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2025/03/05

曽野綾子さんが亡くなる

 少し前にルルドの泉での奇跡を織り込んだ『燃えさかる薪: ある復讐の物語』を再読し、今 坂谷豊光神父との往復書簡『湯布院の月』を読んでいました。
 曾野綾子さんがなくなりました。とても大きな影響を受けた作家です。

 曾野綾子文学との出会いは、(記憶が曖昧なのですが)大学生のとき、1979年か80年。その頃エルヴィス・プレスリーのファンクラブで会報の編集を任されていました。そのとき、エルヴィスは既に死去しています。
会員さんからきいたのかもしれません。曾野綾子さんの小説で、エルヴィス・プレスリーに触れられている、と知りました。『神の汚れた手』です。上下2巻の長い小説を購入し、読みました。物語の中でエルヴィスについては書かれていることは、ファンにとってはこの上もない讃辞です。
 物語の中でエルヴィスのゴスペルアルバム『He Touched Me(至上の愛)』に収められた「An Evening Prayer」を語り、『Known Only to Him(心のふるさと)』の「His Hand in Mine(神様だけが知っている)」も触れています。訃報に接する直前、レコードでなぜか『He Touched Me』を聴いていました。

 それ以来、曾野作品を読んできました。クリスチャンである曾野綾子さんが書く小説は、宗教を持たず、薄っぺらいものにとっては、時として惨く、救いようのないものが少なくありません。なぜ、これほどにも残酷な結末なのか、と思うことがしばしばでした。
 しかし、小説、エッセイは多くのことを与えてくれました。

 奔放な男を描いた長編『夢に殉ず』のあとがきにある言葉。
「闇があってこそ、光が見えるのである」

 ご冥福をお祈りいたします。

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