2025/03/24
横須賀にいったので、ついでに久しぶりに横須賀美術館へ。「生誕120周年 サルバドール・ダリ ―天才の秘密―」 を鑑賞。ダリをまとめてみられるのはそんなに機会がありません。が、そんなに話題になっている感じがない展覧会。 本展は福島の諸橋近代美術館のコレクションを中心に構成。この美術館はシュルレアリスム、特にサルバドール・ダリの作品を多く所蔵しています。ダリに加え、ジョアン・ミロ、マン・レイ、マックス・エルンスト などの作品も展示されています。 彼岸休みに挟まれた平日でしたが、多くの来場者で賑わっていました。ダリはわかりやすいとは言えないと思うのですが、なぜか人気。大混雑だった「ダリ回顧展」を思い出しました(調べてみたらもう18年前)。 常設展示の新収蔵作品展では、森山大道が撮った「ヨコスカ」もあります。
諸橋近代美術館は仙台にいたとき、いきたかったのですがなにせ交通が不便で、叶わず。おまけに11月から4月上旬まで豪雪地帯のため休館というなかなかな美術館です。
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2025/03/16
2025/03/11
2025/03/09
2025/02/14
2025/02/05
2025/02/02
神奈川県立近代美術館・葉山で「栗林隆 Roots」をみました。栗林隆というアーティストの作品は初めてみると思います。正直、なかなか理解しがたい展示でした。なにより驚くのは、美術館の通常の展示室を使わず、ロビー、屋外にインスタレーションを展示していることです。またこれも展示スペースとしては使わない講堂で映像作品を上映しています。 美術館のホームページには、 <活動開始から一貫して「境界」をテーマに、ドローイングや、インスタレーションや映像などの多様なメディアを用いて身体的体験を観客にうながす作品を国内外で発表してきました。> とされている栗林隆ですが、見るものにとっては、難しい。 いまさらながら、アートの奥深さを感じた展示でした。
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2025/01/25
写真家・アーティストの金村修さんの展示をみてきました。どのような思考でこの作品ができるのか? 不思議な金村ワールドです。金村修個展『Formalin Fresh』 場所: flotsam books 開催日時: 2025年1月16日(木)-1月26日(日) 営業時間: 14:00〜20:00 水曜日定休 住所: 東京都杉並区和泉1-10-7
flotsam booksがあるあたりは、時代がどこかでとまったようなスペースです。
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2025/01/22
昨年暮れに買って、積ん読になっていたのを思い出し、発掘(笑)。「芸術新潮増刊号 これだけは見ておきたい2025年 美術展2025ベスト25」と「日経大人のOFF 絶対に見逃せない2025美術展」です。毎年、手に入れているのですが買ってしまうと安心して、熱心に読まない。それで美術展のことを会期末に気がつき、慌てていく、というパターンの繰り返し。 日経大人のOFFによれば、ゴッホに注目とか。事前に計画をたて観にいったほうがいいのでしょうが、なかなかね。まずは「坂本龍一 音を視る 時を聴く」から始めようか。
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2025/01/20
盛岡にいったので岩手県立美術館で「平間至展 -写真と音楽があるかぎり」をみてきました。 <1990年代から躍動感あふれるスタイルで多くのミュージシャンを撮影してきた平間至。彼の30年以上の仕事を、様々なシリーズを交えながら振り返ります。>(美術館公式サイトより) 平間は1963年生まれ、実家は宮城県塩竃市の写真館です。タワーレコードのキャンペーン「NO MUSIC, NO LIFE.」の写真など多くのミュージシャンの写真をみると、やはり時代を感じます。 本展は2023年に「平間至展 写真のうた -PHOTO SONGS-」として開催された展覧会の開催です。なぜ、盛岡でと思ったのですが、盛岡にはタワーレコードがあります。そのせいかな。 とても刺激的な展覧会でした。
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2024/12/08
丸の内で用事を済ませ、次の約束まで1時間ちょっとあるので、思い立ち三井一号館美術館に。折しも「再開館記念『不在』―トゥールーズ=ロートレックとソフィ・カル」 が開催中です。 美術館でコレクションするトゥールーズ=ロートレック作品にフランス出身のコンセプチュアルアーティストのソフィ・カルと協働しての展示です。「当館のコレクションそして展覧会活動の核をなすアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック(1864-1901)の作品を改めて展示し、そこにソフィ・カル氏を招聘し協働することで、当館の美術館活動に新たな視点を取り込み、今後の発展に繋げていくことを目指します。」 (公式サイトより引用) ロートレックはポスター画家としてのイメージがあります。本展はこの先入観を見直す試みと言っていいでしょう。ソフィ・カルから提案された「不在」というテーマで展示が展開されます。ちょっと難しい。 展示をみていて、ロートレックはなぜリトグラフ作品を多くつくっったのか。こんな疑問が思い浮かびました。これをChatGPTに尋ねると、「時代の技術と芸術の融合」「大量生産による影響力の拡大」「キャバレー文化との結びつき」などを答えてくれました。 ロートレックをもっと知らなくてはいけないと再認識させられた展示です。
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2024/12/07
清澄白河のギャラリーHAGIWARA PROJECTSにやっといきました。アーティスト・田中和人とイッタ・ヨダの企画による「恋するキメラ」をみるため。なにせ展示が今日(12月7日)までなので、ぎりぎり。田中和人さんの作品は以前購入させていだき、保有しています。 <この展覧会は、この世界の有り様を、同一個体の中に異なった遺伝的背景をもつ細胞が共存する「キメラ」と捉え、多様に枝分かれした世界の部分的、総合的な統合可能性、あるいは結合の可能性についてアートを通じて問うことで、新しい世界の扉を開こうとするものである。>(公式サイトステートメントより) ステートメントはちょっと難解ですが、展示は刺激的で面白い。 はじめていきましたが、こんなところに?、という場所にあるギャラリーでした。「恋するキメラ」
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2024/12/03
10月に開催されたT3 PHOTO FESTIVAL TOKYOのひとつの展示として「Tokyo Dialogue 2024」 がありました。これは、 <「Tokyo Dialogue 2024」は、3年にわたり実施しているプロジェクト「Tokyo Dialogue 2022-2024」の最終年にあたります。同プロジェクトは、東京・京橋に120年余り本社を構える戸田建設とT3 PHOTO FESTIVAL TOKYOによる共同プロジェクト> 内容は、<「写真家」と「書き手」がペアとなり、京橋を舞台に「写真」と「言葉」による“対話”を生み出します。>というもので、TODA BUILDING 工事仮囲に作品が展示されました。 TODA BUILDINGは完成し、ここで開催された<Tokyo Dialogue 2024 トークセッション「 写真と言葉による対話」> に参加してきました。登壇者は、<写真家/アーティスト> 今井智己 (写真家)、上田 良(写真家・アーティスト) 、鈴木のぞみ(アーティスト) <書き手> 堂園昌彦(歌人)、青柳菜摘(詩人・アーティスト)、藤井あかり(俳人) です。 ステートメントで写真家は作品を語りますが、アーティストがペアで写真と文で表現することはとても面白い。 戸田建設、刺激的なことをやっています。
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2024/11/30
前から観なくては、と思いながら会期末になってしまった「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」 にやっといきました。平日の夕方でしたが、予想通り混雑していました。本展は「絵画作品を中心に、スケッチ・工芸品・資料を含めた250件を超える作品で、一村の全貌に迫ります。」(公式サイトより)。 というだけあって、さすがに見応えがあります。田中一村の作品は過去いくつかみていますが、初期から奄美での作品までまとめてみるのはもちろん初めてす。展示では若き日から壮年まで、画風が変化していく様がよくわかります。特に若いときの作品に惹かれました。 会場は展覧会ファンで多くの人です。若い人はほとんど見当たらず、中年以上のオジさん、オバさん多し(笑)。NHKでせんでんした効果大です。 田中一村の作品は、奄美にいって観たい。
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2024/11/10
この画家は知りませんでした。「日曜美術館」で特集していて、そこにイッセー尾形がでていたので、観たのが「没後300年記念 英一蝶 ―風流才子、浮き世を写す―」 (サントリー美術館)です。 一蝶は元禄年間(1688~1704)前後に、江戸を中心に活躍。まず狩野探幽の弟・安信に師事したが、その後菱川師宣や岩佐又兵衛らに触発され、市井の人々を対象にした風俗画を描いています。 しかし元禄11年(1698)には47歳で三宅島に流罪になります。島での流罪は12年に及びますが、島で描かれた作品は「島一蝶」と呼ばれ、とくに高く評価されています。宝永6年(1709)、将軍代替わりの恩赦によって江戸へ戻り、画家として活躍します。 島流しになるまで、島一蝶の時期、そして江戸に戻ってからの時期。それぞれ描く内容が変化しているのが面白いです。 作品の中での見どころのひとつは「舞楽図・唐獅子図屛風」 は一蝶には珍しい大作。メトロポリタン美術館の所蔵作品なので、もうお目にかかれないかも。 会期は今日(11月10日)までです。
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2024/11/09
2024/10/10
また「Perfume Disco-Graphy 25年の軌跡と奇跡」 へ。今回は女房と。会期が14日までなので、平日ながら会場は賑わっていました。前回みtない映像も見ることができました。「Chapter 3 : IMA IMA IMA」ではPerfumeのパフォーマンス映像が流されています。9月21日にパフォーマンスが生配信されたので、前回きたときは楽曲だけでした。 会場をでたところにあるグッズコーナーで「Perfume Disco-Graphy Exhibition Catalogue」 をみつけ購入。<本展の開催とPerfumeの結成25周年イヤーを記念した「Perfume Disco-Graphy」図録>です。通販サイトでは販売されていました。 なんか、散財した感じだけど、まあいいか。
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2024/10/09
写真家・金村修の展覧会<金村修 + ori.studio 「Gate Hack Eden」>(CAVE-AYUMIGALLERY)に圧倒されました。写真を教えていただいた師匠の個展ですが、今回は特にすごい。 「本展は中国の出版社であるori studioとコラボレーションし、新たに出版される1648ページに及ぶ作品集『Gate Hack Eden』と共に展開されます」(TOKYO ART BEATより引用)。 この作品集『Gate Hack Eden』は1,648ページあり、5つの「モジュール」に分かれているボリュームあるものです。 写真、映像の力を改めて感じた展覧会でした。
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2024/10/04
美術ファンには驚きのニュースでしょう。一昨日、発表された若冲と応挙 が合作した金屛風が新発見されたことが公表されました。発見されたのは二曲一双の屏風で(伊藤若冲《竹鶏図屏風》、円山応挙《梅鯉図屏風》 。2人が一隻ずつ手掛けたといいます。 こんな作品はいままでどこにあったのか。という疑問が浮かびますが、発表によれば「今年初めに個人が所蔵していることを知り実物を確認。」(10月2日 朝日新聞デジタル)ということ。 <若冲研究の第一人者である辻惟雄・東京大名誉教授も「若冲と応挙の作品と見て間違いないだろう」と述べた。>(朝日新聞) と、合作であることは間違いがないようです。『最後に、絵を語る。 奇想の美術史家の特別講義』 は辻惟雄が語ったものを編集者がまとめたですが、とても濃い内容です。もちろん若冲と応挙についても多くの紙幅を割いて、述べられています。二人の交流について触れられていたかは、記憶にありません。もう一度、しっかり読み直します。 この合作は、来年に大阪中之島美術館で公開されます。みにいかないと。
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2024/09/14
久しぶりに「二科展」 をみてきました。5年ぶりです。会場は六本木の国立新美術館です。現在この美術館では「CLAMP展」と「田名網敬一 記憶の冒険」も開催されています。「二科展」は3フロアを使っているので、このミュージアムの大きさにいささか驚きます。 「二科展」をみにいったのは知人が出展されているからですが、そうでなければたぶんいかない。なので展示されている作品が膨大です。じっくり鑑賞したら何時間かかるのか。 なので、知人の作品がどこに展示されているのかチェックして、それ以外はざっとみることに。写真作品だけでもかなりの数。 世の中には創作活動をしている人、沢山いるんだな、と妙なことに感心して会場を後にしました。
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2024/09/09
栃木の小山へ久しぶりに。女房の実家でお義母さんに会いに行きました。クルマでいったので栃木市に足を伸ばしました。栃木市立美術館 が開館したときいていたので、いきました。 以前、栃木市はとちぎ蔵の街美術館を運営していました。この美術館の資産をいかし、新たに2022年に栃木市立美術館と栃木市立文学館 を一体的に新設しました。場所は旧栃木市役所跡地です。とちぎ蔵の街美術館 は栃木市にゆかりの深い美術工芸作家の作品と人間国宝(重要無形文化財保持者)を中心とした現代陶芸作家とを収蔵しています。また栃木市に生まれた田中一村の作品を所蔵しています。 自治体の財政が良くない時代に、美術館と文学館を新たにつくるというのは、いささか驚きです。美術館では企画展「夏に楽しむ器 竹のかたち×陶のいろ」を開催中。所蔵作品で構成された空間は心地よい。この日は時間がなかったので文学館には寄れませんでしたが、次回はぜひいきたいです。
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2024/08/20
2024/08/04
宇多田ヒカルのコンサートで仙台に泊まって、翌日はそのまま帰京することもない。でも暑い中、歩き回れないので久しぶりに山形に行きました。仙台に住んでいたときは山形市には時々いっていました。山形美術館で美術展をみて、板そばを庄司屋で食べる、というのが定番でした。 仙台駅前から高速バスで山形駅まで。ここから徒歩10分ほどで山形美術館。この日は「川瀬巴水 旅と郷愁の風景」が開催中です。各地を巡回している企画展で、渡邊木版美術画舗の所蔵作品で構成されています。 川瀬巴水の作品はいくつもみていますが、これだけまとまった作品をみることは初めてかもしれません。川瀬巴水の木版画は構図と艶やかな色でみる者を魅了します。 学芸員さんのギャラリートークが始まる時間だったせいか、来場者は多かったです。暑い中、いった価値がある展覧会でした。
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2024/07/07
美術ブログとして有名な「青い日記帳」が20周年(7月14日)を迎えるのを祝い、「『青い日記帳』20周年記念パーティー」が開催され、参加してきました。ブログを書いているTakさんとは、20年近く前、ブログを通じてお目にかかって、お酒をご一緒させていただきました。 アートに特化したブログをほぼ毎日書き続け20年。ほんとにすごいです。著書も何冊か出版されています。 パーティーは定員100人ですが、定員になったため申込を締め切ったほどの人気です。Instagram、XなどSNS全盛の時代に、ブログもまだまだパワーを持っているということを痛感しました。なにごとも極めることが大切ですが、凡人にはできません。 20周年、おめでとうございます。
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2024/07/06
2024/06/29
ブランクーシをやっとみてきました。「ブランクーシ 本質を象る」 (アーティゾン美術館)は日本の美術館で開催される初のブランクーシ展です。会場の解説にはブランクーシの彫刻作品を集めるのは大変なことで、今回アーティゾン美術館で所蔵している作品を含め、 「初期から後半期まで、約20点の彫刻作品が国内外より集結」(公式サイトより)。 更にブランクーシによる絵画作品や写真作品も展示されています。特にブランクーシ自身が撮影した写真作品が53点も展示されています。解説には写真家・アルフレッド・スティーグリッツの主催するニューヨークの291ギャラリーでブランクーシが個展を開催。その際、スティーグリッツが撮った自作の写真が不満だったことをマン・レイに語った。その後、ブランクーシはマン・レイから写真の基本を教わりました。 彫刻は苦手なカテゴリーなんですが、本展は刺激的で楽しくみることができました。ブランクーシのパワーを感じた展覧会でした。
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2024/06/28
2泊3日の大分、福岡旅行は、長年ご無沙汰だった人に会うことが目的で、観光地にはまったくいきませんでした。食事もお目にかかった方がつきあってくれ、地元の店にいったので、人任せ(笑)。 目当てはなかったのですが、ミュージアムを5館巡りました。それぞれの印象を。 ・大分県立美術館 :2015年開館の新しい美術館。坂茂の設計の建物は、開放的な気持ちのいいスペースを作り出しています。大分駅から徒歩15分ほどの便利なロケーション。現在地元出身の「没後50年 福田平八郎」が開催中。アジア美術館開館25周年記念コレクション展 アジアン・ポップ」を開催中。 ・久留米市美術館 :ブリヂストン石橋美術館の創業者・石橋正二郎が1956年に創設した石橋美術館が前身。2016年より、石橋美術館の運営を久留米市が引き継ぎ、石橋美術館は久留米市美術館となり現在に至っています。現在、「ちくごist 尾花成春」が開催中。 ・九州国立博物館 :東京、京都、奈良につぐ4つめの国立博物館で今年開館20年。太宰府天満宮のそばのロケーション。 ・福岡市美術館 :1979年開館。建物の設計は前川国男。現在、福岡を拠点とするアーティスト・ KYNEの「ADAPTATION - KYNE」が開催中。 久留米市美術館「ちくごist 尾花成春」にいちばん刺激を受けました。初めてみる画家ですが、表現形式を替えながら描く作品はどれも魅力的です。 駆け足だったので、こんどはゆっくり鑑賞したいです。
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2024/06/08
写真のワークショップでご一緒させていただいていた写真家・片柳拓子さんの2つの展示を拝見。
二人展 小山維子 + 片柳拓子「ア・プリオリな他者の記憶 The Memory of A Priori Others」 ( The White) ギャラリーのスプラウト・キュレーション企画展示です。写真家・片柳拓子と画家・小山雅子二人展。
2024年06月01日 〜2024年06月30日 月曜・火曜休み 水–土曜:13~19時 日曜:13~17時
片柳拓子 写真展「reproduction」 (Alt_Medium) 2024年6月7日~6月19日 12時〜19時 ※木曜日休廊、最終日17時まで 都市にあるモノ、風景を鋭く切り取る片柳のフレームがいつも新鮮。 <本展では片柳が2021年を皮切りに現在も継続する縦位置・カラーで構成された写真群を《possession》シリーズと位置付け、その最新作「reproduction」を展示します。>(Alt_Mediumサイトより)
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2024/06/02
2024/05/29
上野の森美術館で開催されている「日経日本画大賞展」を鑑賞。日経日本画大賞は正式には「東山魁夷記念 日経日本画大賞」で3年に1回の公募で行われます。今回は32点が入選。 以前、三井物産アートゲートプログラムという若手アーティスト支援の仕組みでのオークションがありました。ここで購入したアーティスト浅野友理子さんが描かれた作品が入選しています。浅野さんの入選は今回で3回目です。 日本画といっても表現は様々。具象と抽象とあえて分けると、抽象作品が多い。とても刺激的でイマジネーションが広がる作品が展開されています。浅野友理子さんは「はなめく芋畑」。華やかな、奥深い作品です。 日本画って面白い。
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2024/05/20
鎌倉のギャラリーQuadriviumでの越中正人さんの個展「剥製 パラダイム」 をみてきまました。越中正人さんは写真の講座で指導をいただいて以来のお付き合いです。 剥製を「一枚は、白い壁に向い合せて剥製を置き撮影されたもの、もう一枚は、剥製はそのままの位置でプロジェクターで海の風景を映して撮影したもの」 の二枚から構成する写真作品です。 「この写真作品シリーズは観る者の内にありもしない生命とドラマを生み出した瞬間を体感できるシステムとなり、剥製というかつて生命を持っていた存在が、今の時代においてどのような意味を持つのか、そしてそれが私たちの感情を揺れ動かした根源を表します。そして、この展覧会は日本の伝統的な感覚と現代社会の価値観が交錯する場になります。」(作家ステートメントより) 日常ではほとんど見かけない剥製をモチーフとした写真は、なにか見たことのない世界へと導かれるようです。
開催期間:2024年5月16日(木)~5月28日(火) 会場:Quadrivium Ostium(クアドリヴィウム・オスティウム) (住所:〒248-0003 神奈川県鎌倉市浄明寺5-4-32) Quadrivium Ostiumはオーナーさんの私邸。贅沢な空間で剥製パラダイムを楽しみました。
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2024/05/15
2024/05/10
今週末が会期末でやっとみてきた「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」 。国立西洋美術館、初の現代美術の展覧会です。 この美術館は名称の通り、「主として20世紀前半までの『西洋美術』だけを収蔵/保存/展示している国立西洋美術館には、いわゆる『現代美術』は存在しません。」 (ホームページより引用)と言われれば、そうです。 本展では、「こんにちの日本で実験的な制作活動をしている、さまざまな世代の20を超えるアーティストたちの作品が集います」 (美術館のホームページより引用) と日本の現代美術家の作品に加え、作家によっては美術館のコレクション作品が並べて展示されています。 全体を通してみると、企画を構成した美術館の学芸員の熱量が伝わってきて、かなり力が入っている感じ。意欲的な企画です。また、鑑賞する側も、その熱量をうまく受け取らないと、企画の醍醐味は味わえないし、難度は低くない内容かもしれない。 でも、展示は起伏に富んでいて、たっぷりと現代美術を堪能しました。
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2024/04/30
2月に京都マラソンを走ったとき、京セラ美術館ですでに始まっていた「村上隆 もののけ 京都」 ですが、疲れていけませんでした(翌日は休館日)。今回の京都ではみたいと思っていました。「現代美術の最前線で活躍する村上隆(1962年生まれ)の大規模な個展を、開館90周年を迎える京都市京セラ美術館において開催いたします」 (公式ホームページより引用) 展示会場にはいるとまず村上版「洛中洛外図」が展示されています。岩佐又兵衛による舟木本を引用した全長13メートルに及ぶ作品。村上流の風神雷神図はユーモアあふれ楽しい。大きなDOGくんもいます。 飽きることのない村上隆ワールド。この展覧会も「雪舟伝説」と同じく巡回しないので、京都でみるしかない。贅沢なアートを堪能しました。
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先週、京都での展覧会のことを書いていませんでした。京都での目的のひとつは「雪舟伝説 -「画聖」カリスマの誕生-」(京都国立博物館)。わざわざ京都までいこうと思ったきっかけが、この展覧会が京都だけの開催で巡回しない、ということでした。公式ホームページには<本展の特色>として、1.雪舟の国宝6件が勢ぞろい! 2. 比べてわかる、雪舟の影響力! 3. こんな画家も!? 幅広いフォロワーたち 4. 京博だけ!巡回なしの京都限定開催 と4ポイントがあげられています。 国宝6点がすべてみられて、京都だけ。 この展覧会で驚いたのは博物館の常設展示をすべて取り払い、本展の展示スペースにしていること。展示されている雪舟とそれに続く画家の作品はみごたえがあります。 鑑賞したのはゴールデンウィーク前、先週の平日でしたが、チケット売り場には行列もありませんでした。館内も混雑とはほど遠く、ゆったりとみることができました。なんか肩透かし。 展示替えもあるので、もう一度訪れたいけど、無理だろうなあ。
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2024/04/15
シュルレアリスムは遠かったです。「シュルレアリスムと日本」 を会期最終日に板橋区立美術館でみてきました。シュルレアリスムとはそもそもなんなのか。 「超現実主義。フランスの詩人A・ブルトンによる1924年の著作『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』(「シュルレアリスム第一宣言」)に始まる芸術運動。その影響力からすれば20世紀最大の潮流といえる。」(「Artscape」サイト「アートワード」より引用) 今年はアンドレ・プルトンが「シュルレアリスム宣言」を発表して100年。本展は、「東京のみならず日本各地で展開したシュルレアリスム。戦中、戦後の激動の時代、シュルレアリスムという前衛表現によって時代と対峙した画家たちの軌跡を約120点の作品と資料から検証します。」 です。 なにせ、前衛表現だからわかりにくい。美術ファンでもシュルレアリスムはとっつきにくいテーマではないでしょうか。難解とも言えるテーマに正面から取り組んだ企画ですが、充実した内容でした。板橋区立美術館のコレクションに加え、国内美術館から集められた作品が展示され、日本でのシュルレアリスムの軌跡が(おぼろげながらですが)理解できました。 板橋区立美術館は西高島平駅から徒歩15分。我が家からは1時間半ほどかかります。遠かった。
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2024/04/13
出展している「ムサビズム展 -武蔵野美術大学校友会 関東圏合同展-」 ですが、昨日会場でお手伝いをしてきました。会場内にいる監視員みたいな役割です。まあ、悪さする人もいないので、ヒマでした(笑)。会場は東京都美術館で朝、開館前に集合し、通用口から入って、展示室へ。この美術館に裏口(?)から入ったのは初めて。 展覧会は武蔵美の校友会の群馬、栃木、茨城、埼玉、千葉、東京、神奈川、ムサ通の会、日月会、基礎デの会の各支部と在校生も参加しています。全体で400点以上の作品が展示されています。 美術館がある上野は、まだ桜が残っていて、気持ちのいい空間でした。会期は16日までです。
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2024/04/10
上野の東京都美術館で今日から開催される「ムサビズム展 – 武蔵野美術大学校友会関東圏合同展」に出展します。
会期:2024年(令和6年)4月10日(水)〜4月16日(火)※15日(月)は休館日
会場:東京都美術館(東京都上野) 1階 第3・第4展示室
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2024/02/22
遠征してマラソン大会にでて、無理すれば帰れないこともないけど、いろいろ大変なので(シャワーどうするとか)その日は宿泊することがほとんどです。京都マラソンで京都に泊まり、大会翌日はどこにいくか迷いました。結局、神戸にいったのですが、荷物を京都のホテルに預けていたので、京都に戻る必要がありました。 時間があったので、美術館「えき」KYOTOで「イッタラ展」をみました。イッタラを知らなかった無知さなのですが、フィンランドを代表するライフスタイルブランドのイッタラ。日本初の大規模巡回展で、一昨年東京ではBunkamuraで開催されていました。 ガラス作品、ガラスの器についてはほぼ初心者ですが、展示されている作品には心動かされるものがあります。 イッタラは東京、大阪に直営ショップがあります。ブランドなんですね、イッタラ。
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2024/02/15
毎年2月開催が恒例になっている今年の「恵比寿映像祭2024」は「月に行く30の方法」と意表を突かれた感じのテーマ。このテーマは、
アメリカのアポロ11号による月面着陸から半世紀以上が経ち、人々が気軽に月へ行くことも技術的に不可能ではなくなりつつあります。しかし、最先端の科学技術や理論以上に、一見それとは結びつかないようなアーティストたちの思考や実践が、新しい発見や創造につながり、月へ向かうための大きなヒントになるかもしれません。(美術館ホームページより)
と。月着陸、月旅行とアートをどう結びつけるんだろう、と思いながら会場に。 正直言って、「月に行く方法」を連想できる作品にはあいませんでした。感性が鈍いせいかな。全体をみて、特に韓国の日常を描いた作品が印象に残りました。そして映像祭ながら写真の展示も多く、全面映像展示ではありません。 来場者は若い人、特に女の子の姿が目立ちました。恵比寿映像祭は、変わりつつあるのか。岐路か。
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2024/01/24
いつものことながら会期が今週末でかけこみで「倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙」 (世田谷美術館)を観賞してきました。デザインに詳しくないので当然、倉俣史朗の作品は初めてみました。本展は、「没後30年を経て開催する本展覧会では、家具やインテリアの仕事に加えて、創作の源泉を垣間見せるかのようなイメージスケッチや夢日記も紹介し、倉俣語録とも言われた作家自身の言葉を手がかりに、独立する以前からあまりにも早すぎる死までを振り返ります。倉俣史朗の作品とその人物像に新たな視線を向けることは、デザインの可能性を再認識する機会ともなるでしょう。」 (世田谷美術館公式サイトより引用) 1991年に56歳で早逝しているためか、デザイナーとしての知名度は高くないかもしれません。しかし、展示されている作品をみると、とても斬新です。いまの時代に置いても古びていないし、新鮮なインパクトがあります。 平日だったのに、会場は若いひとで賑わっていました。世田美では珍しい(笑)。もっと早く見るべきだったと後悔した展示でした。
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2023/12/19
今年も2つ買ってしまいました。<日経おとなのOFF 2024年絶対見逃せない美術展> と<芸術新潮 2024年1月増刊号 これだけは見ておきたい2024年美術展> 。ほんと、両方買う必要ないだろう、と思うのですが、付録のアートカレンダー欲しさに・・・・・・。 とくに日経おとなのOFFは「豪華3大付録」つき。【付録1】伊藤若冲クリアファイル 【付録2】2024年美術展ハンドブック 【付録3】2024年名画カレンダー 「美術展ハンドブック」は便利。でも事前チェックを忘れ、会期末に会場にいくこともしばしば。来年は改めよう、無理かな。
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2023/12/18
急に思い立って神奈川県立近代美術館・葉山館へ。開催中の展覧会は「葉山館20周年記念 100年前の未来:移動するモダニズム 1920-1930」 。長くて、難しいタイトルの企画展です。美術館の公式サイトによれば、 「葉山館の開館20周年を記念して、当館が館名に掲げる『近代(モダン)』の文化が多様に展開した20世紀の20年代を再考します。」 「近代美術館」を冠したミュージアムは全国にたくさんあります。近代(モダン)とは何なのか。展示は、1.久米民十郎 1999年以来の特集展示 2.日本と外国の文化往来にみる同時代性 3.魯迅が中国で展開した近代木版画運動の最初期作品を紹介 美術館のコレクションで展開する企画展ですが、内容をしっかり理解して鑑賞するのは、なかなか難しい(笑)。「こんな作品もコレクションしていたのか」という興味本位でみてしまいました。予習が必要だったかも、と反省しました。
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2023/12/09
森美術館の企画展「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」 をみました。いま、考えるべきエコロジーをアートから考えようとする展示。「産業革命以降、特に20世紀後半に人類が地球に与えた影響は、それ以前の数万年単位の地質学的変化に匹敵すると言われています。この地球規模の環境危機は、諸工業先進国それぞれに特有かつ無数の事象や状況に端を発しているのではないか。本展はその問いから構想されました。」(本展ホームページから引用) 展示は4つの章から構成されています。 第1章「全ては繋がっている」 第2章「土に還る」 第3章「大いなる加速」 第4章「未来は私たちの中にある」 見ごたえがあり、考えさせられる展示です。 「環境問題をはじめとする様々な課題について多様な視点で考えることを提案します。」 一度だけみたのでは、深く考えることはできないのではないか。まだ会期はあるのでどこかで再訪したほうがよさそうです。
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2023/11/29
日曜美術館でみて、みようと思っていた会期が今週末と気付き、「横尾忠則 寒山百得」 展に。横尾忠則(東京国立博物館)が <寒山拾得を独自の解釈で再構築した「寒山拾得」 シリーズの完全新作102点 を一挙初公開> するものです。 <寒山と拾得は中国、唐時代に生きた伝説的な詩僧で、世俗を超越した奇行ぶりは「風狂」ととらえられました。>(東京国立博物館ホームページから引用) という寒山拾得。 展示作品は制作の日付けがあり、ほとんどが1日で描かれています。テレビでも紹介されていましたが、ほんの数時間で描いたこともあったようです。 奇しくも会場に横尾忠則さんが来ていました。87歳とは見えないお姿でした。横尾忠則ワールドを楽しみました。
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2023/11/25
今年も「TOKYO ART BOOK FAIR」(東京都現代美術館)にいってきました。11月23日から26日までの4日間の開催ですが、昨年は日時指定のチケットが売り切れる日もあったので、早めに購入。混雑が少なそうな昨日(24日)に。 会場に着いたのが午後3時過ぎでしたが、かなりの人です。出展者も国内はもちろん、海外から参加し、充実しています。これだけの出展があると、どれが自分の好みのBOOKなのかわからなくなります。 来場者は若者が圧倒的に多い。高齢者はいないよ。 今回は馴染みのギャラリーが出展してないので、一般客(?)でブースをみていたのですが、知り合いのアーティストさんとかギャラリーのオーナーさんに会ってしまいました。で、前川光平さんの作品集を買いました。 ART BOOK FAIR、というイベントにこれだけの人が集まるというのは、オジさんにとっては驚きです。
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2023/11/22
マラソンの後、神戸に宿泊。翌日、神戸で写真を撮って、その後、インバウンドで賑わっているらしい京都に。嵐山にいったらやはり凄い人出です。そんな中、月曜日なのに福田美術館が開館しているのを発見し、訪れました。 現在は「ゼロからわかる江戸絵画 ーあ!若冲、お!北斎、わぁ!芦雪ー」 が開催中 。この企画展は嵯峨嵐山文華館との合同での開催です。嵯峨嵐山文華館というミュージアムは初めていきました。百人一首ミュージアム「百人一首殿堂 時雨殿」を改装し、2018年に「嵯峨嵐山文華館」としてリニューアルオープンしたミュージアムです。 企画展はタイトルにあるとおり、 「北斎や歌川広重の浮世絵、伊藤若冲の鶏、円山応挙や長沢芦雪の仔犬など誰もが一度は目にしたことがある江戸絵画の優品計118点を、江戸絵画の基礎知識や鑑賞ポイントと共にご紹介いたします。」(福田美術館公式サイトより) と初心者にも楽しめる親切な展示です。 「百人一首殿堂 時雨殿」は任天堂の山内溥社長が私財を投じてつくられたそうです。リニューアルした「嵯峨嵐山文華館」は1階と2階が展示室ですが、2階の120畳の畳ギャラリーが圧巻です。 葛飾北斎や歌川広重の浮世絵、伊藤若冲の鶏、円山応挙や長沢芦雪の作品などを堪能してきました。
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2023/11/21
神戸にマラソンでいったので、兵庫県立美術館で幸いにも「Perfume COSTUME MUSEUM」 をみてきました。この企画展は、「本展は、『Perfume COSTUME BOOK 2005-2020』(文化出版局、2020年)を起点に、厳選した約170着の衣装を展示する初めての大規模衣装展です。メジャーデビュー以降の衣装を時系列でたどり、3人のメンバーがこの展覧会のために特別に選んだ衣装も展示します。」 (公式サイトより引用) アーティストの衣装を展示する企画は過去にもありそうですが、県立美術館が大々的に開催するのは珍しいのではと思います。ファッションの神戸をだからかな。 メンバーズ3人それぞれにデザインが違う衣装が展示されて、あ~ちゃん、かしゆか、のっちの個性をいかしたデザインを感じられます。あわせて時代ごとのMVもディスプレイで流され、それぞれのパフォーマンスも楽しめます。 Perfumeファンの初心者としては、アーティストの歴史をみることができ、展示を楽しみました。
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2023/11/14
正面からみると難しい企画展でしょう。国立西洋美術館で開催中の「「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展―美の革命」 はキュビズムという美術の表現形式をテーマにした展示です。タイトルの通り、ポンピドーセンターのコレクション作品が中心です。「パリのポンピドゥーセンターからキュビスムの重要作品が多数来日し、そのうち50点以上が日本初出品です。主要作家約40人による絵画や彫刻を中心とした約140点を通して、20世紀美術の真の出発点となったキュビスムの豊かな展開とダイナミズムを紹介します。」 (公式サイトより引用) キュビズム運動とも表現される20世紀初頭からの美術表現を、展示された作品で理解するのか素人には難しい。多数の画家が描いたキュビズムを理屈を忘れて楽しむほうがいいかも。ピカソ、ブラック、シャガールなど有名画家の作品が多数来ていますから。 昨年暮、ニューヨークのメトロポリタン美術館で「Cubism and the Trompe l’Oeil Tradition」 (翻訳すると「キュービズムとだまし絵の伝統」)をみました。キュビズムとだまし絵を同じくくりでみせることが面白かったです。それに対して本展はストレートにキュビズムに取り組んだ企画。キュビズムをもう一度、勉強するには格好の展覧会かもしれません。
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2023/11/10
とても刺激的で、かつ面白い展示です。今週末が会期末と知り、慌ててみてきた「杉本博司 本歌取り 東下り」 (松濤美術館)。 「和歌の伝統技法『本歌取り』を日本文化の本質的営みと捉え自身の作品制作に援用し、2022年に姫路市立美術館でこのコンセプトのもとに「本歌取り」展として作品を集結させました。」(美術館公式サイトより引用) と杉本博司が取り組んできた「本歌取り」を本展では東国である東京の地で新たな展開を迎えることから、「杉本博司 本歌取り 東下り」とされています。 葛飾北斎の「冨嶽三十六景 凱風快晴」を本歌とした新作の「富士山図屏風」、中国宋時代の画家である牧谿の水墨画技法を本歌取りとした「カリフォルニア・コンドル」など本歌をこえるとも感じる杉本博司の作品に、ただ圧倒されます。 特に面白かったのはマルセル・デュシャン「彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも」(大ガラス)を本歌とした「眼科医の証人01」「眼科医の証人02」。まったく別な作品とも感じます。 わざわざみにいく価値ある展示でした。
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2023/10/27
盛岡で岩手県立美術館へ。仙台で仕事をしていたときは、よく盛岡にいってました。仕事が早く終えて、この美術館は何回か訪れましたが、久しぶりに。企画展「高畑勲展」が開催中です。 この企画展は、2019年に東京国立近代美術館で開催され、そのあと岡山、福岡、三重などを巡回しています。国立近代美での開催はみていないので、はじめてみることになりました。「常に今日的なテーマを模索し、それにふさわしい新しい表現方法を徹底して追求した革新者・高畑の創造の軌跡は、戦後の日本のアニメーションの礎を築くとともに、他の制作者にも大きな影響を与えました。本展覧会では、絵を描かない高畑の『演出』というポイントに注目し、多数の未公開資料も紹介しながら、その多面的な作品世界の秘密に迫ります。」(公式サイトより) 展示されている高畑手書きの企画書、絵コンテなどの資料が膨大です。パソコンが仕事に使用されていない時代、端正な文字で書かれた資料に高畑の創作技法が、いまも新鮮です。合わせて展示されている宮崎駿の絵コンテなどの資料にも驚きます。絵が上手い。 日本のアニメ、その原点をみた展覧会でした。
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2023/10/08
以前からお付き合いのあるアーティストさんがつくばで個展をしているので、いってきました(「つくば市」ってひらがななんですね、今頃気付く愚かさ)。もう、10年くらいは交流がある植田爽介さんの「植田爽介個展 この星を狭めるもの」 です。 昨日、トークイベント「時空を越える創造と経験、分岐する空想と可能性」があるので、これに合わせて個展を拝見しました。トークイベントは筑波大学国際局・教授の森尾貴広氏とのトーク。面白い時間でした。 個展が開催されているのは<gallery_neo / Senshu> 。つくば駅から歩いて20分以上かかるところにあるギャラリーです。バスもありますが1時間に1本ほど。こんなところで、というギャラリーでした。
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2023/09/27
しばらくぶりにグループ展に出展しています。世田谷美術館でかつて(もう7年も前)、「美術大学」という市民講座に参加していました。週2回、半年の講座なので、わりと連帯感ができます。受講生で1年に一回ほど展覧会をやっています。皆さん、かなりの力作をだされています。 でも、年々出展者が減ってきているのも事実。今回は出展者が少なめだったので、拙作をだすことにしました。 作品は16枚の組写真です。2020年に撮ったコロナ禍の東京と、今年撮る今の東京を対比させる、といいう意図。 でも、余りの猛暑で撮影にいけず、やっと少しだけ暑さが和らいだ先週に撮影しました。満足がいく出来ではないけど、仕方ない。 世田谷美術館内の区民ギャラリーで、今週の日曜まで開催してます。区民ギャラリーの展覧会
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2023/09/15
山口晃は面白い。アーティゾン美術館で開催中の「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン」 をみてきました。 恒例となったアーティゾン美術館のジャムセッション。これは、「ジャム・セッションは、アーティゾン美術館のコンセプト「創造の体感」を体現する展覧会です。アーティストと学芸員が共同して、石橋財団コレクションの特定の作品からインスパイアされた新作や、コレクションとアーティストの作品のセッションによって生み出される新たな視点による展覧会を構成します。」 (美術館の公式サイトより) 今回のジャムセッションについて山口晃は、 「写実絵画やアカデミズム絵画に対する反動としての、あるいはその本来性を取り戻すためのものが西欧の〈近代絵画〉であろう。が、写実絵画やアカデミズム絵画の歴史を持たぬ本邦に移入された近代絵画とはなんであろう。」(公式サイトより) 《東京圖1・0・4輪之段》、《善光寺御開帳遠景圖》といった細かな作品にはただただ見入ります。インスタレーションは、透明な箱に展開する小さなワールド。 来場者は若い女性が目立ちました。コミックも描く山口晃ならではのファン層なのかな。楽しくみてきました。
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2023/09/04
とても新鮮なアプローチの本です。『アートとフェミニズムは誰のもの?』 (村上由鶴 著)は「アート」と「フェミニズム」 という一見関連性がないような二つのカテゴリー(カテゴリーという表現が適切か?)でアートとフェミニズムを理解する道筋を示す著作です。 「アート」は少しだけ知識があるけど、「フェミニズム」についてはほとんど知らない私にとって、とても刺激があり、教えられる内容です。フェミニズムは知らない、という前にずっと避けてきました。単なる言い訳だけど、私の世代ではフェミニズムに関わらないでも、生きてこられたからかもしれません。 著者の村上由鶴は、専門が写真の美学です。写真表現の領域を踏まえ、アートとフェミニズムを論ずることが、とても興味深いです。本書のなかで「フェミニズム・アーティストたちは、表現方法として写真を使うアーティストが多い」と書いています。 アート、フェミニズムそして写真。深めたいテーマです。
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2023/08/28
銀座の蔦屋書店でフェア「Medeia1.0- Social Documentary / Between Fashion and Books」 が開催されていています。このフェアは、 「銀座 蔦屋書店では、国内外の写真家が切り取った世界中の出来事や社会課題をファッションとアートの視点から人々に届けることを目的としたプロジェクト「Medeia1.0」のフェアを、前期・後期の2期に分けて開催いたします。」(公式サイトより) という内容です。 <会期> ・前期 8月10日(木)から8月23日(水) ※終了 ・後期 8月24日(木)から9月10日(日) ZINE ”Medeia2.0”がつくられていて、フェアの会場で販売されています。 ”Medeia2.0”は、 「Issue01ではMagnum PhotosよりZied Ben Romdhane氏が参加。またIssue02ではⅦ PhotoよりStefano De Luigi氏が参加し、今回、新発売となり金村修氏が参加するIssue03 」と現在のところ3号まで発刊。 昨日、金村修さんのサイン会があり、サインをいただいてきました。珍しい漢字のサインです。金村さんの作品は刺激的です。
「Medeia1.0- Social Documentary / Between Fashion and Books」
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2023/08/25
水戸まで日帰りで出かけたのは、茨城県近代美術館で「土とともに 美術にみる〈農〉の世界」 をみたかったから。 何故かと言うと、先日(20日)に「日曜美術館」のアートシーンをみていたら、この展示が紹介されていて、ただ眺めていたら(すみません)、存じ上げているアーティストの作品が紹介されていました。「エッ」と驚き。作品は浅野友理子さんの「はなめく芋畑」 。 浅野友理子さんの作品は5年前、2018年3月の三菱商事アート・ゲート・プログラムのオークションで買わせていただきました。その直後、日経日経日本画大賞に入選し、更にいくつかの賞を受賞されていいます。 本展は「〈農〉をめぐる多様な作品を5つのテーマに分けて考察します。日本各地の美術館などから選りすぐった約100点の作品により、美術にみる〈農〉の世界をお楽しみください。」(美術館ホームページより)という内容でミレー、ゴッホ、浅井忠から現代のアーティストまでが展示されていて、見ごたえのある内容です。
今週は山梨県立美術館で「ミレーと4人の現代作家たち 」をみにいくつもりだったけど、これは無理みたい。でも「土とともに 美術にみる〈農〉の世界」にはミレーの「種をまく人」(クローン文化財)が展示されていたので、まあいいか。
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2023/08/18
久しぶりに外出して東京都現代美術館で「デイヴィッド・ホックニー展」 へ。デイヴィッド・ホックニーは1937年生まれ、いまだ活動するアーティストです。会場の現代美術館でもかなりの作品をコレクションしているので、コレクション展でみています。でも今回の企画展は27年ぶりとなる大規模な個展で、見応えがあります。 「ホックニーは60年以上にわたり、絵画、ドローイング、版画、写真、舞台芸術といった分野で多彩な作品を発表し続けてきました。」(美術館の公式サイトより) と表現形式は多様です。スライド形式で液晶ディスプレイに作品を投影する展示もあります。 いちばんの見どころは「COVID-19によるロックダウン中にiPadで描かれた全長90メートルにもおよぶ新作」でしょう。 とにかくホックニーの作品は明るい。難しいことなしに楽しめます(ほんとは深い意味があるのでしょうが)。会場には若い世代が目立ち、夏休みの時期からか、親子連れも多い。 猛暑の中、わざわざいった価値がありました。おすすめ。
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2023/07/20
これも今月初めにみた展示なのですが、見ごたえのある内容でした。アーティゾン美術館の「 ABSTRACTION」 。サブタイトルのとおり「抽象絵画の覚醒と展開 セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ」 と大きなテーマながら、ボリュームのある作品で抽象絵画の流れをみることができます。 「本展では、石橋財団コレクションから新収蔵作品95点を含む約150点、国内外の美術館、個人コレクション等から約100点、あわせて約250点の作品を、アーティゾン美術館の全展示室を使ってご紹介いたします。」(公式サイトより) 250点はかなり多いです。作品をみるのが速いほうですが、1時間半ほどかかりました。なにせ、抽象絵画というのは多くの表現形式と膨大な作品があります。挑戦的とも言える展示だと思います。 <欧米だけでなく日本の作家も含めた約260点の作品で、19世紀末から1960年代までの流れを概観する。近現代美術の「グローバルヒストリー」を描こうとするような意欲的な試みだ。>(日経新聞電子版 6月10日) 昨年暮れにニューヨークのメトロポリタン美術館でみた「Cubism and the Trompe l’Oeil Tradition」 展と比べてみると、発見がありそうだ(いまはゆっくり図録をみる時間がないのだが)。 おすすめの企画展です。
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2023/07/19
観賞してきたのは先月下旬なんですが、書きそびれていまごろ感想を書く「マティス展」 (東京都美術館)。美術ファンでなくても知っているであろうアンリ・マティスの回顧展ですが、展覧会の公式サイトによれば「約20年振りの開催!」とあります。 前回のマティス展は2004年11月にみています。同じ上野の西洋美術館での開催。当時書いたブログでは 、「すごい混み方でした。やはり、マティスということもあり、おばさま連中が多かったですね。」って。今回の「マティス展」は平日だったこともあり、そんなには混んでいませんでした(前回はまだフルタイムで働いていたので土日にいっているはず)。 本展の展示はパリのポンピドゥーセンター/国立近代美術館からの作品が約150点が中心です。これに加えて国内のミュージアムからの作品が展示されています。 マティスの生涯をたどり、アーティストの全貌がわかりやすく展示されています。 「絵画に加えて、彫刻、ドローイング、版画、切り紙絵、晩年の最大の傑作であり、マティス自身がその生涯の創作の集大成とみなした南仏ヴァンスのロザリオ礼拝堂に関する資料まで、各時代の代表的な作品によって多角的にその仕事を紹介しながら、豊かな光と色に満ちた巨匠の造形的な冒険を辿ります。」(公式サイトより)。 また、初期の傑作《豪奢、静寂、逸楽》が日本初公開です。 マティス初心者にも美術マニアにも満足していただける展覧会ではないでしょうか。ところで20年前の「マティス展」の図録が見当たらない。どこにいったのだろう。探索中。
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2023/07/08
アートフェアにいく機会はあまりありません。何年も前、アートフェア東京にいった記憶があるくらいです。海外ではかなり有名なアートフェアがあるようですが、日本では少ない。そんな中、「東京現代」というアートフェアが昨日(7月7日)から3日間開催されています。 土日は混雑するかもと初日の金曜日にいってきました。会場はパシフィコ横浜(「東京現代」なのに横浜)。午後4時過ぎに着いたのですが、予想に反して混んでいません。入口に列は無く、すんなり入れました。拍子抜けです。 会場内はほどほど人はいますが、混雑にはほど遠い。今年2月に開催されたカメラのショーCP+のほうが人は遙かに多かった。比べるのはなんですが。来場者の多くは若者です。 そもそも「東京現代」とは? 「30年ぶりに東京エリアに誕生する国際的現代アートフェア、Tokyo Gendai 。世界各地から、国際的に評価されている73のギャラリーを提供するアートフェアです。」(公式サイトより) その割には日本人以外の来場者は目立ちません(少しはいます)。 並べられているアート作品をざっとみましたが、魅力ある作品は少なかったです。入場料は4,000円、ちょっと高いと思う。
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2023/06/28
先日、神楽坂のギャラリーSprout Curationで「写真鉱山」展をみました。以前、通っていた写真のワークショップで教えていただいた金村修さんと小松浩子さんが出展されているので拝見してきました。この展示には田中和人 さんも出展されていて、作品が素敵だったので迷ったあげく、購入(私にとっては安くない金額)。「Picture(s) #49」という作品です。 2020年、コロナが拡大し始めた時に京都で大学のスクーリングを受講しました(確か「写真知見」だと思う)。そのときに講師をされていたが田中さん。昨年、清澄白河のKANA KAWANISHI GALLERYで個展<田中和人 個展『Picture(s)』>をされています。このときには今回購入した作品と同じテーマの『Picture(s)』で構成。 またこのシリーズを5月にニューヨークで開催されたアートフェア「NADA NEW YORK 2023」に出展し、20点近い作品が完売(私が購入した作品が売れなければ買いたい、という人がいたとか)。田中さんにうかがったのですが、今年はウィーン、来年はポルトガルで出展の予定。 『Picture(s)』シリーズは、キャンバス上に印画紙(暗室で露光されたカラーフォトグラム)と絵の具(抽象絵画)が等価に並び、いわゆる「絵画的な写真」や「写実的な絵画」を軽々と凌駕します(KANA KAWANISHI GALLERYサイトより引用)。 素敵な作品です。
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2023/06/21
これまでみた佐藤忠良とは違う佐藤忠良でした。神奈川県立美術館(葉山)で開催されている「生誕110年 傑作誕生・佐藤忠良」 をみてきました。 仙台にいたとき、宮城県美術館で佐藤忠良の作品はかなりの数をみました。佐藤忠良記念館があり、美術館にいったときいつもみていました。本展は宮城県美術館の所蔵品で構成されていますので、すでにみた作品もありますが、初めての作品もあります。 しかし、今回の展示では「佐藤忠良コレクション」作品が展示されています。佐藤忠良が所蔵した作家の作品が公開されています。ピカソ、ドガなど多くの作品を持っていました。この作品も宮城県美術館に寄贈されています。これらの作品も見ごたえがあります。これらの作品は仙台にいたころはみることができなかったの興味深く拝見しました。 彫刻という表現をもっとみたいと思い直した充実した展覧会でした。
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2023/06/19
神奈川県立近代美術館で開催中の「生誕110年 傑作誕生・佐藤忠良」 展のイベントとして<トークイベント「佐藤忠良」を再読する> に参加してきました。仙台にいたときに知り合った方が登壇されることもあり、久しぶりにこの美術館に。 登壇者は棚田康司(彫刻家)、冨井大裕(美術家・武蔵野美術大学教授)、藤井匡(東京造形大学教授)、三上満良(本展監修者・前宮城県美術館副館長)の4人。 イベントを拝聴していて、彫刻作品は散々みているのですが、これまでなんとなく見てしまっていることに恥ずかしながら気付きました。そして、佐藤忠良の作品も仙台にいたとき宮城県美術館でかなりみているのに、作家についてほとんど知識がなかったことも・・・・・・。 2時間余の内容でしたが、彫刻をみる手がかりをいくつも教えられました。肝心の「生誕110年 傑作誕生・佐藤忠良」はあらためてしっかりと見にいく予定です。
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2023/06/17
会期末があと2日(6月16日まで)になり慌てて世田美の「麻生三郎展 三軒茶屋の頃、そしてベン・シャーン」 へ。 実は麻生三郎という画家についてほとんど知らない。まとまった作品を見るのは初めてです。
麻生三郎(1913-2000) 東京に生まれる。太平洋美術学校で学び、1938年渡仏するが大戦下の緊迫した情勢により帰国。豊島区長崎のアトリエ村に住み、美術文化協会の創立に参加。戦時下では松本竣介らとともに、自由な表現をもとめて8人の画家による新人画会を結成した。戦後、自由美術家協会に合流。1948年、世田谷区三軒茶屋にアトリエを構え、武蔵野美術大学で後進の育成にも尽力した。
展示作品をみると油彩作品はかなり黒いです。暗い、というのが最初の印象。その暗い世界に人物が描かれ、暗さだけでない世界を感じます。 油彩作品、素描作品に加え、装丁の仕事の作品も展示されています。装丁なので商業作品、暗さはありません。この落差はなんなんだろうな、と思ったりします。 本展では麻生が強く惹かれ自ら作品を蒐集した作家ベン・シャーンの作品も展示されています。版画集『リルケ「マルテの手記」より 一行の詩のためには…』全24点を含む麻生旧蔵の作品群も公開され、貴重な展示となっています。 麻生三郎という作家を知る意欲的な展覧会です。
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2023/06/16
2023/05/28
世田美のワークショップでデッサンを教えていただいた三宅一樹さんの個展を拝見してきました。教わっていたのはデッサンですが、三宅さんは彫刻家です。初めて、三宅さんの作品をまとめてみることができました。 本展は中村屋サロンが芸術家の紹介でつなぐ展覧会「中村屋サロン アーティストリレー」の第5回で、タイトルは<三宅一樹展 「拝啓、碌山殿。 >。碌山とは彫刻家・荻原碌山です。三宅さんの本展によせたコメントで、「拝啓、碌山殿。あなたが切り開いた彫刻の道を、私はしっかりと継承し、歩めておりますでしょうか。」 日本近代彫刻のパイオニア・荻原守衛(碌山)。その彼を支え、活動の拠点であった中村屋サロン。この聖地のような特別な場にて展覧会のバトンを 受けた私は、現代彫刻家として、敬愛する碌山をあらためて深く考える好機をいただいた気が致しました。 と書いています。 新宿の中村屋ビルにある中村屋サロン美術館には初めていきました。入館料は300円ですが図録をいただけます。落ち着いた雰囲気で作品と向かいあえるアートスペースです。また訪れたいと思います。
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2023/05/27
ブルターニュをテーマにした展覧会が2つ、都内で開催されていて、先日西洋美術館で「憧憬の地 ブルターニュ ―モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷」をみました。もうひとつ「ブルターニュの光と風」(SOMPO美術館)をみてきました。 ブルターニュというテーマは難しいな。この時代のフランス絵画から辿らないと、作品の本質には辿りつかないみたいです。 「ブルターニュの光と風」は、 <ブルターニュに関する作品を多数所蔵するカンペール美術館 の作品を中心に、45作家による約70点の油彩・版画・素描を通じて、フランス〈辺境の地〉ブルターニュの魅力をご覧いただきます。>(美術館ホームページより引用) 展示されているのは作品は70点ほどですが、無学ゆえほとんどの画家を知りません。 「こちらは日本であまり知られていない画家の名も多く含まれ 、よりマニアックな展示構成に新鮮な驚きがある。」(5月16日 朝日新聞デジタル) でも、キャプションで画家について解説してくれるのでよくわかります。見どころは? 「サロンに出品されて国の買い上げとなったり、政府の注文で制作されたりした絵画群は、見どころの一つだろう。」(4月8日 日経新聞) 国の買い上げ、という行為はいまの時代ではあり得ない。 ブルターニュ、フランスは深いなあ。
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2023/05/20
都内ではフランス・ブルターニュ地方をテーマにした企画展が開催されています。「憧憬の地 ブルターニュ ―モネ、ゴーガン、黒田清輝らが見た異郷」 (国立西洋美術館)と「ブルターニュの光と風」(SOMPO美術館)。 そろそろ会期も終盤になってきたので、まず西洋美術館に出かけました。ブルターニュ地方とは? <「フランスの中の異郷」。同国のブルターニュ地方は、パリなどとは異なる独自の歴史と文化を持つことからそう称される。 >(4月8日 日経新聞電子版) 今はフランスのひとつの地域ですが、 「16世紀にフランス王国に統合されるまでブルターニュ公国として独立を保ち、フランス革命期には共和国に対する反乱も起きた。中央のパリやほかの町とは異なる心性が育まれたといえる。」(日経新聞) とかつては独立した文化圏を形成していたブルターニュ。 展覧会の公式サイトにあげられている見どころは3つ。 ・ブルターニュの名を美術史に刻印した画家、ゴーガンの作品12点が集結 ・30か所を超える国内所蔵先と海外美術館2館から珠玉の作品約160点を一堂に展示 ・西洋だけでなく日本の近代画家たちがとらえたブルターニュの姿も併せて紹介 160点とみごたえのある内容です。オルセー美術館からの作品もあります。ゴーガンの作品も充実しています。私にとってはブルターニュと画家の創造を知るきっかけとなる企画展でした。
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2023/05/15
京セラ美術館にいって、目的は「跳躍するつくり手たち:人と自然の未来を見つめるアート、デザイン、テクノロジー」をっみるためでしたが、同時に開催されている「生誕100年 回顧展 石本正」 も観賞しました。 石元正(いしもとしょう)の作品をまとめてみるのは初めてです。 「舞妓や裸婦の官能的な表現で知られる日本画家・石本正(1920〜2015)。石本の生誕100年を記念して、活動拠点だった京都で初めてとなる大規模な回顧展を開催します。」(美術館ホームページより引用) 石元正は島根県浜田市に生まれ、京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)で日本画を学び、京都を活動の拠点としました。 「舞妓や裸婦の官能的な表現で知られる」とホームページにありますが、展示のみどころはやなり舞妓、裸婦です。どの作品も独特の表現で女性の美しさが際立ちます。日本画の画家ですが、キュビズム的な雰囲気をもつ作品もあり、刺激的です。常に新しい表現を模索していたのでしょう。 石元正という画家の画業をみることができる貴重な企画展です。
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2023/05/13
予想以上に刺激的でした。京セラ美術館で開催中の「跳躍するつくり手たち:人と自然の未来を見つめるアート、デザイン、テクノロジー」は今でのつくる行為をみせてくれる展示です。<1970年代、1980年代生まれを中心とした参加作家による新作や初公開作品を多数紹介する本展では、過去と未来、自然と人⼯、情報環境と実社会といったさまざまな関係性を軽やかにつないで再解釈する彼らの作品や活動から、世界が直⾯する激動の時代に求められる「創造へ向かう跳躍するエネルギー」が鮮やかに浮かび上がることでしょう。>(美術館ホームページより引用) 日経新聞は本展を文化欄で取り上げ、記事の冒頭でこう書いています。<人間の活動が地球環境に大きな影響を及ぼす「人新世」にどう向き合うか。京都市京セラ美術館で開催中の展覧会「跳躍するつくり手たち」は分野横断的に自然との共生を考える。> (5月8日 日経新聞電子版) 本展のキーワードは「人新世」。 大きなコンセプトは難しいのですが、展示は「つくり手」たちの素晴らしい作品に圧倒されました。 わざわざ京都までみにいってよかった。展示は6月4日までです。機会がある方はぜひ。
跳躍するつくり手たち:人と自然の未来を見つめるアート、デザイン、テクノロジー
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2023/04/09
日常ではいくことがあまりない高田馬場に、久しぶりに出かけました。写真のワークショップで以前ご一緒させていただいた方が個展をされていて、トークショーがリアルで開催されるので参加してきました。会場は高田馬場から徒歩7分くらいのところにあるAlt_Medium。こじんまりとしたギャラリーでのトークショーですが、充実した内容でした。
片柳拓子 個展 「Relevant」 2023年4月7日(金)~19日(水) 12:00〜19:00※木曜日休廊、最終日〜17:00まで 夕飯を食べるのに、高田馬場に前から気になっていた「えびのや」へ。天麩羅のチェーン店のようですが、明太子が食べ放題。天麩羅と明太子、マッチするのかと思いつつ、店へ。 えびのや定食を食べましたが、明太子が置かれていて、確かに食べ放題。美味しくいただきました。
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2023/04/07
やっといってきました。世田谷美術館のコレクション展「わたしたちは生きている! セタビの森の動物たち」。この展示は日頃お世話になっている学芸員さんが企画したもので、2月18日から開催されているのに、いきそびれて今頃観賞です。招待券もいただいていたのに、会期はこの日曜日4月9日まで。危うくいきそびえるところ。 コレクション展なので、世田美所有の作品で構成されている展示で動物をテーマにした企画ですが、動物をテーマにしたこれだけ多彩な作品をコレクションしていることに驚きます。 展示は5つの章、 Ⅰ とりたちのうた Ⅱ 人とともに Ⅲ 思いをのせて Ⅳ いのちの森 Ⅴ ねこの園 とここに<プロローグ セタビの森の動物たち~子どもたちが描いた動物(無料スペース)>と<参加コーナー:みんなでつくるセタビの森(無料スペース)>が加わり、展開。 コレクション展としてはかなり見ごたえのある展示です。もっと早くいけばよかった。
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2023/03/25
みたのは10日ほど前なんですが、書きそびれていた「佐伯祐三 自画像としての風景」 (@東京ステーションギャラリー)。「東京では18年ぶりに開催される佐伯祐三の本格的な回顧展。」(公式サイトより)で、143点の作品が展示されています。
展示の核となるのは、大阪中之島美術館が所蔵する作品です。この美術館は佐伯祐三の作品を約60点コレクションしています。ここに国内のミュージアム所蔵作品、個人蔵の作品が加えられ 展開されています。
「東京では18年ぶり」という前回の展覧会は練馬区立美術館で開催された「佐伯祐三展:芸術家への道」。この展覧会は和歌山県立近代美術館の企画で、東京では練馬区立美術館での開催でした。練馬区立美術館は佐伯祐三作品をいくつも所蔵いないようです(正確にはわからないのですが)。推測するに当時は佐伯祐三は美術ファンにはその名が知れ渡っておらず(私もたぶん初めて知りました)、東京の美術館で巡回を受けるところがなかったのではと。その結果、練馬区立美術館での開催となったのかな。
ともかく、今回の「佐伯祐三展:芸術家への道」は見ごたえがありました。展示は「プロローグ」から「第1章」「第2章」「第3章」そして「エピローグ」で構成されています。会場に入り、最初の「プロローグ」「第1章」あたりまでは退屈だったのですが、終盤の「第3章」になると、俄然刺激的な作品が並びます。
ひたすら不安定な気持ちになる、というのが佐伯祐三の作品なのではないか。そこが佐伯祐三の魔力だと解釈しています。 会場には「ルーブル美術館展」をみるような人たち(要は年齢層が高い人)が大半でした。でも、その客層以外での充分楽しめる展示だと覆います。
18年前の図録も発見したので、今回の図録も買ってしまいました。見比べてみるのも面白そう。
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2023/03/17
15年前に卒業した武蔵美・通信の同窓会<ムサ通の会>が主催のグループ展「musa2 アート&デザイン展2022」 に出展しています。写真作品を6点展示しています。
「musa2 アート&デザイン展2022」
■会期:2023年3月16日(木)~3月21日(火・祝)
10:00〜19:30(初日14:00から 最終日15:00まで)
■会場:吉祥寺美術館 市民ギャラリー
ムサ通の会は毎年グループ展を主催しているのですが、参加するのは初めてです。今回は通信教育課程の本部がある吉祥寺での開催。展示会場は吉祥寺駅・北口から徒歩3分。メンチカツで有名な「さとう」も近いです。
卒業してから15年か。遙か昔のように思えます。あのころは元気だった(笑)。
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2023/03/15
近頃はリカレントなんてのが流行っていますが、昔はこんな概念はなく、ただ生涯学習ということで括られていました。社会人で初めて学んだ武蔵美の通信ですが、卒業制作展にいってきました。通信の本拠は吉祥寺なんですが、今回は小平の武蔵美が会場です。 通学の美大の卒展は展示点数も多く多彩だと思いますが、通信は地味です(笑)。学科で言うと、「油絵学科」「芸術文化学科」「工業デザイン学科」「デザイン情報学科」の4学科です。 卒展には時間が許す限りいっているのですが、今回の展示では油絵学科での日本画が少なかった(というよりないみたいだが)。どうしたのかな。そしてデザイン2学科の展示は面白い。 大学を卒業したのは2008年。この大学を含めいくつか学部、大学院をでていますが、武蔵美がいちばん大変でした。なにせ15年前です。レポートは手書き、科目試験はオンラインなんでものはなく大学とか指定会場(当時、仙台にいました)での受験(もちろん答案は手書き)。同級生との情報交換もスマホ、SNSもないのでパソコンメールだけ。泣きそうになる状況が何回もありました。 一昨年でた京都の大学では科目試験の問題は事前に明かされていました。これって、学びか? 時代は変わったということでしょう。
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2023/03/14
気がつけば会期末が近い「六本木クロッシング2020展:往来オーライ!」をみてきました。本展は、 <「六本木クロッシング」は、森美術館が3年に一度、日本の現代アートシーンを総覧する定点観測的な展覧会として、2004年以来共同キュレーション形式で開催してきたシリーズ展です。(公式サイトより)> で、7回目の開催です。 みる前にはなんとなくインスタレーションとか映像作品が大半なのかなと思っていました。確かに多くはそうなんですが、油彩絵画、写真作品もあり、多彩です。それと若手アーティストの作品ばかりとも思い込んでいましたが、それも違っていました。石内都、青木野枝の作品があります。 公式サイトによれば、
コロナ禍を経て、浮かび上がる社会像を考察する 本展のキュレーター4人のコロナ禍を起点とする議論により、2022年のいま、考察すべき3つのトピックで展覧会を構成します。 とされ、3つのトピックとは、 1. 新たな視点で身近な事象や生活環境を考える 2. さまざまな隣人と共に生きる 3. 日本の中の多文化性に光をあてる とされています。 トピックを意識しないでも、楽しくみることができました(それじゃ、だめだろう) 来場者は圧倒的に若者。カップルとか女子のグループとかが多い。広がりのある展示を満喫しました。
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2023/03/13
アートテラー・とに〜さんがすすめていて、メディアでも大きく取り上げられている「レオポルド美術館 エゴン・シーレ展 ウィーンが生んだ若き天才」 へ。エゴン・シーレは知りませんでした(苦笑)。 <世紀末を経て芸術の爛熟期を迎えたウィーンで活躍した画家。わずか28年という短い生涯の間に鮮烈な表現主義的作品を残し、美術の歴史に名を刻んだ。 最年少でウィーンの美術学校に入学も保守的な教育に満足できず、退学して新たな芸術集団を立ち上げる。>(公式サイトより引用) 夭逝しているので作品数は多くはありません。本展ではエゴン・シーレと同時代にいきたグスタフ・クリムトなどの前衛芸術家の作品も合わせて展示し、エゴン・シーレの才能をみることができます。でも、展示のコンセプトは易しくない。会場の解説で「オーストリア表現主義」とありましたが、これが初耳。自らの知識のなさに呆れます。 でも会場で章ごとに作品をみていくうちに、エゴン・シーレの表現世界に引き込まれていきます。全部で14章で構成されている中で、「風景画」と「裸体」の章が刺激的です。 めったに買わない図録を購入してしまいました。ここを逃すと30年後かもしれないし。おすすめです。
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2023/02/17
東京都写真美術館で「恵比寿映像祭2023」をみてきました。毎年2月に開催される恒例の展示です。今年のテーマは、「テクノロジー?|Technology?」です。意外なテーマだな、と感じました。<恵比寿映像祭2023では、「テクノロジー?」というテーマを通して、多種多様な映像表現の実践を検証し、アートと技術との対話の可能性を考察していきます。> (公式サイトより) 毎回、様々な表現で刺激的な映像にであう恵比寿映像祭ですが、今回はちょっと違っています。映像祭ながら、写真(プリント)の展示もあります。築地仁、北代省三、杉浦邦恵、山沢栄子などのアーティストによるプリント作品が2階展示室で展開されます。もちろん映像表現も、様々な表現でみせてくれます。 驚かせられたのはHouxo QUE。ディスプレイに建築資材の単管パイプが突き刺さっています。これでも映像が映るのが不思議。 いくつもの発見がある恵比寿映像祭です。会期は2月19日まで。
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2023/02/13
ワークショップで写真を指導いただいていた金村修さんが個展「金村修 展|Can I Help Me?」 (恵比寿・MEM)を開催しています。精力的に個展を続けている金村さんですが、今回は、<電線や看板、ビルがひしめき合う都市や路地裏の風景をソリッドに撮影することで知られる金村修は近年、ドローイングやコラージュ、映像を精力的に発表しています。本展では新聞や雑誌の切り抜きによるコラージュと、ビデオ・インスタレーションを展示いたします。> (MEM公式サイトより)。 膨大な写真をコラージュした作品にプロジェクターで投影する展示空間。別室では大きなコラージュ作品の展示。もはや、写真家の展示から大きく進歩しています。 金村さんが動画制作も行っています。過去の作品と新作の上映会があり、参加してきました。上映されたのは、
<旧作> 1. Elvis the Positive Thinking Pelvis(9分43秒 / 2014年) 2. Life is a Gift(17分7秒 / 2016年) 3. Animals(25分35秒 / 2017年) 4. Shrimp Cocktail-president(14分20秒 / 2018年) <新作> 5. Are You Sequenced?(18分10秒 / 2023年) 6. Material Boutique(15分51秒 / 2020年) 7. Aseptic Room Service(11分45秒 / 2019年)
これだけの作品をつくるパワーはほんと凄いと思います。刺激的な時間でした。 会期は2月28日まで。
金村修 展|Can I Help Me?
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2023/01/25
2023/01/22
気がつけば会期末まで1週間。やっとみてきました。「祈り・藤原新也」 (世田谷美術館)。多くの人がそうであろう。私の藤原新也との接点は「東京漂流」。それ以降、この写真家の作品はあまり拝見した記憶がありません。 本展は、 「公立美術館で大規模に開催される個展は今回が初めてです。250点以上の写真と言葉により、50年以上にわたる藤原の表現活動の軌跡を俯瞰する初の機会となります。」(美術館公式サイトより) 藤原新也の作品をみる機会がすくなかったかもしれません。 「『祈り』というキーワードに基づいて、現在の視点から藤原自身が改めて厳選・編集した、新たなストーリーを持った展覧会です。」 4年余りをかけて藤原が選んだ作品が、「祈り」というキーワードで展開されています。写真作品には 「本展のために書き下ろされた文章が美しいレイアウトで添えられています。」 文章を読んでいくと、この人は、まずテキストありきの作家ではないだろうかと思います。 いつもは空いている世田美ですが、平日ながら多くの人が観賞していました。 会期は今月29日まで。
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2023/01/20
先日、メトロポリタン美術館のオンラインショップで勘違いして、追加で卓上カレンダースタンドを購入したことを書きました。このスタンドを購入するとき、配送料がもったいないのでメトロポリタン美術館の2023年カレンダーを一緒に注文しました。 「New York in Art 2023」というウォールカレンダーです。アメリカのカレンダーでは一般的な正方形タイプ。もちろん美術館のコレクションから選んだ12点を使ってのカレンダー。 これまでMOMAの「Modern Art 2023 Wall Calendar」をレンタルスペース用に何年か購入していました。載っているのは12ヶ月、ずべて絵画ないしは版画作品です。しかし「New York in Art 2023」は写真作品が2点あります。2月がWalker Evans、9月はTed Cronerの作品です。 ニューヨークから来た上質なアートカレンダーです。
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2022/12/30
ニューヨークのメトロポリタン美術館で企画展「Cubism and the Trompe l’Oeil Tradition」(翻訳すると「キュービズムとだまし絵の伝統」)が開催されていて、キュビスムとだまし絵という新しい解釈で提示する展示で、刺激的な内容でした。企画展の図録を買いたかったのですが、かなり分厚く持って帰るに躊躇し、諦めました。 やっぱり欲しくなり、ネットで購入することに。図録は人気があるのか日本のアマゾンでも在庫があります。本体価格が50ドルですが、円安からか少し高め。アマゾンの米国サイトでも在庫はあるのですが、メトロポリタン美術館のオンラインショップから購入してみました。昨日オーダーして、今日「Your The Met Store order has shipped」のメールがきました。メールには配送業者としてUSPSとあります。米国郵政公社です。調べてみると日本では日本郵便が配達。Tracking Numberを日本郵便の追跡サイトで検索すると、USAで引受されたことが表示ています。 さて、いつ荷物が到着するのか。楽しみ。
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2022/12/19
ニューヨークに来ています。
MOMAでピカソの「アビニオンの娘たち」を見ました。
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2022/12/15
以前からお付き合いのある陶芸家の茂田真史さんが「茂田真史 土器展 ―ヒルコー」 を拝見してきました。場所は日本橋三越の美術工芸サロンです。個展のタイトルにあるヒルコは日本神話に登場する神のこと。DMに、 <「土器」というと原始的なやきものが想起されますが、現代のやきものの選択肢として野焼きによる土器制作に取り組んでおります。> とあるとおり、野焼きによって制作された作品が展示されています。以前は陶器を作られていたのですが、最近は土器で素晴らしい作品をつくられています。 展示されている中から、ささやかですが1点購入させていただきました。展示作品の中では異彩を放つ個性的な作品です(1枚目の写真) 三越の美術工芸サロンで初めてアート作品を買いました。貴重な体験かも。
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2022/11/20
珍しく祖師ヶ谷大蔵にいってきました。駅から5分ほどのところにGALLERY TAGA 2があり、開催されている<白井晴幸「景色の光線」> をみるためです。昨日、作家の白井さんと三本松倫代さんの対談イベントがあり参加してきました。 展示の内容をホームページから引用します。 <学芸に携わり、日々新しい表現と向き合うキュレーターとともに展覧会をつくるコンセプトのもと、第3回目の白井晴幸「景色の光線」を開催致します。本展は、現在神奈川県立近代美術館に勤務し、近年では「アレック・ソス Gathered Leaves」(2022年)、「みえるもののむこう」(2019年)等を担当した三本松倫代氏がキュレーション。白井晴幸氏は、通常のカメラでは排除される歪みやノイズをあえて生じさせる自作のカメラを用い、日常の光景にあるわずかな変化を捉えつつ特異な風景を現しています。> 白井さんは自作のカメラ装置で作品をつくっています。これを説明すると長くなってしまうのですが、4×5カメラに装着した装置で撮った作品が展示されています。写真らしくない抽象絵画のような作品もあります。独特な写真世界が広がっています。
白井さんは写真を学んだ大学で講師をされていて、細かな指導をしていただきました。久しぶりにお話させていただき、作品をつくる思いもうかがいました。写真はまだまだ可能性のある表現だと思いました。
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2022/11/18
東京国立博物館で開催中の「国宝 東京国立博物館のすべて」が人気です。10月18日から12月11日までの会期が4つの期間に分けられているので、それぞれの期間で入場券がネットで販売されています。先日、15日に最後の4期目のチケットが午前10時から発売されました。10時ジャストにサイトにいったのですが、全然サイトにつながりません。ひどい混雑ぶりです。しばらくトライしていたのですがダメで諦めかけたときに、運良く入れて買えました。1期目、2期目は楽勝で買えたのですが、3期目から混雑になりました。どこかで人気が過熱したようです。 でもこの展覧会の入場料は大人が2000円です。4期全部をみると8000円とこれは相当な金額。 美術展の入場料は最近、値上がりしています。先日、日経新聞文化欄に「海外美術展のチケット3割高も 問われる『持続可能性』」なる時記事が掲載されました。これによれば大規模な美術展は、 <「ルーヴル美術館展」「メトロポリタン美術館展」「ピカソ展」――。海外の主要美術館などから作品を借用して開かれる「海外美術展」のチケット代がじわり値上がりしている。新型コロナウイルス感染拡大前の東京都内の国公立美術館では、1600~1700円(当日券、一般1枚、以下同)が相場だった。現在は2000~2100円ほどと約3割高だ。>(11月15日 日経新聞) と2000円超になっています。これは、 <チケット代値上げの理由の一つが輸送費の高騰だ。「コロナ前に比べて3倍に跳ね上がった」。> と美術品の輸送コストが跳ね上がっているため。また、日時指定の事前予約制もコストを押し上げる要因になっています。 国宝展は人気ですが、海外美術展の台所事情は厳しいようです。
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2022/11/09
富山マラソンを終え、ゴールの富山市体育館から金沢に戻り、金沢21世紀美術館に。いま、「時を超えるイヴ・クラインの想像力」が開催されています。翌日の月曜日は休館なので、この日にみなくてはいけません。 そもそもイヴ・クラインというアーティストを(おそらく)みたことはなく、日経新聞の文化欄の特集でこの展覧会を知りました。日経新聞の記事には、 <青のモノクローム(単色)絵画で知られるフランスの画家イヴ・クライン(1928~62年)。主要な作品を集めた展覧会が金沢21世紀美術館(金沢市)で開催中だ。精神や空間など目に見えないものを表現しようとした前衛的な作品は、実体が見えにくいものへの想像をかき立てる力を持つ。>(10月22日 日経新聞) と紹介されているイヴ・クラインは、34歳で早逝し、アーティストとして活躍したのは晩年の数年とされています。本展ではイヴ・クライン作品と同時代や現代の作家の作品を交えて展示されています。 アーティストの活動期間が短いにもかかわらず、作品表現は多彩です。平面、立体作品に加え、パフォーマンス映像も展示され、(素人には)脈絡がないように感じ、戸惑います。同時代の作家たちの作品と並べられての展示で、理屈での理解をこえた作品の世界が押し寄せてきます。何回もみれば、少しはわかるようになるかもしれません。 来場者は外国人の姿も。刺激溢れる展示でした。 ※写真(上)はイヴ・クラインの「ピュア・ブルー・ピグメント」。写真(下)は元永定正「作品(水)」とイヴ・クライン作品。
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2022/11/05
先日、TOKYO ART BOOK FAIRで個性的なブックなどを販売しているブースが並んでいる中で、目立っていたのが「花椿」のコーナーでした。フェアの協賛企業のひとつに資生堂があります。「花椿」は資生堂が出している冊子で、最新号が大きくディスプレイされています。 もう40年以上前かな、この冊子が欲しくてデパートにある資生堂の販売コーナーにいって、もらっていました。ただもらうだけ、という大胆なことはできないので、あまり使わない「アウスレーゼ」といった男性化粧品を買ったりしていました。 冊子版の「花椿」 はなくなっていた、と思っていました。デジタル版に移行して、紙版はなくなったと。しかし、こっそり(?)発刊されています。バックナンバーをみると年二回くらいで発刊されているようです。特定の書店で配布されている他、「美術手帖」 のサイトでも販売されています。これは要チェックです。
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2022/10/28
すごい熱気でした。TOKYO ART BOOK FAIR 2022にいってきました。東京都現代美術館で開催されるこのイベントは、 「今年は、国内外から約200組の独創的なアートブックを制作する出版社、ギャラリー、アーティストらが集結し、作り手たちが本の魅力を伝えます」(公式サイトより) というもので毎年この時期の恒例となっています。 昨日、17時にオープンですが、美術館についたのは17時15分ころ。入場を待つ人(ほとんが若者)が列をなしています。入場は1000円ですが、これだけの人が押しかけるとは。作品を販売するイベントがなぜ有料なのか、と以前は思ってましたがその考えは古いのです。コミケの有料だし、これが当たり前なのでしょう。 写真のワークショップでご一緒させていただいていたギャラリーのオーナーさんが出店されているので、ここにまずいってZINEを何冊か購入。その後、ブースを見て回りますが、個性的なブックがたくさん。海外からの出店も多く、作品の質の高さに驚きの連続です。 開催は30(日)日までですが、入場券はほぼ完売です。表現するアートというものの意味を考えるイベントです。
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2022/10/24
国宝をすべて公開する希有な展示です。東京国立博物館で開催されている「国宝 東京国立博物館のすべて」 をみてきました。この企画展は、<本展は、東京国立博物館創立150年の大きな節目を記念して開催するものです。150年の間に積み重ねられた約12万件という膨大な所蔵品の中から、国宝89件すべてを含む名品と、明治から令和にいたる150年の歩みを物語る関連資料を通して、東京国立博物館の全貌を紹介します。>(東京国立博物館公式サイトより) 国宝に指定されている美術工芸品(作品)全国に902件あり、トーハクではその約1割となる89件を所蔵しています。これをすべて公開するという大胆な展示です。国宝、重要文化財に指定された美術工芸品は文化庁により公開期間が制限されています。基本は年間延べ60日以内です。ただ、個々の美術工芸品により、展示期間や条件は異なるでしょう。 本展では89点ずべてを期間中にすべて公開しません。作品によって公開期間が異なります。公式サイトに掲載されている出品目録には週ごとの公開期間が記載されています。期間は 10月18日~30日 11月1日~13日 11月15日~27日 11月29日~12月11日 の4期で展示替えあります。 国宝のパワーはすごい。展示室全部が国宝なんて展示はかつてないだろうから比べられないけど、気が抜けない(笑)。しかし、鑑賞しながら日本美術についての無知を自覚しました。特に「刀剣」パートは展示された刀をどのようにみたらいいのかがほぼ分からず(苦笑)。 こんな素人ですが、後期の展示もいこうと思っています。
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2022/10/15
「李禹煥」(国立新美術館)にやっといってきました。国立新美術館会館15周年記念の大規模な回顧展です。「李禹煥 余白の芸術展」(横浜美術館、2005年)以来の大規模な個展です。
本展では、「もの派」にいたる前の視覚の問題を問う初期作品から、彫刻の概念を変えた<関係項>シリーズ、そして、静謐なリズムを奏でる精神性の高い絵画など、代表作が一堂に会します。(本展公式サイトより) 李禹煥といえば、「点から」「線から」シリーズのイメージが強く、立体作品は記憶の箱にあまり残っていません。なぜだろう。今回、あらためて初期作品から最新作までをみると、李禹煥の幅広い表現に刺激を受けます。主に石、鉄、ガラスを組み合わせた立体作品「関係項」 のシリーズは、ものとそこにあてられる光が作り出す空間が、いくつものイメージを喚起します。屋外に設置された「関係項―アーチ」は巨大なインスタレーション。六本木のビルが借景になり、空間がひろがります。 そして、昨年、今年に細作された最新作の「応答」シリーズ。カンバスにアクリル絵具で重ね塗りされた物体がをみていると不思議な感覚になってきます。 李禹煥は今年86歳になられますが、来場者は若い人が多く、女性が目立ちます。いまだに李禹煥は現代アートの最先端で制作を続けているいます。おすすめの展覧会です。
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2022/10/03
世田谷美術館で以前「美術大学」という名称の市民講座に半年ほど通っていました。平日の講座なのでシニアが多かったですが、終了後も展覧会を定期的にやっています。昨日まで美術館にある区民ギャラリーで同期展を開催していました。 出展作品はほとんどが絵画なので、写真を出すと埋もれてしまいます。ギャラリーが壁に直貼りができないところなので(Sカンに紐などで作品を吊ることのみ可能)、額装したせいぜいA3の写真は目立たない。 でも今回は出展者も少ないので、仕方なく写真作品をだすことにしました。ちょっと考えて大きな段ボールにA3の写真を貼って、これを壁に吊るかたちにしました。それに加えて彫刻台にベタ焼き(コンタクトプリント)を置いて展示しました。 段ボール板での展示は、やってみると問題がありました。段ボール板に紐をガムテープで貼ったのですが、重さでガムテがはがれ、段ボール板が落下してしまいます。何回も落下し、対策を施しなんとかなりました。 でも写真を大きなプリントで展示すると、なにか見えてくるものがありました。今後の制作にも少し刺激になりそうです。
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2022/09/20
以前からお付き合いのあるアーティストの植田爽介さんがクマ財団ギャラリーで出展されているグループ展をみてきました。『困らせる糸鋸』 と題された展示は、 <今回の展示では、なんらかの「ルール」をもって、独自の「構造」を創り上げる作家に注目します。参加する4名の作家は、これまで視覚的に、もしくは思考の中で構造に対しての試みを繰り返してきました。>(公式サイトより引用) クマ財団とはどのような活動をしている財団? <株式会社コロプラ創業者である馬場功淳が2016年に設立した、次代を担う若きクリエイターの活動を支援・助成することを目的とした財団です。> そもそもコロプラという会社をよく知りませんでした。クマ財団が運営しているのが六本木にあるクマ財団ギャラリーです、今年4月にオープンですという新しいギャラリー。 植田さんの作品を含め、展示されている作品は素晴らしい。今後が楽しみなギャラリーです。
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2022/09/09
上野の国立西洋美術館がリニューアルされ、オープン記念展「自然と人のダイアローグ」が開催されています。いこうと思っていたのですが、なかなかいけず、やっとみてきました。今週末が会期末からか、平日ですが混雑していました。この企画展は、 <ドイツ・エッセンのフォルクヴァング美術館の協力を得て、自然と人の対話(ダイアローグ)から生まれた近代の芸術の展開をたどる展覧会を開催します。>(美術館公式サイト) とあるように西洋美術館のコレクションとフォルクヴァング美術館の作品で構成されています。 <印象派とポスト印象派を軸にドイツ・ロマン主義から20世紀絵画までの100点を超える絵画や素描、版画、写真>の100点をこえる作品が展示されています。さすがに見ごたえがあります。 混雑する展示室で、「やはり印象派は人気があるな」と実感しました。
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2022/08/31
水戸にいってきました。いくつか用事があって、水戸芸術館の現代美術ギャラリーで「立花文穂展 印象 IT'S ONLY A PAPER MOON」 をみました。用事がなければ、わざわざ水戸へいってみなかったであろうこの展示は、すごく刺激的で面白かったです。 立花文穂は「文字や紙、本を素材・テーマに作品を制作してきたアーティスト」(展覧会公式サイトより)で、美術館では初個展ですそこには、 <製本業を営む家に生まれた立花は、幼少期より身近に存在した紙や印刷物、文字などから着想を得て、「よせ集める」「つなぎ合わせる」という行為を通じ新たなかたちをつくりだしました。>(公式サイト) と「よせ集める」「つなぎ合わせる」が基本ですが、作品の表現形式は多岐にわたります。活版による印刷物や大判カメラで撮影した写真、ブロンズによる彫刻、そして書と、一人の作家によるものかと思うほど、作品の形式は変化に富んでいます。 久しぶりにいった水戸芸術館の現代美術ギャラリーですが、とても素敵な世界を体験できました。
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2022/08/26
昨日、お台場に「チームラボボーダレス」 をみるため、いってきました。ここが今月末で閉館で、駆け込みでみてきました。「チームラボボーダレス」とは、 <チームラボボーダレスは、境界のないアート群による「地図のないミュージアム」として、2018年6月に東京・お台場にオープンしました。初年度の年間来館者数は、ゴッホ美術館(オランダ)を超えて、単独のアーティストのミュージアムとして世界最多規模となる約230万人を記録。世界160以上の国と地域から来館しました。>(プレスリリースより) デジタルアートがつくる世界です。いまのアートを感じる空間が広がります。 今月末で閉館と知り、1週間ほど前にネットで予約しました。すでに予約できないほど満員かとおそれていたのですが、意外と空いていました。ものすごく人気ではないようです。 なにしろ料金が(大人は)3200円と高い。子供(中学生以下)は1000円です。来場者は若い人と子供連れが大半です。新学期が始まった日なので小学生連れの親子は少ないからか、混雑していません。 ここを運営する森ビルは、閉館後「虎ノ門・麻布台プロジェクト」に移転することが発表されています。新たな「チームラボボーダレス」がどのようなスペースになるのか。ちょっと興味があります。
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2022/07/24
蜷川実花の個展が庭園美術館で開催されるというので、久しぶりに出かけてきました。<蜷川実花「瞬く光の庭」> は 「コロナ禍の国内各地で昨年から今年にかけて撮影された、最新の植物の写真と映像をご覧いただきます。アール・デコ様式で装飾された当館の建築に、蜷川の作品を重ねることで、様々な時間の交差する場を出現させるものです。」(美術館の公式サイトより) とあるように、庭園美術館の建築と蜷川実花による美しい花、植物の写真が作り出す空間、そして窓からみえる景色が、独特の空間を生み出しています。アールデコ様式と蜷川の写真との相性の良さは、いささか意外です。 また、新館のギャラリーでの動画は刺激的。複数のスクリーンに映し出される動画が重ね合わされ、魅惑的な空間が展開します。 ところで、庭園美術館の新館って、いつできたんだろう。調べてみると2014年です。ひょっとしたら8年以上、このミュージアムにきていなかったのか(苦笑)。 ともかく、写真ファンでなくても楽しめる展覧会です。
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2022/07/22
ゲハルト・リヒターの個展「ゲハルト・リヒター展」(@東京国立近代美術館)は様々な表現手法での作品に、ときに戸惑い、時に驚き、時に感動する作品展です。ゲハルト・リヒターの個展は「日本では16年ぶり、東京では初めて、美術館で開催されます。」(公式サイトより)で、これは見逃せません。 本展ではゲハルト・リヒターの 「フォト・ペインティングからカラーチャート、グレイペインティング、アブストラクト・ペインティング、オイル・オン・フォト、そして最新作のドローイングまで、リヒターがこれまで取り組んできた多種多様な作品を紹介。」(公式サイト) しています。単に抽象(アブストラクト)とくくっていたのでは、ゲハルト・リヒターの本質はなにも分からない、ということに作品をみながら気づきました。 展示はいつもの出口側から入場し、入口側からでる逆回りになっています。平日ながら会場では若い人、特に女性の姿が目立ちました。 近代美術館での展示の後は、豊田市美術館に巡回します。2つの美術館の展示でいくつかのパートでは作家本人が展示を決めているとのこと(音声ガイドで知りました)。豊田市美術館の展示もみたくなりました。 必見の展覧会だと思います。
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2022/06/29
暑いのでクルマでいける神奈川県立近代美術館・葉山館で「アレック・ソス Gathered Leaves」 をみてきました。いずれは見にいくのですが、夏はきっと道が混みそうなので、早めにと。このミュージックで写真家の企画は珍しいのでは。 アレック・ソスのまとまった作品をみるのははじめてです。写真集も持っていないので、この写真家のことを知るには絶好の展示です。アレックス・ソスは、 「アメリカの現代写真を牽引するアレック・ソス。ミネソタ州ミネアポリスを拠点に、緻密なコンセプトに基づいたプロジェクトとして国内外への旅を重ね、自然や人々をとらえたソスの作品は、ドキュメンタリー写真の手法を継承しながらも独自の詩的な静謐さを湛え、国際的に高い評価を得てきました。」(美術館公式サイトより) 展示の見どころは、公式サイトでは、
日本で最初の、美術館での個展 カラーとモノクロームの両方でソスの世界を体験する ドキュメンタリー映画『Somewhere to Disappear』(2010)を参考上映
とあります。 作品集のテーマごとに展示が展開しています。作品集はソスがプロジェクトとしてテーマを決め、撮っているものです。ひとつのテーマでも作品の振れ幅が大きく、見方によっては脈絡がない、とも思えます。捉えどころのない写真家です。 平日でしたが、来場者はほどほどいて、特に女性が目立ちます。時間があったらまたいこうと思います。 チケットはおしゃれ、図録はZineの体裁という凝りようです。
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2022/06/17
気がつけば今週末が会期末の「井上泰幸展」(東京都現代美術館)をみてきました。「シン・ウルトラマン」の公開もあり、激混みかなと思っていたのですが、予想外に混んでいなくてゆったりみられました。 井上泰幸は知りませんでした。 <日本の映像史に重要な位置を占める「特撮(特殊撮影技術の略称)」領域に大きな足跡を遺した特撮美術監督、井上泰幸の個展を開催します。>(美術館の公式サイトより) 東宝の特撮映画といえば円谷英二しかないのですが、井上泰幸という美術監督がいて、特撮映画ができあがっていたという事実を、膨大な資料をみて認識しました。 <本展では、井上の遺したスケッチ、デザイン画、絵コンテをはじめ、記録写真や資料、撮影で使用したミニチュアやプロップ、当時を再現したミニチュアセットなどの展示を通して、その功績と日本の特撮映像史を俯瞰し、次世代に向けて創造的なインスピレーションを喚起することを目指します。> 井上泰幸の残したものは、あまりにも偉大です。ここまで細かく、繊細に、そして冒険的に特撮映画を作り上げていたことに、ただただ驚きます。 展示された資料を丹念にみると膨大な時間がかかりそうなので、図録を買ってきました。これからじっくり読ませてもらいます。東宝の特撮と、「シン・ウルトラマン」は違うもの、ということを改めて感じました。 来場者は現代美術館には珍しく年配の方が多かったです。「シン・ウルトラマン」を絶賛している若い世代は、あまり興味がないのかな。
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2022/05/27
アーティゾン美術館での企画展「写真と絵画-セザンヌより 柴田敏雄と鈴木理策」 をみて、コレクション展の「Transformation 越境から生まれるアート」 をみました。アーティゾン美術館ではコレクション展といっても単なる常設展ではなく、企画展と言っていい質が高いレベルです。 <本展は、「越境」と「変化」を着眼点に、19世紀半ばから第二次大戦後までのヨーロッパ、日本、アメリカの美術を展望します>(美術館公式サイトより) グローバルな視点から展示を展開しています。内容は、 「異質な存在との接触や対話を契機に自らの芸術を刷新していった芸術家として、4人の画家、ピエール=オーギュスト・ルノワール、藤島武二、パウル・クレー、ザオ・ウーキーを特に取り上げ、新収蔵作品2点を含む、約80点の作品と資料により、その創作の態度に光を当てるものです 」 と広い時代と場所での作品で展開しています。 展示の中ではザオ・ウーキー作品の展示にひかれました。このミュージアムの誇るべきコレクションだと思いますが、展示では他のアーティストの作品もキュレーションされ、刺激的なスペースになっています。 企画展をみて、この展示をみるとかなりの時間がかかりました。できれば、もう一度いきたいです。
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2022/05/26
写真史を学ぶと、写真が発明され発展していく過程で絵画との関わりが語られます。画家が写真をツールとして使い、創作していくことがありました。また、写真は絵画的な表現を目指していた流れがありました。絵画と写真は古く、長らく探求されてきたテーマです。 アーティゾン美術館で開催中の「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×柴田敏雄×鈴木理策 写真と絵画-セザンヌより 柴田敏雄と鈴木理策」 は柴田敏雄と鈴木理策の写真家の作品からこのテーマに挑んだ刺激的な企画です。 <この展覧会は、写真を作品創造のメディアとして選んだふたりの作家が、セザンヌの絵画作品を起点に、現代の写真と絵画の関係を問う試みです>(美術館公式サイトより) 絵画と写真を並べて展示というキュレーションは、ありそうで意外とないのかも、と展示を見ながら思いました。具体的には、 <柴田は藤島武二、アンリ・マティス、ピート・モンドリアン、ヴァシリー・カンディンスキーや円空、鈴木はギュスターヴ・クールベ、クロード・モネ、ピエール・ボナールやアルベルト・ジャコメッティといった絵画の視点を織り交ぜて、写真を通じて作品の特異性とその魅力を提示いたします> という画家と二人の写真家の融合表現です。 会期がまだあるので、もう一度見にいこうかと思っています。
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2022/05/23
みたいと思っていた「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」 にやっといってきました。そもそもChim↑Pomって何? 公式サイトによれば、4月にChim↑Pom from Smappa!Groupと改名されています。このChim↑Pom from Smappa!Groupは卯城竜太、林靖高、エリイ、岡田将孝、稲岡求、水野俊紀の6人から成るアーティスト集団です。改名については森とはちょっともめたみたい。 ともあれ、展示は刺激的です。 「本展は、結成17周年を迎えるChim↑Pom from Smappa!Groupの初期から近年までの代表作と本展のための新作計約150点を一挙に紹介する初の本格的回顧展です」(森美術館公式サイトより) と、Chim↑Pom from Smappa!Groupの作品をみたことがなかった私にとっては、絶好の企画です。とはいっても、会場での展示をみていくと、どう理解していいのやらって感じ。理解しようとしてはいけなんだな。展示スペースの雑然とした在りようを楽しめばいいのか、とも思います。 <展覧会のサブタイトル「ハッピースプリング」には、長引くコロナ禍においても明るい春が来ることを望み、たとえ待ちわびた春が逆境のさなかにあっても想像力を持ち続けたい、というChim↑Pom from Smappa!Groupのメッセージが込められています。先行きが不透明な今日、既成概念を打ち破る彼らの力強い作品は私たちの想像力を刺激し、共により良い未来を考える道標となるでしょう> なんとも不思議な展示でした。来場者は圧倒的に若者が多いです。会期は29日まで。
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2022/04/09
つくばにいってきました。久しぶりです。「つくばの街と山をつなぐ芸術祭」が開催中で、知り合いのアーティスト・植田爽介さんが出展されているので拝見しながら、展示をみてきました。 この芸術際はつくば美術館を中心とする街エリアと筑波神社などの山エリアの2つのエリアで展開されています。参加アーティストは30名以上で各エリアで作品が展示されています。 街アリアのつくば美術館、桜民家園などはつくば駅から近いのですが、山エリアの筑波神社はつくばセンター(つくば駅)からシャトルバスで40分ほどかかります。なんとかバスも30分に1本あるのでいきました。でも、旧小林邸ひととき、石蔵Shiten:はそこから歩いて1時間ほどかかるようで、断念しました。クルマでいってほうがよかったかな。 全部をみていないのですが、少しパワー不足だったかなと感じました。今後の展開に期待しましょう。つくばの街と山をつなぐ芸術祭
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2022/04/08
見逃してはいけないと「ミロ展―日本を夢みて」 をみてきました。大規模な回顧展は20年振りという展覧会は、タイトルにある通り、 「本展では、若き日の日本への憧れを象徴する初期作品から代表作、そして日本で初めて展示されたミロ作品を通し、相思相愛であったこの画家と日本の関係に迫ります」(公式サイトより) と日本を愛していたミロにスポットをあてた展示になっています。大規模な回顧展というだけあって、これだけの作品をみられるとミロの世界に入っていけます。 展示されている作品の大半は全国のミュージアムが所蔵するものです。日本人はミロ好きなんですね、これだけ国内にコレクションされていることにちょっと驚きます。それに加えピラール&ジョアン・ミロ財団やニューヨーク近代美術館の作品、個人蔵の作品もあります。その中には写真家・細江英公の所蔵もあります。 会場は平日ながら多くの来場者でした。改めてミロの人気を知った展覧会でした。
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2022/03/20
開館したての大阪中之島美術館での最初の展示は<Hello! Super Collection 超コレクション展 ―99のものがたり―> です。最初にまずはコレクションをみせようという企画は、このミュージアムが開館まで長い道のりを経たためなのでしょうか。本展の企画意図は、 「1983年に構想が発表されてから約40年。大阪中之島美術館のオープニングとなる本展では、これまでに収蔵した6000点を超えるコレクションから約400点の代表的な作品を選び一堂に公開します。3つの章により当館の収集活動の特徴を紹介し、国内第一級の質を誇るコレクションについて存分にご堪能いただける機会とします」(公式サイトより) 構想から約40年。長かった。展示は、3つの章から構成されています。サイトからの見出しを拾うと、
1. コレクションの出発点である希代のコレクター・山本發次郎 の旧蔵品を一堂に 2. モディリアーニからバスキアまで、所蔵品を代表する作品が集結 3.クラシック・ポスター、家具コレクションも
今回の展示ではコレクションのすべてを要約してみせようとした内容です。その結果としてまとまりのない展示になっていました。まあ、仕方がないことだけど。大阪中之島美術館の真価は、今後の企画展で示してくれると期待します。
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2022/03/03
いい意味で少しずれた展示でした。目黒区美術館で開催されている「木村伊兵衛と画家たちの見たパリ 色とりどり」は見慣れた木村伊兵衛の写真とはちょっと違っていました。木村伊兵衛のイメージはモノクロで昭和に暮らす人たちを撮ったスナップ写真です。しかし、本展ではカラー写真でパリでの豊かな世界が表現されています。 木村のカラーのパリは写真集でみていますが、展示でこれだけまとまってみたのははじめてです。 「本展は、木村作品のなかでもとりわけ異色なカラーのスナップ写真 131 点を中心に、1910年から50 年代にかけてパリ留学を経験した当館所蔵の画家たちの作品をあわせて展示します」(公式サイトより) 目黒区美術館で木村の作品をコレクションしていたとは知りませんでした。 また、<目黒区美術館コレクション 「私のパリ」>として、1910~ 50 年代にかけて、パリに滞在し絵を学んだ画家たちの作品(目黒区美術館コレクション)もあわせて展示されています。 木村伊兵衛にとってパリとは何だったのか。こんなことを考える展示です。
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2022/02/27
アーティスト・植田爽介さんと荒木美由さんが二人展「未踏領域の拡大 we land, turn, float…over?」は、ごつごつしているけど、ゆったりもする展示でした。植田爽介さんは多摩美の学部生のとき、三菱商事アート・ゲート・プログラムのチャリティーオークションで版画作品を購入したときからのお付き合いのあるアーティスト。専攻は版画ですが、領域をはみ出し様々な表現手法をつかい、作品をつくっています。 荒木さんは「荒木は1988年東京都生まれ。2013年女子美術大学大学院美術研究科美術専攻修士課程⽴体芸術領域修了。石に穴を空けた作品で知られ、様々な土地に巡りながら石彫の領域を超えた活動を続けている」(美術手帖ウェブサイトより)といアーティストです。 本展は、 <物質に穴を開けることで「存在」について確かめる荒木と、版や複製技術によって「見えない関係」を探ろうとしている植田。本展では荒木は版画を、植田は石彫の制作を試み、分野や技法を交錯させながら、互いに未踏の領域を探る>(美術手帖) という展示で、会場のEUKARYOTEの一階から三階までの屋内フロアと、屋上を含む四つの空間をつかって作品が展開されています。 会期は3月6日まで。 未踏領域の拡大 we land, turn, float…over? ※映像は先日行われた公開制作。
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2022/02/20
毎年恒例の恵比寿映像祭(@東京都写真美術館)をみてきました。写真美術館ながら映像祭を開催し続け、今回が14回です。近年、写真を取り巻く状況は大きく変わっています。写真家の表現方法が写真だけでは成立せず、動画表現をしないといけないようなことになっています。 「スペクタクル後」をテーマに写真美術館の3フロアでの展示ですが、今回は少し異色なものがありました。3Fでの展示は映像は少なく、写真の展示が大半です。 <3Fでは、写真研究者・映像作家の小原真史氏をゲスト・キュレーターに迎えた博覧会資料と当館コレクションによる企画を中心に、19~20世紀にかけての博覧会から現代まで、歴史的にテーマを掘り下げます。2F、B1Fでは、多様な現代作家の作品群からテーマを紐解き、作品体験を広げていきます>(恵比寿映像祭の公式サイトより) とあるように、資料性が高い写真が展示されていて、有料です。 2F、B1Fは映像展示に加えパフォーマンスもありました。2Fの山谷佑介は人気で入場制限になっていました。 今回はコロナ禍のため事前予約制になっています。予約できるのは前日までで、これを知らず一昨日いこうと思っていたのを予定変更になってしまいました。 私にとってはよくわからない展示が多かったけど、若者が大半の来場者はきっと楽しんでいたのでしょう。
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2022/02/14
「ユージーン・スタジオ 新しい海 EUGENE STUDIO After the rainbow」(東京都現代美術館)は新しい出会いでした。そもそもユージーン・スタジオというアーティストをまったく知りませんでした。ユージーン・スタジオとは、 <ユージーン・スタジオは寒川裕人(Eugene Kangawa、1989年アメリカ生まれ)による日本を拠点とするアーティストスタジオで、平成生まれの作家としては当館初となる個展です>(美術館公式サイトより) と記されています。寒川裕人はアメリカ・ニューヨーク生まれの現代美術家。 展示されている作品は表現形式が様々です。平面作品から大型インスタレーション、映像作品、彫刻作品等など美術館の広い空間をつかった展示は刺激的です。アーティストスタジオとしていくつもの表現方法で作品をつくっていることに魅了されます。 この展示はその場にいって体験しないと本質はわからないでしょう。今後のユージーン・スタジオ がどのように進化していくのか。楽しみです。
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2022/02/13
東京都現代美術館での「Viva Video! 久保田成子展」には新鮮な感動がありました。久保田成子というアーティストを知らず作品は(おそらく)はじめてみたと思います。夫がナムジュン・パイクということも知り、今さらながら自分の無知に気付きます(笑)。 本展は、 <新潟に生まれ、国際的に活躍した久保田成子(1937-2015年)の没後初、日本では約30年ぶりの大規模な個展を開催します。映像と彫刻を組み合わせた「ヴィデオ彫刻」で知られる久保田は、ヴィデオ・アートの先駆者の一人とみなされています。しかしながら、彼女の現代美術への貢献は、十分に評価されているとはいえません>(美術館公式サイトより) とあるように、久保田成子の再評価をしようとする企画展です。 いまの時代、ヴィデオアートは古い、過去のものと思われているかもしれません。CGとかVRとか、いろいろあるからね。しかし、久保田が活動した時代には先駆者だったのです。 時系列に展示されている作品をみて、作家が表現しようとしているものは、まさに最先端ではなかったか。ゆえに「彼女の現代美術への貢献は、十分に評価されているとはいえません」ということになるのでしょう。 映像表現の原点かもしれない久保田成子の刺激的な回顧展です。
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2022/02/12
いま、東京都現代美術館では3つの企画展が同時に開催されています。前からいこうと思っていたのですがなかなか足が向かず、会期末も迫ってきてやっとみてきました。 そのひとつ「クリスチャン・マークレー トランスレーティング[翻訳する]」は <アートと音楽の交差点から作品を発表し、革新的な活動を続けてきたクリスチャン・マークレーの国内初の大規模な展覧会を開催します>(美術館公式サイトより> という企画展です。クリスチャン・マークレーというアーティストは知りませんでした。 「音楽とアートをつなぐ最重要作家」とされるクリスチャンの作品は、表現の多彩な展開にひきつけられます。 <1970年代からサンプリングやコラージュという手法を発表してきたマークレー。音楽、アート、マンガ、映画、街のグラフィティまで、彼が既存の世界をどのように翻訳し、リミックスしてきたのか。初期から最新作まで、その全キャリアを振り返る作品をご覧ください> とサイトにあるようにコラージュ、映像から木版画までいくつも手法を使い作品をつくっています。ひとつの表現方法にとらわれない才能あふれるアーティストだと感じました。
「クリスチャン・マークレー トランスレーティング[翻訳する]」
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2022/01/20
全国の新型コロナウイルス感染者が4万人をこえるという中、名古屋までいってきました。日帰りですが、目的をいくつかつくって慌ただしい旅行です。とはいっても名古屋は近い。新幹線で新横浜からだと1時間20分です。 目的のひとつがPHOTO GALLERY FLOW NAGOYAでの「タカザワケンジ写真展 路上の肖像」をみることです。写真専門のギャラリーが多くない名古屋で昨年オープンしたPHOTO GALLERY FLOW NAGOYAです。タカザワケンジさんは写真のワークショップで指導をしていただいていました。
私が試みたのは、監視カメラの視点で社会を見ることである。そのうえで顔のみを抽出する。個人を特定できないように。写真は絵画とは違い現実を正確に描写するため、つねに特定の誰かを傷つける可能性がある。しかし、写真史上のストリートスナップが現代の私たちに多くのことを伝えていることを考えれば、個人が表現として撮影することに意味があると私は思っている。しかし、繰り返しになるが、撮られる側の権利もまた守られるべきであろう。ではどうすればいいのか。
答えは一つではない。路上で撮影することの困難が、新しい写真表現を生む可能性もある。ここに展示する写真は、その可能性を広げるささやかな試みである。(ステートメントから引用)
ギャラリーは名古屋駅からほど近い柳橋市場のそばの古いビルにあります。今後の展示が楽しみです。
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2021/12/18
日帰りで長野にいってきました。長野市と佐久で訪れたいとこや撮影したい場所があり、日帰りの強行軍でした。 目的のひとつが「佐久平元麻布ギャラリー」 を訪れることです。このギャラリーは武蔵美の通信で同じ年に入学した方(同級生といえばいいかな)が、責任者(キュレーター)をされています。もう10年以上やられているのですが、なかなか機会がありませんでしたが、やっといくことができました。「佐久平元麻布ギャラリー」はホテルチェーンの東横インが運営しています。元麻布ギャラリーの本店は名前の通り東京の元麻布にあり、その他甲府、平塚、佐久平にギャラリーがあります。ギャラリーの公式サイトによれば、 「各ギャラリーでは、絵画、彫刻、書道、工芸、写真、華道など さまざまな分野において、全国で活躍する作家から 幅広い年齢層の市民、団体まで活発に芸術活動を行っております。 」 とあります。 「佐久平元麻布ギャラリー」ではいま、「Art potluck 2021 クリスマス アート ギフト展」 を開催しています。地元の作家による素敵な作品が展示されています。作品は購入できます。 地域で根付いたアートを感じることができる素敵なスペースでした。また訪れたいと思います。
元麻布ギャラリー佐久平facebook
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2021/12/10
久しぶりの六本木の国立新美術館で「シェル美術賞展」をみました。シェル美術賞というのをそもそも知らなかったです。公式サイトによれば、 「次世代を担う若手作家のための美術賞であり、創設当初より完全な公募制で実施しています。」 という公募展で「シェル美術賞(1956年~1981年)、および昭和シェル現代美術賞(1996年~2001年)の合計31回の実績を経て、2003年に再開し、本年50回目の開催となる現代美術の公募展です」と歴史ある公募の美術賞です。 展示されている作品は「平面作品でワイヤーによる吊り展示が可能なもの」という応募規定に沿ったものです。今年の受賞者が先月発表され、お付き合いのあるアーティストさんが二人入選されているので、みにいってきました。会場には様々な表現でつくられた作品が展示され、見入ってしまう作品も少なくありません。 お付き合いのあるアーティストさんが、津田翔一さんと柴田彩乃さん。お二人の作品を最近購入し、お目にかかる機会がありました。それぞれの作品は以前三菱商事のアート・ゲート・プログラムのチャリティーオークションで購入させていただきました。それから何年か経ち(たぶん5年近く)経ち、アーティストとして成長している作品をみて、少し嬉しくなりました。 「シェル美術賞展」は12月20日までです。シェル美術賞展
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2021/11/28
先日参加した鎌倉でのオークションの際、主催するAGホールディングの柴山さんからお誘いをうけ、青山学院大学でのオークションに参加してきました。このオークションは青山学院大学の学芸員課程の授業のひとつ「ミュージアム実習Ⅱ」として行われたものです。柴山さんが教員をしていることからオークションが開催され、運営はすべて学生が行います。 この日オークションに出展したのは11名のアーティストです。オークションはしっかり行われ、参加していても心地よい時間でした。オークションが青山学院大学の総合文化政策学部の学生が中心になって運営しているとのこと。ここの研究科(大学院)を10年前にでているので(もう10年もたったのか)、懐かしい感じもありました。 最近の学芸員課程は楽しそう。私が武蔵美で履修したときは、ほんとに大変でした。スクーリングなんか、残業(スクーリング修了後)をして討議をしていました。これも懐かしい。 学びの重要さも実感したオークションでした。
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2021/11/15
三菱商事アート・ゲート・プログラムのチャリティーオークションで作品を購入して以来のお付き合いがあるアーティストの植田爽介さんの個展「植田爽介個展 Experiment Ⅳ」をみてきました。植田さんは大学での専攻は版画のアーティストですが、今年の1月に開催されたグループ展「ここで、まってる」ではかなり冒険的な作品を展示していました。 今回の個展では版画作家の原点に帰った感があります。展示されているのはリトグラフ、エッチング手法を使った版画作品。これらに加えてサイアノタイプの作品もあります。アーティストは「今年福島県西会津国際村でのレジデンス滞在、文化庁新進芸術家海外研修生としてニューメキシコ州サンタフェ・アルバカーキの滞在、長崎県南島原市アートビレッジ・シラキノでのレジデンス滞在」(ウエブサイトより)をしています。これらの体験からの作品がつくられていて、ひかれます。 また展示スペースに「DiEGO表参道」ははじめて訪れたのですが、面白いところです。広くはないのですが、展示のウォールと長いライティングテーブルがあります。本来はカラーキーパーのショールームだとか。表参道の駅から歩いて5分ほどですが、静かなビルの2階にあります。 素敵な時間をすごしました。
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2021/11/14
以前ときどき参加していた三菱商事アート・ゲート・プログラムのチャリティーオークションですが、その役割を終えたのかなくなっていました。このオークションを実質運営されていたAGホールディングが今年から開催しているのが、「まちの気楽なアートギャラリーとオークション@鎌倉」です。 毎回、ご案内をもらっているのですが仕事とかあったなかなか参加できませんでしたが、昨日やっといってきました。鎌倉のカフェ&ギャラリー「ジャックと豆の木」を会場にオークションが行われました。出店作家は8人とこぢんまりしてますが、オークションにはかわりがありません。 鎌倉を制作拠点にしているアーティストもおられ、地元密着のオークションです。場所も鎌倉駅から5分ほどのところで、鎌倉を散策がてらいくのもいいです。 1時間ほどでしたが、久しぶりにオークションを楽しみました。また、次の機会にも参加したいと思います。AHホールディングウエブサイト
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2021/11/04
久しぶりに金沢21世紀美術館に。この前訪れたのは2006年なので15年振り。金沢にいったのは、9月の下旬にホテルが安い値段(通常の半値ほど)で予約でき、会いたい方がいたためです。そしてこの美術館で「ぎこちない会話への対応策—第三波フェミニズムの視点で」が開催されているのを知り、いくことにしました。 「ぎこちない会話への対応策—第三波フェミニズムの視点で」はアーティスト・長島有里枝さんがゲストキューレーターとして展示をする企画展です。少し長いですが、美術館のウエブサイトから引用します。
80年代のメディアが喧伝した揶揄的なフェミニスト像に違和感を持っていた若い長島は、「フェミニスト」と自称することを避けつつも、常に男性中心主義的な価値観への問題提起を作品にしてきました。当時の若者のフェミニズム的実践を見えにくくしたそのような態度は、日本における第三波フェミニズムの一つのあり方であったと考える長島は、「運動」や「連帯」の形を取ってこなかった作家たちの作品にもその要素が見いだせるのではないかといいます。このような考察に基づき、長島が9名の作家との対話を経て選んだ作品をご紹介いたします。 長島有里枝さんは写真をひとつの表現手段としているアーティストです。本展に参加しているアーティストは写真、インスタレーション、版画、刺繍など様々な表現で作品をつくっています。展示の広がりが、魅力的です。展示の中では小林耕平の「オブジェクト」作品が面白い。映像作品も展示されてますが、変です。でもひきつけられます。 わざわざみにいった価値がありました。
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2021/10/29
「TOKYO ART BOOK FAIR」 にいってきました。東京都現代美術館で開催されている「日本で初めてのアートに特化したブックフェアとして2009年にスタートしました。」(公式サイトより)という歴史あるフェアですが、はじめてです。昨日、28日の15時30分より始まり、31日までの4日間です。 コロナもあり2時間15分ずつの入替制で完全事前予約制です。昨日の入場券は一昨日の朝購入したのですが、昨日の入場時には完売していました。今時点で30日(土)は完売、31日(日)も売り切れた回があります。入場料1000円なのに人気です。 今回はコロナのため、オフライン会場と同時にオンライン会場もあります。過去、例えば2019年は「約300組の出展者が参加し、4日間で3万5000人以上が訪れ、過去最大規模のフェアとなりました。」と混雑したようですが、今年は入場者を絞ったため、ゆっくりとみることができたようです。 世に中にこれほどART BOOKをつくって、買いたい人がいるのか。驚きのフェア体験でした。
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2021/10/22
とある理由があり、写真を展示しているギャラリーを3つまわりました。「OGU MAG+」「Alt_Medium」「ニコンサロン」です。 「OGU MAG+」では写真展「飛田英夫 + 鈴木諒一」。写真家2人による展示。
記憶のなかの映画のシーンを元に自作のミニチュアを制作し撮影する飛田と、書物や切り花を撮影する鈴木。共に部屋の中で制作を続けてきた二人の作家による写真展。今回、飛田は主に西部劇を主題とした新作群「Horizons West」を、鈴木はJ.M.W.ターナーのスケッチブックを撮影した「Skies Sketch Book」を展示する。
「Alt_Medium」では前川光平の「隣の芝生は青い」。前川さんは写真のワークショップでご一緒だったか方。 本展は、主に”Yard Art”と呼ばれる奇妙な庭や軒先を記録したイメージで構成されます。“Yard Art”(以下ヤード)とは、缶や瓶、DIY、人形などによって精巧に装飾された路上のディスプレイを指します。 それは例えば奇抜なラブホテルや商品が陳列されたアンティークショップなどではなく、あくまでも一般的な人々の住み家で構築されたものです。
「ニコンサロン」では、飯田 夏生実の「in the picture」。今年大学を一緒にでた方。ある日突然、私は味覚も心も無感覚になり、外出さえできなくなった。それは子育てを終えた母親が陥る「空の巣症候群」だった。一年が経った頃、そんな自分を受け入れ、老いていくことを恐れず、日々生きる姿をとどめることで前に進もうと、セルフポートレートを撮り始めた。 それぞれに個性的で刺激的でした。 (写真は前川さんの作品)
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2021/10/16
藝出学舎の写真の講座で講師をされ、私もお世話になったアーティストの越中正人さんが運営するヨコスカアートセンター。広くは知られていないかもしれませんが、個性的なアートスペースです(Googleマップでは表示されます)。 いま、「当事者意識への加入」展を開催中で、みてきました。この展示今月の5日間限定という珍しいもの。公式サイトによれば、
今回の企画における展示作品は越中正人によりヨコスカアートセンター2Fスタジオで作られた写真作品「当事者意識の加入 - Speeches about Covid-19 by world leaders.」、映像作品「「technical intern trainee single channel “HOPE” edited version.」、また現在、アーティスト・イン・レジテンスに参加中の長谷部勇人の制作中の作品「蜜蝋クィーン」の一部分を紹介します。
という展示です。 越中さん作品はコロナ禍での各国トップの意思表明をYouTubeから撮影し、これをプリントした作品。作品はデータが基本で、それをプリントしたものを展示しています。 脱線しますが、ヨコスカアートセンターは横須賀中央駅から10分ほどのところ。商店街の中にあるのですが、なかなか味わいのある場所です。アートと場所の関連は、とても面白い。そんなことも思ったヨコスカアートセンターでした。
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2021/10/15
いこうといこうと思っていて気がつけば会期末がすぐになって、やっと「GENKYO 横尾忠則」をみてきました。いやー、すごかった。横尾忠則の作品に圧倒されました。東京都現代美術館のフロアが横尾忠則ワールドと化しています。
いわゆる「画家宣言」から40年。アーティスト・横尾忠則は、めまぐるしくスタイルの変遷を重ねながら、森羅万象あらゆるものをモティーフとして、おびただしい数の作品を生み出してきました。「GENKYO横尾忠則」東京展では、愛知県美術館で開催された同展をさらにパワーアップ。絵画を中心に、初期グラフィック作品を加えた600点以上の出品作品により、横尾芸術の全貌に触れることができる、最大規模の展覧会です。(公式サイトより) 600展以上か。もっとあったような気がします。しっかりとみたら何時間かかるのか。そんな展示です。 横尾忠則展は愛知で開催され現代美術館に巡回してきたものですが、同じ物ではないのです。「作品による自伝」をテーマに企画された「GENKYO横尾忠則」愛知展を、作家自身がリミックス! 横尾忠則の総監修のもとに、出品作品を半分以上入れ替え、構成を根本から見直して、全く新しい展覧会として生まれ変わりました。新しい観点から語られた横尾芸術の真実を体感できる、画期的な展覧会です。 それに、横尾の新作をみることができます。全世界がコロナ禍に見舞われるという未曾有の状況の中、横尾は、外出も来客も制限しながら、日々アトリエにこもって絵画制作に没頭してきました。昨年から今年にかけて制作された、この新作は、大作ばかり30点以上に及びます。横尾芸術のなかで、最大級の問題作とも言えるこの新作の数々を、本展では初公開いたします。 会場には現代美術館では普段見かけない年齢層の方(シニア層)が多数いらっしゃいました。横尾忠則のファン層は広いな、と改めて感心しました。 横尾忠則の世界に触れ、その奥深さに見入った展覧会でした。
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2021/10/10
京都にいったひとつの目的が「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」をみることです。この写真祭を知ったのは昨年、大学の同級生がいくと言っていて、「そんなのがあるんだ」と知りました。昨年は元々4月に開催予定だったのが、コロナ禍で9月に延期。時間もあったのではじめてみにいきました。 去年みたときは、自分の写真をみる目が幼いせいもあり、あまり刺激的なものとは思えませんでした。なので今年はどうしようかと思っていたのですが、京都、大阪で撮影したい場所があったので、それを兼ねて出かけました。 でも、今年は面白かったです。展示作品には(デイヴィッド・シュリグリー)や、コミックとのコラボレーション(MIROIRS – Manga meets CHANEL )など純粋な写真作品からは離れたものもあり、幅広い表現で展開されていました。 わざわざでかけたかいがあった写真祭でした。会期は17日まで。
(写真はマルグリット・ボーンハウザーの作品)
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2021/10/01
動画と映画の違いはなんだろう。こんな疑問はそう簡単には答えがでないのはわかっていますが、「山城知佳子 リフレーミング」( 東京都写真美術館)でみて思いました。 美術館の受付でチケットを買うときに「映像表現ですがよろしいですか?」というようなことを尋ねられました。写真美術館なので、展示は写真(静止画)だと思っている来場者も少なくないだろう、ということでしょう。 本展について公式サイトから引用すると、 <「リフレーミング」とは、ものごとを見ている枠組みを変え、別の枠組みで見直すことを指しており、写真・映像によって故郷沖縄の風景を新たな視点でとらえなおし見つめていくという、山城作品に通底する姿勢を象徴します。本展は、映像アーティスト・山城知佳子のミッドキャリア個展として、その作品世界を総覧するはじめての本格的な機会となります。> 展示(上映)されている作品をみると、映像というより映画です。役者をつかい、ストーリー展開がある作品にみえます。20分、30分以上の長い映像です。映像アーティスト・山城知佳子と書かれていますが、映画監督と表現してもいいのでは、と思ってしまいます。 作品をすべてみるのは時間がかかりますが、刺激的です。珍しく長い時間をミュージアムで過ごしました(笑)。
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2021/09/29
お彼岸も過ぎ、秋らしきくなってきました。芸術の秋ということで、東京あたりは魅力的な展覧会がたくさんありそう。緊急事態宣言も一気に解除になって(対応が極端な感じですが)、出歩くのも少しは気が楽になりそうです。 開催中の美術展を探すにはどうするか。古い世代としては朝日新聞の毎週火曜日の展覧会特集をみたりします。でも紙なので検索性には欠ける。なにかサイトがあるのではと思い、探してみました。これまではartscape 、TOKYO ART BEAT をみてたのですが、他にもあるんですね。「美術館ナビ」 、「アイエム」 、「美術手帖」 、「東京アートファン」 などいくつも。「イロハニアート」 は面白そう。 まずネットで検索の時代だからか、アートサイトは乱立気味に感じますがアートファンには便利です。そろそろ美術館、ギャラリー三昧もいいかも。
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2021/09/19
久しぶりに多摩美にいきました。八王子キャンパスです。うちからはちょっと遠い。お付き合いのあるアーティストさんが油絵の助手をされていて、作品を出展されていてるのでいきました。3年振りの多摩美です。 正しくは「多摩美術大学助手展2021」ですが、恐らくは広く知られていないかも。でも、出展されている作品はどれも刺激的です。大学での助手という立場は、いろいろ大変ではないかと推測しますが、作品はそんな気配を感じない秀作ぞろいです。 ちなみに、知り合いのアーティストさんは油絵画研究室の柴田彩乃さん。出展されているのは、伸びやかな大作です。 この助手展、9月25日までです。 (写真の真ん中が柴田彩乃さんの作品「Please Play The Grape's Growth」)
多摩美術大学助手展2021
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2021/09/11
千葉にいってきました。緊急事態宣言下なので自粛すべきでしょうが、「CHIBA FOTO」をみるためです。会期が明日(9月12日)までなので、駆け込み。 「CHIBA FOTO」とは、 <12名の作家たちが、千葉で作品を制作しました。市内各所に点在する歴史ある建造物や、日々行き交う場所を舞台に展覧会が出現します。> (公式ウェブサイトより) ということで、市内各所で開催される写真展です。 <「CHIBA FOTO」は、時代と向き合う「写真」という表現媒体でつくり出す、「写真」に特化した芸術展です。気鋭の写真家たちを起用し、新作を含む作品を展示します。>(プレスリリースより) 展示会場が千葉市美術館、そごう、稲毛のスペースなどに展開されていて、全部をみるのは大変です。なので、一部はみることができませんでした。暑かったし。とはいっても様々なスペースに展示された写真をみるのは、面白かったです。 「CHIBA FOTO」は今年が初めて? 来年以降も継続してくれることをいいのですが。
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2021/08/31
オリンピック、パラリンピックに合わせ開催されている「パビリオン・トウキョウ2021」。公式サイトによれば、<「パビリオン・トウキョウ2021」は新国立競技場を中心とする複数の場所に、建物やオブジェを設置し、自由で新しい都市のランドスケープを提案する世界初の試みです。> とか。9つのパビリオンが各所に展示されています。まだ全部みていないのですが、そのひとつ草間彌生による「オブリタレーションルーム」 は、他のパビリオンとは違っています。屋外に展示されているパビリオンがほとんどですが、この「オブリタレーションルーム」は屋内(渋谷区役所 第二美竹分庁舎)にあります。完全予約制で一枠20分の入れ替え制。 予約時間に開場にいくと、受付で大小の丸いシールを渡されます。このシールを室内の好きなところに貼っていきます。 <床、壁、家具、すべてが真っ白に塗られた部屋に、鑑賞者が色とりどりの丸いシールを貼っていく参加型のインスタレーションです。会期を通して水玉で埋め尽くされ、次第に部屋が「消滅」していきます。>(公式サイトより)「オブリタレーション」とは自己消滅 のことで草間彌生の長年のテーマです。 これが草間彌生ワールドなのかな。面白い体験でした。
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2021/08/30
マン・レイは多才なアーティストです。最初、大学の美術史を学んだときは、シュルレアリストとしてのマン・レイでした。しかし、写真史を学ぶと、写真家としてのマン・レイが登場します。肖像・ファッション写真家として活躍し、ソラリゼーションなどの写真技法をつくりだしたとされています。絵画、彫刻、インスタレーションもつくり、表現のカテゴリーは驚くほど幅広い。 「マン・レイと女性たち」(Bunkamura)をみてきました。展覧会のホームページには、 <自らを「万能の人」レオナルド・ダ・ヴィンチに例えた彼は、その独創的な撮影スタイルや技法で、大胆さと優美さを持つモデルたちの魅力を引き出し、多くの傑作を生み出しました。> とあります。 アーティストとモデルという関係でマン・レイの作品を展開するという興味深い企画。でも、いまの時代、この企画はちょっと危ない面もあります。その点で、展覧会を企画側もいろいろ配慮しながらの構成だったのではないか、とも思えます。 そうはいっても、様々な表現形式で展開されるマン・レイの世界は魅力的でした。見逃さないでよかった。 (会期は9月5日までです)
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2021/08/22
世田美のコレクション展「グローバル化時代の現代美術」がまもなく会期末で、やっとみてきました。世田美で現代美術をタイトルの掲げての展示は珍しい。企画の意図はなに? 本展について酒井館長のステートメントから引用すると、
「グローバル化時代」となって、世界の現代美術の作家たちは、斬新な発想と冒険心に充ちた活動を地球規模で繰り広げました。そうしたなかに、もちろん国際的な評価を獲得した日本の作家たちも含まれています。その意味で日本および世界の現代美術のさまざまな潮流を見て取ることも可能です。 そしてまた、この展覧会を介して創造的な文化・芸術を支える根本的な社会の仕組みが、本来、どうあるべきなのかを考えるきっかけにしてほしいと願っています。
2020年夏の東京オリンピック・パラリンピックに併せて企画されたのですが、コロナ禍で延期になっていた企画です。世田美のコレクションから「普段はあまり目にすることの少ない大型作品を中心に収蔵品を見つめなおした展覧会」です。 見ものはやはり、ジャン=ミシェル・バスキアの<SEE>でしょうか。この作品は初めてみたのでは。ロバート・ラウシェンバーグ やデイヴィッド・ナッシュもあります。 大型作品が展示され、展示室が素敵な空間になっていました。おすすめだけど、会期は今日までです。
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2021/08/20
気になっていた「イサム・ノグチ 発見の道」をみてきました。もともと4ヶ月と長い企画展でしがた、コロナ禍で休館期間もあり、気がつけばあと10日ほどで終了です。イサム・ノグチは東京都現代美術館で企画展をみた記憶があります。ネット調べてみたら、2005年の開催でした。もう16年も前か、時の経つのは早い(笑)。 そのときの展示はほとんど覚えていないので(すみません)、今回はじめてイサム・ノグチをみるつもりで会場に入りました。展示は3部構成です。 第1章「彫刻の宇宙」:1940年代から最晩年の80年代の作品を紹介。 第2章「かろみの世界」:ノグチが切り紙や折り紙からインスピレーションを得て制作した金属板の彫刻や、円筒形の「あかり」のヴァリエーションなどを紹介。 第3章「石の庭」:イサム家の庭に設置された最晩年の石彫の一部を初めて美術館で展示する試み。 作品はイサム・ノグチ財団・庭園美術館(ニューヨーク)蔵の作品が多く、それに加えて国内のミュージックからのも出展されています。日本でこれだけのノグチ作品がみられるのは、そんなに機会のないことではないでしょうか。 会場では平日なのに混雑していました。驚くことは来場者に若者、それも女性が多い、ということ。イサム・ノグチと若い子はつながらないのですが。 イサム・ノグチの世界に触れた展示でした。
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2021/07/24
ヨコスカアートセンターというスペースがあります。運営しているのはアーティストの越中正人さん。藝術学舎(京都芸術大学がやってる講座)で夜景を撮る講座を受けたのですが、この講師が越中さんです。一昨年、昨年と続けて受講させていただいて、その後もネットでゆるやかにつながっていました。 このヨコスカアートセンターは確か昨年オープンしたアートスペースです(コロナのため休館とかあって、よくわからなくなっている)。ホームページには、
ヨコスカアートセンターとは 神奈川県横須賀市で地域における芸術での交流を目指して開設されました。多様な芸術と接する場として展覧会、ワークショップなどが開催さています。今後も楽しみです。 とあるように、フリーなアートスペースです。 いま、「フジタマ展 BBA BB6(ばばあの忘備録)」 が開催されています。残念ながら会期は今日(7月24日)までです。 今後も、いろいろ企画が用意されているようです。ヨコスカアートセンター
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2021/07/17
神宮外苑にオリンピック直前の状況はどうかな、と撮影にでかけたら、奇妙なものを見かけました。いちょう並木の入り口付近に二つの城が建っています。ひとつは段ボール、もうひとつはブルーシートでつくられた城です。なんだこれは、とネットを検索すると、「パビリオン・トウキョウ2021」 なるもの。もちろんオリンピックのためにつくられた。でも、2020ではなく、2021。 製作したのはアーティストの会田誠です。ホームページから引用すると、 「ダンボールとブルーシートは、非常に廉価であるにもかかわらず堅牢性を備えた頼もしい素材で、恒久性ではなく仮設性も象徴する点に、共通した特徴があり、会田は1995年から作品の素材に使用しています。このパビリオンは、このような2つの素材を使うことで、何があっても容易に挫けない人間のしなやかな強さを示しています。」 とのこと。 「トウキョウ パビリオン2021」は会田誠の作品だけでなく、都内の9カ所でアーティスト作品が公開されています。知らなかった。でもなあ、無観客になったオリンピックで、これらの作品に気付く人はどれほどいるのかな。ちょっと寂しそうです。「パビリオン・トウキョウ2021」
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2021/06/20
東京都写真新世紀で篠山紀信の「新・晴れた日」をみてきました。初の回顧展とされている大規模な展覧会です。写真美術館の2階、3階を使っての2部構成です。大学(日大芸術学部)の卒業制作が『カメラ毎日』で取り上げられ、若くして注目されていた篠山紀信。日本でいちばん有名な写真家ではないでしょうか。 年代順に展示された作品をみていると、表現するモチーフ、テーマの多様性に驚きます。悪く言えば、節操がなく、写真家としての一貫性がないとも言えます。ここが篠山紀信の真骨頂です。 展覧会のタイトル「新・晴れた日」は、新・晴れた日展は、長嶋茂雄や輪島功一、オノ・ヨーコなどを被写体とした篠山の写真集「晴れた日」に由来。「写真はうまれながらに して大衆性を背負っているメディアである」という言葉を掲げ制作された同写真集の構造を用いながら、60年間に渡って撮影された116作品が展示される。(写真美術館公式サイトより引用) とされています。「写真はうまれながらに して大衆性を背負っているメディアである」。いまの時代にはこの定義はまだ有効なのか、などいう要らぬ考えが浮かびます。 私の世代には「激写」という言葉が浮かぶ篠山紀信ですが、その時代の写真は展示にはありませんでした。明星の表紙はありましたが。 時代とともの写真をつくった篠山紀信。その歩みをみることができる展覧会です。
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2021/06/14
子どものころ、石ノ森章太郎(当時は石森章太郎)の「マンガ家入門」だったか、マンガの起源は鳥獣戯画であると書かれていたのを記憶しています(確かではないけど)。マンガの起源は鳥獣戯画、というのが刷り込まれていて、トーハクで「国宝 鳥獣戯画のすべて」をみてきました。 公式サイトによれば、国宝「鳥獣戯画」は、擬人化した動物たちや人びとの営みを墨一色で躍動的に描いた作品です。本展では、展覧会史上初めて、甲・乙・丙・丁全4巻の全場面を、会期を通じて一挙公開します。加えて、かつて4巻から分かれた断簡、さらに原本ではすでに失われた場面を留める模本の数々も集結します。まさに<鳥獣戯画のすべて>をご堪能いただける、またとない機会です。 と、なんとも貴重な展示です。 トーハクの特別展はいつも超混雑です。本展も混雑が予想されますが、珍しい武器が投入されています。エスカレーター(動く歩道)による鑑賞です。鳥獣戯画は絵巻なので、これを動く歩道に乗って鑑賞する仕組みです。いいアイディアです。 この「国宝 鳥獣戯画のすべて」は予約制なので、入場できる人数は限定されています。なので、いつもの大混雑はありませんでした。割とゆっくり鑑賞できました。おすすめですが、チケットはほぼ売り切れみたいです。
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2021/06/03
上野で第8回日経日本画大賞の展覧会をみてきました。日経日本画大賞は東山魁夷を功績を記念した賞で(確か)3年ごとの開催。今回は28点が選ばれ、ここから大賞、選考委員特別賞が選ばれます。大賞は谷保玲奈さんの《共鳴/蒐荷》が選ばれています。 大賞には残念ながら選ばれなかったのですが、以前三菱商事アートゲートプログラムのチャリティーオークションで落札した浅野悠理子さんの作品《くちあけ》が受賞しています。浅野さんは前回の第7回にも受賞されています。 展示された作品をみて感じることは、日本画の表現の多様性です。古い日本画という概念を持っては理解できないだろう豊かな表現をされた作品が展示されています。 日経日本画大賞に限らず、武蔵美の卒制展でも同じことを感じました。日本画は刺激的なものなのかもしれない。 そして、久しぶりにリアルな絵画作品をみて、ゆったりと気持ちよくなりました。やはり美術館にいくのはいいものですね。
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2021/05/20
緊急事態宣言の延長で、当初開館するとしていた国立東京博物館など都内の5つの国立施設が、都の要請を受け休館を継続しました。このことに対し、文化庁長官の都倉俊一が日経新聞の取材に応じた記事が、昨日の夕刊に掲載されています。記事には、 <「飲食店を見回るなら(文化施設の感染対策も)都が情報を集めてはどうか。もう少し精査してもいい」と述べ、業種や分野で一律に線引きして休業を求めるのではなく、施設の個別事情を細かく考慮すべきだとの考えを示した>(5月19日 日経新聞) とあります。 休館の継続については「都から強力な要請があった。法律に準じた要請であり、国立施設として従わざるを得ない」と言っています。 文化庁のホームページに、都倉長官は「文化芸術に関わる全ての皆様へ」というメッセージを掲載し、ここで「来場者が静かな環境で鑑賞を行う博物館や美術館、映画館等においても、飛沫による感染拡大のリスクは低いと考えられ」と書いています。 都の合理的な理由がないミュージアムへの休館要請は、理不尽とも思えます。朝日新聞の取材に、都倉俊一はこう言っています。 「コロナ禍ではっきり、『政府は文化芸術を不要不急だと思っているのかな』と、国民には伝わったんじゃないかな」 寂しい限りです。
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2021/05/12
今日で緊急事態宣言が終わる予定が、延長されて31日まで自粛です。予想されたいたこととは言え、休業を延長するところがあり、困っています。中でもスポーツクラブも休業になってしまい、どこでトレーニングするのか。まあ、自主トレをやるしかないんだろう。 休業と言えば国立の美術館・博物館も休業延長です。当初、開館すると発表していたのですが、急変です。
12日からの再開を取りやめ、休館を継続することになったのは、
▼国立科学博物館、 ▼東京国立近代美術館、 ▼国立新美術館、 ▼国立映画アーカイブ、 ▼東京国立博物館 の5館。東京都が休館を文化庁に強く要望した結果とのこと。 美術館、博物館はそもそも感染するとして警戒する環境とは思えません。多くのミュージアムは人が少ないです。一部の企画展は行列ができたりしますが、これは別途対応すればいいことです。 しばらくミュージアムにはいけないことになってしまいました。寂しいです。
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2021/04/10
日経新聞の文化欄で「不要不急とよばれて コロナ時代の芸術」という5回の連載記事がありました。特に5回目の記事が興味深いです。 「文化は単なる娯楽か 見取り図なき支援策からの脱却を」と題された記事には、コロナ渦での文化支援金について状況は書かれています。 記事によれば、 「新型コロナウイルスの感染拡大を受けて文化庁が文化・芸術関係者向けに用意した支援金を巡り、5日時点で約8000件あった審議中の案件のうち、1週間で約6000件が不採択になっていたことが判明したためだ。」(4月9日 日経新聞) 用意された資金は509億円と膨大です。これだけの不採択があった理由は、損失補償ではなく、予定する事業への補助金だったことです。 「これから実施する事業への『補助金』だったからだ。どんな事業で、どんな経費がいくらかかるのか、事細かに内訳を出す必要がある。」 記事では日本と比較して、欧米の実績に触れています。 「欧州主要国は軒並み手厚い支援策を掲げる。民間支援が中心の米国でさえ、20年末には閉鎖された文化施設などへの160億ドル(約1兆7600億円)以上の追加経済対策を発表した」 手厚いです。 記事のタイトル通り、日本では文化=娯楽なんでしょう。
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2021/03/03
三菱商事アート・ゲート・プログラムのチャリティオークションにはこれまでかなりの回数参加してきました。オークションで落札した作品も少なくありません。オークションにいくとついつい購入(落札)してしまう愚かさ(笑)。 このアート・ゲート・プログラムが変わっています。昨年、コロナ禍でオークションはネットになりました。これにも参加しましたが、リアルのオークションの臨場感はなく、いまひとつな感じでした。 その後、ネットオークションは行われず、ホームページには、 「今後はよりアーティストの育成に重点を置いた内容にリニューアルしていきますので、こちらのウェブサイトで詳細をお知らせする日まで、しばらくお待ちください」 と告知されました。 一昨日だったか、小さな冊子が送られてきました。「2020年度奨学金制度奨学生作品展」の告知の冊子で、作品が掲載されています。作品展示はだけで、オークションはありません。しばらくオークションはなさそうです。 コロナ禍から、いろんなことが起きています。三菱商事アート・ゲート・プログラムも継続されるのか。少し心配です。
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2021/02/27
友の会に入っているのに、トンとご無沙汰な世田美にでかけてきました。このミュージアムではコロナ禍で巡回展も延期になり、昨年来コレクションで構成した展示が続いています。現在開催されている「器と絵筆 魯山人、ルソー、ボーシャンほか」は企画展とされてます。魯山人とルソーというこのミュージアムコレクションの中核となる作品を軸に構成された展示です。 魯山人の作品は、「世田谷の実業家・塩田岩治が、妻サキとともに愛用した味わいぶかい魯山人作品は、『塩田コレクション』として当館に寄贈されたものです。」(美術館ホームページより) ということを初めて知りました。まとまった魯山人の作品をみる機会はないので、嬉しい展示です。 またアンリ・ルソーなど「素朴派」もあわせて展示は、キャプションも作家が発見されたきっかけが書かれ、親切な内容となっています。でも、魯山人と素朴派の関係は何だろう。魯山人も素朴な表現ということでしょうか。 また、ミュージアム コレクションⅢ「美術家たちの沿線物語 田園都市線・世田谷線篇」は切り口が面白い企画です。桑原甲子雄の写真が時代をとらえていて、興味深いです。 意外にも(笑)見応えのある展示でした。
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2021/02/16
いつもは経済のお堅いテーマを扱う「週刊東洋経済」が珍しい「アートとお金」を今週号で特集しています。とは言っても、アートをお金という切り口なので、どれほどアートで儲かるか、という内容。表紙には「奈良美智は106倍、バスキアは5286倍 現代アート 驚異の値上がり率」というコピーがあります。 特集の冒頭には「7兆円アート市場の狂騒」という記事があります。コロナ禍で世界経済が落ち込む中でも、オークションにおけるアートのアートの売買は活況らしい。7兆円というのは、世界でのアート市場規模です。しかし、世界市場での日本の割合はわずか4%弱ほど。小さいです。 記事にあるデータによれば、現代アートの年平均利回りは13.6%!ということで、具体的だったのは「会社員がイチから始める アート投資の極意5ヶ条」。投資という視点でアートを買ったことがなかったので、新鮮です。 また、「美術商の仕事の実態」というのも面白い記事です。明確に説明されることのない美術商とは、どんなことをやっているのか。この人たちを知ることからアートへの投資は始まります。 アートお金の関係も奥深いようです。
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2021/02/15
東京都写真美術館で「第13回恵比寿映像祭」が開催中です。写真のミュージアムですが、毎年2月に行われる恵比寿映像祭には必ずいくことにしてます。何故か、恵比寿映像祭だけは入場が無料なのも嬉しい。 ことしのテーマは「映像の気持ち」。公式ホームページによれば、
さまざまな工夫により編み出されてきた動画表現の原理とその歴史を参照しつつ、映像(動画)の魅力を楽しむ手がかりを提示し、さらなる拡張を続ける同時代の映像のありかたと、あたりまえのように映像とともに生きる現在を見つめなおす機会をつくります。 動画の原点に帰り、作品を構成する展示と言っていいのでしょうか。写真から動画へと時代が移っていく中で、恵比寿映像祭は「映像の気持ち」というテーマで基本に返ったとも思えます。 会期が2週間余りと少し短かく、またコロナ禍で入場予約制になっています。でもわざわざ予約していく価値はあります。おすすめです。
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2020/11/01
丸ビルで昨日まで行われていた「藝大アーツイン丸の内」が開催されていました。これは、 <文化・芸術」は、社会の基盤であると考え、その基盤づくりを目的とする東京藝術大学と、日本を代表するビジネスセンター・丸の内の街づくりを手掛ける三菱地所がコラボレーションすることにより、「文化・芸術にあふれ、創造性豊かな街づくり」を発信していきます。>(ホームページより引用) というもの。 最終日の昨日、「藝大オークション」 があり、参加してきました。コロナ禍の中、オークションもネットで行われることが多いとききますが、今回のオークションはリアル、ZOOMを併用したもの。それに事前入札も加え、3つの方法で行われるハイブリッドなオークションとなっています。 参加したのはリアルでのオークション。ソーシャルディスタンスを保つため。広い会場に定員は20名です。リアル、ZOOM、事前入札の3つで価格が提示されるので、これまでとは勝手が違います。 今回は魅力を感じる作品に出会わなかったので、1回もパドルをあげずにオークションを終えました。やはり、オークションはリアルがいいですね。
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2020/10/31
巷では「鬼滅の刃」が大ヒットしています。さすがに見ないといけないかな、という気になります。でも、あまり感心がないので、たぶんみないけど。 映画のワークショップできいたのは、ハリウッドあたりの映画監督さんには宮崎駿アニメのファンが多い、ということ(真偽は定かではありませんが)。少なくとも、日本ではみるのが当然という宮崎駿です。 昨日の日経新聞夕刊に、美術家の森村泰昌が「見ないことには、わけがある」という一文を寄せています。曰く、 <「風の谷のナウシカ」「となりのトトロ」「千と千尋の神隠し」等々、生まれてこのかた、ことごとく目にしていない。> と。凄いな。 でも、 <宮崎アニメが嫌いなわけではない。見たらきっとおもしろいと確信さえしている> と書いています。 森村泰昌の主張は、 <見ることで育つ感覚があるなら、見ないことで育つ感覚もあっていいだろう。別言するなら、何を見て何を見ないかの選択が、何を生み出せるかということに決定的な作用を及ぼす。> です。 美術家だからな、森村は。素人には宮崎駿をみて、なんか学んだ気にならないといけないのよ(笑)。
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2020/10/09
今週末で会期が終わる横浜トリエンナーレをやっとみてきました。トリエンナーレなにで見逃したら3年後、危なかった(笑)。今回はコロナ禍で開催が危ぶまれましたが、主催者は開催に踏み切りました。入場はウエブサイトから30分単位の予約制で、チケットも事前に購入です。 開催場所は、例年と同じく横浜美術館をメイン会場として、他に2つの会場があります。テーマは「AFTERGLOW―光の破片をつかまえる」。インドのニューデリーを拠点とするアーティスト3名によるラクス・メディア・コレクティヴがアーティスティック・ディレクター。横浜トリエンナーレとしては初の外国人ディレクターです。 会場に広がる作品はインスタレーション、映像、写真など様々な表現形式で、見ごたえがありました。これだけの多様な作品をみられるのは、トリエンナーレならではないでしょうか(ちょっと駆け足でみたので、深まっていない感想ですが)。 会場は学生からシニアまで幅広い世代でに賑わっていました。見にいってよかったです。
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2020/09/29
京都市京セラ美術館のリニューアルオープンの開館記念展として「杉本博司 瑠璃の浄土」が開催されています。今回、京都にいったのはこれが第一の目的です。先々月、日経新聞の「私の履歴書」は杉本博司は執筆していました。 現代美術作家として有名な杉本博司ですが、そのキャリアはほとんど知らなかったので、とても面白く読みました。独創性豊かなアイディアと実行力で作品を作り続けるパワーに、感銘を受けました。 杉本博司の写真作品は、以前東京都写真美術館で「杉本博司 ロスト・ヒューマン」をみました。これは写真作品の展示でしたが、今回の「杉本博司 瑠璃の浄土」は写真作品「OPTICKS」シリーズに加え、「京都」「浄土」「瑠璃ー硝子」にまつわる様々な作品や考古遺物も展示されています。また、屋外の日本庭園には《硝子の茶室 聞鳥庵(モンドリアン)》が設置されています。杉本博司ワールドが堪能できます。 杉本博司は「私の履歴書」でこう書いていました。 「老境とは楽隠居の、ゆったりした時間が流れるものと思っていた。しかし加速度的に仕事が増えていく。私は忙しすぎて死んでいる暇がない」 72歳になった杉本博司ですが、まだまだ創作意欲は旺盛のようです。 「杉本博司 瑠璃の浄土」は10月4日まで。おすすめです。
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2020/09/02
久しぶりに埼玉県立近代美術館にいきました。チケットをいただいていたのに、今週末で会期が終了する「写真と映像の物質性」 をみるためです。タイトルからは難しそうな企画展ですが、素直に楽しめました(専門家は思索を深め、読み込んでいるのでしょうが)。 写真と映像というメディアをどのように使い分け、融合させ、時には対立させて表現するか。このことを考える刺激的なアーティストたちの展示です。おそらく展示していた4名と1つのグループのアーティストは、自分を写真家とは思っていないのでしょう。ホームページに記されたプロフィールにも映像作家、イラストレーター、彫刻家という肩書きはありますが、写真家と書かれたアーティストはいません。 写真という表現が、これ単独でどこまで広がることができるのか。改めて考えさせられた展示でした。
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2020/08/31
大学の写真仲間にはソール・ライターの人気が高いです。そもそもソール・ライターの名前を知ったのは最近「永遠のソール・ライター」展が開催されるということで、この写真家の名前を知りました(なんたる無知)。見にいこうと思っていた矢先、コロナ禍で中止に。でも、アンコール開催が実現し、現在ザ・ミュージアムで開催されています。 NHKの日曜美術館でも特集していました。ここまで人気が高いのは、ソール・ライターの写真がいわゆるフォトジェニックだからでしょう。フォトジェニックな写真を撮りたい人は多いから。 展示された写真をみていると、決定的瞬間を捉えたスナップなのか、コンストラクティッド・フォトグラフィ(構成的写真)なのか。この写真家の撮りたいものは何なのか。ちょっと分からないかな。 図録を買ったら、小学館からででている単行本でした。なかなか商売上手なソール・ライターでもあります。
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2020/07/13
何回か参加している三菱商事アート・ゲート・プログラムのチャリティー・オークションがオンライン入札になりました。3月に予定されていたオークションが中止になり、今年は会場でのオークションは行われないようです。 今回のオンライン入札は3月に開催される予定だったオークションに出展される作品が対象です。入札は7日11時から11日21時まで行われました。会場では希望入札額をパドルをあげて示すことでオークションが進行し、その場で落札者が決定します。しかし、今回のオンライン入札は入札期間中に最高額を入れた人が落札者となるので、すぐに結果が出ません。 出展作品が展示されているので、みてきました。場所は丸の内の三菱商事のビルの一階にあるCSRステーション「MC FOREST」です。出展作品は55点ですが、作品が少し多様化していました。写真作品、立体作品がありました。従来のオークションでは(私の知る限り)写真作品はありません。オークションに出展されるのは公募で選ばれた作品ですが、写真はなぜかありませんでした。規定だったのか、それとも応募がなかったのか。いずれにしても、チャリティー・オークションに写真作品が加わったのは嬉しいです。
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2020/06/04
どうなるかと心配していた「横浜トリエンナーレ」が開催されます。 <横浜市は3日、3年ごとに開催する現代アートの国際展「ヨコハマトリエンナーレ」を7月17日から10月11日に開催すると発表した。新型コロナウイルスの対策徹底のため、開幕は2週間遅らせた。チケットは日時指定の事前予約制とし、入場数を制限して密集を避ける>(6月4日 日経新聞) と開幕を繰り下げてのスタートで、会期は2週間短くなります。 「市によると、新型コロナの感染拡大以降、国際的な芸術展が実施されるのは国内外でも初めてだという」 ということ。確かに、この時期に開催を決めるのはかなりの勇断かと思います。 3年に一度の横浜トリエンナーレ。今回は初めての外国人デレクターを起用しています。楽しみです。
横浜トリエンナーレ
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2020/02/20
恵比寿映像祭にいってきました。毎年、2月に写真美術館で開催される恵比寿映像祭も12回目です。今年のテーマは「時間を想像する」。 映像と時間の関係は意識し続けること。写真と時間は意識しないこともある。面白いテーマだな、と思います。公式ホームページにキュレーターの田坂さんがこう書いています。
誰にとっても身近であり同時に解き明かされていない時間にかかわる作品をとおして、新しい発見が生まれ、観客との対話や交流を導く機会を作りたいと思います。そして、アートや映像表現から時間を想像することで、動く写真(motion picture)である映像の本質に迫り、あらためて現在をみつめ考察していきます。
映像は「動く写真」なんだな。ここにこだわらないと、本質はみえないかも。展示は多彩で刺激的でした。当たり前のことだけど、映像表現の方法はいくらでもあり、どこへ伸びていくのかまったくわかりません。 おすすめです。会期は今週末23日まで。
恵比寿映像祭
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2020/02/09
世田谷美術館で昨日から始まっている企画展「村井正誠 あそびのアトリエ」のレセプションに参加し、展示をみてきました。村井の名前は知っていますが、まとめて作品をみるのは初めてです。1939年からは世田谷区中町に自宅兼アトリエがあったことから、村井の作品はかなりの数が世田谷美術館に寄贈されており、今回の企画展はこの所蔵品で構成されています。 抽象絵画のパイオニアとされる村井正誠。作品展示は絵画に加えて、オブジェ、版画、素描などもあり、村井の幅広い創作活動をみることができます。 また、展示では田沼武能が撮影したアトリエの写真、宮本隆司が撮影した村井正誠記念美術館の写真もあります。ちなみに村井正誠記念美術館の設計は隈研吾です(ここは完全予約制の美術館)。 みていて、爽やかな気分になります。色彩と形のバランスのせいなのか。身近に置きたい素敵な作品ばかりです。 村井正誠 あそびのアトリエ
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2019/12/28
現代美術館にいってきました。いただいた「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」があったので、無駄にしないうちに(行かないままになることしばしば)、拝見してきました。美術館では同時に「ダムタイプ―アクション+リフレクション」が開催されていて、こちらも見てきました。 「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」はデザイナー皆川明と彼がつくってきた「ミナ ペルホネン(minä perhonen)」にフォーカスした展覧会です。ファッションにまったく疎いので、皆川明は初めて知りました。事前に調べて臨めばよかったのでしょうが、ほとんど興味がわかない展示でした。 一方、「ダムタイプ―アクション+リフレクション」はよくわからなかったけど、楽しめました。 「1984年に京都市立芸術大学の学生を中心に結成され、『デジタルと身体』『ポストヒューマン』のヴィジョンを先駆的に表現してきたメディア・アーティストグループのダムタイプ」(美術手帖のウエブサイトより引用)の作り出す映像と音声の世界は刺激的です。 2つの展覧会とも若い人が目立ちました。年内最終日のためか、少なくない人が熱心に鑑賞していました。現代美術館は面白いものをやりますね。
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2019/12/06
時々、アートのオークションに参加しています。時々、作品を落札してしまい、困ったことになります。保管場所に困るのですが、落札前に考えろ、ということですよね。 最近、アートへの投資が注目されているのか。日経新聞に<資産形成、趣味と融和>なる記事が載っていました。銀行での超低金利の時代、試行錯誤する投資家をレポートしています。アートへ投資しているとある投資家のことです。 「約2000万円を現代アートに投資している。休日は画廊巡りが趣味で、年2~3回は海外の大規模な展示会に参加して購入する」(12月3日 日経新聞) かなりの投資額です。 「買うのは20~40代の若手作家の作品が中心だ。現在保有する70点の作品のうち1割は、購入時から10倍以上の値上がりをした」 リターンはかなりいい。 現代アートは評価が定まっていないアーティストが多いので、投資対象としては魅力的かもしれません。でも、流動性はどうなんでしょうか。値上がりしても、売れるのか。例えば株のように売りたいときに売れるのか。投資としては、ここが重要なポイントです。 アートの本質は、投資にはそぐわない。いろいろ難しいなと思います。
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2019/09/17
丸ビルで「藝大オークション」があり、参加してきました。このオークションは丸の内で開催されている「藝大アーツ イン 丸の内 2019」 でのイベントです。「藝大アーツ イン 丸の内 2019」は今年で13回目。そして、「藝大オークション」は2017年に始まりました。 オークションには現役の藝大生の作品16点が出展されています。日本画、油彩などの平面作品だけでなく木彫、工芸などの立体作品もあり、バラエティに富んでいます。時々いく三菱商事アート・ゲートのオークションでは平面作品に限られていまが、このオークションではインスタレーション作品も出品され、面白い。 三菱商事アート・ゲートのオークションとは違って、会場は丸ビル1階のオープンスペース。開放感溢れる中でのオークションです。素敵な藝大生の作品に触れた楽しい時間を過ごしました。
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2019/09/05
久しぶりに国立新美術館へ。「二科展」をみるためです。大学に同期で入った方が入選されているので、その作品を拝見するのが目的です。チケットも新聞屋さんからいただいていたので。「二科展」なんて久しぶりです。上野でみたのが最後ですから、もう10年以上も前でしょう。 絵画、彫刻、デザイン、写真の各部門があり、出展されている作品はかなりの数です。とても全部はみられないと、写真だけにしました。皆さん、上手です。二科展はプロ、アマとわずの公募展。アマチュアとしては目指すべき大きな目標なんでしょう。私には無理そうですが。 写真を撮るのは、まず技術、そしてチャンスと根気ではないか。そんなことをふと思いました。とても勉強になった二科展でした。
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2019/08/08
大学の科目にデッサンをする、というのがあります。与えられたモチーフを鉛筆でデッサンする課題です。これ、必修科目で、合格しないと卒業できません。でも、デッサンはほとんどしたことがありません。昔、油絵を習っていたときに、デッサンをやることを指示されて、半ば嫌々やりました。その時はデッサンの重要さがまったくわかっていなかったので、真剣にやりませんでした。 3年前、世田美の美術大学でデッサンの授業がありました。この時は一生懸命やったのですが、出来は芳しくありませんでした。 そして、このたびのデッサン課題です。通信なので、いきなり課題(デッサン作品)を提出することももちろん可能です。でも、それは無謀です。幸い大学には「入門デッサン」という講座があります。先々月受講して、無力なことを再認識しました。今月、来月と「入門デッサン」を受けることにしました。 それと自習しようと、デッサンイーゼル、カルトンなどを用意して、デッサンを始めました。でもね、ひとりで描くのは大変。当たり前ですよね、アーティストではないんだから。 しかし、始めてしまったので、なんとか続けようと決意しています。が、どうなるかは分かりません。
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2019/08/05
新宿の世界堂で買い物をしました。カルトンなどまとまった買い物をするので「世界堂STカード」を作りました。このカードは入会金500円で2年刊有効。カードの特典は、
画材・文具・デザイン用品など 5~20%OFF!! 油絵具・画溶液 30%OFF!! オリジナル商品・額縁など 世界堂大特価!!
です。新宿本店は「日本一安く売る店」という看板があがっています。確かにSTカードを出して買うと、かなり安い。画材のネット通販、アマゾンあたりと比べても、安いと思います。 新宿本店にはいつも外国人が沢山来ています。なんといっても世界堂です。こんどはゆっくり探検に行こう。
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2019/08/03
取手にいってきました。大学のスクーリングの教えていただいた写真家の森政俊さんの個展を拝見するためです。個展の会場は「OMONMA TENT」というカフェ&ギャラリーです。JR取手駅で降り、駅前から大利根交通バスに乗ります。このバス、Suica使えず、均一料金でないのに現金前払い。利用者はなんの問題もなく乗っています。 バスに乗り10分ほどで目的地そばのバス停に到着。この「OMONMA TENT」は金土日だけ営業のカフェで、スペースの中に作品が展示されています。金土日だけの営業で成り立つのか。お店の方にうかがうと、「オープンしている日以外は別な仕事してます」とのこと。カフェでいただいたかき氷がおいしかったです。 森政俊さんの写真は素敵です。会期は明日、4日までです。 取手に小旅行でした。
OMONMA TENT
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2019/06/19
大学のスクーリングでデッサンのスクーリングに出ました。デッサンは3年ほど前に世田美の美術大学でやりましたが、ほとんど身についていません。必修科目でデッサン作品を提出する課題があり、実習することにしました。 スクーリングに際し、鉛筆を用意する必要があります。6Hから6Bまでの鉛筆です。買おうと銀座の東急ハンズ、ロフトにいきましたが満足に揃っていません。伊東屋のことは忘れていて、ネットを探すと「ハイユニ アートセット」というのがあります。このセットはなんと10H~10Bまでの22本セットです。10Hの鉛筆があるなんて知りませんでした。 スクーリングで必要なのは6Hまでなので、まだ削っていません。どんな描き心地なんでしょう。このセットを使いこなすレベルには当分到達ししそうにありません。デッサン上達の道のりは長いです。
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2019/06/15
写真ギャラリーにいく習慣がありませんでしたが、写真を学びはじめてから、できるだけ写真をみるようにしています。 先週、大学のスクーリングで講師をされていた篠原俊之さんが運営しているギャラリーRoonee 247 Fine Artsが小伝馬町にあります。小伝馬町とはちょっと意外な場所ですが、本屋「ほんやのほ」もこのギャラリーの近くです。 いま、ここで「 Director’s Eye 2019」が開催されています。篠原さんが選んだ5人の作家の作品が展示されています。大ベテランのハービー山口、細江英公を父に持つ細江賢治に加え、個性溢れる若手作家が加わった展示です。 写真と静かに対話できる空間です。お時間のある方は是非。
Roonee 247 Fine Arts
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2019/05/16
世田谷美術館の「友の会」に入っていて、先日総会に参加してきました。友の会に入って3年、初めて総会というものに出席しました。出席したのは50名あまりです。友の会の会員は600名以上いるので、出席したのはほんの一部です。 総会の議事は主の決算と予算案の承認です。何人からか質問もありましたが、無事承認されました。 「友の会」に入ったのは市民講座の「美術大学」に入るための条件だったからです。世田谷区民以外は友の会に入ることが義務です。仕方ないので入った感じ。会員になると美術館で開催されるすべての企画展、コレクション展が無料でみられます。会費は年間4000円ですから、フルに使えばお得。 この友の会が更新の時期になりました。今年は大学に入ったので、展覧会は大学生の料金でみることができます。これで計算すると、4000円では元が取れない。さて、どうしたものか。美術館をサポートする、という考えでは継続したほうがいいのでしょう。ちょっと迷っています。
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2019/04/21
久しぶりに森岡書店銀座店にいきました。料理研究家のワタナベマキさんの『旬菜ごよみ365日』 の出版記念展が行われています。昨日、ワタナベマキさんが登壇してのトークショーがあり、参加してきました。書店店主の森岡さんとの対談でのトークショーです。 会場は15人ほどの参加者が入ればいっぱいで、こじんまりとした会です。恐らく50冊近くレシピ本を出されている人気料理家のワタナベマキさん。直接お話がうかがえる貴重な機会に集まったのは(私をのぞいて)すべて女性でした(当たり前ですか)。 グラフィックデザイナーを経て料理研究家となったワタナベマキさん。好きな料理を仕事にすることに、当初は躊躇していたといいます。しかし、今やおいしいレシピを多く生み出すトップ料理家です。興味深い話をたくさんうかがいました。 森岡書店の展示は今日(21日)までです。ぜひどうぞ。
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2019/04/06
久しぶりに東京ビックサイトにいってきました。目的は「クリエーターEXPO」です。先日、ムサビ通信の同窓会があり、そこに来られた方が出展され、招待状をいただきました。こんな展示会があるなんて知りませんでした。 「クリエーターEXPO」はイラストレーターさんがブースを構えて、お客さん(広告、出版などメディア)と商談する場です。興味半分とホームページにイラストを入れたいので、イラストレーターさんを探す目的でいってみました。 会場はイラストレーター、絵本、漫画、アニメ、音楽、ライター、写真などにジーン分けされ、ブースが並んでいます。いちばん多いのはイラストレーターです。若い方からベテランと思える方まで多くのイラストレーターさんが小間を構えています。 絵本ゾーンに出展されている方のお話だと、イラストレーターゾーンはすぐに埋まってしまい、絵本ゾーンに出展されたとのこと。出展者からは人気なんです。ちなみに出展費用は一小間で税別140,000円。安くはないです。 イラストレーターさんは世の中に沢山いるのだな、という実感。なかなか大変だなあ。
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2019/02/27
世田美で「田沼武能写真展 東京わが残像 1948-1964」をみました。田沼は今年90歳、いまなお活躍する写真家ですが、この展覧会ではタイトル通り東京、1948年から1964年の撮影に絞って作品が展示されています。1964年までの東京オリンピックまでの東京の姿を伝えたかったのかな。
展示されている作品はすべてモノクロですが、1950年代に撮影されたものがかなり多い。それも私が生まれる前の写真も当然あります。当時の風俗に見入ってしまい、作品そのものをみることを忘れます。
たとえば、「たき火を囲む人々」(1955年)は銀座の路上でたき火にあたる人たちを撮った写真。昭和30年には銀座でたき火してたと驚きます。そもそも最近、たき火にあたる、という行為をしていないことに気づかされました。
懐かしさ、優しさを感じる田沼武能の写真作品です。
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2019/01/23
センター試験も終わり、入試シーズンだなと連想ゲームで、11年前に出た武蔵美のことを思い出しました(笑)。卒展のスケジュールをみようとホームページにいくと、今年の4月に開設される新学部のサイトがありました。そういえば都心に新しいキャンパスを作るという記事を以前書いた記憶があります。
造形構想学部というのが新しい学部。研究科も設立されます。新学部の核となるのがクリエイティブイノベーション学科で、ホームページによれば、
「ビジネス、テクノロジー、ヒューマンバリューの3つの領域を融合した学びを展開し、同時開設される市ヶ谷キャンパスにてプロジェクトベースの実践的な教育を大学院と一体となって行います」
とか。今の時代にアートを適合させる、ということかな。
ちなみに特設サイトに掲載されている校舎の写真には見覚えがあります。ソニーミュージックのビルを武蔵美が取得したとか。武蔵美、お金持ちです。
新学部で武蔵美がどう発展するか、楽しみです。
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2018/12/27
かなり前に買った「芸術新潮」の12月号(先月号)をパラパラとめくって読んでます。この号は特大号で<これだけは見ておきたい 2019年美術展ベスト25>が特集です。昨年の12月号でもやっていた芸術新潮らしからぬポピュラーな企画です。
ベスト25に推された展覧会をざっと眺めた限りでは、来年は話題になり、大混雑が予想されるものは少ない感じです。トーハクの「国宝 東寺-空海と仏像曼荼羅」 、「クリムト展 ウィーンと日本 1900」 がきになるところ。でも、今年の藤田嗣治展、ムンク展、フェルメール展、縄文のような話題作(?)と比べると地味目かも。
この号には「芸術手帳2019」と「オリジナル手ぬぐい」の付録が付いてます。芸術手帳の表紙イラストはしりあがり寿作。イラストで描かれているのは、岸田劉生の麗子さんです。来年は生誕90年ということで、岸田劉生展があります。
ちなみに、「芸術新潮12月号」はネット書店で早々と売り切れていて、街の本屋で買いました。アマゾンでは定価以上の金額で売られています。
来年は今年より多くの展覧会をみたいところですが、難しそう。
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2018/12/22
町田まで出掛けてきました。町田市文学館ことばらんどで開催中の「みつはしちかこ展 -恋と、まんがと、青春と-」をみるためです。まもなく終了(24日まで)なのに、やっといきました。
町田に長らくお住まいだったみつはしちかこさんの企画展です。展示は5つの章から構成されています。
第Ⅰ章 「小さな恋のものがたり」
第Ⅱ章 「いつかどこかで」
第Ⅲ章 「ハーイあっこです」
第Ⅳ章 漫画自叙伝「草むらのちいちゃん」
第Ⅴ章 野の花の一本道
みつはしちかこさんのこれまでの作品原画、本、資料などがたくさん展示されています。
みつはしちかこの世界がいっぱいです。
もう、30年程前、長い坂道を登って、みつはしさんの仕事場に原稿をいただきにいった頃を思い出しました。
今年は、新刊の「小さな恋のものがたり」を出されました。まだまだ素敵な世界を描いていただけそうです。
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2018/12/14
『ムンク展―共鳴する魂の叫び』 (東京都美術館)の目玉は、もちろん「叫び」です。ムンクは何点も「叫び」を描いていますが、今回来ているのは1910年の作と推定されているテンペラと油彩で描かれた作品です。
ノルウェーのオスロ市立ムンク美術館には約28,000点もの作品が所蔵。本展はこのムンク美術館のコレクションで構成されています。膨大なムンク作品の中から選ばれた約100点が展示されています。ムンクと言えば「叫び」が刷り込まれていて、他の作品が思い浮かばないという貧困さに気づきました。
ムンク作品は、不安を抱え込み、暗い作品が多いです。「叫び」と並んで展示されている「絶望」、「不安」はその典型です。しかし、暗く、絶望的な作品ばかりではありません。クリスチャニア大学講堂の装飾画「太陽」や、「庭のリンゴの樹」は明るく、希望を抱かせる作品です。ムンクという画家をもっと知りたくなりました。
ムンクの才能を充分に味わえる展覧会だと思います。
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2018/12/13
ムンク展のグッズショップでいろんなものを売っていました。グッズの売り上げって、かなりの収益源なんだろうなと思いつつ、買ってしまったものがあります。
ポケモンの叫びシリーズです。ポケモンたちが叫んでいます。ピカチュウや、ーブイ、コダック、ミミッキュ、モクローの5つ(5人?)のポケモンが叫んでいます。可愛いです。
ポケモンを叫ばせることは、権利をもっているところが了解すればいいのでしょう。でも、ムンクの「叫び」を使ってキャラクターに叫ばせるのは、権利的にはOKなのか。「叫び」という表現形式は著作権はないんでしょうね。。
叫ぶポケモンをみたら、ムンクはどんな感想を持ったのです。知る由もありません。
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2018/12/12
上野の東京都美術館で開催中の「ムンク展―共鳴する魂の叫び」 をみてきました。公式サイトでたまたま見つけた<プレミアムナイト鑑賞券~冬の星月夜~>というのを手に入れて、ちょっと贅沢な鑑賞です。レクチャーは時間指定で、各回650名。
この鑑賞券は、「一般の観覧時間後、夜間に人数限定でムンク展を特別に鑑賞できる」ものです。更に担当の学芸員さんによるミニレクチャー(約20分)、図録、音声ガイド、おまけ(大きな絵葉書)が付いています。これで4,800円。観覧料、図録、音声ガイドの金額合計が4,500円なので、まあお得。ちょっと散財だけど。
通常の混み具合はわからないのですが、人数限定のプレミアムナイトはそれなりにゆったりみられます。「叫び」も堪能できました。
展示はかなり刺激的でした。詳しくは、明日にでも書きます。
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2018/11/24
この頃は驚くことが続きます。ゴーンの逮捕はその金額の大きさにあきれましたが、いちばん驚いたのは東京地検に出し抜かれたマスコミでしょう。
ゴーンとはまったく違う驚きは原美術館が閉館するという知らせ。驚きというより、落胆。巷の報道によれば、
「現代美術を専門とする美術館の先駆けだった東京・北品川の原美術館が、2020年12月末で閉館することになった。美術館が22日発表した。築80年になる建物の老朽化などを考慮したという」(朝日新聞)
と建物の問題で閉館です。
もうどうしようもないのでしょうが、残念です。
閉館の報道をきき、しばらく原美術館を訪れていないことに気がつきました。情けない。これに 行って以来、おそらく3年ほどはご無沙汰です。
館内にある奈良美智などのインスタレーションはどうなるのか。心配事が少なくない原美術館の閉館です。
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2018/11/18
先日紹介した<浅野友理子展「山のくちあけ」> のスペシャルイベントの<馬喰町で「山のくちあけ」祭り>に三回してきました。イベントのメインは浅野友理子さんと詩人のぱくきょんみさんの「対談 韓国と山形の〈食〉と〈手しごと〉」からスタート。浅野さんが訪れた韓国の体験談からぱくきょんみさんの韓国の暮らしの話へと繋がり、異文化なことがとても面白い。
対談が終わったあと、「山のくちあけ弁当」が供されました。
中身は、
・薬食風炊き込みおこわ:韓国宮廷料理「薬食」風盛りつけで、小豆、なつめ、くるみ、干しぶどう、松の実、銀杏など
・トトリムク:どんぐり豆腐、白い卵焼き、のり、糸唐からし、黄色い卵焼き、ニラ
・ヤンニュムジャン
ちなみに、トトリムクはどんぐりのでんぷんをゼリー状に固めたもの。ヤンニュムジャンは韓国の万能たれ。あまり食べる機会がないお弁当で、美味でした。
お弁当を食べ終わったら、馬喰町バンドの演奏。この人たち、とても素敵に変でした。
ちなみに会場は馬喰町ART+EAT。ここも不思議なスペースです。楽しい土曜の夜でした。
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2018/11/05
馬喰町で開催されている「浅野友理子展 山のくちあけ」にいってきました。浅野友理子さんの作品は今年3月の三菱商事・アート・ゲート・プログラムのチャリティーオークションで「若榴」と題された作品を買わせていただきました。今年の日経日本画大賞 に入選し、活躍する浅野さんの個展です。
タイトルになっている「くちあけ」とは「くちあけ(口開け)とは、山や磯などの共有地の利用の禁を解くことや、その日のこと、または何かを始めるときのことを言います」と案内はがきにあります。広辞苑にも載っている言葉ですが、普段、ほとんど使うことがありませんが、新鮮な響きがあります。
浅野さんは、各地で脈々と続く生活文化に興味を持ち、 現地で取材した話をモチーフに制作していて、今回、韓国山間部のドングリ料理や、カマドで火を焚いているところ、餅つきなどを描いています。オリジナルで刺激的な作品が展示されていいます。
浅野さんの今後の活躍が楽しみです。
浅野友理子展 山のくちあけ
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2018/11/03
北千住まで「植田爽介 個展」をみに行ってきました。植田爽介は現在、藝大で版画専攻の修士課程に在籍しているアーティストです。三菱商事アート・ゲート・プログラムのチャリティーオークションで彼の作品を買ったのは、(多分)4年ほと前。2016年にはート・ゲート・プログラムの奨学生に選ばれ、藝大大学院に進み、創作活動に励んでいます。
初めてとなる個展は『Diving into the Perceptual Sea』と題され、オリジナルな作品が並びます。版画専攻のアーティストですが、最近は電子部品を使った作品をつくっています。特にこの作品は刺激的。
植田のテーマは「生物と無生物のあいだ」。版画技法にこだわらず、様々な方法で自身のテーマを作品にしています。
個展の会場は北千住のBUoY。ここも個性的なスペースで、植田の作品と融合しています。
『Diving into the Perceptual Sea』は6日まで。
『Diving into the Perceptual Sea』
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2018/10/11
久しぶりに笠間日動美術館に行ってきました。この美術館を訪れるのは、記憶にないほど前です。日動画廊の創業者である長谷川仁・林子夫妻がつくった美術館で、すでに40年以上の歴史があります。遠くに山が望める傾斜地に美術館はあります。
「パレット館」「フランス館」「企画展示館」の3つの建物があり、建物に囲まれて野外彫刻園があります。個人美術館としてはかなり大規模です。この中でも「フランス館」にはその名の通り、印象派、エコールド・パリの時代をつくった画家の作品はあります。また、フランス館ですが、ピカソ、カンディンスキーなど現代美術の作品もあります。これだkの作品をみる贅沢が、笠間にあります。
企画展展示館では「日仏友好160周年・没後50年 藤田嗣治と陽気な仲間たち」が開催されています。藤田の作品を堪能できます。
笠間方面へ行くのが、北関東自動車道ができて楽になりました。東京からは小旅行ですが、いく価値があるミュージアムです。
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2018/10/10
そういえば横浜美術館でやっていたなと思いながら、篠山紀信を宇都宮でみてきました。栃木方面にドライブがてら出掛けて、いつも立ち寄る宇都宮美術館で開催中の「写真力」を拝見しました。
篠山紀信は私の世代にとっては沢山の思いがあります。「週刊プレーボーイ」の表紙とか、「GORO」での激写とか。週プレでは(私的には)栗田ひろみの表紙だな。GOROでは、やはり山口百恵です。アイドルが遠い存在だった時代。篠山紀信は数多くのアイドルを撮っています。
「写真力」ではアイドルだけでなく、歌舞伎役者を壮大に撮った作品もあります。そして東日本大震災で被災された方々の写真もあります。
常に時代の先を走っている篠山紀信。その存在力はいまも健在です。
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2018/10/06
「マルセル・デュシャンと日本美術」(東京国立博物館)をみてきました。久しぶりにマルセル・デュシャンの代表的な作品が展示されている企画展です。
既製品を作品とした<レディメイド>はもちろんあります。有名な「泉」や「自転車の車輪」「瓶乾燥器」をみていると、作品らしくみえてくる不思議(やはり作品かな)。
通称<大ガラス>「彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも」(複製・東京版)も展示されています。久しぶりにみました。
はじめてマルセル・デュシャンの作品に出会ったのは2005年に横浜美術館で開催された「「マルセル・デュシャンと20世紀美術」でした。衝撃的な展示でした。本展「マルセル・デュシャンと日本美術」はそれ以来のマルセル・デュシャン展ではないでしょうか。
今回はマルセル・デュシャンはこんなアーティストという概念が自分の中で出来ていて、正直余り感動しませんでした。もっと作品と会話をしなければいけないのかも。
トーハク平成館で西洋美術の企画展が開催されるのは珍しい。マルセル・デュシャン展ということで、混雑するかと思い、金曜日の夜間開館にいったのですが、来場者は少なかったです。
画家時代の作品もあり、興味深くみました。よく考えられている展示だと思います。マルセル・デュシャンの世界に浸りたい人にはオススメです。
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2018/09/22
先日の日曜美術館で藤田嗣治を特集していました。自宅に残された録音テープを一部公開し、藤田嗣治の実像に迫ろうという特集でした。番組の中で、2010年に藤田の作品がフランスに寄贈されたと報じていました。
2006年に大規模な回顧展があり、その後、藤田嗣治の妻、君代さんが2009年に亡くなっています。そのためか、藤田嗣治の作品がフランスに寄贈されたのでしょう。日本には来なかったのです。
昨日、再度、藤田嗣治展をみてきました。作品展のチラシ、ホームページなどでメインの「カフェ」にも鑑賞者はいなくて、ゆったり鑑賞できました。前回の回顧展の混雑に比べると、静かな展覧会になっています。日本人にとって藤田嗣治はそんなには大きい存在ではない、ということ。それより、モネ、ルノワールなど印象派が人気なわけです。
展示されている作品の中で、今回気になったのは、「アージュ・メカニック(機械の時代)」。1958年から1959年に描かれた作品。オモチャを操るたくさんの子どもたちが細かく描かれています。昭和で言えば33年、34年。きっと日本はまだまだ貧しかっただろうけど、フランスの子どもたちは豊かそうです。
フランスに藤田嗣治の絵を見にいきたいものです。
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2018/09/16
仕事が入らなかったので、三菱商事のアート・ゲート・プログラムのチャリティオークションにいってきました。今回は40回目のチャリティオークションですが、それを記念してか「アートのちから」と題されたスペシャルイベントがありました。
いつものオークションの前に片岡鶴太郎によるアートパフォーマンスがありました。数日前、半月板損傷を明かし、ニュースになった片岡鶴太郎は、パフォーマンスの冒頭に、このことを話し、笑いをとっていました。
肝心のアートパフォーマンスは、あらかじめ用意された秋らしい素材(野菜など)から選んで、色紙の絵を描くところを実演してみせるというもの。
片岡鶴太郎はかぼちゃ、白なすなどの野菜ではなく、蟹の写真を選択。これをみて、色紙に日本画の技法で描きました。1時間10分ほどで、色紙に絵と書を描き、完成。さすがのアーティストです。片岡鶴太郎の作品をもっとみたくなりました。
芸術の秋にふさわしい面白いイベントでした。
片岡鶴太郎のブログに紹介されています
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2018/09/15
横浜美術館で開催中の「モネ それからの100年」 は、刺激的で面白い展示です。モネに影響を受けた作家の作品と、モネの作品を連続的に展示する企画です。キャッチコピーは「わたしがみつける新しいモネ」
展示されているモネの作品は25点。これに対しモネの後の世代の作家は65点と、モネ作品を見たい人には、期待外れかもしれません。しかし、モネだけみていても飽きるし(笑)、現代作家の作品をたっぷりみられます。モネとその影響を受けた(受けたであろう)作品、オマージュを見ていくと、モネが描こうとしていた絵画が少しだけ分かりました。
同時に現代作家の作品も、モネとの関連で見ることで、新しい発見があります。出展されている作家では、映像表現を駆使した水野勝規、写真に加えて動画を見せてくれる鈴木理策、多色刷り木版画に圧倒される湯浅克俊が印象に残りました。
混雑が伝えられていますが(昨日の夜間開館日は快適にみることができました)、それでもみにいく価値がある企画展です。
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2018/09/14
多摩美に初めていきました。知り合いのアーティストが「多摩美術大学 助手展」に出展されていて、これを拝見しにいってきました。うちからは遠いと思っていたのですが、それほど遠くはありませんでした。むしろ、昔通った武蔵美の本校のほうが遠いです。
「多摩美術大学 助手展」は今回初めての開催。油画、日本画、彫刻、版画の作品が出展され、エネルギーが感じられます。美大の助手さんは普段、どんなことをしているのでしょう。色々忙しいんだろうな、なんてつまらんことを想像しながら作品を拝見しました。
見終えた後、イイオ食堂で昼食。このイイオ食堂は店の風情からどうやら学生食堂のようです。ここで「おばけそば」というのを見つけて、これをいただきました。お揚げと天かすがのっているそば。お揚げ(きつね)と天かす(たぬき)の化かし合いでおばけとか。ちょっと無理があるネーミング。でも、330円と学生価格です。
学食を出て、伊東豊雄さん設計の図書館を眺め、帰路につきました。
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2018/09/08
藝大(東京藝術大学)の大学祭「芸祭」を覗いてきました。一般の大学祭シーズンを外して、まだ残暑が厳しい9月に3日間に渡って行われるお祭りです。
上野公園を通って藝大に向かう手前に出店が並んでいます。アクセサリー、グッズ、絵画などを販売するアートマーケットです。
藝大の構内に入ると模擬店が並んでます。お酒と食べ物を売ってますが、価格は良心的。早速、ビールを買いました。
ステージで演奏が始まりました。バイオリン、ドラム、キーボードなどの演奏、ボーカルが織りなす演奏に合わせて、白い衣装で踊り続ける人。そしてその横では黒い衣装の女性がステージに置かれたボードに何かを描いています。
20分以上パフォーマンスが続いたでしょうか。演奏が終わり、作品が完成しました。
こんなステージが3日間、ずっとあります。
ステージは誰でも見られますが、ホールで行われるコンサートは抽選制です。他にもイベントがたくさんあります。1日いても飽きないでしょう。
初秋の芸祭。面白いです。
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2018/08/21
藝大パワーを感じる展示でした。残念ながら昨日で終了しましたが、三越日本橋本店で開催されていた「三越×藝大」をみてきました。
「日本唯一の国立総合芸術大学として数々の芸術家を輩出してきた東京藝術大学。5回目となる今回は、日本画、油画、彫刻、工芸、デザイン、建築、先端芸術表現、美術教育、文化財保存学保存修復の分野で本学の現役教授陣が推薦する40歳未満の大学院在学生および卒業生約100名による新作を美術フロア全面を使って発表いたします。次代を担う若手作家たちによる美の多様性への問いかけをお楽しみくださいませ」(三越のホームページより)
という展示です。日本橋三越の6階、美術フロア全面を使い、藝大生の作品が展示されています。
藝大生作品、刺激的です。面白いです。みていて飽きません。たとえば、こんな作品。
この展示には存じ上げている陶芸作家の茂田真史さんが出展されていました。陶芸では茂田さんだけが出展されていました。陶芸の世界を超えた素晴らしい作品です。
三越のアートへの姿勢を見直した素敵な展示でした。
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2018/08/05
没後50年ということで、「藤田嗣治展」が開催されていて、早速みてきました。この企画展は藤田嗣治の画家としての歩みをテーマを設けて、展示を構成しています。展示は9つの章から構成されています。
Ⅰ 原風景-家族と風景
Ⅱ はじまりのパリー第一次世界大戦をはさんで
Ⅲ 1920年代の自画像と肖像ー「時代」をまとうひとの姿
Ⅳ 「乳白色の裸婦」の時代
Ⅴ 1930年代・旅する画家ー北米・中南米・アジア
Ⅵ-1 「歴史」に直面するー二度の「大戦」との遭遇
Ⅵ-2 「歴史」に直面する-作戦記録映画へ
Ⅶ 戦後の20年-東京・ニューヨーク・パリ
Ⅷ カトリックへの道行き
藤田嗣治の回顧展は2006年に大規模な展覧会が開催されました。本格的な回顧展ということで、大混雑の展覧会でした。今回の「藤田嗣治展」は前回の回顧展より充実しているのではないでしょうか(前回の図録が見つからないので、断言できないのですが)。
出展されている作品は国内の美術館のコレクションに加え、海外の美術館からも多く貸し出されています。また国内外の個人蔵の作品もかなりの点数です。これだけの藤田嗣治作品を集めるのはかなり大変ではないか、と想像します。
混雑が予想されるので、展示が始まって最初の金曜日(通常は20時まで。訪れた日は21時まで)にいったので混雑はなく、ゆったりとみることができました。でも、そのうち混み始めます。早めにいくことをオススメする充実の「藤田嗣治展」です。
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2018/07/27
来週から「藤田嗣治展」が始まるので、チケットを前もって安く買おうと、メルカルを検索。幸い、2枚セットの券が出品されていたので、購入しました。1枚当たりでは前売りチケットより安い金額です。カードで決済して、購入した翌々日には到着です。
ヤフオクはたまに使うのですが、フリマのメルカリは初めての利用です。どうやら、メルカリの主なユーザー層は20代、30代で女性が多いらしい。これに対しヤフオクは中年男性が多いとか。
フリマは即決で買えるので、この点はいいです。ヤフオクはオークションなので、いくつかのやりとりがあり、これが面倒なところがあります。
メルカリ、上手く利用すると良さそうです。
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2018/07/26
暑い中、トーハクで「縄文 1万年の美の鼓動」 をみてきました。縄文時代がどれくらい前なのか。始まった時期は諸説あるようですが、本展のパンフレットでは約1万3000年前としています。そこから約1万年続いたとされている時代です。縄文時代の出土品はいろんなところでみる機会がありますが、本展では優品を一挙に集めての展示で、滅多にみることのない名品が揃っています。
綺麗にされた出土品の数々がステージのような展示台に飾られています。見どころは土器と土偶でしょう。特に土偶はユニークな造形なものがたくさんあって、みていて飽きません。なぜ、こんなものつくったんだろう、と思います。
国宝、重要文化財が数多く並びますが、なかでも国宝の土偶6点が揃うというのが本展のアピールポイント。残念ながら、まだ「土偶 縄文のビーナス」と「土偶 仮面の女神」は7月31日からの展示です。混雑していなかったのはそのせいかな。
異次元の世界へいったような感覚にしてくれる縄文の美です。
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2018/06/30
昨日の記事で「関西方面でほかの用事をつくり」と書きましたが、その用事とは太陽の塔に行くことでした(これは用事か?)。万博記念公園にある太陽の塔は、3月から内部が公開されています。
70年万博当時は内部公開されていた太陽の塔ですが、万博終了後は公開されず、48年ぶりに整備、修復され、公開されました。万博は当中学生でしたが、滋賀の叔母さんのうちに泊めてもらい、連日(1週間くらいかな)通いました。当時は太陽の塔の内部が公開されていたなんて知らず、入っていません。
内部公開は完全予約制で、予約が取りづらい状況です。でも、任天堂の株主総会の日、珍しくも16時30分の回だけ予約可能で(30分単位での予約)、迷わず予約しました。
そんなに期待していなかったのですが、すごく面白かったです。刺激的です。内部の中央に高さ41メートルの「生命の樹」がそびえたっています。「樹の幹や枝には大小さまざまな292体の生物模型群が取り付けられ、アメーバーなどの原生生物からハ虫類、恐竜、そして人類に至るまでの生命の進化の過程をあらわしていました」(公式ホームページより)。
生命を感じる世界が繰り広げられています。これも岡本太郎ワールドなんでしょうか。わざわざ東京から見にいく価値がある不思議な空間でした。
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2018/06/24
三菱商事アート・アート・ゲート・プログラムの3ヶ月に一回行われるチャリティーオークションに参加してきました。今回の多くの参加者でオークション会場(三菱商事ビル)は賑わっていました。
前回のオークション(3月)で落札したアーティストの石黒涼子さんが今回も入選されていて、お目にかかるのも、目的でした。オークションが始まる前に、お話しすることができました。前回、落札したのは版画作品でしたが、今回は油彩での入選。表現方法が多彩なアーティストです。
仕事があったため、石黒さんのオークションを前に残念ながらオークション会場を後にしました。結果はどうだったかな、気になります。
出展カタログに載っていた一文。
Creativity Takes Courage.
アンリ・マティスの言葉です。「創造には勇気が要る」。
いつもながら、若いアーティストの作品に触れるのは楽しいチャリティーオークションです。
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2018/06/20
千葉まで行ってきました。以前、東日本大震災のチャリティーオークション で買わせていただいた陶芸作家の茂田真史さんの個展を拝見するためです。千葉そごうのアートスペースでの「CRYSTALLIZE- 茂田真史 陶芸展」 です。鉱物の結晶をモチーフしてつくられている作品は、どれも魅力的です。
さて、千葉に行ったのは久しぶり。千葉そごうに入ったのは、初めてかも。JRの千葉駅は駅ナカが充実していました。駅外にも、「ペリエ千葉」 というショッピングゾーンも新たに出来るらしい。
千葉は魅力的ですが、ちょっと遠かったです。
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2018/06/17
なんともストレートなタイトルの「ヌード」。横浜美術館で開催中の企画展を見てきました。3月からやっているのに、会期末も近づき、やっと行きました。
「ヌード」は大半が英国テートのコレクション。これに横浜美術館など国内の美術館所蔵の作品が10点ほど加えられ、展示が構成されています。
展示されている130点ものヌードの表現は、まさしく様々です。なんとなくヌードで思い浮かべるは、女性のヌードですが、男性ヌードもあることにも気付かされました。時代が変遷し、ヌードの表現も変わっていきます。面白いです。
そして、圧巻は本邦初公開のロダン「接吻」です。大きなヌードに見入ります。
ヌードという直截的なタイトルゆえ、来場者が多くないと噂に聞きましたが、そんなことはありませんでした。たくさんの人がヌードに見入っていました。オススメの企画展です。
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2018/05/26
先日、三菱商事アート・ゲート・プログラムのチャリティーオークションで購入した作品のアーティスト・浅野友理子さんが日経日本画大賞に入選されました。この入選作品が展示されている「日経日本画大賞展」を観てきました。日経日本画大賞は2002年に「東山魁夷記念 日経日本画大賞」として創設され、今回で第7回。
入選した全24点が展示されていますが、古典的な日本画はほとんどありません。日本画の定義は何なのか、と思ってしまいます。そんなことはさておき、入選した作品はどれも魅力的。独自の世界を構成している作品が揃っています。
浅野友理子さんの入選作品は「女将の薬酒」。作品を推薦した大原美術館の学芸課長・柳沢秀行さんの推薦文でこう書いています。
「推薦する『女将の薬酒』は、山形県大蔵村の肘折温泉で出会った、様々な果実酒や薬草茶を作る女性に取材したもの。野辺に咲くドクダミや漬けこまれた蛇、それに伸びるいくつもの手が、そうした営みを巧みに表している」
浅野さんの個性的な作品に魅せられました。おすすめの展覧会です。
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2018/05/23
せっかく「横山大観展」のチケットを買ったのに、ずっといけず、まもなく会期末(27日まで)のこの時期に観てきました。予想通り、平日なのに来場者でかなりの混雑です。当たり前ですよね。生誕150年記念の大回顧展ですから。会期中、かなりの展示替えがあるので、前期と後期、2回観るべきでした。
国立近代美術館の1階の特別展用の展示室だけでなく、2階の展示室まで使って展開されています。横山大観の作品をまとめてこれだけの点数観るのは、もちろん初めてす。壮観です。横山大観の多彩な作品に驚きます。特に後期に展示されている「夜桜」「紅葉」の艶やかに、繊細に描かれた線と色が織りなす世界には魅了されます。
横山大観のすごさを今更ながらに知り、感動した「横山大観」でした。
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2018/05/16
藝術学舎での講座「人はなぜヌードを描くのか、見たいのか。」の3回目は会田誠が登場。会田誠というアーティストをしかっりフォローしているわけではなく、時々企画展などで作品をみているほどの鑑賞者です。森美術館で開催された「会田誠展: 天才でごめんなさい」も見逃しています。
講座ではヌードにフォーカスして、自身の作品をスライド形式で紹介してくれる内容を目指していたようですが、話はあちこちに飛びます。画家・麻生三郎、ジャコメッティ、内山亜紀(ロリコン漫画家)など、脱線していきます(ご本人は脱線している気はないと思いますが。)。
会田誠の作品を(スライド上映ではありますが)年代順に拝見することができました。高校の美術部のときに描いた鉛筆画、水彩画もみせていただきました。モデルを描いた作品ですが、さすがに上手い。
作品の表現はほんとにユニークです。そして過激です。過去、作品が美術館から撤去要請をされたこともあります。代表作とされる「犬」シリーズなんて、なんとも過激な作品。
120分、作品について語り、質疑応答の時間はなかった一方的な講義でした。でも、会田誠というアーティスト(というより美術家といったほうがしっくりする)の魅力を堪能した時間でした。
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2018/04/30
東京ステーションギャラリーで『くまのもの 隈研吾とささやく物質、かたる物質』 を見てきました。建築の展覧会は、多くが模型と写真、資料などを中心とした内容。狭い展示室で建築を見せることには限界があります。本物の建築をみたほうが作品の真実がわかるということもあります。
『くまのもの 隈研吾とささやく物質、かたる物質』はもちろん、建築家・隈研吾の作品を見る内容ですが、物質を切り口に展開された展示です。
<隈が仕事を通じて対話を重ねてきた素材に着目し、建築設計やプロダクトデザインなどの蓄積を、時系列ではなく主要なマテリアル(竹、木、紙、石、土など)ごとに分類・整理することで、“もの” という観点から概観を試みます>(美術館ホームページから引用>
会場で配布されていた出展リストの面面にはマテリアルと技法で作品を整理した図が載っています。マテリアルは竹、木、紙、土、石、金属、ガラス、瓦、樹脂、膜・繊維の10分類。技法は積む、粒子化、包む、編む、支えあうの5つ。この図、会場にも掲示されていましたが、字が細かくて、解読するのは難しいですが、隈研吾の建築手法をおおまかに理解することには手助けになります。
建築中の新国立競技場、そして建築が決まっている新品川駅も隈研吾の設計です。
休日だったためが、広くない展示室には多くの来場者。若い人も目立ち、隈研吾の注目度が高いことがわかります。建築家・隈研吾の挑戦を見ることができる楽しい展示でした。
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2018/04/19
久しぶりに飯沢山種美術館に。いま開催しているのは「桜、さくら、SAKURA」です。もう東京では散ってしまいましたが、桜が描かれた絵画を展示る企画です。
美術館の学芸員なら誰でも思いつくだろう企画でしょうが、それを所蔵品だけでやってしまうところが、山種美術館のすごいところです。桜の展覧会は6年振り。
会場には、上村松園、松岡映丘、速水御舟、小林古径、東山魁夷、川合玉堂、千住博など名だたる画家の作品が並びます。心が洗われる作品ばかりです。
桜が咲いてるころに見に来ればよかったと、少し後悔した桜満開の展覧会でした。
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2018/03/29
今月の10日に参加した「三菱商事アート・ゲート。プログラム」のチャリティー・オークションで落札させていただいた作品があります。その作品を受け取ったので作家さんが先週発表された日経日本画大賞に入選されたいう連絡をいただきました。
日経日本画大賞という賞はきいたことがあったのですが、(失礼ながら)知りませんでした。正式には<東山魁夷記念日経日本画大賞>で、
「過去3年間に優れた作品を発表した55歳以下の日本画家を表彰する」(3月21日 日経新聞)
ということで、3年に一回あり、今回が第7回。
落札した作品は浅野友里子さんの「柘榴」です。折しもキッチンスペースに飾っていました。
いい意味での日本画らしからぬ作品です。今後の活躍が楽しみです。
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2018/03/11
「今年も行けそうにない」と一昨日書いた武蔵美に、時間を作って行ってきました。「ムサビ通信卒業制作展」が明後日まで開催中です。武蔵美の通信教育課程を卒業して10年経ちました。あの頃はまだ若かった(笑)。
通信教育課程には4学科9コースあります。油絵学科(油絵学科といいながら、日本画、版画コースがある不思議)、工芸工業デザイン学科(立体作品が楽しい)、デザイン情報学科(いまや花形? コンピュータとアートの融合)、そして私が専攻した芸術文化学科。
芸術文化学科というのは学芸員資格を取ったり、教員免許をとったるできる、理論派(?)の学問をやるところです。すごく地味。他の学科が作品が展示されているのに、卒業制作展では論文が展示されているだけで、すごく地味。まあ、仕方ないけど。
久しぶりにいった武蔵美。働きながら学んだあの頃を思い出しました。
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仕事のない土曜日だったので、久しぶりに「三菱商事アート・ゲート。プログラム」のチャリティー・オークションに参加してきました。会場に着いたのはオークション開始の15分ほど前でしたが、かなり賑わっていました。いつもより多い感じです。また、オークションが開始前に、進行役の柴山さんが「今日初めて参加した方」と尋ねると、半分ほどの人が手をあげていました。
このオークションには若手アーティスト(大学に在学中か卒業3年以内)の作品が出品されますが、作品を選ぶひとつの基準は「ダイバーシティ(多様性)」です。表現手法、地域、大学など様々なアーティストが選ばれています。美大ではない人もいます。今回は日本体育大出身のアーティストがいました。
アートの大きな可能性を感じたアート・ゲート・プログラムでした。
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2018/02/14
artscapeは大日本印刷がやっているアート情報の総合サイトですが、ここの主催する会があり、参加してきました。<飯沢耕太郎さんと観る『石内 都 肌理(きめ)と写真』展>というタイトル通り、写真評論家の飯沢耕太郎さんが案内してくれる横浜美術館で開催中の『石内 都 肌理(きめ)と写真』です。
横浜美術館が閉館後の18時30分からスタート。まずカフェで導入や、参加者の自己紹介をしたあと、常設展(コレクション展)で「「絶唱、横須賀ストーリー」で石内都のデビュー作品を鑑賞。その後企画展会場へ。4つのテーマごとに鑑賞した後、飯沢さんが解説をしてくれます。
閉館後ですから、この企画ツアーだけの貸し切るです。約1時間半ほどで鑑賞は終了。カフェに戻って、軽食を撮りながら、飯沢さんを交え、写真展について語り合いました。本展の担当をされた学芸員さんも参加され、話をしてくれました。
最後は抽選会があり、参加者全員に飯沢さんの著書がプレゼントされました。
この企画、artscapeが実際の展覧会場でレビューを行う読者イベント「artscape onsite」として行う初めての企画です。アートファンにとっては垂涎ものの企画だと思うのですが、定員60名に対し、参加者は20名足らずでした(スタッフのほうが多い感じ)。値段が高いためか(トータルで5500円かかります。通常の観覧料は1500円)、宣伝不足のためか。ちょっと寂しい感はありましたが、20名足らずで横浜美術館を貸し切るという贅沢な機会はもうないかもしれません。楽しい一夜でした。
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2018/01/10
二子の紀伊国屋書店で売れ行き順位で並べられているコーナーに『世界のビジネスエリートが身につける教養「西洋美術史」 』が7位に入っていて、ちょっと意外でした。著者がFMに出ていて知っていたのですが、売れているようです。アマゾンでもベストセラーになっています。
ビジネスとアートというのは関係が浅いように思われるのですが、状況は変化しているのか。週刊東洋経済の今週号では「AI時代を勝ち抜きための教養 ビジネスに効くアート超入門」という特集を組んでいます。
この特集では主に<対話型鑑賞>が企業活動でアートがどのように効果があるかを解説しています。記事の冒頭には、
「変化が激しく熾烈な競争社会で勝ち抜くための力を、どう身に付けるか。世界のエリートたちが注目するのがアートだ。
いま米国ではビジネスパーソンがこぞって美術館のギャラリートーク(作品を鑑賞しながら話をするイベント)に集まっている。英国のロイヤル・カレッジ・オブ・アートをはじめとした名門美術大学では、グローバル企業向けにアートを用いた研修が積極的に行われている」
とあります。ほんとかな。日本の現状はどうなんでしょう。
記事にはこんなことも。
「AI化の中で人間には新しい価値を生み出すためのスキルが求められており、人の感性に訴えるアートは絶好の教材なのだ」
AI化で人間は大変なわけです。
ビジネスとアートの新しい関係に発展するかもしれません。
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2018/01/06
村上春樹の『騎士団長殺し』は肖像画を描く画家が主人公です。ひとことで画家といってもいろいろな仕事内容があるものだと思ったものです。
今朝の新聞広告に肖像画を描くサービスのチラシが入ってきました。「そ・育てる」というところです。家族の写真をもとに画家が1枚の絵画を描き上げるサービスです。チラシにはサンプルの写真と6つの作例が載っています。チラシには記載されていませんが、ホームページを見ると、画家の個人名があります。このサービスは画家を育てることも目的にしています。絵画制作の料金はF10号で10万円、F15号で15万円と号1万円。ひどく高価ではないと思います。
肖像画というものに馴染みがない、とういう人が多いかと思いますが、成功して欲しいビジネスです。
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2017/12/16
やっと「表現への情熱 カンディンスキー、ルオーと色の冒険者たち」展(パナソニック汐留ミュージアム)を見てきました。カンディンスキーとルオーと繋がっていたことは知りませんでした。展覧会のホームページによれば、
<抽象絵画の創始者ヴァシリー・カンディンスキー(1866-1944)と、20 世紀フランス最大の宗教画家ジョルジュ・ルオー(1871-1958)。本展は、色とかたちを軸として、カンディンスキーを中心とするドイツ表現主義とルオーが共鳴するさまを探る初の試みです>
二人はほぼ同世代です。
<ルオーが重視したパリのサロン・ドートンヌにカンディンスキーが出品を続け、カンディンスキー率いるミュンヘン新芸術家協会の展覧会にルオーが出品するという時期がありました>
パナソニック汐留ミュージアムの所有するルオー作品とカンディンスキーを結びつけるちょっと強引な(笑)な企画ですが、カンディンスキー好きに嬉しい展覧会です。カンディンスキーとルオー作品に加え、パウル・クレーも展示されています。
カンディンスキー、クレー作品は大半が宮城県美術館からのコレクションですが、二人の作品はいつみても魅力的です。ルオーはルオー財団からの借用の個人所有作品もあります。見応えがある企画展でした。
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2017/12/03
「芸術新潮」が珍しい特集をしているので買ってしまいました。「これだけは見ておきたい2018年美術展ベスト25」という特集です。「日経おとなのOF」あたりでやりそうな企画で、「芸術新潮」としては珍しい大衆迎合な(笑)特集。
特集を読むと、来年も注目の展覧会があるようです。中でも10月に開催の「フェルメール展」にはフェルメール作品が8点も展示されます。混雑は必至ですね。
「芸術新潮」は魅力的な企画が多い雑誌ですが、価格が高い。通常は1440円。今号は特別価格で1550円です。毎号は買えません。
今号は高いですが<芸術手帳2018>が付録でついているので、まあお買い得かな。手帳には月ごとのダイアリーと全国の美術館・博物館リスト(今年の展覧会予定付き)が載っているので、使えます。
「芸術新潮」も柔らかい企画をする必要に迫られているのか。ちょっと気になります。
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2017/11/18
開催前から話題だった「運慶展」を今頃見てきました。興福寺中金堂が役00年ぶりに再建されるのを記念し、興福寺はじめ各地から運慶の名品が集められています。加えて運慶の父・康慶、実子・湛慶、康弁ら親子3代の作品も展示され、運慶ワールドが堪能できます。
現存する運慶の作品は30体ほどとされ、そのうち22体が本展に。よくこれだけのものをを集めたことに驚きます。展示されている作品のほとんどが国宝か重要文化財です。運搬した方の力もすごいと思います。
出展リストでは国宝は11点。通常では2ヶ月と長い会期では展示替えをするのですが、仏像なのでずっと展されている幸福な環境です。
国立博物館の展示スペースでみる運慶作品は、詳細な表現までみることができ、まさに圧巻です。薄暗い寺の中でみるのとは違った表情を感じます。
会期は26日まで。かなり混雑していますが、わざわざいく価値のある「運慶展」です。
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2017/10/09
やっと横浜トリエンナーレを見てきました。今回のテーマは「島と星座とガラパゴス」です。すぐに理解できないテーマですが、 <タイトルの[島][星座][ガラパゴス]は、接続や孤立、想像力や創造力、独自性や多様性などを表すキーワードです>(ホームページより) とされています。そして、 <「接続」と「孤立」をテーマに、相反する価値観が複雑に絡み合う世界の状況について考えます> とも示されています。「接続」というのはいろいろに理解できる概念です。 ともあれ、テーマは気にせず展示を楽しんできました。前回から横浜美術館をメイン会場にしましたが、今回も展示の核は横浜美術館です。加えて赤煉瓦倉庫、横浜市開港記念会館地下に展開されています。 前回の横浜美術館の展示では美術館のコレクションと出展アーティストの作品を融合させてみせていましたが、今回はコレクション作品の展示は少なく、参加アーティストの作品が展示室で有機的に構成されています。これが見ていて楽しく、その場にいるのが楽しい空間でした。真面目にキュレーションしたという印象です。 「BankART Life V」、「黄金町バザール2017」のセット券を買ったのに、時間がなく見られませんでした。会期中(もう時間はないんですが)、再訪したいと思ってます。
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2017/10/02
イッセー尾形が指人形劇がスペシャルコンテンツとして公開されている「ボストン美術館の至宝展」 を見てきました。ボストン美術館のコレクションによる企画展は過去にも何回もやってますが、今回は特別らしいです。
「幅広い内容を総合的にご覧いただく展覧会は、日本では約40年ぶりとなります」(公式ホームページより)
とかで、80点の作品が展示されていますが、数としてはそんなに多くはありません。
古代エジプト美術、中国美術、日本美術、フランス絵画、アメリカ絵画、版画・写真、現代美術とジャンル、時代が幅広いためか、アート世界を俯瞰するような展示です。
ゴッホのルーラン夫妻の肖像画と英一蝶(はなぶさいっちょう)の「涅槃図」がいちばんの見所。特に本展での公開のため、約170年ぶりに本格的な解体修理が行われた「涅槃図」は見応えがあります。
展示作品は素晴らしいですが、それに加えてスペシャルコンテンツがいくつもあります。イッセー尾形の指人形劇もコンテンツの一つですが、それ以外にもWEB漫画、スマホアプリを使った遊びなどいろいろ用意されてます。予算が豊富みたいです。
古今東西の名画、名作品を観賞したい人にはおすすめです。
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2017/09/23
近くの大黒屋でチケットを見つけて、会期が今週末までと気付き、見てきました。「荒木経惟 センチメンタルな旅 1971-2017-」(東京都写真美術館)は、荒木の私写真であることを感じる企画展です。
<本展は、その膨大な作品群から、妻、「陽子」というテーマに焦点をあてた展覧会です。荒木 自らが「陽子によって写真家になった」と語るように、1960年代の出会いから1990年代のそ の死に至るまで、陽子はもっとも重要な被写体であり、死後もなお荒木の写真に多大なる 影響を与え続けてきました>(写真美術館ホームページより)
とあるように、妻陽子をテーマにしています。
14のパートで構成されていますが、これまでに発表された「東京は、秋」「陽子のメモワール」「冬の旅」などの作品に加えて、今年撮られた「写狂老人A日記」まで、荒木の撮影記録を、陽子という存在を通して私写真を見せてくれます。
タイトルには<1971-2017->と<ー>がついてます。これからも荒木の活動は続きます。
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2017/09/02
荒木経惟の「写狂老人A」が今週末で終わるのに気付き、慌てて見てきました。新作を含んだ多彩な荒木の写真世界が展開する企画です。
会場に入ると、さまざまな年代の人妻たちを捉えた「大光画」が展開されます。荒木らしいモノクロのヌード作品。このゾーンを抜けると、それぞれ100枚の写真で展開される「空百景」「花百景」のゾーン。ヌードから一転して静かなモノクロの世界が広がります。
「写狂老人A日記 2017.7.7」はすべて2017.7.7に日付が設定された荒木の日記写真。荒木ワールドが展開。
特に興味を惹かれたのは「八百屋のおじさん」です。電通勤務時代に銀座で行商する青果商を昼休みに捉えた作品で、制作から半世紀振りに初公開とか。人間の香りがする素敵な作品です。
荒木経惟の今と、原点が楽しめる贅沢な写真展だと思います。
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2017/05/25
この春のアート展は草間彌生展かバベルの塔展でしょうか。その「バベルの塔展」を見てきました。ブリューゲルの有名な「バベルの塔」が24年ぶりに来日というのが話題です。オランダのボイマンス美術館所蔵の「バベルの塔」を目玉にして16世紀ネーデルラントの絵画を堪能できる展覧会。
バベルの塔展とタイトルされてますが、バベルの塔はもちろん一点です。そこまでは16世紀ネーデルラントの秀逸な作品をみることになります。当たり前ですが、このあたりの絵画に興味がないと、足を運ぶ価値はありません。
作品を見ていて、驚くのは保存状態のよさです。というか、修復されているのか。最近描かれた絵画のように綺麗です。
肝心のバベルの塔は、思っていたより小さな作品。鑑賞者が少なくないので、近くでじっくり細部をみることはできませんでした。その代わり、CGで再現した映像が上映されています。
混雑してると警戒して(?)いったのですが、そんなことはなく、ストレスなくみることができました。会期が進むのつれ混むと思われるのでお早めに。
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2017/04/14
現在、いちばんの注目アート展と言っていい「草間彌生 わが永遠の魂」 をやっと見てきました。草間彌生の網羅的に見ることができる展覧会といっていい内容です。
水玉をモティーフにした作品が印象的な草間作品ですが、それはほんの一部に過ぎません。今回の展示では初期作品から現在まで、様々な形式を使いながら表現し続けてきた草間彌生の作品を見ることができます。
暗く、深遠な世界が広がる初期作品。常識を覆すような攻撃的作品が並ぶニューヨーク時代の作品。シュルレアリスムと表現していいのか、入り組んだ線描で表現される70年代の作品。現在の華やかで明るい草間作品とは直截には結びつかない作品がとても刺激的です。
会場では写真を撮れるゾーンもあります。そこは「草間彌生ワールド」という趣です。
会場は平日にもかかわらず多くの来場者がいました。外国人の姿も目立ちます。また、グッズ販売は長い行列です。早めにいかれることをおすすめします。
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2017/04/09
週刊ダイヤモンドがちょっと前の号(4月1日号)で「美術とおカネ 全解剖」という特集を組んでいて、バックナンバーを購入しました。経済誌がアートを特集するのはちょっと珍しい。「アートの裏側全部みせます」とサブタイトルがつけられ、なかなか興味深い記事が並びます。
「アートビジネス解剖」「日本企業と美」といった経済誌ならでは記事に加え、美術史をおさらいする「歴史から観賞術まで」や「わかる現代アート」といったアート初心者向けの記事もあります。
記事ではストライプインターナショナルの石川康晴、マネックス証券の松本大、スマイルズの遠山正道、スタートトゥデイの前澤友作といったアート好きの企業経営者にインタビューしています。ポイントは押さえられています。特に、前澤友作は62億円でバスキアを購入しているんですね。この顛末が面白い。
ビジネスマンが気軽にアートを楽しむ環境ができればいいのですが、現状ではなかなか難しい。日本のアートが少しわかる特集だと思います。
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2017/03/27
友人と飲むと、日経新聞の「私の履歴書」が話題になることがあります。ビジネスマンはこの連載が好きみたいです。美術蒐集家のジョー・プライスさんが今月の履歴書ですが、どんな感想を持たれているのでしょう。
美術ファンには馴染みのあるジョー・プライス。伊藤若冲を早い時期から評価し、コレクションしていることで知られています。でも、美術に関心のない人にとっては(このほうがメジャー層)ほとんど知られていない人でしょう。
美術好きとしては興味深く読んでいますが、プライスさんはお金持ちということがよく分かりました。例えば1964年の東京オリンピック観戦に来日するくだり。
「わがプライス家では五輪観戦が家庭内行事として定着しており、52年ヘルシンキ、56年メルボルン、60年ローマと欠かさず開催地を訪ねるのが恒例になっていた」
とか。
また奥様が日本の大学で学んでいる時期のこと。
「私はアメリカン航空が顧客向けに売り出した乗り放題の終身パスを買い、2週間に一度、東京に通う生活だった」
終身パスの値段、いくらなんだろう。
プライスさんは50歳で家業から引退し、収集に専念します。羨ましい。
美術蒐集家というのはお金持ち、という事実を再認識した「私の履歴書」です。
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2017/03/24
「マティスとルオー展」 (パナソニック汐留ギャラリー)をみてきました。パナソニック汐留ギャラリーは松下電工が所蔵しているルオー作品を公開する目的で開館したミュージアムですから、ルオーが基本。そもそもルオーとマティスはフランスの国立美術学校で共に学んだ仲。これが本展が企画された理由です。恥ずかしながら知りませんでした。
「マティスとルオー展」はこのルオーコレクションをベースにした企画だと思っていたのですが、コレクションだけでなくジョルジュ・ルオー財団からも出品されるなど充実した内容になっています。
またマティス作品も国内のミュージアムから作品が集められています。有名な「ジャズ」シリーズはうらわ美術館と宇都宮美術館から出品され、見応えがあります。
広いとは言えない展示スペースに2大画家の作品が並べられた贅沢な展覧会。もっと広いスペースでやってもいいと思いました。
26日で終了ですが、おすすめです。
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2017/03/20
「アートリンクとちぎ」というアート企画があります。宇都宮にある栃木県立美術館の所蔵品を県内のミュージアムに貸出し、そこで企画展を展開するというものです。
一昨日、栃木に出かけたとき、そのアートリンクとちぎの企画展を2つ見てきました。ひとつは「線とかたちの大冒険」 (とちぎ蔵の街美術館)、もうひとつは「こどもと見たい川上澄生の世界」 (小山市立車屋美術館)です。栃木市、小山市の美術館が栃木県立美術館のコレクションからテーマを設定して、企画展を行っています。
県立美術館の所蔵品はたまに常設展にでますが、大半の時期はほとんどが所蔵されたままでしょう。これは栃木県に限らず、どこの県立美術館でも同様です。いわば死蔵されたコレクションを県内の公立ミュージアムに貸し出すというのは、なかなかいいアイディだと思われます。
ただ、どれほど集客できるかは別問題。とちぎ蔵の街美術館では、土曜日の昼間にかかわらず、私の貸し切り(他にお客さんがいない)でした。見応えのある作品が展示されていたのでちょっと残念。
美術館の活用という点では大いに評価できる「アートリンクとちぎ」。これからも継続して欲しいです。
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2017/03/14
アートを買う、という行為はハードルが低くないです。アートを買うにはオークションやギャラリーにいく必要があります(ネットオークションで買う人もいますが)。ギャラリーにいって買うということに尻込みしてしまう人も少なくないです。
ホテルでアートを買う、ということが広がっているとか。昨日の日経新聞には「アートフェア、ホテルが舞台 」なる記事がありました。曰く、
「ホテルのワンフロアを借り切って開くアートフェア(見本市)が、各地で広がりを見せている。客室に飾られたアート作品は、美術館やギャラリーの展示とはまた違った魅力を放つ」
と、新たな動きが起きていると報じます。
その例として、
「東京・汐留のパークホテル東京で2月10日から3日間、26~27階の客室をアート作品が占拠した。『アート・イン・パークホテル東京2017』国内外の約40のギャラリーが集結したアートフェア」
を取り上げています。このアートフェア「3日間で約1900人が来場」しました。
東京だけでなく、名古屋、大阪、札幌、神戸のホテルでもアートフェアが行われていると記事にはあります。
ホテルのでのアートフェアは以前もありました。もう10年前ですが、こんな記事を書いています。
ホテルでのアートフェア
ホテルでのアートフェアが根付くのか。期待してます。
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2017/03/09
ブラウザーを開いたときに表示されるホームページをartscapeにしてますが、ここにバナー広告で知ったのがDNP Art Mall なるサイト。今月オープンしたサイトですが、大日本印刷が運営する複製絵画の販売サイトです。
DNP Art Mallのホームページによれば、
「美術館、博物館から正規ライセンスを取得した商品をご提供いたします」
とあります。
サイトにはダヴィンチ、ラファエロからルノワール、マティスなど有名アーティスト作品が並びますが、まだ総数は161点と多くはありません。
ここの売りは、高精細印刷技術のプリモアートです。大日本印刷が開発した技術らしいですが、10色インクをで印刷。オフセット印刷は普通は4色インクですから、その倍。どれほど綺麗なんでしょう。
印刷屋さんが複製絵画を販売する。本業ですが、儲かる成算があってのことでしょうが、どうなることでしょう。
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2017/02/05
先日、小池知事が「トーキョーワンダーサイト」のあり方を変える考えを明らかにしました。「トーキョーワンダーサイト」は
「東京から新しい芸術文化を創造・発信するアートセンターです」(ホームページより)
とされ、「TWS本郷」、「TWS渋谷」、「TWSレジデンス」の3カ所で運営されています。本郷、渋谷は展示スペース、レジデンスはアーティスト・イン・レジデンススペースです。
小池知事は「トーキョーワンダーサイト」の名称を変更し、渋谷のスペースは「アール・ブリュット」に特化した施設に転換するとしています。
「トーキョーワンダーサイト」は石原慎太郎が都知事のときに進めた事業で、石原氏の4男延啓氏が関わっていたことが問題視されたこともある事業。
「トーキョーワンダーサイト」のスペースは渋谷には何回か行きましたが、本郷は場所がよくないこともあり1回行ったきりです。改めてホームページを見ましたが、定期的に若手アーティストの展示が開催されていることを知りました。ほとんど存在を忘れていました。
若手アーティスト発掘という永遠のテーマに東京都がどう取り組むのか。今後の展開が注目されています。
http://www.tokyo-ws.org/index.html
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2016/12/23
宇都宮で餃子を食べたあと、栃木県立美術館へ(何が目的?)。いま、「旅するイギリス美術」展が開催されています。イギリス美術を旅という視点から展示する企画です。
「旅は私たちに新鮮な驚きや豊かな喜びを与えてくれます。文化や習慣を異にする人々に出会うことによって、新しい発想が生まれ、美しい友情に恵まれることもあります。
」(美術館ホームページより引用)
展示は「グランド・ツアー」(19世紀のイギリスで盛んに行われたツアー」「イタリアへの憧れ」「絵になる風景を求めて」「鉄道の登場」などの小テーマで、イギリスと旅という大きなテーマが分類、展開されています。
展示されているのは、ほとんどが栃木県立美術館のコレクション。その半分以上が、J.M.W.ターナー、ジョン・コンスタブルなどの版画作品です。イギリスの版画作品をこれほど多く、栃木県立美術館が所有していることは初めて知りました。
版画作品としては質の高いものが並びますが、なにせ版画です。ちょっと地味かな(すみません)。でも、今年の6月にみた「ヒュー・スコット=ダグラス展」みたいのがらがらではありませんでした。平日なのに、鑑賞者はほどほどいました。
現代美術から近代のイギリス版画まで幅広くカバーする栃木県立美術館はなかなか興味深いミュージアムです。
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2016/12/11
なかなか見にいく時間がないのが美術展。どうして時間がないのか、と嘆きます。それでもコンビニで「日経おとなのOFF」の今月号が<2017年 絶対に見逃せない美術展>という特集をしてたので、ついつい買ってしまいました。
この特集、本誌で作品中心の記事で展開。例えば、表紙にもなっていますがフリューゲル「バベルの塔」が4月にやってきます(「バベルの塔」展@東美)。この「バベルの塔」を詳しく解説。まだ現物の絵がみられないのに、解説されても、現実感はありませんが。
「2017年 美術展ハンドブック」なる付録もついていて、開催予定の美術展が一覧できる便利なもの。ぱらぱらとめくってみると、たくさんありますね、美術展。見たいと思っていても、見に行けない、終わってたなんてことがよくあります。これだけの数の美術展があれば、仕方のないことかな。
買うだけで終わってしまいそうな「日経おとなのOFF」です。ちなみに今月号は、名画カレンダー、若冲クリアファイルも付録についていて、お買い得です。
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2016/11/26
この秋、人気の展覧会「ゴッホとゴーギャン展」を見てきました。日本では人気のある画家、ゴッホとゴーギャンを組み合わせるという企画ですが、二人の画家に焦点をあてた展覧会は日本初とか。
有楽町のチケットショップで買っておいたのですが、なかなかいく機会がなく、やっといってきました。人気の画家の展覧会ということで、あまり期待していなかったのですが、思いのほか良かったです。
ファン・ゴッホ美術館からかなりの数の作品が出展されています。これに加えてグレン・ミューラー美術館を始め、国内外のミュージアムから作品が集められています。また、ゴッホ、ゴーギャンの作品だけでなく、ミレー、コロー、ピサロ、モネなど二人と同時代の画家の作品も展示されています。
展示されているのは60余点ですが、会場で作品をみていると、もっと点数が多いように感じました。
会場は混雑していましたが、それでも見る価値のある展覧会でした。
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2016/11/24
美術大学の授業の一環で根津美術館に行ってきました。現在「円山応挙」展が開催中です。この展示は円山応挙が写生に焦点をあて、作品空間を構成しています。
「写生」にもとづく新しい画風によって、日本の絵画史に革命を起こした画家です。(根津美術館ホームページより)
円山応挙の作品をまとめて見るのは初めてかもしれません。写生というテーマを頭に置きながら、細かに描かれた作品を見ていると奥深い応挙の世界に入っていくことができます。
国宝の「雪松図屏風」、重要文化財の「藤花図屏風」はまさに名作。これに加え「写生図巻」(重要文化財)は写生から作品をつくった応挙の世界が堪能できる作品で、精密に描かれた猫に感動しました。
日曜美術館の特集で紹介されたせいか、平日にもかかわらず多くの鑑賞者がいました。この時期、庭園は紅葉で美しいし、根津美術館を訪れるには絶好の時期です。おすすめ。
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2016/11/16
昨日、セタビの美術大学でコレクション展(常設展)を見学しました。セタビは今年開館30周年です。これにちなんでコレクション展では「ぜんぶ1986年―世田谷美術館の開館とともに」と題して、この年に制作された作品を展示しています。
18986年はバブル景気が始まったとされる年。時代に活気がありました。大きなパワーを感じる作品がいくつもあります。そのひとつ、横尾忠則の3作品(「さまよえる記憶」「五大元素」「青い沈黙」)は迫力満点です。横尾は開館時の企画として、公開制作を行いました。8点を制作し、セタビに寄贈されたのが展示されている3作品。やはり横尾さんは凄い。
大竹伸朗の「漁船窓Ⅰ」は漁師からもらった廃材で作った作品。大竹ワールドに引き込まれます。また、路上観察学会の一連の写真作品もあります。赤瀬川現平、藤森照信、林丈二などのセピア写真は面白い独特の世界を展開しています。
常設展ながら見応えのある展示だと思います。おすすめ。
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2016/11/10
「大仙厓展」を見てきました。出光美術館の開館50周年記念で<東西の3大コレクションが一挙終結>した企画展です。三大コレクションとは、出光美術館、福岡市美術館、九州大学文学部の3つ。出光美術館では仙厓作品は何回か見ていますが、それ以外のコレクションを見るのは初めて。三大コレクションが集うのは30年ぶりとのことで、めったにないチャンスです。
まとめて仙厓をみるのもいいですね。人物を柔らかく、ふくよかな線で描く独自の表現方法。いまの時代でも新鮮な印象ですが、描かれた当時はどのような評価を得たのでしょう。禅の心を描いた仙厓の作品はなんともコミカルです。禅の教えはよくわかりませんが(笑)、アニメ作品をみるようで楽しいです。
会場では出光美術館には珍しく若い人も観賞していました。世代を超えて楽しめる「大仙厓展」は今週末までです。
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2016/10/26
先日、日経新聞での講演会「白隠禅師に学ぶ」 を拝聴しましたが、これは東京国立博物館で開催中の特別展「禅-心をかたちに-」のプレイベントでした。
本番の展示を拝見してきました。この特別展では臨済宗・黄檗宗15派本山などから240件の名品が出展されえるもので、展会期の前後期で展示替えをしながら国宝22件、重要文化財102件が展示される充実した内容です。国宝は長期間展示ができないためか、会期は約40日で、前後期で半分近くの作品を入れ替えられます。通常は見ることのできないだろう名品がかなりの点数展示されています。
臨済宗はおろか、禅とは何はかも理解していない私が、膨大な名品を見るのは、かなりハードルが高いです。幸いどの作品にも細かな解説が付けられ、それを読みながら作品をなんとか理解しようしながら拝見しました。点数も多いので、見終えるのに1時間半近くかかりました。作品の重さを少しだけ感じることができたかな。
名品揃いなので、混雑を予想していましたが、金曜の夕方にいったら、列も無くちょっと拍子抜け。ともあれ、私にとってはなんとももったいない「禅-心をかたちに-」でした。
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2016/10/24
美術大学にまだ通ってます。世田谷美術館の美術大学です。5月に始まって、7月中旬までが前期。一月半ほど夏休みがあり、9月から後期が始まりました。大学みたいです。大学ではないですが。
講義と実技が半々で進行しています。この実技が大変です。ひどく不器用なので、クラス(3つのクラスに分かれてます)でも劣等生です。
実技はデッサン、色鉛筆画が前期にあり、後期は木彫がありました。木彫は字の通り、木を彫る彫刻。これが難関でした。先週終わったのですが、まだ未完成でした。まわりには完成作を仕上げた人も多いのに……。
後、1ヶ月半ほどあります。まだまだ試練は続きます。
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2016/10/23
BRUTUSが現代アートの特集を組んでいるので買ってみましvた。若者ターゲットの雑誌で現代アートを特集するのは珍しいかも。美術館の特集をやる雑誌は多いですが。
「現代アートと暮らしたい」と題された特集で、注目は前澤友作さんのコレクション公開です。自宅のリビングまで入り、飾られている現代アートを紹介しています。
コレクション凄いです。ロイ・リキテンシュタイン、アンディ・ウォーホル、河原温、ゲルハルト・リヒターなど著名なアーティスト作品を所有しています。これは初公開かな。驚きます。前澤友作さんはスタートトゥデイの創業者ですが、現代芸術振興財団も設立し、現代アートの支援をしています。特集記事には他のコレクターも紹介されていますが、前澤友作コレクションだけで充分という感じ。
羨ましいコレクションを堪能するBRUTUSの現代アート特集です。
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2016/10/22
「杉本博司ロスト・ヒューマン」展では奥深い世界が広がります。先月、リニューアルオープンした写真美術館のリニューアル・オープン/総合開館20周年記念として開催されている企画展は、写真美術館とは思えない展示です。
インスタレーション<今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない>と写真表現<廃墟劇場>、<仏の海>の3部構成で展開される杉本博司の作品は人類と文明の終焉がテーマです。
特に3階のフロアーで展開される<今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない>は 杉本自身の作品や蒐集した古美術、化石、書籍、歴史的資料等が展示スペースに置かれ、そこに杉本と様々な著名人の自筆のよる「今日 世界は死んだ もしかすると昨日かもしれない」から始まる35の文章が添えられています。
写真美術館ですが、インスタレーション展示をしてしまう冒険ですが、秀逸な展示だと思います。
時間があれば、もう一度見に行きたい展示です。
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2016/10/10
このところ世田谷美術館へは週2回行っているのですが、昨日は久しぶりに企画展をみてきました。「志村ふくみ ―母衣(ぼろ)への回帰―」です。染色家・志村ふくみの多様な作品を見ることができる展覧会。
この企画展は今年の2月、京都国立近代美術館で(京都マラソンでいったので)拝見しています。沖縄県立博物館・美術館での巡回を経て、世田谷美術館で開催されています。世田美担当された学芸員さんのお話しでは、基本の企画は京都近美で行ったものですが、世田美独自の展示を試みています。また展示に合わせて志村さんが制作された新作の展示もあります。
草木からの自然染料で染められた糸を使って織り上げる作品は、ひとつの言葉では表現できない色と文様が表現されています。
もっとも魅了されたのは「光の徑」と題されたインスタレーション。絹糸で細かな色の変化を表現した繊細な作品に圧倒されます。
染色作品は具象ですが、志村ふくみの作品を見ていると抽象世界が大きく広がり、どんどん惹きつけられます。
再訪したい魅力ある志村ふくみの世界です。
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2016/10/06
私にとってはかなりハードルの高い講演会でした。日経新聞で「白隠禅師に学ぶ」を拝聴してきました。今月18日からトーハクではじまる特別展「禅ー心をかたちに-」が日経新聞主催。この関連企画で、有料の講演会です。展覧会のチケット付きにしても安くはない講演会ですが、多くの人が集まっていました。場所柄、ビジネスマン風の方もいて、みなさん熱心に聞き入っていました。
講師は臨済宗円覚寺派管長の横田南嶺老師。臨済宗中興の祖とされる白隠は多くの書画を制作し、禅画の先駆者として評価されています。講演では白隠の書画をテーマに、白隠の教えを話してくれました。
わかりやすく話していただいたのすが、なにせ古文が難しい。お話しの半分も理解できていません。
「禅ー心をかたちに-」は40日足らずの短い会期ですが、前後期で大規模な展示替えがあります。大混雑が予想されます。早めに見みいったほうが良さそうです。
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2016/10/02
今年の3月、横浜美術館に見にいった「村上隆のスーパーフラット・コレクション」の図録(カタログ)が一昨日とどきました。展覧会の図録は通常、会場のショップで購入できますが、「村上隆のスーパーフラット・コレクション」では会期中に製作が間に合わず、予約注文になっていました。
最近は図録をほとんど買わないのですが、このカタログは会場内限定価格で3,456円。これが会期終了後に注文すると予価7,000円となる。この宣伝文句につられて購入してしまいました。
注文時には6月発送予定だったのですが、遅れに遅れて9月下旬にやっと届きました。横浜美術館の逢坂館長のお詫びの文書が同封されています。到着したカタログをみると定価10,800円になっています。予価7,000円から大幅な値上げです。226ページ、重さ4.4キロというボリュームなので高価になるのは分かりますが、10,800円はちょっと高いかな。
図録なのにISBNのナンバーもあり、市販もされるようです。アマゾンでは既に予約が始まっています。
商売の魂胆も見えるカタログを、これからじっくり楽しませていただきます。
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2016/09/22
ルーヴルという単語が冠されているが、ルーヴル美術館のコレクションがない展覧会があります。森アーツセンターギャラリーで開催されている「ルーヴル No.9」 は漫画でルーヴル美術館を表現した作品が展示されている企画。
ルーヴル美術館は「漫画」でルーヴル美術館を表現するという「ルーヴル美術館BDプロジェクト」を立ち上げました。
BDとは「バンド・デシネ」の略でフランス、ベルギーなどのフランス語圏の漫画文化のこと。フランスにおいてBD(=漫画)は「第9の芸術」と位置づけられ、本展のタイトルはこの第9番目の芸術から取られています。フランスにおける芸術の序列(第1から8までは順に「建築」「彫刻」「絵画」「音楽」「文学(詩)」「演劇」「映画」「メディア芸術」とされる(本展公式ホームページより)。
「ルーヴル美術館BDプロジェクト」に日本の漫画家4名が加わり、書き下ろし作品を提供し、展示を構成しています。総勢16名の漫画家が描くルーヴル美術館がこの「ルーヴル No.9」というわけです。漫画とルーヴルの組み合わせはなんとも面白い展開で、刺激的ではあります。
チケットをいただいたので事前下調べもせず行ってみたら、漫画の展示でちょっと驚きましたが、BDと日本の漫画の表現の違いを比べながらみると、なかなか面白いです。漫画ファンにはおすすめです。
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2016/09/13
ちょっと前のことですが、神奈川県立美術館の葉山館までいってきました。たまには少しドライブと、出掛けたわけです。企画展がいちばんの目的ではない不純なミュージアム訪問(笑)。
開催中の企画展は「クエイ兄弟 ファントム・ミュージアム」です。まったくの予備知識も無く、拝見するという失礼かつ無謀な行為でしたが、展示は刺激的でした。
クエイ兄弟はアメリカ・ペンシルヴァニア州ノーリスタウンに生まれた一卵性双生児で、映像作家。恥ずかしながら、これまで存じ上げませんでした。クエイ兄弟については全く知識がないので、引用させてもらいます。
「コラージュ、コマ撮り、実写、特殊効果を組みあわせ、アニメーション、ドキュメンタリー、ミュージック・ヴィデオ、バレエ映画、長編映画、コマーシャルなどさまざまな映像作品を、常に不可分な<クエイ兄弟>として創ってきました」(神奈川県立美術館葉山館公式ホームページより)
とその表現形式は多様なクリエイターです。
展示をみて感じたのは、かなり挑戦的な企画だということです。しっかり企画された展示で、新たなことに出会えた素晴らしい内容でした。ただ、どこまで広くアートファンに訴えられるのか。ここがポイントかもしれません。
異なる世界に出会えた素敵な展示でした。
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2016/08/14
気がつけばもうすぐ会期末の「アルバレス・ブラボ写真展」 (世田谷美術館)にいってきました。この美術館での写真展は珍しいかな、と過去の企画展をみると、年1回くらいは写真展を開催しています。多くは日本の写真家の企画展でした。
今回はメキシコの写真家であるマヌエル・アルバレス・ブラボ。恥ずかしながらこの写真家のことは初めて知りました。メキシコの巨匠と呼ばれる大写真家の回顧展です。
世田谷美術館の企画展示室をすべてつかっての写真展は、かばりのボリューム。ブラボの生涯は長く(1902-2002)、作品も膨大でしょう。カラーフィルム、デジタルの時代にも生きていたのですが、展示されている作品はすべてモノクロです。
展覧会のチラシには「一貫して独自の静けさと詩情をたたえた」とあります。確かに静けさは感じますが、同時に乾いた時間を感じる作品が多い。人物作品も、独特の視点で人間の姿を捉え、いいようがない空気感があります。
久々に重さを感じた写真展でした。
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2016/07/28
東京都美術館で開催されている「ポンピドゥー・センター傑作展」は、わかりやすい展覧会です。フランスのポンピドゥー・センター所蔵作品を1906年から1977年まで、制作年で1年ごとに1作家、1作品を展示するストレートな展示(ただ、1945年は作品展示がありません)。作品は絵画がもっとも多いですが、写真、彫刻、デザインなどもあります。展示方法は一見単純ですが、ピカソ、マティス、ビュフェ、フジタといった巨匠や(私が)知らないアーティストの作品が並び、見ていて飽きません。作品の制作年での展示は面白いな、と感心しました。
作品は質が高く、表現も多様です。チラシに使われているピカソ、マティス、シャガールの作品は華やかでさすがという感じですが、ヴァシリー・カンディンスキーの「30」(1937年)は30のマスに白と黒で描かれた模様が描かれた幾何学的作品で、印象に残ります。トートバッグになっていたので、買ってしまいました(笑)。
20世紀、フランスに結集したアートとアーティストを一気に楽しめる「ポンピドゥー・センター傑作展」。近現代アートを堪能しました。
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2016/07/10
今年の3月に訪れた横浜美術館の「村上隆のスーパーフラット・コレクション」展で図録(カタログ)を申し込みました。通常図録は展覧会のショップで購入できるのですが、スーパーフラット・コレクション展では後日お届けということでした。現物をみないで購入したのは、図録のボリュームにひかれたからです。
重さ約2500g(予定)、約450ページ(予定)の膨大な図録です。これが3,456円(税込)。安くはないですが、会期後は7,000円前後になる予定とのことで衝動買いしました。村上隆の資料としても価値がありそうです。
当初は6月に完成し、送られてくる予定でしたが、遅れています。美術館のホームページには6月5日に
「ご予約の皆様には2016年6月のお届けとご案内しておりましたが、このたび、発行元の都合により、発行日が延期となることなりました。納期の目途が立ち次第、改めてこちらでご案内申し上げます」
と案内がでています。
昨日、横浜美術館からお詫びの葉書が来ました。ここには
「納期が確定次第、改めて当館ウェブサイトにてご案内しますが、発行元からは『9月中にはお届けできる』との情報を得ています」
と書いてあります。
美術館主催の展覧会の図録なのに、「情報を得ています」とはいったい何なのでしょう。他人事か?
ちょっと困った横浜美術館の対応です。
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2016/06/22
上野の東京藝術大学美術館で「いま、被災地から -岩手・宮城・福島の美術と震災復興ー」が開催されています。会期が今週末までで、やっと見てきました。
2011年の東日本大震災で被害を受けた多くの美術館、博物館の作品の救出、修復、復元などの事業が行われてきました。まだ事業は継続中ですが、震災から5年経過し、この経過を伝える企画展です。
本展では第一部として岩手・宮城・福島の近現代作家の作品が展示されます。萬鐵五郎、関根正二、松本竣介、佐藤忠良、舟越保武など著名な作家から、広く知れ渡ってはいないながら個性的な作品を創っている作家まで70点の作品が展示されています。
第二部では大震災で被災した陸前高田市立博物館、石巻文化センターなどの被災状況、救出活動などが写真で紹介され、更に修復された作品の一部が展示されています。ここまで修復するには並大抵の作業ではなかったと思います。修復の作業に携わった方の仕事にただただ感謝するのみです。
東日本大震災と美術を改めて考えました。とても価値ある企画展です。
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2016/06/11
巷を賑わす桝添知事の公私混同問題。都議会での追及をどう桝添知事がかわすか。都民ながら面白いイベントです。
都議会にはしっかりと知事に説明させて欲しいと思いますが、野次馬としては桝添くんが購入した美術品は気になります。釈明の記者会見での説明は、
「購入した美術品は、公私の区別を明確にするため、美術館への寄付、都の病院や福祉施設で活用してもらう意向を示した」(朝日新聞デジタル)
と一見、よさげな対応にも思えます。
この辺りはマスコミは突っ込んで報道していません。
そもそも桝添くんが購入した美術品はどのようなものか。
「ネットオークションなどを利用して購入した絵画や版画、書は全部で150点以上」(東スポWEB)
と熱心に購入しています。購入理由は本人の弁によれば
「海外の方との交流で版画や浮世絵をツールとして活用している」(ハフィントンポスト)
とのこと。
ヤフオクで買った美術品の価値はどれくらいなのか。美術館に寄付といっても、価値のないものは受け入れないはず。真贋も確かでないかもしれないし、そもそも美術館は倉庫ではありません。そもそもなんで美術が専門でない桝添くんの評価で購入したものが、美術館に置かれるのか。
また「都の病院や福祉施設で活用」と安易にいってますが、病院、福祉施設に設置するアートはしっかりと選択しなければいけないことは自明のこと。
美術好きなのに、美術がわかっていない不思議な桝添くんです。美術もお金が目的なんでしょうね、きっと。
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2016/06/09
国立新美術館のルノワール展にいってきました。今年前半の展覧会では、「若冲展」と並んで話題のアートイベントです。過去、ルノワール展は何回も開催されています。2010年には「ルノワール 伝統と革新」が同じ国立新美術館でありました。この企画展も魅力的な作品が列んでいました。
今回の「ルノワール点」はオルセー美術館、オランジェリー美術館のコレクションからの作品で構成されています。展示の目玉は初来日の「「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」です
この作品はいいです。華やかで楽しげな舞踏会がいききと描かれた傑作。
ルノワールの作品が10の章に分け、構成されています。またルノワール作品に加えて、関連のあるコロー、ゴッホ、などのアーティストの作品も展示されています。全体で100点を超える作品で、見応えがあります。
素敵なルノワール作品に出会える展覧会です。
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2016/06/06
栃木県立美術館で現代アートの「ヒュー・スコット=ダグラス展」 をみてきました。ヒュー・ダグラス=スコットは1988年イギリス生まれの若手現代アーティスト。今年横浜美術館で開催された村上隆のスーパーフラット・コレクションに出展されていました。村上隆が認めるアーティストというわけです。
スーパーフラット・コレクションはみましたが、ヒュー・スコット=ダグラスの作品は記憶にありません(苦笑)。コレクションがあまりに膨大なためか、丹念に一点一点みなかったためかも。本展は村上隆のKaikai KIkiが特別協力しています。
栃木県立美術館で若手現代アーティストの個展を開催するのは、珍しいのではないかと思います。企画展示室すべてを使った展示は、3つの作品群がら構成されています。
35ミリスライドプロジェクターで投影する「アクティブ・サープラス」、ダンネージバッグを素材につかった「無題」の立体作品、そして「ボケ」と題された平面プリント作品。
なかなか面白いですが、刺激はあまり感じませんでした。広い展示室に3パターンだけの作品展開は、いささか間延びした印象です。
日曜の昼頃に訪れたのですが、展示室にはほとんど鑑賞者がいませんでした。かなりチャレンジングな企画かもしれません。現代美術を企画することの難しさを感じた展覧会でした。
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2016/05/29
訳あって先月世田谷美術館の友の会に入ったので、世田谷美術館の展示をどれも無料で見られることになってます。そこで、久しぶりに宮本三郎記念美術館にいってきました(ここは世田美の分館)。
今回の展示は「宮本三郎の青春」で、若い時の宮本作品に絞って展示が構成されています。宮本は石川県小松市出身。17歳で上京、安井曾太郎に個人指導を受け、22歳で二科展に初入選します。
若い頃に描いた女性像、裸婦、風景画など色彩豊かな作品が並びます。指導を受けた安井曾太郎の影響が見られます。
展示の中で興味深いのは従軍画家として描いた作品です。藤田嗣治の戦争画は東京国立近代美術館で見ましたが、宮本三郎の作品は初めて見ました。緻密に描かれ、重たい作品です。
女性の華やかさと戦争の暗さ。対比が印象的な宮本三郎の展示でした。
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2016/03/30
会期が今週末と迫り、仕事をさぼって(笑)横浜美術館の「村上隆のスーパーフラット・コレクション」を見てきました。森美術館の「五百羅漢図展」には圧倒されましたが、本展は村上隆のコレクションを展示する面白い企画です。
村上隆は5000点以上の作品をコレクションしています。
「特に、近年、独自の眼と美意識で国内外の様々な美術品を積極的に蒐集し続けており、その知られざるコレクションは、現代美術を中心に日本をはじめとするアジアの骨董やヨーロッパのアンティーク、現代陶芸や民俗資料にまで及んでいます」(展覧会ホームページから引用)
とコレクションは広範なジャンルに渡ります。
会場に展示された作品をみていると、なには不思議な気持ちになります。作品を作ったアーティスト、作家と向き合っているのに、同時に村上隆とも対峙している感覚が生まれます。展示空間は単なる個人コレクターの展覧会とは違っています。
ともあれ、多種多様な作品に圧倒されます。特に現代美術のコレクションでは村上隆より若い1970年代、80年代生まれのアーティストの作品多い。ほとんどが初めて見るアーティストです。
アーティスト村上隆のコレクションをみせてくれるとても刺激的な展覧会です。
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2016/03/06
昨日は珍しく休日ながら予約が入りませんでした。ここ3ヶ月、土日はお客様があったので、久々のこと。こっそり臨時休業にして、三菱商事アート・ゲート・プログラムのチャリティオークションに参加してきました。
このオークションは3月、6月、9月、12月に年4回行われますが、仕事のため昨年の3月以来、1年ぶりの参加です。前回も感じたのですが、オークションの落札価格は落ち着いてきた感があります。
出品されるのは学生現役学生か卒業3年以内の若手アーティストの作品です。今回も質のいい作品が揃っていました。しかし、落札価格の最高額は20万円を超えることはありません。高い価格で落札する方がアーティストにとってはいいことですが、適正価格はあります。
一昨年の6月に参加したとき は30万円をこえる落札価格もありました。このときは明らかにバブルだったのでしょう。景気が悪くなったのか、アートバブルが終わったのか。いろんなことを考えさせてくれるチャリティー・オークションです。
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2016/02/26
行きたいと思いながら、気がつけばもうすぐ会期末の「村上隆の五百羅漢図展」に行ってきました。平日ですが、チケットを買うのに30分待ちです。列に並んで、会場に入ると、そんな混雑ではありません。ゆっくり鑑賞できます。
国内では2001年以来14年ぶりの個展というとですが、来場者は老若男女、あらゆる世代の人がいます。現代美術の展覧会ではちょっと珍しい。
会場では展示されている作品のパワーに圧倒されます。中でも全長100メートルをこえる「五百羅漢図」は圧巻です。
NHKの日曜美術館で紹介されていましたが、この作品は村上隆独自の工房方式で制作されました。日本中の美術大学から集めた200人以上のスタッフによって、これだけの大作を1年かからずに完成させました。会場には制作過程の資料も展示され、村上の厳しい言葉が書かれた指示書もあります。
「五百羅漢図」だけでなく、立体作品など新作も刺激的です。これだけ力を感じる作品を作り続けるアーティスト村上隆はやはり凄いと思いました。おすすめです。
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2016/02/12
もう会期もあと僅かですが、東京都現代美術館で「東京アートミーティングⅥ "TOKYO"-見えない都市を見せる」を見てきました。本展の情報をミュージアムのホームページから引用すると、
"TOKYO"展は、80年代の東京の文化の命脈--熱いマグマを引き継ぎながら、氷河を割って現れようとしている現在の東京の創造力を見せる展覧会です。アートだけでなく、音楽、映像、デザインなど幅広いメディアを通して、現在の可能性を「見えるように」していきます。
とあります。何故、80年代なのか。東京が最初にグローバルに注目されたのは1980年代だからだといいます。キュレーションの意図は難解な点もありますが、実際にみると刺激を感じる展示が多く、面白い内容でした。
内外のアーティストによる作品で構成されていますが、ホンマタカシ、蜷川実花、そしてYMO+宮沢章夫の展示に惹かれました。特に蜷川実花の「自己演出の舞台装置」は刺激的。蜷川は東京を「自己演出の舞台装置」として考え、「竹の子族」「マハラジャ」「ジュリアナ東京」「ゴスロリ」そしてインスタグラムというセルフプロデュース文化を捉えています。加えて蜷川のプロデュースした撮影ブースが作られ、誰でも「見られる側」になれるという演出もあります。
やはり80年代に戻るのか。そんなことを感じる展示でした。
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2015/12/17
先週、原美術館でのNIKKEIアートプロジェクト に行きました。この時のテーマはドイツ銀行の現代アートコレクション。昨日は同じくNIKKEIアートプロジェクトで「ドイツ銀行コレクションを覗いてみよう」に参加してきました。
溜池山王にあるドイツ銀行社内に飾られているアートを見せていただき、更に東京画廊の山本豊津さん(近著を記事で紹介させていただきました )の講演を聴けるというアートファンにとっては堪らない企画です。
夕刻、ドイツ銀行に入り、まず会議室に飾られているアート作品を鑑賞します。解説は山本豊津さんという贅沢なツアーです。8つの会議室とロビーにあるアートは、それぞれキュレーションがされ、テーマをもって飾られています。国内外の著名なアーティスト作品が並びます。草間彌生、田中一光、赤瀬川源平、菅木志雄、大竹伸朗、宮島達夫(コラージュです)、川俣正(平面作品です)、ゲルハルト・リヒターなど凄いコレクション。
会議室だけでなく、トイレにいったときの廊下にも作品がありました。ちょっとしたアートギャラリー、いやいや小さなミュージアムかもしれません。こんなアート環境でマネーについて仕事をしているドイツ銀行の人たちが羨ましい。
なんとも貴重な体験でした。
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2015/12/12
日経新聞が「NIKKEIアートプロジェクト」 というのをやっています。電子版のコンテンツで「現代アートの楽しみ方を提案するとともに、同時代のアーティストを側面支援します」という活動。このNIKKEIアートプロジェクトのイベント「企業と美術作家とで創る新たな未来」に参加してきました。
原美術館で開催中の『そこにある、時間-ドイツ銀行コレクションの現代写真』 展。イベントはこの展覧会を自由に鑑賞後、「企業と美術作家とが出会うことでどのような未来が開けるのか」をテーマにトークセッションが行われる内容。トークセッションは現代美術家のやなぎ みわ、ドイツ銀行グループ 広報部長のアストン・ブリッジマン、原美術館 副館長の安田 篤生のお三方により企業による現代美術支援について展開されました。
ドイツ銀行は1979年からアートコレクションを始め、現在約60,000点を所有しています。この作品の90%以上をオフィス、ミュージアムなどに展示しています。
本展で作品を展示しているやなぎみわは1996年にドイツでのグループ展に参加した以後何回かドイツで個展をしており、ドイツ銀行はやなぎの作品をコレションしています。
トークセッションからドイツ銀行は日本企業とはアート作品コレクションへの姿勢と哲学が違うことがわかりました。根本にあるのはアートに対する国民性の違いかもしれません。
トークセッションは定員60名とこじんまりした規模だったのですが、参加者は40名ほど。「NIKKEIアートプロジェクト」の宣伝不足なのしょうか。もったいないです。日本企業の現代アート支援は、まだまだこれからのようです。
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2015/12/11
首都圏の大きな美術館で開催される企画展には現代アートをテーマにするのは少ないのが現状です。現役で活躍するアーティストの作品をみようとしたら、ギャラリー、画廊をいくのがひとつの方法。ギャラリー、画廊のオーナーは現代アートに触れる最前線にいます。
『アートは資本主義の行方を予言する』 を読みました。作者は1984年に開設された東京画廊の2代目である山本豊津。東京画廊は日本で最初の現代美術の画廊です。作者は東京画廊の創設者である父山本孝の子供として小さい頃から日常生活の中でアート、アーティストに触れながら育ちます。そのくだりを読むと、アートファンとしてはなんとも羨ましい。
本書の『アートは資本主義の行方を予言する』はいささか大仰なタイトルではあります。しかし作者が長年のアートとの関わりから世界の経済との関係を体験的に論じた文章は説得力があります。
アートと資本主義、それは相容れないときもしばしばあります。アートに資本主義の論理を持ち込むことを認めない人もいるでしょう。その一方でアートを投資として捉えている人も少なくありません。アートにお金をどのように結びつけるのか。永遠の大きなテーマを考える大きなヒントとなる1冊だと思います。
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2015/10/22
昨年の3月、銀座の三越で行われた「KISS THE HEART チャリティー・オークション」 で落札した作品があります。茂田真史 さんという若い陶芸家で、落札させていただいた後、展示のご案内をいただき、都合がつくときは拝見していました。
今月、初の個展「茂田真史 陶芸展 —Eternal matter—」 をされるという案内をいただき、うかがいました。会場はなんと三越日本橋本店のアートギャラリー。三越の本館6階にあるオープンスペースです。いろんな意味で凄いと感じました。
直線が鋭く感じられる作品は型を使った鋳込みの技法で制作されています。私が拝見した作品は白磁の造形作品が多かったのすが、この展示では新たな方向性を示した作品もあります。
新鮮な感覚で造られた作品はまさしく若さを感じます。これからの活躍が楽しみです。
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2015/10/14
うちの壁にかけているModern Art 2015 Wall Calendarの10月の作品はピカソoの「Repose」。
キャプションを見ないでもピカソかな、と思える作品です。いつの作品かとキャプションを読むと1908年。ピカソがキュビズムの原点とされる「アヴィニョンの娘たち」を1907年に描いた翌年です。
いまでは歴史的傑作とされる「アヴィニョンの娘たち」は当時、かなりの不評を買ったといいます。「Repose」は「アヴィニョンの娘たち」みたいに刺激的ではありません。キュビズム度はかなり薄い穏やかな作品です。ピカソにもキュビズム表現に踏み込むことに迷いがあったのでしょうか。
是非とも、オリジナルを見たくなるピカソ作品です。
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2015/08/28
わざわざ宇都宮にパウル・クレーをみにいったので、それだけで帰るのはもったいないと、これまでいったことのない栃木県立美術館に寄りました。美術館の開館は1972年で、県立美術館の中でも歴史があります。
いま、「画楽60年 渡辺豊重展」 が開催されています。1931年生まれの渡辺はいまも元気に創作活動を続けています。まとまった作品を拝見するのは初めてです。
若い頃から最近の創作まで順を追って作品が展示されていますが、その60年の歴史の中で渡辺豊重の表現形式は大きき変遷しています。20代に描かれた「工場」は色と形が織りなす表現がキュビズム的。50代の988年に書かれた「もくもく」は赤くまるまるした可愛い物体を描いた抽象表現。2000年の「オレンジ色の楽園を見た」も明るい色が使われた楽しい作品。見ていて素直に楽しい作品が続きます。
しかし近年、渡辺の作風が変わっています。「動制」と題された一連の作品は、黒の物体がキャンバス地を跳ね回っているような作品。迫力を重さが迫ってきます。早池峰神楽をみて2014年描かれた最新作「時空を超えて」は、巨大な作品。80歳を超えた画家が描いたとは思えないエネルギーに溢れています。
常に変化し続けながら、新たな作品を生み出してきた渡辺豊重。そのパワーに驚きました。いいものを見せていただきました。
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2015/08/26
久しぶりに宇都宮美術館まで出かけてきました。開催中の「パウル・クレー だれにもないしょ」 をみるためです。NHK「日曜美術館」で特集され、行きたいとは思っていたのですが宇都宮はちょっと遠い。会期終了まで10日余り、休みを作って(しごとをしてないので、毎日休みなのですが)、お盆に行けなかった女房の実家に寄るという理由をつくり、クルマで行ってきました。
パウル・クレーは、
<秘密」を愛した画家でした。>(宇都宮美術館サイトより)
とされます。
「だれにも ないしょ」とユニークなタイトルが付けられた本展は、クレーの「秘密」
に正面から向き合おうとする企画です。
作品研究から、いくつかの作品を集めるとパズルのピースのようにつながったり、作品の下塗りの層や裏側にもうひとつ別のイメージが組み込まれていたりするなど、クレーの仕掛けた暗号が明らかになってきました。
本展ではこの「仕掛け」の先にあるもの、描かれた世界そのものの謎に分け入ることを目指して、6つのテーマでクレーの思考と感性に分け入ります。
展示されている作品は、
「ベルンのパウル・クレー・センターおよび遺族コレクションの全面的な協力を得て、日本初公開31点、日本国内の優品も加えた110点あまりを紹介」(ウエブサイトより)
と充実した内容です。2011年に「パウル・クレー展 -おわらないアトリエ」が国立近代美術館などで開催された以来の大規模なクレー展です。
展示されているのはどれもパウル・クレーの世界に引き込まれる作品ですが、その中でも興味深い作品がありました。妻と息子を描いた「婦人の肖像」と「おりたたみ椅子の子どもⅠ」はあまり見る機会がない具象画です。展示作品の中で気に入ったのは「快晴」。チケットに使われている作品ですが、可愛く、シンプルで素敵です。
充実した「パウル・クレー だれにもないしょ」ですが、宇都宮美術館の他には兵庫県立美術館だけにしか巡回しません。ちょっと残念です。会期は9月6日まで。パウル・クレー好きでなくてもおすすめです。
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2015/08/04
家のカレンダーModern Art Wall Calendarを8月にめくったら、心惹かれる作品がありました。キャプションにはAndré Derain作のBridge over the Riou(1906)とあります。Andre Derainって? 私の古びた記憶装置にはメモリーされていません。Modern Art Wall Calendarはニューヨーク近代美術館(MOMA)のコレクションからセレクションされた作品で構成されているものでですから、この作品は当然MOMAの所蔵 です。
ネットで調べてみると、Andre Derain=アンドレ・ドランは、フォーヴィスム(野獣派)に分類される20世紀のフランスの画家です。フォービズムといえば、アンリ・マティス、モーリス・ド・ヴラマンクが思い浮かびますが、何故かアンドレ・ドランは覚えていません。
アラン・ドランの作品を見たことはあるのか。記憶にないのですが。国内のいくつかのミュージアムでも所蔵しています。しかしドランの作風は変遷していて、ポーラ美術館所蔵の「静物」 はおとなしい静物画。野獣派の画家とは思えません。
いろいろ検索してみると、国立西洋美術館の常設展示に「果物」という作品があることを発見。西洋美術館の常設は何回もみているのに、記憶にありません。今度、みにいってみよう。
アラン・ドランという画家を巡り、些細なお話でした(笑)。
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2015/06/29
昨日が最終日で駆け込みでいってきた「高橋コレクション展 ミラー・ニューロン」 (@東京オペラシティ アートギャラリー)は現代アートが詰め込まれていました。精神科医でコレクターとして著名な高橋龍太郎氏のコレクションを展示するアート展です。
高橋コレクションをまとめて拝見するのは初めてですが、東京オペラシティギャラリーの展示室に並んだ作品に圧倒されました。広い空間に展示されているのは約140点の現代アート。個人コレクションだけでミュージアムの展示室を埋めるとはすごい。
草間彌生、奈良美智、村上隆、森村泰昌、会田誠、名和昇平といった現代アート作家だけでなく、荒木経惟、森山大道、横尾忠則といった大御所アーティストまで幅広いジャンルの作品が展示されています。いったい高橋氏はどれくらいの作品をもっているのでしょう。公式サイトによれば所蔵作品は2000点以上とのこと。保管スペースだけでも大変でしょう。特に現代アートの立体作品も少なくないので、膨大なスペースが必要です。
現代アートを堪能した素敵なアート展でした。
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2015/04/16
予想を上回る片岡珠子の作品の迫力に圧倒されました。東京国立近代美術館で開催されている「片岡珠子展」には刺激的な作品が並びます。片岡珠子の作品は何点か見ているはずですが、強烈な印象を持ったことはありませんでした。しかし、まとまった作品をみると、それはひどく刺激的です。
20代の作品、たとえば《炬燵》では細い線で繊細に女性を描き、卓抜した描写力を感じさせてくれる端正な作品です。しかし、40代後半からでしょうか作品が大胆に変わります。大胆な形と色で使って人物、風景を描きます。《海(小田原海岸)》や《山(富士山)》を見ると、珠子にとっては風景がこのように見えていたのか。それとも自身の中で形と色が変形したのか、と思ってしまいます。
人物の表現も形が独特です。たとえば男の子と女の子を描いた《飼育》は日本画という表現で描かれたとは思えない不思議な印象の作品です。
また66年からライフワークとして描いた「面構」(つらがまえ)の一連作品はちょっとコミカルで刺激があります。イラストレーター片岡珠子作品とでも言えばいいのでしょうか。見ていて楽しくなる作品ばかりです。
更に、78歳から取り組んだ裸婦も大胆な表現作品です。たとえば《ポーズ2》は裸婦の肌が緑に塗られています。珠子には緑に見えていたのか。再び、そんな思いが頭をよぎります。
既成概念にとらわれない片岡珠子の作品。久々に楽しめた展覧会。おすすめです。
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2015/04/05
桜が散り始めた桜新町に長谷川町子美術館にいきました。我が家からはバスで20分ほどと近いところにあるのですが、年1回桜の季節くらいしか訪れません。この時期は毎年収蔵コレクション展「春爛漫」が開催されます。春、桜にちなんだ作品が展示されています。
広いミュージアムではないので展示できる作品も限られていますが、その中にシャガールの作品がありました。長谷川町子美術館のコレクションと言えば、日本画家作品と思い込んでいたのでちょっと意外です。それもリトグラフではなく、油彩作品です。いつ、いくらで購入したのか、興味がわきます。
長谷川町子美術館の所蔵作品はどれくらいあるのか。ネットで調べる限り、情報はほとんどありません。海外の画家はシャガールの他、ルノワールも持っているようですが、全貌は不明。
展示されている作品には2000年代に制作されたものあります。長谷川町子の亡くなったあとにも作品が購入されています。長谷川町子美術館は財団により運営されているので、ここが購入しているのか。これも詳細はわかりません。
長谷川町子美術館、謎なところが多いミュージアムです。
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2015/03/29
最近は思いがけない場所にギャラリーを見つけます。駅から離れたところにあったりします。昨日、我が家から歩いて数分のところにギャラリーを見つけました。住宅街にある一軒家がギャラリー「guild」です。
facebookでのお友達がアップした情報で知りました。この建物の前はたまに通るのですが、ギャラリーとは知りませんでした。
今週、彫刻家・松田光司さんの個展が開催されています。昨日、拝見してきました。具象彫刻家の松田さんは多くの素晴らしい作品を作られています。一昨年秋には箱根駅伝90周年のモニュメント を制作されています(個展は今日までです)。
住宅街の中にひっそりと佇むguildですが、個性のある企画を行っています。今後の展開に期待したいと思います。
guild
松田光司さんブログ
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2015/03/08
昨日、三菱商事アート・ゲート・プログラムのチャリティー・オークションに参加してきました。このオークションは年三回開催されていますが、この前参加したのは昨年の6月なので久しぶりにいってきました。前回、昨年6月のオークション では高値での落札が続き、景気の良さがアートマーケットにも影響している感がありました。
今回も高値でオークションが展開するかと思っていましたが、落札価格は下がっていました。正常な価格に戻った感じです。昨年6月のオークションでは30万円超えもあったのですが、今回は20万円を超える落札もありませんでした。
出品された作品の質が低かったわけではないと思います。正直、もっと高くてもいいな、と思わせる作品が何点もありました。アート作品の評価は価格だけではありません。自分が納得できる金額で買えばいいのです。主催者の話だと今回のオークションでは3分の1が初めての参加者だといいます。会場はほぼ満席でした。
このチャリティー・オークションと景気の関連性は薄いでしょうが、今回の落札価格はプチバブル気分の時期が終わったのかもしれません。
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2015/02/05
東京都現代美術館で「ガブリエル・オロスコ展」を見た後、同時開催されている菅木志雄の個展「菅木志雄 置かれた潜在性」を鑑賞しました。菅木志雄の作品は岩手県立美術館で見ましたが、なぜか強く印象に残っていませんでした。おそらく展示室に飾られたこぢんまりとした作品をみたせいでしょう(改めてネットで調べると、岩手県立美術館の屋外に菅木志雄の作品がありました)。
しかし、本展では現代美術館地下2階の展示室を使って、雄大な作品が展示され、極めて刺激的です。菅木志雄は「もの派」の代表的な作家です。もの派とは?
<1960年代末から70年代初頭にかけて現われた、「具体」と並ぶ戦後の日本美術史の重要動向。主に木や石などの自然素材、紙や鉄材などニュートラルな素材をほぼ未加工のまま提示することで主体と客体の分け隔てから自由に「もの」との関係を探ろうと試みた一連の作家を指す>(ウエブサイトartscape 「Artwords 」より引用)
広い展示空間に木、石、金属などを使った大きなインスタレーション作品を展開しています。まさに「もの派」の表現形式です。素朴でシンプルな素材が菅木志雄の力で新たな空間を創り出している。作品を前にそんなことを感じました。
菅木志雄は
ものは、つねに<現在>である。
ものの現在性は、意識しなければ見えないものである。
と言っています。ちょっと難しい。
ものの現在性は見えなくても、菅木志雄の空間を感じればいいのでは……。素人鑑賞者は素直に菅木志雄の世界を楽しんで満足してきました。
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2015/02/03
衝動的に現代アートが見たくなり、東京都現代美術館に週末出かけてきました。今は、3つの企画展が並行して行われていますが、その中で「ガブリエル・オロスコ展を」を鑑賞。ガブリエル・オロスコというアーティストのことはほとんど知りませんが、なにか面白そうなので、会場に。
ガブリエル・オロスコはメキシコ生まれのアーティスト。展覧会のチラシによれば「現代美術を代表するアーティストの一人」で、日本で初めての美術館での個展です。
現代アートの表現形式は多様ですが、ガブリエル・オロスコの表現は写真、本物の自動車を素材にした作品、和紙による造形、写真をコラージュにした作品、そしてピンポン台作品とまさしく多彩な表現で創作しています。
展示されたさまざまな造形を見て、表現された作品は複雑なものではなく、ストレートに完成していると感じました。ガブリエル・オロスコの伝えたいもをうまく受け取っていないかもしれませんが、シンプルに楽しめる空間でした。
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2015/02/01
久しぶりに損保ジャパン美術館へ(ちなみに会社の合併で正式には損保ジャパン日本興亜美術館と改名されています)。5人の女性アーティストによる「クインテットⅡ-五つ星の作家たち」をみてきました。
富岡直子、平体文枝、岩尾恵都子、水村綾子、山本晶の5人のアーティストはいずれも1960年代後半の生まれ。ミュージアムのサイトにある紹介によれば、「将来有望な5人の作家たち」とあります(60年代後半の生まれですから40代。中堅と言っていいアーティストが、まだ将来有望といわれる美術界です)。
本展のテーマは風景。5人のアーティストがそれぞれテーマを表現しています。具象か抽象かという分け方をすれば、5人の表現は抽象表現で描かれた作品がといえます。表現方法で5人が選ばれたのか。表現方法は違いますが、会場で作品をみていると、同じ感覚になります。五重奏(クインテット)ということでしょうか。企画の意図は成功しているようです。
現代アートの可能性に触れる素敵な企画展です。今月15日までです。
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2015/01/29
美術館の所蔵品で公開されるのはほんの一部、一時期です。大半は所蔵庫に保管されたままです。これを活用できないかとかねてから考えていました。この解決法として東京の板橋区の興味ある活動が昨日の日経新聞東京版に掲載されていました。
記事によれば、板橋区と板橋区産業振興公社が行う「江戸絵画コレクション商用利用サポート事業」で「区内企業向けに板橋区立美術館の所蔵作品の商業利用を支援」するもの。
具体的には
「区立美術館が所蔵する江戸絵画167点。公社は印刷・製本、観光事業者や食品関連など幅広い企業にデザインやマーケティングの専門家を無料で派遣する。商品パッケージや切手など画像データの活用方法をアドバイスする」
というものです。
美術館の所蔵品をコンテンツと捉え、ビジネスに活用することが有効と考えていました。この主旨で学会の論文を書いたこともあります。
板橋区の事業は、区内企業向けでアドバイスも無料と、板橋の企業にはいいことばかりです。しかし区内に限定しないで、有料での提供することができないか。提供する作品も江戸絵画に限定しないで、所蔵品を広く開放できないか。財政面で苦境にある美術館にとって収入が得られることは悪いことでないはず。そんなアイディアを考えています。規制がありできないのかもしれませんが。
まずは、板橋区の事業がいい結果を出せることを期待しています。
「江戸絵画コレクション商用利用サポート事業」(エドコレ)
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2014/12/09
首都圏のミュージアムでは印象派、エコールドパリをテーマした企画展がしばしば開催されます。例えばオルセー美術館展とかは定期的にやっている感じ。印象派の絵画はわかりやすいので集客しやすいのでしょう。
Bunkamuraのザ・ミュージアムで開催されている「夢見るフランス絵画」 をみてきました。しかし展覧会のタイトルとしては漠然としています。何を夢見るのか? なんて突っ込みたくなります。
本展の図録の表紙には「The Dream of French Paintings」と英語で書かれています。この展覧会に展示されているのは日本の個人コレクションの作品で構成されています。
ザ・ミュージアムの展示室を埋めるほどのコレクションを持っているコレクターは誰なのか。ものすごい資産価値です。ご本人はそこには興味がないかもしれませんか。
確かに展示されている作品は個人コレクションらしい偏りがありますが、素晴らしい作品が揃っています。保存状態のよく、最近描かれた作品のようです。
展示された作品にはちょっと変わった作風のものがあります。例えばチラシのメインになっているルノアールの「宝石をつけたガブリエル」は、はだけた胸がちょっといやらしい感じ(そう感じるのは私だけかも)。こんなルノアールはあまりみません。藤田嗣治の「人魚」も面白いモチーフです。
印象派、エコールドパリの展覧会で思わぬ刺激を受けました。おすすめです。
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2014/11/19
東京で美術館巡りと言えば先ず思い浮かぶのが上野。それでは丸の内は? アートのイメージは薄い感じですが、実はなかなかの穴場らしい。
一昨日、<三菱商事アート・ゲート・プログラム>関連イベントのアートトークセミナー「丸の内でアートを楽しむには」を拝聴してきました。お話しになったのは三菱一号館美術館学芸員の野口 玲一氏。興味深い話を聞くことができました。
内容は三菱一号館美術館だけの活動にとどまらず、丸の内オフィス街で主に三菱地所が展開している街とアートを有機的に結びつける活動に及びました。
まず、丸の内仲通りにアートを設置する「丸の内ストリートギャラリー 」。すでに9点の作品が置かれ、草間彌生の作品もあるなんて知りませんでした。
また障害を持つ子供のアート活動を支援する「キラキラっとアートコンクール 」、美術系大学の卒業制作から優秀作品を選ぶ「アートアワードトーキョー丸の内 」も初めて知った活動です。
そして三菱一号館美術館。このミュージアムは開館前に見る機会があり、それ以来何回か訪れていますが、建物と展示作品が一体となった独自の魅力を持っています。野口氏のお話しで特に驚いたのは、この美術館は三菱の直営だということです。企業美術館の多くは(大半?)は財団が運営するという形態です。三菱地所の直営という点に、この企業の覚悟を感じます。
丸の内のアート、その魅力と活動パワーは高いです。これからの発展も期待できそうです。
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2014/11/16
久し振りに浅草へ出かけてきました。目的は浅草ライヲン百貨店です。浅草の百貨店といえば、松屋が思い浮かびますが、浅草ライヲン百貨店はイベントスペースです。大学院の同級生で陶芸家のまつもとこういちさんがこの浅草ライヲン百貨店でのイベントに出展するということで、いってきたわけです。
80年前の1934年に作られた建物をイベントスペースとして活用し、11月15、16日の2日だけ浅草ライヲン百貨店としてオープンしています。元々銀行として使われていた建物は3階建て。そこにアンティーク、ヴィンテージ古着、アートクラフトなどのショップが出店。またカフェもあります。
浅草雷門を背にして駒形橋へ向かう道沿い。並木藪そばの隣という絶好の場所。こんなところに築80年の建物が残っていたなんて、ちょっと驚きです。
まつもとさんが展示しているのは白を基調とした食器とアクセサリー。優しいラインが魅力的です。
今日の17時までです。興味のあるかたはぜひどうぞ。
浅草ライヲン百貨店
まつもとこういちさん
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2014/11/13
今年のヨコハマトリエンナーレ。今月3日で終わりましたが、入場者などその結果が気になっていました。チケットをいただいたので、10月中旬の土曜日に出かけたのですが、期待に反してあまり面白い内容ではありませんでした。面白い、面白くないは個人的な感想ですが、会期終了まで2週間ほどの会期末の週末ながら、来場者が少ないのが気になりました。
昨日の朝日新聞夕刊に「アートの祭り 成熟と課題と」という記事がありました。近年増えつつあるトリエンナーレ、芸術祭といった地域のアートイベントですが、そろそろ曲がり角にきているようです。トリエンナーレとしては古株のヨコハマトリエンナーレですが、今年の入場者数は前回並みの30万人に対し約21万人。やはり、という感じです。
各地で地域のアートイベントが行われています。記事によれば、昨年から来年にかけて始まる芸術祭は5つ。このうち千葉県市原市の里山で今年始まった「中房総国際芸術祭」の来場者数は目標の20万人に対し、約8万7千人とのこと。
なぜ地域の芸術祭が増えるのか。狙いは現代アートを通じた文化振興や地域活性化。
「運営の中心はたいてい自治体。数億円規模の予算だが、美術館などのハコモノより安価で、失敗しても撤退しやすい」
とハコモノからイベントへということでしょうか。
ともあれ、芸術祭を目的にすることだけはやめて欲しいです。
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2014/08/26
東京都現代美術館で開催中の<ミッション「宇宙×芸術>のチケットを頂いたので、久し振りに木場まで出かけてきました。これまで夏休みの現代美術館はジブリ関連の企画展が多かったように記憶しているのですが、今年の末はこの<ミッション「宇宙×芸術>と同時に<ワンダフル ワールド>展を開催し、ジブリからは離れた企画になっています。
夏休みにあわせた企画なので、<ミッション「宇宙×芸術>は親子にターゲットにした内容かと思い込んで会場に入りました。しかし、展示は子どもはもとより、大人でも充分に楽しいものです。むしろ、大人のほうが感動できるアートとも言える。そんな充実した内容です。
会場は若いカップルが目立ち、単なる夏休み企画を超えた現代アートの世界です。写真撮影を許可された作品あるので、写真では素晴らしさは伝わらないことを承知で、紹介します。
黒と白で構成された名和昇平の作品。
チームラボによる「憑依する滝、人工衛星の重力」
宇宙の広がりをアートで感じるオススメの企画展です。今月31日までなので、興味のあるかたはお急ぎください。
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2014/06/15
最近はすっかり恒例になっている三菱商事アート・ゲート・プログラム のチャリティオークションへの参加。昨日開催された23回オークションにいってきました。
公募で選ばれた作品がオークションにかけられます。公募の条件は大学、大学院、専門学校在籍および卒業3年未満のアーティスト。このオークションの魅力は出品しているアーティスト本人が作品について説明をする場を与えられているところです。アーティスト本人と作品をみて、オークションに参加する愉しみがあります。
オークションは年3回行われていますが、昨年後半あたりから参加者が増えている感じです。昨日のオークションでは30万円台(確か35万円)まで値が上がった作品がありました。素敵な作品でしたが、これまでのチャリティオークションではなかった高値です。
過去、数点このオークションで落札しましたが、自身の最高値は(確か)4万円。昨日のオークションではそんな安い金額での落札はありませんでした。チャリティオークションの落札額だけでみると、明らかに景気がよくなっている気配です。給料も上がったのでアートを買おう、なんて人が増えているのでしょうか。
アートオークションにもアベノミクス効果が現れているのなら、アートファンにとっては喜ばしいことです。景気の良さが持続することを祈ります。
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2014/06/09
山種美術館で開催中の「クールな男とおしゃれな女」 をみてきました。おしゃれな女はわかりますが、クールな男とは? 展覧会のチラシには英語で「Chic Gentlemen」、「Elegant Ladies」とあります。これをみると少しは企画の意図がわかるような気がします。
美術館のウエブサイトによれば、
「『クール・ジャパン』が一つの流行語にもなりつつある昨今、流行がめまぐるしく移り変わるファッションの世界においても、日本人の美意識を活かした洋装や、伝統的な和装を楽しむ人が増えています。特に最近は、美術館が和服を着て出かける場所としても好まれ、当館でも年間を通して、多くの美しい着物姿の来場者を迎えています。こうした現象は、日本人が古くから培ってきた美意識や文化が注目され、そこに新たな価値観が見出されてきた証といえるでしょう」
とのこと。「新たな価値観が見出された証」とはいささか独断とも思えますが、まあいいかな。
本展は山種美術館のコレクション展ですが、男と女、ひとりを描いた肖像画をセレクションし、そこに装い(今風に言えばファッション)という切り口で構成した企画です。ともすれば陳腐な企画になってしまうテーマですが、この美術館の充実したコレクションによって、見応えのある企画になっています。
日本画をみるなら、山種美術館。そんなことが頭をよぎりました。男と女のよそおいが華やかだった時代。素敵な作品にふれることができました。
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2014/05/17
恵比寿の東京都写真美術館で開催されている「佐藤時啓 光―呼吸 そこにいる、そこにいない」 をレセプションでみてきました。彫刻家から写真家に転じたアーティストで、東京藝術大学教授の佐藤時啓。初めて作品を拝見しました。
「光―呼吸」はモノクロで、風景の中に点のように光がいくつも灯っている不思議な作品。どんな方法でこの写真ができるのか。写真美術館のウエブサイトにアーティスト本人のインタビュー があり、創作の方法が明かされています。
「夜、長時間シャッターを開けて、その間に僕自身がペンライトで光を発して、海の中や木の周りを動き回って撮影しています」
画像を撮影後にコンピュータで加工しているわけではないのですね。8×10の大判カメラを使っての長時間露光での作品です。写真を撮ることを超え、写真をアーティスト自身がつくるという行為。面白いです。
「Gleaning Light」という作品では、ピンホールカメラを自作して撮影しています。佐藤は、
「最初に作ったのが、24個のピンホールカメラを球体にして360度撮影するというものでした」
と明かしています。これも写真を撮る、というより写真をつくりあげるという行為。
写真というものの本源的な魅力をみせてくれる佐藤時啓の作品。刺激的でした。
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2014/03/17
岡田謙三はモダンな作風で、好きな画家の一人です。戦後ニューヨークに渡り50~60年代の抽象表現主義で活躍しましたが、1929年に目黒区自由が丘にアトリエを構え、制作活動をしていました。うちからほど近いところにあったみたいです。
目黒区美術館で開催中の「岡田謙三&目黒界隈のモダンな住人たち展」 をみてきました。岡田謙三と、岡田と親交のあった自由が丘界隈に居を構えていた作家、目黒界隈に住む作家たちの作品を展示するものです。
展示室に作家の住んでいた場所が地図で展示されています。名前を知っている画家、初めて知るアーティスト、20人以上もいます。本展では美術館の所蔵するアーティストの作品から、目黒という地域と文化を探ろうとする企画です。
美術館のコレクションを活用し、構成した企画展です。ただ、それぞれの作品、作家たちの関係は必ずしも明確ではなく、全体的にはぼやけた印象になっているのは少し残念です。予算が限られた中でやっているという事情が窺えます。
個人的には須山計一が描いた自由が丘・金田の絵に興味をひかれました。金田酒学校と呼ばれる名店ですが、かつて画家達が集っていた店だったのです。楽しそうな人たちが描かれています。
モダン、という言葉も古くさく感じさせるいまの自由が丘ですが、よき時代だったのではないか。そんなことを感じさせてくれる企画展でした。
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2014/03/11
先週末、銀座三越でアート作品のオークションに参加してきました。三越伊勢丹が行っている「アートの力」により東日本復興を支援するアートプログラムKISS THE HEART の一環です。2012年に始まり、今年が3回目。
今年の1月22日から2月23日まで伊勢丹新宿店、日本橋三越本店、銀座三越のショーウインドウでアーティストの作品を展示。テーマは「LOVE & PEACE with Arts」。
これらの作品を9日にチャリティオークションに出品し、参加者が落札します。落札金額は消費税を除き全額、東北において「アートと子ども」をテーマに活動する「子ども芸術の家プロジェクト」 に寄付されます。つまりアーティストは無償で作品を提供しているわけです。
出品されたのは18人+3グループのアーティストによる23作品。アーティストは若手が中心ですが、宮島達男×三宅一生のコラボなど有名作家の作品もあります。
オークションは事前申込で抽選によって選ばれた人で、定員は100名(恐らくですが、申し込めば参加できたのでは)。三菱商事アート・ゲート・プログラムのチャリティオークションに比べて参加者は若い方が多いです。お目当てのアーティストがいる参加者もいるようです。
事前に出品アーティストのプロフィールもみないでオークションに参加したので、その場で作品をみて直感的にパドルをあげてみました。オークションは3万円からスタート。有名作家の作品では30万円を大きく超える落札額もありました。
幸いそんなに金額が上がらなかった作品を落札することができました。茂田真史 さんの陶芸作品「Crystallize」です。鉱物の結晶をモチーフにした素敵な焼き物です。
オークション金額は300万円を超えたそうです。昨年は約190万円だったので、進歩ですね。KISS THE HEART、これからも継続してくれることを期待します。
KISS THE HEART
こども芸術の家
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2014/03/09
最近はすっかりリピーターになっている三菱商事アート・ゲート・プログラムのチャリティ・オークション。昨日開催されたので、参加してきました会場についたのはオークションが始まる15分ほど前でしたが、席は半分以上埋まり、かなりの盛況ぶり。参加者が増えている印象です。
オークションはいつもと同じ方法です。若いアーティストの作品(平面作品に限る)を1万円からのオークションで入札します。オークションにかけられるのは、大学、大学院に在籍する学生もしくは卒業(修了)してから3年以内というのが条件です。
三菱商事がすべての作品を書く10万円で買い取ったうえで、オークションにかけられます。オークションにかけられたのは49作家。登場する作品のスタイル、表現様式は様々ですが、具象作品のほうが値が高くなる傾向があります。やはりわかりやすい作品が好まれるということでしょう。
しかし、この日は抽象作品も高い値段が付けられていました。ユニークピースの版画(抽象的な表現作品でした)も高い金額で購入されていました。高いと言っても10万円を少し超える程度ですが、これまでのオークションとはちょっと違う感じがしました。景気が良くなっている感が影響しているのかな。
値が高かったため、今回は幸いにも落札した作品はありませんでした(笑)が、楽しくアートを楽しんできました。
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2014/03/06
損保ジャパン東郷青児美術館というミュージアムがあります。どちらかというと地味な存在ですが、ゴッホの「ひまわり」を持っていることで知られています。館の名称の通り、東郷青児の作品を所蔵する旧安田火災海上保険が設立したミュージアムです。
この美術館を運営している損保ジャパン美術財団が公募コンクール「損保ジャパン美術賞」を一昨年設立。その2回目の展覧会「FACE 2014」が損保ジャパン東郷青児美術館で開催されているのを、みてきました。
展覧会に足を運んだ理由は、受賞作の中で、読売新聞社賞 を受けた柴田彩乃さんの作品を持っているからです。昨年12月の三菱商事アート・ゲート・プログラムのオークションで落札したのが柴田さんの作品だったのです。
オークションの時点では既に読売新聞社賞は決まっていたのですが、アーティスト紹介のときにそのことには触れませんでした。直感的にいい作品だと思い、パドルをあげたら、思いの外安い金額で落札してしまいました。
FACE 2014T展の受賞作「今日は出かけない」は少女を美しく描いた作品で、アクリルと油彩を使った質感が独特です。
会場に展示されている入選作をみると、モチーフ、表現手法などが個性豊かな作品が多く、とても興味深いものがあります。まだ2回目の新しい美術賞ですが、これからの発展が楽しみです。
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2014/02/26
時々、新聞に意図がいまひとつわかりにくい意見広告が掲載されることがあります。昨日の日経新聞を読まれた方は気づかれたでしょうか? ちょうど真ん中のページに見開き2面の全面広告は、理解しかねるところがあるものでした(なんともまわりにくい言い回しですね)。
2面の右側には<日本交通文化協会はおかげさまで65周年。>と大きなコピー。日本交通文化協会って? 恥ずかしながら初耳。すみません。コピーの下には<「芸術アカデミー構想」を強力に推進します>とあり、いくつかの写真で事例が紹介されています。でも「芸術アカデミー構想」って何? 説明して欲しいです。みんな、知ってるのかな。
右側の紙面には<日本に「1%フォー・アーツ」の実現を>とあります。「1%フォー・アーツ」は公共事業の建築費の1%を芸術・文化に支出するというシステムで、欧米では導入されているといいます。これを日本でもというのが、この意見広告の主張です。
芸術文化の状況に少し知識があれば、この広告の意図は推測できます。しかし、関心がない人にとっては、2面の全面広告はスルーされるだけではないのか。そんな危惧をいだきます。広告をよく読むと、日本交通分協会はパブリックアートを500作本設置してきたことがわかります。そのことをストレートに伝えたほうが良かったのではないか。日経の広告掲載料は安くないだろうに。そんなことを思わせてくれた意見広告でした。
日本交通文化協会
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2013/12/23
北関東方面にいく機会があったので、昨日足利市立美術館に行ってきました。足利は先月マラソンを走りに行ったのですが、美術館に寄らず帰ってきたので、やっと見に行くことができました。
足利市は人口が約15万人ですが、1994年に開館した足利市立美術館を運営しています。美術館は足利駅から近い集合住宅の1階、2階にあります。常設展示はなく、基本は企画展と市民の作品展示会で構成されています。
今展示されているのは「詩人と美術 瀧口修造のシュルレアリスム」展。戦前からシュルレアリスムを日本に紹介した美術評論家で、シュリレアリストである瀧口脩造と交流のあった画家、作家の作品で構成されています。また瀧口みずから描いた作品も展示されています。
足利市立美術館では「浅川コレクション」を保有しています。長らく画廊を運営した浅川邦夫が美術館に寄託した700点あまりの作品です。本展ではこの浅川コレクションに加え、瀧口と関わりを持った画家、作家の作品を展示。国内のミュージアムから借り出された作品は、かなりの見応えがあります。足利でこれほどの作品を見ることができるとは正直意外でした。
足利市には市立美術館の他に、栗田美術館、草雲美術館、長谷川沼田居美術館や画廊もいくつもあります。残念なから今日までですが、「アートリンク in あしかが」 というアートイベントも行っています。足利といえば足利学校が思い浮かびますが、アートの街としても充実しています。また来たくなる街です。
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2013/12/08
昨日はアート・ゲートプログラムにいってきました。三菱商事が行っている「社会貢献活動の一環として取り組んでいるアーティストを志す方々へのキャリア支援プログラム」です。卒業後3年未満の若手アーティストによる作品が出展されるオークションで、チャリティー・オークションで得られた売上は、プロのアーティストを志す学生の方々に奨学金として還元されます。オークションが楽しいので、時間があるときは参加しています(もう5回以上参加してます)。
昨日のオークションは参加者が多かったです。席がほとんど埋まっていました。オークション会場には出品する学生も出席していて、オークション参加者と話す機会が設けられていますが、その場もいつになく賑わっていました。
三菱商事もこのアート・ゲイトプログラムをずっと継続しています。企業としてのCSR活動なのですが、直接ビジネスに結びつかない活動です。これからも若いアーティスト支援を続けて欲しいと思います。
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2013/11/02
上野の東京国立博物館にでかけてきました。お目当ては平成館で開催中の「京都―洛中洛外図と障壁画の美」です。タイトルにあるように、見物は洛中洛外図です。国宝・重要文化財に指定されている7点すべてが(展示替えをされながら)展示されます。展示されるのは、
・国宝 「洛中洛外図屏風 上杉本」狩野永徳筆(山形・米沢市上杉博物館蔵)
・重要文化財 「洛中洛外図屏風 舟木本」岩佐又兵衛筆(東京国立博物館蔵)
・重要文化財 「洛中洛外図屏風 歴博甲本」(国立歴史民俗博物館蔵)
・重要文化財 「洛中洛外図屏風 歴博乙本」(国立歴史民俗博物館蔵)
・重要文化財 「洛中洛外図屏風 福岡市博本」(福岡市博物館蔵)
・重要文化財 「洛中洛外図屏風 勝興寺本」(富山・勝興寺蔵)
・重要文化財 「洛中洛外図屏風 池田本」(岡山・林原美術館蔵)
と豪華です。7点すべてが展示されるのは本邦初。
このうち唯一の国宝である上杉本は、11月4日までの公開なので、みにいったわけです。
金曜は夜8時までの開館なので、時間をずらして午後4時過ぎに平成館へ。入り口あたりは人が少なかったですが、肝心の洛中洛外図 上杉本の前には多くの人がいました。上杉本は仙台にいたとき、米沢市上杉博物館まで見にいきました。所蔵する博物館でも国宝を展示するのは、年1、2回の限られた期間です。さぞかし混んでいると思っていましたが、土曜か日曜だったのにもかかわらず、鑑賞者は多くはありませんでした。洛中洛外図の前で30分近くじっくり鑑賞しました。
しかし、東京国立博物館ではそうはいきません。洛中洛外図に前にいくことはままなりません。しかたないので、遠くからながめるだけでした。11月4日まで展示されているのは上杉本、歴博乙本、勝興寺本、舟木本ですが、やはり狩野永徳の作とされる上杉本が素晴らしい。保存状態もよく、約450年前に描かれたとは思えません。
本展は洛中洛外図だけでなく、二条城の障壁画84点が公開されるなど、見応えある美術品が並びます。
11月6日からは後期として、洛中洛外図が展示替えになるので、時間があったらみに出掛けたいです。オススメです。
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2013/10/22
残念ながら昨日が最終日でしたが、たまたま六本木に出掛けたので、駆け込みで「アメリカン・ポップ・アート展」 (国立新美術館)をみてきました。最終日だったので、平日ながらかなりの賑わいでした。
「アメリカン・ポップ・アート展」とストレートなタイトルの本展は、アメリカのコレクターであるジョン・アンド・ミキコ・パワーズ夫妻のコレクションを展示するもので、その内容は世界最大級と言われています。展示はアンディ・ウォーホル、ジャスパー・ジョーンズ、ロバート・ラウシェンバーグ、ロイ・リキテンスタイン、クレス・オルデンバーグ、ジェイムズ・ローゼンクイスト、トム・ウェッセルマンなどポップアートの巨人達の作品が並びます。
展示の前半にあるジャスパー・ジョーンズ、ロバート・ラウシェンバーグはリトグラフ、シルクスクリーンなど版画作品が中心でやや地味な印象。しかし後半のアンディ・ウォーホル、ロイ・リキテンスタインなどの作品は、多彩な表現で造られたものが展示され、アメリカン・ポップ・アートに持っていた固定概念を覆してくれます。
会場を訪れていたのは若い男女が圧倒的に多数。アメリカン・ポップ・アートはいまの時代でも若者の心を惹きつけるアートのようです。
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2013/10/08
先週末、4日に報道されたちょっと意外なニュースがありました。DICが自社で保有する美術館で展示していた現代美術の絵画を売却したと発表しました。こう書くとなにやら分からないかもしれませんね。DICとは以前大日本インキ化学工業という社名で、インキ製造の最大手です。
このDICは千葉にDIC川村記念美術館を持っています。創業者の川村喜十郎から続く川村家のコレクションを核にした美術館です。今回売却されたのは、バーネット・ニューマンの「アンナの光」で、売却額は103億円とされています。美術館のコレクションではマーク・ロコスの壁画作品とともに、「アンナの光」は美術館の代表的な作品でした。
常識的には美術館がコレクションを売却することが尋常ではありません。会社が自社のビルや土地を売り払うのとは違います。ソニーやパナソニックは自社ビルを売却して、そこにテナントとして入居しています。財務的にはこのほうがメリットがあるかもしれません。しかし、美術館が作品をひとたび手放したら、もどってくる可能性は少ない。それよりも、美術館の命ともいえるコレクションの売却は、よほどのこと。
美術館を持つ企業はいくつもあります。サントリー美術館、出光美術館が代表的でしょう。この2館と川村記念美術館は運営面で異なります。サントリーはサントリー芸術財団、出光は公益財団法人出光美術館によって運営されていますが、川村記念美術館はDICの直営です。直営だから、コレクションの売却が(手続き上は)簡単にできたのでしょう。
昨日のDICの株価は日経平均が170円下げる相場の中で、値上がりしました。保有絵画譲渡に伴う特別利益計上がポジティブ評価 されたようです。
今回の「アンナの光」売却は、企業美術館の価値は何なのかを考えさせてくれる、決して小さくない出来事だと思います。
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2013/10/01
税金を逃れる方法にはいろいろあるものです。昨日報じられた美術品のオークションを主催するシンワアートオークションの所得隠しの一件は、絵画の価値をうまく使って租税回避(もしくは脱税)を使用する人々の実態を少しみせてくれました。
シンワアートオークションは、出品者の名前を別人としてオークションに出品し、その見返りとして受け取った特別な手数料を所得として申告していなかったとして、2011年5月期までの3年間で約4千万円の所得隠しを指摘されていました。その内容は、
「同社は出品を隠したい美術品の所有者数人のオークションについて、社内記録で別の男性を所有者として記載。落札時の売却代金を、この男性の銀行口座にいったん振り込み、直後に現金で引き出して本当の出品者に手渡していたという」(日経新聞 9月30日)
と巧妙な手口です。
特別な手数料を取ることもオークション主催者としてはどうかと思いますが、出品者が名前をどうして隠そうとするのか。日経新聞ではそこまで踏み込んでいませんが、この事件を最初に報じたと思われる朝日新聞では、名前を隠して出品した人も税務調査を受けたと書かれています。租税回避の意図があったと疑われたためでしょう。
朝日新聞によれば、2012年の国内オークション規模は100億円とか。意外と大きいマーケットですね。この事件、奥が深そうですが、真実はきっと明かされないだろうな。そんな感想を持ちました。
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2013/08/12
恵比寿の東京都写真美術館で「ネコライオン」 をみてきました。写真家・岩合光昭の写真展です。「ネコライオン」という動物がいるわけではなく、ネコとライオンの似たようなシーンを並べて展示しているので、ネコライオンです。岩合曰く「ネコは小さなライオンだ。ライオンは大きなネコだ。」とのこと。
「視」「触」「味」「嗅」「聴」の5つテーマに分けて写真が展示され、それを順番に拝見していると、ネコとライオンは確かに似ています。ネコはその辺にいて、ライオンは基本的には野生の中にしかいないのに、共通なものがあるのが面白い。
特にネコの仕草、動作、表情などを捉える岩合の写真術はすごいです。どうしてこれほどまでの写真が撮れるのか。ひとつのカットを撮るまでに膨大な時間がかかったに違いありません。
ネコは不思議な生き物だそうです。会場に展示されていた国立科学博物館の林館長の言葉が印象的です。
「『昼は淑女のように、夜は悪女ように』や『手なずけた自然にひそむ野生』という言葉がにあう動物は、ネコ以外にいないであろう」
楽しみながら、そしてちょっと考えながら拝見した「ネコライオン」展でした。
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2013/08/07
昨日の記事で東京のコレクターから盗まれたルノアールが、英国で落札されたことを書きました。日本にも有名作家の作品を所蔵しているコレクターがいるのだと改めて認識。ルノアールなど歴史的に評価の確立した画家の作品を購入するにはお金がたくさん要りますが、現代美術であれば、富裕層な人でなくても購入できます。
東京オペラシティアートギャラリーで開催中の「アートがあれば Ⅱ」 をみてきました。9人のコレクターが所蔵している作品を展示する企画展です。美術館としては珍しい企画といっていいでしょう。Ⅱとなっているのは2004年に「アートがあれば」を開催しているから。その後10年ほどでコレクションのあり方が変わっていることを踏まえ、コレクターの作品からアートの魅力を探ろうというものです。
出展しているコレクターは実名は伏せられていて、イニシャルのみでが公開されています(1人はイニシャルも非公開)。出展者のプロフィールによると年齢は30代から60代まで。職業は会社員、主婦もいて出展者は普通の人(?)らしい。
しかし、展示されている作品はバラエティーに富みます。油彩、写真、オブジェ、ビデオアート、インスタレーションなど刺激的なものがたくさん。みていると、あたかも「東京都現代美術館の常設展示室」にいるような気になりました。どのコレクターも所蔵品の質が高い。
個人コレクターの所蔵品が作品の核になっている美術館も多い。歴史的にみれば、ミュージアムと個人コレクターの関係は深いものあります。しかし、現在の日本では、コレクターとミュージアムの間には距離があるような気がしているのは、私だけでしょうか。本展をみて感じたのは、この国のコレクターのレベルの高さです。アートコレクションとミュージアムがもっと有機的な関係を作れれば、いまよりもアートを身近にできる環境ができるのではないか。そんなことを思わせてくれた刺激的な企画展でした。
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2013/08/06
「ギャラリーフェイク」に出てきそうな驚きのニュースです。2000年に日本で盗まれたルノワールの油絵が今年2月、英国のサザビーズによる競売に出品され、約105万ポンド(約1億5千万円)で落札されていたことが、明らかになりました。落札されたのは1903年にルノワールが知人の画家の妻を描いた「マダム・ヴァルタ」。
日経新聞の報道によれば、東京都世田谷区の住宅から盗まれたもので、「シャガールの油絵『花束』や日本画家の故平山郁夫氏の『法隆寺の塔』など5点とともになくなっているのに気付いた」(日経新聞 8月5日)ということ。すごいコレクターですね。
しかし、盗難品はどうしてサザビーズの競売にかかったのか。サザビーズは、顧客情報は極秘として出品者や落札者を明らかにしておらず、「(出品時の)調査では出品者は正当な持ち主で、保証もあった」と回答。ルノワールの絵画を盗んで、それを売却して(今のところ)逃げてしまっている怪盗は誰なのか。
記事によれば、「英国では国際刑事警察機構(ICPO)などと協力し、盗難美術品のデータベースを民間会社が運営」していますが、データベースにはこの「マダム・ヴァルタ」はなかったといいます。日本からデータベースへの登録はわずか約30点のみで、この絵画は登録されていなかったようです。このデータベースは「世界最大とされる同社に蓄積された美術品の盗難情報は約27万点。ルノワール作品だけでも約400点が登録される」(日経新聞)とのこと。盗まれたルノワールが400点もあるなんて驚きです。
ルノワールを取り戻すことは、かなり難しいようです。残念です。
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2013/08/02
アートを造り上げる素材を様々な切り口で展示する企画展をいくつも企画してきた目黒美術館。現在開催されている「PAPER ‐紙と私の新しいかたち‐展」 では素材としての紙に焦点をあて、新たなアートを提示する企画展です。
紙は日常常に手に取ったり、触れたりするいわば空気のような存在です。紙に絵を描くことは多くの人が行うことですが、紙そのもので何かを表現することをすることは、あまりありません。本展をみて、紙でのかたちには様々な表現があるものだと、再認識しました。展示されているのは3人+3組のアーティストによる紙を表現した作品。古書を素材にしたインスタレーション、紙の模型、紙の地球儀などそれぞれメッセージと楽しさが同居した紙の作品です。
紙で構成された作品を目の前にすると、何故か落ち着きます。馴染みのある素材だからでしょうか。身構えて鑑賞sるということにはなりません。新鮮な発見です。
目黒区美術館では1990年に開催した「PAPIER:紙物語-美しく繊細な造形」を開催し、それ以来の紙をテーマにした企画展です。意欲的な企画展だと思います(いささか地味ではありますが)。この企画からあらたなアートが生まれることを期待しています。
「PAPER ‐紙と私の新しいかたち‐展」
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2013/07/29
不思議な展覧会をみてきました。世田谷美術館で開催中の「榮久庵憲司とGKの世界 鳳が翔く」 は、工業デザインの第一人者・榮久庵憲司(えくあんけんじ)が率いるGKの活動の軌跡を見せてくれる企画展です。
実は榮久庵憲司というデザイナーをはじめて知りました。1929年生まれですから、長らく工業デザインの世界で活躍しておられますが、その名前は一般人には広く知られていないのではないでしょうかこれまでにデザインした製品は多数ありますが、例えばキッコーマンの卓上醤油 、秋田新幹線こまち、東京都のシンボルマーク、ミニストップのロゴなど馴染みのあるものばかりです。
本展は4つの章立てに分けて構成されています。面白いのは前半の第1章、第2章と後半の第3章、第4章がまったく異なった主旨の展示になっていることです。前半は榮久庵憲司とGKのデザインした製品や、近年取り組んでいるテーマ作品などが並び、いわば普通のデザイン展示です。
これに対し後半の第3章「道を求めて」では、一転して精神のありようが示される展示です。榮久庵は「道具寺道具村」を構想し、2005年和歌山県の山中に、道具千手観音像と五具足を設えた〈道具庵〉と、寝所となる〈月の庵〉を構え、7 日間の山籠修行を行いました。榮久庵は「道具寺道具村」構想を表したインスタレーションとして発表しています。このインスタレーションが再構成され、展示されています。
第4章「美の彼岸へ」では榮久庵とGK による、インスタレーション作品〈池中蓮華〉が展開します。表現するのが簡単ではない不思議な場がここにあります。
「〈池中蓮華〉は、道具寺に安置された道具千手観音像に向かい、修行を続けることで導かれる極楽浄土の世界を、現代の素材とテクノロジーを用いた広大な蓮華池として表現しています」(公式サイトより引用)
心地いい感覚になる不思議なインスタレーションです。
工業デザインという即物的な展示と、インスタレーションを使った精神の表現の対比と落差に驚きながらも、刺激を受ける榮久庵憲司ワールド。暑い夏にはオススメの企画展かもしれません。
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2013/07/14
久しぶりに横浜美術館に出掛けました。2月にロバート・キャパを見て以来です。チケットをいただいた「プーシキン美術館展 フランス絵画300年」 を拝見してきました。この企画展は、もともと2年前の4月に開催される予定でしたが、大震災のため、オープニングの前日に中止がきまった展覧会です。プーシキン美術館もやっと作品を貸してくれたようです。
当時の記事 を振り返ると、展覧会のチラシも2種類つくり、かなり力の入った企画展だったようです。今回はチラシはひとつだけでしたが、朝日新聞主催とあってかなり宣伝されています。横浜美術館は現代美術中心の企画が多いミュージアムですが、本展はちょっと趣が違います。館の独自企画なのかな。
展示の内容は「プーシキン美術館展」というタイトル通り、ロシアのプーシキン美術館コレクションからフランス絵画を選んで66点の展示。17世紀の古典主義から、20世紀のキュビズム、シュルレアリスムまで西洋美術史の教科書を読んでいるような作品が展示されます。しかしフランス絵画300年といっても、ピカソ、シャガール、ゴッホといったフランス出身ではなく、フランスで活躍した画家も含まれています。
会場は平日にもかかわらず、おじさま、おばさまで大賑わいです。土日はきっと大混雑でしょう。やはり「○○美術館展」というのは、人気なんですね。名画をみたい方にはおすすめの展覧会だと思います。
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2013/02/23
ロバート・キャパといえば、報道写真家として有名ですが、実はこの人についてほとんど知らなかったのです。横浜美術館で開催されている「ロバート・キャパ/ゲルダ-・タロー 二人の写真家」 をみて、この写真家について多くを知ることができました。
ロバート・キャパという名前は当初、実在する写真家ではありませんでした。数々の報道写真で名を馳せたロバート・キャパの本名はアンドレ・フリードマン。このフリードマンとドイツ人女性ゲルダ・タローが創り出した架空の写真家でした。このほうが作品を売り込みやすいというのが理由だったようです。ちに、フリードマンの仕事が軌道に乗ると、彼がキャパに取って代わり、ゲルダも写真家として自立していきます。
本展はロバート・キャパとゲルダ・タロー、二人の写真家の作品を、それぞれ個展という形で展示します。キャパの作品は幾度となくみているのですが、ゲルダの写真をみるのははじめてです。そもそもゲルダ・タローという人さえ知らなかった無知さです。ゲルダも報道写真家です。
ゲルダは撮影していたスペイン内戦で事故にあい、36歳で亡くなります。そしてキャパはインドシナ戦争取材中に地雷に触れて、亡くなります。その時、40歳です。二人の作品の多くが、戦争を取材した作品です。撮られた真実はどれも迫力を持っています。写真で真実を伝えることの重要さを今更ながら実感します。
キャパの「崩れ落ちる兵士」は有名な作品。この1枚について沢木耕太郎が新説を提示しています。NHKでも特集されていましたが、撮影をしたのはキャパではなく、タローという説です。沢木耕太郎が文藝春秋に発表した「キャパの十字架」は読んでいませんが、興味をひかれます。
「崩れ落ちる兵士」は本展でも展示されています。この真偽を含め、キャパ、タローという二人の写真家をより深く知ることが出来た写真展です。
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2013/02/20
毎年、この時期に開催されている東京都写真美術館の「恵比寿映像祭」、レセプションにお招きいただいたので拝見したのですが、記事にしていませんでした。気が付けば今週末、24日までです。映像表現を文章にするのは、かなり難しいことで、今に至りましたと(つまらない言い訳です)。
恵比寿映像祭は写真美術館全館を使って行われ、展示、上映、ライブイベント、講演など多彩な内容になっています。東京都写真美術館ではいつもの企画展示は「写真美術館」ですから、動かない映像=写真の展示がほとんどです。しかし、年1回の恵比寿映像祭では写真と動画が分けられることなく展示されます。恵比寿映像祭では、写真美術館らしからぬ展示が魅力でしょう。
今回は展示ゾーンしか拝見していませんが、ここに関してはいささか意外な作品に出会いました。河原温と荒木経惟です。恵比寿映像祭では若手、新進作家な選ばれるものかと勝手に思い込んでいましたが、そうではないようですね。でも、なんでこの2人が選ばれたのだろう。
今回のテーマは「パブリック ダイアリー」(二つの間に双方向の矢印が入りますが、変換不能です)で、「日記」がキーワードです。河原温は日付だけで表現された"Today"シリーズが展示されています。荒木は「私日記」、「偽日記」など日記を写真にしてきました。展示は最新の日記シリーズです。映像祭のテーマが日記なので、単純にこの2人が選ばれたのかな。でももっと深い理由がありますよね、キュレーターさん。
馴染みのある河原、荒木の作品を含め、展示作品は刺激的なものがいくつもありました。映像作品に包み込まれ、写真に引き込まれる展示空間。今年も楽しめる恵比寿映像祭です。
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2013/01/12
いただいたチケットがありながらなかなか行けなかった「松本竣介展」をやっと見てきました。世田谷美術館で開催されている本展は生誕100年を記念して企画されたもので、昨年の神奈川県立美術館葉山、宮城県立美術館、島根県立美術館の巡回を経て、世田美で最後になる企画展です。
松本竣介の作品は仙台にいたときにみる機会がありました。本展で出展されている宮城県美の「画家の像」は大きな絵です。まっすぐ前をみつめ、立つ自画像。強い意志を感じます。神奈川県立美術館所蔵の「立てる像」も出展され、2つの作品を比べてみると、松本竣介のメッセージは何なのか、と思ってしまいました。
松本竣介は東京出身ですが、岩手県の花巻、盛岡に住んでいた時期があり、盛岡を描いた作品もあります。本展でも岩手県立美術館から多くの作品が出展され、インクで描かれた絵、資料など興味深い作品がいくつもあります。
松本竣介といえば、「Y市の橋」「ニコライ堂」に代表される都会の寂寥感、孤独感を描きこんだ作品が思い浮かびます。しかし本展で出展されている若い頃の作品は、具象と抽象が織り混じった独特の作風で描かれ、とても印象的です。細い線で書き込まれた造形が効果的に使われた構図が、絵に不思議な魅力を与えています。
世田美では通常常設展示室である2階も本展の会場として使われるほど多くの作品が展示されています。36歳という若さで亡くなった松本竣介。これほど多くの作品を残していたとはいささか驚きました。松本竣介の本格的な企画展。とても見応えがありました。会期は明後日、14日までです。興味のあるかたはぜひどうぞ。
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2012/10/18
六本木の東京ミッドタウンに久しぶりに出掛けました。武蔵美の主催イベント「ムサビのデザイン・トークイベント」を拝聴してきました。<「デザインの時代」の中での表現-1950-70年代->と題されたイベントは、武蔵美名誉教授の勝井三雄さん、島崎信さんのお二人と、教授の柏木博さん、武蔵美 美術館・図書館 館長の田中正之によるトークです。勝井三雄さん、島崎信さんは著名なグラフィックデザイナーで1950年代から70年代までのデザインについてとても興味深いお話をうかがうことができました。
このトークイベントは、東京ミッドタウン・デザインハブの武蔵野美術大学デザイン・ラウンジで開催されてる企画展示「ムサビのデザイン 武蔵野美術大学のデザインコレクションと教育」の一環として行われたものです。企画は1950年代から70年代までの30年間にクリエイトされたポスター、椅子、雑誌、工業製品、椅子の展示を通して、この時代のデザインをみせる内容です。
久しぶりにデザインハブにいったのですが、確かここには九州大学のデザイン戦略拠点があったはずですが、いまはなくなっていました。どうやら今年の4月からかわりに武蔵美のデザイン・ラウンジがはいったようです。ちょっと場所がわかりにくくいのがハンデかな。いい企画をやっているのですが、めったにいく機会はありませんでした。武蔵美がはいっているので、これからはチェックしてみます。
武蔵美のデザイン・ラウンジ
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2012/10/15
昨年あたりからうちの地元にもアートギャラリーがいくつか目に付くようになってきました。アートなスペースが少なかった街がちょっと変わってきています。このところたまにお邪魔しているのが、陶磁器とガラスを扱う<レサンシェル> というギャラリーです。陶磁器を扱うギャラリー(画廊)はありそうですが、陶磁器とガラスというテーマのギャラリーは東京でも数少ないのではないでしょうか。
自由が丘の駅から歩いて10分弱。静かな住宅街の一角にあるスペースでは、企画展と常設の展示が行われています。扱っている作品は、テーブルで食事を楽しんだり、花器に使ったりといった生活に沿った器が中心です。心地よさを感じさせてくれる作品が揃っています。
今は、企画展の「ヘスアルド フェルナンデス―ブラボ展覧会 ~テーブルを囲む時間~」 が開催されています。スペイン出身で、日本在住20年以上というヘスアルドがつくるのは、白を基調とした陶磁器。白い空間にドリッピングしたような文様が印象的なテーブルウエアや、花器などはフォルムが美しい作品です。
展示はテーブルと器をテーマにしつらえてあり、食事にはテーブルウエアが重要なものだということを今更ながらに感じました。我が家でももうすこし器に気を遣わねばいけません。
明確なテーマをもった、そして魅力的なギャラリーです。お近くにいかれるときは、ぜひどうぞ。
レサンシェル
ヘスアルド フェルナンデス ウェブサイト
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2012/10/07
恵比寿の東京都写真美術館で開催されている「操上和美―時のポートレート」に招待いただき、拝見してきました。操上和美という名前も実は存じ上げず、会場に出向いてしまいました。広告界では鬼才と称される写真家ということを後から知るという無知さです。先入観やこれまでの作品をまったく知らないまっさらな状態で展示をみることになりました。
すべて銀塩で撮られたという作品は、半分以上が白黒作品です。被写体とそこにある空気が切り取られた写真が印象的です。風景、人物、動物などを撮した作品からは、何か鋭いものが発せられているようです。みているうちに心が引き込まれていく感じと言えばいいのでしょうか。
本展は操上が1970年代から撮り続けてきた作品から構成されています。操上の仕事である広告写真ではなく、スナップ写真といえばいいのか、日常の視線で撮影された作品が展示されています。
いまごろになって操上和美という存在を知った素敵な写真展でした。いまどきの写真に満足出来ない方にはおすすめです。
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2012/09/16
久しぶりに「三菱商事アート・ゲート・プログラム」のオークションに参加してきました。このプログラムは三菱商事がCSR活動の一環として、若手アーティストの育成とキャリア支援を目的に行っているものです。公募により年間約200点、各作品10万円で購入し、チャリティー・オークションにて販売して、売上金を芸術・美術を志す方々の奨学金として還元しているものです。私も過去2点の作品を購入しています。
オークションそのものがなかなか楽しく、そして若手アーティストの作品も見ることができるということもあり、時間があるときは参加をしています。昨日もいつものように会場にいくと、ちょっと雰囲気が違います。オークションの参加者がこれまでより多い。会場にたくさんの人がいます。 オークションのオープニングの説明で、その理由がわかりました。
今回のオークションは2011年度の奨学生の作品によるもの。三菱アート・ゲート・プログラムではアーティストに一人約100万円の奨学金を出す選考制度を行っています。2011年は10名が奨学生に選ばれていて、オークションではその奨学生の作品が出されていたというわけです。各アーティストが3点(3組)の作品を出展してのオークションです。選ばれたアーティストたちのオークションなので、参加者が多かったわけです。
オークションが始まり、次々と作品が落札されていきます。さすがにいつもより落札金額が高い。落札者も最初からお目当てのアーティスト、作品があるようです。どの作品も質は高いのですが、私の好みのぴったり合う作品はありませんでした。今回は買わないとことを決心して会場にいったのですが、幸いどうしても買いたい作品に出会えませんでした。
奨学生に選ばれるアーティストは、広く受け入れられる作品をつくっています。奨学生の選考方法はわかりませんが、作品に対して「いいな」と感じる人が多いほど、奨学生に選ばれる確率は高いはずです。その点で、私の絵画に対する好みは、一般的なものではないようです。過去、オークションで買った2点も、他の人が「もっと高い今額をつけるだろう」と思っていて、パドルを上げたのですが、そのまま落札してしまったというのが実態でした。そんなに自分の好みがひねくれていたかな、とちょっと考えさせられるオークションでした。
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2012/09/02
横浜美術館で奈良美智展をみてきました。「奈良美智:君や僕にちょっと似ている」 と題された大規模な企画展。奈良の作品は青森県立美術館の常設で何度か見てきましたが、今回の展示は昨年と今年に制作された新しい作品だけで構成されている意欲的な内容です。
NHKの番組で奈良がインタビューに応じていて、「これまではなめているところがあった」という表現をつかっていました。創作することと真剣に向かい合っていないところもあった、ということなのでしょうか。奈良のこんな気持ちが本展では充分表れています。
会場に入ると、まずは大きいブロンズ像で構成された展示スペースです。照明が落とされ、床のカーペットがはがされた空間にブロンズの彫刻作品が11点並びます。日経新聞によれば
「昨年9月から約半年、母校の愛知県立芸大に滞在し、ヘラやナイフを使わず、素手で粘土と格闘するように巨大な少女の頭像などを制作した」(8月30日朝刊)
とある力作です。なにせ大きなあの女の子たちが会場に何人もいるんですから、迫力があります。
絵画もお馴染みの女の子、おねえさんたちも、ちょっと雰囲気が違います。より存在を感じさせるといえばいいのでしょうか。これが本展の意図する「:君や僕にちょっと似ている」ということなのかな、と思ったりします。
奈良はこう言っています。
「もはや自分が作るものは、自分の自画像ではなく、自分や誰かの子どもや友達だと感じる」(パンフレットより)
新しい奈良美智に出会える素敵な企画展。おすすめです。
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2012/08/31
チケットをいただいたので、久しぶりに世田谷美術館へ。もうすぐ会期が終わってしまう「村山知義の宇宙」を拝見してきました。村山知義という名前は知っていましたが、創作活動についてはほとんど知りませんでした。画家という先入観があったのですが、それは一部の村山知義だったということが、展示をみていてわかりました。
ウキペディアで村山知義の項目をみると「日本の小説家、画家、デザイナー、劇作家、演出家、舞台装置家、ダンサー、建築家」と書かれています。村山が踏み込んだ創作ジャンルは多様です。本展は多岐にわたる活動から「日本のダ・ヴィンチ」と称されていた村山の初の大回顧展とのことです。
画家としての絵画、建築家としての仕事(写真、図面)、デザイナーとしての本の装丁、舞台美術家としての仕事、映画監督としての作品、児童書のイラスト、そして舞踏家としても活動。会場にはこれらの仕事がところ狭しと展示されています。どれもが同じ村山知義から生み出されたとはちょっと信じられないほど様々な表現形式です。ものすごくパワフルな人だったのでしょう。
村山が生きた1901~1977年(明治34年~昭和46年)という時代は、文化にも力があったということも感じます。丹念に集められた作品や資料で構成されている展示は、予備知識なしにみてしまうともったいない内容です。少しだけでも勉強していけばよかったなと思いました。日本にもこんなマルチな才能を持った人がいた、ということを知った貴重な企画展でした。
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2012/08/14
久しぶりに京橋のブリヂストン美術館にいき、「ドビュッシー、音楽と美術」をみてきました。今年はコレクションを使った展覧会が続いていましたが、本展はいつものブリヂストン美術館の企画展とは違います。ブリヂストン美術館開館60周年記念の企画展で、オルセー美術館とオランジェリー美術館共同企画。
しかし、ドビュッシーのことをまったくわからない私です。企画展の主旨もよく理解していません。そもそもそんな状態で美術館を訪れたのは、ポスターになっていたこの絵のせいです。
ルノワールの「ピアノに向かうイヴォンヌとクリスティーヌ・ルロール」です。いいですね、ルノワールは。
本展はクロード・ドビュッシーが活躍した19世紀末から20世紀初頭の美術をテーマにし構成されています。展示されている作品はオルセー美術館とオランジェリー美術館からの作品に国内のミュージアムからも作品が集められ、ここにブリヂストン美術館の作品も加えられています。主たる作品は印象派、象徴派ですが、ジャポニズムをテーマに北斎の浮世絵もあります。
それほど広くないブリヂストン美術館のスペースに集められた157点もの作品が展示され、いつもの展示とは違った
スペースを作りあげています。訪れたのは平日でしたが、おばさま達で大賑わいでした。さすがにこれだけの作品があると、美術ファンは見逃さないようです。
ドビュッシーのことに詳しければよかったのですが、そうでなくても楽しめる贅沢な企画展です。印象派のお好きな方はぜひどうぞ。
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2012/06/24
久しぶりに江戸東京博物館に行ってきました。このミュージアム、来年で開館20年だそうで、記念特別展「日本橋 描かれたランドマークの400年」が開催されています。日本橋が最初に架けられたのは1603年。以来、火事で何回も焼けて、現在の橋ができたのは1911年。昨年が現日本橋の100周年だったんですね。
この企画展は江戸から昭和の時代まで様々な画家たちに描かれた日本橋を集めたもので、その数は約130。作品をみていくと、江戸時代には江戸という都市の中心であったことがわかります。賑わいの町を描いた作品がいくつもあり、遙か昔のことながら、その光景はとても生き生きしています。
葛飾北斎、歌川広重といった浮世絵の大御所の作品も数多く展示され、見応えがあります。すべてこの博物館のコレクションということですが、こんなに多くの作品をもっていたということにちょっと驚きました。
いまの日本橋は高速道路の下にあり、正直いって存在感は薄くなっています。高速道路を地下に移設、といった意見もあるようですが、簡単には実現しないでしょう。高速道路がない時代にタイムスリップして、日本橋という存在の大きさを教えてくれる、そんな展覧会です。
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2012/05/12
久しぶりに東京都写真美術館。今日から始まる「川内倫子展 照度 あめつち 影を見る」のレセプションにご招待いただいたので、いってきました。最近の写真家についてはほとんど知らない私なので、川内倫子さんの作品も初めて拝見しました。
「照度 あめつち 影を見る」とは、どんな意味なの。イメージができないまま会場へ。6×6の中判カメラで撮影された作品は、風景、人、静物など日常の光景を独自の視点で捉えられいると感じました。これまでに見たことがない表現の写真です。写真に加えてビデオ作品もあります。見慣れた風景ながらひきつけられる映像です。
面白いと思ったのは作品にキャプションがないこと。レセプション日なのでないのかとも思ったのですが、図録でもすべての作品が「無題」になっているので、今日からの展示でもおそらくキャプションはないのでしょう。
写真表現の多様さと魅力を改めて知ることができた川内倫子展。おすすめです。
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2012/04/11
Googleが正式に発表したArt Projectへの国内の博物館・美術館の参加のニュースにはちょっと驚きました。Google Art Projectは確か昨年の2月頃に始まりました。美術作品の高解像度画像や館内の360度画像をインターネット上で見られるサービスですが、当初は英語バージョンしかなく、ほとんど訪問することはありませんでした。このニュースを聞き、久しぶりにサイトにいくと、日本語化されています。
今回、Art Projectに参加するのは足立美術館(島根県)、大原美術館(岡山県)、国立西洋美術館(東京都)、サントリー美術館(東京都)、東京国立博物館(東京都)、ブリヂストン美術館(東京都)の6館。まだ数は少ないですが、足立、大原、サントリー、ブリヂストンという私立の大所と2つの国立ミュージアムが参加していて、スタートとしては充実したコンテンツになっています。
Art Projectにはすでに3万2000点以上の作品が収録されています。そのうち国内のミュージアムからは国宝16件、重要文化財51件を含む美術作品計567件が閲覧できるとのこと。特に「
東京国立博物館所蔵の国宝「観楓図屏風」(狩野秀頼)、足立美術館所蔵の「紅葉」(横山大観)の計2点を70億画素の超高解像度で撮影、同プロジェクト上に公開した」(日経新聞)
とのこと。70億画素ってどのようなカメラなんだろう。
Googleの取り組みは素晴らしいと思うのですが、なぜこのようなことを国内でできるところがないのでしょう。そこがいちばんの問題でしょう。企業とかに頑張って欲しいのですが。無理なのでしょうか。
Google Art Project
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2012/03/21
目黒区美術館で開催されている「メグロアドレス ―都会に生きる作家―」は、目黒区に関わりのあるアーティストの作品を展示する企画展です。出展しているのは5人と1ユニットのアーティストで、いづれも1970年代生まれの人達です。
青山悟+平石博一:映像とインスタレーション
今井智己:写真
須藤由季子:鉛筆画
長坂常:作品(言葉で表現しずらい)
南川史門:抽象画
保井智貴:人体彫刻
様々な表現形態で、見るものを惹きつけます。特に興味深く拝見したのは青山悟+平石博一の作品。展示室のカーペットを全部剥がし、そこに音、映像、インスタレーションで構成される表現される環境を作っています。空間にいることで不思議な感覚になります。
この企画展はクリエイティブ・コモンズ・ライセンスによって写真撮影が許され、Twitterでは情報発信がされるなど、目黒区美術館として新しいことに取り組む姿勢が感じられます。
保井智貴:Untitled (作家:保井智貴 この写真は「クリエイティブ・コモンズ表示-非営利-改変禁止2.1日本」ライセンスでライセンスされています。)
目黒区をアピールするような企画展です。お近くの方はぜひどうぞ。
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2012/03/11
三菱商事が社会貢献活動の一環として行っている「三菱商事・アート・ゲート・プラグラム」は若手アーティストの育成とキャリア支援を目的としたもので、オークションでアーティストの作品を販売し、その売上金は、芸術・美術を志す方々の奨学金として還元する活動です。昨日行われた第14回オークションに参加しました。
若手アーティストの作品を楽しむだけのつもりで行ったのですが、オークションというものは恐い。一点作品を落札してしまいました。津田 翔一さんの作品「CG(Cell-Graphics)[catastrophe]です。
津田さんは東京藝術大学で油彩を専攻しているに在学中の学生です。作品はキャンバスにアクリル絵具で描いたもので、大きさは650×500mm。好みの作品だったので、最初に1万円でハドルをあげたら、他にあげる人がおらず、落札。これだけの作品が1万円なんて評価が低すぎると思うのですが。
オークションに参加するのは3回目ですが、どうやらこのオークションに来ているお客さんの好みと私の趣味が違っているようで、私がいいなと感じた作品は他の参加者の大半は心が動かないようです。
ささやかながら若手アーティストの支援ができ、いい体験をさせてもらいました。
「三菱商事・アート・ゲート・プラグラム」チャリティ・オークション
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2012/02/10
昨日、東京都写真美術館で「第4回恵比寿映像祭 映像のフィジカル」のレセプションに参加してきました。すでに4回目という恵比寿映像祭ですが、これまではみたことがありませんでした。ある方からお誘いいただいて、参加してきました。美術館のロビーエリアで行われたレセプションは、関係者、出展アーティストなどで満員状態でした。
写真美術館で映像祭ときいて、その内容が想像できませんでした。写真はもちろん静止した画像ですが、この「映像のフィジカル」は動画映像のフェスティバルです。大きく分けて、いわゆるビデオアートなどの映像作品展示とホールでの作品上映があります。それに「加えて恵比寿ガーデンプレース内のパブリックスペースに映像作品が展示されます。
レセプションの後に展示室での映像作品展示をみたのですが、面白い作品が並びます。新しい表現形式での作品に加えて、古い表現形式のフィルムを使った作品もあります。特に1950年代から60年代に東京シネマがつくった科学映画は興味深く拝見しました。
昨日の朝日新聞には映像祭の全面広告が掲載されていました。日経新聞にも全面ではありませんでしたが、広告があります。ミュージアム企画展の全面広告は極めて珍しいのではないでしょうか。かなり力が入っています。展示室での映像展示は無料です。会期は17日間と短めなので、興味のあるかたは早めにどうぞ。
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2012/01/13
建築とアート。近いようでもあり、離れているようでもあるふたつの存在。このふたつを結びつけた企画展が東京都現代美術館で開催されている「建築、アートがつくりだす新しい環境 ― これからの感じ」です。この企画展は東京都現代美術館と建築ユニットのSANAA(妹島和世と西沢立衛)の共同企画です。
会場に入ると、建築の模型とインスタレーションのようなもの(正確な表現ではないです)、そして映像作品が並んで展示されていて、普通の展覧会とはちょっと違う趣です。どのように見たらいいのかちょっと戸惑います。感じるままにいけばいいのでしょうが、建築の模型をみることとインスタレーションを感じることは違う回路を使っていることを実感させれます。
この企画展は現代美術館が企画する「東京アートミーティング」の第2回。「現代アートを中心に、デザイン、建築などの異なる表現ジャンル、およびその他の専門領域が出会うことで、新しいアートの可能性を提示します。」というかなり斬新的な企画。鑑賞者として、その力を試されているような感じですね。
新しい方向性を目指している東京都現代美術館の企画展です。この次は何をやってくれるの。大いに期待したいところです。
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2011/11/03
横浜トリエンナーレに行ってきました。暑い8月に見ているのですが、大学院の方とご一緒して、研究リサーチという名目で2回目の鑑賞です。11時過ぎに会場(横浜美術館)についたら、入場券を買う人の列ができています。100人ほどはいるでしょうか。トリエンナーレ、11時開場なので列が長かったのですが、ミュージアムで入場券売り場に人がこれだけ並ぶのは最近、あまり見たことがありません。
平日ですが、会期が今週末の6日までいうこともあって賑わっているのでしょうか。列に並んで気がついたことは、若い人から年配の方まで広い年齢層がきているということ。8月に見たときは、若い人がほとんどでしたが、おじさん、おばさんも結構います。
横浜トリエンナーレの情報ががマスメディアなどいろいろなルートで広がり、観客層を広げているようです。また、横浜美術館がメイン会場であることもいことではないでしょうか。前回のトリエンナーレではレンガ倉庫、BankArtなどロケーションがわかりにくいところでした。それだけでいく気を無くす人もいたはず、特に中高年はそうでしょう。今回は取りあえずみなとみらいの横浜美術館までいけばいい、という安心感のあるのかもしれません。
2回目で感じたのは、ちょっとしたことですが、グッズのこと。トリエンナーレ公式グッズがいくつかあるのですが、デザイン面での統一感があまり感じられなく、ここが残念。ここをしっかり作れば、がっちり儲けられたのに、と思いました。
いづれにしても、横浜トリエンナーレは11月6日までです。横浜散歩は、いまがいちばんいいシーズンです。ぜひどうぞ。
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2011/10/23
世田谷美術館が改修工事のため、7月から来年の3月まで長期間休館中です。その間、コレクションを活用して宮本三郎記念美術館で、宮本三郎作品以外を展示する企画展があり、これがなかなか面白い。4月から9月までは「アフリカの貌(かお)」と題してアフリカの現代作家作品が展示され、点数は少ないですが刺激的でした。
今月から「荒木経惟 ―人・街―」が開催されています。第1期の現在は1963年の《さっちんとマー坊》から1999年の《流石の花》まで7組の作品が展示。特に《さっちんとマー坊》、《中年女(おんな)》、《銀座》はスクラップブックに貼りこまれた複数の写真からなる作品集。全部を展示することができないので、現物の作品の横に置かれたディスプレイで作品の映像が映し出されています。
いちばんは《TOKYO NUDE》かな。アラーキーらしい女性のヌードと東京の街を並べて置いたモノクロ作品です。また美しくカラーで花を撮った作品もあり、様々な荒木経惟が楽しめます。
自由ヶ丘の駅から10分ほどの距離にある美術館は、こじんまりとしていて落ち着きます。世田谷区の余裕を感じました(笑)。
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2011/10/22
タイトルにひかれて見にでかけた国立新美術館の「 「モダン・アート、アメリカン」はちょっと期待していたものとは違いました。事前にウエブサイトをしっかり見ておけばよかっらのですが、「モダンアート」という言葉からジャクソン・ポロック、マーク・ロスコ、ジャスパー・ジョーンズらの作品がたくさん展示されていると思い込んでましたが、そうではありませんでした。
本展は「アメリカの19世紀後半からアメリカン・モダニズムの時代を経て、ポロック、ロスコに代表される戦後のアメリカ絵画隆盛期にいたるアメリカ美術の軌跡をたどります」(ウエブサイトより引用)とあるように、アメリカの近現代絵画の流れを見せてくれる展覧会です。作品はフィリップス・コレクションから110点が出展されています。
私にとっては展示されている多くの画家がはじめて名前をきく、という画家です。特に19世紀後半に書かれた作品の画家たちはほとんど馴染みがありません。どうしてもジョージア・オキーフのような有名な作品にひかれてしまいます。
チラシになっているオキーフの作品もいいですが、「私の小屋、ジョージ湖」が寂しさを感じさせ、ひかれます。
エドワード・ホッパーの「日曜日」もぽつんと座る男が印象的。
ただ、ロスコ、ポロックの作品は各1点だけしかありません。このあたりがちょっと残念でした。近現代アメリカのアートがわかる企画展です。なかなか勉強になりました。
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2011/10/11
お台場に東京カルチャーカルチャーというスポットがあります。ZeppTokyoの2階にあるNIFTYが運営しているライブスポットみたいなスペース。要は飲食しながらライブやトークを楽しめる場所です。ここで「ミュージアムトリップ vol.2 ~芸術の秋、感じる秋~」というトークショーがあり、でかけてきました。
Vol.2ということは前回に続き2回目ということですね。内容は、ミュージアムを研究されている二人の若い研究者によるお話し。まず、ミュージアムトリップ検定なるものをややることに。難しい。そのあと、「知られざる美術館のお仕事」と「簡単、アートの鑑賞術!」というあまり関連性のないテーマで、お二人のお話。
正直言ってあまり面白くなかったです。このトークショー、誰をターゲットにしているでしょう。ミュージアム愛好者、それともミュージアムにあまりいかない層。どちらにしても、話の内容が楽しくないと感じたのは私だけ? トークショーということで、司会者との掛け合いにはなっていますが、パワーポイントを見せてのトーク進行は、大学の授業は会社の会議とさして変わらない。トークショーなんだから、もう少し工夫があってもいいと感じました。なにせ1500円の入場料と飲食代を払っているのですから。
ミュージアムをこのようなトークショーにすることは難しいことだなと思いました。ミュージアムを扱うとしたら、Casa Brutusがやっているように美術館の建築というような変化球で攻めないと、魅力あるものにならないのかもしれない。ふと、そんなことを考えたカルチャーカルチャーのイベントでした。
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2011/10/08
東日本大震災で被害を受けた文化財を救い出すため、「文化財レスキュー」が文化庁と東京文化財研究所によって行われています。震災から半年が経過して、事業の成果を見ることができる「東日本大震災と文化財レスキュー展」(代官山のヒルサイドフォーラム)が現在開催中です。
昨日、行ってきました。文化財レスキューのことは4月に宮城にいったとき、この活動に関わっておられる方から現場のことをうかがいました。当時はまだ活動が始まったばかりで、これからのことをお聞きしました。展示では岩手県遠野市博物館が震災の被害にあった陸前高田市立博物館などの文化財修復作業を写真、映像で紹介されています。津波にあった文化財も展示されています。
また、被害が甚大であった石巻文化センターの作品修復作業も写真で紹介されています。石巻文化センターはあまり知られていませんが、彫刻家船越桂の作品をコレクションがあり、震災でこれらが被害を受けました。これらを山形の東北芸術工科大学で修復作業を行っていて、作業を記録した写真も展示されています。
文化財レスキューは地味な作業ですが、未来に文化を残していくということのために、とても重要なことだと思います。展示は10日までの開催ですので、興味のあるかたはせひ。
「東日本大震災と文化財レスキュー展」
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2011/09/11
写実絵画をみる機会は多くはありません。最近いった展覧会を思い出してみても、抽象絵画作品を見たことが多い。練馬区立美術館で開催されている特別展「磯江毅=ゲスタボ・イソエ」は、写実絵画の力をみる刺激的な展覧会です。
磯江毅(いそえつよし)という画家は、はじめて知りました。そのキャリアの大半をスペインで過ごしたアーティストです。高校卒業後、単身でスペインに渡り、画家として成功。後年日本でも活躍しますが、2007年53歳で亡くなっています。
磯江の作品は細かに描きこんだ写実表現が特徴です。静物、裸婦、動物、人物、どれも(ありきたりの表現ですが)写真をみているような完成度で描かれています。展示作品の中に、(確か)皮を剥がれた兎を描いた作品があったのですが、あまりにリアルすぎて思わず目をそらしました。
ここまで極めた写実表現ができる磯江の力量はすごい。そしてこの写実表現で画家は何を伝えたかったのか。目の前にある物、人の中にある何かを表現しているのではないか。私の感性では、残念ながらここまでしかわかりませんでした。
写実表現の面白さがすこしだけわかりかけた「磯江毅=ゲスタボ・イソエ」。練馬区立美術館らしい、派手さはないけれど、内容のある企画展だと思いました。
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2011/09/07
住宅というのは難しいものです。住む人にとっても、作る人にとっても、住みやすい家、住んでいて快適な家を実現するのは簡単なことではありません。「家の外の都市の中の家」 (東京オペラシティーギャラリー)は、都市という環境の中で、住宅のひとつのありようを見せてくれる展示です。
本展は第12回ヴィネチア・ビエンナーレ国際建築展の日本館で行われた「Tokyo Metabolizing」の帰国展。ビエンナーレでの<ハウス&アトリエワン>(アトリエワン)、<森山邸>(西沢立衛)に加えて本展独自の企画として<祐天寺の連結住棟>(北山恒)が加えられています。
展示されたどの住宅も、ひとつひとつに住まいが完全に閉じられておらず、隣の住まい、周りの環境が感じられるように作られています。隣人とほどよい関係をつくりなかがら暮らすことを目指す家といえばいいのでしょうか。東京という大都市での新しい住まいの提案です。
昨日はこの企画展の関連イベントとして北山恒さんと建築家の大野秀敏さんのトークイベントがあり、参加してきました。ここは大野さんの公共施設のあり方についてのことがとても興味深かったです(このことはいずれ)。
東京の住宅を考える「家の中の都市の中の家」、ちょっと面白い展示です。
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2011/08/28
東京都現代美術館で「名和昇平―シンセシス」 を昨日みてきました(今日が最終日です)。名和昇平というアーティストについてまったく予備知識がないうえ、事前にウエブサイトもほとんど見ないで出かけました。まったくのぶっつけ本番で拝見した展示ですが、かえってそれがよかったのか、展示空間を満喫しました。
展示されている作品はビーズ、プリズム、発泡ポリウレタン、シリコーンオイルなど固形素材や流動物と様々なものを使って作られています。そして立体物、ドローイング、映像、流れるものまで表現形式も様々です。会場を見ていくと、こんな作品が次々と登場して、飽きません。
名和は彫刻家を専攻し、ウエブサイトによれば自分を彫刻家としています。企画展のタイトルになっている「シンセシス」(synthesis)総合、統合、合成という意味。作品は、何をシンセシスしたのでしょう。難しいことは分からないのでそこは専門家にお任せして、素人は素直に刺激的な作品を楽しんできました。彫刻家、という先入観がかなり変わってしまった企画展でもありました。
また、MOTコレクション(常設展)もいい展示です。名和昇平と合わせてみると、これも刺激的でした。3月11日にいって、入れなかった現代美術館。久しぶりに心地良い展示空間で現代アートと触れてきました。
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2011/08/22
残念ながら昨日で終了してしまいましたが、最終日に「今、美術の力」( 東京芸術大学大学美術館)を見てきました。この展覧会は東日本大震災の被災地にある美術館の所蔵品から、震災,原発事故に関連する作品や、復興を支えるような表現をもつ地元ゆかりの作家による作品が借り出され、展示されています。
作品を出展したのは、震災で被害を受けた4県(茨城、福島、宮城、岩手)の茨城県近代美術館、茨城県天心記念五浦美術館、いわき市立美術館、岩手県立美術館、郡山市立美術館、水戸芸術館、水戸市立博物館、宮城県美術館の各美術館と茨城大学です。
展示は、3つのセクションに分かれています。
・セクション1 復興期の精神:これから復興に向かっていく各美術館の所蔵品から、その精神的支柱ともなるような作品が選ばばれいます。
・セクション2 岡倉天心 日本美術の再興者:東京藝大の前身である東京美術学校の創設に力を尽くした岡倉天心が、晩年思索の場所として建設した五浦海岸の六角堂が津波で流出した。ここでは岡倉天心ゆかりの作品六角堂の資料を展示。
・セクション3 美術の力:チェルノブイリ以降の世相を反映した現代美術を各美術館より集めて展示されています。
被災地の美術館からこれだけの作品を集めるのは、大変だったと想像します。復興のため、美術の力を集めようとする有意義な展覧会だと思いました。
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2011/08/17
目黒区美術館で開催中の「スケッチブックの使い方」 は、画家のスケッチブックを見せるという少し変わった企画展です。澤部清五郎(さわべせいごろう)と小川千甕(おがわせんよう)という二人の画家のスケッチブックを展示し、画家の創作過程をみせてくれる展示です。二人の画家とも初めて知りました。
澤部は1884年(明治17年)、小川は1882(明治15年)の生まれ 明治から昭和から昭和にかけて活動した画家です(ちなみにピカソが1881年生まれ)。その二人の厖大なスケッチブックからいくつかを再現(複写)して展示するものです。
スケッチブックに描かれた作品は、表現するものは備わっている完成品になっています。画家本人にとっては素描、習作、絵のメモ書き……、どんな意味をもってスケッチしたのでしょうか。今の時代ならデジカメで撮影、で済ましてしまうことも可能でしょうが、当時は画家にとってスケッチブックが必須だったのでしょう。
地味な企画展ではありますが、突っ込んで見れば見るほど味わえる内容です。画家とスケッチの関係を考えさせてくれる展覧会です。
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2011/08/12
先週から横浜トリエンナーレ2011が始まっていて、早々と行ってきました。今回のメイン会場は横浜美術館と日本郵船海岸通倉庫(BankART Studio NYK)の2カ所です。これに特別連携プログラムとして「新・港村 小さな未来都市)と「黄金町バザール」の2つが同時に開催されています。
今回のトリエンナーレの特徴として横浜美術館というミュージアムをメイン会場としていることがあげられます。前回の2008年のトリエンナーレでは赤レンガ倉庫、新港ピアといったいアート展示専用ではないスペース(いわゆるオルタナティヴ・スペース)での開催でした。トリエンナーレであればそのようなスペースでの開催が自然なのかもしれませんが、今回はあえてアート展示のハコである美術館を会場にするという企画がとても面白いと思います。
展示の内容はおおざっぱにいって、横浜美術館はインスタレーションなどの造形作品が中心。BankART Studio NYはビデオアートなど映像作品がメインという区分けになっています。前回のトリエンナーレ2008は正直言ってつまらなかったのですが、今回は楽しかったです。出展されている作品の質、方向性が整っていて、すんなり作品を向き合える感じです。また横浜美術館では所蔵品と出展作品を組み合わせて展示し、これが新鮮です。
特別連携プログラムも見ることができるセット券を買ったのですが、あまりの暑さに断念(笑)。あらためていくことにしました。会場はみなとみらい線から近く、また会場間を結ぶシャトルバスもあります。横浜散歩を兼ねて出かけるのもいいのではないでしょうか。おすすめです。
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2011/08/03
コレクターとアートの関係は長い歴史があります。古くはパトロンとしてアーティストを支えてきました。今の日本ではコレクターという存在はどれほどの重みを持つのでしょうか。こんな思いを持ちながら拝見したのが 損保ジャパン東郷青児美術館で開催されている「GROBAL NEW ART」 。本展はコレクター田口弘さんのコレクションを展示する企画で、その内容は現代アートです。
出展されているアーティストは、ロイ・リキテンシュタイン、アンディ・ウォーホル、キース・ヘリングといった海外の大物から村上隆、奈良美智、大岩オスカールという国内のアーティストまで多彩です。それに加えて私(だけが)知らない海外の刺激的な作家の作品もあり、これが大いに魅力的です。アーティストは一流なのに加えて、どの作品も質が高い。個人のコレクションとしては驚くべきレベルです。
田口弘はコレクターとして有名な方ですが、元々はミスミという会社の設立者です。日本のビジネスマンでここまでのアートをコレクションしている人がいるんですね。羨ましい。会場にはこのミュージアムには珍しく若者が多く、熱心に作品を鑑賞していました。現代アートとは、をちょっと考えさせられる展覧会でした。
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2011/07/30
アートフェア東京 に出かけてきました。震災の影響で、4月に予定されていたものが7月に延期されての開催です。アートフェア東京と「国内外のギャラリーが集結し、選りすぐりのアートを展示販売する、日本最大の美術見本市です」(公式ウエブサイトより)。画廊、ギャラリーが100以上、東京国際フォーラムに集まってのアートフェアです。
一般公開日は7月29日から31日の3日間。週末は混みそうな予感がしたので、昨日行ってきました。午後4時頃会場に着いたのですが、チケットを買うのに5分ほど待たねばいけないほどの混雑振りです。
会場に入ると、かなりの来場者で賑わっています。やはり若い人が多い。若い世代の興味は現代アートなのでしょうが、出展者のすべてが現代アートを扱っているわけではありません。出展している画廊、ギャラリーが現代美術から古美術までその内容は多彩です。
入場料を払ってまでこれだけの人が平日にもかかわらず集まるとは、ギャラリーのマーケットが小さくないことを感じます。ビジネスとしてのアートはどれほどの規模なのか。そこにとても興味がわきます。
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2011/07/27
気がついてみたら今週末で終わってしまう「パウル・クレー おわらないアトリエ」展をみてきました。これまでパウル・クレーの展覧会は幾度も開催されたきたので、何となく新鮮味を感じないためか、会期末に行くことになってしまいました。
しかし本展は展示が斬新です。年代を追っての展示ではなく、「クレーの作品は物理的にどのようjに作られたのか」という観点から展示が構成されています。具体的な「技法」とその技法が探求される場である「アトリエ」に焦点を絞ってクレーの創作過程を明らかにしようとしています。
展示は5つのセクションから構成されています。「アトリエの中の作品たち」が最初にあり、クレーのアトリエのイメージを再構成しています。それに続けてクレーの制作プロセスを4つに分類して作品をみせます。「油彩転写の作品」「切断・再構成の作品」「切断・分離の作品」「両面の作品」の4構成です。展示作品はスイスのパウル・クレー。センターを中心に国内外から集められた約180点と、かなりの点数でみごたえがあります。
平日にも関わらず、会場はかなりの人でした。鑑賞者の7割ほどは女性で「クレーって人気なんだな」と思わせる混雑振りにはいささか驚きです。
充実したパウル・クレー展でした。もっと早く見に来ていれば、と後悔しました。
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2011/06/27
昨日、絵画のオークションに参加してきました。ネット上ではYahooオークションなどには馴染みがありますが、現実のアートコレクションは初めてです。三菱商事が社会貢献活動の一環として、若手アーティストの育成とキャリア支援を目的とした「三菱商事アート・ゲート・プログラム」を行っています。このプログラムでは若手アーティストの現代アート作品を、公募により年間約200点、各作品10万円で購入。購入した作品を、三菱商事社内外で一定期間展示後、チャリティー・オークションにて販売し、その売上金は奨学金として還元する、という仕組みです。
このチャリティー・オークションが三菱商事の本社で開催されました。50点ほどの作品がオークションにかけられます。まずアーティスト本人による作品紹介のあと、オークション。1万円からスタートして5千円刻みで価格が上がっていきます。若手アーティストの作品ということもあって、落札金額は20万円以下が大半です。
オーション会場にはワイン、ソフトドリンク、軽食も用意され、くつろいだ雰囲気でオークションに参加できます。オークションという言葉から連想する堅苦しさはありません。オークションというのはちょっと怖いですね。その場の雰囲気でついつい高い金額でビッドしてしまいそうになります。危ない。オークションは事前に作品をみる機会があるので、そこでちゃんと見ておいて、入札する作品を決めておくことが必須です。
会社の社会貢献活動の一環として行っているというこの三菱商事アート・ゲート・プログラム。いまどき余裕がある活動だな、と感心してしまいました。
三菱商事アート・ゲート・プログラム
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2011/06/14
本郷近辺までいく機会があったので、トーキョーワンダーサイト本郷にいってみました。トーキョーワンダーサイトは東京都が運営しているアートセンターで、本郷の他に渋谷と青山にあります。本郷、渋谷は展示スペース、青山はクリエーター・イン・レジデンス(アーティスト・イン・レジデンス)です。
渋谷は何回もいったのですが、本郷にいくのは初めてです。場所は地下鉄本郷三丁目の駅から歩いて10分弱。JR御茶ノ水、水道橋の駅からも同じくらいの距離のようです。古めのビルの1階から3階のが展示スペースです。ウエブサイトによれば2001年にオープンということなので、すでに10年の活動実績があるわけです。
本郷は古い店が残っている静かな街です。ワンダーサイトがあるあたりも落ち着いた雰囲気ですが、その周辺にミュージアム、おしゃれな店などがあるわけではなく、わざわざいくことになります。ワンダーサイト渋谷は渋谷パルコの向かい側といういいロケーションなのにくらべ、ちょっと恵まれない場所ではあります。
ちなみに、今はーキョーワンダーウォール(TWW)の入選者から選ばれたアーティストによる個展TWS-Emergingが開催されています。4アーティストの展示では、Takiguchi(男性ユニット)の「クリスタル」が気に入りました。
なかなか魅力的なスペースですが、私にとってはちょっと不便なところにあるのが残念。こんどはいつこられるかな。
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2011/06/11
上野方面に用事があったので、国立西洋美術館で「光と、闇と、レンブラント」 を見てきました。日曜美術館でも特集していたし、話題の展覧会みたいでもあるし、もうすぐ終了なのでいってみようかと美術館に。
レンブラントは光の魔術師、また光と影の魔術師とも呼ばれます。日曜美術館ではレンブラントが用いたレンブラントライトについて、かなり時間を割いて解説をしていました。これを見たせいで「光と、闇と、レンブラント」展では、レンブラントライトの技法を用いた油彩画が多く出展されていると思い込んでいました。
しかし本展で展示されているのは、多くがが版画作品です。ウエブサイトによれば「約110点の版画を中心に、レンブラントの明暗表現の特徴を示す約15点の絵画と素描」とあるので、展示の9割方が版画作品です。
レンブラントはエッチング、ドライポイントなどの技法を使った銅版画作品を多く残しています。本展で展示されているのは、350年以上も前の作品でありながら、高い質の作品ばがりです。またレンブラントは和紙に刷った作品もあります。同じ作品を紙による仕上がりの違いを見せる展示もあり、とても興味深いものがあります。
版画家としてのレンブラントを堪能できる展覧会です。ただもう会期末のせいか、平日なのにかなり多くの来場者でした。版画って、大きくないので人が多いとよくみえないんですよ。作品のそばでじっくり見たいところですが、それどころではないわけです。鑑賞者は、老若男女、年配者も若者もいました。レンブラントってこんな幅広いファンがいるなんて、かなり意外です。でも、来場者の多くはちょっと期待はずれだったのでは。やはり、レンブラントといえば油彩ですからね。
会期は明日まで。レンブラントの版画がお好きな方は、ぜひどうぞ。
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2011/06/03
日吉の大学にいくと、35年前にもあった校舎がまだ使われていて、懐かしい感じがします。その時は20歳、いやいや恐ろしい。この頃は、何をしていたのか、ほとんど思い出せません(笑)。
平塚市美術館で開催されている「画家たちの20歳の原点」 は、題名のとおり画家が20歳の頃、どんな作品を描いていたかを、その思想とともに紹介する企画展です。美術館開館20周年記念展で20歳、それに学芸員なら誰でも思いつきそうな企画ではありますが、内容はかなり充実しています。
「20歳の原点」というテーマでは、20歳まで生き抜いた画家が対象となるため、その数は膨大です。その中から、油彩作品に絞り、そこに明治、大正、昭和、現代という時代のカテゴライズで展示を構成しています。20歳は、そこまで生きられた人間にとっては、誰にでも同じ20歳です。しかし、夭逝した画家にとっては、20歳での作品はひときわ重みを持ちます。本展では、関根正二、村山槐多、松本竣介、石田徹也といった若くしてこの世を去った画家を取り上げたことで、展示を一層存在感のあるものにしています。
全体をみて感じるのは、自画像が多いこと。20歳の頃って、自分のこと描きたくなるんでしょうか。私など自分のこと描きたいなんて思いませんよ、恥ずかしいもの。
また数ある作品の中で興味をもって拝見したのは森村泰昌の作品。いまやセルフポートレイトの巨匠ですが、20歳の頃の作品は風景画。キュビズム風でもあり、カンディンスキーの抽象絵画に至る前の作品のようでもあり、今の森村作品とはまったく違う作風に驚きます。
展示会は萬鐵五郎作品から始まります。これは岩手県立美術館所蔵です。また関根正二の「姉弟」などの作品は福島県立美術館の所蔵。この企画展の開催に際し、作品の借用には苦労があったと推測します。これだけの作品を、被災地を含め全国のミュージアムや作家本人から集めたという点でも、有意義な展示だと思います。会期はあと10日ほど。素敵な企画展です。ぜひどうぞ。
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2011/05/21
今日の日経新聞文化欄に「アート復興、NPO機敏 被災地と支援者結ぶ 」と題され、被災地への文化復興へのNPOの動きが紹介されています。記事によれば、
「機敏な非営利組織(NPO)が、現地を支えるネットワークを構築している」
とあります。
いくつか記事から紹介します。まず、宮城県南三陸町で「生きる博覧会2011」を行っているENVISI。昨夏、このENVISIはアートプロジェクトである「きりこ」プロジェクトを手がけました(きりこは神社の宮司さんが作る、神棚を飾る白い切り紙のこと。宮城県には独特の美しい絵柄の「きりこ」が多く、大漁や安全を祈願して、多くの種類のきりこがあります)。その南三陸町が津波で大きな被害を受けました。アートによる支援としてこのイベントは企画され。5月11日には慰霊の集いを開催。この模様はネットによって避難所に中継されました。
また、仙台では演劇人が「アートリバイバルコネクション東北(Art Revival Connection TOHOKU )」を発足させました。
「被災の現場で求められる活動を調べ、俳優による絵本の読み聞かせやダンサーによるストレッチ体操などニーズに応じてアーティストを派遣」(日経新聞)
仙台市は演劇の活動が盛んな街です。アートリバイバルコネクション東北では「場を失った東北のアーティストが他地域で発表できるよう協力を仰ぎ、仕事のない舞台スタッフに仮設住宅建設の職などを求めていきたいという」といいます。
これらの活動をささえるのは、民間の支援団体。企業メセナ協議会はGBFund(東日本大震災 芸術・文化による復興支援ファンド)を設立。4月19日に第1次助成245万円を計11活動に助成することを決めました 。NPO法人アートNPOリンクは、「アートNPOエイド」を立ち上げ、寄付募集を始めています。
復興支援の活動はこれからも続きます。どこかでお手伝いできないかと思っています。
”生きる”博覧会2011
アートリバイバルコネクション東北
アートNPOエイド
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2011/05/19
謎の浮世絵、東洲斎 写楽。その正体については諸説があります。葛飾北斎、喜多川歌麿、円山応挙などなど、様々な人物の名前が挙がっています。
10日ほど前、NHKで放映された「浮世絵ミステリー 写楽 ~天才絵師の正体を追う~」では、その正体はこれまでももっとも有力であるとされてきた能役者の斎藤十郎兵衛と断定していました。これは2008年にギリシャで発見された写楽によりものとされている肉筆画が大きな証拠とされています。
東京国立博物館で開催されている「写楽」は、謎に包まれた浮世絵師の全貌をみせてくれます。写楽の作品は、現在確認されているものが146点。このうち142点がこの特別展で見ることができます。作品は国内外の美術館から良質なものが集められています。
写楽が活動したのはわずか10ヶ月。それにも関わらずこれだけの輝きを今に残している魅力は何だったのか。それは独特の線で表現された大首絵ではないかと、感じました。短い活動期間でしたが、この独特な大首絵を描いた期間はほんの一瞬です。それ以後、写楽ははっきり言えば、ありきたりの浮世絵表現に陥ってしまいます。
浮世絵といえば、喜多川歌麿、葛飾北斎に目がいっていました。写楽をじっくりと見ることができる良質な展覧会だと思います。ただ、会場には中高年の来場者が大半を占め、若者の姿は少なかったです。東博で以前開催された北斎展のような混雑度ではありませんでした。
とはいえ、展示には工夫が凝らされ、魅力的な展覧会です。これだけの写楽が集まるのはもうないかもしれません。おすすめです。
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2011/04/17
被災地でのミュージアム被災状況が少しずつ伝えられていますが、優先順位から考えれば、まだやることが多々ある現状から、状況の確認はまだこれからのようです。昨日、慶應義塾大学で公開講座「被災ミュージアムの支援と危機管理対策」に参加してきました。ウェブサイトによれば、
「このたびの東日本大震災により、関連地域各ミュージアムとその文化財、美術品をはじめ、図書館、ホール、劇場など建造物が大きな被害をうけました。被災状況を最新のデータと現場の実態をまじえて報告し、ミュージアムへの支援問題と文化施設全体の危機管理対策を、国内外の事例をもとに検討します」
とあります。
どの発表も興味深かったですが、特に文化庁文化財部美術学芸課栗原祐司氏が紹介された「文化財レスキュー」事業です。これは、
「東北地方太平洋沖地震被災文化財等救援事業(以下「救援事業」という。)は、東北地方太平洋沖地震によって被災した文化財等を緊急に保全するとともに、今後に予想される損壊建物の撤去等に伴う我が国の貴重な文化財等の廃棄・散逸を防止することを目的とする」
というもので、3月30日に文化庁より発表されています。文化財を助け出す、という緊急事業。いまのところ予算も十分ではないようですが、すでの調査官が現地に赴いているとのことです。
また、情報共有サイトとして、<saveMLAK>が立ち上がっています。プレスリリースから引用すると、
「博物館・美術館(Museum)、図書館(Library)、文書館(Archive)、公民館(Kominkan)(以下、MLAK)の関係者及び支援者では、上記各施設の被災情報・救援情報を集約した「saveMLAK- 博物館・美術館、図書館、文書館、公民館(MLAK)の被災・救援情報サイト」
ということです。
震災との戦いはまだまだ続くと思いますが、できることから支援をしていいくことが必要であるし、それも継続的に行うことが大事だと、改めて思いました。
この公開講座、30日に第2回が行われます。
「公開講座 被災ミュージアムの支援と危機管理対策」
文化財レスキュー事業
saveMLAK
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2011/04/04
この春、開催を楽しみにしていた美術ファンも多かったと思われる「プーシキン美術館展」(横浜美術館)が、中止になってしまいました。当初は会期を延期との発表がされたんですが、オープニングの前日になって、突然のような中止の発表がありました。
ウエブサイトによれば、プーシキン美術館とロシア連邦文化省から、震災や津波、これに伴う原発事故などの諸状況から、作品を貸し出すことができないと伝えられたとのこと。仕方がないとも言えますが、あまりに唐突。この展覧会、大好きなルノアールが出品されているし、朝日新聞から招待券ももらったので、始まったら早速行こうとおもってたんですが・・・・・・。
海外から作品を借りる展覧会でも、会期繰り下げで行うものもあります。本来、明日から始まるはずだった東京国立博物館での「写楽」は、5月1日開幕に変更。この企画展も面白そうですが、欧米のミュージアムから借用作品もあり、予定されいた作品はすべて借りられたのでしょうか。ちょっと気になるところ。
手元に「プーシキン美術館展」のチラシがあります。2種類のチラシがあって、かなり力が入っていた様子がうかがわれます。残念です。
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2011/04/03
目黒区美術館で開催されている「包むー日本の伝統パッケージ展」 を先日みてきました。本来なら今日で終わる予定が5月22日まで延長になりました。次回予定されていた企画展「原爆を視る 1945-1970」が延期になったためです。
パッケージといってしまうと、なんとなく今風なものを思い浮かべてしまいますが、展示されているのは、日本のちょっと昔の商品で、パッケージというより、包むという言葉で表現した方がしっくりするものです。展示されているのはグラフィックデザイナーの岡秀行さんがかつてコレクションしていたもので、現在は目黒区美術館で所蔵しています。
会場では、商品を包んでいる「木」「竹」「笹」「土」「藁」「紙」という素材に分けて商品を展示することで、日本の伝統的の中で育まれてきた「包む」ことをみせます。これをみると、日本の美意識、美しさに対する鋭い感性が表されていると思います。
現代では包む、ということへのこだわりは少なくなっています。工業デザインによる味気ない商品パッケージが溢れる中で、本展でみることのできる包まれた商品からは新鮮な思いを感じます。
まだしばらくやってます(笑)。和、伝統、商品デザイン、なんかに興味がある方にはいいかもしれません。ぜひ。
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2011/03/25
生誕100年を迎えた岡本太郎の目玉とも言うべき「岡本太郎展」を見てきました。会場は平日にもかかわらず賑わっていました。ほとんどが若者です。マスメディアでの広告宣伝の効果でしょう。
さて肝心の展示ですが、正直言ってちょっと期待はずれでした。「岡本太郎だから」という根拠のない期待感があったのですが、展示されていた作品からは強い刺激を受けませんでした。作品は油彩、立体作品、写真、商業制作物などさまざまですが、それらから受けるものは画一的なものです。「こんな表現があったんですね」というものは少ない。特に油彩画は表現されているものが、なんか同じような気がするんです。
岡本太郎本人は特異なキャラクターの持ち主です。そのキャラクターが作品に顕れていないと感じます。ミュージアムの情報サイトartscapeに本展のレビュー があります。先入観をもって見てはいけないと思い、レビューを読まないでみにいきました。鑑賞後、このレビューを読ませていただくと、私がぼやっと感じていたことが的確に書いてあります。
岡本太郎は、著書での言葉、行動を追っていったほうが、刺激を与えられるかもしれません。ちょっと不満が残った岡本太郎展でした。
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2011/03/02
先月、開催2日目にいったのに書いていなかった「シュルレアリスム展」 、いまさらですがちょっと感想を。本物のシュルレアリスムをみせてくれるすごい展示会です。本展は、パリのポンピドゥセンター所蔵作品で構成されています。作品の質が高いのも当然ですが、展示されているアーティストの選択がとても興味深いものがありました。
そもそもシュルレアリスムとは何なのでしょう。ブリタニカ百科事典によれば、
「超現実主義。第1次世界大戦後、ダダの流れをくみながらその破壊的な性格を否定して建設的方向に転じた文学、美術の革新運動。ブルトンが1924年に『シュルレアリスム宣言』を発表してこの運動を明確なものにした」
とあります。美術史で勉強した内容を思い出しました。
美術領域ではシュルレアリスムで作品を表現した画家として、ブリタニカによれば、1925年のグループ展にアルプ、エルンスト、キリコ、A・マッソン、マン・レイ、ピカソ、クレー、ピエール、ロアなどの作品が展示され、その後にタンギー、ダリ、ピカビア、マグリット、ジャコメッティら多数が参加した、とあります。シュルレアリスムに関わったアーティストはこれだけいるんですね。素人な私には、マグリット、デルヴォー、ダリくらいしか思い浮かびませんが、シュルレアリスムはもっと幅広いアーティストを含んでいます。
展示されている作品をみていて、不思議に感じたのはシャガールがないこと。シャガールこそ、シュルレアリスムでしょ、と思うのですが。調べてみると、アンドレ・ブルトンはシュルレアリスムの先駆者の一人としましたが、シャガール自身は自著で超現実主義者であることを否定しています。それで、出展されていないんですね。納得しました。
ちょっと長くなってしまいましたが、すごくおすすめの展覧会です。ぜひどうぞ。
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2011/03/01
2月26日に生誕100年を迎えた岡本太郎。記念の年ということで、岡本太郎が少しずつ盛り上がっているのを感じます。誕生日の日から始まったNHKのテレビドラマ「TAROの塔」もなかなか面白かったです。来週からは国立近代美術館で「岡本太郎展」が始まります。
この流れに合わせて今月号の芸術新潮は岡本太郎の特集「岡本太郎を知るための100のQ&A」です。この特集にひかれて久しぶりに芸術新潮を買ってきました。Q&A形式で、岡本太郎の魅力に迫ろうとという企画です。とても興味深い内容で、充実しています。
「人生編」と「表現編」に分かれていて、それぞれ50のクエスチョンとアンサー。人生編は岡本太郎記念美術館館長の平野暁臣さん、表現編は美術評論家の椹木野衣さん、国立近代美術館の大谷省吾さん。どの質問も面白い。
読んでいて気づいたのは、岡本太郎のことほとんど知らない、ということです。太陽の塔とか、芸術は爆発だ、以上のこと、分かっていませんね。そもそも岡本太郎は画家?それとも彫刻家? そんな分類に入れてはいけないの?
その答えが少しだけ分かる芸術新潮の特集です。さて、近代美術館での岡本太郎展が楽しみになってきました。
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2011/02/26
チケットをいただいたので、森美術館で開催されている「幽体の知覚 小谷元彦展」を見てきました。小谷元彦は作品を初めて拝見するアーティストです。東京藝大で彫刻を専攻されたということですが、展示されている作品は多様な表現形態です。彫刻、写真、映像、インスタレーション、装束などと、いくつもの表現を使って作品を作り上げています。
ウエブサイトによれば、小谷はしばしば痛みや恐怖などの身体感覚や精神状態をテーマにして作品をつくるとのこと。作家のメッセージを十分に受け取れていないと思うのですが、会場で作品を見ていると、なにか強い刺激を感じます。ざわざわする刺激です。
いちばん刺激的だったのは、<インフェルノ>。内容はうまく説明しづらい。実際に体験してもらうのがいいのですが、作家が映像彫刻としている、いわば体験型インスタレーションです(ここにイメージがあります )。
先日見た佐藤忠良も、そして小谷元彦も彫刻家。世代の違いはありますが、その表現されているものは、まったく違って見えます。彫刻って、難しいな。この小谷元彦展は明日まで。刺激を求める方はぜひ。
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2011/02/20
昨日、世田谷美術館で講演会「佐藤忠良のしごと」を拝聴してきました。これは、佐藤忠良展の関連企画です。正直いって佐藤忠良の作品はよく理解できていないのですが、講演をきかせていただいて、理解する方法が、少しだけわかりました。
佐藤忠良展に「ある造形家の足跡」というサブタイトルが付けられています。彫刻家ではなく、造形作家としたのは、佐藤忠良の彫刻家としての作品に加え、絵本の絵、新聞小説の挿画や制作に関わった美術の教科書も展示されています。造形作家としての佐藤忠良を見据えた展示になっているわけです。
講演で教わった内容で、特に感銘を受けたのは、佐藤忠良が編集に関わった美術の教科書のこと。現代美術社という出版社からだされていた小学校、中学校、高校向けの美術、図工の教科書に関わりました。講演会で佐藤が教科書に書いた文章を資料としてもらいました。(うっかり聞き損ねたのですが確か)高校の教科書『美術・その精神と表現』にある「この本を読むひとへ」という文章です。佐藤は志賀直哉が飛鳥、奈良の美術写真の選を依頼されたとき、関西に住んで、2年に渡りもの見て歩いて選びました。優れた感性を身につけた志賀直哉が、実際にその場所に住んで、生活の原点に立ち、心の目で見ようとしていることとして、佐藤は学ぶべきことが多いと評価しています。
そしてこのように書いています。
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2011/02/19
アートセンターの3331 Arts Chiyodaで一昨日から「TOKYO FRONTLINE」が開催されているので、みてきました。これは、新しく始まったアートフェアです。3331 Arts Chiyodaは、もとは中学校だった建物を使って昨年春にオープンした新しいアートセンターです。
秋葉原、御徒町、そして湯島に囲まれた場所にある中学校の建物でのアート展示は、ちょっと変わった気持ちにさせてくれます。越後妻有トリエンナーレでも廃校の校舎を使っての展示がありましたが、そこはやはり廃校、というイメージがつきまといます。それに対して、都会の真ん中にある中学校の校舎は、なにかまだ息づかいが感じられ、廃校という感覚にはなりません。
こんなアートスぺースでのアートフェアは、ちょっと面白い感覚です。特に2階の展示は、もともと体育館だったスペース だったこともあり、開放感があります。アートと体育館が妙に調和しています。展示されていた作品の中には、いくつも気になるものがありました。特に気に入ったのは宮本佳美さんの作品。モノクロで精緻に描かれた植物の惹かれます。
会場は平日にもかかわらず、若い来場者で賑わっていました。アートを身近に感じられるアートフェア、楽しいですね。
TOKYO FRONTLINE
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2011/02/11
毎年恒例の「文化庁メディア芸術祭」 をのぞいてきました。昨日行ったのですが、平日にかかわらす会場はかなりの混雑です。メディア芸術祭は、恵比寿の写真美術館でやっていた頃にみたきり(何年前だろう)なので、とても久しぶり(なにせ、開催期間が短いのでつい見逃します)。写真美術館でやってた頃は、休日でもそんなに混んでいなかったのですが、いつからか人気のイベントになってしまったんですね。
会場に来ているのは、ほとんどが若者。私はほぼ最高齢(?)です。芸術祭は、「アート」「エンターテイメント」「アニメ」「まんが」の4部門がありますが、いちばん刺激的なのはアート部門です。受賞作品には、インスタレーションや造形作品もありますが、多くはなんらかの映像を使ったもの。映像というメディアがないと作品がなりたたない、といった感があります。ここでのメディアはどこまで含めるんでしょうね。
文化庁含め国が振興に力を入れているのがこのメディアアート。これだけまとめて見る機会はあまりありません。確かに見ていて楽しく、刺激的。楽しい時間を過ごしました。
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2011/02/06
すでにご存じの方のおられると思いますが、先週からグーグルの新しいサービス「Art Project」が始まっています。
ネットでの報道を引用します。
「米ネット検索最大手グーグルは1日、道路沿いの風景をネットで提供する「ストリートビュー」技術を応用し、世界の著名な17の美術館の内部を周遊できるサービス「グーグル・アート・プロジェクト」を始めた。
対象は米メトロポリタン美術館やロシア・エルミタージュ美術館、英国立美術館などにある千点以上の作品。各美術館の協力で撮影された。ストリートビューと同じ操作で、自分で歩いて見て回るような感覚で鑑賞できる」(asahi.com 2011年2月2日)
報道にありませんが、ニューヨーク近代美術館、テートギャラリー(ロンドン)、フりーア美術館(Freer Gallery of Art)、ゴッホ美術館(アムステルダム)などが含まれています。各美術館はストリートビューのように館内を見てまわれ、いくつの作品は高解像度で鑑賞ができます。まだざっとしか見ていないのですが、ニューヨーク近代美術館ではセザンヌ、ゴッホ、ルソー、シスレーなどの作品がありました。
グーグル、やりますね。日本のミュージアムにはオファーなかったのでしょうか。このような公開の方法の是非については論議されるべきですが、基本的な方向としてはいいことだと思います。グーグルのアートプロジェクト、これからどう発展していくのか、大いに注目です。
Art Project by Google
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2011/01/31
「日本画」の前衛、という興味をそそるなタイトルの展覧会が、国立近代美術館で開催されています。先日、近くにいく用事があったので、見てきました。そもその「前衛」というのは、美術では何を意味するのでしょう。手元にある広辞苑には前衛=アバンギャルドとして、
「20世紀初め以来ヨーロッパでの、既成の通念を否定し未知の表現領域を開拓しようとする芸術家、芸術運動(立体派・表現派、・ダダイズム・抽象派、・超現実派)を指す」
とあります。キュビズム、シュルレアリスム、抽象主義などが前衛ということです。
この展覧会では日本画での前衛をテーマにしています。チラシには
「もし、伝統に近しい『日本画』の領域に真に革新的な表現が生まれたとしたら、それこそ『前衛』と呼ぶにふさわしいのではないでしょうか」
とあります。
堅苦しいことを書いてしまいましたが、この展覧会では1930年代後半に描かれた日本画にとって新たな表現で描かれた作品を展開しています。素人なので細かな表現はできませんが、シュルレアリスム、キュビズム、抽象主義の影響を受け、明らかにその方法論で描かれた作品が並びます。日本画の画材が使われていますが、表現はアヴァンギャルドです。すごく、面白いです。
1910年以降、西洋での抽象主義、キュビズム、シュルレアリスムの流れで生まれた作品が好きな私としては、この日本画の前衛もとても刺激的で、楽しいです。洋と和の融合、と言ってしまうと紋切り型の表現になってしまいますが、まさしく日本画の新たな表現の誕生でしょう。
予想以上に楽しんだ展覧会でした。青学学生の身分だと250円でみられるので、会期中にもう一度行こうと企んでいます。
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2011/01/28
東京オペラシティーで開催している「曽根裕展 Perfect Moment」を見てきました。なんとも不思議な展示です。曽根裕の作品をみるのはもちろんはじめてです。メインの展示室には、ジャングルのように木が配された中に、大理石で作られた彫刻作品が置かれています。ここで何かを感じることが出来ればいいのでしょうが、私の鈍い感性ではよく分かりませんでした。
別な展示室では、ビデオ映像が2つ映されています。ひとつは曽根本人が登場して、誕生日を祝うシーンがいくつも続く『バースデイ・パーティ』。高い評価を得た映像作品とのことですが、私にはこれもよく分からなかったです。
曽根は東京藝術大学で建築を専攻しています。作品は、彫刻、映像だけでなく、ドローイング、油彩など幅広い表現形式で展開しているとのこと。この展覧会だけ見ただけでは、おそらく魅力はわからないんでしょう。私にとってはハードルが高い展示でした。
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2011/01/21
MCDNというところの勉強会 に出掛けてきました。ここの勉強会に参加するのは2回目で、今回は「アートとWEBサービスの最新動向」がテーマ。アートファンならご存じの方も多いと思いますが、東京のアート・デザイン展ガイドサイトであるTOKYO ART BEAT の設立者の藤高晃右さんがスピーカー。
ウェブを活用したアートの動き、主にアメリカでのサイト状況はとても興味深いものがありましたそお話もとても面白かったのですが、藤高さんのキャリアも興味深いです。美術の教育を受けていないのに、アートのウェブサイトを作ってしまうところが凄いです。改めてTOKYO ART BEATを見てみると、ほんと沢山の情報が載っています。これだけの情報を集めるだけでも大変でしょう。有料にしてもいいくらいです。
TOKYO ART BEATから昨年末に「ミューぽん」 なるiPhone アプリが出ています。都内の美術館の割引券アプリで、現在19のミュージアムで使えます。私も昨年末手に入れたのですが、忙しくて最近ミュージアムにいっていないため、まだ使っていません。
TOKYO ART BEATの大きな特徴は、美術館とギャラリーなどのアートスペース、両方の情報がカバーされているところです。ミュージアム好きとギャラリー好きは、客層が分かれていると思うのですが、その垣根を取り払って、両方の情報を提供してるのは、すばらしいことです。これだけのウエブ、もっと使わせていただかないともったいないです。こまめにチェックさせていただきます。
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2010/12/28
世田谷美術館で久しぶりに佐藤忠良の彫刻に再会しました。先週から開催されている「ある造形家の足跡 佐藤忠良展」 は、宮城県美術館の所蔵品を中心に本展では、ブロンズ彫刻、素描、絵本・挿絵原画など、全約250点が展示されている、東京の公立美術館では初めての本格的な回顧展です。
仙台に住んでいた頃、宮城県美術館に何十回もいったと思いますが、時間があるときは佐藤忠良記念館に寄りました。そのとき幾度となく拝見している作品があり、懐かしい気持ちになりました。子どもの躍動感が表現された「ふざけっこ」やホームラン世界記録を打ち立てた王貞治さんをモデルにした「記録をつくった男」など、モデルとなった人の気持ちが伝わってくるように感じる作品が並びます。
正直いって、私にとって彫刻というのはなかなかハードルが高い。佐藤忠良の作品は、彫刻は人間をつくり、具象彫刻です。当然ですが、分かりやすいということが言えます。あまり深く考えないで、素直に作品を楽しめばいいのではないかと、勝手に思っています。
世田谷美術館では珍しい彫刻の企画展ですが、これだけの傑作をまとまってみられるのはめったにありません。失礼ながらすごく混雑するような展覧会ではなさそうなので、時間かあるときに再訪して(実は修士論文作成のため、展示室の流れをみるのが目的でした)、ゆっくり鑑賞しようと思っています。
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2010/12/21
日経新聞の昨日夕刊に企業メセナ協議会の話題がありました。今年度のメセナアワード2010で大賞をうけた中村ブレイスの活動が紹介さています。この会社の地域貢献の活動はすごいです。日経の記事を引用します。
「中村ブレイスの本社がある島根県大田市の大森町は人口約400人。かつて石見銀山で栄えた町は谷間にひっそりと息づく。自宅前の納屋で義肢装具を作る会社を興して36年、中村俊郎社長は郷土のために古民家を改修し、飲食店などに貸し出してきた。35軒の空き家がよみがえり、美しい町並みが保たれた。(日経新聞・12月20日夕刊)」
中村ブレイスはウエブサイトによれば「従来の義肢装具製作に新素材や新技術を取り入れる研究を重ね、新感覚の義肢装具、医療器具をオリジナル開発」とあります。医療現場にいる方なら、ご存じの会社なのでしょうね。この会社では、メディカルアート研究所を持っています。これは、「従来の義肢製作の視点にアートの概念を取り入れた新しい考え方が求められる」という理由です。
中村ブレイスの従業員は70人。この会社の活動は、企業がどう地域貢献を行うかに対する回答です。
※詳しくはここを。
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2010/12/11
好きな画家のひとり、ヴァシリー・カンディンスキーの作品がまとまって見られるという「カンディンスキーと青騎士展」にいってきました。場所は三菱一号館美術館。ここ開館まえには見学させてもらいましたが、美術館がオープンしてからは、なんと初めてです。
カンディンスキーを中心として展開された芸術運動「青騎士」は美術史で昔習いました。この展覧会、ミュンヘン市立のレンバッハハウス美術館の所蔵する青騎士コレクションを展示しています。これは美術館が改装のためで、カンディンスキーなどの作品がごそっと日本にきているわけです。
美術史的に言えば、抽象絵画を創始した1人が、カンディンスキーだと言われているようです。確か、1910年頃でしょうか。本展では、この年を跨ぐ1901年から1913年までのカンディンスキー作品がみられます。特に興味深くかったのはまだ具象画を描いていた時期の作品。この時期の作品は宮城県美術館の「商人たちの到着」の黒い背景の印象が強く、明るいイメージがありませんでした。
しかし、本展では色鮮やかな具象画がいくつもあり、少し驚き、大いに感動しながら、絵を楽しみました。カンディンスキーにとっては珍しい肖像画もあります。ただ少し残念なのは、幾何学的な絵画を描いた作品がなかったことですが、あれもこれも望んでもいけません。
これだけカンディンスキーと青騎士たちの作品がまとまってみられる機会はそうありません。おすすめです。
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2010/12/04
今年で企業メセナ協議会ができて20年だそうです。そもそも芸術に関心のない方は(そのほうが多いはず)、メセナ、ってなにと思われるかもしれません。私の復習のために、調べました。「メセナ」[mecenat]という言葉は、芸術文化支援を意味する、フランス語です。 日本では、1990年に企業メセナ協議会が発足した際、「即効的な販売促進・広告宣伝効果を求めるのではなく、社会貢献の一環として行う芸術文化支援」という意味で「メセナ」という言葉を導入し、一般に知られるようになりました。 企業メセナ協議会では、毎年メセナアワードを企業に授与しています。昨日、その授与式とシンポジウム「創造的で活力ある社会のために」 があり、参加してきました。シンポジウムの内容は、パネルディスカッション。パネリストはこの方々です。 林原 健 ([株]林原 代表取締役社長) 矢崎 和彦 ([株]フェリシモ 代表取締役社長) 鷲田 清一 (哲学者/大阪大学総長) 福原 義春 (企業メセナ協議会会長) シンポジウムそのものは、パネリストが自分の話したいことを話して(みなさん長ですから)、結論めいたものもなかったです。ちょっと肩すかしかな。 いま、メセナをする企業は増えているのでしょうか。この景気の影響をうけていないのでしょうか。そんなところが聞きたかったのですが・・・・・・。 会場の東商ホールは、半分くらいしか席が埋まっていませんでした。企業メセナ、あまり熱いものを感じなかったのは気のせいでしょうか。
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2010/11/25
MCDNという団体があります。Museum Career Development Networkの略で、慶應の岩淵教授が中心となって立ちあげたもので、団体名をそのまま理解すると、ミュージアムで仕事することを開発するネットワーク組織でしょうか。ここに団体のミッション・ステートメント があります。
そのMCDnが主催したイベント「アートと民主主義、そして日本の未来」が昨晩、市ヶ谷の法政大学で開催されました。かなり大きなテーマを想像させるタイトルですが、それだけのスピーカーが登壇した充実した内容でした。スピーカーを紹介すると、
・荒川裕子さん(法政大学キャリアデザイン学部教授) 西洋美術史、文化組織マネジメント
・上山信一さん(慶應義塾大学総合政策学部教授) ミュージアムマネジメント、地域再生、経営戦略、行政評価
・内山融さん(東京大学大学院総合文化研究科准教授) 日本政治、比較政治研究
・金山喜昭さん(法政大学キャリアデザイン学部教授) 博物館学
・斉藤淳さん(イェール大学政治学科准教授) 日本政治、比較政治経済学
・渡辺真也さん(インディペンデント・キュレーター) 現代美術
と所属だけで判断してはいけないのですが、多様な方々から参加されています。
内容は、いま各地でブームのようになっている地域のアートプロジェクト(瀬戸内国際芸術祭とか愛知トリエンナーレがそれにあたります)の問題点をきかっけに、多方面に話題が及討議となりました。予定では、70分のイベントでしたが、実際は2時間行われました。これけのスピーカーなら、3,4時間はできますよね。
会場には60人以上の人が参加、USTREAMでも中継がされました。アートのことをこれだけ真剣に考えている人達がこれだけいる、というのが正直な感想です。MCDNの今後の活動に期待したいと思います。
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2010/11/21
先日、大学の授業が始まるまえに、先生からある署名を頼まれました。日本芸能実演家団体協議会(芸団協)が行っている文化予算の占める割合を国家予算の、今の0.11パーセントから0.5パーセントにしようという署名活動 です。単純に比較はできないですが、フランスなんか0.86パーセントですからね。ほんと日本は文化予算か少ない。
それに関連したことですが、昨日の日経新聞文化欄に掲載されていた記事によると、日本にも「アーツカウンシル」をつくろうという動きがあるとのこと。そもそもアーツカウンシルの定義が分かっていない私ですが、新聞を引用してしまうと、
「名前の由来となったアーツカウンシルは英国の誇る文化芸術の助成機関。第2次大戦後、経済学者ケインズの提言で生まれた。公的組織ながら政府から独立した存在であり、質の高い芸術の創造を支えてきた」(日経新聞・11月20日)
アーツカウンシルって、ケインズの発案とは知りませんでした。記事によれば、文化庁は来年度から「日本版アーツカウンシル」の試行的な導入を目指すといい、来年度の概算要求に盛り込みました。芸術文化の助成は、芸術文化振興基金がやっていますが、それでは体制として不十分ということを、文化庁もわかっていたんですね。この日本版アーツカウンシルを進めるには、課題もありそうですが、ぜひ実現して欲しいと思います。
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2010/11/17
メディアアートという分野(カテゴリー?)は、それがどのようなものを理解して、説明するのが難しいものです。私のたぶんよく理解していません。AV(これも古い表現)やコンピュータを使った芸術表現と言えばいいのでしょうか。山口芸術情報芸術センター(YCAM)は、そのメディアアートを中心に据えて活動をしています。ウェブサイトにはこうあります。
山口情報芸術センター(YCAM)は、展示スペース、劇場、ミニシアター、市立中央図書館を併設する複合文化施設として、2003年11月に開館しました。コンピュータや通信技術などを使ったメディアテクノロジーを共有プラットフォームとして、メディアアート作品の展示、演劇、ダンスパフォーマンスの公演、映画上映、サウンドイベント、ワークショップやレクチャーなどを開催しています。
この文章から少しわかりにくいかもしれませんが、現地にいってここが何を目指しているかが少しわかりました。新しいものを表し、広い世界に伝えるために、メディアアートを選んだということなんですね。絵画、彫刻などの造形芸術を中心に据えたミュージアムではなく、新しいアートでYCAM、そして山口を特徴づけたい、ということでしょう。
先週末から始まったカールステン・ニコライ+マルコ・ペリハンの新作は、映像と音声をテクノロジーを存分に使って、そこにインスタレーションを融合させることによる異次元世界をつくり出しています。このような質の高い表現は東京あたりでもそんなに見ることはできないでしょう。レベルが高い作品だと思います。
山口という地方で、挑戦的な表現展示をしているYCAMのこれからに、期待したいと思います。
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2010/11/07
十和田現代美術館のことを書くつもりだったのですが、昨日の日経新聞の記事がきになったので、そのことをちょっとだけ。お読みになったのは、一部の方だと思いますので、どんな趣旨の記事かを簡単に。日経新聞朝刊文化欄に昨日まで3日連続で「アートを支える人々」というコラム(3回目は全面記事)です。
内容はアートを支え、育てていくやり方が変わってきている姿を、いくつかの実例をレポートしています。第1回めの記事にこうあります。
「自治体の財政難を背景に、アート支援の形が変わりつつある。行政が美術館というハコモノを造り、運営を支える従来型の仕組みが行き詰まり、市民やアーティスト自らが美術活動の担い手として台頭している。『見る』『作る』だけでなく、共にアートを支え合う人々の姿を追った」(11月4日 日経新聞朝刊)
1回目の記事では、大型彫刻やインスタレーションの制作などを補助する人材の養成を目的とする「アートコンストラクター講習会」のワークショップについてと、画廊との契約や著作権管理などの相談に法律家が無料で助言する非営利組織「Arts and Law」の活動について、第2回は個人コレクターの活動をレポート。新潟市の芸術文化施設・砂丘館の個人コレクターの展覧会やコレクター作品を積極的に受け入れる公立美術館について書かれています。3回目では 美術館やギャラリーに頼らず展覧会やイベントを美術家が自ら「仕掛ける」ケースが増えている姿をいくつかの例で報告。また、MCDN(ミュージアム・キャリア・ディベロプメント・ネットワーク)を立ち上げ活動している慶應の岩渕さんにインタビューもしています。
紹介された実際の活動は、初めて知った内容です。どれもアートのためにはとても前向きなすばらしい活動だと思います。現場にはいろいろ努力をされている方がいて、ほんとに頭が下がります。ただ記事を読んで気になったのは、書く側の視点です。あらかじめ結論(行政の施策が行き詰まる中、アーティスト、市民が自らアートを作ろうとしている新たな動きがある)を用意していてそれに合わせて実例を選んで取材しているのではと感じます。
ともあれ、アートの現場は行政、アーティスト、鑑賞者、支援者、それぞれが変わらなければいけないのは事実です。もはや文化支援については大きな政府は望めないのですから。私も何かしなければと、自戒しています。
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2010/11/06
青森県の十和田市まで出かけてきました。昨日も書きましたが、十和田現代美術館を修士論文で研究対象としているため、現地調査と称して1泊の小旅行です。十和田現代美術館の開館は2年半前の2008年4月ですが、今年の4月にアートによるまちづくりであるArts Towada(アーツ・トワダ)がオープンしています。
美術館の周辺、「官庁街通り」にアート作品が置かれています。これを紹介します。
最後の二つの写真は草間彌生作。5つめは美術館の設計者西沢立衛による作品トイレ(実際使えます)です。詳しいことは明日に。
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2010/10/26
ちょっと前に訪れたのですが、この秋の注目の展覧会のひとつ「ドガ展」の印象を書いておきます。まだ、会社辞める前だったので、しかたなく休日にいくことになり、かなりの混雑のなかみてきました。
ドガは印象派の画家として、私の中ではバレリーナを描いた画家、というありきたりの見方しかしていませんでした。しかしこの「ドガ展」をみて、その先入観は覆され、これまでとは違ったドガの魅力をしりました。
NHKテレビの新日曜美術館でもドガとバレリーナ、という点に絞って番組を構成していました。しかし、ドガ展ではバレリーナを描いた多くの作品とともに、それ以外のモティーフを扱った魅力的な作品がいくつも展示されています。それは、肖像画であり、裸婦であり、女性像です。特にドガの裸婦、これまでにそんなに見たことはなかったと思います。たとえば「草上の二人の浴女」(オルセー美術館)は、マネの「草上の朝食」のようにいやらしくはないけれど、ルノワールの描く浴女よりはエロチックです。
同じく浴女を描いた「浴盤(湯汲みをする女)」もいやらしい作品です。ドガと浴女、という組み合わせは、ほどよくマッチして、いい作品になっていると思います。
初来日の「エトワール」も素敵な作品ですが、バレリーナだけではないドガの魅力に触れることができるという意味で、この「ドガ展」はすばらしいものだと思います。機会があれば再訪したいほどの企画展です。
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2010/10/24
昨日紹介した『美術館との対話』を買いに本屋にいったとき、新書の新刊に並んでいて見つけた『観光アート』 (光文社新書)。ちょっと変わったタイトルですが、なんとなく内容は想像がつきます。研究の資料にと買ってきました。著者は2002年に『現代アートの入門の入門』を著した山口裕美。この本は、読んでいてとてもためになりました。
「観光アート」とはなんのか。これは山口の造語で、ひとつは「観光をみることを目的とした旅」のこと。もうひとつは「アートを活用した観光、まちおこし」のことです。本書では、この観光アートの実例として「現代アートの新名所」と「アートプロジェクトの新潮流」と章立てして紹介されています。
「現代アートの新名所」では、直島、青森(十和田・青森市)、金沢が紹介されていて、「アートプロジェクトの新潮流」では越後妻有トリエンナーレから瀬戸内国際芸術祭まで、地域でのアートプロジェクトが紹介されています。それぞれ詳細にレポートされているのですが、残念なのは過去行われたことの紹介が主な内容で、これからの現代アートの展開があまり書かれていないことです。
また、この本は250ページほどの内容なのですが、本文はその約半分。残りは、「一度は訪ねてみたい美術館100」なるミュージアムカタログです。雑誌ではないので、この構成はないのでは、と思います。選ばれた美術館もたとえばせんだいメディアテークが入っているなど(ここは機能、活動から判断してミュージアムではありません)、そのセレクションに疑問も残ります。
観光アート、という発想はとてもいいのですが、もっと内容が欲しかった、というのが実感です。かなり残念。
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2010/10/04
大学院で一緒に学んでいる同級生に、書家を生業としている方がおられます。大峠仁(おおとじん)さんとおっしゃるのですが、大学の活動として個展をされているのでお邪魔してきました。書道をみる、という機会はほとんどありません。日展では展示があるのですが、最近はいっていないし、書の見方はまったくわかりません。
とはいえ、会場で拝見した書はわかりやすく、自分なりに解釈ができるものでした。作品をみながら、書道なんて中学以来書いてないな、とつまらないことを思っていました。写真撮影の許可をもらったので、作品を掲載させてもらいます。
残念ながら、個展は昨日で終わってしまいましたが、下記にご本人の情報があります。
<空海>
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2010/08/30
行ってみたいと思っていた「3331 ARTS CHIYODA」を訪れてきました。外神田にあった錬成中学校をアートスペースとして再生した場所です。元が中学校ですから、建物としては小さくありません。地下1階、地上3階のスペースを様々な用途に使っています。
1階はギャラリーでは、企画展示が行われています。広いスペースがいくつかの展示スペースに分けられて、写真、インスタレーション、絵画などの展示がされています。
2階、3階は多摩美、エイブルアートなどいくつかのアートプロジェクトのスペースがあり、定期的の展示をおこなっているようです。また、館内のスペースを使ってセミナー、イベントも開催されています。
館内を見ていると、なにか快適な感覚になりました。構えた美術館でもなく、入るのに勇気がいる画廊、ギャラーでもなく、自由な気分でアートに触れられる場所です。
ちなみに、「3331 ARTS CHIYODA」の3331は、「江戸一本締め」に由来します。
「かけ声の『イヨーオ』は、「祝う・祝おう」が語源といわれ、さらに『シャン・シャン・シャン』と三回打つことが三回で合わせて九(苦)となり、最後に『シャン』と一回打つことで苦を払い、『九』に一画加えて『丸』になるとされています」(WEBより引用)。
意欲的なアートスペース、3331 ARTS CHIYODAのこれからに注目したいと思います。
3331 ARTS CHIYODA
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2010/08/24
今日の日経新聞によれば、「瀬戸内国際芸術祭2010」が7月19日に始まってから約2ヶ月、22日時点で来場者が21万人を超えたとのこと。芸術祭の委員会が目標としているのは30万人でその7割を超えたことになります。会期は10月31日までですから、あと2ヶ月余りもあり、どこまで来場者が増えるのでしょう。
地方で行われる芸術祭でこれだけの人を集めるということは、かなり驚異的ではないでしょうか。実行委員会の委員長は真鍋香川県知事、総合プロデューサーに福武總一郎、総合ディレクターに北川フラム。福武と北川という組み合わせによるものですから、成功しても当然、という指摘もあるかもしれません。しかし、瀬戸内海の小島を舞台にしたアートイベントを計画し、実行に移していったパワーは、やはり大変なものではないでしょうか。
見に行きたいところですが、東京からはとにかく遠い。ちょっと行けそうにありません。
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2010/08/18
昨日の朝日新聞社会面に報道されていた記事「美術品被害 国が補償へ」。記事によれば、文化庁は 美術館や博物館が、展覧会のために海外などから借りた絵画や彫刻などの美術品が破損や盗難にあった際、国が補償する制度を作る方針を固めたとのこと。
これは美術品国家補償制度とされている制度で、外国ですでに導入している国が多いのが実態です。G8で未導入の国はロシアと日本だけで、美術関係者からは導入が強く要望されていた制度です。
記事によれば、「補償制度は、50億円以上の損害を補償対象とし、損害の一部を国が肩代わりする。国の負担は950億円を上限とする方向」とのこと。これがどれほど金額的にどれほど充分なのかはわからないのですが、具体的な金額が提示されていることから、実現度は高そうです。
文化先進国とはいえない日本、このようなことから少しは前進して欲しいところです。
朝日新聞の記事(asahi.com)
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2010/08/17
Casa BRUTUS、今月号の特集は「最強の美術館はどこだ?」です。エスクァイア亡き後、ミュージアムの特集はCasa BRUTUSに頼るしかありません。美術館の特集とくれば、ついつい買ってしまいます。
さて、その中身はというと……。特集のメインは櫻井翔が訪れる「直島」です。櫻井翔、アート好きだったんですね。櫻井ファン層とBRUTUSの読者層とは違うと感じるのですが、そうでもないのでしょうかね。
今号のメインはこの櫻井翔のアート探訪と、「瀬戸内国際芸術祭2010」のガイドです。この芸術祭に行きたいと思っている人には、最適なガイドなんでしょうね。でも、最強の美術館についてにテーマとは違っているような。
最強の美術館については、「この夏どこへ行くか? 世界の最新ミュージアム案内!」で紹介されてます。でも、紹介されているのは外国のミュージアムだしな。そう簡単には行けません。何とかに描いたミュージアムですか。日本の美術館もちょっとだけ紹介されていますが、ちょっとだけです。
全体を通してみると、企画の一貫性が感じられませんでした。ミュージアム特集だからと、安易に買うのはやめなくてはいけないですね。
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2010/08/10
目黒区美術館で開催されている「遊びのなかの色と形展」をみてきました。目黒区美術館ではトイコレクションとして、玩具でデザイン的に優れているものを収集しています。この企画展はトイコレクションを基本にして、クルト・ネフが設立したスイスのネフ社の玩具と、同時代に活躍した彫刻家アントニオ・ヴィターリの玩具の仕事をクローズアップした展示です。
日本の玩具も造形的にすぐれたものも多いのですが、一般的な印象としては海外、特にヨーロッパのトイは色と形でオリジナルなものが多いです。いわゆるおもちゃというより、デザインプロダクツという感じです。
親子連れで訪れる夏休みには最適な企画展ですが、大人がみても充分楽しめます。たまには、ちょっと変わったアート鑑賞もよいものです。
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2010/07/26
昨日の朝日新聞一面に「クールジャパンに脅威」と題されていた記事。『文化変調』という特集を朝日新聞で展開し、ミュージアムなどの箱物運営、ネットに影響を受ける音楽を取り上げたあと、今回はクールジャパンです。
記事いよれば、今月、フランスで開催されたジャパンエキスポ に韓国がMANWHAN(韓国でマンガの意味)の看板を掲げて、初めて出展しました。韓国は国を挙げてアニメなどのコンテンツ産業振興に注力しています。釜山国際映画祭、光州ビエンナーレとイベントも成功させ、文化振興に力を注いでいる韓国の姿が報じらています。
記事では韓国に加え、中国のアニメ産業の発展にも言及しています。記事によれば市場規模は日本の6倍とか。なんとも巨大な市場です。
「日本出遅れ 乏しい予算」と見出しにあり、記事にはフランス、韓国、ドイツ、英国、日本、アメリカの文化予算とその国家予算に占める割合がグラフで掲載されています。いまさら、という感がありますが、どうしてこの国には文化予算が少ないのでしょう。不思議です。
文化の新たな地平を開くことは、日本では難しいのか。なにか方法を考えねばいけません。
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2010/07/05
昨日は月島まででかけてきました。もんじゃ焼きで有名な街ですが、その月島の隣が佃。歴史を感じさせる建物の一角に、「koichimastumoto佃」があります。築60年ほどの住居を再生して、アート作品の展示スペースとして使っています。
実は、ここ大学院の同級生で陶芸家のkoichimatsumotoさん(もちろん日本人)が運営している展示スペースです。昨日は、matsumotoさんの作品が何点か展示されていました。
下の写真。右下にあるのも作品です。
koichimatsumotoさんの作られるのは、どれも白い色で焼かれています。食器、土鍋など個性的なデザインの作品を作られています。オーダーで焼いてくれるそうなので、自分だけの焼き物が欲しいかたは、連絡を取ってみてください。
koichimatsumoto WEB
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2010/05/26
国立近代美術館で開催されている「建築はどこにあるの? 7つのインスタレーション」は、そのタイトルだけではちょっと内容が想像しづらい企画です。図面、模型、写真などで構成される建築の展示ではなく、日本の7人の建築家による新作インスタレーションの展示です。
インスタレーション作品を展示する建築家は、日本を代表する建築家・伊東豊雄(1941年生まれ)から1972年生まれの若い中村竜二、中山英之まで、様々な年代に渡っています。4半世紀振りに近代美術館で行われる建築の本格的企画展とのことで、魅力的な展示内容です。
建築家のインスタレーション、すごく面白いです。アーティストとして充分やっていけると感じる作品ばかりです。内容も造形のインスタレーション、ビデオアートに属するものなど多様です。特に刺激的だったのでは、内藤廣の作品「赤縞」。赤色のレーザーを使った作品。暗い部屋一面に赤のレーザーが一律の模様をつくります。ここを歩いていく感覚がなんとも楽しい。
また、伊東豊雄さんは「うちのうちのうち」と題して、プロジェクトが進行中の「今治市伊東豊雄建築ミュージアム」をテーマに、そこで試みられている多面体の世界を展示。中にいると、不思議な感覚になる内なるミュージアムです。
この展示では一定の条件で写真撮影が許可されています。また撮影された写真を投稿する公式WEBが用意されていて、これも意欲的な企画だと思います。
建築を新たな視点でみる斬新な企画展です。機会があれば、再訪したいと思います。
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2010/05/12
今週号の『週刊ダイヤモンド』、特集は「アップル丸かじり」ですが、第2特集として「美術・アートビジネスの舞台裏」が組まれています。タイトルにこうあります。
「展覧会ブーム、美術館開設ラッシュにわく」
展覧会ブームだったんですか。そんな認識なかったな。美術館は確かに去年、今年はいくつかできていますね。記事によれば、英国のアート情報誌『The Art Newspaper』2010年4月号は世界の展覧会入場者ランキングを発表。それによれば1日当たりの入場者数(09年)の1~4位を日本が占めたとのこと。ちなみに、第1位は東京国立博物館の「国宝阿修羅展」で1日1万5000人超の来場者。記事では「日本人は美術好き」と表現していますが、「美術展好き」なんですよ。
この特集、こんな内容で構成されています。
「地域活性化にもひと役買う観光資源としての人気美術館」「『経済は文化のしもべだ』利益はその使い道こそが大事」(福武 總一郎さんインタビュー)「『ライバルはTDR』株式会社が運営する美術館」「『儲かるわけではない』美術展を主催するメディアの狙いは」「閑静な住宅街にもすてきな施設美術館がある」「”若手作家の育て親”企画画廊の役割と台所事情」
全体を読んでて感じたことは、今のアートのいい部分、明るい状況だけをフォーカスして記事を書いているなということ。それと、視点があくまで東京からになっていて、地方におけるアート状況はほとんど語られていません。
記事では、地域活性化の例として、金沢21世紀美術館、飛騨高山美術館、足立美術館があげられています。どの美術館も、地方にあるミュージアムとしては成功しているかもしれませんが、それが地域にどう貢献しているかはほとんど書かれていません。
地方のミュージアム関係者は、この記事を読んでどう思われるのか。おそらく違和感をもたれる方が少なくないはずです。でも、これでアートに興味を持つ方が少しでも増えるのはいいことだとも思います。
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2010/04/26
休日出勤したついでに、会社から歩いていける原美術館に行ってきました。ふとn思いついたので、原美術館そのものが目的で、そこでどんな企画展をやっているのか知らずに行ってしまうという無謀さです。
今、原美術館では「ヤン・フードン 将軍的微笑」が開催されています。ヤン・フードンという作家の名前は、知りませんでした。1971年、北京生まれの映像作家です。まったくの予備知識なく見たのですが、なかなか刺激的な映像作品で、印象に残りました。
特に興味深かったのは「将軍の微笑」。展示スペースには白い布をかけられた大きなテーブルが置かれ、
そこに4台のプロジェクターでテーブル上の料理が映されます。更に、テーブルの上には大型ディスプレイが置かれ、そこにも映像が映されています。また、2台のプロジェクターでスクリーンにも映像が投影されます。ディスプレイ装置を駆使した不思議な映像世界をつくりだしています。
この他に、35ミリフィルムでの映像作品が2点。いくつもの大型ディスプレイを縦置きしてのビデオインスタレーションがあります。フィルム作品は私にはちょっと難解でした。
新たな映像作家に出会えました。やはり、原美術館のレベルは高いです。
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2010/04/06
昨日取り上げた目黒美術館の「ベルナール・ビュフェ展」と一緒に開催されている「藤田嗣治 東京・ニューヨーク・パリ」展が、派手さはないですが、見応えのある企画展です。目黒区美術館では蒐集家フランク・シャーマンの藤田作品を所蔵しています。「シャーマンコレクション」と呼ばれている作品は、油彩絵画だけでなく、陶器、版画そして藤田がシャーマンに宛に書いた絵入りの手紙もあります。
常設展示室のない目黒区美術館では、このシャーマンコレクションは、たまにしかみることができません。5年ほど前、「目黒美術館コレクション展」 以来の藤田コレクションに再会しました。繊細な筆致は、さすが藤田です。どの作品にも見入ってしまいました。今回の展示は、シャーマンコレクションに加え、個人蔵の作品も4点展示され、藤田の魅力に触れることができました。
私としては「ベルナール・ビュフェ展」より藤田展のほうが満足度が高かったです。藤田好きには見逃せない展示です。
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2010/04/05
目黒区立美術館で開催されている「ベルナール・ビュフェ展」 、やっと見てきました(あと1週間で終了です)。ビュフェは有名な画家なので、これまでもいくつかの展覧会でみているはずです。しかし、まとまってこれだけの作品をみせられると、「こんな表現をする画家だったのか」と思わされました。
まず色彩。ほとんどの作品が抑えた色調で描かれています。茶、黒、灰色などが多く使われ、単純に表現すれば暗い印象を受けます。この色彩感でビュフェは何を訴えているか。それとも、色彩のはひょっとしたら意味はないのか。考えさせられます。た、人物の形も、特徴的。ひょろっとして、およそ肉体感を感じさせない造形表現です。女性像など、艶めかしさはみじんも感じさせません。単にオブジェとも思える描き方に、ある種の感動も覚えます。
そんな中で、「赤い鳥」は異色の作品。185.5cm×248.5cmの大作で、赤い鳥と裸婦が厚塗りの油彩で雄大に描かれます。本展の作品はほとんどがベルナール・ビュフェ美術館からの出展ですが、この「赤い鳥」はギャルリーためながの所蔵。これまで、表にでていた作品なのでしょうか。
ベルナール・ビュフェという画家、その魅力はどこにあるのか。私にはまだわかりませんでした。もう少し、勉強せねばいけないのかも(苦笑)。
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2010/03/05
横須賀美術館では、一風変わったテーマで企画展が開催されています。「ワンダーシニア30(サーティー)展」 と題された展覧会は、60歳代から70歳代を中心としたベテラン洋画家32人の作品を展示するものです。画家さんというのは(あくまで私の印象ですが)、概して長生きです(夭逝する人も少なくないですが)。
展示の仕方に工夫が凝らされています。サラリーマンで言えば定年を過ぎる歳を過ぎてなお、活発に創作活動をする画家たち。彼らが若いころに描いた作品と最近描いた作品、2点を並べて展示しています。長い画家としてのキャリアの中で描かれた2つの作品。新旧の作品を並べてみせられることで、その表現の変容の仕方がそれぞれで興味深いです。かなり画風が変化している人がいる一方で、あまり表現手法は変わらず共通のテーマで描いている人もいます。
展示されている画家さんは、浅学な私ゆえ、多くのかたを存じ上げませんが、横尾忠則、佐野ぬい、篠原有司男、絹谷幸二といった(私にとって)有名な画家さんです。こんなことを申し上げるのは失礼なのですが、やはり長く画家をやられている方の絵は、みていて落ち着きます。とても心が落ち着きます。
この展覧会のサブテーマは「現代日本の画家が描く、それぞれの昭和、平成」 。画家というひとりの人間を感じるすばらしい展覧会だと思います。
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2010/02/12
先日、埼玉県立近代美術館まで初めて出かけてきました。修士論文の下調べで黒川紀章の設計になる建物を見学するのが目的です。ちょうど、企画展で「小村雪岱とその時代」が開催されています。小村雪岱(こむらせったい)なる画家は、全く知りません。WEBの記述によれば
「第二次世界大戦前に訪れた、大衆文化華やかなりしひととき。竹久夢二と同時代に『昭和の春信』と呼ばれ、挿絵や装幀、舞台美術などで活躍した」
とあります。小村雪岱は東京美術学校(現東京芸術大学)で日本画を学びますが、卒業後は、資生堂に入社し広告の仕事をします。その後、独立して日本画、本の装丁、挿画、舞台美術など様々な活動をした画家です。
今の時代の言葉でいうイラストレーター、デザイナーというくくりに近そうですが、そんな単純な定義に入らない多彩な領域で作品を残しています。作品のいちばんの特徴は、女性像でしょう。「彼の描く女性の姿態には妖艶とうより清雅な趣きある」(ブリタニカ百科事典)と形容される鈴木春信。「昭和の春信」という表現された小村雪岱の女性像は、艶めしさを湛えています。
今月号の「芸術新潮」でも特集が組まれるなど、注目されているようです。図録はすでに売り切れていました。新しい画家と出会えた展覧会です。
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2010/02/08
美術ファンならずともその名を知られているルノワール。人気の高さゆえ、しばしば展覧会が企画されます。この冬、国立新美術館で開催されている「ルノワール 伝統と革新」は、新たな視点でルノワールをみせてくれる展覧会です。ルノワールといえば、華やかな雰囲気の女性像、ふくよかな裸婦像が思い浮かびますが、この展覧会では、その女性像を描いたルノワールを4つの章で構成して、展示します。
「第Ⅰ章 ルノワールへの旅」「第Ⅱ章 身体表現」「第Ⅲ章 花と装飾画」「ファッションとロココの伝統」と4つに分けられて、ルノワールの魅力に迫ろうとしています。展示されている作品85点は、国内の美術館で所蔵されているものは半分ほど。残りはボストン美術館、オルセー美術館、マルモッタン美術館などの海外のミュージアムからのものです。
女性像だけでなく、風景画、静物画、装飾画など幅広いルノワールの表現は、とても興味深く鑑賞しました。ただ、大のルノワール好きには、なんか物足りない。どうしてだろう。やはりふくよかなルノワール作品を期待しすぎているのかもしれません。
会場を訪れたのは、先週の金曜日、夜7時ころでしたが、以外と混雑していませんでした。でも、これから鑑賞者が増えてくるはず。興味のある方はお早めに。
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2010/01/12
新年休みの4日に行こうと思っていたら、月曜日でいきそびれたブリヂストン美術館に出掛けました。今、「安井曾太郎の肖像画」 展が開催されています。安井曾太郎の作品をまとまってみたのは、2005年の5月、宮城県美術館での「安井曾太郎」 展以来です。
この「安井曾太郎の肖像画」展は、安井が描いた肖像画を取り上げ、作品と、描かれた人物のプロフィール、描かれた背景などを交えて紹介しています。安井の肖像画といえば、「金蓉」が記憶に残っていますが、この展覧会ではその作品を含め、様々なモデルを描いた肖像画が展示されています。
女性モデルを描いた作品も魅力的ですが、あわせて著名な研究者、教育者、文学者のほか、政財界人を描いた作品も存在感があります。安井の肖像画は、すごくストレートな感じがあり、人物の人柄が伝わってくるように思います。
この展覧会では、ブリヂストン美術館の所蔵品に加え、他の美術館からの借用作品、そしていくつかの個人所蔵品もあり、充実した内容となっています。安井曾太郎の新たな魅力を知る企画です。会期は今週末(17日)までです。興味のある方はお早めにどうぞ。
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2009/12/28
気が付くと最終日、目黒区美術館の【「文化資源」としての<炭鉱>展】 に行ってきました。おおよそ、美術館で開催する展覧会らしからぬタイトルですが、その内容はかなり充実したものでした。タイトルから想像できるように、炭鉱が文化、そしてアートとしてどのように表現されたかを示してくれる企画展です。美術館のWEBから、その主旨を引用します。 戦後社会の高度経済成長を支えた炭鉱を、「視覚芸術」はいかにとらえ、どのように表現し、「現在」にどのような炭鉱イメージをもたらしたのでしょうか。本展は、炭鉱と視覚表現の歴史的な関わりを検証いたし ます。同時に、かつて‘地下’資源で繁栄した産炭地が、エネルギー政策転換などで経済的苦境にある現在、 炭鉱などを主題にした美術をはじめとする視覚芸術の‘文化’資源化を提起します。‘文化’資源化による産炭地域の社会再生について、息の長い思考と取り組みを期待してのものです 本企画は2つのパートから構成されています。「Part.1-<ヤマ>の美術・写真・グラフィック」 では、画家、写真家が表現した炭鉱の作品を展示しています。名前を存じ上げない画家から、土門拳、野見山暁治、奈良原一高、風間完、佐藤忠良など高名な方まで、60人の作家、約400点の作品が並べられています。写真でその断片的な姿をみただけの炭鉱ですが、絵画、写真での表現はまさしくリアスそのものです。生きることのすさまじさが伝わってくる作品ばかりです。
「Part2-川俣正コールマイン・プロジェクト」 では現代美術家の川俣正が1996-2006年の10年間取組続けた「Coalmine田川」のプロジェクトの総括として制作した新作インスタレーションの展示です。多くの炭鉱住宅とぼた山を、広大なインスタレーションとして表現。写真でしか見たことがないのですが、その風景が目の前にあるような感覚になりました。
会場は最終日だったせいか、多くの鑑賞者が訪れていました。重いテーマの展覧会ではありますが、しっかり練られた企画で、多くの人を引きつけていたようです。
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2009/11/18
月刊になった今月号『サライ』の特集は「美術館で知の冒険」。芸術の秋からはちょっと遅れていますが、最近あちこちの雑誌で目立つ美術館特集です。根津美術館、山種美術館の開館、そしてプレオープン中の三菱一号館美術館と新しいミュージアムが出来たのに乗じたある意味安易な企画ですね。
あえて買わないでもよかったのですが、記事の一つに、「そも、美術館とは何か」があり、いま大学で調べているテーマに関連しているので、手に入れました。美術館の歴史を調べていて、そのことがこの記事では取り上げられています。海外、日本の美術館の歴史が、事象面ではよくまとめられています。
記事では美術館の歴史の他、美術館員の仕事、美術品の価値はいかにしてきまるのか、意外と知らない美術館の常識などがまとまられています。でも、歴史とか、美術館員の仕事なんてことに興味をもつのは一部の人でしょうね。
この特集では、これから開催される美術展を取り上げ「では、美術の見方とは何か」という記事もあります。お勉強トーンなのが気になりますが、作品が大きく掲載されていて、ミュージアムに足を運ぶ気になります。
この特集の冒頭にある高階秀爾さん(大原美術館館長)の「美術館へ、ようこそ」。短いながらいい一文です。大原美術館、いきたいなあ。
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2009/10/04
何年か振りに「日本伝統工芸展」 をみてきました。毎年、テレビの新日曜美術館で取り上げられるので、いこうとおもいつつ、見逃してしまうことが多いのですが、今年はなんとかいってきました。場所はいつもの三越本店。土曜の午後だったので、多くの来場者で賑わっていました。
日本伝統工芸展とは「陶芸」「染色」「漆芸」「金工」「木竹工」「人形」「諸工芸」の7部門に分かれて行われる公募展です。会場でもこの区分によって展示されています。東京会場では、700点ほどの作品が展示されているとのことで、とても一点一点じっくりみることはできません。
工芸に対する知識が決定的に不足している素人には、馴染みのある陶芸、漆芸にひかれます。陶芸は、その表現の多彩さに驚きます。形、色、手法などまさしく多種多様。伝統にのっとった作品から、現代的な意匠のものまで、陶芸とはここまで様々な表現ができるのかと思いました。
漆芸の作品をみると、手の技が作り出した世界に魅了されます。沈金、象嵌、螺鈿など細かな技法で作られた作品は、どれも見事というしかありません。
会場は多くは年配の方でしたが、中には若い人もちらほら見かけました。ありきたりの感想ですが、日本の工芸の力を感じることできる展覧会です。
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2009/09/24
昨日の日経新聞朝刊に載っていた広告には、ちょっと驚きました。アートマガジンの『季刊アートイット』の一面広告です。広告には大きくART IT。そして「 [特集]日本発、ヴェネチアへ!」のコピーがこれも大きく書かれています。その下には「雑誌『ART IT』新ウェブサイトへ完全移行」とあり、URLがこれも大きすぎるくらいにあります。
この『季刊ART IT』なる雑誌、本屋で見かけたことはありますが、買ったことはありません。でも新聞に一面広告を出すくらいですから、売れているんでしょうね。日経新聞の一面広告費は、正価では2000万円くらいのはず。
ウェブサイトはシンプルなデザインながら、いろいろなコンテンツが入っていて充実しているようです。「マガジン」「公式ブログ」「パートナーブース」「SNS」の4つに分かれていて、アートファンには役立つ情報がありそうです。
でも、アートってそんなに儲かるものなのでしょうか。少しばかり疑問です。
ART IT ウェブサイト
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2009/09/23
うちから近いため、時間がないときは白金の庭園美術館にいってしまいます。昨日も、夕方近くになって出かけました。前から気にはなっていた「ステッチ・バイ・ステッチ」を見てきました。展覧会のチラシを見てから、もうひとつ気がのらなかったのですが、予想以上に感銘をうけました。
「ステッチ」とは「針を運ぶこと」という意味。糸と針で作り出された作品は、新しく、刺激的です。8人の作家による表現は、様々です。糸を絵の具、針を絵筆のように使っているのでしょうか。糸と針、というと安易に刺繍を思い浮かべてしまいますが、展示された作品は、そのイメージを覆してくれます。
特に気になったのは、竹村京さんの作品。人物の後姿が写った大きな写真を、紡がれた糸が覆います。<A.市とW.市で上がっていく知っている人びとと知らない人びと>は、幻想的な中にも、現実感も感じさせる作品です。
チラシに大きく載っている清川あさみさん<Compex-voice>、実際に作品をみると、かなり違った印象を受けました。写真に直接ビーズ、スパンコールなどの刺繍をした作品で、美しい抽象画のよう。
会場にはやはり女性が多かったですが、若い男性も熱心にみいました。糸と針で作られる作品は、新たな感動を与えてくれました。おすすめです。
(会期は今週末27日までです)
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2009/09/22
国立新美術館で開催されている「光 松本陽子/野口里佳」展は、いくつかの点で興味深い企画展です。展示は松本陽子の絵画、野口里佳の写真と、異なった表現形式による二人展です。また、松本は1936年生まれ、野口は1971年生まれと、親子ほどの年齢差がある二人の組み合わせ。更に、絵画や写真といった芸術にとって重要なテーマで有る「光」をタイトルに据えるという、ある意味大胆な企画です。
松本陽子の表現は、アクリル絵具による抽象絵画。ピンク、白、薄紫といった淡い色で構成された作品は、穏やかさと激しさが混在して、心に鮮やかな印象が残ります。また、近年は緑色を基調にした作品を描いています。作家が年れを重ねるとともに、色表現が暗色へと変化していくのは、心のあり方が変わったためでしょうか。
野口里佳の写真は、その被写体が様々です。作品はいくつかの連作で構成されています。富士山、砂漠、天空の星、海中などへ向けられたカメラで撮られた写真は、それぞれの光を表現します。この人の写真は、単独でみる、というより連作でみたほうが、インパクトが有り、また作品の意味を感じやすいのでは、と思いました。
二人のアーティストの年齢差を感じさせない絵画と写真の組み合わせ。新鮮なものを感じました。
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2009/09/07
越後妻有アートトリエンナーレには、若者が多く見に来ていました。私のようなオジサンはほとんど見かけず、せいぜい30代くらいまでです。年齢層は予想どおりではあったのですが、これほどまでにと思える人数が、どの展示スペースに来ていました。クルマのナンバープレートをみても、東京、長野、金沢など各地からこのトリエンナーレを訪れていました。
広大なスペースに置かれたアートを見るためには、最低2日はいるでしょう。ゆっくりとしたスケジュールで見られたらと、少しばかり後悔しています。まあ、素敵なアートスペースを楽しめたのですから、よしとしましょう。
撮ってきた写真をいくつかご紹介します。
「石の魚たち」(荻野弘一)
「バタフライパビリオン」(ドミニク・ペロー)
「棚田」(イリア&エミニア・カバコフ)
「花咲ける妻有」(草間彌生)
「最後の教室」(クリスチャン・ボルタンスキー+ジャン・カルマン):廃校になった校舎で「人間の不在」を表現。
「福武ハウス2009」
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2009/09/06
2000年には始まった「越後妻有トリエンナーレ」、正式には「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」が今年開催されています。ちょっと遠方ではありますが、今年を逃すと3年後。思い切って出かけて来ました。新潟県十日町を中心とする760k㎡に370点あまりのアート作品が展示さている大きなアートフェスティバルです。
そもそも一日で見終えることは出来ないだろうと予測していたにもかかわらず、日帰りの日程です。ほんとに広い。移動だけでもかなりの時間がかかります。現地でレンタカーを借りたのですが、朝10時から6時過ぎまでで、走行距離は120㎞。歩いた歩数は2万歩近く。昼飯は時間が惜しいのでコンビニおにぎりとおでん。日帰りなんで計画が無理なんです(苦笑)。ほんの一部しか作品、みていません。
それでも、楽しんできました。緑豊かな自然に囲まれてアートを楽しむのは、この上なく気持ちがいい。東京に戻ってからは、接することのなかった雄大な大地を感じ、素敵なアート空間を味わってきました。写真をいくつか撮ってきたのですが、まだ整理できていないので、明日以降、ご紹介しようと思っています。
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2009/08/25
坂倉準三といえば、ル・コルビュジエに師事したモダニズム建築家。今、パナソニック電工汐留ミュージアムで「建築家 坂倉準三展 モダニズムを住む 住宅、家具、デザイン」が開催されています。実はこの展覧会、大学の先生から招待券をいたたもの。会場での展示は、個人住宅の写真や模型、倚子、机など坂倉デザインのものなどが展示されています。坂倉準三といえば公共施設など大きな建物の設計を頭に思い浮かべていたのですが、その思いとちょっと違った展示内容です。
それもそのはず。この展覧会は神奈川県立近代美術館で開催中の「建築家 坂倉準三展 モダニズムを生きる 人間、都市、空間」の第2部で、まずは、神奈川県立近代美術館の展示を先にみたほうがよかったようです。
展示された住宅、家具などを見ていると、坂倉準三の作り出す空間は優しさを感じます。坂倉は曲線にこだわったといいますが、まさに柔らかな線で構成された、心地よく、住まうことに適した設計がされています。こんな家なら住んでみたい(贅沢な希望ですが)と思いました。
さて、神奈川県立近代美術館の企画展もみたいところですが、そんな時間あるかな。
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2009/08/17
私にとって、芸術作品としての版画をみる機会は多くはありません。でも、版画を見始めると、しばらく見入ってしまう魅力があるのが、不思議です。
目黒区美術館では『響きあい、連鎖するイメージの詩情ー70年代の版画集を中心に』が開催されています。この美術館では「線の迷宮<ラビリンス>」と題して、線の魅力に迫る企画を、過去2回開催してきました。今回はこの美術館で所蔵している詩画集、版画集を展示するものです。
版画には、いくつもの技法があります。木版画、銅版画、リトグラフ、エッチングなどなど。それぞれの技法についていつも覚えようとするのですが、すぐ忘れてしまいます(笑)。それだけ多彩な表現芸術であるということなのでしょう。展示されている作品をみていると、繊細な表現にはほんと感心します。おそらく、日本人に向いている芸術ではないかと思います。
版画に対する知識が浅いので、展示されている作家さんの名前はほとんど存じ上げません。でも、草間弥生さんの版画もあり、これはやはり草間ワールドな魅力。李禹煥 『点より、線より』は、李さんの絵画がそのまま小さな版画世界に凝縮された印象です。また、以前神奈川県立近代美術館で拝見した柄澤齊さんの木口木版は、その細かな表現に魅せられます。
おりしも、柄澤さんがワークショップで木口版画を教えていらっしゃいました。これ、有料ですが、贅沢な講座ですね(私ももう少し器用なら参加したいところですが)。
版画は、一見地味なものではありますが、その魅力は奥深いです。響きあい、連鎖するイメージの詩情ー70年代の版画集を中心に』は、意欲的な企画だと思います。
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2009/08/11
絵画などのアートを「買う」ということをしたことがある人は、どれくらいいるのでしょう。漠然としていますが、多くはない気がします。昨日の日経新聞夕刊に「美術家収集、コレクターが指南 独自の鑑賞眼 作家と真剣勝負」という記事がありました。
リードを引用すると
「ごく普通のサラリーマンが、美術品収集について美術館で講義したり、本を出したり。近ごろ、個人コレクターのパワーが増幅している」
とあります。例えば横浜美術館では「アート・コレクションの楽しみ方 1日サマースクール」 というのを開催。サラリーマンコレクターの宮津大輔氏が講師として、アートコレクションにまつわる様々な話題をレクチャーしてくれる内容だといいます。
実際、個人コレクターって増えているんでしょうか。「骨董収集の趣味」という視点で見れば、かなりの昔から我が国には、アートのコレクターがいました。『開運!なんでも鑑定団』が今でも人気なのをみれば、骨董コレクターが少なくないのがわかります。ただ、日経で取り上げているのは、主として現代美術のコレクション。東京のギャラリーを中心とする展示スペースで見ることのできるアートを買って、コレクションするという行為です。
前から感じていることなのですが、鑑賞という観点で分けるとアートファンには2種類いるのではないか。美術館、博物館に定期的に足を運ぶ人、それとギャラリー巡りをするひと。両者は不思議と重なり合わないのではないか、と感じるのです。どうしてなんだろう。
美術館などにいく人も、長期的にみると減ってきているようですが、ギャラリーにいく人はどうなんでしょう。若い層では増えているともいいますが、たまにギャラリーにいっても、そんな感じはしないのですが。
日経の記事のとおり、個人コレクターのパワーが増しているのなら、今後アートコレクターは増えていくことでしょう。すこしだけ期待します。
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2009/07/26
昨日の日経新聞で知ったのですが、森美術館で開催されている「アイ・ウェイウェイ展」で、観客の写真撮影を許可する取り組みを始めました。記事によれば、
「撮った画像は加工せず、非営利目的で使うーなどの条件で誰でも撮影できる」
といいます。
一般的に日本の美術館、博物館では写真撮影禁止がほとんど。国立西洋美術館、国立東京博物館などの国立系ミュージアムの常設展示で撮影が許されている程度です。この状況からみて、森美術館の試みは英断ともいえます。海外のミュージアム事情には詳しくないのですが、日本ほどは厳しくないようです。
また、記事によればこの写真撮影許可は、著作権の柔軟な運用を目指す米国の運動「クリエイティブ・コモンズ」の仕組みを採用した、とあります(クリエイティブ・コモンズって、始めて知りました)。南條森美術館館長は、
「日本の美術館は少し厳しすぎる。知的財産をもっと創造的に使える条件を作りたい」
といいます。
著作権とミュージアム展示、この問題が少しでも新たな方向に向かうことを期待したいです。
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2009/07/13
ゴーギャンの作品は国内のミュージアムでもいくつか所蔵していて、なじみのある画家ですが、「ゴーギャン展」ではまとめてみることができ、その魅力に触れることができました。展示されている作品のなかでも、注目は日本初公開の「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」です。武蔵美で使った西洋美術史の教科書に載っていたので、近代美術史においても重要な意味をもっているのでしょう。
会場では、作品専用の部屋がつくられ、じっくりみることができました。作品に描かれたいくつかのモティーフからは宗教的なものを感じました。ほかのゴーギャンの作品からはあまり受けないイメージです。画面の中央に描かれた果実を取ろうとする女性に、まず目がいき、そのあと様々なポーズをとる女性、赤ん坊、動物、偶像が見えてきます。絵の前で、しばらくゴーギャンの世界を楽しみました。
この作品が描かれたのは1897年、ピカソの「アビニョンの娘たち」が描かれる10年前。この19世紀から20世紀になっていく時代は、面白いですね。既に研究し尽くされているでしょうが、調べてみたくなる対象ですね。
ゴーギャンが描いたのは、原色の自然と女。ちょっと決めつけですが、会場にある作品をみていると、そんな印象が頭を支配します。ゴーギャンスタイルともいうのか、ある意味定型化された表現ですが、強いインパクトを与えてくれる作品が多いです。
ちょっと、残念なのは展示されている作品が版画作品を含んで50枚ほとど少ないこと。「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」があるので、納得しましょうか。前の記事でも書きましたが、いづれ混みます。はやめにいかれることをおすすめします。
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2009/05/25
あと一週間で終わってしまう「上野伊三郎+リチ コレクション展」 (目黒区美術館)をやっとみてきました。上野伊三郎とリチ、はじめて知る人です。上野伊三郎は建築家、その妻リチはウィーン生まれで工芸家でありデザイナー。この展覧会は伊三郎、リチ夫妻の業績を、作品、資料で探ろうとするものです。
展示は伊三郎の建築家としての資料(設計図面など)と、リチのデザイナー、工芸家としての作品を並行して並べる形式です。リチの作品は、テキスタイルデザイン、壁紙、飾箱、飾りプレートなど様々な表現形式をとっています。
私は伊三郎の建築資料よりリチの作品にひかれました。リチの造形理念は「ファンタジー」というとおり、どの作品も爽やかで、明るく、楽しい気分にさせてくれるものです。また、不思議なのは、リチは欧州生まれでありながら、その表現は日本人がつくったと思わせる程、日本的な面をもっていることです。日生劇場にかつてあったレストラン「アクトレス」の壁画をリチが手掛けました。その修復されたものが展示されていたのですが、まさに屏風画のようです。
建築家の夫とともに素敵なデザインを生んだ上野リチ。これまでほとんど知られていなかった人ですが、作品はとても魅力的です。新たな出会いがあった展覧会でした。
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2009/05/11
日本でポピュラーな画家のひとりであろうマティス。この人の作品をいくつも所蔵しているブリヂストン美術館でいま、「マティスの時代」と題された企画展が開催されています。このミュージアムにたびたび足を運んでいる者にとっては、見慣れたマティス作品で構成された展覧会と思いがちですが、なかなかしっかりした展示になっています。
展示は4つの章立てになっていて、マティス作品と、あわせて同時代に活躍したアーティストの作品も展示の文脈に沿って置く構成になっています。この企画の英語名は「MATISSE AND His Circles」(マティスと彼の仲間)となっていて、マティスを軸に、20世紀前半の絵画をみせようとするものです。
展示作品はこの美術館が所蔵する作品が中心ですが、生前のマティス、ルオーなどとと交友のあった福島繁太郎氏のコレクション(寄託作品)も展示されています。福島氏のコレクションは初めて拝見しました。良質の作品が揃っています。
マティスの絵、何度みても飽きません。やはり天才でしょう。展示室に掲示されていたマティスの言葉。
「私は一枚の絵をみるとき、何が描かれているかは忘れてしまう。大切なのは線と形と色だけである」
この「マティスの時代」は7月5日までです。
コネタマ参加中: あなたのアート体験教えて!
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2009/03/23
ミュージアムでの展覧会というものは、そのテーマに興味があり鑑賞に赴きます。これは当然。でも、昨日みにいった「祝祭の衣装展」 @目黒美術館は、結果としてまったく私の興味と接点がない企画展でした。なんでみにいったのか? この美術館の友の会に入っていて、企画展が無料で見られるからです(苦笑)。
この「祝祭の衣装展」は祝祭の衣装を究極の幸福への祈りの表現として捉え、ロココ時代のフランス宮廷衣装を中心に展示するものです。衣装は神戸ファッション美術館(神戸市の設立した美術館)のコレクションで構成され、それが特別の作られたマネキンに着せられて展示されています。
ロココ、宮廷衣装、ファッションなどどれも苦手科目です。会場はファッションの興味がありそう女性で、目黒区美術館にしては賑わっていました。驚いたのは、その賑わい具合に加え、この展覧会がが目黒区美術館の企画であることです。見にいく前は、神戸ファッション美術館からの巡回かと想像していました。図録の奥付をみる限り、ファッション美術館のコレクションは使ってはいますが、目黒区美術館の独自企画のようです。このミュージアムのキュレーターの興味、関心のありようが面白いろいですね。
ともあれ、アートの範囲の広さと、自身の好奇心の貧弱さを思い知った企画展でした。
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2009/03/08
銀座にでたので、GGGに寄ってみました。GGGとはギンザ・グラフィック・ギャラリーのことで、大日本印刷のやっているギャラリーですね。銀座といういいロケーションながら、案外見過ごされがちかもしれませんが、しばしば充実した企画をやっています。
今回の企画はデザイン事務所DRAFTの仕事をみせてくれる「DRAFT展 ブランディングとアートディレクター」 です。デザイン業界に縁がない私は、DRAFTという集団(会社)も初めてしりました。しかし、このDRAFTの作ったモスバーガー、キリン、ワコール、花王といった企業の広告は、見覚えがあったりします。
このギャラリー、広いとは言えないスペースなのですが、そこに多くの人が来ていました。多くは若者で、ディスプレイに表現されたDRAFTの仕事を熱心に見入っていました。
デザイン、広告、日常で空気のように接していますが、そこにはクリエイターたちの思いが込められているはずです。デザインの今、を知る興味深い展示だと思いました。
ギンザ・グラフィック・ギャラリー
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2009/02/14
世田谷の宮本三郎記念美術館は、宮本三郎の作品だけを展示する小さな美術館ですが、常設展示はなく、常に企画展を行っています。所属する宮本三郎の作品が数多くあっても、企画展を続けるのは大変だろうな、と想像します。
現在の企画は面白い切り口で行われています。「画家の書棚にみる 昭和アート・ブック史」と題された本展では、宮本三郎の5千冊にも及ぶ蔵書から選んだ書籍を初公開しています。その内容は、ふたつに分けられます。ひとつは宮本三郎が装丁や表紙を手がけた書籍、雑誌の展示。小説では獅子文六、大佛次郎、石坂洋次郎などの単行本。また雑誌では表紙を描いた主婦の友、週刊朝日など。
もうひとつは、宮本三郎が愛読したであろう蔵書の数々。美術書、写真集、小説、雑誌など多岐にわたり、この画家の創造の源流が窺い知れます。
展示された多くの書籍、雑誌をみていると、画家・宮本三郎の思想に触れることができ、また彼の生きた時代も感じ取れます。小さな展覧会ではありますが、優れた企画だと思います。
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2009/01/25
世田谷美術館で開催されている「十二の旅:感性と経験のイギリス美術」 は、そのタイトルだけみただけでは、とっつきにくい展覧会です。この企画は、栃木県立美術館、静岡県立美術館、富山県立近代美術館で開催されており、この3つの美術館と世田谷美術館の所蔵作品を中心に、国内の美術館の作品を加えて構成されています。ただ、展示品リストをみると、栃木県立美術館のコレクションが多く、おそらく栃木県立美術館が企画の中心なのでしょう。
本展は、12人のイギリス人アーティストが、「旅」によってもたらされたものを考察しようとする企画です。旅、それは異境へいくこと、異文化との接触と言い換えればいいのでしょうか。アーティストの未知の地での経験から生み出されたものが表現されています。12人のうち、6人は日本への旅を経験しており、その旅から生まれた作品が展示されています。
時代としては18世紀のジョセフ・マロード・ターナーから現在も活躍しているディヴィッド・ナッシュまで様々な時代の作家が取り上げられており、またバーナード・リーチやヘンリー・ムーアなど有名な人から、ボイル・ファミリーやベン・ニコルソンといった私にとっては初めて知るアーティストまで多彩な作家が集められています。
展示されていたアーティストでは、「地球表面への旅」をしているボイル・ファミリーの作品が刺激的でした。父、母、息子、娘のファミリーでつくるミクスト・メディアの作品、面白かったです。
企画でみせてくれる展覧会ですが、その企画は成功していると感じました。楽しめる展覧会です。
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2009/01/24
昨年、十和田市現代美術館を訪れたとき、エントランスの床に展開するジム・ランピーの作品にひかれました。色鮮やかストライプで床に描かれた作品は、シンプルながら素敵なエントランス空間を作っています。
ジム・ランビーの「アンノウン プレジャーズ」(原美術館)が開催されています。この企画展では、ミュージアムの床一面が白と黒のストライプで覆われています。このストライプが、ジムの基本的な表現なんですね。このストライプがあることで、ミュージアムの雰囲気がかわります。
ジムの作品は、視覚的に分かりやすいのが特徴でしょう。例えば、椅子などをカラフルに彩色して構成したインスタレーションや、レコードジャケットをコンクリートの箱に埋め込んだ作品など、ストレートな表現がされています。また、チャック・ベリー、オノ・ヨーコなどの写真を使ったコラージュ作品も、素直な作品です。
ジムの作品に込められた意図は、もう少し深いものがあるのかもしれませんが、私は単純にストレートにジムの作り出す空間を楽しみました。分かりやすい現代美術、といっていいかもしれません。
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2009/01/13
ピカソとクレー、その表現のしかたは違いますが、二人はほぼ同世代です。生まれたのがピカソ1881年、クレー1879年と2歳違い。ピカソが91歳まで生きたのにくらべ、クレーは60歳で亡くなっています。ザ・ミュージアムで開催されている『20世紀のはじまり ピカソとクレーの生きた時代』は、この二人の画家を目玉にした20世紀前半の美術の流れをみせてくれる展覧会です。
この展覧会は、ドイツ・デュッセルドルフにあるノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館所蔵の近代絵画のコレクション展。その内容は20世紀初頭から半ばまでに起こった美術様式=表現主義、キュビズム、シュルレアリスム、そして抽象絵画への流れを、主だったアーティストの作品でみせる、という定番の構成ではあります。
タイトルはピカソとクレー、となってはいますが、この展覧会の売りはクレー。ノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館は100点ほどのクレー作品を所蔵しており、その中から27点が展示されています(ピカソは6点だけ)。クレーをみる展覧会といっていいのではないでしょうか。クレーの作品はチュニジア旅行以前の初期作品から、晩年(1938年)まで幅広い年代の作品が展示されており、クレーに浸ることができました。
クレー以外の作品では、シャガールの「バイオリン弾き」、「祝祭日」が、これまで私が持っていたシャガールのイメージからちょっと外れて、面白さを感じました。また、カンディンスキーの3点は、色の広がりがカンディンスキーならでは、と感じさせてくれる素敵な作品です。
いわゆるビッグな画家の作品が並んでははいますが、刺激という意味ではちょっと物足りない展覧会ではありました。この時代の画家、作品がお好きな方にはおすすめでしょう。
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2009/01/12
アートを楽しむ方法はいくつもありますが、ぐっと現実的になるとギャラリーや画廊巡りは鑑賞料がかかりません。銀座近辺だとまとまってギャラリーをみることができますが、それ以外の地区は、なかなか足が向きません。先週、思い立って清澄白河のギャラリーにいってみました。
アートファンならご存じかと思いますが、ここには小山登美夫ギャラリーをはじめ、いくつかのギャラリーが入っているビルがあります。地下鉄の清澄白河の駅から徒歩、7.8分の距離にある丸八倉庫という古いビル。ここにおしゃれなアートスペースがあります。建物の1階にはギャラリーの案内のブースもあります。ただ古い倉庫なので、エレベーターは荷物用の大きいのがあるだけ。「呼」ボタンを押して、エレベーターを呼ぶタイプです。
このビルは8つのギャラリーが入っていますが、訪れられたときは「シュウゴアーツ」と「小山登美夫ギャラリー」だけしか展示がされていませんでした。場所が場所だけに、(我が家ああtりからだと)わざわざ行きづらい場所ではあります。清澄白河には、東京都現代美術館もあるのですが、このギャラリービルとは真反対なので、移動には20分はかかります。
そのせいか、小山登美夫さんのギャラリーは銀座、代官山にも進出しています。家賃の問題があり、簡単ではないのでしょうが、やはり都心に近いロケーションのほうが、いいですね。ちょっと外れた場所で、ギャラリーを運営していくのは、どうなんだろうな、とふと感じました。
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2009/01/05
新年になってブリヂストン美術館のカレンダーを買ってきて、我が家のカレンダーが揃いました(笑)。去年は仙台にも家があったので、カレンダーをたくさん用意しなければいけませんでした(別に「いけない」わけではないですね)が、今年はシンプル。
さて、今年のカレンダーはブリヂストン美術館、会社のもの、JALのアートカレンダー(もらいもの)、そしてMoMA(ニューヨーク近代美術館)のものです。この中で、MoMAのカレンダー は去年から買っているものです。なかなかセンスのいいカレンダーですが、アメリカのAMAZONから買っています。(日本でも売っているのかな)。
このカレンダーの1月の作品はこれです。
ポール・ゴーギャンの「Still Life With Three Puppies」。これがゴーギャンの作品? ちょっと意外。こんな可愛い作品、ゴーギャン描いていたんですね。このMoMAのカレンダー、うちにはトイレにかけているんです。もったいない……?
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2008/12/24
昨日で終了してしまいましたが、最後の駆け込みで「山口薫展 都市と田園のはざまで」 (世田谷美術館)をみてきました。山口薫の作品をまとめてみるのははじめてです。山口は1907年生まれ、東京美術学校(現東京芸術大学)卒業後、渡仏。帰国後、自由美術家協会、モダンアート協会をつくり、日本画壇の中心的役割を果たした画家です。
展覧会では、初期から最晩年の作品までを、資料を交え展示しています。山口が画家として活動し始めたのは1920年代後半。この時期はヨーロッパで様々な美術様式が展開されていった時期です。山口の作品も初期には風景画、肖像画といった具象画が描かれていましたが、戦後の1945年以降、抽象的な表現の作品が多くなります。
この時期の作品は形の表現にその特徴があります。具象と抽象の間にある、とでも言えばいいのでしょうか。たとえばこの「ノートルダァム」(1954年)は、独特な形の表現がされています。この時期の作品が、もっとも山口薫らしい、と感じました。
その後、山口はほとんど抽象画といっていい表現形式にすすみます。薄塗りの油彩が特徴的。スケールの大きい作品もいくつかあります。
しかし、最晩年には「おぼろ月に輪舞する子供達」(絶筆)で、きわめてシンプルな具象作品を描きます。
具象と抽象を行き来した山口の作品。見ていて心がやすらいでいくのを感じる作品が多くありました。素敵な展覧会でした。
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2008/12/12
いまさらなのですが、渋谷に恒久設置された「明日への神話」をみてみました。先月の17日に設置されました。渋谷にはしばしば仕事で行くのですが、「明日への神話」が設置されている場所は、通らないルートなんですよね。
その場所は、JR渋谷駅から井の頭線への連絡通路。作品に前に立つと、さすがに大きい感じ。東京都現代美術館で公開されていたときにみたのですが、ミュージアムで展示されているのとは、ずいぶん違った印象です。
この「明日の神話」の恒久設置に際しては、大阪府、長崎市、広島市、そして渋谷が誘致活動を行った結果、渋谷に設置が決定。渋谷への誘致のため、渋谷サイドでは「『明日の神話』誘致プロジェクト実行委員会」 をつくり、街、地元企業(東急など)、学校(青山学院など)が連携して誘致活動を行ったようです。
公開から1ヶ月近くも経ちましたが、作品の前では写真を撮る人がいました。渋谷の新しい名所になるといいですね。
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2008/12/08
十和田市現代美術館から仙台へ。一泊して翌日は仙台市内のミュージアムを駆け足でまわってきました。先々月、久々に再開した宮城県美術館、そして仙台市博物館、(ミュージアムではないですが)せんだいメディアテークの3館です。
宮城県美術館では『ウィーン美術史美術館所蔵 静物画の秘密展』 が開催中。ハプスブルク家のコレクションを集めたウィーン美術史美術館から、静物画にフォーカスして展示するもの。正直言って、この分野の絵画、あまり得意ではないですが(苦笑)、絵画の完成度が高いのはわかります。ちなみ、この展覧会、六本木の国立新美術館で開催されていたものの巡回展です。
仙台市博物館では『平泉〜みちのくの浄土〜』 が開催されています。実は平泉、藤原氏を巡る歴史にはまったくといっていいほど知識がありません。この展覧会、その歴史が頭に入っているか否かで、楽しみ方は全く違います。私の場合は、展示された仏像や調度、資料をただ眺めるだけで、なんとも情けない鑑賞になってしまいました。
しかし、この展覧会に展示されている美術品や工芸品、資料は高い価値があります。本展のWEBによれば、「国宝・重要文化財約100点を含む仏教美術の名品や歴史資料など約250点を一堂に展示」とあり、極めて質の高い展示品が並びます。国宝も中尊寺所蔵品を中心として、20点ほどが展示されていました。
実はこの展覧会、平泉の世界遺産登録記念として企画されていたようです。その登録は見送りになってしまいましたが、この質の高い展覧会はそのまま実施されたわけです。仙台の後、世田谷美術館、福岡市博物館に巡回します。
最後にせんだいメディアテークで開催されている『高嶺格[大きな休息] 明日のためのガーデニング 1095㎡』 は、メディアテークの6階ギャラリー全体を使って髙嶺格の世界をみせようとする企画です。会場は無料ゾーンと有料ゾーンに分かれていて、有料ゾーンにある作品「大きな停止」は目の不自由な方によるガイドツアーのみの鑑賞形式となっています。時間がなく、残念ながら有料ゾーンは見られなかったのですが、無料ゾーンにある主に映像を主体とした作品には、正直言って心が動きませんでした。
宮城県美術館と仙台市博物館は鑑賞者で賑わっていましたが、せんだいメディアテークは人は多くありませんでした。ちょっと考えさせられた仙台アートの旅でした。
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2008/12/05
一昨日、目黒区美術館で展覧会の企画『特別対談「女性の/と写真』に参加してきました。いま開催されてる「石内都展 ひろしま/ヨコスカ」に関連した企画で、石内都さんと社会学者の上野千鶴子さんの対談です。対談は上野さんがリードする形で進行していき、そのうまいトークで石内さんの人柄、考え方はわかってきました。
対談の中で、いくつの興味をひかれたことがありました。初期の作品「アパートメント」について、石内さんは人が忘れたものを撮っている、と。detailにこだわったと感じた写真は、忘れたものが撮されていたのですね。
また、「ひろしま」という写真集をつくりきっかけについて。石内さんの作品に「Mother's」があります。これは亡くなった石内さんのお母さんの遺品を撮したものですが、この写真をみた編集者が、「ひろしま」のアイディアを持ってきたそうです。ただ、それまでその編集者は石内都という写真家の存在を知らなかった。遺品、広島という関連で、石内さんに広島をテーマにした写真をとる企画を持ち込んだそう。ちょっと驚く話です。
写真家、画家本人の話を聞くことは、とても面白い体験です。やはり独りよがりにみているだけでは駄目ですね。
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2008/11/23
昨日、やっと横浜トリエンナーレに行ってきました。会期は今月30日までで、もうすぐ終わってしまいます。行くのやめようかとも思っていたのですが、既にみてきた知人の評価がネガティなこともあり、自分の目で確かめようと出かけてきました。
横浜トリエンナーレは、3年ごとに開催される現代美術の国際展です。展示されている作品は、当然現代アートだけです。会場をみていくうちに、「現代美術って、こんなに難解なものだったのか」と、極めてシンプルな疑問が頭をよぎりました。作家の制作意図がわからないという難しさもあるのですが、作品を楽しむ糸口がほとんど見つからないのです。
現代アートは難しい、と言われたりします。確かにわかる、わからないということで言うと、わかりにくいかも知れません。でも、みていて楽しいんですね、現代アートって。私にとって現代アートは、同時代をいきているアーティストが作っているせいか、わからなくても、楽しめることが多いです。
しかし、横浜トリエンナーレにある作品で、みていて楽しくなる作品はほとんどありませんでした。そればかりか、中にはR-15指定の作品や「場合によっては、不快になることがあります」と書かれたビデオアート作品もありました。私は、やはりこのビデオをみていて、不快でした。大規模な展覧会になんでこんな作品、出展をするのか理解できせん。
本展の展示をみた限りでは、アーティスト、そしてその作品と鑑賞者を結びつけようする意志がほとんど感じられませんでした。いわば勝手に理解しろ、とでもいわんばかりです。現在美術の国際展、トリエンナーレってどこもこんなものなのでしょうか。それとも横浜トリエンナーレだけが、特殊なのか。
来場者はほとんどが若者でしたが、楽しそうに作品に接している人が少なかったように感じました。1800円という入場料が、もったいなく思えた横浜トリエンナーレでした。残念です。
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2008/11/16
渋谷の公演通りにある「たばこと塩の博物館」。これまで存在は知っていましたが、入ったことはありませんでした。「たばこと塩」ですから、旧専売公社の施設でしょうね。最近、このあたりに仕事でいくことが多く、昼休み時間にちょうど前を通りかかったので、入ってみました。
現在、開館30周年記念の特別展「近世初期風俗画 躍動と快楽」 が開催されています。タイトルだけだと、ちょっとぼやっとしていてどんな企画展かわかりにくいですが、16世紀末から17世紀中頃に描かれた屏風絵の展示です。描かれた内容が、遊郭、洛中洛外図、歌舞伎など風俗をテーマにしたものを集めています。
これだけ書いてもあまり魅力が伝わりにくのですが、展示されている作品の質がとても高いのです。たばこと塩の博物館所蔵の作品に加えて、全国の美術館、博物館から作品を借用しています。国立歴史民族博物館、京都国立博物館、サントリー美術館、出光美術館、細見美術館などからの名品が並んでいます。その数30点弱ですが、さすが見ごたえがあります。
これだけ名品が揃って、入館料は300円。お得ですね。18日からは、国立歴史民族博物館所蔵の「洛中洛外図(歴博甲本)」が展示されます。「洛中洛外図」は狩野永德筆といわれる上杉本(米沢市上杉博物館所蔵)が国宝に指定されていますが、この歴博甲本も重要文化財。これが渋谷で見られます。会期中に再訪しようと目論んでいます。
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2008/11/14
大金持ちになると誰しも、美術作品を買いたくなるようですね。破綻したリーマン・ブラザーズのCEO、リチャード・ファルド夫妻は美術コレクターとして有名。その作品がクリスティーズに売却され、競売にかけられました。その結果が、昨日の日経新聞夕刊に載っていました。
記事によると、すべての作品に買い手がついたものの、落札価格は低調。目玉とされたデ・クーニング「ウーマン」の落札価格は240万ドル(約2億3千万円)で、落札予想価格の下限に届かなかった。リーマンCEO夫妻コレクション以外に出品された作品も、落札価格もおしなべて低調とのこと。
アメリカの金融危機の影響から、アート市場もバブルが崩壊、作品の落札価格も下落しているようです。アートと経済は、まったく対極にある存在とも思えますが、こと作品の市場価格となると、面白いほど連動しているんですね。そもそもアートの価値なんて、絶対的な価値などつけられ訳はありません。市場価格というものも、なにか実態がない気がします。株価が下がって困る人は多いかもしれませんが、アート作品の値が下落して、影響を受けるの人、たくさんいるのかな。どうなんでしょう。
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2008/11/03
数寄屋橋の泰明小学校の校庭で毎年行われている『あおぞらDEアート』、今年4回目です。銀座のギャラリーが若手作家の作品を紹介するアートイベントです。今年も、昨日行われたので、行ってきました。小学校に着いたのは、午後3時過ぎ。ほどほどの賑わいですが、肝心の作品が少ない気がします。
今年の参加ギャラリーは10と、過去3回に比べて数が減っています。去年作品をかった「ギャラリートモス」や私好みの作品がある「十一月画廊」はでていません。出展されている作品も、はっきり言えば、未熟なものが多く、魅力をほとんど感じませんでした。
このような形態でのアートフェアは、やはり無理があるのでしょうか。いつもは銀座のビルの中で作品展をやっているギャラリーを、青空のもとのひっぱりだすのは、抵抗があるのかな、と思ったりします。それとも、アートバブルが去ってしまって、ギャラリーには厳しい時代なのでしょうか。
若手作家に出会える機会をつくるという意味で、この『あおぞらDEアート』はすばらしい企画だと思いますが、今年の開催は、課題を残したものになったと思います。
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2008/10/31
先月取り上げた「現代アートバブル」 、この本は現在のアートバブルを背景にして企画されたものでした。しかし、金融危機が突然のようにきたと同じく、それと連動するかのようにアートバブルも終わったようです。
昨日の日経新聞夕刊に「『アートバブル』も終わった」と題する記事がありました。現代美術家の村上隆さんのインタビューした内容です。村上さんによれば、上海、韓国でのアートフェアは惨憺たる結果だったが、本格的に冷え込むのは少し先だろう(美術市場は他の市場がクラッシュして1年くらい遅れて影響が出るから)。
また、現在の現代美術マーケットで、高い値がついているのは、コンセプチュアルな戦略を展開している作家であるといいます(コンセプチュアルな戦略とは、村上さんのように、市場性を考慮して作品をつくるということでしょうか)
また、日本では白髪一雄や李禹煥(リウファン)の作品が評価を復活させているが、それは強うオリジナリティーを持っているからといいます。
おしゃっていることは、まさしく正論です。ただ、なぜか村上さんの主張には、ひっかかってしまうのですよ。すんなり納得できない感じです。
また、この記事でちょっと驚いた内容がありました。村上さんが2002年から主催しているアートフェア形式のイベント「GEU|ISAI」。毎回、数億円の赤字がでていて、村上さんの会社からの持ち出しとか。単純に考えると、村上会社(カイカイキキ)は、それ以上の利益を得ているわけです。これもすごいことです。アートって、うまくやれば儲かるものなのですね。
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2008/10/19
アート業界では、現代アートバブルだとか、否、バブルははじけたなどいろいろ言われています。東京近辺には、画廊、ギャラリーが数多くあり、ある視点からのアートの今をみられる場となっています。とはいえ、ギャラリーはどこへいけばいい作品にであえるのか。素人にはわかりにくいものです。
その手助けの一つとして、いくつかのWEBサイトがあります。その中でもっとも充実していると思われるのが「芸力」 です。東京のギャラリー情報は、常に更新されていて、役に立ちます。
このサイトを運営している竹本さんは、ちょっと前からの知り合いなので、昨日無理をお願いして、銀座ギャラリーツアーをしていただきました。20以上のギャラリーをまわったのですが、まわった感想をいうと、ギャラリーは面白いな、ということ。大学を今年でた若い人から、かなりのベテランまで、様々なスタイルのアーティストの作品と出会えました。また、油彩、日本画といった平面作品から、インスタレーション、ビデオアートを展示しているギャラリーもある多彩さです。
私の感覚では、ギャラリーと美術館の両方ともに、足を運んでいるアートファンは多くない気がしています。二つの間には、なぜか国境みたいなものがあるようです。確かにギャラリーは、いきにくい存在ですが、そこにいくと新しい発見があったりします。なんとか時間を作って、あらためて思い直しました。
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2008/10/14
六本木ではピカソ展がふたつの美術館で開催されています。国立新美術館と、サントリー美術館です。これはパリ国立ピカソ美術館が改修のため、作品約230点が貸し出され、規模の大きいピカソ展が実現したものです。
まずは、国立新美術館の「巨匠ピカソ 愛と創造の軌跡」 をみてきました。混雑しているかなと思い、金曜の夜6時半すぎにいってみたら、来場者は多くなく、ゆったりみることができました。ピカソが多作のためか、日本でもピカソ作品をみることのできる美術館はいくつもあります。そのせいか、日本でのピカソ展は意外と混雑しないのかもしれません(4年前に開催されたこのピカソ展 も混んでませんでした)。
さて、本題。ピカソの作品は膨大です。作風も様々に変遷しています。その全貌を今回日本にきている230点ほどの作品で理解することは難しいでしょう。私は、単純にピカソを楽しむ、という姿勢で鑑賞させてもらいました。いくつか新しいピカソのとの出会いがありました。ひとつは、アサンブラージュです。アサンブラージュとは立体作品のこと。グラス、新聞、サイコロなどを素材にした作品が出展されています。ピカソのアサンブラージュをみるのは初めてかもしれません。キュビズムでのコラージュ、パピエコレの立体版で、ピカソが様々な表現を取り入れているのがわかって興味深いです。
そして、今更の発見なのですが、ピカソの色彩感覚の鋭さに驚きました。色彩の魔術師という形容詞は、マティスやボナールにつけられていますが、ピカソの色彩感もすごいです。シュルレアリスムの様式で描いたとされる作品はそれが顕著です。特に人間とは思えない表現の人物画を描いていたころの色彩は、なんともう美しい。「ドラ・マールの肖像」(下の図録の表紙)や「マリー・テレーズの肖像」はその色彩のバランスに、しばらく絵の前で見入ってしまいました。
ピカソは、やはり類い希なる才能の持ち主なのですね。新しいピカソに出会えた、すてきな展覧会でした。
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2008/10/07
日経新聞、朝刊の文化欄(最終面)に不定期で連載される『○○十選』というコラムがありますね。美術に造詣が深い人々が、テーマを決めて10のアート作品を巡るエッセイを書くもの。登場するのは、美術研究家、アーティストなど美術にいつも関わっている人が多いのですが、今はイッセー尾形さんの連載です。
イッセーさんの選んだのは「普通の人々 十選」。思わず納得してしまうテーマです。イッセーさんは自ら絵を描くほどなので、アートにも詳しそうです。連載は、先週からはじまって、今日が4回目。取り上げた作家は、モジリアニ、安井曾太郎、シーガル、ジャコメッティと続いています。結構意外な選択。安井曾太郎は仙台公演のとき、美術館でみたとか(きっと宮城県美術館でしょう)。
文章は、イッセーさんの生真面目さと、そしてユーモア感覚がにじみ出た軽快な文章です。読んでいて楽しい。イッセーファンには読み逃せませんね(早く教えれば、よかったのに。すみません)。
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2008/10/06
目黒区美術館でいま『丸山直文展ー後ろの正面』 が開催されています。この展覧会関連の企画として昨日、丸山さんと建築家の青木淳さんの対談があり、参加してきました。青木淳さんは、磯崎新のところにいらした建築家で、ルイ・ヴィトンのショップや、一昨年開館した靑森県立美術館の設計で知られます。
美術に関心が高い青木さんと画家丸山直文さんの対談は、とても面白いものでした。特に美術館の展示室での展示をするための丸山さんの方法が特に興味深かったです。この展覧会のため、展示室の模型を作り、どのように展示するかを約1年近くも前から時間をかけて検討したそうです。また展示室に均質な光が欲しいため、絵画にはスポットライトをあてず、展示室に付いている照明を、白い光の照明(色温度が4500ケルビンの高いもの)に付け替えたとか。
さらに、展示室のひとつは木の床の上から白いシートをはり、もうひとつの部屋は床のタイルをはがしています。目黒区美術館でここまでやるのは珍しいこと(初めて?)。
青木淳さんは、初めてご本人を拝見しましたが、人のいいおじさんといった印象で、有名な建築家とはちょっと思えない風貌です。でも、話は分かりやすく、うまく丸山さんをリードしていらっしゃいました。このようなアーティスト本人が出席する企画にはめったに行かないのですが、丸山さん、青木さんご両人の実像みたいなものがちょっと垣間見えて、有意義な時間を過ごせました。
肝心の展覧会は時間がなくなってしまったので、改めて出直すことにしました。『丸山直文展ー後ろの正面』おすすめです。
本展のチラシ
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2008/09/22
今年の3月ころ、知り合いの方から「液晶絵画」 という企画を三重県立美術館でやっていると教えてもらいました。とても興味があったので、三重まで行こうと思ったのですが、結局行けずじまい。しかし、この企画展が東京都写真美術館に巡回してきて、やっといってきました。 この企画展は、液晶ディスプレイと液晶プロジェクターを使った映像表現の作品を見せてくれるものです。いわゆるビデオアート作品の展示ですが、特徴は映像機器にこだわりをもったところです。液晶ディスプレイの大手メーカー、シャープが特別協力をして、ディスプレイをすべて貸し出しているようです。ビデオアートの企画でありがちなのは、映像を映し出す機器の画質にあまり配慮が払われないことです。この企画では、しっかりと調整されたディスプレイが使われていました。 全体の感想をいうと、とても面白く刺激的でした。14名の作家の作品が展示されているですが、その中で印象に残ったのは、まず千住博 『水の森』。8面の液晶ディスプレイが、あたかも四曲二双の屏風のごとく置かれ、そこに水墨画とも思えるモノクロ映像が映し出されます。静止画ではなく、静かに動いている動画。静寂な時間が流れていきます。実は千住先生の絵画にはあまり心が動かない私ですが、これはいいです。新しいメディアに挑戦する姿勢もすごいと思います。 森村泰昌 の動画表現も秀逸です。フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』をモチーフにして、森村がターバンの少女を演じている動画作品は、楽しいです。ほんとは森村さんなのに、少女に見えるのが不思議。 いちばん気になったのは小島千雪 の『リズミカルム 砂の陸』。この人の作品をみるのははじめてですが、優しい映像が心地よく、イメージが広がっていく素敵な世界です。 また、ビデオアートの大御所、ビル・ヴィオラ やブライアン・イーノ の作品もあります。ビデオアートファンでなくても楽しめます。おすすめ。
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2008/09/21
毎月、かなりの新書がでていいます。その中でも、最近はいくつかアート関係の本もコンスタントに新刊として登場していますね。光文社新書の新刊「現代アートバブル」 をそのタイトルにひかれて買いました。この本は銀座の吉井画廊の2代目で、現代美術ギャラリーhiromiyoshiiを運営している吉井仁美さんが著者です。
素直な感想から言うと、少し期待はずれでした。本のタイトルは「現代アートバブル いま、何が起きているのか」ですが、そのアートバブルの現状とか起きている理由はほとんど書かれていません。本のタイトルと内容は合っていないわけです。大半は、吉井さんのギャラリーをやってきた経験や、そこから導きだされる意見、主張が書かれています。本の帯にこうあります。「21世紀のコミュニケーションツール 見方、選び方、楽しみ方」。現代アート入門書というところでしょうか。
内容は興味深いことが多く含まれています。ただ、文章表現が平坦で、読んでいて面白い印象を受けなかったのは残念です。この本に限らず、最近の新書には、文章のプロでない人を著者にするせいか、文章として面白くないことは、時としてあります。
ところで、現代アートってほんとにバブルなんでしょうか。そこが知りたいです。
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2008/09/19
昨日は用事があって会社を休んだのですが、午後3時頃自由になったので、思い立って上野に「フェルメール展」 を見にいきました。混雑しているかなと思っていたのですが、平日、雨、ということか行列なく入れました。
実は、フェルメールという画家にはそんなに思い入れはありません。フェルメールの作品を見たのは、3年ほど前、国立西洋美術館で「窓辺で手紙を読む女」だけです。しかし、「フェルメール展」では32から36点ほどの作品しか現存していないうち(様々な説があるようです)、7点もの作品がきているとのことで、見ておく価値はありそうです。
フェルメールが暮らした故郷、オランダのデルフト。この展覧会では、デルフトで活躍した画家の作品たちの作品と、フェルメールの7点の作品で構成されています。ピーテル・デ・ホーホやカレル・ファブリティウスなどの作品をまとまって見るのははじめてです。精緻に描き込まれたキャンバスをみていると、心静かになっていくのを感じます。
フェルメールもこれだけまとまった作品を一度にみると、熱狂的なファンが多くいることが、ちょっとわかる気がしました。優しさが光で表現されているのですね。
7点の中には、いまだ真作かとの議論もあるという「ヴァージナルの前に座る若い女」も個人蔵とされて出展されています(2004年にロンドンのサザビーズ競売で約32億円で個人に競り落とされたため)。
全世界のミュージアムに点在するフェルメール作品、7点もの作品がまとまってみられるのはこの展覧会をやっている日本だけかもしれません。
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2008/09/14
知り合いの方から、多摩美術大学美術館の招待券をいただいたので、出かけてきました。開催されているのは「セルビアのナイーブ・アート」。大変失礼なことなのですが、セルビアの正しい位置さえ知らない私です。旧ユーゴスラビア連邦から2006年に独立した新しい国ですね。正しくはセルビア共和国、場所はここ。
セルビアのコヴァチッツァという村に独学で活動するアーティスト達がいます。彼らの作品はナイーブ・アートと呼ばれています。
「セルビアのナイーブ・アート」では、このコヴァチッツァで活動したアーティストの作品約70点が展示されています。明るい色彩、遠近法にとらわれないような平面的な表現、風景や生活を中心とする描写などが特徴といっていいのでしょうか。あたたかい作品が多い印象です。あたかもアンリー・ルソー作品を見ているかのようです。
結婚式 カタリーナ・デュリショヴァ
あまり見る機会がないナイーブ・アート作品に触れた貴重な企画展でした。なお、会期は残念ながら今日まです。
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2008/09/13
芸術の秋、ということでしょうか、「フィガロジャポン」今月号では『そういうことなの、現代アート』という特集です。この雑誌、女性誌なのですが、どの辺の層をターゲットにしているのでしょう。現代アートをテーマにするのですから、若い層(20代前半とか)なのでしょうか。
雑誌でのアート特集って、難しいなと思います。特定のテーマを掘り下げるのではなく、一般的な内容になりがち。この特集でも、現代アート入門ということで、アーティストの紹介+αな記事で構成されていて、アートの楽しさまでは伝わっていない感じです。
それにしても、このフィガロジャポンという雑誌、こんなありきたりな内容のものだったかな。以前は、もっとマニアックな雑誌だった気がするのですが。いつの間にか、ふつうの女性誌になってました。
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2008/09/02
宮城の新聞・河北新報が運営しているSNS「ふらっと」 というのがあります。宮城県に在住している方以外、あまり知れ渡っていないかもしれませんが、着実に活動をしています。以前、このブログを河北新報で紹介していただいたので、この「ふらっと」にもミュニティを作りました。『宮城+東北のアートを楽しもう』というものです。
でも、今年の4月に東京に戻ってしまって、このコミュニティも放置したままでした。先日、久し振りにのぞいてみたら、いくつも書き込みをいただいていました。メンバーもいつの間にか、44人になってます。驚きと感謝です。宮城のアートコミュニティって、あまり無いのかな。皆さん、このコミュニティを使っていただいているようです。
東北にも、地道にアートを支援する活動をしている方がいらっしゃいます。(たとえば秋田のこの方 。仙台にいたとき、NHKのニュースで拝見しましたが、ついに訪れる機会がありませんでした)住まいは東京に戻ってしまいましたが、芸術性の高い風土である東北のアートを、機会があれば支援していきたと思っています。
☆「ふらっと」はここをクリック →mixiとは違って、会員の招待がなくても入れます。
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2008/08/17
残念ながら本日で会期が終わってしまいましたが、東京国立博物館で開催されていた「対決-巨匠たちの日本美術」に先週いってきたので、感想を簡単に記しておきます。実は朝日新聞からチケットをもらたので、会期終了間際になって、あわてていってきました。平日ながら、凄い行列でした。同じ上野で開催されているフェルメールが10分待ちに対して、この展覧会は30分待ちでした。
この「対決-巨匠たちの日本美術」の大きな見所は、展示されてる作品の「質」。WEBによると、
「国宝10余件、重要文化財約40件を含む、計100余件の名品が一堂に会し」
とあります。これだけ国宝、重文が揃っている展覧会は珍しいでしょう。
そして、この作品を「対決」という明確な切り口でみせていることが、もうひとつの見所です。「対決」という強い言葉で表現したことが、この展覧会を魅力的なものにしていると思います。
でも、これだけの重厚感のある展覧会をみることができる東京という環境は、恵まれていると思います。地方では、こんな展覧会、まずみられません。東京ってすごいな(曖昧ですね)と改めて感じた展覧会です。
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2008/08/11
久し振りに原美術館に出かけました。品川近辺に用事があり、衝動的(?)に訪れました。いまは、「アート・スコープ2007/2008」と題された企画展が開催されています。ダイムラー・イン・シャパンの文化芸術支援活動。
美術館でいただいたリーフレットによると「日本とドイツの間で、お互いに現代美術のアーティストを派遣、招聘し、異文化での生活体験・創作活動を通して交流をはかる」
とのこと。
日本側は照屋勇賢、加藤泉。ドイツ側はエヴァ・テッペ、アスカン・ピンカーネルの4人。インスタレーション、油彩、彫刻、ビデオアート、ドローイングなど様々な表現形式での作品です。どのアーティストも初めてみるのですが、いまさらですが、現代アートは難しいです。
私は照屋勇賢のインスタレーションがいちばん馴染めました。加藤泉の彫刻、油彩は作品をみる視点が定まらず、見ていると不安な気持ちにさせられます。
エヴァ・テッペのビデオアートは、正直いってよくわかりません。アスカン・ピンカーネルは黒鉛と墨で描かれたドローイングで、建物が描かれています。なせか、この人の作品は原美術館の建物に合います。
様々な現代アートと出会える企画展です。
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2008/08/04
久しぶりに庭園美術館へいってきました。いま、「舟越桂 夏の邸宅」 が開催されています。舟越桂は、ご存じに通り、彫刻家・舟越保武を父に持つ岩手出身の彫刻家です。岩手県立美術館には、舟越保武展示室があり、舟越桂の作品もいくつか展示されていまが、まとまった作品をみるのははじめてです。
舟越桂の彫刻は、木の素材を生かた造形と、精巧に掘られた顔が特徴だと思います。この展覧会では、スフィンクスシリーズなど神秘的な趣の彫刻が展示されています。何かを見つめているような眼は、大理石で作られています。不思議な表情です。
この展覧会では、彫刻だけでなく、ドローイング、版画も展示されています。舟越はドローイングは彫刻を作るための習作にとどまらず、重要な創造の領域と考えているとのこと。また、版画もいくつかの技法を駆使し、魅力ある作品を作っています。
また、この展覧会は「夏の邸宅」と名付けられています。これは、アールデコ様式の庭園美術館の室内装飾と、舟越の作品がどう調和するか、をテーマにしていることによります。この企画は、成功しているのではないかなと思います。
舟越桂の、様々な魅力をみることのできる企画展だと思います。
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2008/07/21
久しぶりに出光美術館に。いま、「ルオー大回顧展」が開催されています。出光美術館といえば、日本美術のイメージが強いですが、ルオー作品を約400点コレクションしています。このコレクションを知りながらも、「大回顧展」というタイトルにはちょっと懐疑的で、気軽にルオーを見るつもりで出かけました。しかし、会場に並ぶ作品をみていくと、まさに回顧展に名にふさわしい展示に圧倒されました。
この展覧会の特徴は、3つあると思います。まず、ルオーの画家活動で初期、そして晩年の油彩画が多く出展されていること。宗教画家と形容されるルオーですが、キリストをテーマにしていない作品も多く手がけていることがわかります。風景画や肖像画は、ルオー独特の平面性が強調されて、興味深い作品が並びます。
2つめとして、これまで未公開であった作品が、はじめて公開されていること。ルオーが手がけた銅版画集「ミセレーレ」の制作過程で、未完成のまま破棄されることになった作品が、公開されています。作品には斜線が入れられ、破棄される意図があきらかな作品群が展示されています。この作品はこれまでコレクションはされていたものの、ルオー財団から出展が許可されていませんでした。この「大回顧展」に限って、出品されています。
3つめとして、連作油彩画「受難」がまとまって展示されていること。64点の連作は、圧倒的な存在感を示しています。
この展覧会に出展されている作品は約200点、出光のコレクションに半分。いまさらながら、この美術館にすごさを知る企画展です。
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2008/06/23
昨日、渋谷の東急本店まで出向きました。デパートなど(デパ地下以外)めったに行かないのですが、お目当ては工芸ギャラリーで開催されている「小林叔郎・山田輝夫 切子二人展」です。江戸切子、あまり馴染みがないかもしれません。切子、すなわちカットグラスです。江戸時代後期に制作され、いまも東京都内の職人に、その技が受け継がれている伝統工芸です。
実は、昨年武蔵美の科目「工芸」で、工芸品の生産現場を見学してレポートする課題がありました。その際、工房を訪れ、見学させていただいたのが、小林叔郎さんです。催しのご案内をいただき、会場にうかがったわけです。残念ながら小林さんは会場にはいらっしゃいませんでしたが、展示されている作品をじっくり拝見しました。
ガラスをカットして作られる江戸切子は、芸術作品です。切子に限らず、伝統工芸の素晴らしさは、実物をみて、そして触れなければその良さはなかなか分かりません。伝統工芸の置かれている状況は、厳しいものがありますが、この職人芸は受け継がれて欲しいと思います。
江戸切子 小林 WEB
江戸切子 公式WEB
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2008/06/16
アートマネジメントという学問(研究分野)があります。ふつうの人には聞き慣れない言葉でしょう。一昨日、慶應義塾大学で開催された「アート・マネジメント講座2008 入門講座」に参加してきました。この講座は港区が主催、慶應義塾大学アート・センターが共催で、港区に在住、在勤、在学の人を対象におこなわれたものです。定員は80名。応募が多い場合とあったのですが、「そんなに参加する人は多くないだろう」と思ってました。でも会場の慶應大学の教室にはには、80名近いひとが参加していました。アートマネジメントということに興味を持っている人がこんなにいるとは、ちょっと驚きです。
さて、講座の内容ですが、3部構成です。
第1部「ワークショップの楽しみ方・作り方」大月ヒロ子(ミュージアム・エデュケーション・プランナー)
第2部「美術作品とリスク・マネジメント」箱守栄一(リスク・コンサルタント)
第3部「芸術活動運営のための著作権知識」大井法子(弁護士/虎ノ門総合法律事務所パートナー)
申し込むときは深く考えていなかったのですが(ちょっと迂闊でした)、この内容はアートマネジメントの入門編として適切なんでしょうか。私としてはちょっと疑問があります。いきなり各論に入ってしまっています。入門講座ですから、「アートマネジメント」とは何なのか、と定義する講義が、まずはじめにあるべきでしょう。対象は美大の学生ではなく、一般の市民なんですから。
講座のテーマはアートマネジメント領域での基本的なテーマなんでしょうか。例えば「ワークショップの楽しみ方・作り方」は、博物館・美術館に関する基本的なテーマです。これが、どのようにアートマネジメントと関わるのか? 少なくとも講座をきいた限りでは明確ではありませんでした。
港区が主催のアートマネジメント講座であれば、「文化行政」「地域とアート」をキーワードにした講座を期待したいですし、それが行政が行う文化芸術支援のあるべき姿だと思います。参加していた方は、満足していたのか、かなり気になりました。自治体がアートにかかわる問題点が露わになった気がします。
アート・マネジメント講座2008 入門講座(慶應大のWEB)
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2008/06/14
最近は現代アートはちょっとしたブームで、例えばNHKのニュースでも取り上げるほど、このマーケットが注目されています。でも、そのブームは多分に投機的なもので、ほんとの美術愛好家、ファンに支えられているかといえば、疑問があります。
現代アートにずっと関わってきた小山登美夫さんが著した「現代アートビジネス」は、現代アートをビジネス面から論じた興味深い一冊です。この本では、小山さんの大学時代(東京芸大)から、ギャラリーを立ちあげる過程や、村上隆、奈良美智との出会いが描かれています。また。アートを投資と考えている人に向けても、そのノウハウを伝授してくれています。そして、最後の章では、小山さんのアートに対する考え方も「日本をアート大国に」としてしっかりしめされ、充実した内容です。
ただちょっと残念なのは、文章が平板で、せっかくの貴重な情報をさらっと読み飛ばしがちなことです。でも、ギャラリー運営のひとつの理想を作ったといっていい小山さんの著作、アートファンは手にとって欲しい本です。
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2008/06/09
東京都現代美術館(MOT)の常設展示では、いつもとちょっと違った作品をみることができます。いま開催中の常設展は『新所蔵作品展ー「賛美小舎」上田コレクションより」と題され、昨年度あらたに美術館のコレクションに加えられた作品が展示されています。その中心は上田國昭・克子夫妻によって集められた「上田コレクション」です。
上田國昭・克子夫妻は、長年都立学校で教鞭をとっていた方。しかし、展示された作品をみると、失礼な言い方かもしれませんが、およそ市井の人のコレクションとは思えない質と量です。展示のタイトルに付けられている「賛美小舎」は「小さな我が家とそこでの美術活動」を意味するといいます。なんか、いい言葉ですね、賛美小舎。うちも小さな家ですが、まだまだ美術活動は満足なものではありません。
展示された作品は、現代美術ながら、心安らかにみることが出来る作品が大半です。私の嗜好と、上田さん夫妻の求める方向が、同じかもしれません。ともあれ、これだけのコレクションを美術館に寄贈する姿勢を賛美します。
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2008/06/08
東京都現代美術館で開催中の「大岩オスカール;夢見る世界」 は、みていて、楽しく、心地いい展覧会です。大岩オスカール、まとまった作品をみるのは初めてです。このアーティスの見る街の光景は、時に色彩艶やかであり、時にノスタルジーを感じ、時に危うげなものだったりするのでしょう。描かれた光景は、夢のようであり、うつつのようでもあり、絵画の世界にはいりこんでいくのが楽しく、快感です。
ブラジル、サンパウロ生まれの日系2世。サンパウロ、東京を経て現在はニューヨークに居住と多国籍ながら、作品をみていくと、そこには日本人的な匂いを感じます。そして、理屈抜きに楽しめる、わかりやすさがあります。そのせいか、会場は20代前半と思われる男女で賑わっていました。若い感性にはぴったりくるものがあるのでしょう。
これからの活躍が楽しみな40代前半の大岩オスカール。夢見る世界が楽しめる展覧会です。
本展のチラシ
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2008/05/18
アート分野での大学と地域の連携は、発想といしてはありながら、実際に行われいる例は少ないようです。慶應大学アート・センターでは港区と協働してアートマネジメント講座を定期的に開催しています。昨日、そのひとつ、画家の宇佐美圭司さんの講演会「絵画空間のコスモロジー」 があり、参加してきました。
東京・三田にある慶應義塾大学の図書館に壁画があります。その絵画が宇佐美圭司さんの作品《やがてすべては一つの円の中に》(です。このたび、あらたな宇佐美さんの作品が寄贈され、図書館に飾られました。宇佐美さん本人がその制作について語ってくれました。宇佐美さんの講演は予定の2時間をかなりこえ内容でした。
この大学は私の母校ですが、在学中にはアート・センターもこの図書館もありませんでした。芸術系の学部をもっていないのにもかかわらず、かなりアート領域に力をいれています。
港区との協働講座もこれからも企画されています。充実したいい企画が続きます。
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2008/05/11
一昨日、愛知の一宮で仕事を終えたあと、東京に帰る途中名古屋に着いたのが夕刻6時半前。いい機会なので、名古屋市美術館に寄ってみました。金曜日は夜8時までの開館です。わざわざ足を運んだのは、東京・国立新美術館で「モディリアーニ展」 が開催されているのに、同じ時期に名古屋でもモディリアーニ展が行われていて、一部のアートファンから「なぜ?」との指摘がされているからです。
白川公園の中にある名古屋市美術館、ここを訪れるのは久し振り。開館20周年記念「アメデオ・モディリアーニ展」が開催されています。このミュージアムではエコール・ド・パリの画家をコレクションの柱としていて、モディリアーニのかわいらしい印象の作品『おさげ髪の少女』を持っています。このこともあり、開館20周年記念として、モディリアーニが選ばれたのでしょう。
前置きが長くなってしまいましたが、「アメデオ・モディリアーニ展」はニューヨーク近代、メトロポリタン、ポンピドゥーセンター、ポーラ美術館など国内外の名だたるミュージアムからモディリアーニ作品を集めて構成されています。展示の基本的な考え方は、国立新美術館の「モディリアーニ展」と同じく、時系列に作品を追いながら、モディリアーニが独特なスタイルを確立する過程をみせてくれるものです。
一流のコレクションを集めているだけ合って、上質な作品が並んでいる印象です。特に良かったのは裸婦像が5枚も展示されていたこと。会場の解説では、モディリアーニは裸婦像を30点ほどしか残していないようなので、これは貴重です。素描などもありますが、全体の印象としては完成されたモディリアーニをみている感覚になりました。
各作品には細かな解説が付けられていて丁寧な展示がされていますが、ちょっと語りすぎな感じがしました。もう少し、鑑賞者に見ることを任せてもいいのではと思います。私の好みでは、企画者(学芸員)の意志がはっきりしている国立新美術館のほうが好きですね。
この展覧会、名古屋のあと姫路(姫路市立美術館)、岩手(岩手県立美術館)に巡回します。できれば首都圏方面にも来て欲しいのですが、そこがないのがちょっと残念です。
「アメデオ・モディリアーニ展」公式WEB
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2008/05/04
モディリアーニといえば、上下方向にのばされたな独特なスタイルの肖像画が思い浮かびます。そこに描かれた表情はどこかもの悲しいものを感じます。また、35歳での夭折、妻ジャンヌの悲しい物語と、モディリアーニを巡る印象は、明るいものではありませんでした。 今、国立新美術館で開催されている「モディリアーニ展」は、そんな私のこれまでの思いこみを覆し、画家モディリアーニへの新しい世界を示してくれる貴重な展覧会です。モディリアーニが独自のスタイルの肖像画へ到達するまでには、アーティストとしての闘いがありました。この企画ではその過程を作品できちんと紹介してくれています。 プリミティブアート(原始美術)から影を受けていたこと。カリアティッド(ギリシャ建築で、長衣を着た女性像の柱のこと)と題し描かれたふくよかな女性像を描いた作品。そして彫刻家になることを断念し、画家に専念し、モディリアーニの画風を得るまでの道のりがわかるいくつもの作品。 また、モディリアーニが独特のスタイルを確立する過程でのキュビズムの影響を受けたと思える作品、珍しいと思える裸婦像、そして自画像など興味深いものがいくつもありました。今回展示されている作品の大半が個人蔵のものです。この機会を逃すと、そう簡単にはみられないと思われる作品が多く展示されています。 モディリアーニへの新しい見方を教えてくれる充実した展覧会です。
本展のチラシ
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2008/04/30
先日訪れた練馬区立美術館と同じく、目黒区美術館でもいま、コレクション展が開催されています。「作品と作品の間に・・・4つの変奏」と題され、所蔵作品をテーマをもって展示する企画です。本展では、全体を4つの章立て-「物語」「細部」「美術史」「快楽」のキーワードでくくり、作品を展示構成しています。それぞれの章はいくつかの「変奏」で分けられ作品が並べらています。
各パートの展示説明は細かく書かれ、展示は綿密に考えられていると感じます。しかし、必ずしも企画者(学芸員)の意図にしたがってみる必要はないようです。美術館のちらしにこうあります。
「これら四つのキーワードは『こうした見方もできる』ということで選ばれたものに過ぎません」
並べられた作品を、鑑賞者が再構成してみていく楽しみ方もできそうです。たとえば人、あるいは裸婦という視点でみていっても面白い見方ができます。
それにしても、目黒区美術館のコレクション、充実していますね。たとえば今回展示されている藤田嗣治の「鶴」。紙に金箔と水彩で描かれた小品ですが、これまでみたことのないスタイル藤田作品です。この美術館は常設展示室がないため、所蔵作品にお目にかれるの機会は多くはないのが残念。是非、再訪したい展覧会です。
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2008/04/25
開店したことは知っていながら、なかなか行けなかった原宿の「MoMA Design Store」。この前、行ってきました。このお店、MoMA=ニューヨーク近代美術館のミュージアムグッズを売っているのかと思っていました。行ってみて、ちょっと違うことに気づきました。もちろんミュージアムグッズは並んでいるのですが、それに加えてMoMAがセレクションした商品も並んでいます。要はMoMAセレクトショップなわけです。特にお皿やグラスなど、キッチン用品にセンスのいいものが揃っている印象を持ちました。また、MoMAで開催している美術展の図録もあります。
訪れたのが土曜日だったせいか、店内は若者を中心に賑わっていました。アートな気分を味わえる楽しいお店です。
MoMA Desgin Store
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2008/04/22
昨日の日経新聞夕刊にあった記事「伝統校舎保存 問われる知恵」。その内容は伝統ある大学の建物が解体の危機に瀕していることを伝えています。記事の冒頭には、学習院大学のピラミッド校舎(通称ピラ校)が3月から解体工事にはいったことが伝えられています。このピラ校はモダニズム建築の代表的な建築家・前川國男が1960年に設計したもの。理由はいくつもあるでしょうが、前川國男の作品が壊されてしまうのは、残念です。
また、前川國男の師匠にあたるアントニン・レーモンドの設計した東京女子大の東寮は昨年に解体。前川と同じく日本を代表する村野藤吾設計の早稲田大学文学部校舎も取り壊しの準備中(ちなみに調べていてわかったのですが、村野設計の横浜プリンスホテル、一昨年取り壊されていました。知りませんでした)
ピラ校の解体に際し、ある教員の話が紹介されています。
「都心の建物としては効率的ではないが、キャンパスのシンボルとして残すおおらかや余裕を大学がなくしたということ」
大学までもが日本国内で蔓延している効率化の波に巻き込まれているのでしょうか。
一方、ピラ校と同じ60年に完成した槙文彦設計の名古屋大学の豊田講堂は、トヨタ自動車が寄贈した建物ですが、今年2月やはりトヨタの支援で改修が実現し、生き延びました。
現代建築も素晴らしいものですが、伝統あるモダニズム建築も守って欲しいと願うばかりです。
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2008/04/16
昨日、ひょんなことから訪れたアートスペースご紹介します。ディーゼルというイタリアのブランドショップ(私はこのブランドを知りませんでした)が、東京の南青山にギャラリーのDENIM GALLEY をやっていて、定期的に展示を行っています。
今は、「Another Geography」と題された岡田公彦さんにインスタレーションが展示されています。銀色の薄い金属を使った作品が天井いっぱいに広がる不思議な空間が作り出されています。岡田さんの本職(?)は建築家というのが、とても興味深いです。
ギャラリーは2階ですが、1階はディーゼルの店舗になっています。ここにも建築家・丸田絢子さんによるインスタレーションがあります。
岡田さんは西沢立衛さんの事務所出身。また丸田さんは青木淳さんの事務所にいた方です。若い建築家によるインスタレーションは、とて面白いです。
これからの展示が楽しみなギャラリーです。
DIESEL DEMIM WEB
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2008/04/10
雑誌でのアートをテーマとして扱うことの難しさを感じます。Esqire(エスクァイア)の今月号は『アートの聖地巡礼』が、その特集。昨日、買ってきてパラパラとめくってみました。内容を簡単にまとめると、国内外の注目される美術館もしくはアートスペースを、ローカルあるいは海外というキーワードでくくって紹介したガイド記事です。
アートを雑誌で見ても、そこには現実の作品に触れた感動はなく、単なる情報でしかありません。やはり、美術館なりに足を運ばねば、臨場感は味わえません。Esqireの記事は、イントロダクションとして読むのが、いいのではないのでしょうか。
特集の中でもメインな記事は、直島のアート。美術に関わる人にとっては、有名なスペースです。私はここへ行ったことはないのですが、記事を読んでいてなぜか行ってみようという気持ちになりませんでした。
また、雑誌的だなと感じる企画もあります。国内のコミッションワーク(設置場所を特定して作家に制作を依頼すること)を取り上げた記事がそれ。これは(おそらく)有名アーティストに絞り記事を構成しているため、たとえばパブリックアートの先駆けとして「仙台方式」と呼ばれ、評価されている仙台市の街中に置かれている彫刻などは、取り上げられていません。
アートを雑誌という紙媒体で表現する難しさを感じます。
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2008/02/22
ふだんはほとんど関心ももたない「美術手帖」ですが、今月号は特集が『いま、アートを買うということ』なので、興味があり買ってみました。最近は現代アートを買うことが、若い層を中心に盛り上がっているようで、それに合わせての企画でしょうか。
特集は大きく3つの章で構成されています。「個人で買う」「企業・自治体で活かす」「アートと社会をつなげる」という章立てです。まだ、ぱらぱらとめくった程度で、詳しく読んでいないのですが、ふと感じたのは、この美術手帖という雑誌、どの層をターゲットにしているんだろうということ。作家、美術関係者、それともディープなアートファン。特集の構成をみていると、どこに狙いをさだめて作っているのか、ちょっとわかりにくい。この特集のリードにはこう書かれています。
「見る」から「買う」ことへシフトすること。それは、アートと結びつく一つの方法なのではないでしょうか。新しくコレクションを始めた人、企業や自治体でのアートの活かし方など、アートの力によってライフスタイルやオフィス環境を変化させる、事例を紹介していきます。
アートファン、美術マニアに向けて作られている雑誌かと思っていましたが、それだったら企業、自治体でのアートの活かし方は必要ないし。なんともわからない。
いまさら気づいても遅いのですが、こんな曖昧な雑誌だったのですね。今月号は1600円と、安くはありません。どれくらい売れているんでしょうか。
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2008/02/07
現代アートが好きか、ときかれると、「う~ん」と考え込んでしまいます。この頃はどうもこの現代アートが、ちょっとブームのようで、特に若い世代が興味をもって見ているようです。
雑誌『BRUTUS』の最新号は「すいすい理解る(わかる)現代アート」なる特集。気になったので買ってきて、ぱらぱらとめくってみました。現代アートを理解しようという大きなテーマですが、かなりわかりやすくつくってある印象。前半はQ&A形式でたとえば「大きければアートですか」とか、引っかかるテーマで展開されています。ここは、なかなかおもしろく読めそうです。
でも、よくでできているなと思ったのは、後半にある「1989-2008 アートに、なにが起こったのか?」なる企画。これを読めば現代アートの流れがつかめるかもしれないな、と感じました。特に1989年からはかなり細かく現代アートの出来事が記されていて、資料的にもいいものです。
まあ、歴史を知っても、現代アートを鑑賞する助けには、あまりならないかもしれません。そこが現代アートの難しいところでしょう。
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2007/12/20
一昨日のNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」に、キュレーターの長谷川祐子さんが出演されていました。NHKの総合で、キュレーターの仕事を正面から紹介することは、珍しいのではないでしょうか。『美術手帖』の先月号でも特集「キュレーターという仕事」を組んでいました。キュレーターが注目されているのでしょうか。
長谷川さんは、金沢21世紀美術館の立ち上げ時に関わり、現在は東京都現代美術館で仕事をされています。ウェブでの経歴を拝見すると、京都大の法学部卒業後から東京芸大へ進まれていて、アートの世界ではちょっと異色な経歴をお持ちのようです。(卒業年次から、私と同年代と推測します)
番組からは、長谷川さんのアートに対する「激しさ」みたいなものが伝わってきて、芸術支援を学ぶひよっ子として、とても励まされました。番組の中で、「アートの力を信じる」という長谷川さんの言葉がありました。そうなんですね、これが大切なんだと思いました。
今、東京都現代美術館で開催中の「SPACE FOR YOUR FUTURE」 は長谷川さんが企画したものなんですね。なんとか時間をつくって見に行きたいと思います。
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2007/12/16
SENDAI光のページェントで賑わう定禅寺通のせんだいメディアテークで、「仙台芸術遊泳」が開催されてます。この企画は宮城県のミュージアム、アートスペースが連携して行っているイベントの一環です。宮城県美術館での企画が終わり、いまはせんだいメディアテークでの展示『光の航跡 Off Nibroll』が行われています。
この企画は、簡単に言ってしまうとビデオアート作品の展開です。表現形式はビデオプロジェクターによる大画面への投影と、CRT(ブラウン管)テレビでの映像ですが、見ていて飽きません。ビデオアートって、時としてほんとつまらないものがあるのですが。これはいいです。
ダンスを基本にしているOff Nibrollなるユニットの作品ですが、かなり刺激的でした。せんだいメディアテークの展示は評価できるものが少ないのですが、この企画は素敵です。天井高4メートルのギャラリーでのビデオアートは、この建物を生かした空間をつくっています。
ページェントをみた帰りに、立ち寄ってみるのもいいです(夜9時までやってます)。おすすめ。
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2007/12/07
いつもはほとんど読者サービスとは無縁の日経新聞です。例えば、朝日新聞などでは定期的に美術展のチケットがもらえたりします。でも、たまにいいものを用意してくれます(笑)。ちょっと前に折り込みでアンケートが入っていて、それに答えてファックスすると東山魁夷のカレンダーをプレゼント。先日、ポストに入っていたそのカレンダー。
小さいカレンダーですが、印刷は綺麗です。東山魁夷は、いつのころからか好きな画家になりました。魁夷の描く自然に、心が和みます。
日経新聞、時にいいことをやってくれます。
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2007/12/01
先日「あおぞらDEアート」で作品を購入したのですが、額装ができたのでギャラリーにいっていただいてきました。早川純子さんの木口木版作品「ゴロリ飛ぶ」です。なにやら奇妙なキャラクターが彫られています。何なんだろう。でも、みていると心が和みます。
早川さん、版画を彫られる作家さんなんですね。こんなウェブをつくられています。(鹿角版画室 )絵本の絵も手がけておられるんですね。ウェブにある作品には、版画のほかに立体作品もあります。どれも個性的。
また、作品を購入したギャラリーは「砂翁 & トモス 」 。三越前からちょと歩いた路地の一角にあります。オーナーさんとちょっとお話しましたが、版画作品の展示も多いとのこと。機会をつくってまた訪れたいギャラリーです。
最近はほとんど時間がなく、ギャラリーに足を運んでいませんが、ミュージアムとは違った魅力があり、勉学が一段落したら、ぜひギャラリー三昧をしたいところです。
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2007/11/21
宮城県には、いくつものミュージアムがあります。歴史のある宮城県美術館、新たなアートを模索しようとしているせんだいメディアテーク。また、塩釜には菅野美術館や、ビルドフルーガスといった公立ではないアートスペースもあります。それぞれに、独自の企画をもって、アートを発信してきました。しかし、それぞれが点のままで、繋がった活動はあまりなかったように思います。
今月から来月にかけて行われる「仙台芸術遊泳」は、これらのアートスペースが連携して行われるアートイベントです。宮城県内のミュージアム(美術館、博物館)、アートスペースがそれぞれのテーマで企画展を行います。詳しくはこのWEBをみてください。
今はトップバッターとして宮城県美術館で「光と遊ぶ・闇と遊ぶ」が開催されています。光がつくる魅力的な世界が広がる展示が見所です。
これから、年内に9カ所のアートスペースで企画展が予定されています。どの企画も面白そうです。興味のあるかたは、是非どうぞ。
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2007/11/20
ちょっと前、本屋で見つけた『日経 五つ星の美術館』 を、やっと読み終えました。日経新聞では、昨年全国の公立美術館を対象に「美術館の実力調査」を行い、美術館を5段階で評価しました。その結果は日経新聞の本紙に掲載され、とても興味深く読みました。
この本は、その記事をベースに、関連記事や、その後新たに取材し書き下ろしたリポートを収めています。美術館の格付けをすることに、賛否はあると思います。たぶん、ミュージアムの現場では、否定的な意見が多いかもしれません。でも、私はこの日経の調査、そして格付けを評価しています。公立美術館、厳しい状況に置かれている現実はわかります。でも、なにが問題なのか、は明らかではないことも多いのも事実。この日経の調査はひとつの判断基準を提示したという意味で、非常に意味があると思います。
この本にアーティストの日比野克彦さんのインタビューがあります。今年、日比野さんは金沢21世紀美術館でニート対策のプロジェクトをはじめています。本にある日比野さんの言葉が印象的。
「経済や政治も大事だが、人が美を感じる心を持っていないと社会は正しく進化できない」
美しい国はどうでもいいですが、美を感じる心は、とても大切です。
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2007/11/05
昨日は武蔵美の本校で科目試験。一時間目だったので、終わった後、銀座へ。お目当ては泰明小学校の校庭で開催されている「銀座 あおぞらDEアート」 です。これは、校庭に銀座周辺のギャラリーが出店を出して、アーティストの作品を展示するアートイベントです。
昨年は5月に行われたのですが、今年は芸術の秋に開催。実はこのイベントがあるの全然知らなくて、先週たまたま朝のJ-WAVEで知りました。
今年で3回目のこのあおぞらでDEアートには、100名のアーティストが参加。いつもは、ビルの中のギャラリーでみる作品も、青空の下でみると、違った魅力を感じることができます。
会場では思いがけない方とお会いしました。今年の2月に銀座の「十一月画廊」で福室みずほさんの絵を買わせていただきました。(この記事 )おりしもご本人が会場におられ、お話をさせていただきました。
福室さんの作品も魅力的だったのですが、もうひとつ心惹かれる作品があり、買わせていただきました。早川純子さんの木口木版画です。
木口木版の繊細さのなかに、ちょっとコミカルな感覚があり、すてきです。
今年、会場ではここで紹介したアーティスト紹介シートがおかれていて、みる人に優しい配慮がされています。このすばらしいイベント、来年以降も続けて欲しいと思います。
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2007/10/21
このごろちょっと難しそうな企画展がつづいた宮城県美術館ですが、いま開催されている「日展100年」 展は、わかりやすい展覧会です。サブタイトルに「文・帝展時代から今日まで」とあるように、日展の前身である文展の創設から今年で100年。この100年に及ぶ日本美術をぐっと凝縮してみせてくれるものです。
この展覧会の見所は、ずらっと並んだ名画、名品です。日本美術の力を感じることができる作品が、150点余り並んでいます。私でも名前を知っている有名な(?)画家の絵も多く、親しみやすい展示です。
展示されている作品のジャンルは、日本画、西洋画(油彩)、版画、工芸、書など多彩ですが、私は日本画に特に惹かれました。明治41年(1908年)の土田麦僊(つちだばくせん)「罰」から昭和56年(1981年)の池田遙邨(いけだようそん)「稲掛け」まで、その画風、テーマ、色彩などの変遷、変化がとても興味深いです。
気になった作品をあげてみると、まず平福百穂(ひらふくひゃくすい)「七面鳥」(1914)は、六曲一双の白い紙本に薄い墨で七面鳥が何羽も描かれています。白い余白が、鳥と同じように存在感があります。宮城県美術館で所有している同じ百穂「猟」の細部まで書き込まれた表現とは対照的な、淡泊な世界が不思議です。
石崎光瑤(いしざきこうよう)「燦雨」(1919)。六曲一双の紙本一面に広がる朱色の花とそこに羽ばたく鳥。異次元とも思える表現です。
戦後1958年の徳岡神泉(とくおかしんせん)「枯葉」は、日本画とは思えない色と形が表現されています。失礼な表現かもしれませんが、抽象表現主義、ポロックの作品を連想しました。
そして東山魁夷(ひがしやまかいい)「光昏」(1955)。この人の絵、どうしてここまで心を和ませてくれるのか。しばし、絵の前で佇みます。
この日展100年、今年の夏に東京で開催されていたものの巡回ですが(東京展とは出展作品が一部かわっています)、日展といえば、やはり芸術の秋。この時期に素敵な展覧会が見られるのは、仙台に住むものとしては、ちょっと幸せな気分です。会期は、11月4日までです。アート好きなかたはぜひどうぞ。
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2007/10/20
学校での美術の授業というと、私の世代ではもっぱら作品を作ることでした。どのように作品と接するか、どう作品を見るか、という「鑑賞」について習った覚えはありません。しかし、最近は鑑賞することにも注目をする授業が、少しずつ広がっているようです。
日経新聞の昨日の夕刊(うちには半日遅れで届きます)に、「美術館で鑑賞 感じるまま」という記事がありました。この記事には、
芸術作品を間近で見て、心に感じたものを大切にしてもらいたいー。子どもたちの若い感性を引き出そうと、小中学校と美術館が手を組んだ「鑑賞教育」が注目を集めている。
とあり、美術館と学校が連携した鑑賞教育の事例が、いくつか挙げられています。
小中学校の鑑賞教育の成功事例として有名な金沢21世紀美術館。小学校に美術館の担当者を派遣する「出前授業」を行っている世田谷美術館(アウトリーチ活動ですね)。所蔵品をテーマ別に分類した「ワークシート」を小中高に配っている徳島県立近代美術館(これどんなものか見てみたいです)。どの美術館も興味深い活動を行っています。
鑑賞教育が大事なことは、認識されてはいるようですが、学校現場では鑑賞に割く時間が絶対的に足りないのが現実です。しかし、作ることと見ることはどちらも大切です。私なども、なまはんかな知識があるせいで、いまだ独りよがりの鑑賞をしています(苦笑)。
仙台にある宮城県美術館も、鑑賞教育やワークショップの力量は定評がある美術館です。教育普及のスタッフは専従で、子ども向けの「美術館探検」というワークショップがあります。
さて、今日はこの宮城県美術館に「日展100年」 を見にいく予定。おそらく分かりやすい作品が多いでしょうから、素直に鑑賞したいと思います(笑)。
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2007/10/07
昨日、久しぶりに東京で美術館にいきました。最近、大学の課題とか、スクーリングとかでここ最近ミュージアムを訪れていなかった気がします。そんな余裕もないのですが、気分転換と理由をつけて女房とでかけました。
いま、東京ではフェルメールとか、モリゾとか印象派とか、いろいろきているようですが、混んでいるでしょうからパス。
まず、銀座で十一月画廊へより、そのあとハウス・オブ・シセイドウで「スクリーンの中の銀座」をみてから、ブリヂストン美術館へ。ここでは6日から「セザンヌ 4つの魅力」が開催されています。この展示企画は、セザンヌを「人物、静物、風景、水浴」の4つのテーマでして見せてくれるもの。ブリヂストンで所蔵しているセザンヌ作品に加えて、テーマに沿ってピカソ、ブラック、ルノワール、安井曾太郎、梅原龍三郎などセザンヌと関連性がみられる作品を加えて展示しています。この美術館所蔵作品だけでなく、他の美術館から借り出した作品も加えられています。
特に興味をひいたのは、静物のパート。ピカソ、ブラック、安井、梅原の静物画が並べられ、キュビズムとセザンヌの関係がわかります。
セザンヌのせいか、いつもよりちょっとは混雑していましたが、相変わらず快適なこのミュージアム。すてきな土曜日の午後でした。
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2007/09/30
仙台市でこの秋、「クリエイティブカフェ」 なるイベントをやっています。市のの文化事業のひとつ。WEBを引用すると、
芸術文化はまちを再構成するエネルギーであり、都市の新たな経済資源ともなっています。
仙台市では、多種多様なクリエイティブシーンに関わる人たちをゲストに迎え、仙台における芸術文化、まち、市民etc.について多角的に語り合う「クリエイティブカフェ仙台」を、9月から2月にかけて全7回開催します。
第1回はいけなかったのですが、昨日『仙台のギャラリーのいい仕事−個性豊かなギャラリストたち』 に参加してみました。場所は、中本誠司現代美術館。現代美術家・中本誠司の個人美術館です。ここ、はじめてうかがいました。
カフェの内容は、「街中のアートスペース独自の企画がおもしろい。いま仙台のギャラリーではどんなことが起こっているのか?」をテーマに、ビルド・フルーガスの高田彩さん、中本誠司現代美術館館長の大内光子さん、アート・コーディネーターの内田真由美さんによるトークです。
2時間余りでしたが、タイトルやテーマで予想していた内容からはちょっと外れていた印象を受けました。フォーカスが甘い感じ。内田さんが過去関わられた草間彌生や中川幸夫の企画を紹介してくれましたが、これギャラリー活動とどう結びつくんでしょう。例えば仙台の画廊、ギャラリーの方に参加してもらって、もっとつっこんだトークを聞きたかったところです。その意味では塩釜にあるビルド・フルーガスの高田さんの話は、とても興味深かったです。ここ、あるのは知っていたのですが、行ったことはなかったです。こんどぜひ訪れようと思います。
このクリエイティブカフェ、これからのいくつかの企画があります。興味のあるかたは是非どうぞ。(私は10月31日のお蕎麦屋さんでのカフェに行く予定です)
☆クリエイティブカフェの案内
☆ビルド・フルーガス
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2007/09/10
最新号のBRUTUS のタイトルがこれ『国宝って何?』 そうですね、展覧会なんかで国宝をみると、「さすが国宝」なんて感心してますが、そもそも国宝のこと、よくわかっていなのに気付きましたよ。このBRUTUS、ほとんど前ページをつかっての国宝特集です。いや、つくるの大変だったろうな。かなりの点数の国宝が載ってます。まさか、これ全部じゃないですよね。
表紙に書いてあるクエスチョン。
・国のモノですよね?
・現代美術もいつか国宝になるの?
・世界遺産との違いは?
・海外にもあるんですか?
・決めているのは誰?
・売ったり買ったりしていいの?
・人間も国宝になれますか?
・全部でいくつ?
答えられるのは、ひとつめと、4つめだけだなあ。
さて、じっくり読ませていただきます。
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2007/08/06
昨日は大学の科目試験(仙台でも受けられます)。1科目だったので午前中に終わり、午後からは調べものもあり、メディアテークへ。探していた資料は見つからず、気分転換に6階のギャラリーでやっている「青葉縁日2」 に寄ってみました。大人も子ども楽しめるアートのお祭りで、去年に続いての2回目の開催。体験型のアートフェスティバルで、7グループのアーティストの作品が並び、ギャラリーは子どもで賑わっていました。
会場でおねえさんにすすめられて、「500Arts」という券を買いました。この券、メディアテーク周辺の14の店で500円分として使えるもの。店がのっているMapがあり、それによると、
Artsを通じて街とアートの繋がりを作り、芸術文化を通して仙台の街とアートを活性化させることがコンセプトとなる循環型アート作品です。
とあります。地域と連携しようとする、面白いイベントです。
このArtsを買うと、50円でできるくじ引きがついてきて、ひいたら一等賞でした! 商品がメディアテークの絵はがき8枚セット。今月はラッキーな月かも。
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2007/07/29
久しぶりに竹橋の国立近代美術館へ。「アンリ・カルティエ=ブレッソン 知られざる全貌」 がお目当てです。会場は予想していた以上に混雑していました。印象絵画展なみの来場者です。写真展ゆえ、若者が多い。(私のようなオヤジはほとんどいません)この日隅田川で花火大会があるため、浴衣姿の女の子も見かけました。
「決定的瞬間の写真家」「20世紀最大の写真家」と形容されるアンリ・カルティエ=ブレッソン、この写真展は本人が生前(20004年没)にかかわった展覧会ですから、これだけの来場者が集まるのもうなずけます。会場に展示されているのはすべてモノクロ写真。カラーでの作品も少しはあるようですが、あくまでモノクロにこだわった写真家のようです。
計算しつくされたような構図で、一瞬を撮しとったアンリの写真。人の息づかいが感じられ、写真がこれほどまでに体温を感じさせてくれるのかと感じました。
アンリの言葉
「写真を撮ること、それは頭と眼と心の照準を合わせることだ」
これは簡単にできない(苦笑)。
また作品をみていると、スナップショットの名手、という形容から、木村伊兵衛の写真と同じ空気を感じます。アンリが日本で撮った作品を、木村の未発表作品と言われたら、素人の私は信じてしまいそうです。
写真の奥深さと、アンリ・カルティエ=ブレッソン のすばらしさを知った展覧会でした。
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2007/06/26
このブログでしばしばけなしている(笑)雑誌PEN。最新号は、写真家のアンリ・カルティエ=ブレッソンの特集です。この特集は、先週から東京国立近代美術館で始まっている『アンリ・カルティエ=ブレッソン展』 にあわせて企画されたものでしょう。
この写真家の名前、私はほんと最近知りました。今年度の大学の課題で「映像文化論」をとっています。そのおかげでいろいろな写真論を読むことになっていて、カルティエ=ブレッソンの作品を知りました。これまで、海外の写真家にはほとんど興味がなく、名前が思い浮かぶのはロバート・キャパくらいでした。(いま思うと恥ずかしい次第です)
カルティエ=ブレッソンは20世紀を代表する写真家と評価されている人なんだそう。その作品は、日常にさりげない風景、光景をカメラのフレームで捉えていてとても魅力的です。スナップショットの名手。たとえば、この写真。なんともお絶妙なシャッターワークですね。
ちょうど今日、映像文化論の3回目の課題を提出しました。「芸術としての写真について考えることを述べよ」がそのテーマ。これ、かなりハードル高い感じです。ちなみに、カルティエ=ブレッソンの写真は、私見では芸術だと思います。東京に帰っていても、時間がなく、まだ 『カルティエ=ブレッソン展』にいっていません。なんとか会期中にいかねばいけません。
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2007/06/11
今年は私の予言通り(?)、美術館がきてます。こんなことは美術ファンなら、だれでもわかることですが。六本木のミュージアムブームが一段落したと思っていましたが、今月号の「日経おとなのOFF」 は『美術館が変わった』が特集のテーマです。
羽田美智子さんの表紙につられてついつい買ってしまいました。でも、内容は、「六本木VS上野」や「最新美術館を旅する」など想定内のテーマでした。
六本木地区は、確かに人の流れが変わっていますね。先週末、国立新美術館に行きましたが、モネ展のおかげですごい人でした。また、ミッドタウンも多くの人出。もともと歩道が広くないところなので、歩くのは大変でした。しかし、ミュージアムの力で街が活性化しているとしたら、それは素晴らしいことです。
大人の人にとって、ミュージアムはわかりやすいスポットであることは間違いないでしょう。マスコミに取り上げられるのは、ほんの一瞬です。一時のブームに終わらずに、アートファンが根付いてくれるといいと思います。
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2007/06/02
なぜかあまり足がむかない六本木ヒルズ森アーツセンターギャラリーにいきました。昨日からはじまった「ねむの木のこどもたちとまり子美術展」 を見るためです。宮城まり子さんが創設したねむの木学園は、40年の歴史を刻んでいます。この展覧会は、ねむの木学園の生徒54人による美術展です。森アーツセンターギャラリーのWebにはこうあります。
学園ではこどもに絵の描き方を教えることは一切していません。こどもたちはただ感覚を集中して絵を描きます。こどもたちの豊かな感性に包まれた「ねむの木」の世界をお楽しみ下さい。
色彩豊かな約230点に及ぶ作品は、どれもすてきです。折しも会場には宮城まり子さんもいらっしゃいました。
詳しくは、最近更新をさぼっていたここに書かせてもらいます 。おすすめの美術展です。
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2007/05/02
上野の東京国立博物館で、レオナルド・ダ・ヴィンチの「受胎告知」が公開されていて、かなり話題のようです。朝日新聞とNHKが主催者に加わっていることから、マスメディアでの露出もすごい。週末とかは、すごい混雑の噂。あまり興味はなかったですが、上野動物園にいったので(なんで動物園にいったのでしょうか・・・、それは秘密?)、その際、せっかくだし、寄ってみました。この「受胎告知」、イタリア・フィレンツェにあるウフィツィ美術館の所蔵で、日本初公開とか。
さて、肝心の作品は、1974年に「モナ・リザ」を公開した博物館の本館特別5室の展示されています。予想していたより大きい作品。500年以上前に描かれたにもかかわらず、状態はいいですね。細かに表現された描写は、さすがだと思います。
「受胎告知」ばかりが注目されていますが、全体の展示は「レオナルド・ダ・ヴィンチ-天才の実像」と題されたウフィツィ美術館からの巡回展。これもかなりのボリュームですが、人が多すぎてまともには見られませんでした。ダ・ヴィンチとか、この時代のことに興味や、知識があればもう少し興奮して見られるのでしょうが、残念ながらさらっととみてきました。
これからの連休は、大混雑でしょうね。GW中は夜8時までやってます。なるべく遅い時間にいくことをおすすめします。
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2007/04/29
昨日の新聞に折り込み広告といっしょに入ってきたいた『めぐろ区報』に青木区長の「区民の皆さんと歩む芸術文化振興」と題されたコラムがありました。目黒区の芸術支援について、その活動を説明している文章ですが、これを読むと、目黒区は地道に芸術振興を行っているんだなな、と再認識しました。 目黒区のハード面の芸術振興は、開館20周年を迎えた目黒区美術館と開館5年のめぐろパーシモンホールが軸です。目黒区美術館は、お隣の世田谷美術館のような派手さはありませんが、ワークショップのためのスペースを持ち、その活動は充実しています。うちの子どもが小さければ積極的にいかせたいところです。 このコラムで、印象的だったのは、この言葉。
公立の芸術文化施設が、公演や展覧会だけを行う時代は過ぎたといわれます。これからは、区民の皆さんと連携・協力して地域に出向いていくことがますます求められます。
目黒区では、派手さはありませんが、、着実に芸術支援は行われているのではないでしょうか。
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2007/04/24
せんだいメディアテークで「伊東豊雄 建築|新しいリアル」 が開催されています。この企画展、昨年末に東京オペラシティーギャラリーで行われていたものの、巡回展です。伊東さんといえば、せんだいメディアテークの設計者であり、その意味ではこの企画展は単なる巡回展以上の意味があります。
「伊東豊雄 建築|新しいリアル」については、東京での鑑賞について書いていますので、よければ以前書いた記事 をご覧いただきたいのですが、この仙台展は東京での展示内容とは若干異なっています。東京での展示では、伊東氏の考えるエマージング・グリッドという概念に沿って作られた波打つ床を歩きながらみる展示が、印象的かつ、象徴的だったのですが、メディアテークでは、これはありません。展示は、伊東さんの設計した建築の模型と、設計の過程を記したパネルで構成されているだけです。残念ながら、ちょっと平坦な展示です。
ただ、東京展には無かった展示もあります。多摩美術大学の新図書館の設計。これに当たって伊東さんが直筆で書いたコンセプトブックが展示されていました。書かれたのは昨年の11月ですから、東京展の開催時期(2006年10月7日〜12月24日)にはなかったはず。また、せんだいメディアテークの設計過程も詳しく展示されています。
会場を訪れたのは、日曜の夕方でしたが、来場者は広い会場に3人ほどしか居ません。東京展では、入場をするのに長い列ができていて、会場は若い人で混雑していました。この対比は、ちょっと印象的です。ここが、せんだいメディアテークの問題であり、課題ではないかと思いました。
☆展示は5月19日までです。詳しくはここを 。
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2007/03/12
今月号の和楽 は、特に表紙が艶やかです。江戸時代の「源氏物語図屏風」(花宴) の部分ですが、桜の花の下での朧月夜と光源氏の出会いのシーンを絵描いた美しい絵です。表紙には桜の花の型押しがされていて、コストがかかっている感じです。
特集は「21世紀、日本の美術館はどこへ行く?」で。美術専門誌や、ブルータス、エスクァイアあたりがやりそうな固いタイトルの特集で、女性誌の和楽が組む特集としては意外な感があります。この春、東京・六本木のミッドタウンにサントリー美術館と21_21DESIGN SIGHT、2つのミュージアムができ、森美術館、そして先日オープンした国立新美術館と、「美術館トライアングル」が出現します。そんな中、美術館とは何か、特に大型ミュージアムの動向は注目されています。 こ和楽という雑誌は、定期購読のみで読めるもので、一部の書店を除いては店頭で買えません。先日、女性誌創刊ラッシュのことに触れましたが、この和楽も35歳から45歳をターゲットにしているようです。年齢としては創刊された marisolと同じような層を狙っていますが、そのつくりはまったく違います。和楽では、美術関連の記事が多い。そしてどれもオジサン美術ファン(私のこと)でも楽しめます。 marisolでは美術の記事がわずか1ページなのと対照的です。 特集「21世紀、日本の美術館はどこへ行く?」では建築家・安藤忠雄と三宅一生との対談など充実しています。また折り込み付録として、『「知的日本美術鑑賞53のキーワード』がついてます。表紙になっている「源氏物語図屏風」は六曲一双の屏風ですが、これがどういう意味なのが、この付録をみればわかります。 ともかく、東京周辺のアートファンには楽しみな春ですね。
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2007/03/02
先日、NHKのニュースでアートファンにとっては見逃せない報道がありました。イギリスのテート美術館に展示されているターナーの「青のリギ」は個人のもので(寄託でしょうか)、その所有者がオークションに出したら、テイトが買い取ろうとした金額よりかなりの高額でロシア人が落札。これは、原油高騰によるオイルマネーだといいます。
雑誌『クーリエ・ジャポン』 の巻頭特集は「バブルに沸く美術市場 世界のアート 知られざる内幕」。この雑誌は、世界のメディアからエッセンスだけを抜き出して記事を作っていて、特集はイギリスの『フィナンシャル・タイムズ』や『ガーディアズ』、アメリカの『ニューヨーク・タイムズ』からの記事で構成されています。
特に興味をひかれたのは『フィナンシャル・タイムズ』の記事。それによるとアート界は前代未聞のアートバブルがきているといいます。アートプライス・ドットコムによれば、アメリカの美術品価格は、昨年27パーセント上昇。ヘッジファンドの経営者、起業家などの富裕層がアートを買っているとか。また、「青のリギ」事件のように、中国やロシアからの新規顧客も流入している事実も指摘されています。
前のバブルには、日本人が海外のアートを買い漁って、いろいろ批判もありました。今、アート市場がバブルを迎えているとしてら、その是非はともかく日本はそこに参加しているんでしょうか。ひょっとしたら蚊帳の外なのかもしれません。
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2007/02/05
昨日は久しぶりに宮城県美術館に行ってきました。いま、企画展「アートみやぎ2007」 が開催されています。この企画は宮城県ゆかりの現代作家の仕事を紹介するシリーズ展。出展しているのは、30代から70歳まで、年齢、作風も多彩な8人です。その作品も、絵画、写真、インスタレーションなど様々。
これだけ、いろいろな現代アートをみせられると、ちょっと戸惑います。8人の作家のうち、その作品と会話ができたのは、3人かな。あとは、うまくコミュニケーションが出来なかった気がします。
いちばん、印象に残ったのは及川聡子さんの作品。日本画の新しい境地が感じられます。
機会があれば、再訪して、作品と語り合いたいと思います。
アートみやぎ2007WEB
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2007/02/03
先日、銀座の画廊みてまわったとき、十一月画廊でこころ惹かれる一枚の絵がありました。手元に置きたくなり、ちょっと迷ったのですが、購入させていただきました。
福室みずほさんの「Interface」という作品。
紙に、アクリル絵具で書かれた作品。色と形が織りなす表現は、広がりを感じさせてくれます。福室さんは、1980年生まれですから、まだ20代。筑波大で日本画コースを卒業しています。日本画を修めながら、この作品の現代的表現が興味をひきます。
まだ、額縁もなく本箱の上に置いたままです。今日あたり画材屋さんに額縁を探しにいかなくては。
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2007/02/02
セブンイレブンでみつけた「景徳鎮製エビスタンブラー」付きのエビスビールセット。コンビニに時々登場するビール3缶+タンブラーのセットです。これまでも、エビスは2回タンブラーセットを買いましたが、今回は中国・景徳鎮窯製のタンブラーです。景徳鎮とは、中国、江西省にある中国最大の窯のひとつで、白地に青い絵模様のある青花技法の陶磁器で有名です。
このタンブラーは、蛍手技法を使ったもの。蛍手技法は、透かし彫りの部分に透明釉を充填して焼くもの。光を通すと文様が浮かび上がるため、蛍にたとえて蛍手と呼ばている、景徳鎮窯の得意とする技法です。
タンブラーはこれまでちょっとこぶりなものだったのですが、これは軽く1合は入る大きさ。手に持った感じもいいです。500mlのエビスが3本とタンブラーで、945円と値段もほどほど。(通常コンビニだとエビスは1本315円)
セブンイレブン限定です。もう一個欲しくなりました。
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2007/01/14
ふだん、画廊、ギャラリーを訪れる機会は、あまり多くはありません。月に2回ほど、週末しか東京にいない身にとって、なかなか時間がないというのがその理由。それでは、いけないなと思い、今年は画廊、ギャラリーに時間をつくっていこうと思っています。
昨日、神楽坂にあるアグネスホテル アンド アパートメンツ東京で開催されている「ART@AGNES 2007」 にいってきました。これは、現代アートのギャラリーが、ホテルの一室をギャラリーにみたて、作品を展示するもの。ギャラリーの数は31と多く、ホテルの全室を使ってのイベントです。寝室だけでなく、バスルームまで作品が展示されています。また、作品も平面作品、インスタレーション、ビデオアートと様々です。
会場のホテルに着いたのは、開場まもない11時過ぎでしたが、すでに多くの若者で賑わっていました。出展しているギャラリーに、小山登美夫ギャラリー、スカイ・ザ・バスハウス、オオタファインアーツなど有名なギャラリーもあるせいでしょうか。このイベント、無料ではなく500円の入場料がかかります。それでも、これだけの入場者があるとは、若い世代の現代アートへの関心の高さが窺え、とても興味深かいものがありました。
展示は今日(14日)も行われます。
ART@AGNES 2007
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2007/01/09
MoMAといえば、アートファンでは有名。The Museum of Modern Artすなわちニューヨーク近代美術館のこと。ここのグッズいろいろあるらしく、グッズ販売の日本語のウェブサイトもあります。
このウェブサイトにはなさそうなのですが、MoMAの素敵な卓上ダイアリーを見つけました。正式にはM0MA Appointment Calendar 2007(アポイントメントカレンダー)です。
中は、見開きで一週間の構成。片側にアート、片側にダイアリー。毎週、違ったMoMAコレクションが楽しめます。あるページにはこんなアートも。
奈良美智ですね。
このアポイントメントカレンダー、去年の11月頃、国立東京近代美術館のミュージアムショップで見つけたのですが、迷ったあげく、買いませんでした。やっぱり欲しくなり、先週の土曜日に美術館にいって、買いました。なんと最後の一冊でした。よかった。(ちなみにYahooのショッピングではまだ販売していますね)
足を運んだ美術展や、読んだ本のことをかく雑記帳にしようと思っています。アートのカレンダーとは違った愉しさがありそうです。
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2007/01/08
子供が絵(油彩)を習い始めて、一年半余り。スクールの発表展覧会があるというので、銀座の会場に行ってきました。展示されているのは20点あまりですが、どれも立派な作品。風景画、人物、静物、名画の模写など多彩です。
会場では恒例らしい先生の講評がありました。この講評をきいていると、絵画の基本を知る思いです。構図、色づかい、表現技法など、絵を描く上で基本であることをしっかりと指摘してくれます。
いつもは、美術館で評価の定まった作品をみて、偉そうなことを言っていますが、自ら絵を描いてみろ、なんて言われたらどうでしょう。もちろん、画家、鑑賞者、そして批評家の立場、役割は違います。でも、絵を描くテクニックも知らないで、批評なんてできないな、と思いました。
以前は先生について油絵を習っていました。(余談ですが、先生は日比野克彦と東京芸大大学院で同級生でした)いまは、そんな時間もなく、ひたすら鑑賞するばかりです。みて、感想言うのは簡単。でも、実際の創作は大変ですね。それに、みるより、描くほうがずっと面白く、刺激的。時間があったら、絵を描いてみたいなと思いました。
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2007/01/02
正月早々、家のネットがつながらなくなり、「お正月だから混んでいるのかな?」とのんきに構えていたのですが、今日の朝7時前でも、つながらず、「これはおかしい」と思い始めました。サポートセンターに電話しても、回線障害はないといわれ、いろいろやってみて、やっと復帰。理由はわからず、新年早々大変でした。で、コメントいただいた方、お返事できないですみません。これから書かせていただきます。
昨日は上野でダリ展(正式にはダリ回顧展)に家族で行ってきました。ものすごく混雑しているとの噂だったので、さすが元旦が空いているだろと思っていったのですが、甘かった。入場制限で、30分待ち。覚悟をきめて並びました。並んで美術展に入ったのは、一昨年のゴッホ展以来かな。入場の列は長いのですが、チケット売り場はがらがらです。不思議。
でも、この展覧会のキャッチコピー「私はダリでしょう?」、うまいですよね。
ロッカーまでダリ色
一時は鑑賞をあきらめていたダリ展ですが、ならんだ甲斐ががありました。内容は充実。開催は明後日4日までです。時間のあるかたはぜひどうぞ。(詳しい感想は、別館ブログに書くつもりです。)
☆ちょっと詳しい感想は
ここ 。
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2006/12/01
3日ほど前の朝日新聞の夕刊に「学芸員を格下げ?」という記事があったと女房が教えてくれました。WEBの朝日新聞にも記事が掲載されています。記事によると、50年以上前に制定された博物館法を見直しており、現行の学芸員を「学芸員補」に格下げする案が考えられているとのこと。 いま、大学で学んでいる一つの目標が、学芸員資格の取得。
この資格、通信教育課程では、指定された科目を取得すれば、卒業時には取得できます。特に試験があるわけではありません。 記事でも触れられていますが、資格をとっても実際の学芸員の仕事に就ける人は、ごくわずか。現在、検討されている案では、学芸員になるには、実務経験、修士号取得、国家試験合格などを課す案が議論されているとか。要は、学芸員になるには、条件を厳しくしますよ、ということですね。
私は、資格をとっても学芸員の仕事をする気はありませんが、感じるのは「学芸員」だけで規定しないで、もっと広く芸術にかかわる資格、技能を認める仕組み、体制が必要なのでは、ということです。また、こと学芸員だけに限っていえば、国家試験合格したものだけに与える、としたほうがすっきりします。 しかし、博物館法(昭和26年制定)というものが、50年も手をつけられていないことが、ちょっと驚きです。
朝日新聞の記事
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2006/11/26
昨日は久しぶりに銀座のギャラリーに出かけてみました。きっかけはアート情報サイト『芸力』 を主催されているsayakaさんに久しぶりにお会いして、いろいろお話をうかがったせいです。この芸力、最近大幅にパワーアップされ、東京周辺のギャラリー、画廊に情報を知るには、大いに役立ちます。
銀座には多くのギャラリー、画廊があります。昨日は出かけたのが遅かったので、6か所ほど見てみました。ギャラリーて、なれない人には入りづらいですよね。場所もビルの中の一室であることも少なくなく、入っていくのに抵抗があったりします。でも、入ってみれば主催者は暖かく迎えてくれます。昨日は2か所でお茶を出してもらいました。とあるところでは「画家さんですが?」なんてきかれたりして(どうみても、ただのおっさんなんですがねぇ)。
ギャラリーでは、思いがけない作品に出会える楽しさがあります。昨日見たなかで、良かったなと感じたのは、奥野淑子さんの木口木版作品。(Oギャラリー UP・S )木版でつくられた黒と白の小さな世界。その精巧さにひきつけられます。(先日、エッシャー展をみたせいで、版画にひっかかります)
奥野さんの作品
ギャラリーを見た後、京橋のブリヂストン美術館に行きました。ギャラリーと美術館でのアート鑑賞、展示されている作品の完成度は違うかもしれませんが、アートをみる姿勢は変わりません。時間をつくって、ギャラリーにも足を運ばねば、と感じた週末でした。
☆久しぶりに別館 を更新しました。
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2006/11/10
青森に出張です。思っていたより暖かい。宿泊は、久しぶりにJALシティにしてみました。ここは、ちょっと高めのホテルですが、さすがにくつろぎます。よくないホテルだと、オジサンにはこたえます。ささやかな贅沢。
ホテルのロビーには、絵画などがかざってあることが多いですが、このホテルにも、素敵な絵画と彫刻があります。絵は、工藤甲人「思郷記」。青が印象的な作品です。工藤は地元青森県の弘前市出身です。
また、もうひとつ、大きな彫刻が壁に飾られています。
エミール・アントワーヌ=ブールデル作の「たそがれ」と「暁」。ロダンの助手をつとめたフランスの彫刻家。そんな高名な作家の作品が、青森のホテルで見られるなんて、ちょっとびっくりします。
ホテルのアート、意外と意逃せません。
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2006/11/09
雑誌penの最新号はアート特集。「いま世界にはアートが必要だ。」と大げさなタイトル。この雑誌では、以前買って失敗しているので、やめようと思ったのですが、読まないで批判もできないな、と購入してみました。
penは、いつもテーマはいいのですが、内容が伴わないことが多々あります。この号も志はいいのですが、読んでみると言わんとしていることが伝わってこないんです。料理にたとえていうと、質のいい材料を使っているのですが、レシピと調理法がへたです。
そもそも、なぜ「世界にアートが必要」なんでしょう? 本文にはこうあります。
閉塞した社会状況を打ち破る、パワーとエネルギーに満ちたアート。そう、いまこそ、世界にはアートが必要なのだ。
なんか、紋切り型な文章ですね。
惜しいですね。アートを特集する雑誌は、多くないので、もう少し頑張って欲しいです。
表紙も、アート特集とは思えない平凡なデザインだなあ…。
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2006/10/28
昨日、東京は五反田にある大日本印刷ビルにいってきました。仕事ではなく、目的は『LOUVRE-DNP MUSEUM LAB』 を体験するためです。ここはルーヴル美術館と大日本印刷が連携してつくった新しい形のアートスペースです。正式オープンは来週、30日からですが、内覧会が昨日あり、そこに参加してきたわけです。
大日本印刷の巨大なビルの一階に、このMUSEUM LABはあります。ルーヴル美術館の所蔵作品、テオドール・ジュリコーの「銃騎兵」の展示と、それをめぐる最新技術を駆使した様々な情報が提供されるシステムです。未来型のミュージアムとでもいえばいいのでしょうか。ちょっと気になるスペースです。
詳しくは公式のサイトを。
LOUVRE-DNP MUSEUM LAB
また、もう少し細かいレポートを書きました。ここを 。
素敵なお土産までいただきました。
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2006/10/10
『日経おとなのOFF』今月号の特集は、「日本で見られる世界の名画 ベスト100」です。電車の中吊りでみかけ、買ってみたのですが、表紙は、
高島礼子サマ。
記事は日本の美術館で見られる国内外アーティストの作品を紹介してます。100枚の絵は、具象画が多く、親しみやすい内容です。
でも、表紙と内容がマッチしていないような。この雑誌のターゲットとする読者と、その使用目的が推察されますね。
※今日から札幌へ出張です。
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2006/07/07
BSやハイビジョンで放送されていた「迷宮美術館」が今年の4月からNHK総合テレビに進出。それも金曜夜8時というゴールデンタイムでの放送に、美術ファンとしては、ちょっと驚きの感覚でした。アートにまつわるエピソードを、うまくまとめていて、熱心な美術ファンではなくても楽しめるのでは、と感じる番組です。
しかし、仙台ではなぜかこの時間帯に放送していませんでした。東北エリアの特集番組が放送されていました。ちょっとがっかり、という感じ。宮城県の美術好きにはちょっとかわいそうな状況だったんです。
でも、サッカーW杯の特別編成が終わった先月末から、金曜に8時に放送がはじまりました。美術ファンの思いが届いたのでしょうか。ともあれ、うれしいですね。
ちなみにこの番組の司会者、住吉アナ、不思議な声ですね。私は密かに「常に鼻声状態の住吉アナ」といっているのですが、独特な声の響きが魅力。迷宮にはよくあっているかもしれません。
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2006/06/05
先週は月曜から、和田義彦氏の盗作問題で、このブログのアクセスがものすごく増えました。多い日は、一日3000をこえて、まさに異常。一昨日には、アクセスも1000を割り、やっと平常に戻りました。
問題の発端となった和田氏の回顧展「ドラマとポエジーの画家」を昨年みているだけに、この盗作問題は考えさせられることが多々あります。ちょっと長くなりますが、美術ファンとして書いておきます。興味のあるかたはお付き合いください。
当初は、和田氏がスギ氏の作品をまねた、いわば「盗作」と感じていました。でもその後の和田氏のインタビューや発言をきき、また冷静に考えてみると、「これ、盗作ではないのでは」と思いはじめました。一般的な報道では、和田氏の盗作は間違いがない、との論調ですが、そこまでは断定できないのではないかと感じています。
私的なことですが、大学の科目の「工芸論」で、伊万里焼を取り上げ、意匠面での中国からの影響について調べました。伊万里焼の様式のひとつ「古九谷様式」では、明代末に中国で出版された『八種画譜』からの転用がみられます。この『八種画譜』というのは絵画入門用の手引き書ですが、ここにある絵を模したものが、いくつも古九谷の磁器に描かれていることが確認されています。
これも、現代のロジックでいうと「盗作」でしょうか? 当時の陶工たちは、明らかに日本の絵画表現より勝っている中国の絵画を、そのすばらしさに感銘しながら、伊万里の焼きものに一生懸命模写したのでしょう。
問題になっている作品を和田氏が描いた状況が、まったく同じとはいいません。しかし、和田氏は「オマージュ」だと言っています。オマージュとは「(芸術家・作家などに対する)敬意、尊敬」です。スギ氏の作品に感銘をうけ、その作品の構図、色表現の基本は変えることなく、和田式の表現で描いたのが、一連の作品だとしたら、どうでしょう。
この盗作問題で、もっとも和田氏が責められることはなんでしょう。それはスギ氏作品の画面構成を借りて描いた作品を、たとえば「スギ氏作品の模作」、あるいは「スギ氏へのオマージュを込め、創作した」と、展覧会など公の発表の場で示さなかったことです。これは、鑑賞者に対して正確に事実を伝えていない点で、おおいに責められるべきです。
しかし、その創作過程までも、否定されることはないと思います。
和田氏の芸術選奨を取り消すか否かの検討がされるようです。結論をだす前に、ぜひ、なにが「模作」か、なにが「盗作」かに対する意志を明確に示すことが求められていると思います。
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2006/05/30
昨日の朝から、インターネットで報じられている画家・和田義彦さんの「盗作疑惑」。ショックです。昨年、「ドラマとポエジーの画家 和田義彦展」を松濤美術館でみて、その線と面、そして色のつくる独自の作品世界に魅せられました。芸術選奨の受賞も、その美術展が評価されてのこと。
いくつかのネット上で、和田氏と、盗作されたと主張するアルベルト・スギ氏の作品が掲載されています。ディスプレイ上でみる限り、かなり似ている、といっていいでしょう。盗作、という言葉が適切でないとしても、これは模倣しているといわれてもしかたないレベルです。なぜ、和田氏ほどの画家が、と不思議な気持ちになります。
どうしてそうなったのか、本人の言葉を待ちたいところです。
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2006/05/16
東京近辺の私鉄での移動には欠かせないのが、プリぺイド・カードのパスネット。このデザイン、いろいろ凝ったのがありますね。よく見かけるのが、美術展の記念パスネット。日常、東京にいないのでほとんど買うことができませんが、去年話題になった北斎展、ゴッホ展はなぜか手元にあります。
記念パスネット以外でも、アート系のカードは結構あります。先日、東京から仙台に戻るとき、東京メトロの銀座駅で、気になる一枚を発見。
安井曾太郎の「薔薇」です。この原画、いまブリヂストン美術館で開催されてる「雪舟からポロックまで」に出展されています。薔薇の色彩のあでやかさと、背景の黒の対比が鮮やかな傑作。展覧会を見にいった際、ポスターを売っていたので、思わず買おうと思ったほどの作品です。(結局、モネのポスターを買ってしまいましたが)
アートするパスネット、集め出すと切りがなさそうです。
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2006/05/15
昨日、銀座は数寄屋橋にある泰明小学校で行われた「銀座 あおぞらDEアート」にいってきました。このイベント、本来先週の日曜の予定でしたが、雨で順延。小学校に校庭に、銀座の画廊が、アーティストの作品を展示するもの。いわば、オープンエアの画廊大会です。
アーティストも若手からベテランまでそろい、並べられた作品はバラエティに富んでいます。銀座の画廊は、どことなく入りにくい印象があり、このような機会で画廊と、アーティストにふれることができるのは、とてもいいですね。また、いくつもの大手企業がサポートし、メセナとしておこなわれていることも、嬉しいことです。
とても素敵な空間でした。
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2006/05/14
きのう本屋でみつけた「美術空間散歩」。各地の美術館、アートなスペースが満載の本です。雑誌エスクァイアに連載されていたものをまとめたもので、比較的新しく個性的な設計のミュージアムが紹介されています。更に美術館の設計を手がけてきた安藤忠雄、磯崎新、谷口吉生さんらの建築家へのインタビューも掲載。
すてきなアートスペースがいっぱいです。アートファンなら、すぐにでもいきくなるところばかり。例えば、東北ならせんだいメディアテーク、土門拳記念館などに加え、再来月開館の青森県立美術館までのっています。
美術館に美術館をみにいく旅、というのもいいですね。むしょうに出かけたくなりましたよ。
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2006/04/23
一昨日、金曜日から仕事で東京に。その日の夜に「藤田嗣治展」の2回目の鑑賞。かなり混雑しているとの噂だったので、おそるおそるいってみたのですが、6時半頃だったせいか、券売窓口には列はなく、すんなり入れました。会場内は、人は多かったですが、不快になるほどの混みようではありませんでした。 ただ、昼間の時間帯は超混雑のようですね。過去いろいろな事情があり、本格的な回顧展が開かれなかった藤田の、待望の展覧会ですから、混むだろうな、と思っていました。 最初の鑑賞は、混雑対策として、美術展が始まって6日目、休みをとって平日にいきました。朝一でいったのですが、予想外に混雑していません。乳白色の肌を独占できました。ちょっと肩すかしでしたね。 ただ、現在はそんな状況ではないようです。主催しているNHKと日経新聞が、マスメディアで盛んに紹介していることも手伝って、どんどん来訪者が増えています。藤田展のような、いわば大規模な展覧会の集客に欠かせない「カルチャーおばさん」達が動きはじめたな、という感じです。 昨年、入場者が多かった双璧は「ゴッホ展」と「北斎展」。ゴッホ、北斎に比べ、藤田嗣治は、いまひとつ知名度がなかったせいで、展覧会の出足が鈍かったのではないでしょうか。ゴッホといえば、ひまわり。北斎は富嶽三十六景、でも藤田は? しかしNHK、日経という2大マスメディアの報道が藤田の魅力を伝えたことで、美術展の動員に欠かせない層が、会場に足を運びはじめたようです。 美術展でよく感じるのが、来場者の二極化。私のようなおじさん、おばさん層が主流の展覧会と、ほとんど若者の展覧会。中間の30代後半から40代半ばの層が少ない感じです。子供を連れて、気軽にいける美術展が、もっと必要だなと思います。また、この藤田展では、高齢者の方がゆっくりみられる環境ができればいいなとも思いました(現実的には難しいでしょうが)。アートを提供する立場になると、大変なこともあるのでしょうが、少しでも多くの人が、藤田の魅力をしって欲しいと思います。
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2006/04/19
昨日は東京で仕事。帰り際に買った日経新聞の夕刊に掲載されていた記事。カルティエ現代美術財団ディレクターのエルベ・シャンデスさんのインタビュー「作家と共に今を歩む」。いま、アートをみせること、ミュージアムの役割について示唆にとんだ内容が書かれています。シャンデスさんは、カルティエ現代美術財団を率いて14年。彼はこういいます。
「今を生きている美術館になっているか、親しみやすい場所か、未知のものを発見しているか。この三つを自問自答している」
やさしそうで、難しい条件です。この3つ、日本もミュージアムでは、どれほど実現されているのでしょうか。
また、1984年の財団の設立以来、収集した作品は約1000点。これはほとんどが作家に直接制作の依頼をしたもの。対象は超大物作家か全くの新人。この姿勢は、言葉では書くと簡単なことですが、実際はほんと大変なことです。膨大なる資金の裏付けがなければ、実現できないことかもしれません。
今週末からこのカルティエコレクションが、東京都現代美術館で公開されます。ぜひ時間をつくって訪れたいと思います。
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2006/04/16
朝日新聞の夕刊(仙台にはありませんが)のアート欄で、見つけた写真展の情報が、ちょっとひっかりました。銀座のニコンサロンで開催してる桑原史成さんの「水俣の肖像-公式確認から半世紀の節目」。高校の頃、愛読していた「アサヒカメラ」でよく桑原さんの写真をみました。水俣病を写真で撮した写真家としてずっと活動されていたのですね。銀座の会場にいってみました。
会場に展示された写真は、言葉にしようがありません。今の若い世代にとって、水俣病ってなに?ということかもしれませんが、戦後の日本を語る上では、決して避けてはいけない事実です。
広くはない会場ですが、外人の方を含め、多くの人が写真に見入ってました。今、忘れ去れそうな「水俣病」の歴史ですが、まだ後世に伝えられなければいけないと思います。
[水俣の肖像―公式確認から半世紀の節目]
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2006/04/10
先週末、女房と子供は「藤田嗣治展」を見にいき、いたく感動してきたようで、「カフェにて」バージョンのポスターまで買ってきたようです。
こちら、仙台の三越で「生誕120年記念 藤田嗣治名作版画展」が開かれています。藤田の版画が30点余り展示されています。デパートでの展示ですから、価格がついたいわば販売会です。
銅版画、リトグラフ、木版画など、多彩な作品が並んでいます。版画では藤田の線描がより強調され、油彩、水彩とは違った印象を受けます。藤田の版画は、初めてみました。会場にいた方(おそらく画廊の方)と話したところ、藤田の版画は、例えばピカソ、シャガールと比べると作品数は少ないそうですが、いい作品も多いとのこと。
版画と並んで、一点の油彩画が。「犬と少女」と題された作品は、藤田が60歳代の1950年の作。この時期らしいちょっと怖い少女像が特徴的な小品ですが、価格はなんと3500万円。
この高い作品はもちろん買えませんが、27万円ほどの版画を、ふらふらと衝動買いしそうになりました。藤田版画も、すばらしく魅力的です。
詳しくはここ を
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2006/03/28
今月号の芸術新潮は特集「藤田嗣治の真実」で、迷わず買ってみました。60頁以上の記事で、読み応え十分。、作品に描かれた6つテーマに沿い、学習院女子大の清水俊男教授の解説で、藤田の創作過程を解き明かします。この解説は、整理されていて、作品を見る上で参考になります。
この企画で、特に興味深かったのは、藤田が晩年に制作したフランスのランスにある礼拝堂の記事。以前よんだ「藤田嗣治 『異邦人の生涯』」でその存在を初めて知りましたが、その礼拝堂が写真で紹介されています。壁面のフレスコ画は 、迫力をもって描かれています。藤田はこのフレスコ画の完成に全勢力を注ぎ、翌年に亡くなっているので、まさに遺作。
また、2000年から公開されている藤田の旧邸宅内アトリエも、記事にあります。写真で紹介されているアトリエは、オーソドックスなセンスの良さを感じる、すてきな空間です。
藤田作品の魅力のひとつは、女性を描く乳白色の肌』。この特集の最後には、「超絶技巧秘密」と題された、乳白色の肌の制作過程の秘密を解き明かす記事があります。これを読むと、藤田は作品を描くキャンバス、下地の材料、そして筆、それぞれに対して考え尽くし、工夫を凝らしていたことがよくわかります。驚きです。
今日から東京では「藤田嗣治展」がはじまります。ますます楽しみになりました。(大混雑でしょうね)
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2006/03/17
一昨日のニュースですが、「2005年度芸術選奨」発表のニュース。芸術の各分野で優れた人のおくるものですが、今年は爆笑問題、中島みゆき、桂三枝などが文部大臣賞を受けたことが、テレビやWEB上のニュースで報じられました。この賞、これまでは、ほとんど気にとめていなかったのですが、美術、演劇、映画、文学、放送など10部門で選定されるもの。今年は美術では誰が賞をうけたか、気になりました。
文部大臣賞では美術部門で、建築家の妹島和世さんと、洋画家の和田義彦さん。文部大臣新人賞に美術部門で彫刻家の西雅秋さん。芸術振興部門には、村上隆さん。
和田義彦さんは昨年開催された『ドラマとポエジーの画家 和田義彦』に対して贈られたもの。この美術展、松濤美術館にみにいきましたが、とても素敵なものでした。(この美術展についの記事はここを )妹島和世さんは、ご存じ金沢21世紀美術館の設計者のひとり。この賞では群馬県藤岡市の「鬼石多目的ホール」に対してのもの。(朝日新聞によると、21世紀美術館も賞の対象になっていました)彫刻家・西雅秋さんは私はその作品を恥ずかしながらみたことがありません。
村上隆さんが新人賞というのも、ちょっと驚きです。ニューヨークでの展覧会『リトルボーイ』に対してあたえらたもの。日経新聞には村上さんのコメントが掲載されています。
「僕は海外での仕事が多く、日本ではあまり仕事をしてこなかった。故郷に錦を飾った気分、かな」
芸術選奨、どんな基準で選ばれているのか、知りたいところです。
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2006/03/13
かつてデパートでの美術展が隆盛を誇った時代がありました。伊勢丹美術館や、西武百貨店・セゾン美術館など、デパートに美術館があり、魅力ある展覧会を開催していました。最近はデパートでの美術展とは縁がなかったのですが、先日、大丸ミュージアムでみた「パウル・クレー展」は充実した企画でした。 昨日、日本橋三越で開催されている「フランス近代絵画展」 を最終日駆け込みで、鑑賞してきました。この展覧会はセルビア・モンテネグロ(旧ユーゴスラビア)の首都ベオグラードの国立美術館のフランス近代絵画123点を公開するのものです。会場は、予想通り中年美術ファンで混雑していました。
この展覧会では、バルビゾン派から印象主義、象徴派、そして20世紀初頭のフォービズム、キュビズムまで近現代の絵画が、時系列に展示。近現代のヨーロッパ絵画を、ユーゴスラビア流コレクションでみせてくれる展覧会です。特にルノワールは、盗難にあい、その後修復された「水浴」をはじめ、多くの作品が公開されています。
ルノワールは、いいですね。「パリスの審判」はギリシャ神話の女神アフロディテの、もっとも美しい女神を選ぶ情景が、あでやかに描かれています。豊満な4人のアフロディテに、ふくよかな生命力を感じます。
ゴッホの「室内の農婦」(1885)は、小品ながら画面全体が暗色で描かれ、中央に立ちつくす女性の存在感が不気味。ちなみにこの作品目立たないようで、混雑している会場内でも、作品にみいっている人は多くありませんでした。私がメモをとりながら別の作品をみていたら、とある男性から「ゴッホの作品、どこにあります?」って尋ねられたくらいです。
ピカソ「女性の頭部」は1909年のキュビズム作品。「アビニョンの娘たち」でキュビズムを創始したピカソが、進化し、分析的キュビズムを洗練した感があります。モデルは、ピカソが多く描いているフェルナンドですが、画面からは、なぜか日本人的な印象を受けました。
実はこの展覧会、招待券が手に入ったため、足を運びましたが、予想外に充実していました。素人美術愛好家でも知っている巨匠の作品が多くあり、楽しんで鑑賞できました。
その反面、がっかりしたのがその展示のしかた。会場が狭いのはしようがないとしても、照明が蛍光灯 なんです。どうして、と思ってしまいます。絵によっては、額のガラスが反射して、絵がよく見えない、なんてのもありました。会場内の展示解説はしっかりしたものだったので、キューレーターもちゃんとついていたはず。それなのに、蛍光灯の照明はないでしょ。珠玉の名品が揃っていたのに、残念です。
ピカソ「女性の頭部」とルノワール「帽子を被る女性」
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2006/03/06
コレクションを持たない「美術館」であり、芸術創造拠点でもある、いわゆる「アートセンター」が、各地にあります。昨年『せんだいメディアテーク』(ここも、美術品をもたないミュージアム)で「アートセンター円卓会議」 という企画があり、全国の9か所のアートセンターから参加してディスカッションが行われました。どのアートセンターも、真摯に芸術支援を行っている印象を強く持ちました。東京都がやっているトーキョーワンダーサイトもそのひとつ。お茶の水と渋谷、それから青山にもできるらしい。
いままで訪れる機会がなかったのですが、ArtsLog を拝見して、興味がわいてきて、渋谷まで「ワンダーシード2006」をみにいってみました。渋谷の公園通り、パルコの向かい側にある渋谷区勤労福祉会館の一階にあります。このビル、何年前からあったの、と思わせるほど、超年期が入ってます。ここの1階にトーキョーワンダーサイトはあります。ちょっと目立たないかな。でも、ロケーションは最高です。
「ワンダーシード2006」は東京都が主催する公募展。4つあるギャラリーゾーンをみてみました。おもしろいな、と感じる作品がいくつもあります。受付の方に「気に入ったものは、購入できます」と言われましたが、私が気に入った作品は、売約済みでした。
この「ワンダーシード2006」は、残念ながら昨日で終了。会場でもらったチラシにあった石原都知事の言葉が、興味深い。
最近の絵描きがやたら大きい絵を描きすぎるのは自信がない証拠だ。本当にうまい絵描きは小さい絵も描ける。そしてその作品が鑑賞家の生活空間で愛玩されてこそはじめて意味がある。
こんな言葉を言える知事さん、石原さんだけでしょう。
これからのトーキョーワンダーサイトに期待です。
☆TOKYO WONDER SITE
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2006/03/04
先日みた「美の伝統展」は、美術商が集めた名品も多くみられました。美術商といえば、連想するのはコミックの「ギャラリー・フェイク」。昨年、大学のスクーリングのとき、先生が「内容はしっかりしていますよ」と推薦されていました。
以前、『ビックコミック・スピリッツ』に連載されていたときは、まじめに(?)読んでいませんでした。先生に言われて、俄然読みたくなり、昨年の秋、全32巻をヤフーのオークションで手に入れました。でも、忙しいせいか、ほとんど読み進めません。まだ、1巻を読み終わっただけです。
しかし、この「ギャラリー・フェイク」、美大生の立場で読んでも、確かによくできいますね。勉強になることが、多々あります。また、このコミック、PSPのゲームソフトにもなっています。これも、発売された直後に買ったのですが、ほとんど進んでません。もうすこし、時間を捻出せねばいけないようです。
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2006/02/20
パウル・クレー展をみにいく前の日、近所の本屋でみつけた『線と色彩』 と題された本を見つけました。この本、「日本パウル・クレー協会編」の公式なパウル・クレー本です。クレー展に出展されている作品を含む212点の作品が収録されています。展覧会では、図録は制作されておらず、この本がそのかわりでしょうか。
クレー展では出展数60点ほどで、クレー作品のごく一部にしか触れることができませんでしたが、この『線と色彩』では展覧会の会場にも展示されていた解説や、クレー本人の日記からの引用、また滝口修造、谷川俊太郎の詩も掲載されていて、絵画作品をより深く楽しめる構成になっています。
クレーはこういっています。
「芸術とは目に見えるものの再現ではなく、見えるようにすることである」
クレーはなにを表現しようとし、みえるようにしたかったのでしょうか。柔らかな色彩と、生きているような線から描かれた作品は、見ているうちに、自分の心をのぞき込んでいるような気持ちになります。
パウル・クレー、線と色彩に込められた意味を知るには、まだ時間がかかりそうです。
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2006/02/18
iPodにアートを入れて、持ち歩けるARTSTAR 。前から気になっていたのですが、AMAZONで販売しているのをしって、ひとつ買ってみました。このARTSTARはアーティストのカラーの作品画像をiPodで楽しめるもので、9人の作家のものが発売されています。まずは舟越桂の作品を買ってみました。1981年から2005年までの作品が162点収録されてます。彫刻に加え、ドローイングもあり、年代順に舟越の作品が、気軽に楽しめます。
このARTSTAR、有名アーティストの奈良美智など買ってみたいものがいくつかあります。iPodで音楽を聴きながら、アーティスト作品を鑑賞していると、快適な気分です。
ARTSTARのことはこちら
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