橋下市長と文化
昨日まで日経の文化欄に「橋下改革と文化」と題された連載記事がありました。橋下市長の文化に対する姿勢はかなり厳しいものがあると言われていますが、その内容をレポートした4回の記事でした。批判が中心と思って読んでみるとそうでもなく、橋下市長は文化にとって必要なことを行おうとしていることがわかりました。
文楽協会や大阪フィルへの予算削減は批判もあるでしょうが、その一方で美術館、博物館の「地方独立行政法人(地方独法)」での一元運営とアーツカウンシル構想は興味深いものがあります。特に地方独立行政法人(地方独法)でのミュージアム運営は以前から大阪市が国に働きかけながら実現しなかったもので、橋下市長の突破力の期待が寄せられているようです。
5つある国立の美術館は独立行政法人国立美術館という組織で運営されていますが、地方の美術館は行政の直営か外郭の財団が運営するかのどちらかです。また運営形態は指定管理者制度で行われているところも少なくありません。日経の記事によればこれまで国が独立行政法人を地方に認めてこなかったのは「指定管理者制度の導入を優先すべきだ」という理由が大きいとのこと。
しかし、指定管理者制度はコスト削減を目的とするところもあり、ミュージアムの継続的な運営に対しては適さないとの批判も少なくありません。独立行政法人という形態がベストでないかもしれませんが、地方の美術館、博物館は独立採算の道を目指していかないと、存続は厳しいことは間違いがありません。
橋下市長は文化行政の改革を語るとき、必ず口にする言葉が「自助・自立」だそうです。地方財政の困窮から、公的な予算だけで文化を支えることができないのは明らかです。新しい文化行政の枠組み作りが求められています。橋下市長の改革で、文化行政がどう変わるか。期待したいところです。
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