岩波書店の採用のこと
少し前にニュースで話題になった岩波書店の社員採用のことは、気になります。岩波書店では新入社員の採用に「岩波書店著者の紹介状あるいは岩波書店社員の紹介があること」を応募条件としていることです。小宮山洋子厚生労働相が「公正な採用・選考に弊害があるという指摘かと思うので、早急に事実関係を把握したい」と発言したことで、話題性をもって報じられました。
このことに対しての反応は様々です。昨日の朝日新聞夕刊でも取り上げられています。岩波書店の言い分は
「紹介は昔からあり一時一般公募に切り替え、去年から紹介に戻した。(中略)数人の採用予定に対して応募は1千人を超え、応募者を絞り込むための措置。努力を尽くしても紹介が得られない場合は採用担当に相談してほしい」
とのこと。
興味深いのはYahoo!が行った「岩波書店の応募条件は『コネ』、どう思う?」と題した意識調査の結果。8日までに約3万8千の投票があり、「問題ある」45%、「問題ない」51%という結果。問題ない、とした方が若干ですが上回っていることが気になります。
私事ですが、大学をでて出版社に入りました。誰でも知っている大手出版社です。当時は一般の就職解禁が4年生の10月でしたが、出版社は11月から試験を行って、新入社員をとっていました。入社試験は、大学を会場に何百人もの人が筆記試験を受けました。それに受かれば面接。試験のための勉強もしました。大変でした。
こんな経験をしてきた身からみると、岩波書店の採用制度はとても奇妙に思えます。30年前ならともかく、いまはこれではだめでしょう。これだから、出版産業は衰退しているのではないか、と思わざるを得ません。寂しい話題ですね。
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