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2006/02/28

素晴らしき「美の伝統展」

 ぜひいきたいと思いつつ、なかなか足を運べなかった「大いなる遺産 美の伝統展」をみてきました。最終日の午後でしたが、生憎の朝から雨のためか、思ったほどは混雑していませんでした。binodentou

「美術商の100年」と副題がつけられたこの美術展は、美術商の団体・東京美術倶楽部が設立100年を記念して行われたものです。会場は新橋にある東京美術倶楽部「東美アートフォーラム」です。この企画では、美術商たちが美術館、博物館、コレクターなどから集めた逸品、名品が展示されています。

 なんとも見事な作品が揃っています。明治以来の日本画家の傑作、隠れた名作の数々。朝鮮、中国の陶磁器。そして近代工芸の名品。さらには国宝を中心とする古美術まで、どれも一級品ばかりです。素人美術愛好家の私には、名前は知っているが、その作品は見たことがない、という画家、作家の作品が多くあり、とても勉強になります。

 どの作品も素晴らしいのですが、特に気に入った作品について触れてみます。
 まずは上村松園「櫛」。櫛を小道具として女性を描く手法は喜多川歌麿の浮世絵を思わせますが、歌麿浮世絵とは違った女性のあでやかさが感じられます。
 また、伊東深水の「通り雨」、その描かれた女性の美しさ、艶やかさにぞくぞくしてきます。西洋絵画で、ここまで艶のある女性を描けるのかな、と思ってしまう名品です。
 近代絵画では、松本竣介の「都会」は、赤、緑、黄の彩色で描かれた人物像が不思議な雰囲気をつくり出します。ちょっとキュビズム的なものを感じました。
 藤田嗣治の「私の夢」は、裸婦とまわりを囲む動物たちの構図に、ちょっと恐ろしいものを感じながら、やはり藤田らしいな、と思わせてくれる傑作です。

 朝鮮の青磁や、中国の磁器の数々は、どれも一級品でみていて飽きません。色、造形、技法、どれをとっても素晴らしいものばかりです。
 また、池大雅の「離合山水図屏風」は、省略されたような描写ながら、雄大な風景をつくり出しています。みていて気持ちがよくなってきます。
 工芸では富本憲吉の「色絵飾箱」の色鮮やかさに惹かれました。

 これだけの名品をまとまってみられる機会は、ほとんどないのでは。選りすぐった日本の美術品。どれも素晴らしく、堪能しました。

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受信: 2006/06/10 13:51

コメント

兎も角もさん
ご来訪ありがとうございます。
素晴らしい美術展でした。
また、ブログお邪魔します。

投稿: 自由なランナー | 2006/03/03 07:35

TBありがとうございました。
ほんとうに豪華な展覧会でした!
ブログ拝見し、嬉しく思い出しました。

投稿: 兎も角も | 2006/03/02 21:12

いーわんさん
ご来訪ありがとうございます。
ロッカールームのビデオ、見逃しました。なんかやってるな、とは思っていたのですが。
また、ブログお邪魔します。

投稿: 自由なランナー | 2006/03/02 07:59

Takさん
こんにちは。
熱心にみていると、ほんとに熱がでそうな展覧会でしたね。
無理せず、ご自愛ください。

投稿: 自由なランナー | 2006/03/02 07:57

今回の展示会は明治以降の美術の粋が集まっている感じで、何度かあったらしい展示替えを全て見たかったと思わせるものでしたね。
ロッカールームの辺りで流していたビデオが、「名作をその時々の美術愛好家に移していくに際しての美術商の役割」みたいなものだったのが結構面白かったです。

投稿: いーわん | 2006/03/01 22:52

こんばんは。
TBありがとうございました。

熱がないときに行っても
この展覧会観たら
熱でてきそうだと思いました。
おかげで風邪が中々
治りません!!

投稿: Tak | 2006/03/01 21:44

はろるどさん
こんにちは。
ほんとおっしゃるとおり、「もうおなかいっぱいの展覧会」でしたね。
もっと早くいけばよかったです。

投稿: 自由なランナー | 2006/03/01 21:33

こんばんは。
TBをありがとうございました。

気品のある上村松園と、
艶っぽい伊東深水。とても対照的な美が楽しめました。

古美術から日本画と、
もうおなかいっぱいの展覧会でしたよね。

投稿: はろるど | 2006/03/01 20:59

キヨさん
ご来訪ありがとうございます。
ブログの絵画評、とても勉強になります。
また、お邪魔させてください。

投稿: 自由なランナー | 2006/03/01 20:56

ruihui(晴歩雨読)さん
ご来訪ありがとうございます。
コメント削除しました。ご安心ください。
そうなんです、最終日意外とすいていたんです。私は、もっと早く行けばよかったと後悔してます。

投稿: 自由なランナー | 2006/03/01 20:39

着物好きの魔女さん
ご来訪ありがとうございます。
おしゃるとおり、これだけの名画をみられる機会はありませんね。
岸田の二人の麗子像、面白く鑑賞しました。
また、ブログにお邪魔します。

投稿: 自由なランナー | 2006/03/01 20:37

はじめまして、TBありがとうございます。
この東京美術倶楽部の展覧会は、ほんと見応えありましたね。ここ数年の美術展でも3本の指に入る気がします。やはり個人蔵の物は、今後いつ見れるかどうかわからないですしね。藤田嗣治も松本竣介もほんと良かったですよね。青木繁の絵も自信ありげに描いてるのがわかって青木繁らしいと思いました。
トラックバックさせてもらいますね!

投稿: キヨ | 2006/03/01 16:36

画集などで知っているあまりに有名な作家ばかりでしたが、初めて観る作品も多くて得した気分でした。こんな機会はそうあるものではないですね。鏑木清方や上村松園、伊東深水の美人画は着物や髪型は当時の文化を知る上でも興味深く観ました。印象深かったのは二人の麗子像です。

投稿: 着物好きの魔女 | 2006/03/01 09:06

sundyパパさん
ご来訪ありがとうございます。
羨ましいお仕事ですね。千住先生の講義も、受けてみたいです。
ブログ、またお邪魔します。

投稿: 自由なランナー | 2006/03/01 07:40

本の装丁・ウェブデザイン、死ぬまで作るか?!渋谷ウインバレーさん
こんにちは。
美術ファンは、どうしても同じ展覧会にいってしまうようですね。
また、ブログ、じっくりお邪魔します。

投稿: 自由なランナー | 2006/03/01 07:27

こんにちは
TBありがとうございます。
ごめんなさい、私もTBダブってしまいました。削除お願いします。

最終日すいていたなら、もう一度行けばよかったと少々後悔しています。美人さんが揃って素敵でしたね。

投稿: ruihui(晴歩雨読) | 2006/03/01 07:18

kirakiraさん
ご来訪ありがとうございました。
>「湿り気のある艶」
とは、
言い得て妙な表現ですね。同感です。
茶道具は、私は詳しくないので、じっくり見なかったのですが、これもいいものだったのですね。
できれば、何回の足を運びたかったです。
またブログにお邪魔します。

投稿: 自由なランナー | 2006/03/01 07:08

kuzo2005さん
ご来訪ありがとうございました。
そうですよね、どれもすばらしく、ほんと見飽きることがありませんでした。
また、ブログにお邪魔します。

投稿: 自由なランナー | 2006/03/01 07:03

163さん
こんにちは。
松本竣介の「都会」は、私もおなじような感想を持ちました。30代で夭逝した画家ですが、ほんと才能にあふれていたのを再認識しました。
美術商とは、ほとんど触れる機会がないのですが、その人脈などは深いものがあるのですね。

投稿: 自由なランナー | 2006/03/01 07:02

えみ丸さん
こんにちは。
トラックバック、削除しました。ご安心ください。
ほんと、すばらしい企画でした。できればもう一回訪れたかったのですが。残念です。

投稿: 自由なランナー | 2006/03/01 06:46

コメント有難うございました。
職業柄、誰のところにあったものか判るので余計に面白かったです。
ところでお気に入りの本の千住先生ですが、実物も男前で話が上手でしたヨ。

投稿: sundyパパ | 2006/02/28 23:16

TBありがとうございます。須田国太郎展 、前川國男展 、パウル・クレーと同じ展覧会にいってますね。

投稿: 本の装丁・ウェブデザイン、死ぬまで作るか?!渋谷ウインバレー | 2006/02/28 23:11

コメントをありがとうございました。お邪魔いたします。
やはり男子は女性の絵に惹かれますか(笑)でも今の日本女性にはない「湿り気のある艶」みたいなものは私も目が釘付けになり、魅せられました。
個人的には茶掛けや茶道具が好きなのですが、ああいったものは人の手を触れさせてツヤを取り戻してあげたいな~と思ってしまいます。

投稿: kirakira | 2006/02/28 22:40

コメントから飛んできました。
上村松園他近代の美人画は女たちが美を競いあっているようでしたね。どの女性も清潔感があり凛としていながらしっとりとした色気を感じさせました。もう、誰が一番か選べません(笑)。

投稿: ikuzo2005 | 2006/02/28 20:23

「都会」は時代を感じさせない作品で、驚きました。なんて洗練されている作品だろう!と。

「離合山水図屏風」は1隻でも山水図として成立しており、なおかつ全体でももちろん山水図となっているスタイルです。

一度にこれだけ見ることができる機会はそうそうなく、集めるには相当な努力があったようです。個人蔵の作品がこれだけ展示されたのも、やはり美術商という人脈の中で生きている人たちの功績というべきなんだろうなぁと思いました。

私は、川合玉堂の「鵜飼」にバルビゾン派的な魅力を感じたのが新たな発見でした。

混雑したのは、絵画では藤田と黒田の作品が並んでいたコーナー、国宝展示室では源氏物語絵巻と仁清の壺でした。

投稿: 163 | 2006/02/28 13:40

ごめんなさい
TBがうまくいかず3つもしてしまいました
お手数ですが削除お願いします

それにしても、見事な作品が揃った展覧会でしたね

投稿: えみ丸 | 2006/02/28 12:21

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