企業美術館が変わってきた
昨日書いたように日本の美術館・博物館の3分の2は公立です。残りの3分の1には企業が運営している美術館が含まれますが、その数は以外と多いのではないのでしょうか(正確にはどれくらいあるんだろう)。昨日の日系新聞の文化欄に「企業美術館 街をにぎわす」という記事がありました。
三菱一号館美術館の話題かな、と思いながら読んでみると、意外なところが紹介されています。まず、工作機械のヤマザキマザックが名古屋市に開館する「ヤマザキマザック美術館」。名古屋の地下鉄・新栄駅に直結というロケーションにあるこの美術館は、同社が保有する美術コレクションを活用しようと作ったもの。
「どんな美術館でも単体での黒字化は困難。ならば企業の宣伝広告費と割り切り、街中で一人でも多くの人に来てもらうべきだ」
とは、館長を兼ねる同社の山崎照幸会長の言葉。企業としてはかなりの英断だと思います。
また、鋼材加工のシマブンコーポレーションは、神戸市の自社商業施設内に「BBプラザ美術館」を開館。場所は阪急岩屋駅のそぐそば。ここも街中です。
館長補佐の曽山秀樹氏は
「テナント全体の集客力向上と企業の文化振興の両立を考えたら自然とこの形になった」
といいます。
どちらも、街中に位置するミュージアムということも注目すべきですが、それ以上に興味深いのは、それぞれ工作機械や鋼材加工といった工業系の企業が運営していること。固い企業イメージながら、文化芸術振興に関わった活動をしているところが、失礼ながらちょっと驚きです。
日本における企業美術館の方向性も、変わってきているようで、希望が見えてくる気がしました。
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