能楽堂特別公演「袴裂」と「武文」
異色の能と言っていいのでしょう。国立能楽堂での3月特別企画公演での「復曲能 武文」を鑑賞しました。昭和62年(1987年)以来35年ぶりに復曲(長い間上演されなくなっていた能や狂言などの古典作品を、資料調査・復元作業を経て、再び上演可能な形にすること)されるものです。
現在、能楽堂で上演されている能と比べると、(素人でも)かなり違った内容だと感じます。パンフレットの鑑賞の手引きには、「コトバ中心の台詞劇」、「場面が煩雑に移り変わること」「シテ中心の構成ではなく、各役が活躍すること」があげられています。
その通り、能でありながら演劇的な展開。シテはひとりとされていますが、この武文では(能面をつけるのがシテとすれば)二人です。シテ方二人、ワキ方二人、狂言方五人という多さ。また前場、後場と構成を無視するように(パンフレット記載の)詞章は20の場面に分かれています。
能の定石を破るかの内容ですが、終盤でのシテがみせる能舞では、幽玄の世界へ誘ってくれます。
通常、「1つの演目を1日だけ上演する」能ですが、この「武文」は3月28日、29日の複数公演です。
また狂言「袴裂」は現行狂言「二人袴」の古形と考えられていますが、とても面白かったです。
能、狂言とも奥が深いです。
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