公立美術館・博物館の今
「箱物」という言葉があります。自治体が作った公共施設が、作っただけでその後の運用が十分になされていないことを揶揄した表現です。その状況を生んだ自治体側の運営を指した箱物行政という言葉もあります。箱物というとき、多くは博物館、美術館、ホールといった文化に関わる施設を対象にしています。これらの施設は活用されていないことが多々ありからです。
昨日の朝日新聞の一面トップに「ハコモノ文化岐路 博物館戦後初の減少」と題された記事がありました。関係者にはちょっと衝撃的なものでしょう。記事には、日本博物館協会が先月末に発表した08年度の調査が紹介されています。全国で実際に活動している館へのアンケートを行った結果によると、博物館法で定められている博物館、美術館は全国で4041。07年度より21館減り、戦後増え続けてきた博物館が初めて減少になったといいます。
記事のデータで興味深かったのは、作品や資料の購入費ゼロの館はなんと57パーセント。06からの08年に学芸員系職員を新規採用していない館は72パーセント。大変です。全国にある博物館・美術館のうち公立は3分の2を占めます。自治体により運営されている館の状況は深刻です。
記事では、閉館された館の所蔵品の問題が指摘されています。たとえば、琵琶湖文化館。滋賀県立の施設ですが、重要文化財197点、国宝18点を所蔵していますが、その行方は決まっていません。行き先も心配ですがそも所蔵品が良好な状態で保管されているのでしょうか。とても心配です。
日本の文化振興は官主導で行われてきました。これが今、行き詰まっています。なにか打開策はないものか。もう国には頼れないかもしれません。
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