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2005/12/24

李禹煥のつくる余白と空間

ri昨日、やっと横浜美術館で「李禹煥(リ・ウファン) 余白の芸術」を見てきました。会期最終日、ほんと駆け込みです。李禹煥の作品を見るのは初めてです。横浜美術館にいくと、建物の外にも作品が展示されていました。会場内にはいると、作品が飾られる壁は真っ白に塗られ、床はタイルカーペットが剥がされ、コンクリート地が剥き出しになっています。李の作品展に対するこだわりと、それに呼応するミュージアムの姿勢が感じられます。
展示されている作品は36点と多くはありません。その内容はおおまかに2つの作品群に分かれます。キャンバスに油彩で描かれた作品と、石、鉄、木を素材として作られた作品です。

キャンバス作品は「照応」と題された作品が多くを占めます。薄いクリーム地の一部に、太い絵筆で描かれたような、いくつかのグレーの四角な物体。地色とグレーの物体のつくりだす空間を見ていると、自分はいまどこにいるのかな、という思いになりました。絵の中に入っていっている自分がいます。不思議です。
同じ「照応」でも、グレーな物体がキャンバスに一個描かれた作品があります。この作品を見ていると、違う物が見えてきました。「テーブルの上のグラス」だったり、「部屋の窓」とか、「工場の中のゴミ箱」とか、どんどんイメージが広がります。

石、鉄を使った作品群は『関係項』という題で表現されています。石、鉄の作り出す空間は、緊張感とか安らぎ、癒し、愛情を表現しているよう。作品は、まわりから様々な角度でみたり、しゃがみ込んで俯瞰したり、いろいろな見方をすると、それぞれ表情が違い、面白いです。

60年代後半から70年代に活躍した「もの派」の代表的アーティストの李。彼の伝えるメッセージは強く感じました。でも、私の力不足で、すべてのメッセージを受け取れることができなかったよう。ちょっと残念です。しかし、アーティスト李禹煥のすばらしさ、意気込みが感じられた、充実した美術展です。

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横浜美術館で開かれている「李禹煥 余白の芸術」、最終日に出かけた。最終日といっても、そう人はいなく、落ち着いてみることができた。 中でよかったのは、関係項─サイレンス(1979/2005)と壁に描かれた「照応」だ。 関係項─サイレンスは鉄と石が屹立して呼応し、その関係が素晴らしい。 3つの壁に描かれた四角の灰色は微妙に位置が異なり、みるところを変えてみると視野の中で照応する。 何も描かれていない壁に向かい幻の四角を描く�... [続きを読む]

受信: 2005/12/24 17:15

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受信: 2005/12/24 21:10

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◆今週はアート週間だ。と言っても毎日絵を描いたり見たりしているわけではないけど。で、久々の「みる金曜日」はアート編。ヨコトリ(ハマトリ 横浜トリエンナーレ)に行くか、横浜美術館へ行くか昨日から考えていたが、ヨコトリはアートクラブで一緒に行く予定があるので、それを楽しみにして、金曜日は8時まで開館の横浜美術館へ。 ◆韓国生まれで、50年近く日本に住んで活動しているリ・ウファンはもはや日本の現代美術の大家... [続きを読む]

受信: 2005/12/25 08:35

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絵を観始めるようになってまだほどないころ、 倉敷の大原美術館へ一人出かけ沢山の名画に触れました。 目にするもの全てが新鮮で、子供が初めて手にしたおもちゃで遊ぶように そこにある名画にひたすら耽溺したことを今でも覚えています。 現代美術まではとてもとても理解する余裕がなかった当時 それらの作品の展示室をスルーし通り過ぎろうとすると 一枚の作品の前で足を自然と止めている自分がいました。 どうしてその前で立ち止まったのか、絵を観入ったのか よく理由はわかりませんでしたが、とにかく心... [続きを読む]

受信: 2005/12/27 12:33

コメント

Takさん
こんにちは。
ミュージアムの展示環境、ふだんはあまり気にとめることが少なかったので、このカーペットの件はちょっと新鮮でした。

投稿: 自由なランナー | 2005/12/29 09:17

こんにちは。
旅行に出かけていてお返事遅くなってしまいました。
TBありがとうございました。

画家さんに伺うと色つきのカーペットや
反射率の高い床を使用している美術館は
とても展示しにくいそうです。

投稿: Tak | 2005/12/27 12:35

ぺんぎんさん
ご来訪ありがとうございます。
おっしゃるとおり、現代美術はみるひとそれぞれが、楽しめばいいと思いますね。会場でも、鑑賞者が積極的に鑑賞していたのが、印象的です。

投稿: 自由なランナー | 2005/12/27 08:08

はろるどさん
こんにちは。
>ある意味でストイックな作風とも言えますが、
その分メッセージは過激でもあります。
ご指摘のとおりだと感じました。李のストイックさをいろんなところで感じました。
>カーペット(剥がしたものはもう使い物にならないそうです。)
そうなんですか!びっくりです。

投稿: 自由なランナー | 2005/12/27 08:06

fragmkotoさん
ご来訪ありがとうございます。
いかなる理由があれ、カーペットをはがしてしまう美術展は、初めてです。なかなか冒険的な試みだと思いました。

投稿: 自由なランナー | 2005/12/27 08:03

TBありがとうございます。
カーペットをはがした展示室の設営は、企画者のこだわりというか、作品理解の表現なのかなと思いました。現代アートは鑑賞する人により感じることも様々。他の人がどう感じたのかを知ることも又楽しいですね。

投稿: ぺんぎん | 2005/12/26 21:05

自由なランナーさん、こんばんは。

大きく余白がとられていて、
「どこまでが作品なのか。」ということも考えさせられます。
パッと見た目は実にシンプルですし、
特に今回の展覧会のような近作は、
ある意味でストイックな作風とも言えますが、
その分メッセージは過激でもあります。

少々手狭な印象は受けましたが、
カーペット(剥がしたものはもう使い物にならないそうです。)の件など、
作品をどう見せるのかにもこだわった、
なかなか良い展覧会かと思いました。

投稿: はろるど | 2005/12/24 21:18

トラックバックありがとうございます。
床のカーッペトは、多分その色と材質が絵画とマッチしないということで、剥がされたのでしょう。
ただ、入り口の鉄板の上の石、構造上、大丈夫かなど余計な心配をしたりしました。

投稿: fragmkoto | 2005/12/24 17:24

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