隈研吾の新著「自然な建築」
先日、東工大・世界文明センター主催の講演会で建築家・隈研吾さんの話をうかがいました。隈さんの作品のひとつに六本木のサントリー美術館があります。ここの4階から3階の展示室に降りてくる階段の空間は、数あるミュージアムの中でお気に入りのひとつです。
その隈研吾さんの新著『自然な建築』(岩波新書)は、建築をつくっていくために、自然素材にこだわり。その素材をどのように現代の建築に活かしていくための「闘い」が書かれた著作です。石、竹、土、和紙といった現代建築ではなかなか使うことが難しい自然素材を、大胆に使っていく隈建築。その挑戦の過程が細かく描かれています。
隈さんは自然素材は欠陥だらけ、と認めた上でこう書いています。
「大切なのは、欠陥を認め、欠陥に開き直らないことである。まず、欠陥を認めて、最大限の努力をし、あきらめずに研究を続け解決策をさぐることである。その謙虚さがなければ自然素材は消えていくばかりである。(後略)」
自然素材にこだわる挑戦は、見事です。
乱暴な決めつけですが、安藤忠雄のコンクリートを多用した建築とは対極にある隈建築。これからの日本のアーキテクトがめざして欲しい方向だと思います。
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