事業仕分けと文化政策
最近巷のニュースで話題の事業仕分け。この前終了しましたが、文化芸術領域でも厳しい結果だったようです。昨日の日経新聞文化欄「文化政策『事業仕分け』で貧困さ露呈」を読むと、この国の芸術文化の行く末が、心配になります。
記事によれば、
「事業仕分けの評価者は文化芸術関連の予算に厳しかった。国立劇場を抱える独立行政法人の日本芸術文化振興会は予算を圧倒的に縮減。伝統文化こども教室や学校への芸術家派遣は行わない。こどもの読者活動や芸術家の海外派遣も減らす」
また、「新国立劇場の財団運営は廃止すべきで、官民拠出の芸術文化振興基金は政府分を引き上げたい」
などなど。
詳細は文部科学省のWEBに掲載されていますが、特に独立行政法人日本芸術文化振興会関連はひどいものです。新聞によれば未集計ながら1千通をこえるメールが文科省に寄せられているとのこと。
これに対して、企業メセナ協議会は、意見書で反論しました。その概要は
- 日本において、なぜ今、文化振興が必要なのか
- 日本の文化政策の課題: 総合的な中長期ビジョンの欠如
1. 中長期的視野で、日本の文化振興策のグランドデザインを提示すること
2. 国が期待する、文化政策における「効果」とは何かを示すこと
3. 国が行うべき事業、民間が行うとより効果が高い事業の峻別には、
その理由を明らかにすること
4. 民から民への資金の流れを促進する仕組みづくりを
と極めて正論です。
企業メセナ協議会会長の福原義春さんは、鈴木文部科学大臣と会談し、
「民主党に政策協議の場をもとめ、文化政策のグランドデザインを示すようもとめた」
とのこと。民主党にそんな能力あるのか。
記事では、「人口一人あたりの日本の文化予算が韓国の5分の1」という吉本光宏・ニッセイ基礎研究所芸術文化プロジェクト室長のコメントも紹介。日本ってどこにお金使っているんですかね。福祉とかも手厚いとも思えないし。
記事でも主張されていましたが、官に頼らず、企業(ここも厳しい)、NPO、そして個人がどう役割分担していきながら、芸術へかかっていくかが、課題です。文化芸術関係者にとっては、厳しい2010年になりそうです。
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コメント
さいのめさん
お役所仕事とはよくいったものです。行政革新会議とやらには、そこのところこそ改革して欲しいところ(無理でしょうが)。
投稿: 自由なランナー | 2009/12/03 07:33
説明会に行くぐらいだから、とある展覧会企画で助成金を得ようと思ったからだったのですが、申請書や報告書を作成するだけでも人一人雇わなくてはいけないと思えるくらい面倒なものでした。つまり役人しかできないわけで、まさに役所のあいだにお金が回っていくお役所仕事の仕組みを肌で感じました。
投稿: さいのめ | 2009/12/02 16:54
さいのめさん
おすすめの現場にはいってみる価値がありそうですね。
日本も割り切って、アメリカ型の政府に頼らない方向にしていくのもひとつの考え方でしょうね。
投稿: 自由なランナー | 2009/12/01 07:58
文化芸術にかけるお金は、ぶっちゃけ一度、ゼロにすべきだと思います。結局、いつも同じ人や団体がうまくやっている。ぜひ一度、文化庁等が合同で開催する助成金の説明会に行ってみてください。2年前に行ってみましたが、こんなにすごいものを見たことがないというのが印象でした(否定的な意味で)。
投稿: さいのめ | 2009/11/30 04:05