私にはもう出版社はいらない
アマゾンのおすすめの本になっていて買ったのがタイトルにある「私にはもう出版社はいらない」(アロン・シャパード著)という本。アメリカの絵本作家がアマゾンを使って、本作りから販売までをすべて行った経験を綴った著作です。アメリカのアマゾン(Amazon.com)では「セルフパブリッシング」というサービスを行っていて、誰でもアマゾン上で自分の著作を本にして販売することができます。
以前読んだ、佐々木俊尚著『電子書籍の衝撃』に紹介されていたアマゾンのセルフパブリッシングを実践した体験談ということで読んでみたのですが、正直新鮮な驚きはありません。佐々木俊尚氏はこの本の巻頭に寄稿しています。その一文を引用させていただくと、
「これは非常に恐ろしい本である。
アマゾンを使い倒して「どう自分の本を売るか」ということが書かれているこの実用書が、なぜ恐ろしいのかって?
なぜならこの本に書かれていることは、これまでの伝統的な本の売り方を全否定したうえに成り立っているからだ」(アマゾンの紹介文より)
とあります。
確かに本の売り方は、従来にない仕組みによって行っているのでしょう。しかし、本を書くことは、なにも変わっていません。著者のアロン・シェパードは絵本作家として紙の本を出している実績があります。したがって本作りの工程はわかっているので、アマゾンのセルフパブリッシングを使って、本を出すことも容易でしょう。
しかし、全くの素人が本を書き、それを本の体裁にして、アマゾンで販売までできるのか。この本で紹介されているのはアメリカの事例なので、具体的なイメージがまったくわきません。日本ではセルフパブリッシングが広がるのか。私は今のところ、否定的です。本作りにおいて著者を支える編集者、装丁者などの職人たち抜きには、売れる本はできないと思うからです。
セルフパブリッシング、どこまで広がるのか。ちょっとだけ注目しています。
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コメント
さいのめさん
これまで敷居の高かった自費出版は、このセルフパブリッシングで容易にできるでしょう。でも、それは所詮、アマチュアのことで、プロが作る本と同じ扱いにすることが、そもそも違っていますね。
投稿: 自由なランナー | 2010/07/03 18:34
元来少部数の詩集とか俳句集といったものが、どくしゃを獲得できるかどうかは別として、容易に出版できるようになると思うのです。また、自費出版で出しているものも、このなかに含まれると思います。どうもこのテーマ、ご指摘されるように、味噌もくそも同じ土俵で論議するのはどうかとおもってしまうのですよ。
投稿: さいのめ | 2010/07/03 11:09