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2013/01/15

相続時精算課税は非課税ではありません

 今朝のNHKニュースによれば、自民・公明両党の税制調査会で、所得税と相続税の最高税率について、再来年1月から所得税45%、相続税55%に引き上げると合意しました。富裕層に対しての増税で、いっぱいお金を持っている人から税金を取ろうという方向です。
 一方、税金を軽減する方向もあります。先日報じられた孫への教育資金の贈与1500万円ほどを非課税にするということに加え、昨日の日経新聞には「贈与非課税 孫も対象、2500万円まで」という記事がありました。記事の冒頭には、
「政府・与党は孫への財産の贈与について、2500万円までを非課税にする制度の対象にする方針を固めた。これまでは子への贈与が対象だったが、孫まで広げて若年層へ資産移転を促す」 
 とあります。ここまで読むといいことに感じます。
 贈与税は税率が高く、例えば2500万円を一回で贈与すると税金は970万円。すなわち2500万円もらった人は、税金を払うと1530万円しか残らない。これが非課税になるのだから、大きい。
 しかし、違いました。記事を読むと、「相続時精算課税」の仕組みの適用対象者を広げるということです。相続時精算課税とは何か。日経新聞の解説では、
「親から子への贈与と、相続時の相続額を合算して相続税額を算出する仕組み。贈与税の基礎控除は110万円だが、この制度を利用すると累積で2500万円までが贈与財産から控除できる(以下略)」
 とあります。ポイントは「贈与と、相続時の相続額を合算して相続税額を算出する仕組み」です。相続時精算課税の仕組みを使うと、贈与2500万円までは贈与の時点では非課税ですが、相続発生時(財産を贈った人が亡くなったとき)贈与した財産も加えて相続税を計算します。現行の制度では子など推定相続人に限られます。孫はこれに該当しないので、対象を広げようということです。
 贈与のときは税金をツケにして払わず、相続発生時にまとめて精算します、というのが相続時精算課税です。したがって「孫への財産の贈与について、2500万円までを非課税」という表現は正しくありません。
 また相続時精算課税を適用すると相続人になってしまうので、生前贈与を受けた財産に加えて、他の財産があるときはそれも相続する権利が発生します。多くの資産がある場合、孫に相続税の納付義務が発生する可能性があります。ここは検討されているのか。記事では書かれていません。
 日経新聞の記事、事実に基づいて書かれているのか。疑問がわく内容です。

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