「セゾン文化」とは
確か、昨年の10月頃に買って読み始めたのですが、なぜか読む進むのが遅く、やっと読み終えた『セゾン文化は何を夢見た』(永江朗著)。本書はセゾングループにいた著者が、セゾンに深く関わったキーマン達にインタビューしていくことにより、セゾン文化とは何かを描いたものです。
かつて「不思議、大好き」「おしいい生活」といったコピー(糸井重里さん作ですね)で文化を発信した西武百貨店を中心とするセゾングループは、いまから振り返ると何とも謎に満ちています。
2011年の現在から見ると、よくあんな企業体が存在できたなと思います。デパートの中に美術館(セゾン美術館)を作ってしまういう堤清二の発想と実行力は凄いです。最終章に堤へのインタビューがあり、これは読み応えがあります。辻井喬として作家、詩人としての顔も持つ堤清二。これだけ個性的な経営者は、21世紀にはでてこないでしょう。
セゾンについて客観的に整理して、まとめた本は少ない。本書は本文に加えて、細かい注が付けられていて、資料としての価値が高いものがあり、今後のセゾン研究にも役立ちそうです。20世紀に存在した希なる企業体セゾンをしる格好の道しるべともなる一冊です。
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