文化・芸術

2017/04/27

火花と劇場

 又吉直樹の「火花」と「劇場」を読みました。250万部と膨大な部数が売れた「火花」は文庫になったので買ってきました。「劇場」は掲載誌の新潮4月号がネットで売れ切れでしたが、本屋に残っていたのを買ってありました。
「火花」のことはあちこちでたくさん書かれていて、例えばアマゾンのレビューは1300以上もついています。村上春樹の「1Q84」でも300,400くらいのレビュー数ですから、これは異常。
「劇場」は300枚の長編ですが、「火花」より読みにくかった。読みにくい、というのは読んでいて、頭にすんなり文章が入っていかない、という感じ。考え抜いて書かれている文章だと思いますが、プライベートな恋愛小説だと思いました。これが純文学というものでしょうか。
 火花、劇場と読んでみて、又吉直樹はいい意味で狭い世界にいて、そこをとことん書いている作家だな、と思いました。世間の評価はわかりませんが、250万部も売れることがちょっと不思議ではあります。
 今後、どんな作品を書くのか。楽しみでもあります。

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2017/04/18

学芸員はがん、発言

 ニュースで学芸員のことが報道されるなんて珍しいことです。一昨日に報じられた山本幸三・地方創生相の
「いちばんのがんは学芸員という人たちだ。この連中を一掃しなければならない」
 の失言。新聞などのマスメディアは批判の報道をしています。
 さすがに本人もまずいと思ったのか、
「適切ではなかった。撤回しておわび申し上げる」
 と誤りました。
 山本大臣の発言は、学芸員の仕事、役割を充分に理解していない発言なので、大臣としての発言としては不適切でしょう。今日の朝日新聞では社会面で大きく取り上げています。しかし、国会で問題になるほどの大事にはならない気がします。昨日のNHKニュースでは文科省のコメントが報じられていました。
「国際的にも学芸員は人類や地域にとって大切な資料を取り扱い、人々に新しい知識を普及し創造する重要な仕事だとされている。これを機に多くの人に理解してもらいたい」(NHK NEWS WEB)
 となんか他人事です。
 学芸員の資格持ってますが、我が国では学芸員はなんか報われない仕事です。何故なんでしょう。

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2016/12/24

日経小説大賞の価値

 今日の日経新聞に「日経小説大賞」の受賞作が発表されています。第8回の今回は太田俊明氏 「姥捨て山繁盛記」が大賞受賞。太田俊明氏は昨年も候補作に残り、今年念願の受賞です。
 「日経小説大賞」はちょっと異端の文学賞です。日経新聞以外では話題になることはあまりありません。文学のフィールドでこの賞はどれほど評価されているのか。それもよくわかりません。
 過去の受賞者をみると、ビジネスマン、官僚などの経歴をもつ人が多い。今回の太田氏は
「東京大学在学中、硬式野球部の遊撃手として東京六大学野球で活躍。卒業後は総合商社、テレビ局に勤務し、2013年に定年退職」(日経新聞)
 と日経好みのキャリアです。
 日経の記事によれば、
「六十歳で会社を辞め、日経小説大賞に的を絞って、年に一作のペースで小説を書き始めました」
 と作家というより、ビジネスマンのコメントのようです。
「日経小説大賞」の賞金は500万円と高額。そして、日経新聞が本にしてくれます。これを目標に小説を書く、というのもありかもしれません。
 

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2016/02/28

文化庁の京都移転

 発表された国勢調査の速報値で日本の人口が10年の前回調査に比べ94万7305人(0.7%)減少しました。その一方、東京圏の1都3県(東京、埼玉、千葉、神奈川)の人口は増加し、特に東京都は1351万人と2.7%増えました。東京一極集中がますます進んでいます。
 このような東京圏への集中からか、政府は文化庁を数年後に京都府に全面移転する方針を固たと報じられています。
<文化庁は定員約230人のうち、長官を含む約200人を京都市内に移す>(2月26日 朝日新聞)
 とほとんど全面的な移転です。
 当然、反対論もあります。
<「移転の前提は、機能強化。その人数では、国の文化行政はとてもまわらない」。長官以下大半の職員を京都在勤とし、東京に残すのは1割程度という案に、文部科学省幹部は実現性を疑問視した>(朝日新聞)
 文化庁を所管する文科省はかなり反対しているようです。
 なんで京都なんだろうという疑問がわきます。国宝、重文などの文化財が京都に沢山あるからでしょうか。でも文化行政は文化財保護だけではありません。京都に移転することは充分に議論、検討されたのでしょうか。
 一極集中と地方分散。その狭間に文化庁が巻き込まれた気がします。

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2015/09/29

岸朝子さんを悼む

 岸朝子さんが亡くなりました。最近、マスメディアにも登場されていなかったので、お元気かなと思っていたのですが。何年か前から、編集の仕事をする会社にも年賀状が届かなくなっていました。岸さんとは20年以上前に仕事をさせていただきました。雑誌で料理記事を担当していたときです。そのころ既に大御所でしたが、「料理の鉄人」でブレイクする前です。とても素敵なおばさまでした。
 たまたま叔父が岸さんが編集長をしていた料理の雑誌を出していた大学にいたこともあり、いろいろ可愛がっていただきました。我が夫婦の結婚式2次会にも顔をだしていただきました。
 朝日新聞の記事によれば、「料理の鉄人」では陳建一、道場六三郎を鉄人に推薦したのは岸さんだったと書かれています。
『中華の鉄人』として『料理の鉄人』に出演した陳建一さんは、出演依頼された当初は断った。だが岸さんから『他のジャンルの人と付き合うよい機会。チャレンジしなくてはだめじゃない』と言われ、引き受けたという。『和洋中ジャンルを問わず、家庭料理も含め料理をグローバルな視点で理解し、広い人脈を持つ方でした』」(朝日新聞 9月28日デジタル版)
 今更ながらですが、凄い人でした。
 心よりご冥福をお祈りいたします。

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2015/02/02

こどもの城、閉館

 昨日で東京・青山にあるこどもの城が閉館しました。246を挟んで青山学院の向かい側にある建物なので、大学院に通っていたとき、前を通って横断歩道を渡ってキャンパスまでがいつものルートでした。建物の前に岡本太郎の作品「こどもの樹」があり、隣の国連大学ビルと並んで、落ち着いた空間です。
 閉館が発表されてから署名を募る反対運動もありましたが、結局決定は覆らず、閉館になってしまいました。そもそもこどもの城とはどこの施設なのでしょう。開館は1985年(昭和60)で当時の厚生省が設置した国の施設です。閉館の理由は主な理由は建物の老朽化です。閉館が発表されたのは12年9月。その時点では建設から27年しか経っていません。
 建物の設計は山下設計ですが、ウエブサイトによると鉄骨鉄筋コンクリート構造。その建物が30年ほどで壊されていいのか。もったいないという気持ちになります。老朽化しているなら補修すればいいと思います。しかし、どうやらその補修費の予算がとれない、というのが閉館(=取り壊し)の理由のようです。
 こどもの城が作られた1980年代は、全国にいわゆる箱モノが多く作られた時期です。国だけでなく地方自治体も公共施設をたくさん作りました。今、それらの施設は老朽化して、補修する予算がないという問題に直面しているところも少ないないでしょう。こどもの城はそのような箱もの行政の課題を象徴している存在かもしれません。
 こどもの城の跡地に商業施設など出来ないことを期待していますが、その期待は裏切られるような気がします(確信はありませんが)。

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2015/01/25

堀北真希と江戸切子

 東京メトロで通勤していると、ホームのディスプレイに東京メトロのCMが流れます。東京メトロの宣伝をされてもなあ、と思いながらも堀北真希ちゃんが登場する映像は思わず見入ります(笑)。季節に合わせCMは制作されていて、昨年の秋には「読書の秋」にからめてか、神田古本屋街で本を探す堀北真希編でした。
 そして今流されているのは「東京の発見」篇。海外の友人を東京案内するストーリー。清澄白河にある相撲部屋で朝稽古見学、そして錦糸町にある江戸切子の創作体験ができる店へいくという内容。
 東京の発見が相撲の朝稽古と江戸切子というわけです。相撲はともかく江戸切子はなぜ? もちろん江戸切子は東京の伝統工芸として誇るべきものです。東京の発見というテーマに沿ったものかもしれませんが、一般の人には馴染みがないものかもしれません。それとも、今江戸切子が注目されているのかな。
 7、8年前、武蔵美の課題作成のため、江戸切子の職人さんに取材をしました(当時切子組合の理事長をされている方でした)。インタビューは作品制作のことが中心でしたが、後継者のことなどにも話が及びました。その職人さんは、最後に「(江戸切子は)もう駄目だね)」とおっしゃっていたのを覚えています。
 このCMをきっかけに江戸切子に興味を持つ人が増えるといいのですが。そんなことを思いながら、通勤の朝、堀北真希の映像をみています。

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2015/01/22

村上春樹の本音

 期間限定サイト「村上さんのところ」が面白いです。村上春樹が今月いっぱい読者からの質問に答えるという企画です。15日から始まって、重いテーマから軽めの話題までいろんな質問がありますが、村上春樹は深く立ち入らずシンプルに答えています。
 村上春樹はランナーですが、48歳男性の
「最近老化なのか首・肩などが痛くなって走れていません。また、日常生活には支障ありませんが老眼・難聴を感じるようになりました」
 との質問に
「僕はまだなぜか老眼は出ていません。難聴もないです。(中略) あなたはまだ 48歳でしょう。僕から見れば青年みたいなものです」
 と答えています。
 またネットでも取り上げられていますが、23歳の大学院生の女性からの
「文章を書くのがとても苦手です」
 という質問には
「文章を書くというのは、女の人を口説くのと一緒で、ある程度は練習でうまくなりますが、基本的にはもって生まれたもので決まります」
 とのお言葉。
 文章のうまさは先天的なもの、ということですね。村上春樹の大胆な見解です。
 村上春樹のある意味挑戦的な試み。なかなか刺激的です。

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2014/12/16

萩本欽一、私の履歴書

 日経新聞朝刊の定番連載「私の履歴書」、今月は欽ちゃんこと萩本欽一です。芸人が私の履歴書に登場するのは珍しいのではと思います。今月1日から連載が始まって15日。いよいよ、昨日はコント55号の相棒・坂上二郎と組んでコントを始めたことが綴られていました。
 これまでの半月の連載では幼い頃から中学、高校、そしてお笑いの世界に入る経緯が詳しく語られています。萩本欽一の半生で、これまで広く知られていなかったり、はじめて明かされることも多々書かれているのではないでしょうか。
 カメラ会社の社長だった父親のことも詳しく述べられています。そして事業が失敗し、喜劇役者、お笑い芸人、コメディアンになってお金をいっぱい稼ぎ、お母さんを幸せする。芸人萩本欽一の原点が語られます。
 でも、萩本欽一も若い頃は苦労しました。浅草の東洋劇場でコメディアン修業をはじめて3か月たったころ、演出の緑川士朗から
「長年この仕事をしてるとな、良くなるコメディアンは1週間で分かる。光るものがあるんだ。将来伸びる奴も1カ月もすればキラッとしたものが見えてくるんだ」。
 「ところが、おまえは3カ月たってもコメディアンの雰囲気が漂ってこないよな。欽坊、自分でそう思わないか?」。
 とクビ宣言。
 しかし、その時は先輩の池信一がとりなしてくれ、なんとか東洋座に残ることができました。なんと天才萩本欽一がこの世に出られないところでした。
 希代の芸人・萩本欽一が綴る私の履歴書。後半の話が楽しみです。

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2014/08/17

九品仏のお面かぶり

 我が家からの散歩圏にある九品仏浄真寺のお面かぶりにいってきました。地元の人はお面かぶりとして馴染みがあり行事は、正式には二十五菩薩来迎会というもので、3年に1回旧盆の時期に行われます。
 なにせ、3年に1回なので(昔は4年に1回だったと思うのですが、記憶違いでしょうか)、一度見逃すと3年後になってしまいます。もう何年振りかな。暑い中、歩いて20分ほどの九品仏まで出かけてきました。
 お面かぶりは九品仏の本堂を現世、上品堂を浄土に見たてて、その間に懸橋、白道をかけ、25の菩薩に扮した信者が金色の面、光背をつけ、衣装をまとって練り渡るのものです。

Photo

Photo_2

お面をかぶった菩薩様は前が見えないし、暑いので付添人が一緒です。
 暑い中、多くの人が集まっていました。突然出かけたので、何の知識もなく見学したことをちょっと後悔しました。3年後、忘れなければしっかり学んでから見学したいと思います。


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2013/11/21

2013メセナアワード

 企業メセナ協議会から「メセナアワード2013」が昨日発表されました。世の中では注目度は高くないのか、日経新聞でもベタ記事で報じられただけです。そもそもメセナアワードとは? 企業メセナ協議会のホームページによれば
<毎春、前年度に実施されたメセナ活動を自薦・他薦で公募。外部の専門家による選考委員会が、受賞活動を決定します>
 とされています。
 2013年メセナアワードを受賞したのは以下の団体です。
【メセナ大賞】
メセナ大賞 特定非営利活動団体 全日本製造業コマ大戦協会【神奈川】
全日本製造業コマ大戦

映画の地球儀賞 岩波不動産株式会社【東京】
エキプ・ド・シネマ-埋もれた名作映画の発掘・上映-

学びの玉手箱賞 SCSK株式会社【東京】
CAMP(Children's Art Museum & Park)

対話でアート賞 株式会社損害保険ジャパン、公益財団法人損保ジャパン美術財団【東京】
未来を担う小・中学生を対象とした対話型美術鑑賞教育支援活動の展開

タムタムしま賞 トヨタ自動車株式会社【愛知】
アートマネジメント総合情報サイト「ネットTAM」

光る町なみ賞 村上町屋商人会(むらかみまちやあきんどかい)【新潟】
町屋に光を当て、町を活性化させ、町屋を守る商人(あきんど)の挑戦

 大賞の全日本製造業コマ大戦協会のことは初めて知りました。面白い取り組みだと思います。また、SCSK株式会社も評価されるべき活動をしています。村上町屋商人会は地域に根付いた文化振興の活動を行っています。でも、ここ企業なの?という疑問がわきます。
 トヨタのアートマネジメント総合情報サイト「ネットTAM」は今何故と感じます。素晴らしい活動ですが、かなり前から
やってます。何か活動に変化があったのですか?
 岩波不動産株式会社(=岩波ホール)、株式会社損害保険ジャパン、公益財団法人損保ジャパン美術財団の2つの活動はメセナの範疇に入るのか。岩波ホールは岩波書店が作ったホールですから、企業メセナかもしれない。損保ジャパン美術財団は損保ジャパンが財団を介して運営している美術館なので、これも企業メセナかもしれない。でも、なんかしっくりきません。
 我が国の企業メセナも、踊り場にいるのかもしれない。そんな感想をもった2013メセナアワードの顔ぶれでした。

 

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2013/05/14

低価格DVD映画の仕組み

 昨日の朝日新聞に掲載されていた全面広告は、ちょっと気になりました。タイトル曰く「今の色褪せない思い出を名画とともに」とあり、そして「1作品あたり160~220円」とのコピー。映画DVDセットの広告ですが、とても格安です。例えばジョン・ウェインの西部劇コレクションはDVD10枚組で1,980円。ゲーリー。クーパー大全集はこれも10枚で1,600円。ジョン・ウェインのセットには「駅馬車」、ゲーリー・クーパーのセットには「戦場よさらば」(武器よさらば)が入っています。
 どうしてこんなに安いのか。それは著作権がきれた作品だからです。昨日の日経新聞に映画の著作権について、興味深い記事がありました。日本が参加することになったTPPは、貿易問題ばかりが注目されていましが、著作権も重要なテーマです。アメリカが著作権を現行の50年から70年に延長することを求めており、日本の対応が問われています。
 現在日本で販売されている激安な映画DVDは著作権の切れた作品なのですが、制作コストはかなり割安。日経新聞の記事によれば
「著作権切れの作品なら、仕入れや日本語版の制作費は1本20万円強で済むが、著作権がある場合は400万円以上かかり、コストも重い」とのこと。
 これだけ違えば、安い価格で販売できますね。映画DVDを制作しているPDクラシックでは「日本では03年までは映画の保護期間が50年だったため、1953年までに公表した洋画を中心に扱っている」のですが、アメリカでは保護期間が95年。これが適用されることにでもなれば、格安DVDは発売できなくなります。
 今後のTPP交渉で、著作権の問題がどのように議論されるのか。格安DVDは大きな問題ではないですが、著作権の扱いは関税撤廃と同じレベルで論じられることではありません。政府にはしっかり対応して欲しいところです。

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2012/07/15

3・11以降の芸術 3・11以降の学問

 珍しく慶應義塾の三田まででかけてきました。シンポジウム「3・11以降の芸術 3・11以降の学問」をきかせていただくためです。慶應の文学部とアートセンターが主催のシンポジウムですが、登壇者に惹かれて参加しました。
 まず近藤誠一文化庁長官、福島県立博物館長の赤坂憲雄氏、作曲家の湯浅譲二氏による講演です。赤坂憲雄氏は東北学で有名な方ですが、読ませていただこうと思っていながら著書が積ん読になっています。湯浅氏は著名な作曲家で、80歳をすぎた今でも活躍をされています。
 講演に続いて、登壇者3人に加えて鈴木 隆敏氏(慶應義塾大学大学院アート・マネジメント分野講師)、慶應の前塾長鳥居泰彦氏(この方、私の大学時代に教授でした)の5人でのパネルディスカッションが行われました。
 このシンポジウムを主旨は慶應アートセンターのサイトから引用すると
「この度のシンポジウムでは、具体的な支援や復興の事例報告、現状の共有ということではなく、むしろ、現在、我々の置かれている現状認識を先鋭化し、その中で生活・文化、芸術の問題を改めて問い直し、この未曾有の震災という契機をどのように着地させ、未来へと拓いていくのかを議論し、考えていこうというものです」
 問題の共有はすでに行われている前提で、これから、将来、未来を考えようということです。テーマがかなり大きく、登壇者も知識、実績、経験をお持ちの方ばかりなので、ひとつの方向性、結論まで辿り着いたとは言い難いですが、それぞれのお話はどれも信念が伝わってくる内容です。
 特に驚いたのは近藤誠一文化庁長官です。なにせ官僚の方ですから、冒頭の講演が終わったら帰ってしまうと思っていたら、パネルディスカッションも参加され、13時半から17時すぎまでずっと登壇されていました。お話の内容も官僚からの発言とは思えない問題点の指摘、改善のための提言を大胆にされていて、力強いメッセージでありました。時間がなく詳しくは説明されませんでしたが、「貞観大地震・大津波以降の世界・日本の歴史」という年表を作られて、参加者に配られました。

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 慶應アートセンターは震災以降、継続的に支援のための活動を行っています。今回のシンポジウムは大震災のことを、自分の中でどうするか。このことを考えるヒントをいくつも与えてくれ、とても有意義でした。

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2012/06/17

劇場法成立と文楽

 今日の日経新聞朝刊で報じられていますが、「劇場法案」が国会に議員立法提出され、順調に進めば今国会で成立される見込みのようです。法案の正式名称は「劇場、音楽堂等の活性化に関する法案」で、日経新聞の記事によれば、
「根拠法がなかった劇場などを『文化施設』と定め、無形文化遺産である実演芸術を守り、育て、創り続けていくことは『今を生きる世代の責務ともいえる』とうたっている」
 とあります。
 博物館、美術館などのミュージアムは博物館法によって規定されていますが、劇場については定められた法律がなく、「ハコモノ中心の文化振興政策から、実演芸術を支える人材養成などのソフト面に重点を移す狙いを込めている」(日経新聞)と、法律が成立すれば劇場の意味、あり方などを問われるきっかけになるでしょう。
 日経の記事では劇場法に関連し、橋元市長の市政改革と人形浄瑠璃の行く末に触れています。
「橋下氏は検討中の市政改革プランで文楽協会への市の補助金を25%削減する方針を打ち出し、文楽の技芸員や愛好家の恨みを買っている」
 これは知りませんでした。理由があってのことでしょうが、ちょっと無謀な話ではないですか。橋元氏曰く、
「なぜ文楽が衰退したのか。それは技芸員をはじめとする当事者の意識である」(ツイッターでの発言)
 と、かなり厳しい。
 国立文楽劇場のある大阪で文楽が守られないのは、ちょっと悲しい。
「劇場法は国や地方自治体が『財政上、金融上の措置を講ずるよう努める』と規定し、自治体には地域の特性に応じた施策を策定し、劇場等を積極的に活用するよう求めている」
 劇場法の制定で、文楽を取り巻く状況が少しでも変わればいいのですが、いささか厳しそうです。

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2012/06/09

クールジャパンの行く末

 一昨日から始まった各省版事業仕分け、正しくは「行政事業レビュー」が始まりました。こんなことをやっているなんて知りませんでしたが、行政刷新会議がいろいろ批判のあった事業仕分けの手法を使って、各省庁の事業に無駄がないかを検証するものらしいです。
 経済産業省のセッションでクールジャパン事業が「抜本的改善」の判定になりました。ネットでの報道からコメントを拾ってみると、
「国内に商圏のないものは海外でも売れない」「国がすべきは知的財産権の保護だ」「国の役割が明確でない」
 など厳しい意見があったようです。
 クールジャパン事業は経済産業省が2年前に「クールジャパン室」を設置して、本格的に取り組んでいると思われるものです。経産省のホームページにも<クール・ジャパン/クリエイティブ産業政策>として様々な活動、公募事業などが掲載されています。先日のNHKのニュースでもクールジャパンの取り組みが報道されていて、枝野大臣が意気込みを語るシーンが放映されていました。
 クールジャパンについては韓国にリードを許している状況など、順調に進んでいるとはいえず、外からみても何をやっているのかよく分かりません。
 そもそも、なんでクールジャパンなのか。1990年代後半、イギリスのブレア政権時代に展開されたクール・ブリタニアをコンセプトとした国家ブランド戦略をなぞっただけではないのか。そんな疑問がわきます。国家ブランドを戦略的に行うのであれば、文化庁、外務省、経産省などがばらばらに施策、事業を展開するのではなく、国として統一的な組織でやることが必須です。
 クールジャパン事業には11.5億円の予算がついているとのことですが、確かに改善が必要でしょう。枝野さん、ちゃんと考えてください。

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2012/04/23

TOKYO CULTURE CULTUREとは

 お台場にTOKYO CULTURE CULTUREというところがあります。つい最近まで知らなかったのですが、ニフティ(このブログはニフティです)の運営している飲食しながら音楽やトークなどのイベントを楽しむスペースです。ウエブサイトにはネットとリアルをつなぐ新世代イベントスペースとあります。開催されているイベントは硬軟いろいろな内容で行われています。
 一昨日は「ミュージアム・トリップ vol.3 ~対話式鑑賞法って何?!~」に参加してきました。若手の研究者、学芸員の方が、ミュージアムで作品について語り合いながらの対話式鑑賞法をテーマにトークを行う内容です。ミュージアムでは一人だけで見ることが多いので、この対話式鑑賞法は新鮮な視点を与えてくれます。「ミュージアム・トリップ」は3回目で、初回に続いて参加したのですが、どこかで行われていそうで、なかなかないタイプの内容で、面白いなと感じました。(イベントの内容はUstreamでみることができます
 TOKYO CULTURE CULTUREのウエブサイトをみると、他にも面白そうなイベントがあります。例えば「探偵入門 第1夜 ~SNS、スマホを使ったソーシャル探偵術!~」。最近、探偵はやっているんですかね。イベントは全体的にマニアック系が多いみたいですね。それなりにファンがついているのかもしれません。ニフティも面白いことをやってます。

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2012/02/08

世界文明フォーラムというイベント

 昨日、「世界文明フォーラム2012」に行ってきました。スケールの大きいタイトルのイベントですが、日経新聞でたまたまみつけて申し込みました。一昨日、昨日と2日間行われたもので、3つのセッションがありました。
セッション1:21世紀文明からの震災からの教訓
セッション2:世界の環境面、経済面の諸課題への対応
セッション3:芸術文化の果たす役割
 どのセッションも国内外の著名な学者、文化人などが参加してのシンポジウムで、すべてに出たいところだったのですが、結局3つめの「芸術文化の果たす役割」に参加してきました。パネリストは、
宮田亮平(東京藝術大学学長):モデリスト
吴 建民(中国国家革新・開発戦略研究会常務副会長[中国]) 
森本公誠(東大寺長老)
スーザン・ネイピア(タフツ大学教授[アメリカ])
ジョージ・ヨンブン・ヨー(シンガポール国立大学リークワンユー公共政策大学院客員教授[シンガポール])
 ここに国分良成(慶應義塾大学)、田坂広志(多摩大教授)が加わってのシンポジウムです。
 これだけのメンバーが集まって、与えられた時間は2時間半。当然、討論までは至りません。テーマは芸術文化の果たす役割ですが、結論もでるわけでもなく、いくつかのヒントをもらったに留まりました。
 平日のため参加者はシニア層が目立ちました。豪華なメンバーのフォーラムですから、週末に行ってもいいのではと感じました。ちょっともったいない。

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2012/02/05

TPPと著作権

 TPP問題と言えば、関税撤廃を目指し、農業、工業製品のカテゴリーが主にクローズアップされています。特に米のことは今後の最大関心事でしょう。しかしTPPにはいくつもの競技項目があり、知的財産の項目もあります。これがどのよう影響があるのかよくわかりませんでした。
 昨日の日経新聞に「著作権ルール、TPPで議論再燃 告訴なしに刑事責任も」という記事があり、TPPの知的財産への影響が理解できました。いちばん大きなことは著作権ルールの変更。記事によれば、
「漫画などのパロディーが規制されたり、著作権保護期間が大幅延長されたりするとの見方が強まる。歓迎の声があがる一方、創作物は社会的な文化資産だとして、過度な保護強化を懸念する向きもあり、議論が再燃しそうだ」 
 とあります。芸術分野で難しくて重要な論点である著作権問題。ここが再定義されるきっかけになるかもしれないわけです。
 特に興味深かったのは著作権保護期間の延長。日本で著作権者が死んでから50年ですが、アメリカは70年。アメリカは日本に延長を求める可能性が大きいといいます。これ、米問題と同じくらい重要な論点だと思います。日本とアメリカの文化のありようはまったく違います。政治的な判断で安易にアメリカの主張を受け入れることにならなければいいのですが。
 著作権は市民だれにでも関わることですが、TPPに関わり論議がされている気配を感じません。関係者はもっとこのことを深く考えねばいけないと思います。

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2012/02/03

デジタルアーカイブへの取り組み

 デジタルアーカイブというものは、現代では様々な分野で使われていますが、一般的には公文書、文化財、芸術作品など、歴史的に価値のあるものをデジタルで残すことが主な目的となっています。アナログな世界は過去のものとされつつあるなかで、今後のデジタルアーカイブの方向性はどうなのか。昨日、「文化情報の整備と活用~デジタル文化財が果たす役割と未来像2012」と題されたシンポジウムに参加して、文化財とデジタルアーカイブの関係を考える機会を得ました。
 このシンポジウムは一般財団法人デジタル文化財創出機構の主催で行われたものです。日本の文化財をデジタル化して、後世に伝えていくにはどのようなしていけばいいのか。ミュージアム、大学、企業、官庁など関係者が集まり、いくつもの提案、報告、講演がありました。シンポジウムは全体で5時間にも及び、内容は多岐に及びました。
 文化財をデジタルアーカイブとすることは、当然必要なことではありますが、そこにはまだまだ課題があります。例えば費用はどうするのか、という点はもっとも大きな問題でしょう。国の現状では十分なお金があるわけはありません。お金以外にもいくつも問題はありそうです。そうはいってもやらなければいけないことだと少なくとも関係者は思っています。難しいこともありそうです。
 文化財、ミュージアムといったキーワードでくくられるシンポジウムですが、会場にはネクタイにスーツの来場者はかなりいました。ちょっと不思議だったのですが、主催のデジタル文化財創出機構の定款をみると、が凸版印刷が300万円を拠出して作られた財団法人。企業関係者が多かったのかもしれません。
 文化財の保存にも経済の理屈が前提。すべてを官に頼れない。どうすればいいのか。ここが最大の課題です。

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2011/09/13

日本ナショナルトラストの復興支援

 大震災から半年が過ぎ、文化財の復旧はなかなか進んでいないのではないかいのでしょうか。それよりも優先すべきことが山ほどあるからです。そんな中、今日の日経新聞には、「被災した文化財、復興手助け 国の補助外を対象 」と題された記事があり、興味を持ちました。
 記事によれば、財団法人「日本ナショナルトラスト」が東日本大震災で被災した自然・文化遺産で、国の復旧事業の対象にならない文化財などの復興を支援する活動を開始します。被災した建造物や遺跡、名勝地、天然記念物、継承が難しくなった伝統芸能などの無形民俗文化財を支援対象として、国が支援対象としていない個人や自治体が自前で修理せざるを得ないケースを優先して支援。
 国の支援は重要文化財など一部に留まったいて、日本ナショナルトラストが調査したところ、被災したが国の補助対象にならない文化財などは12都県に約170件あるといいます。宮城県気仙沼市では17件の文化財が被災しています。行政の財政はすぐには文化財に回らないことは容易に想像がつきます。その意味で日本ナショナルトラストの活動は立派なものだと思います。まだまだ支援は続けていかなければいけません。

日本ナショナルトラストウェブサイト
 

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2011/07/22

歌舞伎鑑賞教室

 歌舞伎というものを見る習慣がなく、ほとんど劇場にいったことがありません。日本人たるものこれではいかんと(笑)、国立劇場に歌舞伎鑑賞に出かけてきました。恐らく初心者向けに企画された「歌舞伎鑑賞教室」という公演があります。これは昼間の公演ですが、特別に「社会人のための歌舞伎鑑賞教室」というものが2日あります。これを鑑賞してきました。
 なにせ歌舞伎初心者です。1等席はおこがましいと、三階の2等席を買いました。15000円というリーズナブルな値段です。演目は「義経千本桜」の渡海屋の場と大物浦の場。鑑賞教室なので、解説があります。解説が書かれたプログラムももらえます。解説は、歌舞伎が始まる前に、源義経を演じる尾上松也が内容を説明してくれます。これはとても分かりやすい。日経新聞の評によれば、
「義経の松也が解説役と合わせて殊勲賞。解説の仕方も80回目にしてかゆいところへ手が届いた」
 と好評です。
 歌舞伎、能などの伝統芸能は見慣れないと、なかなか敷居が高いものです。このような鑑賞教室を活用させていたくと、少しずつ面白さがわかってくるのではと思っています。また行ってみたいです。

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2011/06/05

あぜくら会という組織

 歌舞伎、能、文楽といった日本の伝統芸能を見る機会がなく、この歳になってしまいました。伝統芸能はハードルが高いように感じるのは私だけでしょうか。見るために予備知識が必要で、難しいものという先入観があります。
 そもそもこれらの公演のチケットを買うのが、手間がかかります。イープラスのようなチケットサービスでも買えますが、どんな公演なのかよくわからない。それにいい席は(当たり前だけど)高い。というわけで、なかなか実演には足を運べません。
 そこでちょっと前にあぜくら会というものに入りました。これは、国立劇場、国立演芸場、国立能楽堂、国立文楽劇場での公演を鑑賞するための会員組織。ウエブサイトによれば
「チケットの先行申し込み、会員割引、会報誌、会員限定イベントなど、伝統芸能をお楽しみいただくための様々な特典をご用意しております」
 というものです。
 入会後、震災のため公演が一時休止になってしまい、活用していなかったのですが、やっと使ってみました。この会員のいちばんのメリットはインターネットでの先行予約。国立の各劇場での主催公演は、料金が安く設定されていますが、そのためすぐに売り切れ、ということもあります。その点で先行予約はありがたいサービス。インターネットで予約したものは、郵送(送料無料)で送ってくれます。
 会員になるには、入会金2000円、年会費2000円かかります。これが安いか、高いかはこれから使ってみないとわからないところですが、まずは解説付きの能公演を2500円で予約してみました。
 日本人なのにこれではいかんというありきたりな思いではありますが、伝統芸能に少しでも親しもうというささやかな試み(笑)。

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2011/05/28

西洋美術館、世界遺産見送り

 東京の国立西洋美術館が世界遺産になるのは無理なようです。今朝方配信されたニュースですが、文化庁は
「6カ国共同で世界文化遺産への登録を目指していたフランス人建築家ル・コルビュジエ(1887~1965)が設計した国立西洋美術館本館(東京・台東)など19件の建築物について、ユネスコの諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)から『世界遺産にふさわしくない』として不登録の勧告を受けた」(日経新聞)
 と発表しました。
 コルビュジエ建築をまとめて世界遺産にしようという動きに日本の西洋美術館も乗ったものでしたが、日本が生んだ文化でもないし、当初からしっくりこない感じがありました。巨匠なのかもしれませんが、一人の建築家の作品を19件も登録するという方法にも違和感があります。
 世界文化遺産では現代建築も登録されているので、近代建築のコルビュジエ作品が登録されてもおかしくはないわけです。しかし、コルビュジエ建築どれもがいいわけではないでしょう。あくまで文化的価値がある建物の設計がコルビュジエだった、というのが自然です。現代建築であれば、国立代々木競技場(丹下健三設計)を登録申請して欲しいと思うのですが。
 登録へ活動していた上野の街にとっては残念でしょうが、仕方のない結果かと思います。

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2011/05/18

東工大で「人類と文明」を考える

 東京工業大学に世界文明センターというものがあります。壮大なネーミングで、なおかつ工業大学に文明センターというのは挑戦的な組織だと思います。この世界文明センターでは市民に向けた講座を定期的に行っています。4月から「レクチャーシリーズ」と題して、魅力的なゲストの講演やパフォーマンスが企画されています。昨日は、日本人としてユネスコ事務局長をつとめた松浦晃一郎さんによる「人類と文明」と題された講演があり、拝聴してきました。
 ユネスコといえば世界遺産を思い浮かべてしまいますが、松浦さんのお話は自然との共生がメインテーマです。恥ずかしながら知らなかったのですが、ユネスコは津波警報システムの構築をすすめてきました。東日本大震災が何を日本人、そして人類に警告しているのか。持続可能な生活とは。いくつもの示唆に富んだお話でした。もう少し、ユネスコのこと調べないといけないと痛感。
 東工大って懐の深い大学ですね。やはり国の大学だからか、余裕がありますね、こんなレクチャーただで聞かせてくれるんですから。こんな滅多にきくことのできない松浦さんのお話ですが、参加者はそんなに多くはありませんでした。もったいないです。若い学生たちには是非聞いて欲しいと、おじさんは感じましたよ。

世界文明センターウエブサイト

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2011/05/16

被災地のアーカイブ

 一昨日の日経新聞ですが、「被災地の記憶 デジタル保存 」と題され、復旧・復興に向かう地域の様子などをデジタルで記録してアーカイブズ(記録資料)化する活動がいくつか伝えられています。防災科学技術研究所は被災地の複数の自治体、被災地支援を行うNPOなどと「東日本大震災・災害復興まるごとデジタルアーカイブ」(略称:311まるごとアーカイブ)プロジェクトを始めています。ウエブサイトによれば、
「被災地の復旧・復興を「情報」面で支援すべく、失われた地域の「過去」の記録を再生し、被災した「現在」を記録し、今後の復興に向けたまちづくりの「未来」を記録することを支援することを目的として」
 とあり、陸前高田市、大船渡市、大槌町、釜石市、気仙沼市の各自治体と協働しています。このプロジェクトでは発災直後の映像の収集や、復興に向けた定点撮影記録、音声ファイルのアーカイブ化などが計画されています。
 日経新聞の記事によれば、
「自衛隊やボランティアによってガレキの中から発見されるアルバムなどもあるが、引き取り手がない記録も少なくない。プロジェクトではこれらに加え、被災地から収集した卒業アルバムなどもアーカイブズ化、被災児童らが成長した際に探し出せるようにする」
 といいます。
 また日経の記事にはありませんが、日本社会情報学会・災害情報支援チームでは宮城県南部、特に亘理郡山元町の情報支援を行っています。具体的には「思い出サルベージ・オンラインプロジェクト」というプロジェクトで、津波で被害にあった写真を救い出す活動で、写真を洗浄し、カメラで複写し、画像の補正をします。そしてこの写真画像データを地元で共するというものです。
 震災の姿をどのように残していけるのか。これも国として求められていることかもしれません。
 

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2011/02/13

デジタル・クリエイティブ・カンファレンス

 ブリティッシュ・カウンシル主催の「デジタル・クリエイティブ・カンファレンス」が昨日、今日と開催されています。昨晩、基調講演とパネルディスカッションに参加してきました。このデジタル・クリエイティブ・カンファレンスは、「テクノロジーとアート、その未来を考える」とサブタイトルが付けられているように、アートとテクノロジーの関係を今、そして将来に向けて考えようとするイベントです。
 昨日は、BBCジャーナリスト・ビル・トンプソン氏による基調講演、それに続いてパネルディスカッション。ディスカッションを行ったのは、イギリスからビル・トンプソン、ドリュー・ヘメント((フューチャーエブリシング ファウンダー)、日本からは南條史生(森美術館 館長)、五十嵐太郎(東北大学 教授)。ファシリテーター:に大西若人(朝日新聞編集委員)の各氏。会場は六本木ヒルズなので南條さんは当然かなと思いますが、五十嵐太郎さんという人選がちょっと面白い。南條さん人脈かな。
 パネルディスカッションは往々にして、参加者は自分の言いたいことをしゃべって終わり、ということも少なくないのですが、ここでのディスカッションはちゃんと意見交換がされていました。アートと建築のテーマも話され、興味深い内容でした。
 今日もセミナーとパネルディスカッションがあり、Ustreamでの中継も予定されています。これだけの濃い内容のカンファレンスですが、参加料は無料です。イギリスのおかげです(笑)。アートとテクノロジーの関係、どう進化していくのか。私にはよくわかりません(苦笑)。勉強せねば。

デジタル・クリエイティブ・カンファレンス」ウェブサイト

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2011/01/30

林原、メセナ事業から撤退

 数日前に新聞で報じられましたが、岡山のバイオ企業林原が、事業再生ADR手続きを申請し、受理されたというニュースには驚きました。事業再生ADR手続きという仕組みはよく理解できないのですが、林原が多額の負債を抱えて、経営が経ち行かなくなったということです。要は経営破綻ですね。
 林原がバイオ関連の事業をやっているということくらいしか知らないのですが、むしろメセナを積極的に行っている会社、として理解していました。20年前、企業メセナ協議会の第1回メセナ大賞を受け、それ以来継続的にメセナ活動を行ってきました。岡山に林原美術館も持っています。昨12月に開催された「メセナフォーラム 2010」には林原社長がパネルディスカッションに登壇、メセナ活動について熱く語っていたんですが。
 日経新聞によれば、経営責任をとって林原社長は退陣。また会社が提出した事業計画には、「メセナ事業からの撤退」が盛り込まれています。日経新聞の記事には、
「数億円の価値はあるとみられる所蔵品が、換金されて債務弁済に回る可能性も否定できない」
 美術館は残るんでしょうか。最悪、売却……。また、現在行っている福祉・芸術・文化支援は中止でしょう。資生堂、サントリー、アサヒビールらと並び、企業メセナの代表格ともいえる林原のメセナからの撤退。この企業だけの問題ではないのでは、とも思えます。

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2009/11/29

事業仕分けと文化政策

 最近巷のニュースで話題の事業仕分け。この前終了しましたが、文化芸術領域でも厳しい結果だったようです。昨日の日経新聞文化欄「文化政策『事業仕分け』で貧困さ露呈」を読むと、この国の芸術文化の行く末が、心配になります。
 記事によれば、
「事業仕分けの評価者は文化芸術関連の予算に厳しかった。国立劇場を抱える独立行政法人の日本芸術文化振興会は予算を圧倒的に縮減。伝統文化こども教室や学校への芸術家派遣は行わない。こどもの読者活動や芸術家の海外派遣も減らす」
 また、「新国立劇場の財団運営は廃止すべきで、官民拠出の芸術文化振興基金は政府分を引き上げたい」
 などなど。
 詳細は文部科学省のWEBに掲載されていますが、特に独立行政法人日本芸術文化振興会関連はひどいものです。新聞によれば未集計ながら1千通をこえるメールが文科省に寄せられているとのこと。
 これに対して、企業メセナ協議会は、意見書で反論しました。その概要は

- 日本において、なぜ今、文化振興が必要なのか 

- 日本の文化政策の課題: 総合的な中長期ビジョンの欠如

 1. 中長期的視野で、日本の文化振興策のグランドデザインを提示すること
 2. 国が期待する、文化政策における「効果」とは何かを示すこと
 3. 国が行うべき事業、民間が行うとより効果が高い事業の峻別には、
  その理由を明らかにすること
 4. 民から民への資金の流れを促進する仕組みづくりを

 と極めて正論です。
 企業メセナ協議会会長の福原義春さんは、鈴木文部科学大臣と会談し、
「民主党に政策協議の場をもとめ、文化政策のグランドデザインを示すようもとめた」
 とのこと。民主党にそんな能力あるのか。
 記事では、「人口一人あたりの日本の文化予算が韓国の5分の1」という吉本光宏・ニッセイ基礎研究所芸術文化プロジェクト室長のコメントも紹介。日本ってどこにお金使っているんですかね。福祉とかも手厚いとも思えないし。
記事でも主張されていましたが、官に頼らず、企業(ここも厳しい)、NPO、そして個人がどう役割分担していきながら、芸術へかかっていくかが、課題です。文化芸術関係者にとっては、厳しい2010年になりそうです。

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2009/08/22

安藤忠雄の建築

 いま、日本の文化で世界標準に達していると思われるのが建築です。アニメの殿堂よりアーキテクトの殿堂をつくったほうがいいのではと思います(笑)。世界的に知られる建築家のひとり、安藤忠雄さん。今月号のCasa BRUTUS安藤忠雄さんの総力特集です。別冊とかではなくて通常の号なのに、ほんと全ページ安藤特集。それに加えて30分の映像が収録されているDVDまでついています。
 建築領域について博学な私は、安藤作品のよさがいまだよく理解できないところがあります。安藤さんの半生や現在の活動は極めてエネルギッシュで、尊敬していますが、建築そのものの魅力がまだ分かっていません。しかし、Casa BRUTUSを読んでいて、ひとつ気づかされたことがありました。「外国人はなぜANDOが好きなのか」という記事があります。そうなんだ、きっと安藤作品は外国人により受けるのではないか。曖昧な言い方ですが、外国人向けなスタイルを持った建築家なのではないか、と思いました(驚いたんですが、U2のボノは自宅の設計を安藤さんに依頼しているのですね)。
 ともあれ、このCasa BRUTUSはお買い得。980円で安藤さんのいまがわかり、DVDも他では見られない映像だとか(4泊6日の強行軍欧州同行取材です)。おすすめ。

詳しくはここを。

Casa_brutus

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2009/08/13

サラーリマンと作家

 電車の中吊り広告で気になって「文藝春秋」を久しぶりに買ってきました。「鳩山由紀夫 個人資産89億円のルーツ」も面白そうだけど、読みたいのは芥川賞受賞作品。今回の受賞は磯崎憲一郎さんの「終の住処」です。
 興味をひかれたのは、磯崎さんが現役サラリーマンだということ。44歳、三井物産勤務。かつては2足の草鞋、とでもいうのでしょうか。サラリーマンで作家はいました。深田祐介さんを思い浮かべます。ミュージシャンですが、小椋佳さんは銀行マンでした。
 久しぶりのサラリーマン作家の登場です。本人へのインタビュー記事があって、「いつ執筆していますか」との問いに、
「週末や早朝、帰宅後です。30分とか1時間だけのこともあります。一行、二行しか書けなくても、そういう時間を積み重ねていくことで、半年に一本、百枚くらいの小説は書けるものです」
 といいます。
 サラリーマンが時間を作ることは、働いている会社の環境にもよりますが、一般的には大変なことす。三井物産なんて、きっとハードワークだろうにな、と憶測してしまうのですが。
 サラリーマンの2足の草鞋は、私の昔からの夢なのですが、なかなか叶いません。きっと、なまじっかな努力は駄目なんでしょうね。

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2009/08/01

ホールで落語

 最近は落語ブームでしょうか。本屋でもCDマガジンなど落語関係のものを見かけます。江戸っ子(?)としては、寄席に出かけたいところですが、そんな暇もないのが実情。しかし、昨日うちの近くのパーシモンホール(目黒区立のホール)で落語会があり、聴いてきました。「三遊亭小遊三・春風亭昇太 納涼寄席」です。
 笑点でお馴染みのお二人の落語会です。前座を春風亭昇太師匠の弟子春風亭昇也がつとめ、それに続き昇太師匠の古典落語。面白いですね。以前、下北沢の本多劇場での新作落語公演もすぐに売り切れていました。笑点でみる顔とは全然違っています。
 休憩をはさんで、鏡味正二郎の曲芸。お手玉、扇子、茶碗、傘などを使った芸は、見事なもの。この芸正式には太神楽曲芸というのですね。
 そして、三遊亭小遊三師匠の登場。出囃子がなんとも洒落てます。落語も笑点でみせてくれる話芸そのものって感じで、うまいなあ。さすがベテランの味です。
 ホールは1000人以上が入る大きなスペースですが、三遊亭小遊三、春風亭昇太両師匠ともその大観衆をものともせず、大爆笑させていました。さすがです。生の落語もいいものです。

ちなみに落語芸術協会WEBは、なかなか充実しています。

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2009/04/09

伊東豊雄さんの仕事

 一昨日のNHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』に建築家の伊東豊雄さんがでていたので、この番組を久しぶりに見ました。世界で活躍する建築家のトップに位置するであろう伊東豊雄さんの仕事振りをみることができました。番組ではオスロの図書館のコンペへの設計案を作るという今の仕事を描きながら、伊東さんのキャリアをそこに重ねて辿っていく構成です。番組では、「せんだいメディアテーク」の設計コンペを勝ち取った伊東のターニングポイントが印象的に描かれています。
 日本を代表する建築家の一人と言われるようになったあと、あることが伊東にショックを与えます。かつて設計した建物へ向かうタクシーの中、運転手に
「あの建物 外はきれいだけど、中に入るとつまんないよ」
 と言われ、ショックを受けます。
 その後「せんだいメディアテーク」の設計コンペの知らせが舞い込みます。伊東さんは是が非でもこのコンペを取ろうとします。番組では「建築家伊東豊雄 一世一代の勝負」と表現されています。
 せんだいメディアテークは、建物として、とても快適。仙台にいたとき、何十回も行きましたが、飽きのこない空間を提供してくれる建物です。
 ただ、設計コンペではメディアテークとして「メディア」を新しく解釈して、設計案に提示することが求められていました。選ばれた伊東案にもそのメディアに対しての解決案が充分ではなく、課題として残っていることが付帯条件として付けられていました。私はそのメディアへの新しい提案がないまま、現在に至っていることが、せんだいメディアテークの問題点と思っています(詳しくは大学の卒論に書きました。このブログの左下から拾っていただけます)。
 建物の美しさ、中にいる快適さは必要です。しかし、建物がどう使われるか、ということに建築家がどこまで関われるのか。この点を伊東さんはどうお考えなのか、知りたいところです。

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2009/03/29

NHK、伝統芸能の新番組

 昨日、本屋のNHKテキストコーナーで興味をひくテキストを見つけました。「日本の伝統芸能」という一冊です。NHKで4月から伝統芸能をテーマにした番組が始まるんですね。内容は「歌舞伎入門」「文楽入門」「能・狂言入門」の3本立て。しかし、「日本の伝統芸能」とは、なんともストレートなタイトルですね。
 この番組、週1回30分の放送ですが、放送時間か平日の午後2時からと再放送は火曜の朝5時5分からと、どう考えてもシルバー世代向け。確かに、ハードディスクレコーダーなどで録画すればいいのですが、ふつうに仕事している世代はあまりみないと想定されているのか。
 でも、こんな伝統芸能の番組を提供してくれるのは、NHKだけでしょう。テキスト買ってきたので、今週から「録画」してみることにします。

Dentougeinou


☆「日本の伝統芸能」WEB(地味な構成ですが)

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2009/03/22

「ニューコンパクト」という提案

 昨日の日経新聞の文化欄コラムに紹介されていた企業メセナ協議会の提案「ニューコンパクト」はとても興味をひかれる内容です。企業メセナ協議会のWEBによれば
企業メセナ協議会は、地域コミュニティー再生のための新たな政策ビジョン「ニュー・コンパクト」(COMPACT:Community Policy for Action) を提案します。
 とあります。
 現在の厳しい経済不況に対して、企業メセナ協議会は検討を重ねた結果
経済の疲弊で衰退した地域が、文化への集中投資によって経済再建を含む再生を果たした地域創造の事例が、内外に数多く存在することから、多様な社会的課題の解決に寄与する文化の力や創造性が、社会再生の鍵であることに着目しました」
と言います。そのため
「社会の再生と創造のために、文化への集中投資を政策的優先事項として、緊急提言とするものです」
 と宣言しています。この宣言に基づき、「ニュー・コンパクト」(=地域再生政策ビジョン) 5つの原則を提示し、更にアクションプランも提案されています。アクションプランも5つ。


 1. 「地域資源の活用とコミュニティー経済の確立」
 2. 「文化への集中投資」
 3. 「地域の市民セクターの強化」
 4. 「領域横断的な地域文化振興策の強化」
 5. 「クリエイティブ・コミュニティー・ネットワークの構築」

 日経新聞の記事ではこのニューコンパクト提言をうけて、1930年代、アメリカのニューディール政策における文化施策について言及しています。例えば連邦劇場計画により、2500万人が作品を鑑賞、1万3000人の俳優と技術者が雇用され、130本もの作品がうまれたといいます。ニューディール政策が文化施策を含んでいたなど、全く知りませんでした。
 企業メセナ協議会の提言が、文化政策についての新たな論議に展開し、地域活性化の動きへと展開していくことを期待したいです。

企業メセナ協議会:「ニュー・コンパクト」提言

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2009/03/11

東京郵便局を残すには

 最近、巷を賑わせているニュースで、ちょっと気になっているのは東京中央郵便局の保存問題。ちょっと前、鳩山文部科学大臣が、「工事で(局舎の)重要文化財としての価値がなくなったら国家的な損失になる」(2月27日 asahi.com)と発言して以来、この建物の建て替え問題が顕在化しています。それ以来、日本郵政の西川社長は「私どもは別に(国の重要文化財や)登録有形文化財の指定を望んでいるわけではない」と発言。また石原都知事は、郵便局舎のある地域に都市開発計画があることを受け、「総務大臣の個人的心情うんぬんはあるだろうが、この段階では大きい計画そのものが毀損されかねない」と言っています(いずれの発言もasahi.comより引用)。
 昨日のasahi.comの記事では「東京中央郵便局、保存部分拡大へ 文化財登録めざす」とあり、

 日本郵政は9日、東京中央郵便局の再開発計画を見直す方針を固めた。登録有形文化財としての登録をめざし、局舎の保存部分を拡大する方向で文化庁と協議する。大半を取り壊す現状の再開発案では、建物の文化的価値を理由に保存を求めている鳩山総務相らの理解が得られないと判断した。

 とも報じられています。
 しかし、これまでの経緯を理解ししているとは思えない鳩山大臣の発言を、そのまま受け入れるのはどうなんでしょう。少なくとも今、文化財に指定されていない建物を、なにがなんでも残せ、というのはある意味暴論でしょう。東京中央郵便局の建物としての価値は高いとは感じますが、古い建物を残すのはそれなりの理論と理屈とエネルギーがいると思います。どうして登録有形文化財に指定されなかったかを問い直すことが重要でしょう。
 歴史ある建物を残すのは大変な作業です。そのまま残せればいいのですが、最近は新旧折衷型もあります。

Tky200903070085

 東京中央郵便局もこんな案が作られてます。

Post

 こんな建物、どうなんでしょうね。私は好きではありせん。どっちつかず、って感じ。建築で、古きを伝えるのは難しいことです。


 

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2009/02/23

サライの「能・狂言」特集

 今年は能が必修科目(?)になっている私です。最新号のサライは、『「能・狂言」幽玄なるこころの旅」と題された能楽(能と狂言の総称)の特集です。早速買ってみました。サライの特集は、よく練られていて、雑誌らしからぬ読みごたえががある記事が多いです。ただ、かなりオジサン向きなので、私に合わないことも(つよがりですが)。
 さて、冗談はさておき、この能楽の特集はよく出来ています。能楽の初心者向けに親切に記事が構成されています。能楽の様式について、能舞台の構造、能舞台の進行、装束、面など細かに説明されています。また、能の歴史についても簡潔にまとめてあります。さらに、能楽師の人間国宝・片山九郎右衛門さん、狂言師の人間国宝・茂山千作さんに取材していて、お二人とも含蓄のある言葉を語っています。
 能楽は東京近辺だけでなく、大阪、京都、金沢などで演じられている日本の伝統芸能。少しずつではありますが、その魅力を知ろうとしています。サライのこの特集は、格好の入門書です。

Photo


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2009/02/21

ファンドレイジング協会の発足

 先日、国連大学の国際会議場で「日本ファンドレイジング教会設立発足記念シンポジウム」が開催され、少しだけ参加してきました(なにせ、平日の昼間なんですもの)。以前、「寄付文化革命、始まる」という大きなキャッチフレーズが掲げられたこのシンポジウムには、360名もの参加者があり、盛況でした。
 シンポジウムでは世界最大のファンドレイジング教会であるAFPの代表ポーレット・マエハラさんによる基調講演や「寄付文化の革新に向けて」と題したトークセッションがありました。私は前半の1時間ほほどしか参加できなかったのですが、正直言って、ファンドレイジングのイベントでこれだけの人が集まるとは、驚きでした。ファンドレイジングという行為が少しずつ根付いていることを感じました。
 とはいっても、寄付行為が市民ひとりひとりに定着しているとは言えない日本の現状です。文化芸術支援にとって、ファンドレイジングのあり方を考えさせられるイベントでした。

日本ファンドレイジング協会オフィシャルブログ

当日の映像もYouTubeにあがっています。

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2009/02/09

カザルスホールが閉館へ

 昨日の朝日新聞の記事で知ったのですが、お茶の水のカザルスホールが、来月閉館することが決まったとのこと。日本初の室内楽の専用ホールであり、設計は磯崎新氏。つくったのは出版社の主婦の友社で。開館は22年前の1987年。
「主婦の友」という雑誌は、かつては大部数を発刊し、多くの利益を出版社にもたらしました。企業規模としては大きくはない出版社が音楽ホールを作ることができたのも1980年代だったからと言っていいかもしません。、しかし、カザルスホールも2002年に日大に売却されてしまいます。
 このホールが日大のものになったことも、つい最近しりました。その日大も、キャンパスの再開発のため、閉鎖することになるといいます。また、日大は建物を取り壊す方針とも伝えられています。
 室内楽にまったくなじみがない私にとって、カザルスホールにいったのか、1,2回ほど。しかし、築20年ほどで、そして磯崎新の設計の建物を取り壊すのは、なんとしても避けて欲しいとことろです。昨日の朝日新聞の記事にこのような一文があります。

連日のように内外の一流アーティストが演奏会を開き、多くのプロ楽団がしのぎを削る一方で、こんなささやかなホールがあっけなく姿を消す東京という街の「文化」の底の浅さを見たような思いがする。

 東京ですらこの状況です。地方ではどうなっているのでしょうか。ホールを巡る状況は、今後、さらに悪化していくでしょう。

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2009/02/06

日本ファンドレイジング協会の設立

 ファンドレイジング、という言葉は、おそらくまだあまり一般的ではないのではないでしょうか。

ファンドレイジング:資金集め、あるいはそのためのさまざまな活動。NPOの場合、企業や個人に寄付を求めたり、財団に助成金を申請したり、政府に補助金を要求するといった活動が、ファンドレイジングである。(SPACE ALC ボランティア用語より引用)

 日本においてはまだまだ根付いていないファンドレイジング。しかし、このたび「日本ファンドレイジング協会」が設立されます。その設立の発起人が募集されているを知り、登録させていただきました。昨日、設立事務局から案内がきました。同封されていたパンフレットには「日本の寄付文化の革新を実現するために、日本ファンドレイジング協会が設立されます」とあります。
 寄付という行為は、私自身ではほとんどすることがありません。どうしてなんでしょう。やはり、寄付は見返りがないもの、と感じているせいなのでしょうか。ファンドレイジング協会の発起人になったことを機会に、自らの寄付行為を考え直さないといけない、と思っています。
 ちなみに、発起人は2月18日まで受け付けています。ここを参照ください。

Found


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2009/02/03

伝統の黒川能をみる

 山形・庄内の櫛引町に500年もの間伝わってきたとされる黒川能という伝統芸能があります。この黒川能は、鎮守である春日神社の年4回の例祭に、神事として奉納されますが、中でも旧正月に行われる「王祇祭」(おうぎさい)は最も重要なお祭りとされています。大祇祭は2月1日から2日にかけておこなわれ、その中で、夜通し演じられる能が、お祭りのハイライトになっています。
 昨年からこの黒川能が気になっていたのですが、実は観覧希望者が多いため抽選になっています。昨年末申し込んだのですが、運良く当選し(定員70名に対し200名の応募があったそう)、家族でいってきました。櫛引は山形県の鶴岡市にあります。東京から新幹線と在来線を乗り継ぎ、4時間あまりの旅です。
 大祇祭では、2月1日の未明、春日神社の神霊が宿る王祇様を上座、下座それぞれの民家(当屋といいます)にお迎えします。振る舞いなどが行われたあと、夕方から子どもが演じる「大地踏」で黒川能がはじまります。

Kurokawanou2

 式三番、続いて能5番、狂言4番が夜を徹して演じられます。夜の18時か翌日の朝まで、2つの場所で能、狂言が夜通し演じられます。演じるのはすべて地元の人たちです。

Kurokawanou

 民俗芸能は、国内にそれこそ膨大な数があると思いますが、この黒川能はその中でも、エネルギーを持っている芸のひとつではないでしょうか。
 恥ずかしながら、能に対する知識もほとんどなく、鑑賞経験も皆無といっていい私ですが、この黒川能には大いにみせられました。これから、少しずつ、この伝統芸能を調べてみようと思っています。

黒川能(鶴岡市の公式WEB)

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2009/01/17

能への入り口

 昨晩、千駄ヶ谷の国立能楽堂で能をみてきました。恥ずかしながら、能楽に行くのも、実際の能をみるのも初めてです。能を含む伝統芸能は、意識してみにいかないと、なかなか生の舞台に触れることがありせん。今年は、能を開拓テーマ(?)として、みにいくことにしようと思ってます。
 Nougakudo さて、初めての国立能楽堂ですが、立派な建物です。演目は狂言の「酢薑」(すはじかみ)、能の「田村」です。会場にが外人さんの姿も見かけましたが、私の能に対する知識もほとんど外人さんと変わらないでしょう(ひょっとすると外人さんのほうが勉強しているかも)。なにせ橋掛かりは何か、なんてつい最近知った程度の知識レベルです。
 狂言は15分で終わり、休憩を挟み、能が約90分の舞台。シテの演技と舞、囃子方の演奏、地謡の謡、そくれぞれの装束、どれも新鮮で、飽きることがありません。能楽堂の席には、説明や詞章が表示されるモニターがあり、鑑賞しやすくなっています。
 能の入り口に立っただけなのですが、なにかすごい魅力を感じました。能の舞台空間で作り出される世界は、これまで経験したことのない刺激があります。鑑賞を重ねて、少しずつ能の魅力を探れればな、と思っています。

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2008/12/16

東工大にある世界文明センター

 東京工業大学と言えば、工業系大学のトップクラスにあります。この大学に「世界文明センター」なる組織があります。ここには人文学院と芸術学院があり、大学内はもとより、大学の外に向けた活動をしています。
 そもそも理学及び工学の単科大学に芸術系の組織があることにちょっと驚きます。この世界文明センターは、大学内では人文、芸術系の授業を東工大生に対して行うことに加え、一般社会人にために様々な講座も開講しています。たとえば、今はレクチャーシリーズ秋と題して、芸術文化に関わる人の講演を行っています(ここをみてください)。
 すでに、別役実(劇作家)、河竹登志夫(演劇評論家)、伊藤比呂美(詩人)、隈研吾(建築家)の講演があり、今日は演出家、新国立劇場演劇監督の鵜山仁さんの講演があります。先週行われた隈研吾さんの講演に参加してきたのですが、先端を走っている世界的建築家の講演ということもあり、入場制限されるほどの盛況でした。
 単純な思いこみでは理科系と芸術系は相反する位置にいると考えがちですが、東工大はそのようには捉えなかったとういことです。理科と芸術が融合できるのであれば、(曖昧な表現になってしまいますが)新たな道が開けると思います。
 この世界文明センターの講師陣は、多様な分野から人材を集めています。創設されてまだ間もない組織(2006年開設)のようですが、これからの活動を注目したいところです。

☆世界文明センターWEB

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2008/11/27

情報のデジタル化とは

 我が家に昔のビデオテープやディスクがかなりあります。ベータフォーマットのテープ、8ミリビデオ、レーザーディスク。どれも再生機器がもう使えなくなっていて、再生がほぼ不可能なもの。捨てればいいのですが、なかなか処分できません。
 昨日の日経夕刊文化面に「情報のデジタル化危惧 記録媒体の限界認識を」なる記事がありました。国立西洋美術館館長の青柳正規さんのインタビュー記事です。青柳さんによると学術情報もデジタル化が進んでるが、保存された情報を読み取るには、保存した時代のハードとソフト双方の維持が必要。まさにその通りです。しかし、このハードとソフトの両方を保存していくことは、かなり至難の業です。青柳さんは
「このままでいくと、二十年、三十年先にすべての情報が消えてしまう可能性がある」
といいます。
 デジタルアーカイブが美術の領域でも少しずつ進んでいます。ただ、日本ではこの情報を保存することについて、かなり遅れているようです。
「デジタル化の状況を、横浜からサンフランシスコまでの船旅に例えれば、現在はまだ大島あたりを航行している段階だろう」
 と青柳さん。
 我が国にとって情報の保存というものを真剣に考えなければいけない時期にさしかかっているようです。

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2008/11/08

芸術新潮の手塚治虫特集

 今月3日は手塚治虫の誕生日です。生誕80年ということで、芸術新潮の11月号は特集「手塚治虫を知るためのQ&A100」です。この雑誌の特集は、硬軟を交互に組む傾向がありますが、それにしても今月号はかなり柔らかいテーマです。うちの地元の本屋(ブックファースト、青山ブックセンター)では、珍しく平積みされていました。
 特集はストレートにQ&A形式で手塚治虫の真実に迫る手法ですが、このQ(質問)がかなり細かい点を網羅して、マニアックな内容です。よく、これだけのQを考えられたなと思いますし、このQを立てるには、かなり手塚治虫についての知識、情報がなければできないでしょう。とてもよく錬られた企画です。手塚治虫の資料としても、一級品でしょう。(Qはこれです
 思い出せば、小学生の頃鉄腕アトムを夢中になって読みました。小学生の頃、どこかの公会堂で開催されたアトムのイベントにいったことを覚えています。そういえば、鉄腕アトムのソノシートを買ってもらったなあ(ソノシートって知ってますか、こんなのです)。

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 表紙には手塚治虫のキャラクターが大集合です。楽しいです。また綴じ込みで「手塚治虫キャラクター名鑑100選」もあります。1500円ですが、それ以上の価値が感じられる一冊です。

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2008/09/28

弘前劇場と東京

 昨日のNHKハイビジョン特集で放映された「上京~故郷に背を向けて~」は、劇団・弘前劇場を取り上げた興味深い内容でした。演劇に詳しい方ならご存じかと思いますが、弘前劇場は青森県浪岡に本拠を置いて活動している劇団です。私は演劇は全くの素人なので。この劇団を知ったのは昨年だったか、NHKの芸術劇場でその芝居が放映されていたのを見たときです。津軽弁で演じる芝居が、新鮮でした。
 番組では、劇団を率いる長谷川孝治を中心に、劇団員それぞれの思いを「東京」というキーワードで描いていきます。弘前劇場の団員は、演劇を仕事とする「職業俳優」ではなく、日々の仕事を持ちながら、プライベートの時間に俳優を演じてる人たちです。長谷川も25年間、教師をしていました。
 青森の地で、劇団活動を30年も続けている弘前劇場。劇団を続けための苦労など想像し、わかることなどできないのですが、その理由が、この番組をみて少しだけわかった気がしました。
 文化振興の面で、地方と東京の格差が顕著になっている現在、弘前劇場の活動はある意味、おどろくべきことだと思います。弘前劇場のこと、もっと知りたくなりました。

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2008/07/20

問われる指定管理者制度の運用

 昨日の日経新聞・文化面の記事「公立ミュージアム 指定管理見直し最適な運営探る」は、ここ数年の公立美術館、博物館の運営変革を問い直すために、参考となる記事です。指定管理者制度とは、公立施設を地方公共団体や外郭の財団法人だけでなく法人など(NPOも含む)に代行させることができる制度で、2003年に施行されました。
 この公共施設には、博物館、美術館も含まれ、文化庁の調査によると公立館550のうち17%の93館が制度を導入。ただ、
「運営主体を数年ごとに選び直す仕組みは、継続的な研究や企画、人材育成を必要とする美術館・博物館にはなじまないという主張も以前からある」(日経新聞記事より)
 という考えを踏まえてか、いくつかのミュージアムでの見直しの実例があげられています。
 2005年開館、北海道伊達市の市立宮尾登美子文学記念館では、開館以来地元のNPO法人に運営を任せてきましたが、今年度から直営に切り替えました。その理由は、入館者が予想を大きく下回ったこともあり、観光客誘致から市民のための文化施設に方向転換したこと。
「市全体で文化を柱にした街作りを進めたい。その拠点となる施設は直営が望ましいと判断した」(山崎博司・商工観光水産課長)
 栃木県足利市では2006年度から市立美術館に指定管理者制度を導入したが、来年度から直営に戻すことを決定。
「長期的な研究や展覧会の開催に準備を要する美術館にそぐわない」(熊井壽裕・教育総務課長)
 この制度を活かした実例として注目したいのが島根県。学芸部門は直営とし、管理運営部門だけ制度の対象とづる独自の「半官半民」方式を採用。県立美術館ではこの方針に沿い、管理・運営部門を民間にまかせ、いくつもの成果を上げています。
 私見では、公立博物館・美術館の運営は直営が望ましいと考えています。行政は指定管理者制度の採用に対しては慎重に検討を行うべきです。
 

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2008/05/31

イッセー尾形の後援会が変わったらしい

 イッセー尾形の後援会に入っていますが、その期限が3月末で切れていました。送られてきた会員証には「更新時期が近づきましたらお手紙でお知らせします」とあったのですが、きません。公演で忙しいのかな、でも、そろそろ連絡せねばと思っていたところ、お知らせの手紙がきました。
 Moritaそのお知らせによると「今後の『イッセー尾形後援会』のあり方についていろいろ考えていました」とあり、システムがかわるとのこと。後援会費は年間3000円(確か据え置き)。特典は会員の期限内につくる新作「ネタDVD]をもらえます。お知らせによるとこのネタは年間2~3枚作る予定。3000円で、DVD3枚もらってしまうと、赤字になったりしないのでしょうか。心配ですね。
 イッセー尾形の後援会に入っているのは、会員の先行予約ができること。これだと、仙台の公演などでは最前列がとれたりしました。それだけあればいいって思っています。いい芝居をみせてもらているご祝儀だと思ってます。この後援会のシステム変更をみていると、ほんとイッセー尾形さんとそのスタッフ、まじめだな、と思います。

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2007/08/30

ホテル内のフォトギャラリー

 秋田にいったとき、宿泊はいろいろですが、この前はダイワロイネットホテルでした。このホテル、確か最近オープンしたので、新しく快適です。ホテルには、いろいろなアートがあって、意外な楽しみになったりします。部屋に飾ってあるアートも素敵なものがありますが、このホテルはエレベーターホールが小さなフォトギャラリーになっています。

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各階ごとに秋田の風景、行事などを撮影したモノクロ写真が飾られています。例えば、秋田の竿灯祭り、なまはげ、かまくらなど、小作品です。まだ、全部の階は見ていないので、こんど泊まるときはゆっくり鑑賞したいところです。

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2007/08/24

一番町のCAFE+GALLERY

仙台発のSNS、ふらっとに”仙台+東北のアートを楽しもう”というコミュニティをやっているのですが、いろいろ忙しく更新もままならずの状態。でも、ほんとうれしいことに、コミュニティにトピックを書き込んでくださる方がおられます。この書き込みで知った仙台のCAFE・GALLERYのPICINICAに行ってきました。
 今年の1月に出来たカフェですが、店内はギャラリーです。定期的に作家の個展をしています。いまは、このカフェのスタッフでもある近江谷砂里さんの個展が開催中です。彼女の作品は、一見すると色も表現もかわいいのですが、ちょっと怖さを感じる部分もある作品です。
 仙台にはこのような気軽に入れるギャラリーが少なく、今後の活動に期待したいと思います。

PICNICAのWEB

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2007/08/02

阿久悠さん、亡くなる

 作詞家の阿久悠さんが亡くなりました。昭和から平成、数多くのヒット曲の作詞を手がけてきました。阿久さんのWEBにある作品をみると、ほんと珠玉の名曲が並びます。「時の過ぎゆくままに」、「また逢う日まで」はカラオケの愛唱歌です。
 以前にも書きましたが、私見ですが、戦後の歌謡曲をつくった作詞家は、永六輔、なかにし礼、そして阿久悠の3人だと思います。特に阿久さんの詞は、ラブソング、ポップス、演歌からアニメソングまで幅広いジャンルに渡り、素敵な歌の世界を作ってくれました。
 まだ、70歳。残念です。ご冥福をお祈りします。

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2007/07/15

キャッツをみて思うこと

 昨晩は台風のなか、東京、五反田で劇団四季のキャッツを見てきました。CATS専用の「キャッツ・シアター」にいくのは初めて。シアターに入ると、そこはディズニーランドのアミューズメントみたい。劇場内がすべて舞台装置のように装飾されています。2時間半に及ぶ舞台も、充分楽しめるパフォーマンスでした。思えばもう20年以上前、キャッツを新宿西口の特設シアターで見た記憶があります。当事は、テント劇場がもう少し立派になったものだった気がします。
 今では、劇団四季は大成長しています。WEBで調べてみると全国に劇団四季の専用劇場は、8劇場もあります。こんなに増えているとは知りませんでした。劇団四季は、ビジネス的にみればこの20年ほどで大成長しているようです。ミュージカルという日本では決してメジャーではないエンターティメントを定着させた功績は大きいでしょう。
 文化支援という観点からみると、ミュージカルを含む演劇というジャンルはかなり厳しい状況があるように感じます。絵画などの美術に比べても、官や民の財政的な支援が受けにくいのではないでしょうか。いろいろ批判はあるでしょうが、劇団四季のビジネスとしての成功は、とても興味があるところです。

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2007/06/17

日経新聞の文化欄

 毎朝、ほとんど斜め読みの日経新聞ですが、日曜の最終ページの文化面は、いつの頃からか必ず目を通すようになっています。日曜のこの欄には、作家、詩人の方が、日常のささいなことをテーマに綴ったエッセーが載っていることが多い。特に愛読しているのは、すでに70歳をこえ、老齢を迎えられた方の一文。味わいがあり、時には何度も読み返してしまうほどの魅力があります。
 今週は津村節子さんの『書斎の机』。津村さんの夫は、昨年亡くなった作家・吉村昭氏。家を新築することになったことにからめて、亡き夫の思い出がさりげなく綴られています。
 上質なエッセーとは、このような文章をいうのでしょう。素敵な気持ちになります。

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2007/05/15

今、小林秀雄

「人世の鍛錬」とは、なんとも奥深さを感じるタイトルの本です。小林秀雄の言葉を『小林秀雄全作品』から選んだのが、新潮新書から先月でた『人生の鍛錬 小林秀雄』です。小林秀雄、もちろん名前は存知あげていますが、恥ずかしながらその著作は読んだことがありません。文化勲章も受けた文芸評論家。文芸論には、これまであまり興味がなかったので、著作には縁がありませんでした。

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 この本、読み始めると、文章はかなり手強い。はっきりいって難解です。新書を読むのに、2週間くらいかかってしまいました。ただ、編集者によって選ばれた言葉は、どれも含蓄に富んでいます。
 この本を読んで、意外な発見がありました。小林秀雄は、一時期書画に没頭し、「ゴッホの手紙」、「近代絵画論」などの美術論を書いています。小林秀雄=文芸論と思いこんでいましたが、その評論の幅は広い。
 この本をきっかけに、少しずつ小林の著作を読んでみようと思いはじめました。
 最後に、印象に残った小林秀雄の言葉。
 

困難は現実の同義語であり、現実は努力の同義語である。

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2007/05/11

高松塚古墳「飛鳥美人」救出される

 高松塚古墳の搬出作業が行われています。昨日、そのハイライトともいうべき「飛鳥美人」と呼ばれる女子群像が描かれた壁画が、石室から搬出されました。テレビで放送されていた搬出の映像を見ると、様々な技術検討をされたと推測される作業が行われています。搬出のため、専用に開発された機械もありました。素人のつたない感想ですが、この作業に携わる方の技術力は、極めて高い水準にあるのではないでしょうか。

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「報道ステーション」でコメンテーターの加藤さんが話していて知ったのですが、高松塚古墳の壁画とほぼ同時期に描かれた壁画が中国にある。しかし、保存技術が確立していないので、開けないそうです。高松塚古墳は、開けるという選択をしたことで、劣化という困難に直面しました。そして、解体保存という苦渋の選択をすることになります。解体保存に対しては、様々な批判もあります。責任主体者である文化庁への批判も少なくありません。私は文化庁だけに責任を押しつけるのは、どうかと思います。発見当時も解体保存論はあったといいますが、現地での保存にこだわったのは明日香村だとか。しかし、いまから発見された35年前には戻れません。
 現在の文化財保存、補修技術は、35年前より進歩しているはずです。「飛鳥美人」が無事、甦ってくれることを祈るばかりです。

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2007/04/18

新鮮な昭和の写真

 大学の課題で「映像文化論」に取りかかっているためか、最近は写真をみる機会が増えてます。書店で、写真を扱った本を2冊、見つけました。まず『木村伊兵衛の眼 スナップショットはこう撮れ!』。写真が趣味でなくても木村伊兵衛の名前はご存じの方も多いでしょう。昭和を代表する写真家。街角でのスナップショットの名人です。愛機のライカで撮られた写真は、さりげなく時代を切り取っています。また、人物を撮ったポートレイトも、人柄が伝わってくるようで、味わいがあります。
 もう一冊は『名作写真と歩く、昭和の東京』(川本三郎著)。昭和を代表する写真家の作品に、川本三郎さんが文章を綴っています。木村伊兵衛の作品もあります。アラーキー、森山大道の写真もあります。収められた写真はすべて、モノクロ。でも、どれも時代の空気が感じられる写真です。
 昨日の新聞に載っていた記事「昭和生まれ 一億人を割る」。昭和という時代は、少しずつ遠くなっているのでしょうか。

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2007/04/15

イッセー尾形の後援会

 しばしば足を運ぶイッセー尾形。そういえばと思い立ち、後援会に入ってみました。イッセー尾形さんの公演活動は、手作りで行われている感じが伝わってきます。後援会に申し込んで、待つこと2週間あまり。やっと、会員証が送られてきました。
 ちょっと感激したのは、イッセーの公演DVDが一緒に送られてきたこと。昨年、北千住で行われた「イッセー尾形・太宰治を読む!書く!創る!」を収録したもの。この公演見にいっています。まだみていないのですが、ダイジェスト版かと思ったら、一時間半ほどあるので、フルバーションのよう。

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 後援会の年会費、3000円ですから、イッセー尾形フィンならこれでもとがとれてしまいます。後援会の特典て、公演の先行予約ができます。東京近辺の公演は、即完売のことが多いので、これはいいです。さっそく「イッセー尾形と小松政夫のびーめん生活スペシャル」を予約しました。楽しみです。

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2007/03/28

最高の芸人、植木等さん逝く

 このごろ、悲しいニュースが続きます。植木等さんが亡くなりました。決して短くない私の半生(ほんとか?)で、心酔した芸人は、植木等さん、小沢昭一さん、萩本欽一さんの3人です。植木等さんのクレージーキャッツが活躍したのは幼稚園から小学校低学年の頃。当時人気絶頂だったクレージーキャッツが、これも絶対の存在感をもっていた紅白歌合戦に出場しました。これを楽しみにしながら、起きていられず寝てしまい、ひどく後悔した思い出があります。
 植木さんといえば、やはり映画「無責任男」シリーズです。映画での役名は平均(たいらひとし)。高度成長期のある意味で理想とするサラリーマン像を描いていたかもしれません。
 小林信彦さんの『日本の喜劇人』にはこんな表現があります。

「平均のようにスイスイ生きていける人間、ぼかァ、うらやましいですよ」
と植木等は私に語ったことがある。彼のように古めかしい人が、ああいうハレンチ、ドライな役をわるのりで演じるのが面白い。

 演技も一流、コメディもオリジナル、そして歌もプロ。こんな芸人、他にはいないでしょう。
 ご冥福をお祈りします。

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2007/03/23

気骨の人、城山三郎さん

 昨日報じられた悲しいニュース。作家の城山三郎さんが亡くなりました。つい最近まで、活動をされていたので、かなり驚きました。
 城山さんの著作を最初に読んだのは、確か「毎日が日曜日」だったと思います。それ以来、かなりの城山作品を読んできました。ビジネス社会を舞台とした多くの小説は、サラリーマンを長らく仕事としているものにとっては、ある時は生きることへの指南役であり、あるときは活力を生むための刺激薬であり、そしてまた、夢を見させてくれる物語でした。
 その著作はどれもタイトルが魅力的です。「勇者は語らず」、「わしの目は十年先が見える -- 大原孫三郎の生涯」、「素直な戦士たち」、「今日は再び来らず」など、思わず手に取りたくなる題名ばかりです。
 
 城山さんといえば、気骨の人、というイメージがあります。昨年読んだ対談集『気骨について』も印象深かった一冊でした。人間としての筋を通した生き方を全うされたのではないでしょうか。
 ご冥福をお祈りします。
 

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2007/01/05

銀座あけぼのと、「銀座百点」

 うちは今日が仕事始めです。(今日休む不届き者もいますが)昨日は午後から女房と銀ブラ(銀座をぶらつくことですが、死語かも)。銀座で、和菓子の「あけぼの」本店へ。ここ、結構気に入っていて、よくお土産に大福を買って帰ります。豆大福が名物ですが、この日はあんず大福を買ってみました。
 お金を払うとき、ふと気づくとカウンターの上に「銀座百点」があります。店の方にうかがうと、いただいていいとのことで、もらってきました。この銀座百点、銀座の商店・銀座百店会が作っているかなり歴史のある冊子です。帰りの新幹線の中で読んでみたのですが、これが充実した内容。

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 巻頭には「好奇心に勝るものなし 男性諸君、ダンディーであれ」と題し、児玉清(俳優)、三好徹(作家)、平野次郎(元NHK)の対談。阿久悠、本上まなみのエッセー。嵐山光三郎の「ギンザ散歩」、太田和彦の「銀座の酒場を歩く」などの連載と、読みごたえがあります。(ちょっとオジサン向けではありますが)
 銀座百点、ウェブもあり、定期購読もできます。銀座好きの私にはぴったりの一冊です。

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2006/10/26

美術記事が多い最近の日経新聞

 最近、日経新聞には美術関係の記事が多いような気がします。2週間ほど前には日本の公立美術館を格付けした記事を掲載。(詳しくはここを)また先週の土曜日(21日)には文化面の特集で「美術の鑑賞力高める」と題した美術鑑賞に対する学校と美術館の取り組みを紹介。更に今週の月曜からは文化面で「ミュージアム 拓く」と題した連載企画をはじめています。
 なぜ、日経新聞がアートに注目しているのでしょう。公共施設としてのミュージアムがおかれた危機的な状況に提言をしようとしているのか。それとも、そんな単純ではなく、日経新聞としてアートの市場性に注目しているのか。ちょっと気になります。
 
 大学で芸術支援の勉強をしていると、美術の世界は「ちょっと特殊だな」と感じることがあります。やはりアートを見ることは、ちょっと難しくて、堅苦しいところがあります。それは、アートをみせる場を提供する側(主に美術館)の問題もありますが、やはり最大の問題点は、美術鑑賞の仕方を知らない(教えてもらっていない)ことだと思います。
 たとえば、東京の近代美術館で行われた有名な印象派の画家の回顧展で、「展示されている絵、本物ですか?」ときいたオバサン。(関係者から聞いた話) 大丸ミュージアムでのクレー展。「照明くら〜い」と文句口調でつぶやいていたおねーちゃん。(私の体験)
 作品を見に美術館に足を運びながら、展示側の思い、意図などを受け取れない人が少なくないと思うのです。これを、どうしたらわかりやすくしていくか。このヒントが、最近の日経新聞のアート関連記事には隠されているのでは、と期待しながら日経新聞の紙面をひろげています。

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2006/07/14

AHAUS(アーハウス)という雑誌

 先週、仕事で青森に行った折、珍しい雑誌を手に入れました。「AHAUS(アーハウス)」というデザイン性の感じられる雑誌。サブタイトルにARCHITECURE,DESIGN,LIFEとあり、建築とデザインをテーマにした本です。これ、青森で発行されているもので、現在今年の3月の出たものが最新号。Img_5354

 この号では、昨日開館された青森県立美術館の特集です。「祝 青森県立美術館完成」と題された記事では、美術館を設計した青木淳さんのインタビューがとてもおもしろい。また、かなり細部まで取材した美術館の紹介もあります。
 このAHAUS、創刊号の特集は「前川國男と弘前」、2号は「青森・モダニズム残像」が特集。これも心惹かれるテーマです。青森のこのようなすてきな雑誌があったとは、ちょっと驚きです。

アーハウスウェブ

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2006/05/12

映画の「夫婦50割引」とは

 先日、ついに50歳の大台になってしまいました。正真正銘の中年に入りましたね。50歳になると、悪いことばかりでなく、映画で「夫婦50割引」とうのがあります。夫婦のどちらかが50歳なら、夫婦2人で映画が2,000円でみられるという特典。これは『映画に行こう キャンペーン』の一環で、期間限定で、いまのところ6月末までの実施。このキャンペーンでは「高校生友情プライス」というのもあり、高校生が3人なら、1人1000円でみられます。

 なかなかいい企画だと思います。映画館にいきにくそう、いく機会がすくなさそうなゾーンを狙い、プライスも訴求力のある設定で、活用しようと思わせる魅力があります。
 美術館、博物館でもこういった企画をやって欲しいですね。例えば、家族でミュージアムにいくために家族割引とか、高校生の割引(民間の美術館は大学生と高校生の料金が同じことが多い)は、実施して欲しいところ。夫婦50割引もいいです。夫婦で美術館を訪れている人は意外と少な気がします。
 美術の裾野を広げる試みとして、ミュージアム関係者には検討して欲しいと思います。

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2006/03/25

38年前のグッドデザイン賞

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    いろいろもめていたPSE問題、中古電気製品の販売が実質OKになったようですね。中古品といえば、昨日実家で超古い電化製品を見つけました。大学の課題で電気釜を取り上げることにしたのですが、「そういえばうちに古い電気釜はがあったような」と思い当たりました。母親にきいてみると、どっからか出してきたのが、上の写真の電気釜。
 そもそも、日本で最初に普及した電気釜は東芝製で、昭和30年に発売されたもの。この電気釜の開発秘話は、NHKの「プロジェクトX」でも紹介されていました。
 今、うちに残っているのは、一升炊きの電気釜。家庭用で一升炊きとは、すごいです。大家族、米食時代ならではのジャンボサイズ。
 この電気釜、ネットで調べてみると1968年(昭和43年)のグッドデザイン賞を受けています。今から、38年前。うちの母は、ついこの前まで、この電気釜使っていました。いまでも、使えます。この時代の電気釜は、内釜と外釜の間に水をいれて、ご飯炊くんですよね。若い人は、ご存じないかと思いますが。こんど、この釜で、ご飯たいてみようかな、と思ってます。

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2006/02/10

雑誌「PEN」の微妙なずれ具合

きのう、書店で気になる雑誌をみつけました。「PEN」の2月1日号。特集が『新たな伝説が始まる、ポップ・アート宣言』です。バックナンバーなのですが、平積みになってました。(バックナンバー常備店が、いくつもあるようです)

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えっ、て感じ。いま、ポップ・アート、はやっているんですか?それとも、これからブームがきそうなんしょうか?なんでポップ・アートなのかな。買ってきて、読んでみましたが、なんで今「ポップ・アート」なのかは、書いてありません。

PENという雑誌、本屋でみかけるたび、ちょっとそそられる特集で、よく一瞬買おうかなと思います。でも、立ち読みすると、微妙になずれてるな〜、と思い直し、結局買わないことに。このポップアート特集号で初めて購入。PENの読者ターゲットは? 本誌には「男のアンチ・エイジング」という特集があります。とすると、オジサンでしょう。お洒落な生活を目指しているオジサン(=私か?)でしょうか。でも、ちょっと野暮ったいお洒落生活のような気がします。
この「ポップ・アート」特集の冒頭に「5分でわかる、ポップアートの歴史」という記事がありまます。これによるとポップ・アートの原点はマルセル・デュシャンの「レディ・メイド」とか。あの、便器がポップアートの出発点だったとは。ほんとかな?
ともあれ、PEN、なかなかユニークな雑誌です。

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2006/02/06

小林信彦の新作「うらなり」と「坊ちゃん」

uranariずっと読み続けている作家は何人かいますが、小林信彦さんもその一人です。文學界の2月号に新作「うらなり」が掲載されています。昨年秋に単行本でだされた「東京少年」に続く新作に、ファンは嬉しい限りです。
「うらなり」は夏目漱石の「坊っちゃん」の登場人物のひとり、英語教師・うらなりの側から、名作に迫る作品です。実は「坊っちゃん」を読んだことのない私。事前に文庫本を買ってきて予習してから、本作に臨みました。
小林さんは東京、それも昭和時代の東京を主題として、創作活動をしてきた作家です。この「うらなり」でも、坊っちゃんの時代から、昭和9年に舞台を移して、うらなり、山嵐が再会することから物語ははじまります。坊ちゃんの登場人物たちの後日談が、小林信彦解釈にて、巧妙に語られていきます。小林作品の魅力は、台詞の表現の巧さ。読ませてくれます。
すでに70歳をこえた小林さんですが、この旺盛な創作活動はすごいです。今後も、新作を期待したいです。

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2006/02/02

日経新聞の「一度は見てみたい絵画」

一昨日、TBさせていただいた「れおだび」さんのブログで記事にされていて、思い出したので、このブログでも書かせてもらいます。日経新聞の土曜日恒例、NIKKEIプラス1の先週版(1月26日)の「何でもランキング」は「一度は見てみたい絵画」。この欄でアートを取り上げるのは珍しいと思いますので、紹介してみます。(ご覧になったかたも多いと思いますが)。ランキングは、ちょっと興味深いです。
1.モナリザ:レオナルド・ダ・ヴィンチ(ルーヴル美術館)
2.ひまわり:ゴッホ(損保ジャパン東郷青児美術館など)
3.叫び:ムンク(オスロ美術館など)
4.最後の晩餐:レオナルド・ダ・ヴィンチ(サンタ・マリア・デッレ・グラッツェ教会修道院)
5.ゲルニカ:ピカソ(国立ソフィア王妃芸術センター)
6.落ち穂ひろい:ミレー(ルーヴル美術館)
7.最後の審判:ミケランジェロ(システィナ礼拝堂)
8.睡蓮:モネ(オランジェリー美術館など)
9.民衆を導く自由の女神:ドラクロワ(ルーヴル美術館)
9.真珠の耳飾りの少女:フェルメール(マリッツハウス美術館

このランキングは、インターネットでの調査。予備調査などであがったものなど33作品から、調査者に5つ選んでもらったもの結果。有効回答は1030。

記事では、

10位以内にルネサンス期の三作品が入る一方、日本人になじみ深い印象派の作品は比較的少ない。

とあります。確かに日本人に人気のルノワールはありませんね。また、マティス作品もないです。
ルーブル美術館収蔵の作品しかみたことはありません。これからいくつ見られるかな。
ちなみに、私のいちばんみたい絵画はピカソの「夢」です。

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2006/01/16

仙台の富士フォトサロン

東京では、写真関連メーカーが運営しているフォトサロンやギャラリーが、いくつかあります。富士フィルム、ニコン、キヤノンなどがやっているフォトスペースで、無料で写真展を楽しめます。
仙台にも、いくつかフォトサロンがあります。富士フォトサロン仙台、キヤノンギャラリー、ニコンギャラリー。このうちキヤノン、ニコンは残念ながら土日は休みです。富士フォトサロンは土日も開場。昨日、いってみました。
サロンでは、仙台で活動されている風景写真家・竹内正さんの写真展「彩影3」が開催されていました。全部で30作品が展示されています。特に様々な富士山の姿をとった「富士彩影」は、印象的な作品がいくつかありました。富士山をみていると、なぜか心が和みますね。
この富士フォトサロン、一昨年開設されたとのこと。定期的に作品展が開催されています。これからも、機会があればのぞいてみようと思います。

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富士フォトサロン

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2006/01/11

伊集院静の「読書をする人十選」

日経新聞の最終面は文化面です。ここにアートの「○○十選」というコラムがあるのをご存じでしょうか。美術に関わりのある人が特定のテーマを設定、そのテーマにあたる10枚の作品についての文章を綴るもの。いま、このコラムは作家・伊集院静の「読書をする人十選」が掲載されています。第一回はルノアールの「読書をする女」。そのあと、フラゴナール「読書」 、ジャルダン「画家ジョゼフ・アヴェドの肖像」、マネ「エミール・ゾラの肖像」と続いています。(今朝はなぜか載ってません)
伊集院静は、作詞家やユーミン、松田聖子などのコンサートの演出で成功した後、次の仕事として作家になるか、画家になるか迷って、作家になったとか。昨年、スペイン美術について書いた「美の旅人」を上梓しています。
伊集院静はどのようにして絵を見るのか?第2回のフラゴナールの回でこんな一文があります。

私の絵画鑑賞法は、絵画をただ見ればいい、それだけである。絵画は作品がすべてを語ってくれている。下調べも知識も必要がない。本物を見る方がいい。

いや、すごい言葉ですね。凡人は、こうはいきません。

これから、どんな絵を取り上げてくれるのでしょう。楽しみです。

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2005/12/31

ミュージアムで選んだ今年のベスト展覧会

今年も今日で終わり。私としては「長い一年だったな〜」って感じです。やはり〔仕事+毎日ブログ+通信大学生〕×単身赴任 のせいかな。
今年見た美術館の企画展を数えてみました。計48。これに大学の課題作成の資料収集のため、宮城県美や東博などの博物館、美術館にいったことを含めると、50回以上はミュージアムに足を運んでいることになります。自分では多いと思うのですが、いつもお邪魔しているアートのことを書いているブロガーさんたちは、100回以上展覧会をご覧になっているかたもおられます。私としては、東京には月2回くらいしか帰れず、その合間に、勉強やら家の雑事やらをやっていることを考えると、これが精一杯でしょうね。

今年、印象に残った展覧会を選んでみました。とはいってもそんな多くはみていないし、仙台在住のため、首都圏で開催された企画展で、みたものは多くはありません。それゆえ、「美術館と企画展」というポイントで5つ、選んでみました。別な言葉でいうと、アートマネージメントな視点での選出です。順位は付けていません。

★練馬区立美術館:「佐伯祐三:芸術家への道」
自治体が運営している美術館は、ほとんど例外なく財政上運営は厳しい状況です。その状況の中、この「佐伯祐三:芸術家への道」は、練馬区立美術館と和歌山県立美術館が共同での企画展。内容の質的な面から、高く評価されていいものだと思います。個人蔵を含め、国内の佐伯作品を充分に集め、作家の創作過程が俯瞰できる素晴らしい美術展でした。(以前に書いた記事です

★横浜美術館:「李禹煥 余白の芸術」
横浜美術館は現代美術系の企画が充実していて、楽しませてくれます。春に開催された「マルセル・デュシャン展」も刺激的でした(当事、私はダダ、という運動も知らずデュシャンの作品をみても???の連続でしたが)。この「李禹煥 余白の芸術」も、アーティスト本人とミュージアムが、「作品をどうみせるか」を考え尽くしたことが、実感できる充実した企画でした。床のカーペットをすべて剥がし、展示を構成した姿勢は、評価されていいと思います。(以前に書いた記事です

★宮城県美術館:「安井曾太郎展」
地方の美術館は、どこも運営は厳しい状況で、独自の企画展を行うことさえ難しい館もあります。宮城県美術館も状況は同じだと推察しますが、ここの企画展示は充実したものが多い。「安井曾太郎展」は宮城県美術館、茨城県近代美術館、三重県立美術館の共同の企画のようですが、展示は充実したものでした。地方の美術館が連携しての企画展は、これから増えていくでしょう。(以前に書いた記事です

★国立西洋美術館:「ジュルジュ・ド・ラ・トゥール−光と闇の世界」
現存する作品が41点しかないジュルジュ・ド・ラ・トゥール。その半分にあたる作品がこの展覧会でみられました。西洋美術館でラ・トゥール作品を手に入れたため、各美術館が貸し出しに応じた、とのことですが、やはりこの企画展を実現した西洋美術館は、素晴らしいと思います。(以前に書いた記事です

★東京国立博物館:「北斎展」
いっぱいの人が訪れた話題の「北斎展」。集客の第一の理由は、なんといっても世界の美術館から北斎作品が、500点も集められたこと。これは、並大抵のことでは、実現できないことだと思います。東博の底力を感じました。展示された作品数の多さと、質の高さで、今年ナンバーワンの展覧会ではないでしょうか。(以前に書いた記事です

さて、来年はどんな美術展に出会えるのでしょう。楽しみです。

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2005/12/12

家族でみにいきました:横浜トリエンナーレ

やっと「横浜トリエンナーレ」にいってきました。家族そろって、横浜の山下ふ頭の会場へ。みなとみらい線の元町中華街駅より歩くこと5分ほどで会場入り口に着きました。意外と地味なエントランス。ここを入って本会場へは10分ほど歩きます。道の上には、旗が風になびいています。これはビュラン・サーカス・エトカン(フランスのユニット)の作品。

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「アートサーカス:日常からの跳躍」とサブタイトルがつけられた、このトリエンナーレは、いうまでもなく現代美術の展覧会です。来場者は若者が多いです。その反面、うちみたいな中学生くらいの子ども連れは、あまりいません。おばさん軍団は皆無(笑)。コンテンポラリーアートですから、素人美術愛好家の私には、ちょっとハードルが高いです。
わからないながら、全体の印象をいくつか書いてみます。
まずは、アーティストのメッセージが明確に感じとれた作品が多くなかったな、と感じました。インスタレーション、ビデオアート、パフォーマンスなど表現方法は様々ですが、その表現だけでは感動はしません。やはりアーティストが何を伝えたいかが、こちらに渡されないと、作品の価値はないと思うのです。
次に、視覚に訴える作品が圧倒的に多い。特にビデオプロジェクターを使った、ビデオアートに属する作品が目立ちました。聴覚に訴えかける作品は、少なかったです。ビデオアートは、今では新しい表現方式ではないでしょう。ちょっと保守的なイメージですね。
また、あくまで印象的なものかもしれませんが、アジアの色合いが濃い内容だと感じました。これは東洋、日本でのトリエンナーレですから、至極当たり前なのかもしれません。

女房も同じ意見だったのですが、このイベント、予想していたより地味。もっと大々的な、派手なものと思いこんでいました(入場料も大人1800円ですしね)。現代アートをみられる機会は、そうはありません。その意味では、必見のイベントだと思います。これを機に、私もコンテンポラリーアートを勉強せねば、と思わせてくれるトリエンナーレでした。

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2005/11/28

創造的な「仙台芸術遊泳」

今月から来月にかけて、せんだいメディアテークを中心に「仙台芸術遊泳」と題されたイベントが各所で行われています。これは宮城県内の美術館、大学、NPO法人などが、視覚芸術振興に関するさまざまな活動を行うアートプロジェクトです。正式には「せんだい視覚芸術振興くみあい―SCAN:Sendai Contemporary Art Network―」が運営してます。
以前、宮城県美術館で学芸員さんとお話したとき、「宮城県美とメディアテークの連携は?」とお聞きしたら、積極的な連携はとれていない旨のことをおしゃっていました。たとえば、近代美術を扱う県美術館と、現代美術を守備範囲とするメディアテークが、有機的に連携できらたいいな、前から思っていました。この、「仙台芸術遊泳」は、宮城県内の文化機関や大学が相互に協力しながら、芸術振興しようというものですから、かなりクリエイティブな試みです。
昨日はせんだいメディアテークで、アーティストの金沢健一さんの彫刻とかかわりながら、子どもや大人が参加するワークショップが行われていました。「コラボアートラボ」と題されたイベントは、金沢さんの作品「音のかけら」を中心に、宮城教育大学の方や、教員の方がサポートしながら、子どもや、大人がさまざまな表現をつくりだすもの。すこしだけのぞいてみたのですが、参加者の方はとても楽しそうでした。

金沢さんによるパフォーマンス
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「仙台芸術遊泳」は、このワークショップ以外にも、楽しいアートイベントがいくつもあります。これからの地域アート振興にとって、大きな試みだと思います。

仙台芸術遊泳WEB

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2005/11/09

新聞カレンダーの絵画

新聞を家庭に配達してもらっていると、月一回カレンダーが付いてきませんか?日経や朝日新聞では、一枚のカIMG_4095
レンダーが月末近くに新聞と一緒に入ってきます。東京の実家では、冷蔵庫の扉に貼って、スケジュールとか書き込んでいます。
仙台の家では、寝室の戸に貼ってます。書き込んでいるのは、毎朝のジョギング記録(何分走ったか)と、自炊記録です。自炊記録というのは、毎週11回以上を自炊することを目標としているので、自炊の食事だったら○をつけているもの。
仙台では日経新聞を取っているのですが、カレンダーは宮城版になっていることに最近気づきました。カレンダーの左上には、毎月絵画がのっているのですが、これは宮城の画家さんの作品なんです。地元で活動していらっしゃるアーティストさんが2ヶ月くらいの単位で、入れ替わりカレンダーを飾っています。風景画、静物画が多く、毎日みるのにはいいようです。
今月は吉田絹枝さんの「みのり」。季節感も感じられていいですね。なかなか気の利いた企画だとも思います。

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2005/07/25

街の中の彫刻:佐藤忠良の作品に気づきました

うちからはすぐそばある仙台タワービル。隣が旧中央警察署です。ここの一階にサンクスがあり、国分町の帰り(?)によったりします。このタワービルの一階のエントランスにさりげなく彫刻があります。先日、よくみてみたら、これが佐藤忠良さんの作品「娘の像」。佐藤忠良さんといえば、宮城県出身の著名な彫刻家。私はなんとも彫刻には弱いのですが、手元にある『日本の美術館をを楽しむ』(朝日新聞社)では「塑造による具象表現に徹し、写実とヒューマニズムに基づいたブロンズの人間像を発表してきた」とあります。
宮城県美術館には佐藤さんからの寄贈作品に基づき、「佐藤忠良記念展示室」があります。ここ一回いきましたが、印象に残っていません、やはり、私にとって彫刻は勉強が必要なようです。
この「娘の像」は、ほとんどなにも身につけていない少女が表現されています。
こんな場所に、さりげなくある彫刻。なにかいいな、と思いました。

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2005/07/13

宮城県美で一人のギャラリートークは

この前の日曜日、宮城県美術館のギャラリートークがあるのを知り、いってみました。午後1時からだったのですが、まずは受付のおねえさんに、集合場所を尋ねてみると「・・・?」って感じで、すぐにわかんなかったです。結局集合場所は常設展の入り口のところ。で、いってみると参加者は私ひとり!担当の学芸員さんとマンツーマンになってしまいました。学芸員さん曰く「参加者は1人とか、ゼロのことも多い。たまに10人くらいのときがあって、そのときはあがちゃうんですよ」と。1対1になってしまったので、私の個人的な美術のバックグランドをお伝えして、ちょっと贅沢なツアーをしていただきました。
あたりまえですが、学芸員さんは展示してある絵のことは詳しい。一人でみるのでは、到底わからないことを、たくさん学ばせてもらいました。個々の絵のこともそうですが、ツアーの最初に教えてもらったことに、興味深いことがありました。それは「宮城県美術館」は、「宮城県立近代美術館」といったほうがその概念が正確に伝わる。つまり、県立=税金で運営している、近代=所蔵作品は近代以後のもの。なるほど、と思いました。
ともあれ、これだけの知識が得られるギャラリートーク、利用しない手はありませんね。また、決められた時間以外でも、お願いすれば作品解説をしてくれるとのこと。また、お願いしようと、わがままに思っています。

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2005/07/07

異才と呼びたい中川幸夫:「いのちのかたち」展

このところの宮城県美術館は、充実した企画展を開催していると思います。先日の「安井曾太郎展」は茨城県近代美術館に巡回したあと、「新日曜美術館」で取り上げられたり、日経新聞の美術欄に掲載されたりしています。いま開催されている「花人中川幸夫の写真・ガラス・書−いのちとかたち−」展も、見ごたえがありました。
中川は、独自の花を生ける作家です。この美術展では本人が高齢でもあり、生け花そのものはなく、作品を本人が撮影した作品が展示されています。最初見はじめたときは「なんだ写真か」と感じたのですが、みすすめていくうちに、引き込まれていきます。特に魅了されたのが、器に生けられた花の作品。有名作家作の器や古い器(弥生土器、須恵器、室町時代常滑甕など)と、そこに生けられた花や植物が闘い、ぎりぎりのところで調和して、美をつくっている様が見事です。どきついながら、独自に美の世界を形成している花作品が並び、壮観。
一方、実物が展示されているガラス作品は、違った印象で見ごたえがあります。ガラス器は、花とは対象的に柔らかな曲線で造られ、みていると心が和んできます。作品のめざすところは違うと思いますが、なぜか先日みたハンス・アルプの作品と同じ感覚になりました。
また、書は一転して生命のパワーを感じるダイナミックさです。

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中川は、「生け花作家」というくくりに入れてしまうと、その才能がただしく評価できないかもしれません。この美術展、宮城県美術館のあとは、中川の出身地丸亀の丸亀市猪熊弦一郎現代美術館に巡回するだけのようです。ちょっともったいないと思いました。

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2005/06/28

ワタリウム美術館で「岡倉天心」展をみる

先週末、東京・青山のワタリウム美術館で「岡倉天心展−日本文化と世界戦略」をみてきました。招待券を持っていたのですが、なかなか行けず、最終日の17時過ぎに、駆け込みで入りました。ワタリウム美術館は、久しぶりです。会場は、最終日のせいか、混雑していました。意外だったのは、若い人に混じって、中年以上とおぼしき方が多かったこと。岡倉天心=お茶のイメージのせいでしょうか。
この展覧会は、岡倉天心の作品、書簡などの資料や、ゆかりがあった人の発言などの周辺資料で、岡倉天心の生涯を辿ろうというもの。「世界戦略」とは大仰な題ですが、それほどの展示内容とは、残念ながら思えませんでした。
ただ、驚いたのは岡倉天心の若い頃のキャリア。13歳で東京大学(当時東京開成学校)に入り、18歳で卒業し、現在の文科省に入る。その後、日本美術学校(現東京芸術大学)の創立にかかわり、28歳で校長を務めたという。なんとも早熟な天才だったんですね。

ワタリウム美術館は講座、ワークショップを数多く開催していて、かなり魅力的なものもいくつかありました。美術館としてはちょっと狭いスペースですが、目が離せない館のようです。

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2005/06/26

隠れた名美術館:日本民藝館

mingeikann最近、比較的小さな美術館にいく機会がふえています。まだまだ訪れたことのないミュージアムも多いです。先日、初めて東京の駒場にある「日本民藝館」にいってきました。民藝とは、民衆的工藝のこと。この日本民藝館の創設者・哲学者の柳宋悦らによってつくられた言葉。
この「民藝」とはいったいなんなのでしょう?私なりに解釈すると、『有名なアーティストがつくるものと対極にあるもの』。器とか生活道具、染織品とか、生活の中で使うものに美を見いだそうということ。日本民藝館ではこれを「用の美」と表現し、作品を通じて伝える美術館だと言っています。

日本美術館は、井の頭線の駒場東大前駅から徒歩5分くらいの、住宅地の中にあります。重厚な扉を開けて中に入ると、まず靴を脱いで館内に。開館は昭和11年とのことですので、かなりの歴史です。ただ、本館の改築、新館の増築など手が入れられ、古さを感じません。
展示は、年四回の企画展が行われています。また、常設の展示も、1万点をこえる収蔵品から、年四回季節ごとに展示替えを行っています。
展示されている陶磁器、織物、染物、木・漆工、絵画、金工、石工、竹工などの作品は、どれも制作した作家の名前はありません。しかし、無名な人の作品といっても、質は高いです。私にとっては、見応えがある作品が揃っていました。

今月号の「芸術新潮」はなぜか、この日本民芸館の特集。決して大きくない美術館ですが、館の主張が明確です。大きな美術館で、企画展をみることの意味を、考えさせられました。

日本民藝館 WEB

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2005/06/21

根津美術館:唐物茶入展の魅力

IMG_3163一昨日、東京に帰った際、父の日ということもあり、墓参りに。お墓が青山にあるので、帰りに根津美術館に寄ってみました。できれば、朝鮮・高麗の青磁をみたかったのですが、展示されておらず、ついでといってはなんですが、企画展「唐物茶入」を観覧。
茶入は、茶の湯で濃茶を入れる陶製の小壷のこと。このことすら、浅学な私は初めてしりました。中国から入ってきた小壷は、どうやら茶入とは別の用途だったようですが、日本では唐物茶入として、江戸時代までは茶道具のなかでは最も尊重されたもの。
茶入れは、その形態のよっていろいろな名称がついているのが、私には面白く感じました。「大海」、「茄子」、「文淋」、「肩衝」、「瓢箪」、「鶴首」、「笹耳」など、どれも茶入れの形態が想像できる情緒ある名称。館内は、着物をきたご婦人が、熱心に見入っているなど、女性の方が多く、賑わっていました。

根津美術館にいったのは、ほんと久しぶり。都会の喧噪の中、爽やかなひとときを過ごせました。

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2005/06/20

横浜美術館、民営化への動き

美術館の置かれている状況は、厳しいようです。
昨日の東京新聞によると、

横浜美術館が民間に門戸を開く公募方式で運営主体を選ぶことを決めた。

とのこと。
美術館の運営については、2003年の自治法改正で、「指定管理者制度」が導入され、民間企業も受託できるようになりました。この法改正を受け、兵庫の芦屋市立美術館は、2006年度までに民間に委託、委託先がみつからない場合は休館、という方針が発表されました。このことに対し、「芦屋市立美術博物館を考えるワーキンググループ」がつくられ、このことに反対する運動を展開しています。

公立の美術館は、大胆な改革が必要だと思います。このままでいくと、日本にミュージアムは一部の美術ファンだけに支えられる構造になってしまいます。日本の美術館は、もっと開かれるべきでしょう。いまでも、美術館は敷居が高い、行きずらい。子供は連れていけない、など、なにか閉じられている印象は、否めません。民間の血をいれ、大胆に改革して欲しいと思っています。
横浜美術館は、充実した企画展を開催し続ける、素晴らしい美術館です。素人からみても、収益面では問題はないのかな、と感じているのですが、そうではないんでしょうね。
また、私を含め住民も、もっと美術館に提言していかなければいけないと、改めて思いました。

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2005/06/12

充実している目黒区美術館コレクション展

takahasi東京都の区立美術館といえば、まずは世田谷美術館を思い出す方も多いのでは。でも、目黒区立美術館(目黒区美術館)もちょっと地味ながら、充実した活動を行っています。いま、「目黒美術館コレクション展」が開催されています。この企画では、近年新たにコレクションに加わった作品を中心として、過去23年に渡り収集された作品のうち、寄贈のものを中心に展示。これらの作品は、なかなか見応えがあります。
私が特に気になったのは藤田嗣治のシャーマンコレクション。陶器とか、木で制作した人形があり、藤田がこんなものをつくっているのか、と新鮮でした。また、同じく藤田の「動物群」は動物がアンバランスな構図で描かれ、油彩ながら日本画に思える画風の作品。
岡田謙三の「銀」は、シンプルながらキャンバスに描かれた形と色、配置に引きこまれる作品。

今回出展されたのは80点ほどですが、目黒区美術館所蔵の作品の充実度を知るには、とてもいい企画展だと思います。

※写真は高野二三男「人形を持ったパリジェンヌ」

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2005/06/06

3億1千万円で落札されたルノワール

先週、国内のオークションでルノワールに作品2点が3億1千万円で落札されたニュースが報道されました。国内では市場2位の落札価格とか。この金額が安いか、高いか私には判断できません。テレビや、新聞でみたこのルノワールの2作品(「花かごを持つ女」と「婦人習作」)は、1点は習作ですし、ルノワールの傑作ではなさそうです。
このことで、とある画商の方とお話したところ、その方は「絵画がこのような高額で落札されたことは、絵の価値がやっと上がるのかな、と思いました。」とおしゃっていました。日本では、まだまだオークションで絵画が取引されることが馴染んでいないようで、ルノワール作品の落札は、価値があることかもしれません。
いずれにしても、この2作品、はやく実物を鑑賞したいものです。

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2005/06/05

国立博物館の実力

kokuritu_musuemとある事情で「浮世絵」について調べる必要があり、上野の東京国立博物館へ行ってきました。この博物館へいくのは、はじめてか? 現在、平成館で企画展「ベルリンの至宝展」が行われていますが、私のお目当ては、本館。ここは昨年の秋にリニューアルされ、2階は「日本美術の流れ」と題され、時系列に展示がされています。これは、わかりやすい展示ですね。
浮世絵は「浮世絵と衣装」と題された部屋にあり、喜多川歌麿、歌川広重、鳥居清長といった代表的な浮世絵作家の作品が見られました。いいなと思ったのは、フラッシュ、三脚を使わなければ撮影が可能なこと。記録をとるためには便利です。博物館や美術館といえば撮影禁止、メモも鉛筆以外不可、と思いこんでいましたが、そうではないんですね。

東京国立博物館は、本館のほか、東洋館、法隆寺宝物館、平成館とあり、おそらく一日かけてもみきれないでしょう。常設展だけみるなら料金はわずか420円(学生は130円」!)です。時間があるときに、じっくり攻略したいと思いました。

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2005/06/04

昔、家にあった百科事典と電子辞書

かつて多くの家庭に、百科事典がありました。子供部屋や居間に、百科事典が鎮座していたものです。私のようなオジサン世代の方は、記憶にあるのでは。せっかく父親にかってもらった百科事典も、残念ながらあまり使いませんでした。
先日、電子辞書を買いました。とあることで、レポートを書く必要があり、思い切って購入。最近の電子辞書は進歩してますね。収録されている辞書が、80もあるタイプもあります。店でいろいろ単語検索をして、買ったのは「ブリタニカ国際大百科事典」が収録されているもの。この大百科事典には15万語あまりの項目が収録。項目数が多く便利なうえ、各項目の解説も詳しく記述されています。買った電子辞書には、この「ブリタニカ国際大百科事典」を含め、50もの辞書が収録されています。

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かつての百科事典は、20、30万円はしたはず。当時、会社で休み時間などに販売する「職域販売」が多く、みんな行列して買ったという伝説もあります。この電子辞書は、Yカメラで買ったのですが、ポイント還元を含めると3万円以下で販売されています。この価格差、ちょっと衝撃的です。

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2005/05/29

17−19世紀のフランス絵画を学ぶ美術展

先日東京の損保ジャパン美術館で「魅惑の17世紀-19世紀フランス絵画展」を見てきました。この美術館を訪れるのは久しぶりです。あいにくゴッホの「ひまわり」は外出中でしたが。
さて肝心の絵画展ですが、美術史がまったく頭にはいっていない私にとっては、会場ではオーソドックスな作品群を丹念にみていくことにしました。印象に残った作品いくつかにふれてみます。
ジョセフ=マリ・ヴィアンの「決して愛さないことを誓うふたりの若きギリシャ娘」は、そのタイトルの不思議さのとおり、描かれた二人の娘と、そばでひざまずく男、という構図が、絵の中に幻想的と感じられる世界をつくっています。ジャン=パティスト・グルーズの「両手を組み合わせた少女」は、精緻に描かれた少女の美しさに見とれてしまいました。
フレデリック・バジールの作品は、描かれた人物だれもが、独特の存在感を感じます。特に「草の上に横たわる少年」は、少年の裸像と不安定な構図に魅せられました。

会場でいいものを見つけました。この企画展のためにつくられたジュニア版のブックレットです。この企画展の目玉はギュスターヴ・クールベの「こんにちはクールベさん!」ですが、このブックレットの冒頭にはこう説明してあります。

この絵を見て、みなさんはどんな印象を持ちましたか?100年以上前、この絵を見た人たちはとてもおどろきました。なかには美しくない悪い絵だと考えた人もいました。どうしてそんなにおどろいたのでしょう。そのなぞをとくために、クールベがこの絵を描くまでのフランスの歴史をたどってみましょう。

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作品が描かれた時代の歴史と絵画様式がわかりやすく説明されてます。素人美術愛好家の私には、ほんと親切な一冊です。まずこのブックレットを読んでから、作品をみればよかったと思いました。こんな企画は、ほかの美術展でもぜひやって欲しいものです。

☆この美術展をご覧になった方のいくつかのブログにTBさせていただきます。

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2005/05/21

森の中の国際芸術センター

art_center_2先日青森にいったとき、ちょうど近くまでいったので、「国際芸術センター青森」による時間がありました。ここは建築家・安藤忠雄さんが設計した建物で、展示棟、創作棟、宿泊棟の3つの建物があります。この芸術センターでは国内外のアーティストを招き、センターに宿泊しながら創作活動をしてもらう「アーティスト・イン・レジデンスプログラム」と名付けられたものが特徴。アーティストの滞在期間は2ヶ月余り。その期間中、展覧会やワークショップなどの交流プログラムを行うことになっています。青森市でも、かなり郊外に位置する場所にあるセンターに滞在し、アーティストに創作してもらうという発想は、かなり独創的なものだと思います。現状、活動状況は盛況なんでしょうか?ちょっと気になります。

art_center_aomori


訪れたとき、ちょうど河口龍夫さんの「時間の時間」と題された展覧会が行われていました。展示棟の中は、安藤建築らしい打ちっ放しを使ったスペースです。また、このセンターの屋外には、いくつもの作品が設置されていて、自然と解け合っています。

アートと自然の共生が実現した国際芸術センター、近くにあればしばしば訪れたいような施設です。

国際芸術センター青森

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2005/05/15

甦る「つくば写真美術館」

仙台のメディアテークで、「幻のつくば写真美術館からの20年」と題された写真展が開催されていて、昨日みにいってきました。この『つくば写真美術館』とは1985年に行われた「科学万博ーつくば’85」の開催に合わせ、期間限定で開館されたもの。この美術館では「パリ・ニューヨーク・東京」という写真展が開催されました。3つの都市の写真家170人、400点の作品が展示。
この、「幻のつくば写真美術館からの20年」は、当時の写真に加え、85年のつくば写真美術館以後の作品を加えた250点を展示しているのものです。写真展は『第1部 「85/」復活! 幻のつくば写真美術館』、『第2部 「/05」ニュー・ジェネレーション 継承者たち』の2部構成になっています。

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前置きがながくなってしまいましたが、これだけの写真家の作品がみられる写真展は、東京でもめったにありません。印象に残った写真を簡単に触れてみます。第1部では、マン・レイの「白と黒」は不思議な女性ポートレイト。水俣病の報道で有名なユージン・スミスの「楽園への道」は心に引っかかる一枚。木村伊兵衛の作品は3点、その中でも構図の妙と、人物の表情に引かれる「青年」がいいです。桑原甲子雄の「薬局」は不思議な世界を醸し出す佳作。荒木経惟 の「『少女世界』より」(上の写真)は、自身がモデルとなったアラーキーワールド。第2部では、森山大道の作品にひかれます。3点の作品のうち「五所川原」は写真の中に入ってしまう錯覚に陥ります。オノデラユキの「関節に気をつけろ」は、モノクロの奇妙なメッセージ作品。

この写真展は当時「パリ・ニューヨーク・東京」が宮城県美術館の協力で行われたため、仙台で企画されたようです。これだけの写真展ですが、広い会場には5人ほどしか鑑賞者がいませんでした。ちょっと残念です。首都圏には巡回されないんでしょうか? 見ごたえのある写真展です。

幻のつくば写真美術館からの20年WEB
この写真展のことをかかれているブログにTBさせていただきます。

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2005/05/09

安井様式の魅力:安井曾太郎展にいく

梅原龍三郎と並び、日本の洋画界を代表する画家、安井曾太郎の没後50年を記念した「安井曾太郎展」が宮城県美術館で開催されており、きのうみにいってきました。安井の絵は、何点かみていると思いますが、この美術展では時系列の安井の系譜をたどり、作品をみることができます。
安井の作品は「安井様式」と表現される独自のスタイルをもった油絵です。この「安井様式」ということ、はじめて知ったのですが、どういうものか、会場の解説を引用してみます。

あざやかな色彩に白や黒を併用して強い対照を持ち込み、同時に大胆な省略とで形態をデフォルメする

安井の作品は肖像画に特徴があります。代表的な「金蓉」は明暗のコントラストを抑え、色彩を生かした作品。その鮮やかさが印象的です。また「座像」はビビッドな色彩と、強い輪郭線、描かれた女性の個性的な表情は、単なる肖像画とは思えないメッセージを感じます。
また、安井の静物画はその構図に特徴があると思います。「卓上静物」や「桃」は、不安定な構図と、白いテーブルが印象的。これも、大胆な輪郭線が描かれ、独特の画風を作っています。また、風景画で印象に残ったのは「霞沢岳」、何種類もの緑色で描かれた、静かな印象に風景画です。

安井の作品を時系列にみて、安井のすごさがわかりました。見ごたえがある美術展です。

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2005/05/06

ウナセラ・ディ・トーキョー、東京風景の懐かしさ

「ウナ・セラ・ディ東京」って歌謡曲知ってますか?私、ずっと気になってたんです、世田谷美術館で開催されている写真展「ウナセラ・ディ・トーキョー 残像の東京物語 1935〜1992」をきいたときから。歌のほうの「ウナ・セラ・ディ東京」はザ・ピーナッツのヒット曲ですね。調べてみてやっとわかりました。ザ・ピーナッツは、私の世代だと、ちょっとずれてて、リアルタイムではないんです。

前置きが長くなってしまいました。昨日、写真展の「ウナセラ・ディ・トーキョー」を見てきました。この写真展、〔東京という都市に魅せられた7人の写真家〕が東京の風景、人物、建物、などをとらえた写真展。その7人とは荒木経惟、桑原甲子雄、高梨豊、濱谷浩、平嶋彰彦、宮本隆司、師岡宏次。
高校生のとき、「アサヒカメラ」愛読者だった私にとって、桑原さんは最高の写真家です。昭和10年代から、ほんの10年くらい前まえの90年代まで、東京をとり続けるています。桑原さんが、90年代に撮った写真、相変わらず時代を切り取るパワーがすごいです。1913年生まれですから、かなりの高齢です。びっくりしました。
また、荒木さんが「天才アラーキー」になる前か?、猥雑、淫乱ではない、ふつうの風景が撮された写真もいいです。昔はそうだったんですよね。
高梨さんの、なにげない東京の風景も、こころひっかかります。久しぶりに、高梨作品をみました。
師岡宏次さんの写真は、初めて見ました。銀座にこだわった、数々の作品。うつした風景は、古い時代のものですが、なにか新鮮な感動がありました。

東京にこだわった写真展、なかなかみものでした。

☆「ウナセラ・ディ・トーキョー」ご覧になったいくつかのブログにTBさせていただきます。

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2005/05/05

谷口吉生の美術館を見る

私の連休も、終盤。昨日は東京オペラシティアートギャラリーの「谷口吉生のミュージアム」を見てきました。この展示はニューヨーク近代美術館〔MoMA〕の増改築の設計を行った谷口吉生さんの作品をたどるもの。昨秋のMoMAこけら落としの展覧会「Yoshio Taniguchi: Nine Museums」に、日本独自のプランを加えた国際巡回展。

会場に入ると、まずはMoMAの大きな模型が目に入ります。MoMAってこんな大きな建物だったんですね。(15年ほど前にいっているんですが、全然覚えていません)この増改築は指名された世界の建築家10人でのコンペ。日本からは谷口さんと伊東豊雄さん。コンペの第一次選考は、「シャレット ボックス」という50×25センチくらいの小さな箱に入る資料をもとに行うというもの。この現物が展示されていましたが、増改築の構想を手書きのラフスケッチのようなものがありました。このような選考方法って、一般的なのでしょうか?どのような基準で選ぶのか、興味がわきました。(2次選考は、設計図面、模型による選考)

MoMAの展示以外は、国内の作品(主に美術館)が、美しい作品と、模型で展示されています。私は、展示されている谷口さんの設計された建物は、ひとつも訪問したことがありません。直線の使われ方が、印象的な建物が多いと感じました。以前住んでいた金沢、ここのある金沢市民図書館が谷口さんの作品ですが、建物の中にいると落ち着いた開放感がありました。

美術館とアートの関係が気になった、展覧会でした。

☆この展覧会をご覧になったかた、いくつかのブログにTBさせていただきます。

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2005/04/30

源氏物語絵巻の素晴らしき世界

goto 遙か850年前の絵巻は、幽玄なる源氏物語の世界へ誘ってくれます。昨日から、上野毛の五島美術館で「源氏物語絵巻」の公開がはじまり、さっそく出掛けてきました。国宝の絵巻が公開されるのは、一年でこの時期の10日ほどだけです。展示にあわせて、学芸員の方のギャラリートークもきいてきました。トークはわかりやすく、絵巻のことが、初心者にもよくわかりました。
「源氏物語絵巻」は、十巻本として制作され(十二巻説、二十巻説もあり)、約4巻分が現存。そのうち1割弱が五島美術館にあり、残りの多くを愛知の徳川美術館が所蔵。今回の展示では五島美術館で保有するすべての絵巻:「鈴虫一」、「鈴虫二」、「夕霧」、「御法」が公開されています。
絵巻は平安時代、12世紀のはじめに書かれたとされ(これも異説があり)、「女絵」と呼ばれる貴族文化を背景として生まれ、院政時代に成熟したもの。
「源氏物語」の原文の一部を引用した「詞書」とそれを絵で表現した「絵」で構成される絵巻。建物は『吹抜屋台』と言われる屋根を省いた描写で書かれ、人物の顔は『引目鉤鼻』で表現される、独特の絵巻世界。そこは、見るものが、絵のなかで展開されるストーリー、人物の心情、人間模様を想像しながら楽しむ芳醇な世界が展開します。絵巻をみているうちに、平安時代の貴族たちの世界に入り込んだような、錯覚に陥りました。
ぜひ、みておきたい企画展です。

☆「源氏物語絵巻」のこと書かれているブログにTBさせてもらいます。

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2005/04/25

闇と光の深い情景−ラ・トゥール展へ

この春、美術ファンにとっては、ゴッホ展と並び注目の「ジュルジュ・ド・ラ・トゥール−光と闇の世界」展を、先週末見てきました。神秘の画家ともいわれるラ・トゥール、初めての鑑賞です。ラ・トゥールをまったく知らない素人美術愛好家は、事前に『芸術新潮』をざっと読んでいきました。しかし、なかなか手強かったです。

会場にはいると、まず「キリストと十二使徒」の連作。微細まで丁寧に描かれた作品ですが、この連作を理解するには、キリスト教の思想、知識が必要なことを実感しました。
現存するラ・トゥール作品の多くは蝋燭やランプに光に照らされた人物を描いた「夜の情景」と称される作品群です。展示されている中で、私は「書物のあるマグダラのマリア」がもっとも印象的でした。長い髪の聖女が、テーブルの上に置かれた頭蓋骨と対峙する姿から、闇と光の静寂が伝わってきます。図録では「全裸に近いにもかかわらず、ほとんど官能性を感じさせない」とありますが、私はこの作品に深い官能の世界を感じました。

展覧会の最後のゾーンには、ラ・トゥール展の白眉ともいえる「ダイヤのエースを持ついかさま師」が展示。この作品は、「夜の情景」に対し「昼の情景」に区分けされるもの。同じアーティストが描いたとは思えない、ダイナミックな作品。描かれた人物の表情、衣装、そして絵画をつくる構図に、見ているとぐんぐん引きこまれていきます。同じ「昼の情景」の作品で、『芸術新潮』に掲載されている「女占い師」は、もっと濃い作品で、実作を見たくなります。

la_tour

ともあれ、現存する真作が41点しかなく、このラ・トゥール展にはその半分がきているとのこと。その希少性からも、見逃せない展覧会といえそうです。

☆勉強させてもらったラ・トゥール展のブログにTBさせていただきます。

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2005/04/17

ゴッホ金太郎飴で思うこと

大混雑の「ゴッホ展」を見終わって、会場をでるとグッズコーナーが。かなりのスペースがとられていて、いろんなゴッホグッズが。定番のポスター、絵葉書、ノートなどから、トランプ、コースター、トートバッグまで。果ては「ゴッホのドライバー」やお菓子のマドレーヌまで。さらに、こんなものが。
himawari-tane kintaro

「ひまわりの種」「金太郎飴」ですね。金太郎飴は、ひまわりとゴッホのGが断面に。 平日にこれほど混雑している美術展も初めて。また、これだけの種類の美術展グッズをみたのは、初めてでした。これほど大勢の人がみにいくゴッホは、やはりわかりやすいアーティストなのでしょう。また、マスコミなどでの宣伝も、大きく貢献してるかもしれません。ただ、思うのは、運営が難しくなっている地方美術館が多い中、ゴッホ展に足を運んだ人が、他の地味でも内容は充実している展覧会(たとえば目黒美術館の川村清雄展は、そうだったと思います)を見にいってくれるといいと思いました。

美術展を見にいくと、

1.多くの人がいく有名アーティストの展覧会→来場者は全般的におじさん、おばさんが多い。2.一部のアート好きがいく展覧会→来場者は若い層が多い。このように2極化していると感じます。このような現象、日本だけなんでしょうか。ちょっと考えさせられました。

☆ゴッホグッズにふれたブログにTBさせてもらいます。

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2005/04/16

話題のゴッホ展へ

gogh
国立近代美術館で、「ゴッホ展」をみてきました。休みをとって平日にいったのですが、ものすごい混雑でしたね。10年ほどの画家としての短い活動、『生涯で一枚しか絵が売れなかった』というエピソード、ゴーギャンとの事件と、日本人にとってゴッホは好みの画家なんでしょう。この美術展は、ゴッホの作品約30点と、ミレー、セザンヌ、モネ、ゴーギャンなど関連作家や、ゴッホが傾倒したといわれる浮世絵も展示され、ゴッホの生涯を俯瞰できる構成となっています。
このところ、デュシャン、瀧口修造、アルプ、タピエスとシュルレアリスム系の美術展をみていたせいか、ゴッホの作品をみていると、なんとも分かり易さを感じます。とはいっても、感性で作品が出来上がっていたわけでなく、作品を描く過程は、綿密な理論をもとに構築されていたことを、先日のNHK『新日曜美術館』で取り上げていました。27歳で画家を志す、というアーティストとしては遅いスタートのせいか、理論だてられた作品制作だったようです。
また、10年ほどの短い時間の中で、画風が変わっていく様も、興味深いです。『新日曜美術館』で作詞家のなかにし礼さんが「ゴッホが、ゴッホになっていく」と、さすがうまい表現をされていました。

いちばん気になった作品は「花魁」。浮世絵を模写した作品。木綿を貼った紙に油彩で描かれていて、キャンバスとは違った油絵の具の色の発色が、花魁の怪しさを浮き立たせています。
「子守(ルーラン夫人の肖像)」には、圧倒的な存在感を感じます。ルーラン夫人の固い表情、キャンバス全体で使われている緑色、夫人の背景の花。絵から離れなくなるような感覚になりました。
また、死の直前に描かれた「ドービニーの庭」。色合いといい、筆遣いといい、見ていると心やすらぐ作品でした。
展覧会の目玉、「夜のカフェテラス」は思ったより小さい作品だなと感じます。しかし、作品としての完成度は高いと思いました。

気軽に楽しみたい美術展ですが、ちょっと混みすぎでした。

☆共感したゴッホ展のブログいくつかに、TBさせていただきます。

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2005/04/07

貴重な資料としての「瀧口修造図録」

IMG_2672
この前の日曜、世田谷美術館に出向いて「瀧口修造 夢の漂流物」の図録を買ってきました。2月にこの美術展をみにいったときまだ図録ができておらず、なんで?と思っていたのですが、本の中身をみてみて、なるほどと思いました。
この図録、単なる美術展の作品を収めたものではなく、瀧口修造の資料集といっていい内容が濃いもの。注目ものは瀧口に詳しい方が執筆した短い論評18編。これは、かなりの読みごたえがありそう。また、「瀧口修造による『作家の横顔』」も面白いです。ミロ、デュシャン、アルプから荒川修作、磯崎新まで、展覧会に出品されている作家たちに関する瀧口の言葉を集めたもの。出展作家の略歴もあり、これも資料としては有益。もちろん、瀧口自信の資料も写真を含め、多く掲載されています。

わざわざ買いにいったかいがありました。この図録を読んだうえで、展覧会をみれればいいのですが、今週末で終了、残念です。ちなみに、このあと富山県立近代美術館に巡回するとのこと。瀧口の故郷、富山まで見に行きたくなりました。

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2005/04/03

強いメッセージを感じる「タビエス展」

tapies2週間ぶりに東京に戻り、久しぶりに北品川の原美術館にいってきました。多分、ここを前に訪れたのは、10年以上前。館内には奈良美智の作品:My Drawing Roomが展示されてるなど、変わっていました。五反田の駅から、歩いて20分ほど、静かな住宅街の一画にある小さい美術館は、相変わらずの佇まい。
ここで開催されている「タピエス−スペインの巨人 熱き絵画の挑戦」をみてきました。同郷のピカソ、ミロの精神を継承した芸術家。瀧口修造とも交流があり「瀧口修造:夢の漂流物」にも作品が出展されていました。タピエスの比較的初期のから最近の作品まで、30点ほどが展示。

タピエスの作品をみていくと、「何かを突きつけられて」いるような感覚になってきました。こころがざわざわするような、変な感覚。「白のレリーフ」はカンバスにミクストメディアでつくられた作品。おそらく油彩で一面塗られたところにに、隆起した部分や、ひび割れが入り込み、みていると自分の心の襞をみせられているような気分になりました。
板+ミクストメディアでつくられた「十字とR」。石、落ち葉などを彩色された板の上に展開する作品は、何故か、みているうち落ち着かない気持ちになってきました。
いちばん気に入ったのは、2階への階段のところに展示してあった「天秤」。白地に、黒で大胆に描かれた天秤を思わせるもの。白の空間にひかれる作品です。

場所柄か、来場者は若い女性が目立ちました。出展作品は少なめですが、タピエスの才気を感じるには充分な美術展です。

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2005/03/25

心やすらぐ「ハンス・アルプ展」

IMG_2591この前、春分の日に神奈川県立近代美術館・葉山館に「ハンス・アルプ展」をみにいってきました。27日までの開催ということで、葉山までドライブをかねて、いってみました。ハンス・アルプも、葉山館も初体験です。
ハンス・アルプについては、なにも予習をせずにいってしまいました。会場にはいると、思ったより来場者が多くかったですが、混み合っているというわけではなく、ゆっくり鑑賞ができました。来場者は、若い女性の姿も目立ちましたね。
ハンスの作品は、かなり思想的な背景があるようですが、素人の私がみた感想は、なにか楽しい気分にさせてくれる作品が多いな、という感じです。昨年マティス展の時も、同じよう気分になったのですが、ハンスの作品をみていると、音楽を聴きながら楽しみたい、と思わせてくれます。これは、やはり造形的に、柔らかな曲線を多用し、色遣いも地味めの色が多いので、気分が和らぐのではないのかな、と思いました。
作品は、さまざまな材料、表現形式で造られています。例えば材料はブロンズ、大理石、ガラス、木、和紙+墨からタペストリーまで多様で、ハンスの創造力のたくましさを感じます。
日本でこれだけまとまってハンスの作品が見られるのは、当分ないかもしれませんね。
アクセスは決していいとはいえない葉山館ですが、わざわざ足を運ぶ価値のある美術展だと思いました。

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☆「ハンス・アルプ展」のことをかかれたブログにTBさせていただきます。

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2005/03/21

銀座の画廊と『川村清雄』をみて

kawamura画廊は、新しい作家と出会えるのでいいと思います。一昨日は、銀座の画廊を3か所みてみました。印象的だったのが、西村画廊町田久美:<à Sadeーサドに>。私にとってちょっと不思議な作品です。koso2.0 さんが詳しく書かれています。

そのあと、目黒美術館「『川村清雄』を知っていますか?」をみに。美術展としては、ちょっと意表をつかれるタイトルです。素人美術愛好家は、もちろん川村清雄を知りません。川村は1852年(嘉永5年)生まれ。勝海舟の助力で、アメリカに渡り、その後パリ、ヴェネチアで絵画研究を続けた。目黒美術館のリーフレットの表現では「近代洋画史に孤高の存在感を示す」とあります。
展示会場の冒頭に飾られている「ベネチア風景」。キャンバスではなく、板に油彩と水彩で描かれた作品は、精緻な画風に引きこまれます。
この作品に対し、紙本に油彩で描かれた「姫小松」、絹本に油彩の「鴨」といった作品は、(通り一遍の表現しかできませんが)その画風は日本画です。会場のパネルに「日本人による日本の絵画を探求した」と書いてあったことを思い出しました。
私が川村の作品でいちばん印象的だったのが、書籍の表紙や挿絵、装丁を手がけた仕事。パトロンの加島虎吉が出版社を経営していたことから、書籍の仕事をしていたのでしょうか。展示されている本をみていると、川村のデザイン感覚のよさがわかります。彼がもう少し遅い時代に生きていたら、アーティストとして名をあげていたかもしれないな、と思いました。
地味な展覧会ですが、足を運んだ価値がありました。

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2005/03/14

セントラルパークを包むサフラン色の門

昨日のNHK「新日曜美術館」の特集「セントラルパークがアートになる  クリスト&ジャンヌ・クロード」をみて、感動してしまいました。先月、ニューヨークのセントラルパークの道に7500個のオレンジ色(番組ではサフラン色と表現していました)のゲートを置く、壮大なる展示(このような表現がいいのかわかりませんが、これしか思いつかない)が行われました。このThe Gates, Project for Central Park, New York, 1979-2005と題された展示はクリストとジャンヌ・クロード夫妻の26年越しの企画。
しかし、7500もの門を作るだけでも、莫大な費用がかかります。今週号の週刊文春(3月17日号)のグラビアでも取り上げています。その記事によると、

約20億円とも言われる総費用は、夫妻の私財と、ドローイングの売り上げで賄われており、企業や自治体からの援助は全く受けていない。

とのこと。これはアートの公平と自由を何者にも左右されたくないという理由からとか。
新日曜美術館では、ゲートの設置が一般市民によって行われていたことが報告されていました。
でも、これだけの人力と費用がかけられた展示も、わずか2週間余りの開催(2月12〜28日)とのこと。なんとも短い。
ほんと、見てみたかった。週刊文春にはすごくいい写真が掲載されています。白い雪が降り、サフラン色のGatesとが、鮮やかにひきたっています。
ニューヨーク、アメリカのアートの奥深さを感じました。

このThe Gatesは英語のWEBですが、このURLにて見ることができます。セントラルパークの展示が写真で紹介されています。
Images from The Gates

☆The Gatesにことを書かれているいくつかのブログにTBさせてもらいます。(実際にご覧になったうらやましい方もおられます)

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2005/03/09

静かな感動−榎倉康二展

この前の週末、東京で「榎倉康二展」(東京都現代美術館)に足を運んできました。これまで何回も書いているんですが、私は素人美術愛好家ですので、恥ずかしながら榎倉康二さんの名前を知りませんでした。ちょっと迷ったのですが、いってみました。
この展覧会に出展されている作品は、油彩、写真、映像、シルクスクリーン、インスタレーション、そして綿布を使った作品まで、その表現方法は多彩です。
会場に入って、まず初期の「なまけもの」および「タイトル不明」の油彩+コラージュをつかった一連の作品。不思議な形の物体がキャンバスの中から訴えかけます。
またモノクロ写真は、写し込まれた空気を感じる作品。そしてモノクロの8ミリ、16ミリで撮影された映像作品も、妙に引っかかります。
私にとってもっとも印象的だったのは、綿布に油彩画、アクリルで彩色した作品群。1980年代初めの「Figure」もしくは「無題」の4点。「Figure」と題された6点の作品。「干渉」と題された木材を素材に加えた6点。これらの作品と、それを支える床、そして空間の広がりが、なんとも心地よい気分にさせてくれます。私は、これらの作品が展示された3つの部屋を、なんどかいったりきたりして、その空間を楽しみました。きっとこんな鑑賞法は、正攻法ではないのでしょうが。
見終わったあと、静かな感動がある展覧会でした。

☆榎倉展の見方を教えていただいたブログにトラックバックさせていただきます。

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2005/02/27

「おたく:人格=空間=都市」とメディア芸術祭

otakuこの週末は東京にいるので、気になっていた写真美術館の「グローバルメディア2005/おたく:人格=空間=都市」をみてきました。この展覧会では、自分の死までの時間をインプットして参加するという宮島達男+立花ハジメのインスタレーションもちょと怖かったですが、なんといってもみものはおたく展。
この「おたく:空間=人格=都市」はヴェネチア・ビエンナーレ 第9回国際建築展で話題を呼んだものの再展示。私の趣味範囲に「おたく」領域のもの(コミックとかフィギュア収集とか)がないので、展示を見ていても、単に面白いなあという感じ。たとえばレンタルショーケースの展示も、あれだけの数が展示されると、全部みるのはちょっと気合いが必要です。
その中で興味をひかれたのが『AHIHABARA』と題された模型の秋葉原の街。年代にそって3つある。はじめは電気街・秋葉原のころ。「石丸電気」、「オノデン」「LAOX」などの看板が目立ちます。二つめは「1980S’」のAKIHABARA。どのビルもなぜかビックカメラの包装紙(あの各メーカーのロゴが印刷したやつ)で覆われています。秋葉原に変わってディスカウンターが主役になったことの象徴でしょうか。三つめは、コミックのキャラがビルを覆っています。コミック、アニメの聖地と化したアキハバラを表しているのでしょうか。
また大阪万博の全景写真は懐かしかったのですが、これが「おたく」とどう結びつくかわかりませんでした。

写真美術館では、併せて「文化庁メディア芸術祭」の展示も開催されていました。こちらのほうが、いまのアートをみれるとういう点で、刺激的でした。

メディア芸術祭:BLOG

★「おたく」展のことを書かれている、感心させていただいたブログにTBします。

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2005/02/23

公立美術館の苦境と金沢21世紀美術館

公立美術館が厳しい状況におかれているようです。昨晩のNHK「クローズアップ現代」で『どうなる わが町の美術館』というテーマで、苦しい状況におかれた公立の美術館の現状がレポートされていました。芦屋市立美術館は、市の財政難から、1年のうち2ヶ月休館。このままでいけば来年度から休館しなければいけない状況で、いまNPO美術館の道を探っている。厳しいですね。

その一方で、昨年10月に開館した金沢21世紀美術館は、既に入場者が4ヶ月で50万人を突破したとか。金沢の人口は40万人余りですから、これはすごいことです。私は金沢に4年半ほど住んでいたんですが、この美術館の成功するかどうかは、ちょっと懐疑的でした。金沢は加賀百万石の歴史を持ち、伝統を重んじる風土、悪く言えば保守的な土地柄で、「現代美術」とはあまり相容れないと思っていました。でも、この成功、感服です。
番組の分析によると成功のポイントに、無料スペースの公開と、体験型アートの展開をあげていました。確かに既存の美術館は、美術ファン以外には入りにくい存在だったかもしれません。また、地元金沢市のすべての小学校を招待しているとか。これもいいですね。子供を美術館につれていく習慣がある親は少ないのではないでしょうか。
各地の美術館は、アートの才能を育んでいく礎だと思います。なんとか生き残りの道を探って欲しいと、願うばかりです。

☆「クローズアップ現代」、金沢21世紀美術館に触れられているブログにトラックバックさせていただきます。

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2005/02/20

アーキラボ展と森美術館

昨日は、森美術館で「アーキラボ:建築・都市・アートの新たな実験展 1950−2005」をみてきました。森美術館が初体験です(そもそも六本木ヒルズにいくのが2回目というお上りさん状態)。
この展覧会には、建築家がつくった模型や素描の膨大なコレクションが展示され、簡単にいってしまえばそれによって50年代から現在に至るまでの建築家たちの創造の軌跡をたどるもの。美術館で建築をテーマにするというのが、アプローチとしては面白いのですが、模型、スケッチなどで、実際の建物を想像するのは、私にはちょっと難しいこと。建築知識がない私が、膨大な展示物をみていると、単純に「変わった建物だな」とか「これってほんとにつくれるの」といった感想しかでてこないです。

その中で、展示に本筋からははずれるかもしれませんが、大阪万博の映像をやっていたのが面白かった。ほんの5分ほどの映像ですが、この万博の建物はほんと面白いですね。今みても、デザイン的に斬新とか、奇抜とか感じものがあります。愛知万博では、面白い建物あるのかな。私は東芝IHI館(確か黒川紀章の設計)が印象に残ってます。

かつて「館(やかた)行政」といわれた時代がありました。自治体がホール、図書館などの館をこぞってつくりました。その時代には、創造的な建築物も多くつくられたと思います。今は財政難で、どこもそんなことも出来ず、刺激的な建物も少なくなりました。
今後の建築は、どの方向に向かうのかな、と思いました。

初めて訪れた森美術館は、53階にある美術館。52階からエスカレーターでエントランスに入る仕組みで、そこが「売り」かもしれませんが、私はあまり魅力的な空間ではありませんでした。
そもそもあまり刺激的な建物とは感じられない六本木ヒルズで、「アーキラボ」展をやること自体、なにか皮肉めいてますね。

★参考にさせていただいたアーキラボ展のことを書かれているいくつかのブログに、トラックバックさせていただきます。

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2005/02/13

写真の魅力と魔力−森山 新宿 荒木 展

araki古い話ですが、30年ほど前のこと、カメラ好きの私は、まだ新宿で問屋兼小売りの小さいカメラ屋だったヨドバシカメラで、カメラを買いました。アサヒペンタックスSP。また、「アサヒカメラ」という雑誌を読んでました。当時、森山大道、荒木経惟のお二人はすでに誌面で作品を発表する大作家。
昨日、新宿の東京オペラシティーアートギャラリーで「森山 新宿 荒木展」をみてきました。東京育ちの私が「新宿の街は好きか?」と問われると、「好きではないが、嫌いでもない」としか答えられないでしょう。華やかで、ディープで、軽薄で、奥深く、猥雑で、といくらでも形容ができる街、新宿。二人の写真家がそれぞれの新宿を撮った写真展。写真に切り取られた人々の表情、服装、持ち物をみていると、目の前に人がいるように感じられます。また、写真に撮られた街の風景、看板、店、ネオン・・・、それぞれが新宿の表情をみせています。
森山、荒木、お二人の作品を、展覧会でみるのは久しぶり。ベテランの写真家の凄さを、改めて感じいった写真展でした。

★「森山 新宿 荒木展」のこと、また森山、荒木さんのことを書かれている印象的なブログにTBさせてもらいます。

付録です:展覧会をみたあと、新宿の街を歩いてみました。→お暇な方は「続きを読む」をどうぞ。

続きを読む "写真の魅力と魔力−森山 新宿 荒木 展"

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2005/02/12

瀧口修造:夢の漂流物は素敵なコレクション

先日は横浜美術館で「マルセル・デュシャン展」をみて、?の連続でしたが、デュシャンに代表されるシュルレアリスムの紹介者として知られる瀧口修造の展覧会「瀧口修造 夢の漂流物」をみてきました。夢の漂流物、いい言葉と思いません?
瀧口の膨大なコレクションを展示した、ちょっと面白い展示会です。国内外のアーティストとの交流を通して集めた美術品や、彼自身の作品も展示。

もの凄い数のコレクション。マルセル・デュシャン、マン・レイ、ジョアン・ミロ、ジャスパー・ジョーンズ、荒川修作、横尾忠則らの著名作家から、みようによっては、がらくたに思える単なるオブジェまで、コレクションの存在感は迫力もの。内容も絵画、オブジェから商業用ポスターまで多種多彩。これらは、一部作家から贈られたものもあるでしょうが、自費で購入したものも少なくないはず。経済的に大変だったろうなと想像してしまいます。
これらの作品は、瀧口の感性、視点に沿って集められた作品ですから、乱暴に言ってしまうと、まさにシュルレアリスム・ワールド。一点一点作品と対峙しながらみていると、とても疲れます。気にとまった作品と、じっくり対話したほうがいいようです。
この瀧口コレクションの展示にあわせ、いくつかは同じ作家の作品をあわせて展示していて、これも見どころかもしれません。このコレクションの多くが、瀧口の出身地、富山の富山県立美術館の所蔵。この美術館、金沢に住んでいた頃、何回かいったのですが、瀧口コレクションのことは印象にないんです。なぜだろう。

takiguchi


瀧口の書斎の写真が展示されていましたが、いいですね。私も、こんなふうに本とか、美術品に埋もれて生活がしたいです。
ちなみに、図録を買おうとしたらまだ出来てませんでした。3月中旬完成とか。ちょっと残念。

★滝口修造について参考にさせていただいたブログにトラックバックさせていただきます。

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2005/02/07

「ポール・デルヴォー展」をみに、福島県立美術館へ

IMG_2328昨日は福島県立美術館へ。「ポール・デルヴォー展」が一昨日から開催されています。以前、どこかでポール・デルヴォーはみた気がします。この展覧会は、デルヴォー財団の協力をえたものとかで、いわばオフィシャルな展覧会。福島の前には、新潟、福岡、名古屋などを巡回しているもの(なぜか、首都圏では開催されていません。)
ポールの絵と言えば、女性、それも裸像ですね。やはり幻想的という表現があてはまる、独特の雰囲気を感じます。その裸像は、たとえばルノワールの描いた豊満な肉体とは対極にあるといっていい、贅肉のないもの。描かれている女性は、大きな瞳が印象的で、感情が感じられない表情も心に引っかかります。
ポールの作品はほとんどが人物を描いたもの。絵の中に独特の世界が築かれいて、ひきこまれてしまいます。
わざわざ、福島まで足をはこんだ価値がある展覧会でした。

続きを読む "「ポール・デルヴォー展」をみに、福島県立美術館へ"

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2005/01/30

不思議な魅力「マルセル・デュシャンと20世紀美術」

昨日は横浜美術館に「マルセル・デュシャンと20世紀美術」を観に出かけました。横浜美術館は久しぶり。素人美術愛好家は、マルセル・デュシャンの作品は初めてみます。かつてニューヨークの展覧会に男子用の便器を出展しようとして、拒否されたという逸話が有名です。
いや、なんとも不思議な展覧会でした。作品との会話が成り立たないというか、その糸口が見つからないというか、どう作品を自分なりに解釈していいのか、とても難しかった。たとえば、工業製品を選んで作品とする「レディ・メイド」のひとつ『櫛』という作品などは、単なる金属製の櫛が展示されているだけですから、どう鑑賞してよいのやら。有名な『彼女の独裁者たちによって裸にされた花嫁、さえも』(通称『大ガラス』)は、タイトルからしてユニークというか、わかりにくいというか。この展覧会で展示されているのは<東京バージョン>と呼ばれるレプリカらしいのですが、写真でオリジナルをみても、何ともわからない作品。でも、時系列的に展示されている作品を観ていると、いつのまにかデュシャンの世界に引きこまれていくのを感じます。

この展覧会で、デュシャンの作品とあわせて、デュシャンの才能、作品を「発見」したアーティストの作品も併せて展示されています。マン・レイ、瀧口修造、ウォーホルなど約80点の作品が、デュシャンとの対比でイメージを広げることができます。また会場では「チェックシート・プログラム」というのがあり、これはデュシャンの作品と、他の作家がデュシャンに刺激を受けて制作した作品16組のペアを、会場にあるチェックシートで来場者が評価するシステム。お遊びですが、頭を使う遊びでいい試みです。

marcel_duchamp

「芸術新潮」の2月号ではデュシャンの特集を組んでいますが、その冒頭にこうありました。

壮大な冗談を生きた万華鏡のような81年間、それがマルセル・デュシャンの人生

面白い展示会でした。また時間があったらいきたいかも。

☆参考になったマルセル・デュシャンのブログにTBさせていただきます。

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2005/01/28

週刊分冊「日本の美術館を楽しむ」の魅力

IMG_2251週刊分冊、週刊百科というシリーズがありますね。毎週(もしくは隔週)でて、すべて揃えるとちょっとした百科本になるもの。書店へいくと、たくさん出てますね。「まじぇゴはん by ミイ子さん」によると、この分冊、これといった大ヒットはないそう。私も結構この分冊百科買ってます。過去に絵画に「挑戦する!DO ART」というのを100冊買いましたが、実家で睡眠中。一昨年から1年間は「週刊 鉄道の旅」を買いそろえました。
最近「日本の美術館を楽しむ」を買ってます。これ、最初は「所詮、本でみる絵画なんだから」とあまり期待していなかったのですが、意外といいです。毎回、メインとなる美術館の所蔵品の紹介がされている本ですが、素人美術愛好家には、解説がかなり勉強になります。また、面白い切り口だなと思えるのは、この本は毎号美術館の所蔵している画家をテーマにして、たとえば『シャガールのある美術館』というページをつくっていること。全国どこでシャガールが見られるかがわかります。
この「日本の美術館を楽しむ」には結構はまってしまいます。全部で50号まで出るようですが、最後まで買ってしまいそう。

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2005/01/10

イメージが拡がるザオ・ウーキーの世界

zou連休は東京に帰れたので、素人美術愛好家は昨日、前から気になっていた「ザオ・ウーキー」展をみてきました。初めてザオの作品をみました。その大半が抽象絵画で占められています。抽象画ゆえ、その作品に対し、どう「対話」してみようかと思いながら、会場で鑑賞しました。
作品を見ていて、勝手に私は大きくは3つに分類してしまいました(素人ゆえのこととお許しください)。まず第一は、ザオが20歳代から30歳くらいまでの作品。まだ具象画の名残があります。たとえば、私が気に入った1952年の作品「失われた海 あるいは赤い大地、黄色の海」。カンバスに油絵具で塗られた面の上に、細い線で描かれたオブジェが具体的イメージを喚起させてくれます。
第二の時期は、ザオが30代半ばの頃の作品。作品は抽象絵画ですが、タイトルも具体的なものが付けられて、メッセージがわかりやすい気がします。「私たち二人」に惹かれました。
第三は、作品名が「15.001.61」など、年月でタイトルがつけられるようになった、60年代あたりからの作品群。この頃の作品は油絵が多いですが、絵の具のボリューム感を筆でダイナミックに表現する一方、それ以外の部分は絵の具を薄く塗るような仕上げで対比させています。「アンリ・マティスに捧ぐ」(02.02.86)は色遣いに魅了される作品。
会場では作品に触らなければ間近までいってもよく、私は作品に超接近したり、かがみ込んで下からみたり、いろんな角度から作品を眺めてみました。筆のタッチを見ながら、「これって、あらかじめ決めて描いたのか、それとも手が動くに任せたのか?」と素朴な疑問が頭をかすめました。

抽象絵画との「対話」のしかたは、見る人が決めればいいと思います。ザオの魅力は、カンバスに油絵の具で描かれた形、その色、絵の具のボリューム、混ざり合った色。それらが造りだすイメージを楽しめることだと、私は感じました。

☆素人美術愛好家が勉強になったブログにトラックバックさせていただきます。

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2004/12/24

多彩な「田原桂一:光の彫刻展」

目黒の庭園美術館に「田原桂一 光の彫刻」をみにいってきました。考えてみれば庭園美術館は不思議な美術館です。常設する作品をもたない、建物そのものが美術品である美術館。「光の彫刻」展は館が「現代美術と歴史ある建造物と庭園の融合を楽しんで欲しい」という試みで、このアールデコ様式の庭園美術館という場を生かそうという展覧会。

田原さんは「光」を多彩な表現で、探求しています。表現する方式(メディア)は、写真、彫刻、そしてライトアートと境界なく広がっています。写真も、印画紙だけでなく、ガラス、石灰岩、アルミに印画。
私はこの表現形式をどんどん広げて創作をしていくパワーみたいなものに、ひどく感動しました。特に石灰岩に焼き付けた「トルソー」が印象に残りました。石灰岩の素材感と、焼き付けられ画像の融合が、なにかまろやかな感覚を呼び起こしてくれます。

また今日まで、庭園では「光のインスタレーション」が展示されています。日が落ちてからの、光で表現した作品は、面白くも不思議なものでした。

美術館の壁面に映しだされる映像が、不思議 tahara2

「光の門」が夜景で奇妙にはえる tahara1

また、図録はDVDが2枚付き(3000円)で、彼の作品が収録や、田原本人や、仲畑貴志との対談などが収められいて充実した内容。田原さんのことをなにも知らなかった私にとっては、お買い得でした。

tahara_zuroku


再訪したくなる「光の彫刻」展でした。

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2004/12/14

写真に魅了される木村伊兵衛展

『草間彌生展』と同じ国立近代美術館で、同時に『木村伊兵衛展 Ihei Kimura - The Man with the Camera』が開催されていました。私は高校の時「アサヒカメラ」とかを読んでいたませた(?)学生だったのですが、当時その「アサヒカメラ」に木村さんの『街角から』という連載がありました。その当時、どんな写真を見たかは、もうすっかり忘れてしまいましたが、木村伊兵衛という写真家は、私にとって忘れることのない人でした。

木村さんの作品で好きなのは、広告やポートレイトより、街中などで人を撮った写真です。これほど自然に、でもメッセージをもって人の写真を撮れる人はいないのではないでしょうか。展示の中に彼がヨーロッパに行ったときのことを記した文章がありました。「はじめ何週間は写真を撮れなかった。人を驚かすような写真はすぐにでもとれるのだが」といった主旨(その場でメモせずに、記憶で書いているので表現は正確ではないと思います)のことを書いています。
木村さんの作品は、やはり自然な人の姿を、ただ捉えるだけでなく、そこのなんらかのメッセージがあることが特徴ではないでしょうか。

クサマワールドのあとに見てしまったので、頭を整理するのがちょっと大変でした。もう一度見に行きたいけど、会期が19日までなので、無理みたいです。

※共感させていただいたブログにトラックバックさせていただきます。

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2004/12/12

草間彌生展:クサマ世界の多彩さ

昨日は竹橋の国立近代美術館で『草間彌生展 永遠の現在』をみてきました。以前森美術館でやっていた『KUSAMARTIX』を見損ねたので、素人美術愛好家の私としては草間の作品をまとまってみるのははじめて。会場は土曜の午後にもかかわらず、そんなには混んでおらず、比較的ゆっくりみられました。来場者も、たとえば『マティス展』のようにおばさま連中はほとんどおらず、若い世代が半数以上を占めていました。私のようなおじさんはほとんど少数派。草間は1929年生まれですから、すでに齢75をこえているはず。若者を惹きつける草間の魅力とは、なんなのでしょう。

草間のモチーフとして有名な水玉を扱った「水玉脅迫」や奇妙なオブジェ「再生の瞬間」などは、作品と一体となり不思議な感覚を呼び起こさせてくれます。奇妙なる食卓のオブジェ「六人の客」。鏡の世界が作りだす「信濃の灯」。どのインスタレーションも、オリジナルなもの。私にはきわめて新鮮な感動でした。
特に印象に残ったのは「蟲をとる男」や「無名戦士の墓」コラージュの手法を使った作品群でした。

迫力な表紙!のカタログ。ちなみにこの図録、草間の創作活動が時系列にまとめられていて、買いです。 
KUSAMA

カタログ(図録)に「創造へのプロセス」と題された草間自身の文章が掲載されています。その中で、次のように書いています。

これからも、誰もやっていない先人未踏の「クサマ世界」を一そう立ち上げていくつもりだ。

まだまだ、不思議なものを作ってくれるでしょう。

※私が読ませていただいた、草間展のことを書かれたブログにトラックバックさせていただきます。

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2004/11/24

福田豊四郎展は、見所多し

昨日の仙台は、まさに秋晴れ。気持ちのいい休日でした。
宮城県美術館では『福田豊四郎展 わがうたはふるさとのうた』を開催中で、見にいってきました。

IMG_1630.JPG

素人美術愛好家にとっては、ここ仙台での展覧会は、知らないアーティストのものが多く、見るたびに新鮮な発見があります。福田豊四郎は秋田県生まれ、日本画にモダニズムをもたらした人とのこと。この展覧会は秋田県立近代美術館で開催されたあと、ここ仙台へ巡回してきたもの。

福田の作品ははじめて見ました。「モダニズム」と表現されるだけあって、日本画の枠組みには入りにくい作品が多い。掛け軸に書かれた「曲水図」とか屏風に描かれた「山の秋」は日本画のおもむきですが、一転「溶鉱炉」のような日本画とは思えないダイナミックな作品もあります。「踊る娘達」や「秋田のマリア」は、エロチシズムを感じる秀作。その画風は多岐にわたっています。
見応えのある作品が多い展覧会でした。
(参考にさせていただいた「おとちゃ!」さん「artshore」さん「新選的なtosi-zoの生き方」さんにトラックバックさせていただきます)

ちなみに、宮城県美術館は交通の便がよくないです。市の中心部からは歩いて20分以上かかるのに、バスは一時間に2,3本しかないし。帰りは市内観光の『るーぷる仙台』で帰ってきました。

かわいいバスです、「るーぷる仙台」 IMG_0995.JPG

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2004/11/21

上野でマティス展

前から行こうと思っていた西洋美術館の「マティス展」をみてきました。この秋の話題の展覧会。現代美術館のピカソが思ったほど混んでなかったので、たかをくくって出掛けたら、すごい混み方でした。やはり、マティスということもあり、おばさま連中が多かったですね。NHKの「日曜美術館」ではユーミンをゲストにして紹介していたくらいですから、広い層を呼び込む展覧会なんですね。
マティスはやはりわかりやすいアーティストです。その作品を見た人が、自分なりの解釈がわりと容易にできる作品が多い。私のような素人鑑賞家でも、理解しやすい作品が多いのが特徴なのではないでしょうか。
私としては切り絵のjazz シリーズがいちばん楽しかった。ボサノヴァをBGMに、カクテルでも飲みながら観たいなと思う作品郡でした。
時間がとれれば、金曜の夜に再訪してゆっくりみたいです。

また買ってしまった図録(2500円)、卓上カレンダー(1000円)matisse.jpg

参考にさせていただいた花守さん、Il quaderno d'Estate さん、Dragon_Tipsさん、瑠璃色の日々さんのブログにトラックバックさせていただきます。

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2004/11/07

ピカソと清澄白河あたり

今週末は東京生活です。前から見ようと思っていた『ピカソ展 躰とエロス』(東京都現代美術館)に行ってきました。
[はろるど・わーど]さんのブログによると東郷青児美術館のピカソ展のほうが満足度が高かったそうですが、残念ながら見損ねてしまいました。
この展覧会ではパリ・ピカソ美術館所蔵160点余りの作品が展示。ピカソは一説によると生涯で8万点余りの作品を残したとか。日本の美術館もピカソ作品を所蔵するところはいくつもあります。しかしこれだけの点数の作品をまとめて見られる機会はそうないのでは。
作品はピカソの円熟期の作品が中心で、さすがに見応えがありました。作風も多種多様。表現形式も、油彩、彫刻、エッチング、グラファイト鉛筆からはては水切りボールを使った造形までいろいろ。テーマの「躰とエロス」のテーマに沿って集められた作品も、面白く楽しめました。

図録も充実。picaso_zuroku.jpg


この作品内容で入場料1300円(美術館ホームページにある割引券を使うと1100円)はリーズナブルですね。土曜日の午後にも関わらず、思ったほど人は多くありませんでした。
現代美術館には久しぶりに出掛けたのですが、ここの難点は足場が悪いところ。でも地下鉄半蔵門線の「清澄白河」駅ができ、ここからだと10分くらいでいけ、多少便利になったかもしれません。

帰りはぶらぶら歩いて清澄白河そば、常盤の「大衆酒場 魚三酒場」へ。この魚三、門前仲町が本店の有名酒場らしい。この常盤の店は支店。4時開店なのですが、開店時にはすでに10人くらいの列が店の前に。

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なかなか迫力のある店でした。繁盛するポイントは品数の豊富さと安さ。お酒(コップ)が180円。また写真の「中落ち」が430円(中トロにみえますが、これが中落ち)、「かき酢」が380円と確かに安い。

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清澄白河あたり、下町風情っていうのでしょうか。妙に落ち着く一画です。

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2004/10/31

山形美術館 「牛腸茂雄 1946-1983」を観る

昨日は、久しぶりに山形へ行ってきました。山形美術館にて開催されている写真展「牛腸茂雄 1946-1983」を鑑賞。この写真展は新潟、三鷹と巡回して昨日から山形美術館で始まりました。
牛腸茂雄(ごちょうしげお)、36歳の若さで夭折した写真家です。牛腸のこと、私は知りませんでした。日常生活でのさりげない風景を撮った写真は、不思議な存在感があります。彼が写真をとった時間は短かった。その生涯の中で、追い求めていたものは何だったのか。私にはわかりませんでした。
いちばん印象に残ったのが『見慣れた街の中で』と題されたカラーの作品群。70年代末から80年代初めの、東京の街で撮った写真。銀座、新宿、下北沢、見慣れた街と人が撮されています。懐かしいという気持ちを感じる以上に、写真の空気が暖かい気がしました。2004年、同じ場所で写真を撮ったらこんなに暖かいかな、と思いました。

写真展だったせいか、初日ながら来場者は少なかったです。11月3日には友人で写真家の三浦和人さんの講演があります。

※参考にさせていただいたブログにトラックバックさせていただきます。ありがとうございました。

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2004/10/20

宮城県美術館:洲之内コレクション展

この前の日曜、宮城県美術館で「洲之内コレクション展」を見てきました。『きまぐれ美術館』というエッセーで有名な洲之内徹が集めた140余点を、宮城美術館で所有しています。今回の展示会は、このコレクションをほぼ全点見せるもの。実は、私、この洲之内徹さんを知りませんでした。東京の現代画廊で、洲之内が集めたコレクションは近代から現代までの作品が、素描、油彩、水彩、版画など多彩な画家の作品を集めています。
青木繁、梅原龍三郎の素描、池田満寿夫の初期の作品など、私でも名前をしっている画家から、初めて見る画家までありました。このコレクションが全部公開されるのはひさしぶりとのこと。入場料の500円と、気軽に足を運べます。

IMG_1381.JPG

藤娘的日常さんのブログにも紹介されてます。

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2004/10/03

グッゲンハイム美術館展のこと

この秋、東京では著名なアーティストの美術展がいくつも開催されていますね。ピカソが2つの展示会、マティス。今日で終わってしまいますが、「琳派-RIMPA」。美術ファンには、楽しみの多い季節。
渋谷、ザ・ミュージアムで開催されている「ニューヨーク・グッゲンハイム美術館展」に行ってきました。
ルノワール、セザンヌといった印象派からウォーホルまで近現代美術のエッセンスを抽出したような美術展でした。はじめのほうに、ルノワール、ルソー、セザンヌの作品はあるものの、全体的には著名な作家のモダンアート作品が多い。それも、私のようにアーティストや美術史の知識がない初心者にも楽しめる「わかりやすい」作品が多かった気がします。
ただ、「るうかすの好きなこと」さんが書かれているように、1500円の入場料は高いと思います。HPによると、現地入場料は15ドルだから、高くないとありますが、日本でみれるのはあくまでエッセンスですからね。浜崎あゆみのイメージソングなど作らないで、入場料は1000円前後に設定して欲しい。

ちなみにピカソの「黄色い髪の少女」ってグッゲンハイム所蔵だったんですね。

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2004/09/30

仙台の作家が注目されているらしい

仙台市には「仙台文学館」があります。まだ行ったコトないんですが、館長は井上ひさしさん。(井上さんは山形出身ですが、幼少期を仙台ですごしました)仙台は文学は盛んな街なのでしょうか。
以前、熊谷達也さんが「邂逅の森」で直木賞を取ったときにも、話題になりましたが、仙台の作家が今、注目されているようです。今週号の「週刊朝日」に『いま仙台の作家が元気だ!』という記事が掲載されています。今、注目は熊谷達也さん、伊坂幸太郎さん。直木賞の候補に両氏がなり、熊谷さんが受賞。伊坂さんは昨年の直木賞でも候補作に。
熊谷さんの『ウエインカムイの爪』(小説すばる新人賞受賞)を読みました。ヒグマと人間の対峙が、生々しく描かれ、自然、動物の恐さを感じる作品。「邂逅の森」はツン読になってますが。
伊坂さんは読んだことがないのですが、ファンが多い作家ですね。ファンサイトが多くあるよう。DOG IN YARDには情報が満載です。

続きを読む "仙台の作家が注目されているらしい"

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2004/09/12

一歩前へ! と言う美術展。

久しぶりに宮城県美術館にいってみました。今は企画展「楽しむ空間・一歩前へ!」という変なタイトルのものやってます。どんな美術展かわからなかったんですが、同時に常設展もやっていることから、足を運んでみました。
内容は内外のアーティストの作品を、触れたり、中のはいったり、といった体験型の展覧会。たとえば、ピーター・フォーゲルの「3つの槌のドラム」は影に反応して。作品は動き、音をだす、といったもの。なかなか面白い企画ですが、作品が少なかったように思います。この倍の作品があれば、「楽しむ空間」も充実したのに。

この宮城県美術館、前川國男の設計で、いい建築物です。

IMG_0988.JPG


また、この美術館から、仙台市立博物館への一帯は緑豊かないい場所。私の朝のジョギングコース。
ただ、美術館への交通が不便。バスが一時間に2,3本では、それも仙台駅からのバスしかない。これではなかなか足を運べないでしょう。お年寄り、高校生などの未成年も行けるようにして欲しいと思います。

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2004/09/07

黄色がテーマの美術展

前にも書いたと思いますが、東京はアート環境(ちょとへんな言葉ですが)については大変恵まれてます。Innocenconce-artscape blogを拝見していると、Tokyoのいたるとこで、美術展が見られると言う感じですね。
目黒美術館は小規模な美術館ですが、いい展覧会を企画し続けています。
目黒美術館の「色の博物誌 黄 地の力&空の力」は色の文化を色材、原料からとらえる「色の博物誌」というシリーズ企画展。過去、青、赤、白と黒、緑と展開し今回の黄が最終回とのこと。

個人のアーティストや、海外の美術間の作品をみせるような展覧会とは違って、「黄色」という色をテーマに、作品だけでなく色材なども展示。全体をみた印象は、よく企画が練られているな、と思いました。
現在は美術館にとって厳しい時代と言われますが、この展覧会のように有名な作家に頼らず、充分に企画を練った美術展は、これからのひとつの方向性かと思います。
この展覧会のなかで、とくに印象に残ったのは栗田孝一のソイルライブラリー。彼が全国各地で収集した黄土1000種を展示しているもの。よくこれだけ集めたな、と感心しました。

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2004/09/06

世田谷、目黒の美術館

東京の家に帰るとよく足を運ぶのが美術館。単身赴任する前よりよくいっているかもしれません。たまたま、世田谷美術館と目黒美術館でみたい企画展があり、間もなく会期が終わるので土日と続けて行きました。

世田谷美術館では、「アメリカの現代陶芸の系譜 1950-1990」、目黒美術館では「色の博物誌 黄 地の力&空の力」どちらも、有名ではないアーティスト(私にとっては、ですが)の作品を集めた展示会という点で共通しているかもしれません。

アメリカの現代陶芸の系譜 1950-1990」は、とある収集家の集めたアメリカ現代陶芸を集めたものを中心に国内の美術館の収蔵作品を加えて展示。私には、展示されている作家は誰一人しりませんでした。作品はどれも「陶芸」という言葉ではイメージできづらい作品が多く、私自身の評価基準からあきらかにはみだした作品が多かった。「いいかよくない」かという評価というより、「おもしろいかそうではないか」という評価しかできない、という感じ。
なんども足を運べば、また評価も変わってくるのかもしれませんが。なんともとらえどころのない美術展でした。

「色の博物誌 黄 地の力&空の力」については、明日に。

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2004/08/12

遅くまで開いている岩手の美術館

今日は仕事で午後から盛岡へ。新幹線は盆休みモードです。仕事が夕方早めに終わったので、岩手県立美術館に足を運んでみました。この美術館は平日でも夜7時まで開館しています。これは、いいですね。東京でも、官営の美術館は夕方5時で閉館するとこがほんとんど。東京都の美術館(写真美術館とか現代美術館)は6時まで開いてますが、7時までいつも開館とういところは少ないのでは。
岩手県立美術館は2001年の開館と、県立の美術館では新しい存在でしょう。地方の美術館にとって厳しい時代と言われますが、この岩手のように、夜7時まで開館という姿勢は、大いに評価されていと思います。

今、開催されている企画展は「ゴッホ、ミレーとバルビゾンの画家たち」。その展示作品のほとんどが国内の個人所蔵家より提供された、ちょっと変わった美術展です。この春に名古屋で開催された後、岩手で開催されているようです。ミレーの「落ち穂拾い」の版画版などもあり、興味深いものでした。

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岩手県立美術館

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2004/08/01

せんだいメディアテークのこと

今年の4月に仙台へ赴任が決まったことを、東京の自宅を設計してくれた設計士さんに話したところ「仙台にはメディアテークという建物が有名な施設がありますよ。行かれてみるといいです」といわれました。
幸い、「せんだいメディアテーク」は自宅から歩いて10分ほどのところにあり、週末に仙台にいるときは、だいたい行ってます。主な利用目的は、メディアテーク内にある図書館を利用することです。ほかにはギャラリーで面白い展示会をやっているときは、覗いてみたり。

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続きを読む "せんだいメディアテークのこと"

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2004/07/25

東京の美術ファンは恵まれていますね

東京の実家に戻ったとき、時間があれば美術館に行くことが多い。ぐるっとパスというのを購入して、せっせと東京にくるたび、美術館に足を運んでます。
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昨日は上野の森、国立西洋美術館に行ってきました。常設展(コレクション)をみましたが、これだけでも見応え充分です。この常設展は毎第二、第四土曜日は無料開放とのこと。
東京近辺で暮らしていれば、このような美術品を気軽に見にいけるわけです。当たり前のことですが、地方に居を構えていると、そんな格差みたな意識をついつい持ってしまいますね。

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2004/07/16

熊谷達也さん、直木賞受賞

仙台在住の作家、熊谷達也さんが直木賞を受賞されましたね。熊谷さんの名前は、今年の2月に子供が受けた中学の入試問題にでていて、はじめて知りました。その後、仙台在住であることを知りました。
確か、東北の方言に詳しく、いくつかの方言を書き分けられる方、とういことを聞きました(違っていたら申し訳ありません)
仙台に居を構えて、作家活動をされているということで、著作を読んでみようと思いましたが、まだ読んでいません。まずは受賞作の「邂逅の森」を手に入れてみようかな。

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