新たなルオーの魅力
久しぶりに出光美術館に。いま、「ルオー大回顧展」が開催されています。出光美術館といえば、日本美術のイメージが強いですが、ルオー作品を約400点コレクションしています。このコレクションを知りながらも、「大回顧展」というタイトルにはちょっと懐疑的で、気軽にルオーを見るつもりで出かけました。しかし、会場に並ぶ作品をみていくと、まさに回顧展に名にふさわしい展示に圧倒されました。
この展覧会の特徴は、3つあると思います。まず、ルオーの画家活動で初期、そして晩年の油彩画が多く出展されていること。宗教画家と形容されるルオーですが、キリストをテーマにしていない作品も多く手がけていることがわかります。風景画や肖像画は、ルオー独特の平面性が強調されて、興味深い作品が並びます。
2つめとして、これまで未公開であった作品が、はじめて公開されていること。ルオーが手がけた銅版画集「ミセレーレ」の制作過程で、未完成のまま破棄されることになった作品が、公開されています。作品には斜線が入れられ、破棄される意図があきらかな作品群が展示されています。この作品はこれまでコレクションはされていたものの、ルオー財団から出展が許可されていませんでした。この「大回顧展」に限って、出品されています。
3つめとして、連作油彩画「受難」がまとまって展示されていること。64点の連作は、圧倒的な存在感を示しています。
この展覧会に出展されている作品は約200点、出光のコレクションに半分。いまさらながら、この美術館にすごさを知る企画展です。
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» 「ルオー 大回顧展」 出光美術館 [はろるど・わーど]
出光美術館(千代田区丸の内3-1-1 帝劇ビル9階)
「没後50年 ルオー 大回顧展」
6/14-8/17
没後50年に相応しい展覧会です。世界最高規模を誇るという出光のルオーコレクションを総覧します。出光美術館で開催中の「ルオー大回顧展」を見てきました。
ルオーの回顧展と言えば、同じく出光コレクションの出品されたMOTのそれを思い出しますが、今回も彼の画業を時系列に辿りながら、「ミセレーレ」や「受難」シリーズなどの核心をも提示する、質量ともに充実した正統派の展示に仕上がっていました。や... [続きを読む]
受信: 2008/08/05 21:14
コメント
Takさん
こんにちは。
海外にいかれていたのですね。
出光の力を感じた展覧会でした。珍しく図録を買ってきました。
投稿: 自由なランナー | 2008/08/13 21:25
こんにちは。
TBありがとうございます。
しばらく留守していた関係で
お返事遅くなってしまいました。
「ミセレーレ」の制作過程作品の
展示はよく財団が許したなと
驚きつつもじっくり鑑賞してきました。
投稿: Tak | 2008/08/09 13:59
はろるどさん
こんにちは。
トラックバックとコメントありがとうごいざいまず。ご無沙汰しています。
現代美術館で開催された展覧会は岩手県立美術館へ巡回したので、見ましたが、その時の印象とは違った印象を受けました。
ルオーは独特のスタイルながら、多彩なテーマを描いているのに、興味を持ちました。
投稿: 自由なランナー | 2008/08/07 06:30
こんばんは。ご無沙汰しております。TBをありがとうございました。
私がルオーを知ったのはかつて木場の現美で行われた回顧展の時でしたが、時間をおいて拝見するとまた違った印象を受けるものですね。仰る通り、キリスト教主題以外の作品も多数あって、定番ながらも知られざるルオーも示した良い展覧会だと思いました。
投稿: はろるど | 2008/08/05 21:18