かつてデパートでの美術展が隆盛を誇った時代がありました。伊勢丹美術館や、西武百貨店・セゾン美術館など、デパートに美術館があり、魅力ある展覧会を開催していました。最近はデパートでの美術展とは縁がなかったのですが、先日、大丸ミュージアムでみた「パウル・クレー展」は充実した企画でした。
昨日、日本橋三越で開催されている「フランス近代絵画展」を最終日駆け込みで、鑑賞してきました。この展覧会はセルビア・モンテネグロ(旧ユーゴスラビア)の首都ベオグラードの国立美術館のフランス近代絵画123点を公開するのものです。会場は、予想通り中年美術ファンで混雑していました。
この展覧会では、バルビゾン派から印象主義、象徴派、そして20世紀初頭のフォービズム、キュビズムまで近現代の絵画が、時系列に展示。近現代のヨーロッパ絵画を、ユーゴスラビア流コレクションでみせてくれる展覧会です。特にルノワールは、盗難にあい、その後修復された「水浴」をはじめ、多くの作品が公開されています。
ルノワールは、いいですね。「パリスの審判」はギリシャ神話の女神アフロディテの、もっとも美しい女神を選ぶ情景が、あでやかに描かれています。豊満な4人のアフロディテに、ふくよかな生命力を感じます。
ゴッホの「室内の農婦」(1885)は、小品ながら画面全体が暗色で描かれ、中央に立ちつくす女性の存在感が不気味。ちなみにこの作品目立たないようで、混雑している会場内でも、作品にみいっている人は多くありませんでした。私がメモをとりながら別の作品をみていたら、とある男性から「ゴッホの作品、どこにあります?」って尋ねられたくらいです。
ピカソ「女性の頭部」は1909年のキュビズム作品。「アビニョンの娘たち」でキュビズムを創始したピカソが、進化し、分析的キュビズムを洗練した感があります。モデルは、ピカソが多く描いているフェルナンドですが、画面からは、なぜか日本人的な印象を受けました。
実はこの展覧会、招待券が手に入ったため、足を運びましたが、予想外に充実していました。素人美術愛好家でも知っている巨匠の作品が多くあり、楽しんで鑑賞できました。
その反面、がっかりしたのがその展示のしかた。会場が狭いのはしようがないとしても、照明が蛍光灯なんです。どうして、と思ってしまいます。絵によっては、額のガラスが反射して、絵がよく見えない、なんてのもありました。会場内の展示解説はしっかりしたものだったので、キューレーターもちゃんとついていたはず。それなのに、蛍光灯の照明はないでしょ。珠玉の名品が揃っていたのに、残念です。
ピカソ「女性の頭部」とルノワール「帽子を被る女性」
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