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2006/02/26

黒色の存在感:須田国太郎展

 油彩での黒色を、ここまで意識させられた画家は、初めてかもしれません。東京・竹橋の国立近代美術館で「須田国太郎展」をみてきました。須田の作品をまとめてみるのは初めてです。
 須田は28歳の時(1919年)から4年間、スペインのマドリッドを拠点として、絵画を独学で学びました。学生時代から「なぜ東洋西洋と違った方向に向いて絵が発達したのだろう」と考えていた須田は、バロック絵画の色彩の明暗対比にひかれていたといいます。 須田の多くの作品では、黒色が重要な色として使われています。黒色のもつイメージは、人それぞれでしょうが、一般的には「暗い」「重い」などネガティブな印象をもたれがちです。しかし須田は、黒という色に積極的な意味を見いだし、この色を多用していたように思えます。須田の作品をみていると、黒は、どんな色とも強い関係を保ち、意味を持ち得る色なのだ、と感じました。
 セザンヌの構想が意識されたとされる「水浴」。そこに描かれた女性たちは、セザンヌ絵画とは違った生命力を感じます。暗色が引き出す女性の肌色に、沸き上がるような力を感じます。
「夏の朝」「夏の午後」「夏の夕」の3部作は、印象派の影響が色濃く感じられる手法ですが、黒などの暗色が、より他の色をひきたさせています。
「冬」は、ほとんど黒だけで木々を描き、須田の絵をつくろうとする力に、おもわず後ずさりしてしまうような恐ろしい迫力をもっています。
「断崖と漁夫達」は、男達の白い服、肌色と、背景の暗色の対比が鮮やかな作品。画面の多くを暗色がしめながら、沈んだ絵にならず、人物が逆に生き生きとしています。

suda

 須田の作品と向き合いながら、黒色のもつ意味をずっと考えていました。須田より7歳年下ながら夭逝した佐伯祐三も、黒、暗色を多く使った画家です。須田と佐伯、それぞれの黒の意味を考えてみないといけないな、とも思いました。

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受信: 2006/03/01 18:14

コメント

はろるどさん
こんにちは。
須田の作品をみていると、おっしゃるとおり、色の力を充分感じ取れました。
素晴らしい企画だと思います。

投稿: 自由なランナー | 2006/03/01 21:06

Takさん
こんにちは。
黒と他の色(ピンクとか赤とか)をうまく使っていましたね。ほんと、まとまった回顧展、よかったと思います。

投稿: 自由なランナー | 2006/03/01 20:58

こんばんは。
TBありがとうございました。

黒とピンクで表す画面が
とても印象的でした。

まとめて観ることが出来て良かったです。

投稿: Tak | 2006/03/01 18:16

こんばんは、こちらにもTBをありがとうございました。

須田の作品からは、絵画における色の力を強く感じました。
仰られる通り黒の凄みは印象的です。

地味な感じはしましたが、
近代美術館ならではの充実の展覧会でした。

投稿: はろるど | 2006/03/01 01:32

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