村上春樹:街とその不確かな壁
村上春樹の新作『街とその不確かな壁』を読み終えました。650頁をこえる長編で、私の読書力ではすらすらと読み進める内容ではなく、2週間ほどかかりました。
この作品にはあとがきがあります。村上春樹本人が、
<自分の小説に「あとがき」みたいなものをつけることをもともと好まないが(多くの場合、多かれ少なかれ何かの釈明のように感じられる)、この作品についてはやはり、ある程度の釈明が求められるだろう。>
と冒頭に書いています。
メディアなどで報じられているとおり、1980年に『文學界』に発表した同名の作品には本人が納得がいかず、書籍化されていなかった。村上はその後、80年発表の『街とその不確かな壁』は「長編小説にもっていくにはいささか無理があった」のでまったく違うストーリーで『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』を1985年に発表する。
2020年に「根っこから書き直せるかもしれない感じるようになり」書き終えたのが本作です。
これだけの作品を書けることは(うまい表現はできませんから、ただすごいしか言いようがないです。おそらく再読すれば、新しい発見があるでしょう。そして、『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』も読み直さなきゃいけない、と思いました。
| 固定リンク | 0
コメント