今更なにをやっているのかという感がある立憲民主党のアベノミクス検証。ちょっと前に検証するという表明がありましたが、もう検証結果が発表されました。早いな。どんな内容かと日経新聞が伝えるところによれば、
<立憲民主党は21日、安倍晋三前首相の経済政策「アベノミクス」の検証結果を発表した。消費が低迷する理由を消費税増税だと明記した。潜在成長率の低下や格差拡大を招いたと指摘し、枝野幸男代表は「アベノミクスは失敗だった」と結論づけた。>
と書かれています。これではよく分からないと、立憲民主党のホームページの発表資料があります。そこにあるのはA4で1枚半ほどの文章です。えっ、これだけなの。とりあえず、資料の全文を紹介します。
アベノミクスの検証と評価
2021年9月21日
立憲民主党アベノミクス検証委員会
【総合評価】
「お金持ち」をさらに大金持ちに、「強い者」をさらに強くしただけに終わった。期待された「トリクルダウン」は起きず、格差や貧困の問題の改善にはつながらなかった。
一方、実質賃金は下がり続け、二度にわたる消費税増税がそれに追い打ちをかけ、GDPの半分以上を占める消費の低迷が続いている。これが、日本経済が混迷から抜け出せない最大の要因である。
(1)実質賃金の低下
(2)消費増税(2回)が家計を直撃
(3)ミリオネアー(億万長者)、貯蓄ゼロ世帯の増加
(4)産業競争力、潜在成長力の低下
【3本の矢】
1、大胆な金融緩和
・円安誘導や「ゼロ(マイナス)金利」により、輸出産業を中心に収益増となり、株価も上昇したが、将来のインフレ期待に働きかけての消費増とはいかず、物価安定目標2%も達成していない。
・「異次元緩和」は、いわば「カンフル剤」であり、2本も3本も打つものではない。打てば打つほど、効果は減殺されるし、副作用も起きる。地方銀行の経営悪化や「官製相場」の形成等がその例である。
・何よりも、この異次元緩和をいつまで続けるのか。その出口戦略がなく、どうやってテーパリング、ソフトランディングをさせるのか、見通しがまったく立っていない。
2、機動的な財政政策
・需要を喚起しなければならないにも係わらず、2度にわたる消費税増税で、GDPの半分以上を占める消費を腰折れさせた。
・格差や貧困の問題が改善されない中で、必要な「人や暮らしへの投資」や税制改革がなされなかった。
・インフラ投資(公共投資)も、従来型のものが中心で、経済波及効果はあまり得られず、消化不良で使い残しも目立っている。2
・累次の経済対策、補正予算等で設立された基金(約200)についても、需要の見通しの甘さ等から使い残しも目立ち、また、国庫返納も十分になされていない。
3、成長戦略
・カンフル剤(金融緩和)の効果がある間に、進めるべき「体質改善」が進んでいない。その結果、製造業の労働生産性はOECD加盟37カ国中16位(2018年/2010年10位)にまで落ち、潜在成長率は0%近くにまで低下している。
(例)
#将来の成長産業(エネルギー、環境、医療・介護・子育て、農業等)に対する予算の重点配分や、そのための地方への権限や財源の移譲がなされていない。
#国立大学の運営費交付金の削減や競争性資金への移行等により、研究費や研究時間、研究人材への制約が強まり、日本の研究開発力の著しい低下を招いている。
・行き過ぎた「株主資本主義」が、労働分配率の低下や設備投資減につながっている。結果、企業の内部留保は、戦後最高の475兆円となっている。
・原発輸出、IR(カジノ)誘致、五輪開催(無観客)等の目玉施策がことごとく失敗、あるいは功を奏していない。
以上
アベノミクス検証委員会委員長江田憲司
事務局長落合貴之
これって、誰がつくったのか。(経済の)専門家なんでしょうね。
検証というからには、もう少ししっかりとしたものにしたほうがいいと思いますが。立憲民主党の考えることはこの程度なのでしょうか。
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