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2011/09/19

脳科学と横尾忠則

 脳科学者とアーティストという組み合わせの面白い対談に参加してきました。対談されたのは、脳科学者の藤田一郎(大阪大学医学部教授)と横尾忠則。「みること えがくこと 脳科学とアートとの対話」と題されたイベントで、まず藤田の「脳が世界を見る-世界を知らないうちに-」という演題での講演が30分ほどあり、そのあと横尾と藤田の対談が1時間ほどありました。対談のモデレーターが大隅典子(東北大学大学院医学系研究科教授)さん。
 このイベントは主催は第34回日本神経科学大会ですが、横浜トリエンナーレ2011の連携企画で一般の人が対象です。脳科学とアートというあまりない組み合わせに興味を持ち、更に(私のとって)偉大な美術家である横尾忠則の話がきけるとあって、会場の横浜美術館まで出かけた次第です。
 対談では、やはり横尾の話がほんとに刺激的です。美術関係者によるインタビューではきくことのできない横尾の反応が面白い。例えば、横尾が自分のコラージュ作品について話したときに「デペイズマンですよ」と言うと、藤田が「デペイズマンって?」と尋ねます。横尾は「デペイズマンを私に説明させるんですか?」って。でも横尾は親切に解説してくれます。こ人、感性でいきてるようにも見えますが、実はしっかり理論をもっているんですね(担当している朝日新聞の書評欄でもその理論家ぶりは垣間見えます)。
 横尾はいろいろ素敵なことを話します。たとえば、「言葉にできることは、絵にしなくてもいい。写真とかで表現できることも絵にする必要がない」「僕の中にあるものは土着。デザインをやっていたころはモダニズムを表現していたので無理をしてやっていた」「(彼の代表作)Y字路そのものには興味がない。絵にしてはじめてY字路というものに興味がわく」
 御年75歳、とてもそんな年にはみえない横尾さん。脳科学者をお相手に、ユニークなお話しをしてくれました。

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