3・11以降の芸術 3・11以降の学問
珍しく慶應義塾の三田まででかけてきました。シンポジウム「3・11以降の芸術 3・11以降の学問」をきかせていただくためです。慶應の文学部とアートセンターが主催のシンポジウムですが、登壇者に惹かれて参加しました。
まず近藤誠一文化庁長官、福島県立博物館長の赤坂憲雄氏、作曲家の湯浅譲二氏による講演です。赤坂憲雄氏は東北学で有名な方ですが、読ませていただこうと思っていながら著書が積ん読になっています。湯浅氏は著名な作曲家で、80歳をすぎた今でも活躍をされています。
講演に続いて、登壇者3人に加えて鈴木 隆敏氏(慶應義塾大学大学院アート・マネジメント分野講師)、慶應の前塾長鳥居泰彦氏(この方、私の大学時代に教授でした)の5人でのパネルディスカッションが行われました。
このシンポジウムを主旨は慶應アートセンターのサイトから引用すると
「この度のシンポジウムでは、具体的な支援や復興の事例報告、現状の共有ということではなく、むしろ、現在、我々の置かれている現状認識を先鋭化し、その中で生活・文化、芸術の問題を改めて問い直し、この未曾有の震災という契機をどのように着地させ、未来へと拓いていくのかを議論し、考えていこうというものです」
問題の共有はすでに行われている前提で、これから、将来、未来を考えようということです。テーマがかなり大きく、登壇者も知識、実績、経験をお持ちの方ばかりなので、ひとつの方向性、結論まで辿り着いたとは言い難いですが、それぞれのお話はどれも信念が伝わってくる内容です。
特に驚いたのは近藤誠一文化庁長官です。なにせ官僚の方ですから、冒頭の講演が終わったら帰ってしまうと思っていたら、パネルディスカッションも参加され、13時半から17時すぎまでずっと登壇されていました。お話の内容も官僚からの発言とは思えない問題点の指摘、改善のための提言を大胆にされていて、力強いメッセージでありました。時間がなく詳しくは説明されませんでしたが、「貞観大地震・大津波以降の世界・日本の歴史」という年表を作られて、参加者に配られました。
慶應アートセンターは震災以降、継続的に支援のための活動を行っています。今回のシンポジウムは大震災のことを、自分の中でどうするか。このことを考えるヒントをいくつも与えてくれ、とても有意義でした。
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