阿刀田高の私の履歴書
今月の日経新聞「私の履歴書」は作家の阿刀田高が執筆しています。短編集を何冊も読みました。御年83歳になられた大御所は、まだまだお元気です。
私の履歴書と言えば、みずからの半生を順に書く人が多いのですが、阿刀田高は、ちょっと違います。途中までは半生の出来事を順に書いていたのですが、ここ何回かはエピソードを披露しています。昨日は、「自宅マンション」と題し、青山にマンションを買った、という話です。ここでの向田邦子との交流を書かれています。阿刀田高は
ある夏の日、私が郵便物を取りに行くと、向田さんが大量の郵便物を抱えている。
「阿波踊りに行って来たの。遊んでばかりいて」
と少し恥じている。
「いいじゃないですか」
独り暮らしの特権だろう。
「明日からまた台湾へ遊びにいくわ」
「いいですね」
いつも通りの立ち話だったが、これが台湾の飛行機事故、才媛の最期となった。
心に刺さる文章です。さすが、短編の名手。
久しぶりに阿刀田高の短編を読みたくなりました。
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