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2005/12/05

巨匠の作品に出会える「プーシキン美術館展」

pusikin前売り券を買いながら、なかなかいけなかった「プーシキン美術館展」をみてきました。この美術展は2人のロシア人実業家がパリを中心に収集した「シチューキン・モロゾフ・コレクション」をみせてくれるもの。会場は予想通り(?)おばさん、おじさん(私を含む)で賑わっていました。
この展覧会では、モネ、ルノワールらの印象主義、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン、マティス、ピカソらのモダニズム(キュービズム、フォービズム)まで、近代の代表的画家の作品が見られます。私的なコレクションの近代名画を時代順に見せていく構成は、今年の夏に行われた「フィリップス・コレクション」と同様の主旨です。

気になった作品を、いくつか書いてみます。ルノアールの「黒い服の娘たち」は、タイトルのとおり、フォーマルな黒いスーツを着た娘を描いた作品ですが、私としてはもう一つ好きになれない。何故かな?ルノワールらしい華やかさがないせいかもしれません。
セザンヌの「池にかかる橋」は、会場の作品解説でも触れられていましたが、キュビズムの基礎理論に基づき描かれたような、実験的な色合いの作品です。
アルマン・ギヨーマンの「廃墟のある風景」は、この展覧会でもっとも関心をもった作品です。風景の表現を、光の効果で描くのではなく、純粋に色彩の作り出す印象で構築している作品。そのあとの時代の、カンディンスキーが創始した抽象絵画への繋がりを感じさせてくれる興味深い一枚です。
この美術展の最大の見どころ、マティスの「金魚」。意外と大きい作品だなと感じました。写真を見た感じで、なんとなく小品かと思いこんでいました。不安定な構図、絵を支配する金魚の赤と緑の葉、背景のピンク色の与えるふくよかな印象、そしてあえて描き込まない表現と、さすがマティスと感じる作品ですね。
ピカソは「アルカンと女友達」など4作がきていましたが、もうひとつ感動しませんでした。

近代絵画を俯瞰するには、少しばかり質、量ともに物足りない印象。しかし、19世紀後半から20世紀初頭のヨーロッパ絵画を、巨匠たちの作品を中心に、充分に楽しめる美術展です。

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受信: 2005/12/07 21:46

コメント

はろるどさん
こんにちは。
すっかりコメント遅れてしまってすみません。
なんとなく予想はしていたのですが、ちょっと迫力不足でしたね。もう少しいっぱい作品をもってきて欲しかったです。

投稿: 自由なランナー | 2005/12/19 22:20

りゅうさん
こんにちは。
ピサロお好きなんですね。
私は金曜にいったのですが、それでも結構混んでました。日本人って、名画好きですね。
北斎展、私もプーシキンのあとにいってみたのですが、30分待ちに耐えられず、「伊万里、京焼」に行きました。これは大正解でしたよ。

投稿: 自由なランナー | 2005/12/08 23:15

Takさん
こんにちは。
やはりセザンヌは別格ですね。「近代絵画の父」ですからね。

投稿: 自由なランナー | 2005/12/08 22:32

こんばんは。
TBありがとうございました。

毎度同じような感想ですが、
「セザンヌ最高!!」です。
あの絵一枚見るだけでも
十分価値ある展覧会です。

投稿: Tak | 2005/12/07 21:48

自由なランナーさん、こんばんは。
コメントとTBをありがとうございました。

>美術展の最大の見どころ、マティスの「金魚」。意外と大きい作品だなと感じました。

私も同感です。あまりにも大きい作品で驚きました。
構図、色彩、マティスの真骨頂のような作品でしたよね。

>近代絵画を俯瞰するには、少しばかり質、量ともに物足りない印象。

そうですね。
もちろん良かったのですが、前評判の割には…、という印象もしました。
フィリップス・コレクション展の方に軍配を挙げたいです。

投稿: はろるど | 2005/12/07 01:04

こんばんわ。
TB&コメントありがとうございます。
やはり平日に限りますね!!巨匠ウィークの土曜日に行った自分がバカでした。翌日に20万人達成ということでしたので、もし日曜日に行っていれば…(/ \) イヤン♪
あまり注目していなかったボナールやカリエール、ヴュイヤールが掘り出し物という感じでとても興味深かったです。もちろん大好きなピサロもナイス!
プーシキン美術館展の後、北斎展はチケット売り場の行列をみて断念。結局、この展覧会のように「じっくりと鑑賞できないのなら…」と、逃してしまいました。(T_T)シクシク
アノ電話帳のような図録、読み応えあって面白そうですよね!!(*^^*) フフ

投稿: りゅう | 2005/12/06 23:15

mariさん
ご来訪ありがとうございます。
私はずるして、金曜に行きましたが、それでもけっこう混んでいました。
もう一度、見に行きたいです。
ブログ、またお邪魔します。

投稿: 自由なランナー | 2005/12/06 21:49

るり♪♪さん
ご来訪ありがとうございます。
いろいろ拙いブログ、お読みいただきありがとうございます。
また、ブログにお邪魔させてください。

投稿: 自由なランナー | 2005/12/06 21:41

すずめっぐさん
ご来訪ありがとうございます。
私も金曜日にいったのですが、賑わっていました。
素敵な美術展でした。
また、ブログにお邪魔します。

投稿: 自由なランナー | 2005/12/06 07:52

リカさん
ご来訪ありがとうございます。
ほんと「金魚」大きかったですよね。素敵な作品でした。
また、ブログにお邪魔させてください。

投稿: 自由なランナー | 2005/12/06 07:50

こんばんわ。
TB&コメントありがとうございました。
日曜日しか行かれないので、色々作戦を立てますが、今回は、混んでいて、再度チャレンジです。

投稿: mari | 2005/12/06 00:25

はじめまして(^.^)
先日TBして頂いた、わくわく映画感の、るりと申します。
コロンボ、冷蔵庫のお話など読ませて頂きました。
単身赴任ご苦労様です。

少し前に仙台、松島と旅行して来たばかりです。
良かったら又お越しくださいね。(^.^)

投稿: るり♪♪ | 2005/12/06 00:00

TBどうもありがとうございました。
私の方からもTBさせていただきますね。

プーシキン美術館展、私は平日の午後に行ったのですが、それでもかなり混んでいました。
展示数も多く、見所たくさんの素敵な美術展でしたね。

投稿: すずめっぐ | 2005/12/05 23:59

はじめまして。TBとコメントありがとうございました。
マティスの『金魚』は私も予想よりも大きい絵でびっくりしました。

投稿: リカ | 2005/12/05 23:58

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