いまとこれからのミュージアムを考える一冊
現在開催中の「ヴェネチアビエンナーレ国際建築展」で、日本人初、女性初の総合ディレクターに選ばれたのが、建築家の妹島和世。その妹島とSANNNAなる建築ユニットを組む西沢立衛の著書『美術館との対話』は、美術館のいま、これからを語った一冊です。
この本では西沢が5人と対話する形式で、美術館、アート、アーティスト、鑑賞者などについて、考えていきます。対談者は青木淳(建築家)、平野啓一郎(芥川賞作家)、南條史夫(森美術館館長)、オラファー・エリアソン(アーティスト)、妹島和世の5人。
語られたテーマは、多様です。気になったものをランダムに書くと、脱象徴化する美術館、展示空間の変化(ホワイトキューブだけでない展示)、キューレーターがつくる美術館、街に溶け込む美術館(たとええば十和田現代美美術館)、アートは来館者、美術館、社会と成り立つ四重奏、などなど。美術館のいまを考えるヒントをいくつも与えてくれます。
箱物、といわれた時代を経て、いま美術館は新しい段階へ進化しようとしているのかもしれないな、と感じました。まだまだ、日本のミュージアムの可能性はありそうです。
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