クレージーキャッツの犬塚弘
クレージーキャッツというコミック・バンドはいまや伝説です。正式には「ハナ肇とクレージーキャッツ」のメンバーで元気でおられるのは、犬塚弘だけ。『最後のクレージー:犬塚弘』は、犬塚が半生を語った素敵な本です。
クレージーキャッツの全盛期は、60年代。その活動をリアルタイムで見ていますが、幼稚園から小学生の頃だったので、明確には記憶に残っていません。しかし「スーダラ節」は強烈でした。当時、幼稚園児だったのに、この歌を楽しんでいた記憶は鮮明です。
本書は犬塚弘に佐藤利明(63年生まれ・娯楽映画研究家)がインタビューし、文章にまとめたもの。犬塚の生い立ちから、クレージーキャッツ前夜、そしてクレージーキャッツでの活動、更には俳優としての苦労話などを、細かなエピソードを織り込みながら綴られています。
犬塚は頭のいい人なんだな感じます。植木等、ハナ肇、谷啓という人気スターの中で、自分のポジションを確立しかけがいのない存在でした。芸人にならなくても、きっと成功を勝ち得たでしょう。
クレージーキャッツがジャズバンドです。メンバーは誰もが一流のミュージシャンでした。犬塚はこう書きます。
「芝居の若い仲間たちから『犬塚さん、ミュージシャンだったんですか?』と聞かれることもあります。そういうとき、決まってこう答えます。『ぼくは今でも、クレージーのベーシストだよ』と。」
ハナ肇とクレージーキャッツの駆け抜けた時代を知ることができるとともに、犬塚弘という芸人の生き方を学べました。当時を知る方にはぜひおすすめしたい一冊です。
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