磯江毅の写実絵画
写実絵画をみる機会は多くはありません。最近いった展覧会を思い出してみても、抽象絵画作品を見たことが多い。練馬区立美術館で開催されている特別展「磯江毅=ゲスタボ・イソエ」は、写実絵画の力をみる刺激的な展覧会です。
磯江毅(いそえつよし)という画家は、はじめて知りました。そのキャリアの大半をスペインで過ごしたアーティストです。高校卒業後、単身でスペインに渡り、画家として成功。後年日本でも活躍しますが、2007年53歳で亡くなっています。
磯江の作品は細かに描きこんだ写実表現が特徴です。静物、裸婦、動物、人物、どれも(ありきたりの表現ですが)写真をみているような完成度で描かれています。展示作品の中に、(確か)皮を剥がれた兎を描いた作品があったのですが、あまりにリアルすぎて思わず目をそらしました。
ここまで極めた写実表現ができる磯江の力量はすごい。そしてこの写実表現で画家は何を伝えたかったのか。目の前にある物、人の中にある何かを表現しているのではないか。私の感性では、残念ながらここまでしかわかりませんでした。
写実表現の面白さがすこしだけわかりかけた「磯江毅=ゲスタボ・イソエ」。練馬区立美術館らしい、派手さはないけれど、内容のある企画展だと思いました。
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