ネガティブスプリットで走る
ブームのおかげでマラソンに関する本がたくさん出ています。秋のシーズン開幕に合わせるかのように新刊も出て、書店で目に付いた一冊をタイトルにひかれて衝動買いしてきました。『マラソンは「ネガティブスプリット」で30分速くなる』(吉岡利貢・ソフトバンク新書)です。著者の吉岡利貢氏は『毎日長い距離を走らなくてもマラソンは速くなる!』、も出している中距離ランナーの体力、トレーニング法について研究をしている方です。
前著の『毎日長い距離を走らなくてもマラソンは速くなる!』はまだ読んでいないのですが、副題に「月間たった80kmで2時間46分! 超効率的トレーニング法」とあるように、著者は距離を長く走るだけことを目標としない効率的なトレーニング法を提唱しています。
本書『マラソンは「ネガティブスプリット」で30分速くなる』では、タイトルにある「ネガティブスプリット」がひとつのキャッチコピーになっています。ネガティブスプリットという概念ははじめてききましたが、調べてみたら新しいものではないようです。レースでスプリットタイム(スタート地点から、計測点までにかかったトータルでの経過時間)で、レース前半が速いとポジティブスプリット、逆に後半が速いとネガティブスプリットといわれます。
著者はまず、現在マラソンのトップレベルにあるアフリカ勢が、いずれもネガティブスプリットでレースを制している事実。また、ロンドン五輪代表の藤原新選手もネガティブスプリットでレースを展開していることを示して、マラソンではネガティブスプリットが世界的潮流になっていると説きます。
この事実を対し、日本ではまだまだ多くの市民ランナーはポジティブスプリットでレースを走っていると指摘した上で
「考え方を180度変えて、前半抑えて後半ペースを上げるネガティブスプリットにスイッチしてみましょう。すると30km、50kmの壁がなくなり、予想を上回るタイムでゴールできる可能性が高まります」
と提案しています。
でも、ネガティブスプリットはそんなに日本ではマイナーな方法なのでしょうか。私の場合は性格的なものもあるのでしょうが、前半から飛ばして走ることはできません。基本はネガティブスプリットです。実際は後半もペースが上がらないことがほとんどですが(泣)。
ネガティブスプリットについて書かれているのは本書の一部です。むしろ読みどころは<第2章 目標ペースを設定する方法>と<第3章 後半粘れるトレーニング法>です。著者の研究成果に基づいたマラソン理論が書かれていて、少しばかり専門的な嫌いはありますが、ランナーにはとても参考になる内容です。前著で自転車を使ったクロストレーニングを提唱していた著者ですが、本書ではランニングの基本トレーニングを理論的かつ具体的に提示されていて、ランニング計画を作るためにはとても参考になります。
本書を読んで感じたのはマラソンの練習法はほんといろいろあるな、ということ。重要なのは自分にあった方法を見つけることですが、それがなかなか難しい。まだまだ試行錯誤は続きます。
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