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2012/09/17

あなたへ

 これが映画なのだな。同じ映像表現ながら、テレビ番組では決して与えてくれない感動が、この作品にはあります。そして日本映画というものの美しさを教えてくれる作品でもあります。
「あなたへ」をみてきました。高倉健が6年ぶりに出演する映画ということで、公開前から気になっていたのですが、先週、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」で高倉健を2回にわたって特集。この番組をみて、どうしても見なくてはと映画館に久しぶりに足を運びました。
 映画はシンプルな物語です。高倉健が演じるのは富山の刑務所で仕事を勤める指導技官。そこへ亡くした妻からの手紙が届きます。遺骨を故郷の海に散骨して欲しい、というメッセージ。妻の故郷、長崎・平戸への1200キロ、クルマで旅にでます。道中でのいくつかの出会いと事件。そして平戸での散骨。
 静かな映画です。テレビ番組で見かける、見苦しいくらいに喜ぶシーンはありません。感情を剥き出しにして、怒鳴り合うシーンもありません。そして、大仰に泣き叫ぶシーンなどもありません。これぞ人生ドラマとでも言いたげな、作られた場面は用意されていません。
 高倉健が演じる倉島英二は、平戸への道中で何人かの人と関わります。その人たちは、それぞれに大きく、重い人生を抱えています。その様々な人生を、共演者たちが達者な演技で、演じていきます。
 圧巻は大滝秀治との場面です。「プロフェッショナル 仕事の流儀」でこのシーンを取り終えた後、高倉が涙を拭う姿が撮られていました。大滝の台詞のすごさに高倉が感動したからです。
 そして、高倉健も倉島英二を穏やかに、そして強く演じます。抱えてきた人生の思いを、実直に演じています。それは高倉自身の人生なのか、とも錯覚する演技です。
 映画俳優、高倉健81歳。映画監督、降旗康男78歳。二人の作りたかったこと、伝えたかった思いは、しょせん56歳の若造にはすべてはわからないのだろうな。「あなたへ」を見終わったあと、そんなことを感じました。20年後に見ると、きっと何かがわかるのではないか。そんな映画でもありました。

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