2018/11/12

東京奇譚集を再読

 映画「ハナレイ・ベイ」を見た後、原作を読みました。村上春樹の短編集『東京奇譚集』に収まれています。小説「ハナレイ・ベイ」は文庫本で40ページほどの短編。映画は1時間40分ほどの作品になっているので、原作にない要素が加えられています。
 原作の短編は主人公サチの心情が淡々と書かれていて、映画の強い映像とは違う感じです。さらっとかかれた作品です。
『東京奇譚集』はタイトル通り、不思議なストーリーが盛り込まれた5つの作品が収められています。中でも面白かったのは「品川猿」。この作品だけは、単行本発刊時に加えられた書き下ろし。ちょっと怖くて、ちょっとユーモラスなストーリー。
 村上春樹の短編をもっと読みたくなりました。

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2018/11/11

「本屋を旅する」 というスペース

 昨日書いた<本でつながるシェアハウス>のイベントが開催されたのは、下北沢にある「本屋を旅する Bookshop Traveller」です。ここどんなところなのか。ネットで見た限りではよくわかりませんでした。ツイッターから引用させてもらいます。
<BOOKSHOP LOVER 和氣正幸が営む本屋・事務所。 「観光のついでに本屋に行く」ではなく「本屋のついでに観光に行く」にするために下北沢に開いた本屋のアンテナショップです>
本屋のアンテナショップ? 実際に行ってみてわかりました。店内には本屋のように書棚が並んでいます。この書棚は本屋に貸し出されています。

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 書棚は2種類あり、実店舗がある本屋とない本屋とに区別されています。本屋をやりたい人が間借りして本屋ができます。アンテナショップなので、並んでいる本は購入できます。ここをきっかけに、出店している本屋にいってみる、ということにつながります。ビジネスモデルとしても面白いです。
 オーナーの和氣正幸さんは「東京 わざわざ行きたい街の本屋さん」などの著作がある本屋さんの専門家です。個性的な本屋が多い下北沢、ここからも新しいことが起こりそうです。

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2018/11/10

本でつながるシェアハウス

 一昨日ですが<個人でつくる、本のある空間の作り方 ~本でつながるシェアハウス代表・井田岳志さんに聞く~>と題されたトークイベントに参加してきました。「本でつながるシェアハウス」って何? という疑問が参加した理由。
 本でつながるシェアハウスとは、井田岳志さんが吉祥寺で運営してるシェアハウスです。本でつながるとは? ホームページには、
「図書館に住みたい!本に囲まれて、本好きな人と一緒に暮らしたい!『本でつながるシェアハウス』は、読書や図書館が大好きな人のためのシェアハウスです」
 とあります。
 一軒家に4室あるシェアハウス。リビングに本が図書館のようにたくさんあります。井田さんも何冊あるか正確には把握されていないようですが、蔵書リストはあります。面白そうな本が並んでいます。
 本が人と人をつなぐ。新しい方向かもしれません。

本でつながるシェアハウス

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2018/11/06

P+D BOOKSを読む

 作家の作品を辿って、かなり以前に書かれた作品を読みたいと思っても手に入らないことも多いです。曾野綾子の作品もそうです。アマゾンで検索しても、最近の随筆はあるけれど、古い小説は少ない。
 P+D BOOKSというシリーズが小学館からでています。ここに曾野綾子作品があるので、知りました。P+D BOOKとは、「現在入手困難となっている昭和の文芸名作を、B6版のペーパーバック書籍と電子書籍を同時に同価格で発売・配信する新ブックレーベル」で、2015年から刊行されていて、現在毎月2冊配本されています。
 ここに曾野綾子の『虚構の家』と『地を潤すもの』があります。
『虚構の家』を読みました。戦争をテーマに、人の生と死を問いかける作品。はじめて読みました。
 P+D BOOKS、最新刊では野坂昭如の『マリリン・モンロー・ノー・リターン』がでています。末永く刊行を続けてください。

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2018/10/22

小さな恋のものがたり

 4年前に最後だったはずなのに、『小さな恋のものがたり』がでていました。みつはしちかこさんの名作の新作、第44集です。新聞の広告で見つけ、さっそく買いました。
 あとがきでみつはしさんはこう書いています。
「こんにちは。また元気でお会いできてうれしいです。第43集で完結したはずの『小さな恋のものがたり』。次の第44集が刊行されるとは、我ながらびっくりです」
 なぜ、再び『小さな恋のものがたり』を描かれたか。それはあとがきに書いておられます。
 新作にはサリーも少しだけ登場します。素敵なラブストーリーが、また始まりそうです。

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2018/10/15

リヤ充王の世界

 先月だったか、ピストン西沢の番組に馬場康夫が登場していて、懐かしい気分になりました。『気まぐれコンセプト』のホイチョイ・プロダクションを率いる馬場康夫です。ここでホイチョイが新刊『ホイチョイのリア充王』なる本を出すことを知り、購入。しばらく放ってあり、やっと読ませていただきました。
 帯に「新・見栄講座」とあります。そうでした、『見栄講座』というのがありました。1983年の発売だから、社会人3年目の時か、遥か昔だな。それからずっと馬場さんはホイチョイやっていたんですね。『気まぐれコンセプト』はまだ連載されています。
『ホイチョイのリア充王』は、80年代後半、バブル景気のころ流行っていたスキー、サーフィン、ゴルフなどのアウトドアスポーツを、2018年の今、楽しむ方法を説明した内容。ポイントはインスタ映えなど、どのようにしたらSNSでイイねをたくさん獲得できるかに絞っていること。
 アウトドアスポーツ人口は激減しています。本書に載っているデータによれば、1999年と2016年との比較で例えばスキーは82.3%減、サーフィンは78.6 %減。すごい数字です。
 また、本書には「20代は70代より移動が少ない」とあります(多分出典はここ)。若者はアウトドアスポーツをしなくなっているのです。ホイチョイはこんな状況を問題提起したのが、『ホイチョイのリア充王』です。
 もう、あのバブルの頃には戻れない。そんな当たり前の事実を確認した本でした。

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2018/09/26

秋風羽織の教え

 今週末で終わる『半分、青い。』ですが、前半でドラマの中心になったのが少女漫画家・秋風羽織。強烈なキャラクターを披露して人気になった秋風羽織の名言をまとめた『秋風羽織の教え 人生は半分青い』をネットで見つけ、衝動買い(笑)。
 秋風の名言(迷言?)をまとめたものに加え、「秋風本人に独占・密着取材」したとか。秋風本人はどこかにいるようです。
 面白い本です。巻末に秋風羽織を演じた豊川悦司と脚本の北川悦吏子にインタビューがありますが、これが興味深いです。
 豊川悦司が、
「今回、北川さんは、自分の思いは秋風に託して、鈴愛や律、ユーコ、ボクテたちのことは俯瞰して書いている気がしますね」
 と語り、これに対し北川悦吏子は、
「モノをつくることへの考え方は、すべて秋風羽織に託していました」
 と言っています。
『半分、青い。』に人気に便乗した企画ですが、じっくり読むと味わい深い一冊です。


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2018/09/05

最強の経営者

 アサヒビールがシェア1位を獲得したのはかなり前のことです。今年の上半期はキリンが盛り返し、アサヒ37.6%、34.0%です。キリンは1位が視野に入っています。アサヒの巻き返しは如何に。
 かつてアサヒはシェアが10%をきり、夕日ビールと揶揄されていました。このアサヒビールに住友銀行から社長として乗り込み、シャアトップにしたのが樋口廣太郎です。
 『最強の経営者 アサヒビールを再生させた男』(高杉良著)を読みました。アサヒビールが再生したのはひとえにスーパードライでしょう。圧倒的な商品力とそれを販売した営業力。スーパードライの成功を指揮したのが樋口廣太郎。
 本書で、樋口廣太郎が経営者としてどれほど才能を持っていて、その力をどのように示したかをテーマにして書かれています。経営者としての視点で物語が綴られます。
 なので、アサヒビールの社員たちがどれほど苦労して、企業を再生させたかは、あまり書かれていません。あくまで樋口廣太郎とそれに続く経営者たちの物語です。
 今の時代、こんな豪快な経営者がいるのか、と思いながら読みました。ちょっと古い時代を知るためにはオススメです。

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2018/08/09

堺屋太一が語る万国博覧会

 2025年、大阪に万国博覧会を招致する活動が進んでいます。国を挙げての招致活動ですが、開催国が決まるのは今年の11月。
 そんなタイミングからか、『地上最大の行事 万国博覧会』が出ました。著者は70年大阪万博の総合プロデューサーであった堺屋太一です。
 官僚だった堺屋太一が、まだ日本に万国博覧会に対する認識がほとんどない頃から<万国博博士>を自認し、万博の重要性を官僚、政治家に説いてまわり、大阪万博を実現するまでの道のりを細かに書いています。
 少々、自慢話が鼻につきますが、でも、堺屋太一の成したことはすごい。約半年の開催期間での入場者は6,421万人。当時の万博史上最多の入場者です。
 いくつも面白いエピソードが書かれています。たとえば、マ大阪万博の開催前にーシャル・マクルーハンが「万国博覧会は過去のものになった」と発言した。これに対し、堺屋太一はモントリオール・ガゼット紙に反論を投稿。これをフィラデルフィアの新聞が取り上げ、これに対しマクルーハンが反論。紙面上で議論が展開された。堺屋太一の万博への情熱が伝わってくるエピソードです。
 2025年、大阪に再び万博は来るのでしょうか。あと、3ヶ月で結果はでます。


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2018/07/13

ロング・グッドバイ

『ロング・グッドバイ』を読み終えました。村上春樹が訳したレイモンド・チャンドラー作品です。かなり前に買ったのですが、文庫本で600ページほどあり、なかなか進みませんでした。
 村上春樹にとって『ロング・グッドバイ』はスコット・フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』と、ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』とともにこれまでの人生で巡り会ったもっとも重要としている小説です。
 レイモンド・チャンドラー作品は有名な台詞がある『プレイバック』を読んだだけで、たぶん『長いお別れ』(清水俊二訳)は読んでいないと思います。
『ロング・グッドバイ』は村上春樹の名訳でありながら翻訳の小説で、更に600ページ近くあり、文章を味わう余裕がありませんでした。フィリップ・マーロウがタフ、ということはわかりました(笑)。
 村上春樹が長めの訳者後書きを書いています(50ページほど)。これを読むと、『ロング・グッドバイ』をどう味わうか、ちょっとヒントを与えてくれます。時間を少し置いて、再読したいと思います。

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2018/05/05

夕暮れの時間に

 山田太一の『夕暮れの時間に』を読みました。先日、『五年目のひとり』を見たのが、山田太一さんへのきっかけです。『五年目のひとり』は一昨年に放映されたテレビドラマ。それを今頃見るなんて、なんとも情けない話です。 
 ドラマを見た後、週刊文春の先週号で、坪内祐三が『夕暮れの時間に』を取り上げていて、買いました。
 この>『夕暮れの時間に』は2015年に単行本として出されたものを文庫化したもの。ここ10年ほど、山田太一が70代に書いたエッセーを編んだ一冊です。
 脚本家とし珠玉の作品を書いてる山田太一ですが、エッセーも味わい深いです。まず、本をたくさんよんでおられるのだなと、(当たり前のことに)感心します。心に引っかかる文章がいくつもあります。
 文庫本では巻末に特別インタビューが載っています。山田太一は昨年1月に脳出血で倒れました。半年余り入院し、退院後のインタビューです。昨年、山田太一脚本を復刊した「山田太一セレクション」を発刊した出版社・里山社の代表・清田麻衣子がインタビューしています。これだけでも読む価値があります。
 いまという時間の過ごし方を考えさせられる、山田太一のメッセージが込められた一冊です。

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2018/05/04

夫の後始末

 曾野綾子の小説を読み始めたのは、大学生のとき。『神の汚れた手』が最初に読んだ小説でした。もう、40年も前のことです。
 最近はエッセーを書くことが多い曾野綾子の著作は、あまり読ません。曾野さんの神髄は小説の中にあると思っているからです。しかし、『夫の後始末』は手に取りました。夫、三浦朱門の在宅介護を綴った記録です。
  本の帯にはこうあります。
<夫・三浦朱門と過ごした夫婦の「最後の日々」>
 夫婦であれば、避けることのできない別離までの日を、曾野綾子は淡々と、しかし、愛情を込めて書いています。三浦朱門と曾野綾子はいい夫婦だったんだな、と羨ましい気持ちになる文章です。
 老後、介護を考えさせられる良書だと思います。


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2018/01/30

ビットコインとブロックチェーン

 コインチェックのネム流失問題は日ごとにこの会社の管理体制が甘かったことが明らかになっています。ベストセラーになっている『いまさら聞けない ビットコインとブロックチェーン』は先日もかいたように、コインチェックのCOO大塚雄介氏の著書。
 ビットコインなど仮想通貨を理解するために不可欠なブロックチェーンもわかりやすく書かれていて、全体的にはいい本だと思います。本書の中で、「ビットコインが盗まれる心配はないの」という章にはこう書かれています。
「(顧客からの預かり資産をすべてオンライン上に置いていないとしたうえで)全体を100とすると、そのうち数%しかオンライン上に置かず、それ以外はインターネットから物理的に切り離して、オフライン環境で厳重に保護してあります」
 ビットコインとネムは別な管理だったというわけですか。
 本も著者の背景に気をつけて読まないといけませんね、。
 
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2017/08/06

いちまいの絵

 アートを題材にした小説が多い原田マハの絵画を巡るエッセー『いちまいの絵 生きているうちに見るべき名画』を読んでみました。小説は直木賞の候補になった『楽園のカンヴァス』と『暗幕のゲルニカ』を読みました。この2作品にもいろいろ言いたいことはありますが、エッセーならどんな展開の文章なのか興味があって手に取りました。
 集英社の読書情報誌『青春と読書』の連載されたものをまとめたもので、著者が選んだ26枚の名画のついての思いと歴史的な事象を中心として文章が綴られています。
 原田マハの絵画の好みが分かるのは興味深いところですが、文章はいささか退屈です。名画が目の前に思い浮かび、イメージが広がる文章が読めるかと思っていたのですが、残念ながらそうではありませんでした。アートの旗手と言われている作家なんだからと期待していたのですが、なんとも味気ない読後感でした。
 アート作品を表現することの難しさを感じた一冊でした。


 

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2017/08/02

小説『影裏』

 先日、芥川賞を受賞作した『影裏』(沼田真佑)を読みました。かつて仕事をしていた盛岡が舞台ということで手に取った作品です。小説のオープニングから展開する自然の描写は丹念に書かれ、表現豊かです。方言も(恐らく)忠実に書かれていると思います。ただ、(無知ゆえですが)、読めない漢字がいくつもあり、ルビを振って欲しかった(著者の責任ではなく、編集者の仕事ですが)。辞書を引くことで、しばしば読み進めることが中断しました。
 400字原稿用紙で100枚ほどの短編小説ですが、読むのに時間がかかりました。読めない漢字があるせいもありますが、小説の流れを理解するのがいささか難しかった。著者はこの小説で何を伝えたいのかを分かるために、時にページを戻して読む必要がありました。
 モティーフは3.11とLGBTだと思えますが、この小説でどのような意味があるのでしょう。心にひっかからないまま、読み終えてしまいました。
 特にLGBTのくだりは事情がすぐに理解できず、読むことを止め、考えることになりました。小説なので、説明することは必要ないですが、唐突に突きつけられた感がありました。単に主人公の輪郭を明確にするために書かれたのか。それともそれ以上の意味があるのか。分かりませんでした。
 3.11のことは、小説の流れからは3.11でなくてもいいのでは、と思いました。必然性が感じられない、ということです。
<電光影裏春風を截る>という言葉が小説の終盤部に書かれています。この言葉は(これも無知で知らなかったのですが)禅語のようですが、小説の流れではこれも唐突な印象です。タイトルの「影裏」もここから取られているのでしょう。この言葉の意味を理解しないと、小説そのものも理解できないかもしれません。ちょっとハードルが高いです。
 ありきたりの感想ですが、次回作を楽しみにしたいと思います。

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2017/07/22

蜜蜂と遠雷

  先日、直木賞が発表になりましたが、前回(2016下期)の受賞作『蜜蜂と遠雷』(恩田陸)を読みました。いまごろという感じですが、ちょっと理由があり、購入。恩田陸の作品は『夜のピクニック』を読んだだけです。
 三年に一度のピアノコンクールでの物語。天才ピアニストたちが第一次予選から第三次予選、そして本選で展開する競争が描かれています。
 著者の音楽、クラシックの知識にまず圧倒されます。全編、美しく、情感豊かな言葉で書かれている文章は見事です。 「ノスタルジアの魔術師」といわれるだけあり、さすがです。
  ただ、クラシック音楽を聴かない身には、よく分からない、というか感じられない部分が多すぎました。2段組、500ページを超える大作ですが、もう少し短くてもよかったかな、とも思いました。読んでいて、途中で飽きてきました。高尚な作品は未熟者にはちょっと読むのが大変でした。
 クラシック音楽ファンにはおすすめかもしれません。

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2017/07/10

翻訳家・村上春樹の仕事

 翻訳家としての村上春樹の仕事をまとめた『村上春樹 翻訳ほとんど全仕事』を興味深く読みました。本書は2つのパートで構成されていて、ひとつは「翻訳作品クロニクル」で村上春樹が翻訳した本を自身で解説。あとひとつは「翻訳について語るとき僕たちの語ること」で、翻訳家の柴田元幸と村上春樹の対談です。
「翻訳作品クロニクル」を読むと、「こんなに沢山」と驚きました。『グレート・ギャツビー』しか読んでいません。いかにアメリカ文学に興味がないか、読んでこなかったかを思い知りました。
柴田元幸さんとの対談もすごく面白い。翻訳の話もいろいろ楽しいですが、それに加えて村上春樹のこれまでの創作裏話みたいなことが語られていて、これが刺激的です。
 村上春樹、今更ながらすごい作家ということを認識しました。

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2017/07/07

下山の時代

  言語学者の鈴木孝夫先生の講義を大学の時に聴かせていただきました。以来、著作を何冊か拝読しています。鈴木孝夫著作集も持っています(調べてみたら、今は廃刊です)。大学の時から四十年ほど経過しましたが、鈴木先生は元気に活躍されています。今年91歳になられます。
 鈴木先生の言語社会学を勉強しました。大学の時、一時熱心に英語をやっていたので、日本語と英語、西欧語の対比から説く言語社会学に心酔していました。
 平田オリザさんも鈴木教の信者です。『下山の時代を生きる』は鈴木先生と平田オリザの対談。タイトルの通り、人口が減り、成長もほとんどない日本で「いかにして山を降りるか」をテーマに二人が語った対談です。鈴木先生の博学ぶりと平田オリザの地方での体験が融けあい、いい対談になっています。
 日本の明日を考えるきっかけになる刺激的な一冊です。

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2017/04/02

騎士団長殺しを読む

『騎士団長殺し』を読み終えました。村上春樹の本を発売日に買って(今の時代、単行本で発売日にニュースになるのは村上春樹とハリー・ポッターくらいでしょう)。そして、発売日から1ヶ月以上経ってしまいましたが、ほぼすぐに読み終えることなど、村上作品では初めてのこと。
 ネットでの書評は事前に一切目を通さず、読みました。面白い小説です。なんでこんな面白い文章かけるのだろう。村上春樹だからでしょう。読後にアマゾンのレビューを少しみましたが、ひどいこと書かれてますね。レビューなんて信じないことです。
 1000ページをこえる長編ですが、飽きることはありません。そして、読み終えたあと、明日もなんとか生きてみよう、という思いにさせてくれる幸せな長編です。ここが村上春樹作品の素敵なところかもしれません。
 今朝の朝日新聞に村上春樹のインタビュー記事が掲載されています。村上春樹はこう言っています。
「物語は即効力を持たないけれど、時間を味方にして必ず人に力を与えると、僕は信じている。そして、できればよい力を与えられたらいいなと希望しています」
 <時間を味方にする>ということは、『騎士団長殺し』でも使われているキーワード。この意味を考えるのもちょっと楽しい。
 積ん読になっている人は、早く読むことをおすすめします。

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2016/11/02

女のいない男たち

 村上春樹の短編集『女のいない男たち』が文庫になり、読みました。まえがきによれば『東京奇譚集』以来九年ぶりの短編集です(『東京奇譚集』は楽しく読んだ記憶があります)。『女のいない男たち』では6編の男と女の短いストーリーが心に引っかかります。
 5編が雑誌に掲載されたものと単行本のために書き下ろされた1編が加えられた6編。まえがきによれば、村上春樹は短編小説をまとめ書きします。『女のいない男たち』はタイトル通り「女のいない男たち」をモチーフに書かれた6編です。
 女のいない男、というモチーフは小説ではスタンダードなもの。しかし村上春樹の紡ぐストーリーはどこにでもありそうな話を達者な文体で展開します。面白いです・
 60代半ばで男と女の小説を書く村上春樹のエネルギーに感心しました。


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2016/06/29

ベジヌードルのレシピ

 うちのキッチンスペースで4月に撮影された書籍『「ベジッティ」で野菜たっぷり! グルテンフリーのベジヌードル☆レシピ』(いとうゆき・二見書房)が発売されましたので宣伝です。
 ベジヌードルってご存じですか。恥ずかしながら知りませんでした。ベジヌードルとは野菜を細く長く麺状に切って、麺として食べることです。「野菜の麺」ですね。
 ベジヌードルをつくる道具はいくつかありますが、本書では「ベジッティ」を使っています。いとうゆきさんによるレシピはパスタからサラダ、スープ、おかず、デザートなど、全51レシピが掲載されています。
 ベジヌードルはNHK「あさいち」で先月取り上げられるなど、注目されています。
 グルテンフリー、カロリーオフ、野菜たっぷりなど身体にいいベジヌードルです。美味しそうな料理がたくさん載っています。私も一冊買いました。ヘルシーな料理に興味がある方にはおすすめです。

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2015/10/23

ひとり出版社という存在

 今年の6月に銀座の森岡書店で夏葉社・島田さんの話をうかがう機会がありました。夏葉社は島田さんがひとりでやっている出版社です。ひとりでも出版社ができるといささか驚きでしたが、『”ひとり出版社という働きかた』(西山雅子著・河出書房新社)を読むと、ひとりでやっている出版社はいくつもあり、さらに驚きました。
 本書ではひとり出版社を営む11人が登場します。西山さんがそれぞれの出版人にインタビューし、丹念に文章にしています。ひとりで出版社を始めてのはそれぞれの思い、事情がありますが、どの方も本、出版に託す心は熱い。ひとりで会社をやるのは大変ですが、出版社はやることが多い。凄いと思います。
 いつかは出版社をやってみたい。そんな妄想を起こさせる素敵な1冊です。


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2015/10/18

読書は普遍のテーマだが

 週刊ダイヤモンドの最新号(10月17日号)では<「読書」を極める!>が特集。読書の秋という季節柄のテーマ、それに書店事情、図書館のいくつかの問題など時事ニュースもある中での特集でしょう。
 特集は3つのパートから構成されています。まず<知性を磨く読書術>、それに続けて<「新しい図書館」戦争>そして<出版不況を戦う書店>の3パート。
 面白かったのはやはり<「新しい図書館」戦争>です。TUTAYA図書館問題はネットなどでかなり語られている感もありますが、「図書館を核にしたまちづくり”TUTAYA流”の限界」は、TUTAYAが指定管理者として運営を受託した海老名市立中央図書館のレポートが現場の実態をよく伝えています。ちょっとひどいな、という印象です。その一方で伊万里市民図書館も取り上げ、図書館の運営について考えさせられる記事になっています。
 <出版不況を戦う書店>では村上春樹の新刊買取で話題をとった紀伊國屋書店の高井社長にインタビューした記事が興味深いです。この書店、まだまだ闘う気が充分です。
 雑誌のとっては読書というのは普遍のテーマですが、どれほどダイヤモンド読者の興味をひいたのか。そこが気になるところです。

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2015/09/03

村上春樹をめぐる話題

 先々月の7月にでた『村上さんのところ コンプリート版』を買いましたが、まだ”ラン! ラン! ラン! (走ること)”と”ドライブ・マイ・カー(クルマの話)”の2章分しか読んでいません。全部で23章あるのでほんの一部ということです。
 村上春樹の国内での電子書籍は初めてで(そういえば8月28日には『走ることについて語るときに僕の語ること』が電子化されました)、コンプリート版は単行本8冊分あるとかで、まあゆっくり読んでいくつもり。電子版だと目に前に本がないので、「読まねば」という脅迫観念がないので、なかなか進みません。
 村上春樹といえば、今月刊行される『職業としての小説家』を紀伊國屋書店が初版10万部のうち9万部を出版社から直接買い付けて、自社店舗のほか他社の書店に限定して供給するというニュースが伝えられています。何故このようなことをするのか。
「狙いについて紀伊国屋書店は『初版の大半を国内書店で販売しネット書店に対抗する』と明言した」(8月21日日経新聞)
 といいます。ネット書店とは明らかにAmazonを意識してのことでしょう。
「紀伊国屋書店は売れ残りリスクを抱えるが店頭への集客につながると判断した」(日経新聞)
 といいます。
 村上春樹という超強力なコンテンツだからこそできる戦法ですが、Amazonに対抗する方法として有効なのでしょうか。単に喧嘩を売っているだけではないか。そんな印象を持ちます。
 この紀伊国屋書店の販売を村上さんはどう思っているのか。そこがいちばん気になります。
 

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2015/06/16

料理研究家の研究書

 街の本屋でも料理を扱う書籍、雑誌は必ずあります。大規模書店にいくと、数多くのレシピ本が並び、どれを選ぶか迷ってしまいます。本の数に圧倒されますが、レシピを著している料理研究家、料理家の多さにも驚きます。
小林カツ代と栗原はるみ -料理研究家とその時代-』(新潮文庫)は料理家を時代に沿って論じた質の高い評論です。戦後、高度成長期以降に登場した料理研究家を社会情勢、時代背景、人々の暮らしかたから分析しています。また、料理家たちがどうしてその時代に活躍したのかを料理家のキャリアから読み解いています。
 時短料理で革命を起こした小林カツ代。カリスマ主婦として時代の要請に応えた栗原はるみ。二人のスター料理研究家に多くのページを割き、料理研究家が家庭の料理に果たした役割が論じられています。
 興味深いのは主婦について小林カツ代と栗原はるみの対応。小林は1994年「料理の鉄人」に出演して、鉄人陳建一に勝利します。このとき、テレビ局は「主婦の代表」というキャッチフレーズをつけようとしますが、小林カツ代はこれを断固拒否。一方、栗原はるみは有名になってからも主婦だと言い続けたといいます。
 時代に沿いながらレシピを作ってきた料理家たち。その真実に迫った価値ある一冊です。


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2015/06/13

ひとり出版社

 一冊の本を売る森岡書店銀座店では、一冊の本をテーマにしたトークイベントを開催しています。今月の10~14日は詩人・黒田三郎の詩集『小さなユリと』を展示しています。この本は昭和35年に昭森社より発刊されたものを復刻出版したものです。出版したのは夏葉社。夏葉社は島田潤一郎さんが2009年に立ち上げたひとり出版社です。
昨日、島田潤一郎さんと森岡書店店主の森岡督行さんの対談イベントに参加してきました。店内に椅子を並べてのトークイベントの参加者は10名ほど。
トークは森岡さんが聞き手になって、島田さんの話を聞くというペースで進みますが、時として森岡書店、森岡店主のことにも話が及びます。
『小さなユリと』を復刻した志、経緯から、夏葉社の経営のことまで、興味深く、面白い話をきくことができました。
 出版が厳しい今の時代にひとり出版社を運営し、紙の本を出版している姿勢に感動します。読者とどのように向き合って本を作るか。そのヒントが夏葉社の出版活動にはあるのではないか。そんなことを教えられたトークイベントでした。

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2013/09/16

いねむり先生の時代

 昨晩、テレビで「いねむり先生」が放映されていました。同じ時間帯に半沢直樹とNHKスペシャルがあったため、録画しておきました。原作となっている伊集院静の自伝的小説『いねむり先生』をちょっと前に読みました。作家で、ギャンブルの神様ともいわれた色川武大との交流を描いた作品。
 作品全体を通じて、麻雀、競輪などのギャンブルの興ずる二人の姿が描写されます。麻雀のルールも知らず、競輪場にも足を踏み入れたことのない私にとっては、ギャンブルについての表現がほとんど分からず、その背後にある心の動きも理解できません。きっとギャンブル好きが読めば、面白さがわかる小説でしょう。
 しかし、伊集院静の表現はうまい。色川武大という人の作品を読んだことがなく、生前の活躍も知らない(確かイレブンPMにでていました)のですが、そこに本人がいるようなイメージが浮かび上がります。色川のヒューマンな人柄が伝わる達者な伊集院の描写です。
 小説で描かれているのは、伊集院と色川が出会う1987年冬から、色川が亡くなる1989年4月までの1年半ほどの時代です。伊集院が夏目雅子を亡くしたのが、1985年9月(夏目雅子は学年でいうとひとつ下で、ほぼ同世代)。失意の中、色川と出会い、立ち直っていく姿が描かれています。 
 1980年代後半は楽しく、そして恐ろしい時代でした。バブル景気の中にあり、ある意味滅茶苦茶な時代だったと思います。『いねむり先生』を読んでいると、ギャンブルのことは分からないながら、その時代の躍動感を感じます。お行儀の良い時代の今、『いねむり先生』で描かれた人間たちの生き方に憧れてしまいます。あんな時代はもう来ないだろうな。そんなことを、また思ってしまいました。

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2013/09/04

池井戸潤:「果つる底なき」とバブル入社組

 テレビドラマ「半沢直樹」の大ヒットで原作者・池井戸潤の作品が人気です。書店では特設コーナーができ、地元の図書館ではほとんどの本が貸し出し中。凋落していると言わますが、やはりテレビの力は凄いことを実感します。
 池井戸潤の著作は読んだことがなかったので、この機会に読んでみることにしました。まず、「半沢直樹」の原作本である『オレたちバブル入行組』。まさにドラマのストーリー通りで(当たり前)、あまり面白くなく中断。次にデビュー作で江戸川乱歩賞受賞作の『果つる底なき』。これも半沢直樹と同じく、銀行を舞台にしたミステリーです。
 ストーリー、舞台道具などよく考えられていて、面白く読みました。ちょっと殺人が多すぎる感がありますが。池井戸潤作品は銀行など金融機関が舞台の一つになり、融資にからむテーマが多いようです。
 これは池井戸潤が慶應義塾大学を卒業後、三菱銀行に入行(銀行の場合、なぜか入行)したことによります。32歳で銀行を辞めているそうなので、10年ほどの仕事経験がいくつもの作品になっているわけです。
『オレたちバブル入行組』の冒頭に、半沢直樹の大学時の話が描かれます。半沢直樹は慶應義塾大学の学生の設定になっています(池井戸潤はこの大学が好きなんだなと推測します。小説のタイトルになっているバブル入社組とは、1988年から1992年くらいまでに入社した世代のことを指します。新卒は超売り手市場でした。池井戸潤より7歳年上の私の世代は、就職は氷河期に近い状態でした。時代と就職は、運も大きく作用するものです。
 池井戸潤の小説は、バブル世代からの視点で書かれたものとして読むのも、ひとつの楽しみ方ではないか。そんなことを感じました。『下町ロケット』もまだ読んでいないので、これから拝読しようと思っています。


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