「魂萌え」の深遠世界
単行本を買おうと思いながら、つい買いそびれ、NHKでドラマ化されたのも見損なってしまった桐野夏生の『魂萌え(たまもえ)』。先日、文庫になったので、早速買いました。「たまもえ」とは、なんとも変な題名ですね。
この小説、夫を突然なくした59歳の未亡人のお話ですが、内容はまさに桐野夏生ワールド。女性、人間の汚いところ、どろどろしたこと、恐ろしい心理を「さー、どうだ」とばかりにさらけ出さして見せてくれます。桐野夏生さん自信がグロテクス三部作と呼ぶ『グロテクスク』『残虐記』『アイムソーリー、ママ』に比べると、恐ろしさ、残酷さは薄められていますが、逆に日常に近い感覚があるストーリーで、思わず読み耽ってしまう魅力があります。決して、心地いい読後感はないのですが、自分の人生を考えさせられ要素を含んだ小説です。
年明けには映画が公開されるとか。主演は風吹ジュン。イメージが違う気がしますが(私の中では、今もアイドルの風吹ジュンちゃんです)、ちょっと見にいきたい気がします。
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