本と映像のこれからを語る
時間ができたので積読になっていた本を読み始めています。今年の初めにアマゾンで見つけた『書物と映像の未来』は、これからの本と映像を考える上で、いくつもの示唆を与えてくれる一冊です。本書は、昨年1月に行われた日本学術会議主催のシンポジウム「世界のグーグル化とメディア文化財の公共的保存・活用」講演内容をまとまてものです。
グーグル・ブックスの突然の登場によって、書籍にとって様々な問題が投げかけられています。大きな問題と考えられるのは、書籍のアーカイブ化、デジタル化をグーグルのような一企業が行うことの是非です。著作権のことも重要で、日本ではあたかも黒船の襲来のごとく捉えられてもいます。
グーグル・ブックスの衝撃度はどれほどのものなんでしょうか。正直ピンときません。ちなみにすでにグーグル・ブックスでは日本のサイトも開設されていて、かなりの数の書籍が公開されています。GALAPAGOSのブックストアより充実しているのでは。
この本では書籍だけでなく、放送、映画のアーカイブについても論じられています。このなかで驚いたのは日本の映画の保存です。我が国の映画の保存は、欧米に比べて極めて貧しい状況だということを知りました。日本は世界最大の映画生産国の一つでありながら、多くの作品を失ったきた国ということです。書籍のアーカイブよりも、映画の保存が大きな問題のようです。
アーカイブ、ということでは日本はどうやら遅れているようです。ここは国がしっかりとした対策をとらなければいけないのでしょう。本書はこれから書物、映像をどう残していくかを考えさせてくれる一冊です。
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