目の渡仏(1927年)以降、パリを描いた作品が多くなります。
特に気に入ったのは「ラ・クロワッシュ」。色遣い、デザイン力がすばらしく、奔放とも感じられる筆致が、すばらしい作品。
亡くなる年に描かれた「カフェ・レストラン」は、フォービズムの影響もありそうな、ちょっと楽しげで、かわいらしい作品です。

saeki今回出展されている約140点の作品には、かなり個人所有のものがあり、佐伯の作品をまとめて見られる機会は、今後しばらくはないかもしれません。この時代の美術に興味があるかたは、ぜひ見ることをおすすめします。

1時間以上、会場で作品と向き合いましたが、残念ながら佐伯の描きたかったものはわかりませんでした。でも、彼の絵を描くことへのひたむきさは充分感じ取れることができる、すばらしい美術展です。

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2005/09/26

見ごたえのある「アジアのキュビズム」展

久しぶりに竹橋の国立近代美術館へ。企画展の「アジアのキュビズム」をみてきました。テーマがキュビズム+アジアなので、さすがに観覧者はそんな多くはなく、ゆったりとみられました。キュビズム、というとピカソとブラックがその創始者。作品としてはピカソの「アビニョンの娘たち」がキュビズムを表現した最初の作品、くらいの知識しか持ち合わせていません。
この美術展では、アジア11ヵ国(中国、インド、インドネシア、日本、韓国、シンガポール、マレーシア、スリランカ、フィリピン、タイ、ベトナム)からキュビズムをテーマに作品が展示され、出展数は約120点。
展示も、国別ではなく美術史の観点からテーマを設定し、展示されています。テーマは「1.テーブルの上の実験」、「2.キュビスムと近代性」、「3.身体」、「4.キュビスムと国土(ネイション)」の4つ。

会場の冒頭にピカソ、ブラックのキュビズム作品があり、キュビズムの世界へと導いてくれます。キュビズムは、素人が勝手にいってしまうと、ちょっとわかりにくい表現方式。具象画でもあり、抽象画でもあり、って感じです。(時系列的には、抽象画の誕生前の運動ですね)
ということで、堅苦しくみないで、単純に面白い、刺激的?な観点で、作品をみてみました。テーマとしてやはり興味深くみたのは「身体」。キュビズムの表現方法での人物、特に女性像は印象に残る作品が多かったです。例えば、フォービズムの画家の印象があったyorozu 萬鉄五郎の「もたれて立つ人」は、キュビズムの手法+フォービズムの色彩で、心にひっかっかりました。(右の写真)

会場にピカソの言葉がありました。

私たちは芸術によって、自然とは別なものに対する私たちの根拠を表現する。

ちょっと難しいなあ。要は自分の中にいる自然を表現する、ってことですか。ピカソは生涯数多くの自画像を描いた人ですが、キュビズム運動に染まっていた時期には、一枚も自画像を描かなかったそう。なぜでしょう。

キュビズム、かなり奥が深いです。もっと勉強して再訪しなければ、と思いました。

ともあれ、これだけの作品が見られて、入場料650円はお得です(私は大学生なので350円!)。この美術展、アジア各国の美術、およびその近代化を知るためには、とてもいい企画。よく練られ、充実した展覧会だなと感じました。

余談ですが。

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2005/09/19

名画の宝石箱:大原美術館展

IMG_3757宮城県美術館で開催されている「大原美術館展」には、「名画の宝石箱」というサブタイトルが付けられています。会場をみると、まさにその言葉が実感できます。大原美術館の至極のコレクションから、82点が選りすぐられて展示されています。その中には人気の高いモディリアーニの『ジャンヌ・エビュテルヌの肖像』もあります。
会場に入るとまずバルビゾン派のコロー、ミレー、印象派のドガ、セザンヌ、ナビ派のボナールなど、19世紀後半の名画が並びます。まずは、わかりやすい絵で、大原美術館の世界へと導いてくれます。
そのあとは、ムンクのちょっと恐い一連の版画や、ピカソのエッチング、赤が印象的なシャガールの『アレキサンドル・ロムの像』など西洋の秀作が並びます。また美術館創始者の大原孫三郎の庇護を受けた児島虎次郎の一連の作品も、存在感があります。特に『朝顔』は、あでやかな朝顔とういういしい和服姿の少女が、まぶしい世界を作り上げています。
紙に木炭、鉛筆、墨などで描かれたマティスの素描。画材の違いにより、作品の印象が違い、面白いです。
アベルの『母と子』は赤、黒の対比が何かを語りかけているような、重厚感のある作品。

日本の絵画は、ちょっとごつごつした作品が、多く選ばれている印象。萬鉄五郎の『雲のある自画像』、梅原龍三郎の『竹窓裸婦』が、特に気に入りました。

ぜひ倉敷の地にいきたくなった、すてきな美術展です。
IMG_3754


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2005/09/18

大原美術館と、地域創造

昨日から宮城県美術館で「大原美術館展」が始まりました。大原美術館といえば、昭和5年に倉敷の地に開設された日本で初めての私設ミュージアム。この美術展の関連企画として大原美術館理事長の大原謙一郎さんの講演会があり、参加してきました。宮城県美術館の講堂が8割ほど埋まり、席には大原美術館館長の高階秀爾さんの姿もありました。
講演会のテーマは、「美術館と地域創造」。大原美術館の創始者、大原孫三郎を祖父とする謙一郎さん。大原美術館の成り立ち、そして岡山県・倉敷という地方での美術館運営について、熱く語ってくれました。公立の美術館は、いま厳しい運営状況です。作品の新規購入費のここ何年かゼロの美術館も多い。宮城県美術館も例外ではありません。
そのような時代に、大原美術館のような私設美術館も厳しい状況は変わらないかもしれませんが、地域のアート振興のため、頑張って欲しいなと思います。大原さんはこう話されていました。

人の心を豊かにし、美の創造を後押しし、世のため人のために働く美術館。

地域振興と美術館、いましっかり考えたい課題です。

美術展のことは、明日書く予定です。

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2005/09/11

宮城県美術館、もうひとつの楽しみかた

昨日は、調べたいことがあって宮城県美術館へ。昼時になったので、美術館の中にあるレストラン「サリックス」に入ってみました。『週刊朝日』の連載で「お散歩レストラン」という記事があります。主に首都圏の美術館内のレストランの料理が紹介されていて、どれも美味しそうです。
宮城県美術館のレストランも、明るい雰囲気で快適なスペース。日替わりランチのお弁当を頼んでみました。

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ミュージアムのレストランというと、なんとなく高いイメージがありますが、ここは「庶民派」。日替わりランチは950円で、ボリュームもあり、お味も満足レベルです。食事だけでなく、スイーツもあり、楽しめます。ここは仙台のホテル仙台プラザ」がやっているとか。サービスもいいです。

またレストランの隣にあるブックショップは、広くはないのですが、美術関係の本がかなり充実。ここもおすすめ。
レストランとか、ブックショップを目的に、ミュージアムにいくのも、たまにはいいと思いました。

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2005/09/05

ドラマとポエジーの世界へ:和田義彦展

渋谷の雑踏から歩くこと15分、渋谷区立松濤美術館で「ドラマとポエジーの画家 和田義彦」展をみてきました。この美術館は、所蔵品を持たず、企画展のみを行っています。和田義彦は渋谷区在住の現役の画家。私は初めてみさせてもらいました。美術展のサブタイトル「ドラマとポエジーの画家」、なんとも見にいきたくなる素晴らしい表現です。
会場の入り口の紹介文の中に、和田の言葉がこうあります。
「変化し続けることが最も重要」
この企画展では和田の最新作とあわせ、1990年代の作品も展示されています。
展示室に入ると、まず目に入ってくるのは「食べる人」と題された最近の連作。外人の男女が、スパゲッティとかを食べているところを描いた作品。檜にテンペラ、油彩で描かれており、檜の木目と描かれた絵が、妙な調和を生んでいます。
その後ろにある2004年の大作「神戸」。中央に描かれている女性は、聖母なのでしょうか。宗教的な印象をうける、迫力がある作品です。
これらの作品に比べると、1992年に描かれた「Rossi夫妻の宴」は、明らかに作風が違います。スパゲッティを食べる男、男のような横顔のウエイトレス、それにうつろな表情でベッドの腰掛ける裸の女。シュルレアリスム的作品といっていいのでしょうか。幻想的な作品です。
和田の作品は、空想世界から描き出されたように感じるものが多いです。単に表現主義やシュルレアリスムの範疇に分類できない作品世界。
作品をみていて感じることは、その線と面、そして色の調和の織りなす表現の豊かさ。無意味に描かれたようにみえる線が、意味があり、主張しています。色は、赤、緑が印象的に使われています。

和田義彦の絵画世界を堪能できる、素敵な美術展だと思います。

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この作品はいいです。「赤い部屋」

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2005/08/28

見事な美術に出会えた「遣唐使と唐の美術」

kentoushi先週、東京で「遣唐使と唐の美術」をみてきました。8世紀前半に、遣唐使として唐に渡った井真成(セイシンセイ)の墓誌が昨年発見されました。この美術展は墓誌を核に、唐の美術品をみせてくれるものです。
美術品は、中国の陝西歴史博物館、洛陽博物館所蔵のものを中心に、日本の美術館で所蔵しているものを加えて展示されています。
工芸品には詳しくないのですが、中国からきた工芸品は一流品だと感じます。その制作の技術はかなりの高水準です。
すごいな、と素直に感じたのは三彩陶器です。日本の陶磁器に大きな影響を与えた中国の焼き物の、技術の真髄をみせてくれます。たとえば「三彩高脚蓮座付壷」は、見事な造形に加え、流れるような釉のかかり具合が、なんとも美しいです。また「三彩貼花文灯」は、独特の造形と釉の彩色が見事です。
また、この美術展では日本の美術館で所蔵している中国の陶磁器も出展されていて、これも見物。たとえば静嘉堂文庫美術館でもっている「三彩貼花文有蓋壷」(重要文化財)や、永青文庫の所蔵「三彩印花宝相華文三足盤」(これも重文)は、めったに本物は見られないはず。

中国では、最近になっても美術品の発掘が続いているようで、まだまだ発見されていないものも多いようです。
遙か遠い唐の時代が、目の前にあらわれたような気持ちになりました。

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2005/08/22

おもしろく、ためになるポラカード

pola_cardポーラ美術館にいったとき、ミュージアムショップで、ポラカードを買ってきました。これ、ムサビの先生に教えてもらったのですが、おもしろいです。50枚のカードには、美術館所蔵の絵画を原画としたイラストと質問が書かれています。『ポラカードの使い方』には「そこの書かれているのは、今のあなたにきっと必要な質問のはずです」とあります。
まずは、一枚ひいてみました。女性が二人、手を上げてますね。

pola_card2

質問は「うれしくてたまらない時、どんなことしますか?」なにするかな・・・、やっぱり手を上げちゃうかな。ちなみにこのカードの原画は、ドガの「腕を上げた二人の踊り子」です。
こんなカードが50枚はいってます。いいと思いませんか?
ポラカード:1260円

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2005/08/21

箱根の森の中、ポーラ美術館へ

pola

木々に囲まれた美術館は、素敵な世界です。箱根の森の中、仙石原にあるポーラ美術館にいってきました。このミュージアム所蔵の美術品は、ポーラ化粧品グループのオーナー、鈴木常司さんのコレクションでその数約9,500点。この数はすごいですね。
アプローチブリッジを渡り、ガラスが美しいエントランスを入ると、エスカレーターで下へ。広々とした空間が、ただただ気持ちがいい。展示室は、さらにエスカレーターで下の階に。建物が、斜面をうまく利用され、作られているんですね。
多くの所蔵品の中核は、19世紀の印象派やエコール・ド・パリの西洋絵画。現在その中から選りすぐられた作品で「ポーラ美術館の印象派」を開催しています。

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2005/08/19

版画の表現力を感じる:棟方志功展

munakata2宇都宮美術館でコレクション展をみたのに続き、企画展の「棟方志功展」をみました。この企画展は、棟方に大きな影響を与えた柳宗悦、河井寛次郎とともに、民藝運動の中心であった濱田庄司が、栃木県の窯、益子で制作していたことより、栃木ゆかりの美術として企画されたもの。出展作品の多くは、大原美術館所蔵のものです。

棟方の作品をまとまってみたのは、初めてです。200点以上の作品を展示。どの作品も力強い躍動感に満ち、版画とは思えない存在感です。
「星座の花嫁」と題された10点の連作は、ロマンチックな秀作。多色刷りで刷られた版画で、独特の人物を表現しています。谷崎潤一郎の詩を版画に表現した「歌々版画柵」は、詩と版画の作る独自の世界が、心地よい作品。
また「群鯉図」は、棟方が屏風絵を描いた珍しい作品。版画とは違った表現ですが、棟方らしいダイナミックさです。

これだけの棟方ワールドをみる機会は、そうはありません。おすすめです。

鑑賞後、宇都宮名物も堪能。

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2005/08/18

ゆとりを感じる宇都宮美術館

utunomiya_museum先週末、女房の実家から近い宇都宮美術館にいってきました。この美術館は宇都宮市立で、平成9年に開館した比較的新しい美術館。JR宇都宮駅からバスで25分ほどの「うつのみや文化の森」、緑に囲まれた場所にあります。
所蔵作品は「生活と美術」、「地域と美術」、「環境と美術」の3つのテーマで集められています。「生活と美術」はデザインをテーマに、ヨーロッパ系のポスターや家具調度、アメリカのプロダクトデザインを収集。
「地域と美術」は『世界』、『日本』、『宇都宮ゆかり』のテーマで集められています。「環境と美術」は美術館周辺に作品が設置されています。

宇都宮美術館の所蔵作品で、注目されるのはマグリット、カンディンスキー、クレー、シャガール、マティスといった近代美術の大家たちの作品。特にシュルレアリスムの代表的画家であるマグリットの「大家族」は、タイトルと絵画の関連が、どうしてもわからない不思議な作品。同じマグリットでも「夢」のほうが、理解しやすい。
ここの常設展(コレクション展)では、主要作品の解説カードがあり、自由に持っていけます。このカード、表に作品の写真と画家の略歴、裏に解説があるもの。これはなかなかいいものです。

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解説カード

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所蔵作品選(全所蔵作品は2000点以上とのこと)

美術館の建物は、白を基調とした、心地いい空間です。ミュージアムショップも充実。
近くにあれば、しばしば訪れたいミュージアムです。

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2005/08/08

ジャン・プルーヴェ展へ

七夕まつりで賑わう定禅寺通りの「せんだいメディアテーク」で開催されている『20世紀デザインの異才:ジャン・プルーヴェ』展をみてきました。ジャン・プルーヴェははじめて知りました。リーフレットによると、デザイン、建築、エンジニアリングの領域で革新的な創造者のひとりに数えられるフランス人。有名な建築家のル・コルビジェからも賞賛されていて、工業デザインから建築までその才能を発揮した人。
これだけではいまひとつわかりにくいのですが、展示をみた限りでは、工業デザインから建築まで、デザイン才能を発揮した人のようです。プルーヴェは自らを『建設家』(建築家ではありません)とみなしていたそうです。
会場には、彼のデザインした家具から建築物の模型、資料が展示されています。
展示をみて感じたのは、家具と建築は違うんだな、ということ。展示パネルにこうありました。
「家具と住宅の建設は何の違いもない」
そうでしょうか?家具は基本的にはいくつもつくる工業品。住宅は、基本はオーダーメイドです。プレハブとかマンションはありますが、やはり住宅は注文生産。プルーヴェの生きた時代には、プレハブ住宅はなかったので、彼の思想は、先進的だったかもしれません。
かれのデザインした住宅は、なにか暖かみがなく、魅力を感じませんでした。それに対して、家具は素敵なデザインだな、とおもったものが、いっぱいありました。
プルーヴェは、すこしばかり早い時代に生まれたデザイナーだったのでは、と思わせるアート展でした。

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2005/08/02

やはりルノアール:フィリップス・コレクション展

「アートの教科書」と副題がつけられた「フィリップス・コレクション展」。子供が最近絵を習い始めたので、一緒にいってきました。森アートセンターギャラリーながら、来場者は中年以上の方が目立ちます。
私のお目当ては、なんといってもルノアール「舟遊びの昼食」。なにせ、中学生の時からのルノアール好き。(中学の時、上野・松坂屋でルノアール展をみたこと、思い出しました)ルノアールの絵の魅力は、「ふくよかさ」にあると思います。それは単に、描かれた人物がふくよかなだけではなく、絵を見ていてイメージされるものが、まさに「ふくよかさ」だと思うのです。この「舟遊びの昼食」も、みていて、なんとも幸せな気持ちになってきます。

ルノワール以外も、「アートの教科書」というだけあって、17世紀のスペイン絵画、新古典主義、ロマン主義からキュビズム、フォービズムのマティスまで、多彩な傑作が並びます。ほんとに見応え十分。最近近現代の美術史を勉強したせいで、頭の中で「バルビゾン派の特徴は・・・」と思いながらみていました。特に気に入ったのは、カンディンスキーの「連続」。抽象画の創始者、表現主義の画家らしからぬかわいい絵です。また、ボナールの「棕櫚の木」。この絵の色はすごい。しばらく見入ってしまいました。

これだけの傑作がそろう美術展も、珍しいのでは。おすすめです。

☆フィリップス・コレクション展をご覧になったブログにTBさせていただきます。

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2005/07/30

伊万里の奥深さを知る:ドレスデン国立美術館展その1

昨日は夏休みパート1。上野の森、西洋美術館で開催中の「ドレスデン国立美術館展」をみに出かけました。日経新聞からもらった招待券が8月12日までしか使えないことに気付き、急いでいってきました。平日の昼間なのに、結構混雑してました。来場者の多くはおばさまがた。
この美術展の見どころは、ザクセン選帝侯のコレクションが広範囲にみられること。科学計測器からはじまり、工芸、磁器、絵画など最高の美を感じられる作品が多数展示されています。
ここでは、レンブラント、フェルメールなどのオランダ絵画がいちばん注目されているようですが、私は中国と日本の磁器の展示が、まずはみたかったセクションです。
海外の日本陶磁コレクションとしては、ドレスデン国立美術館は最大の規模をほこります。日本、中国、マイセンの陶磁あわせて約2万点を所蔵。このほんの一部が、展示されています。

中国磁器の「五彩」から影響を受け、日本の伊万里焼の「色絵」が誕生。この伊万里焼の海外輸出仕様として「柿右衛門様式」ができ、これがドイツのマイセン磁器に影響を与えた。この歴史の流れをふまえ、有田(伊万里)、マイセン、中国の3地域の同じ意匠の作品が並べられ、磁器作品の違いがわかる展示になっています。展示された作品は多くはなかったですが、なかなか見ごたえがありました。
例えば、有田の「ジョッキ」とマイセンの「蓋付きジョッキ」。マイセンは有田のコピーで、ちょっとみるとそっくりです。でもよく見ると、地色の白が違います。有田のほうが、より白を表現。マイセンは少しアイボリーに近い白。また描かれた花も、微妙に違いがあるように感じました。花と葉の大きさのバランスが、両者では違うようです。
マイセンが単なるコピーをしていなかったと考えられるのが、「染付花卉文皿(ブルーオニオン)」。これは中国の「色絵薔薇文皿」をもとに作られたものですが、まったく別の素晴らしい作品に仕上がっています。
中国−日本ーマイセン(ドイツ)の磁器の流れがわかった展示でした。ドレスデンのこれ以外の陶磁器をみたくなりました。

フェルメール、レンブラントなど絵画についても書きたかったんですが、それは明日以降に。

☆「ドレスデン国立美術館展」について書かれているいくつかのブログにTBさせていただきます。

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2005/07/17

美術史の副読本?:ゲント美術館名品展

昨日、課題のため近現代の美術史を勉強してました。特にシュルレアリスムあたりをやっていたら行き詰まってしまい、ネットで素材を検索していたら世田谷美術館の「ゲント美術館名品展:西洋近代美術のなかのベルギー」に行き着きました。この美術展、ベルギーのゲント美術館が所蔵する近現代の絵画を美術史の流れに沿って見せてくれるもの。新古典主義、ロマン主義からシュルレアリスムまで、ベルギーからの視点で近現代の美術史が総覧できます。
ベルギーの画家の作品に加え、美術史の本にのっている画家の作品も展示されています。新古典主義のダヴィッド、ロマン主義のドラクロワ、バルビゾン派のコロー、クールベ、ルソー、ドービニー。表現主義のココシュカ、キルヒナーやシュルレアリスムでは巨匠エルンスト、ベルギーの代表的画家デルボーとマグリット。
森アーツセンターギャラリーでは『アートの教科書』と副題が付けられた「フィリップス・コレクション展」が開催されていますが、この「ゲント美術館名品展」は、ベルギーからの視点での、美術史の副読本といった趣きです。
デルボー、マグリット以外のベルギー画家の作品は初めてみました。その中では、ジョニー・モンティニイの「庭師」(新古典主義)、グスターブ・デ・スメットの「ラ・ボンヌ・メゾン」(キュビズム)が印象に残りました。
ちょっと勉強っぽい、美術展でした。

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