絵画と写真、それぞれの光
国立新美術館で開催されている「光 松本陽子/野口里佳」展は、いくつかの点で興味深い企画展です。展示は松本陽子の絵画、野口里佳の写真と、異なった表現形式による二人展です。また、松本は1936年生まれ、野口は1971年生まれと、親子ほどの年齢差がある二人の組み合わせ。更に、絵画や写真といった芸術にとって重要なテーマで有る「光」をタイトルに据えるという、ある意味大胆な企画です。
松本陽子の表現は、アクリル絵具による抽象絵画。ピンク、白、薄紫といった淡い色で構成された作品は、穏やかさと激しさが混在して、心に鮮やかな印象が残ります。また、近年は緑色を基調にした作品を描いています。作家が年れを重ねるとともに、色表現が暗色へと変化していくのは、心のあり方が変わったためでしょうか。
野口里佳の写真は、その被写体が様々です。作品はいくつかの連作で構成されています。富士山、砂漠、天空の星、海中などへ向けられたカメラで撮られた写真は、それぞれの光を表現します。この人の写真は、単独でみる、というより連作でみたほうが、インパクトが有り、また作品の意味を感じやすいのでは、と思いました。
二人のアーティストの年齢差を感じさせない絵画と写真の組み合わせ。新鮮なものを感じました。
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