2025/04/19

能「羽衣」での和合之舞

 国立能楽堂で4月の「国立能楽堂ショーケース」を鑑賞。ショーケースは能の初心者、外国人も対象にして、体験コーナー(この日は楽器体験)、プレトークがある能の入門編といった公演。演目は、
・狂言:{大蔵流}長光
・能:{観世流}羽衣 和合之舞
 「羽衣」は羽衣伝説をもとにした能で、代表的な演目のひとつ。舞台は春、三保の浦(現静岡県清水市)の海岸の松並木。羽衣をまとった天女の優美な舞いが見所。
 演目に「和合之舞」とあるのは、観世流の小書で、通常は「舞→謡→舞」の構成が取られるところを、「舞→舞」の構成にする特徴とのこと。このあたりは専門的になるので、突っ込まないことに(笑)。
 ともかく30分にも亘る天女の舞がみごとです。また、物着(シテが舞台上で衣装を装着する場面)も見所。
 能の深さを感じた演目でした。

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2025/03/29

能楽堂特別公演「袴裂」と「武文」

 異色の能と言っていいのでしょう。国立能楽堂での3月特別企画公演での「復曲能 武文」を鑑賞しました。昭和62年(1987年)以来35年ぶりに復曲(長い間上演されなくなっていた能や狂言などの古典作品を、資料調査・復元作業を経て、再び上演可能な形にすること)されるものです。
 現在、能楽堂で上演されている能と比べると、(素人でも)かなり違った内容だと感じます。パンフレットの鑑賞の手引きには、「コトバ中心の台詞劇」、「場面が煩雑に移り変わること」「シテ中心の構成ではなく、各役が活躍すること」があげられています。
 その通り、能でありながら演劇的な展開。シテはひとりとされていますが、この武文では(能面をつけるのがシテとすれば)二人です。シテ方二人、ワキ方二人、狂言方五人という多さ。また前場、後場と構成を無視するように(パンフレット記載の)詞章は20の場面に分かれています。  
 能の定石を破るかの内容ですが、終盤でのシテがみせる能舞では、幽玄の世界へ誘ってくれます。

 通常、「1つの演目を1日だけ上演する」能ですが、この「武文」は3月28日、29日の複数公演です。

 また狂言「袴裂」は現行狂言「二人袴」の古形と考えられていますが、とても面白かったです。
 能、狂言とも奥が深いです。

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2024/11/07

風変わりな能「白楽天」

 今月の能・狂言鑑賞は国立能楽堂の定例公演。

狂言 仁王(におう) 深田 博治(和泉流)
  白楽天(はくらくてん) 鶯蛙(うぐいすかわず) 廣田 幸稔(金剛流)
 
 能「白楽天」(別名「鶯蛙」)は、「夢幻能」ではなく、シテが幽霊ではありません。唐代の詩人・白楽天(白居易)が日本の知恵を試そうと来訪し、住吉明神との詩歌の応酬を通じて日本文化の深さを描いた作品です。実際に白楽天が日本にきたことはなく、物語の中での架空の出来事。この作品では、彼が日本文化を試しに来るという設定が使われていますが、それは日本の伝統文化や詩歌の優位性を表現するための創作です。また、鶯と蛙が登場し、鶯や蛙までもが詩を詠むことができることを表現します。
「夢幻能」が多い能では、少し風変わりな舞台なのかなと思いましたが、楽しめました。

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