社会保障の問題点と提言
数年前、世間を騒がせた「老後2000万円問題」は、足元の物価高では4880万円との試算もあるそうです。年金制度は大丈夫なのか、と思う人もいるでしょう。『社会保障のどこが問題か』(山下慎一 著)は我が国にとって大きな課題の社会保障を網羅的に論じており、今後の論点の方向性を明確にしています。
複雑な日本の社会保障制度を、著者の専門である法学から整理し、問題点、課題を論じています。社会保障は、社会政策学、公共経済學、社会福祉学といった学問で取り組むと思い込んでいた私にとって、法学からのアプローチは新鮮。著者は憲法を参照しながら、社会保障の制度が整備される過程を、国会での議事を丹念に分析しながら論じています。
社会保障の問題点を整理したうえで、目指すべき社会保障の枠組みを提示します。全編にわたってわかりやすく書かれているのも、読解力が弱い私にとっては親切。
現行の社会保障制度は、現在の状況と乖離している部分も少なくありません。国民のための新たな制度とは何なのか。考えさせられる点がいくつもありました。社会保障のことがなんとなく気になっている人にもおすすめです。
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