ベトナム近代絵画を発見する美術展
先日、竹橋の近美でみた「アジアのキュビズム」は、アジア各国のキュビズム作品がみられ、とても印象的な展覧会でした。また、刺激的な美術作品に出会いたくなって、ひょっとした見られるかなと思い、ステーションギャラリーの「ベトナム近代絵画展」にいってみました。結論を先にいうと、正解でした。
この「ベトナム近代絵画展」は1925年から75年までのベトナムの絵画を年代順にみせてくれるもの。ベトナムの絵画って、まとまってみるのは初めてですが、その絵画世界は独特です。展示されている作品の多くを占めるのが、板に漆で描いたもの。この技法はベトナム独自のものかは、浅学な私は知らないのですが、その作品は質感、印象、表現が伝統的な油彩とは、まったく違うもの。漆画は、見る角度によって、絵画の見え方が違います。会場の解説に「下からみると違った印象に見えます」と書いてあるので、来場者はみなさんしゃがみ込んで絵を見ています。確かに印象が全然違いますね。不思議です。
気にいった作品はたくさんあります。「寺院の祭り」は、全面を支配する赤にこころをつかまれます。そして、描かれた人物の表情がどれも違っていて、魅力的に描かれています。
有名な作品らしい「リエン嬢」は、あどけなくて、ちょっとうつろな女性が、赤を基調に美しく描かれている一枚。
チャン・チュン・ティンの新聞紙に描かれた一連の作品は、強い反戦メッセージを伝えます。また、「遊んでる子どもたち」は、モダニズムの影響を感じながらも、しかしオリジナル性が強く、楽しげな作品です。
作品を見ていると、ベトナムの「民族のパワー」を感じます。20世紀、決して恵まれた環境になかったベトナムという国の、美術の力に触れた刺激的な美術展でした。
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受信: 2005/12/06 21:22
» 東京ステーションギャラリー [ババァの小言に耳を貸せ!]
東京駅にある
ステーションギャラリーに行って来た。
ベトナム近代絵画展のポスターを
2週間ほど前に見つけて
行こうと思っていた。
ちょうどお茶の水に行く用事があったので
一石二鳥だった。
ベトナムはいくつもの国の占領下だったので
いろいろな影響をうけている。
その中でベトナム独特の
絹絵、漆絵、木版画を中心に
展示されていた。
絹絵は薄い絹の布に書かれた絵のことを言う。
輪郭線のないほわっとした優しい絵だ。
淡�... [続きを読む]
受信: 2005/12/07 00:24
» 「ベトナム近代絵画展」 東京ステーションギャラリー 11/19 [はろるど・わーど]
東京ステーションギャラリー(千代田区丸の内)
「ベトナム近代絵画展」
11/5〜12/11
今、東京ステーションギャラリーで開催中の「ベトナム近代絵画展」です。植民地支配と戦争の惨禍。苦難のベトナム近代史を、絵画の観点から振り返ります。東京ステーションギャラリーならでは企画とでも言えるような、興味深い展覧会です。
展覧会では、まずベトナム近代絵画の原点を、1925年の、フランス占領下における「インドシナ美術学校」の設立に求めます。西洋の�... [続きを読む]
受信: 2005/12/07 01:26
» 「ベトナム近代絵画展」 [弐代目・青い日記帳]
東京ステーションギャラリーで開催中の
「ベトナム近代絵画〜花と銃―インドシナ・モダンの半世紀〜」展に
行って来ました。
2003年に同じ場所で開催された「イ・クトゥット・ブディアナ展」
アジアの美術に触れる数少ない好機でした。
今でもこのバリ島発祥のアートは心にしっかり刻まれています。
その余韻を持ちながら「ベトナム近代絵画展」に出向いてきました。
ところが、同じアジアの美術展といっても毛色が随分違います。
バリ島のような未知の神々が画面から這い出てきそうな
強烈な... [続きを読む]
受信: 2005/12/07 21:51
コメント
totoさん
こんにちは。
ベトナムいかれるんですか。いいですね。楽しんできてください。
投稿: 自由なランナー | 2005/12/10 09:32
僕は今年の末から来年の九日までホーチミンに滞在(サイゴンといいたい)しながらのんびりやってくる予定です。
何か面白いはなしができたらいいですね。それにしても一週間出張でお気に入りの各プログ更新がすげーみたいなかんじですね。参りました。
投稿: toto | 2005/12/09 10:59
はろるどさん
こんにちは。
そうです、リエン嬢、ほんと魅惑的でした。アジアの絵画の流れで見ていくと、更に面白い発見がありそうですね。
投稿: 自由なランナー | 2005/12/08 23:12
オバチャンさん
ご来訪ありがとうございます。
私もトリエンナーレ、まだなんですよ。前売り券買ったので、絶対行かねばいけません。
投稿: 自由なランナー | 2005/12/08 23:09
cozyさん
ご来訪ありがとうございます。
仙台が故郷でしたか。奇遇ですね。
熊谷達也さん、精力的に創作されていますね。
ブログ、またお邪魔します。
投稿: 自由なランナー | 2005/12/08 23:08
どっちさん
ご来訪ありがとうございます。
漆絵の赤と、金。ほんと印象深かったです。独特の世界をつくっていました。
投稿: 自由なランナー | 2005/12/08 22:56
bennakaさん
ご来訪ありがとうございます。
TBありがとうございます。私も時間があれば、もう一度みたいです。
また、ブログにお邪魔します。
投稿: 自由なランナー | 2005/12/08 22:51
Takさん
こんにちは。
北斎展や、プーシキンの陰に隠れて目立ちませんが、充実した展覧会ですね。ほんと、思い切って見に行って良かったと思います。
投稿: 自由なランナー | 2005/12/08 22:36
自由なランナーさん、こんにちは
TB&コメントありがとうございました。
漆絵の赤と金色の輝きには感動しました。
やっぱり絵は実物を見ないとなと心から思った展覧会でした。
投稿: どっち | 2005/12/08 08:57
はじめまして
TBありがとうございました。
ベトナム近代絵画展を見に行った人に会えるとは
うれしいですね。今日、もう一度見てきました。
講座を聞いてから見ると一段と理解も深まりました。またご意見ください。
私もTBさせていただきました。よろしくお願いします。
投稿: bennaka | 2005/12/08 00:05
こんばんは。
TBありがとうございました。
これ本当に貴重な展覧会ですね。
もっと宣伝していいかと思います。
色々な収穫のあった展覧会でした。
投稿: Tak | 2005/12/07 21:52
自由なランナーさん、こんばんは。
私もリエン嬢は美しいと思いました。
漆絵の角度を変えて見える輝きも見事でしたよね。
表情も仰られる通りあどけなくて、どこか可愛らしいです。
アジアのキュビズム展の関連で見ると、また面白くなってくる展覧会ですよね。
東京ステーションギャラリーならではの企画でした。
投稿: はろるど | 2005/12/07 01:29
TB&コメントありがとうございました。
ベトナム絵画展だけでなく
いろいろな作品展にいかれているのですね。
わたしもトリエンナーレは行くつもりです。
早くしないと終わっちゃう・・!
4年前のトリエンナーレは赤レンガ倉庫だったのを
思い出します。
投稿: オバチャン | 2005/12/07 00:40
自由なランナーさん、はじめまして。
TB&コメントをいただきありがとうございました。
実は杜の都・仙台は私の故郷でもあり、なお嬉しく思いました。
美術展の感想は、なかなか言葉にするのが難しいのですが、私も多くの絵に「民族のパワー」を感じました。
最近は宮城出身の熊谷達也さんの小説を読んでおります。
今後とも宜しくお願いいたします。
投稿: cozy | 2005/12/07 00:06
鯨さん
こんにちは。ご来訪ありがとうございます。
「ベトナム近代絵画展」今年見た中でも、私の中では印象深いものになりました。
私は、あとトリエンナーレにいかねばいけません(笑)。
また、お邪魔します。
投稿: 自由なランナー | 2005/12/06 22:20
TBありがとうございました。
こちらからもTBさせていただきました。
「ベトナム近代絵画展」は、
内容の良さに比べて、客が少ないので、
各絵をじっくりと鑑賞できました。
戦争から離れて来た最近の作品も、
見てみたいと思っております。
「北斎」「古伊万里」「プーシキン」等
積極的に見ておられる様ですが、
やっぱり「北斎」は、
あの量、300枚だけでも圧巻でしたね。
私の方は、今週末は、
横浜のそごう美術館へ、
「大アンコールワット展」へ
行こうかと画策しております。
時々、覗かせていただきます。
ではでは。
投稿: 鯨 | 2005/12/06 21:34