ロバート・キャパの真実
ロバート・キャパといえば、報道写真家として有名ですが、実はこの人についてほとんど知らなかったのです。横浜美術館で開催されている「ロバート・キャパ/ゲルダ-・タロー 二人の写真家」をみて、この写真家について多くを知ることができました。
ロバート・キャパという名前は当初、実在する写真家ではありませんでした。数々の報道写真で名を馳せたロバート・キャパの本名はアンドレ・フリードマン。このフリードマンとドイツ人女性ゲルダ・タローが創り出した架空の写真家でした。このほうが作品を売り込みやすいというのが理由だったようです。ちに、フリードマンの仕事が軌道に乗ると、彼がキャパに取って代わり、ゲルダも写真家として自立していきます。
本展はロバート・キャパとゲルダ・タロー、二人の写真家の作品を、それぞれ個展という形で展示します。キャパの作品は幾度となくみているのですが、ゲルダの写真をみるのははじめてです。そもそもゲルダ・タローという人さえ知らなかった無知さです。ゲルダも報道写真家です。
ゲルダは撮影していたスペイン内戦で事故にあい、36歳で亡くなります。そしてキャパはインドシナ戦争取材中に地雷に触れて、亡くなります。その時、40歳です。二人の作品の多くが、戦争を取材した作品です。撮られた真実はどれも迫力を持っています。写真で真実を伝えることの重要さを今更ながら実感します。
キャパの「崩れ落ちる兵士」は有名な作品。この1枚について沢木耕太郎が新説を提示しています。NHKでも特集されていましたが、撮影をしたのはキャパではなく、タローという説です。沢木耕太郎が文藝春秋に発表した「キャパの十字架」は読んでいませんが、興味をひかれます。
「崩れ落ちる兵士」は本展でも展示されています。この真偽を含め、キャパ、タローという二人の写真家をより深く知ることが出来た写真展です。
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