恐ろしいキプロス問題
今週の月曜朝、いつものように「モーニングサテライト」をみると、ドル円の為替レートが94円台になっていて、驚きました。このところ96円台までいっていたので、ドルの急落に何があったの? その原因はキプロスの財政危機問題です。
ユーロ圏は債務危機に陥ったキプロスに最大100億ユーロ(約1兆2500億円)の金融支援を実施することで大筋合意。この支援条件として、キプロスの銀行の預金者から課徴金を徴収する措置が発表されました。
「課徴金は国内外の預金者が対象。10万ユーロ(約1250万円)超の預金からは9.9%、それ以下は6.75%の課徴金を1回に限って徴収する」(日経新聞)
という内容には驚きます。約1250万円以上の預金者は、強制的に1割預金が減ることになります。異例の措置をうけ、ユーロが急落し、この影響でドル円も円高に戻ったわけです。
人口86万人というキプロス。日本で言えば佐賀県の人口にあたるいわば小国。この国の財政危機が世界の為替レートを動かしました。この国はタックスヘイブンのひとつということをこの問題ではじめて知りました。特にロシアのお金が投資されていて、銀行預金の約3分の1をロシアの法人や個人が占めています。
この措置を盛り込んだ法案を、キプロス議会は否決。状況は混迷しています。キプロス問題で恐ろしいことは、銀行預金に1割もの課徴金を徴収するということ。一般的に資産を守るために安全なのは預金だといわれます。利息はほんのわずかですが、元本は保証されているのが預金と思われています。
しかし、キプロスのように預金に課徴金という禁じ手がとられると、預金も安全ではありません。一部の学者からは財政破綻を警告されている日本です。個人の預金まで課税される可能性がないとは言い切れません。キプロス問題は恐ろしい状況が起こりうることを示しています。
ひょっとすると、タンス預金がいちばん安全? お金の問題は奥が深いです。
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