五輪と万博のデザイン
東京オリンピックまで2年ほど。また2025年には大阪に万博を誘致しています。1964年の東京オリンピック、1970年の大阪万博の時代からは50年以上が経ち、再びオリンピック、万博という大きなイベントを主催しようとする日本。
64年のオリンピック、70年を体験している世代としては、あの時の熱狂とは違い、今回のオリンピックはなにか盛り上がりません。それは新国立競技場の設計コンペやり直し、エンブレムのやり直しなど、いろいろなことで迷走しているからかもしれません。
『オリンピックと万博-巨大イベントのデザイン史』(暮沢剛己)は64年と70年のオリンピック、万博をデザインという視点で分析し、そこから2020年のオリンピックデザインへと論を展開しています。
64年のオリンピックでは一貫したデザイン戦略があり、著者はこれを「デザイン・ポリシー」と呼んでいます。いま振り返って見ても、古さを感じない東京オリンピックのシンボルマーク、ポスターなどのデザインは、当時の日本デザインの総力を結集したものだったのでしょう。国家挙げてのイベントを支えたデザイン戦略だったということがわかります。
それに比べて2020年のオリンピックは、どうなんだろう。イベントとしては成功するかもしれませんが、デザインとしては成果が残せるのか。そんなことを気づかせてくれる一冊です。
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