中国の「博物館強国」計画
ロンドンオリンピックメダル獲得数でトップを走る中国ですが、文化の面でも力強い姿勢を見せています。昨日の朝日新聞夕刊に「中国『博物館強国』計画」なる記事があります。記事の出だしにこうあります。
「中国が国を挙げて、博物館の充実に力を入れている。長大な歴史を誇り、世界的にも豊かな文明をはぐくんだ力を内外にアピールし、文化でも東アジアの主導権を握ろうとの思惑があるようだ」
中国政府は昨年、「中国博物館事業の中長期発展計画」を策定し、博物館強国を目指してプロジェクトを進めています。記事によれば
「20年までに全国の博物館を6千館と、現状の約3400館から倍増させ、全国の総入場者数も、現在の年間3億人から10億人に増やすとしている」
わずか8年で今の倍のミュージアムを作るという無謀とも思える計画です。さらには、
「博物館を愛国主義教育の基地として学校教育と連携させることや、外国人観光客向けツアーの創設、全国の博物館グッズの売り上げを20年までに年間1億元(約12億円)以上とするなど、政治・経済的にも活用し、もり立てることをうたう」
ということです。愛国主義教育の基地、というのが中国らしい。
中国政府は博物館強国達成のため、潤沢な文化予算を用意しています。例えば政府が08年に打ち出した博物館の入場無料化では、減収分を補填するために、09年は20億元(約245億円)、10年は24億元(約294億円)もの補助金を全国の博物館に交付したそうです。
我が国の文化予算は(ちょっと数字は古いですが)2009年で1,015億円(文化庁調べ)。全体で1000億円しかない日本と、博物館の無料化への補填金だけで200億円以上の予算を使い中国。スケールが違います。日本の博物館はいまだ有料のところがほとんどという現状を考えると、ちょっと情けなくなります。
経済発展の次は文化政策の充実。かつて日本にもそんな時代がありましたが、これからは中国。この国のパワーはこれからも続くのでしょう。
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