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2010/11/07

アートを支える人々

 十和田現代美術館のことを書くつもりだったのですが、昨日の日経新聞の記事がきになったので、そのことをちょっとだけ。お読みになったのは、一部の方だと思いますので、どんな趣旨の記事かを簡単に。日経新聞朝刊文化欄に昨日まで3日連続で「アートを支える人々」というコラム(3回目は全面記事)です。
 内容はアートを支え、育てていくやり方が変わってきている姿を、いくつかの実例をレポートしています。第1回めの記事にこうあります。
「自治体の財政難を背景に、アート支援の形が変わりつつある。行政が美術館というハコモノを造り、運営を支える従来型の仕組みが行き詰まり、市民やアーティスト自らが美術活動の担い手として台頭している。『見る』『作る』だけでなく、共にアートを支え合う人々の姿を追った」(11月4日 日経新聞朝刊)
 1回目の記事では、大型彫刻やインスタレーションの制作などを補助する人材の養成を目的とする「アートコンストラクター講習会」のワークショップについてと、画廊との契約や著作権管理などの相談に法律家が無料で助言する非営利組織「Arts and Law」の活動について、第2回は個人コレクターの活動をレポート。新潟市の芸術文化施設・砂丘館の個人コレクターの展覧会やコレクター作品を積極的に受け入れる公立美術館について書かれています。3回目では 美術館やギャラリーに頼らず展覧会やイベントを美術家が自ら「仕掛ける」ケースが増えている姿をいくつかの例で報告。また、MCDN(ミュージアム・キャリア・ディベロプメント・ネットワーク)を立ち上げ活動している慶應の岩渕さんにインタビューもしています。
 紹介された実際の活動は、初めて知った内容です。どれもアートのためにはとても前向きなすばらしい活動だと思います。現場にはいろいろ努力をされている方がいて、ほんとに頭が下がります。ただ記事を読んで気になったのは、書く側の視点です。あらかじめ結論(行政の施策が行き詰まる中、アーティスト、市民が自らアートを作ろうとしている新たな動きがある)を用意していてそれに合わせて実例を選んで取材しているのではと感じます。
 ともあれ、アートの現場は行政、アーティスト、鑑賞者、支援者、それぞれが変わらなければいけないのは事実です。もはや文化支援については大きな政府は望めないのですから。私も何かしなければと、自戒しています。

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