世界に誇れる日本の芸術家
ちょっと考えると大胆なタイトルの本です。PHP新書の新刊「世界に誇れる日本の芸術家555」は、タイトルのとおり555人の芸術家を紹介した名鑑です。芸術家、といってもその範囲は広く、まともに扱うと新書一冊に収まりません。
この本では、ある基準で芸術家を選び、555人に絞って、それぞれを二分の一ページで簡潔に紹介するスタイルで統一されています。とりあげた芸術カテゴリーは、視覚芸術に限られます。絵画、版画、挿画、マンガ、アニメ、映画、グラフィックデザイン、テレビCMなどです。その基準は独断ともとられかねないもの。例えば、工芸、彫刻、インダストリアル・デザインなどは対象から外されています。また年代は1930~80年に設定されています。
本の冒頭にある「本の特色」によると、
専門家だけでなく一般の人の人々に知っておいていただきたい、「日本の芸術家群像」なのである。ジャンルは、紙媒体であれビデオであれテレビであれ、なんらかの平面的なメディアを通してその姿を追跡できる。
ということ。まあ、決めつけの基準ですが、これもひとつの主張ですから、これはこれでいいかもしれません。
選出基準はともかく、それぞれの芸術家の解説は、短いながら簡明で充分な文章表現です。例えば映画監督で森谷司郎という人がいます。(ちなみにWikipediaには項目がない人です)「日本沈没」(最初のもの)や「八甲田山」などの大作で有名な東宝映画の監督。すでに亡くなっていますが、山田洋次さんと同じ年の生まれの人です。この森谷司郎の解説では「しかし生来の森田の力量が発揮されたのは青春映画のジャンルであった」と、的確な解説がされています。映画監督・森谷司郎に対するこのような評価はなかなか見つけることが難しい中で、しっかりした視点がある文章です。
興味がある絵画分野では、読んでいてとても勉強になりました。割り切って資料的に使うのは、有益な一冊だと思います。
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コメント
なんちゃってオジサンさん
こんにちは。
この番組は見たことがないですね。(単身赴任宅はBSがみられないんですよ)今度、見てみます。
本も、書店で探してみますね。
投稿: 自由なランナー | 2007/03/07 07:45
鼎さん
こんにちは。
おっしゃるとおり、人選には偏りがありますが、それぞれの記述はしっかりしているので、読んでいてもはじめて知るようなことも多いですね。
投稿: 自由なランナー | 2007/03/05 19:28
ふぅ~~ん 面白そうな本ですね。
555人ですか!
先日、こんな本を読みました。
「賢者の選択」というBS朝日で放映されているTV番組ですが、二冊目の本を出したのです。
勝ち組と負け組の二極化の勝ち組(リーダー)と呼ばれる賢者の声に鍵を見出そうと言う内容ですが、
ご覧になったことありますか?
たまたま、この本をプロデュースしている矢動丸プロジェクトの前田代表と
仕事をする機会がありまして、その日が発売日でしてこの本を頂きました。
90人ほどでしたが、そうそうたる人たちが・・・。
お一人を2ページ足らずで語るには大変だろうと思いましたが、面白かったです。
投稿: なんちゃってオジサン | 2007/03/04 06:37
昨日、会社の帰りに本屋をウロウロして見つけて買ってきました。マンガ家が多いですよね。ちょっと、偏りがあるかなぁ、という気もしますが、面白い本だと思います。
投稿: 鼎 | 2007/03/03 22:02