いま「メディアと日本人」を考える良書
あの日から一ヶ月が経ちました。当然のことなのですが、現地の様々な情報は、3月11日以来メディアで知ることが大半です。地震直後には、週刊誌、新聞というマスメディアでさえも、ツイッターを代表格とするソーシャルメディアの効用、優位性を記事にしました。確かにツイッターは情報発信という点で、有効なメディアであることを示しました。その一方で、デマの拡散という悪い機能を露呈しました。情報を伝える、という点から見ると、テレビ、新聞、ラジオというマスメディアは、その実力を示したと思います。
橋元良明著の『メディアと日本人』(岩波新書)は、丹念なデータに基づき、メディアとの接し方を中心とした日本人の生活の変化を検証した著作です。1995年から2010年までの社会調査から、テレビ、ラジオ、新聞、書籍、携帯、インターネットと日本人がどのように接して、それを活用し、どう影響を受けてきたかを検証しています。
よくいわれる「読書離れ」、「テレビ離れ」、そして「インターネットはテレビを浸食しているか」という問題に、社会調査データを基に分析をしています(結論は本書を読んでみてください)。
地震の報道では、いまのメディアにおける課題、問題点、そしてもちろん多くの可能性、有効性が示され続けています。この時期に出された本書は、今後論議していくためには不可欠な良書だと思います。
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