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2005/12/31

ミュージアムで選んだ今年のベスト展覧会

今年も今日で終わり。私としては「長い一年だったな〜」って感じです。やはり〔仕事+毎日ブログ+通信大学生〕×単身赴任 のせいかな。
今年見た美術館の企画展を数えてみました。計48。これに大学の課題作成の資料収集のため、宮城県美や東博などの博物館、美術館にいったことを含めると、50回以上はミュージアムに足を運んでいることになります。自分では多いと思うのですが、いつもお邪魔しているアートのことを書いているブロガーさんたちは、100回以上展覧会をご覧になっているかたもおられます。私としては、東京には月2回くらいしか帰れず、その合間に、勉強やら家の雑事やらをやっていることを考えると、これが精一杯でしょうね。

今年、印象に残った展覧会を選んでみました。とはいってもそんな多くはみていないし、仙台在住のため、首都圏で開催された企画展で、みたものは多くはありません。それゆえ、「美術館と企画展」というポイントで5つ、選んでみました。別な言葉でいうと、アートマネージメントな視点での選出です。順位は付けていません。

★練馬区立美術館:「佐伯祐三:芸術家への道」
自治体が運営している美術館は、ほとんど例外なく財政上運営は厳しい状況です。その状況の中、この「佐伯祐三:芸術家への道」は、練馬区立美術館と和歌山県立美術館が共同での企画展。内容の質的な面から、高く評価されていいものだと思います。個人蔵を含め、国内の佐伯作品を充分に集め、作家の創作過程が俯瞰できる素晴らしい美術展でした。(以前に書いた記事です

★横浜美術館:「李禹煥 余白の芸術」
横浜美術館は現代美術系の企画が充実していて、楽しませてくれます。春に開催された「マルセル・デュシャン展」も刺激的でした(当事、私はダダ、という運動も知らずデュシャンの作品をみても???の連続でしたが)。この「李禹煥 余白の芸術」も、アーティスト本人とミュージアムが、「作品をどうみせるか」を考え尽くしたことが、実感できる充実した企画でした。床のカーペットをすべて剥がし、展示を構成した姿勢は、評価されていいと思います。(以前に書いた記事です

★宮城県美術館:「安井曾太郎展」
地方の美術館は、どこも運営は厳しい状況で、独自の企画展を行うことさえ難しい館もあります。宮城県美術館も状況は同じだと推察しますが、ここの企画展示は充実したものが多い。「安井曾太郎展」は宮城県美術館、茨城県近代美術館、三重県立美術館の共同の企画のようですが、展示は充実したものでした。地方の美術館が連携しての企画展は、これから増えていくでしょう。(以前に書いた記事です

★国立西洋美術館:「ジュルジュ・ド・ラ・トゥール−光と闇の世界」
現存する作品が41点しかないジュルジュ・ド・ラ・トゥール。その半分にあたる作品がこの展覧会でみられました。西洋美術館でラ・トゥール作品を手に入れたため、各美術館が貸し出しに応じた、とのことですが、やはりこの企画展を実現した西洋美術館は、素晴らしいと思います。(以前に書いた記事です

★東京国立博物館:「北斎展」
いっぱいの人が訪れた話題の「北斎展」。集客の第一の理由は、なんといっても世界の美術館から北斎作品が、500点も集められたこと。これは、並大抵のことでは、実現できないことだと思います。東博の底力を感じました。展示された作品数の多さと、質の高さで、今年ナンバーワンの展覧会ではないでしょうか。(以前に書いた記事です

さて、来年はどんな美術展に出会えるのでしょう。楽しみです。

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受信: 2005/12/31 21:23

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受信: 2005/12/31 21:25

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受信: 2005/12/31 21:36

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今年観た展覧会・イベントからベスト10を選んでみた。 私の主観だけのランキングなのであしからず。 (去年の記事→2004年の展覧会を振り返って )横浜トリエンナーレ2005 @山下ふ頭3号・4号上屋ほか(神奈川) → 横浜トリエンナーレ下見 → 横浜トリエンナーレ、1回目(前編) → 横浜トリエンナーレ、1回目(後編) → 横浜トリエンナーレ、2回目 → 横浜トリエンナーレ、3回目 第3回福岡アジア美術トリエンナーレ @福岡アジア美術�... [続きを読む]

受信: 2005/12/31 21:58

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2005年は「戦後60年」であり,「世界物理年」であり,「日本におけるドイツ20 [続きを読む]

受信: 2006/01/01 10:24

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受信: 2006/01/01 19:12

コメント

lysanderさん
こんにちは。
ゴッホ展、北斎展ともちょっと混みすぎでしたね。私は時間をつくて平日にいってみたのですが、それでも充分混んでいまいした。もう少し、ゆっくり見たかったですね。
また、ブログにお邪魔します。

投稿: 自由なランナー | 2006/01/05 08:02

こんばんは

コメントありがとうございます。
ゴッホ展はちょっと混みすぎでしたかね...
そういえば北斎展は激混みで、私はあまり
良い印象をもてませんでした...

今年もよろしくお願いします。

投稿: lysander | 2006/01/03 00:35

DADAさん
あけましておめでとうございます。
仙台のアートも、かなり健闘しています。

武蔵美の芸術支援のコースで学んでます。きっかはちょっとしたことですが・・・。

今年もよろしくおねがいします。

投稿: 自由なランナー | 2006/01/02 09:11

アイレさん
ご来訪ありがとうございます。
アイレさんのベストの選択も、独自の視点で感心させていただきました。
ことしも、いい美術展に出会いたいですね。

投稿: 自由なランナー | 2006/01/02 08:58

あけましておめでとうございます、TBありがとうございました。
アートマネジメントを勉強されているんですね!
きっかけとか、いろいろと伺ってみたい気がします。
仙台のアートシーンも機会があれば触れてみたいです。
これからよろしくです!

投稿: DADA. | 2006/01/01 22:20

自由なランナー様
はじめまして、そして明けましておめでとうございます。
TB&コメントありがとうございました。
着眼点が興味深いベストですね。それぞれの展覧会が美術館の底力を感じることができるものばかりですね。佐伯祐三は他のBlogさまでもベストに上げらていますが、私は残念ながら行けませんでした。今はそれが悔やまれます。
後ほどTBさせていただきます。

投稿: アイレ | 2006/01/01 19:11

イッセーさん
あけましておめでとうございます。

安井曾太郎展、宮城と茨城だけではほんともったいなかったですね。充実した展覧会でした。

今年もよろしくお願いします。

投稿: 自由なランナー | 2006/01/01 18:42

自由なランナーさん
明けましておめでとうございます。
TBありがとうございます。
「安井曾太郎展」良かったです。東京でやってくれないので、茨城で見ました。実際に見ると凄さが伝わってきます。
「北斎展」は結局行けませんでした。残念。
こちらからもTBさせていただきました。
今年もよろしくお願いします。

投稿: イッセー | 2006/01/01 18:07

おけはざまさん
はじめまして。ご来訪ありがとうございます。
北斎展、ほんとすごかった(人も多かったですが)。
またブログにお邪魔します。

投稿: 自由なランナー | 2006/01/01 17:52

とらさん
ご来訪ありがとうございます。
佐藤忠良お好きなんですね。私も、何回か見に行きました。
また、ブログお邪魔します。

投稿: 自由なランナー | 2006/01/01 17:50

Juliaさん
ご来訪ありがとうございます。TB、リンクありがとうございます。
すてきなブログお作りですね。
また、お邪魔します。

投稿: 自由なランナー | 2006/01/01 17:48

はろるどさん
こんにちは。
李禹煥、集客はもうひとつだったんでしょうか。しかし、横浜美術館の姿勢は、大いに評価されていいでしょう。
また、すてきなブログ、楽しみにしています。

投稿: 自由なランナー | 2006/01/01 17:31

Takさん
こんにちは。
今年も、すてきなブログとても楽しみにしています。
「安井曾太郎」は、なぜか首都圏にはこなかったんですね。

投稿: 自由なランナー | 2006/01/01 17:26

あけまして おめでとうございます

はじめまして(ですよね).

TBありがとうございました.

北斎展は質・量ともに圧巻でしたね.
ぼくは平日にいったのですが,それでも人が多く疲れました.東博は車椅子の方のための観覧日を設けたそうです.

今年はどんな展覧会がみられるでしょうか.

貴blogも拝見させていただきます.

投稿: おけはざま | 2006/01/01 10:09

自由なランナーさん

TB有難うございました。宮城県美術館には、佐藤忠良を観るため何回か行きました。

良いお年を。

投稿: とら | 2005/12/31 23:06

自由なランナーさん、

TBをありがとうございました。
来年もお体に気をつけて、どうぞ鑑賞レポートを続けてくださいませね~♪
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
TBとリンクをさせて頂きます。

投稿: Julia | 2005/12/31 22:55

自由なランナーさん、こんばんは。
早速のコメントとTBをどうもありがとうございました。

李の展覧会がランクインしているのは個人的に嬉しいです。
それこそ集客的には最低の企画かと思いますが、(あれほど空いてる横浜美術館も珍しい…。)
仰られる通り、床のカーペットを剥がすなど、
作品上位の運営に徹した美術館の姿勢は、
大いに賞賛されるべきですよね。

今年はこちらのブログで、
宮城や東北のアートの情報など、
様々なことを知ることができました。ありがとうございます。
また来年も、どうぞよろしくお願いします。

投稿: はろるど | 2005/12/31 21:56

こんばんは。
TBありがとうございました。

宮城県美術館の「安井曾太郎展」に
行かれたのはとても羨ましいです。
都内に巡回しないんですよね・・・

来年も展覧会目白押しです。
またTBやコメントいただけたら嬉しいです。

どうぞ来年も宜しくお願い致します。

投稿: Tak | 2005/12/31 21:27

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