立花隆の生涯を描いた『神と人と言葉と』
難しい本でした。2021年に亡くなった立花隆の生涯を追った『神と人と言葉と 評伝・立花隆』(武田 徹 著)。著者は資料を読み込み、立花隆と交流があった人に取材し、丹念に立花隆の生涯を描いています。
読み始めて気づいたのですが、評伝といいながら、一般的な評伝とは違うということ。例えば、偉大な経営者(松下幸之助とか)の生涯を書いた評伝とはアプローチの仕方が異なります。本書では立花隆がどのようにして著作を書くに至ったか。その思想、哲学について描いていることがある意味、特異とも言えます。
著者はウィトゲンシュタインの『論理哲学論考』を重要な本として取り上げ、この本から立花隆の仕事を解き明かそうとしています。ここが哲学の素人には難しい(笑)。
本書で著者が取り上げた立花隆に影響を与えたとされる本を読まないと、本書は十分に理解できないでのでは、と思います。
立花隆の著作は、何冊か読んでいます。立花隆の単著としては最初の『思考の技術』は発売時に購入し、最近再読しました。この評伝を読み、本棚で見つけた『「知」のソフトウェア』も読みました。どちらもパソコンなどない時代に書かれたものですが、内容の本質は少しも古くありません。
少しずつですが、立花隆を再読しようと思っています。
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