日本語教の信者です
新潮新書の新刊で『日本語教のすすめ』という本がでていて、早速買ってきました。本の著者は言語社会学者の鈴木孝夫氏。鈴木さんの著作『ことばと文化』を確か大学に入った頃に読み、たまたまその大学の教授をされていたので、言語学の講義を受講させていただきました。以来、鈴木さんの著作は熱心に読んできました。
この本は『新潮45』に連載していた文章に加筆訂正して編集したものですが、鈴木理論の骨格が盛り込まれている一冊となっています。鈴木さんの研究のテーマはいくつもあります。その中でも中心となる「日本語は劣っているどころか、とても優れた言語である」、「言語が変われば文化も変わる」、「日本語における人称代名詞の使われ方」について分かりやすく述べられていて、いわば鈴木理論の入門書的な内容となっています。
例えば鈴木さんの研究によれば、虹の色は日本では7色が常識ですが、アメリカでは6色。たかが虹の色ではありますが、文化と言語の関係を考えるととても面白い事実です。
ちなみに、「日本語教」とは鈴木さんが創設した、
「この世に折角生を享(う)けながら、日本語という素晴らしい言語を知らずに空しく死んでいく人を、一人でも少なくする努力をしようということ」
を信条としている新興宗教。もちろん表現上のことですが、いつもながらの鈴木さんのウイットにとんだ表現です。
大学で鈴木さんの授業を受けてからはや30年。今年83歳ながら、まだ研究、執筆されていることに改めて驚かされます。私にとって、外山滋比古さんとともに鈴木孝夫さんは、学問への道へ導いていただいた恩師。これからもますますの活躍を楽しみにしています。
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