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2005/11/21

膨大な展示に圧倒される「北斎展」

前から見にいきたいと思っていた「北斎展」に、やっといってきました。この美術展、約500点の作品をみせる膨大な企画。すべての作品を展示できないので、会期中展示替えをしながら、みせてくれます。とはいっても常時300余点は展示しているので、それだけでもすごい点数です。比較的みるのが早いほうの私でも、2時間近くかかりました。
葛飾北斎とは、「冨嶽三十六景」を代表作とする江戸時代の浮世絵師、くらいの認識しかなかったのですが、作品を見ていくうちに、その認識が間違いだったことを思い知らされました。北斎は浮世絵師の枠を超えた、江戸時代の代表的日本画家といっていいのではないでしょうか。
多色刷りの浮世絵「錦絵」が完成されていた時代に活躍した北斎の浮世絵には、およそ版画とは思えない精巧さ、表現力の豊かさ、構図の妙味で魅了されます。
また肉筆画は、版画では表現しきれない微妙なる色遣い、細やかな表現で描かれ、北斎の才気を充分に感じ取れます。
印象に残った作品はいくつもあるのですが、心に引っかかったのは「三国妖狐伝 第一班足王御てんのだん」。天竺、唐、日本の三国で絶世の美女になりすまし国家滅亡を謀る九尾狐の伝説物語の読本のために描かれた挿絵ですが、ちょっと異質な作品。構図は絵巻風でもあり、現代なら横尾忠則あたりが描きそうな趣きの一作です。

残念ながらメトロポリタンの「グレートウエーブ」は見損ないましたが、傑作は「富嶽三十六景」だけではありません。その質、量ともに圧倒される美術展です。会場では、高校生から年配の方まで、幅広い年齢層の数多くの来場者が熱心にみていました。また、外人の方も多かったですね。
日本の代表的な美術分野である浮世絵。北斎の作品をみるためにこれだけ多くの人が足を運ぶことに、美術ファンの質の高さを感じ、これらの美術ファンのひとりでも多くの人が、有名ではないアーティストの美術展にも足を運ぶようになってくれればいいのに、とも思いました。

ともあれ、北斎展、必見です。

hokusai2

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» 北斎展 [のほほんみのかさご]
嗤う伊右衛門 木曜日は有休をもらってコンタクトを作りに眼科へ。 その後、試供品のコンタクトをつけたまま向かった先は上野。 先ずは、上野に行き時間があったらふらっと行く国立科学博物館。 そこの外に大きな原寸大のシロナガスクジラのモニュメントがある。 それをぼーっと眺めるのが好き。 でも、今は工事中で近寄れませんでした。残念。 さて、今回の目的は北斎展。 当日券1500円。 高いなぁと思いつつ、中に入ると値段に納得。 300点もの展示がされていて、私的にそんなにじっくり... [続きを読む]

受信: 2005/11/21 23:45

» 上野:北斎展@国博 [Quoi de neuf?]
昼の外食も食べられないので、ヨガの後、東京国際フォーラムの中庭でお昼のシェイクを作って飲んで上野へ移動。考え用によっては時間の短縮になるからいいのかな? 朝もあまり食べないできたので身体がかなり軽い感じです。 HPから¥100割引きの壁紙をDLしてあったんだけど、チケット買うのに時間がかかるんじゃやだなと思って、駅のチケット売り場で購入。てくてく歩いて東京国立博物館の『葛飾北斎展』を目指す。先週の土曜日に来た時よりも紅葉が綺麗になっているみたいです。(写真は観終わってから写したので15:... [続きを読む]

受信: 2005/11/23 17:47

» 北斎展@東京国立博物館 [KINGDOM OF KATHARINE]
何から書いていいのかわからない。。 見応えあったけど「とにかく疲れました」 この一言に尽きてしまうのである。 [続きを読む]

受信: 2005/11/23 20:22

» 奇跡を呼ぶ航空会社@北斎展 [ニク子さんのおはなし]
どうしても昨日のが悔しくて北斎展へ。 上野公園付近は昨日にくらべたら人がむちゃくちゃ居ます(そりゃね) 北斎展も例に漏れず、混み混み。 でもちゃんと見たいものだけはじっくり見てきました。 『蛸』とか。 蛸ってマイナー?北斎の描く動植物系は全部好きです。 北斎の作品のなかの部類では一番きれいで、一番洗練されていると思いますが。 わたしの主観ですが…。 展覧会すごく刺激的でした。 こういう�... [続きを読む]

受信: 2005/11/24 00:02

» 北斎展 [SOMETHING ABOUT・・・?]
 行ってきました。「北斎展」 前日心配していた通りに寝坊したため、上野に到着したのは15時過ぎでした。なので、プーシキンは諦めて、来月に。 東京国立博物館に向かう間も、人がい [続きを読む]

受信: 2005/11/25 21:22

» 「北斎展」 [弐代目・青い日記帳]
中村雄二郎氏の次の文章は大変興味深い。 春たけなわなに、団体のバス旅行に参加したある奥さんが旅行でいちばん印象深かったところは?と聞かれとっさに「紅葉がとてもきれいで…」と言いかけてビックリしたという話がある。要は、あらかじめ絵葉書で見慣れていた秋の紅葉の景色の方が、現実の春の青葉の景色よりも印象がつよかったわけである。 哲学の現在―生きること考えること 中村 雄二郎  バスに乗って名勝地まで出かけたことは確かである。現地で春の青葉の景色を見たことも事実である。しかしそれは、スケジュ... [続きを読む]

受信: 2005/11/26 11:51

» 「北斎展」 東京国立博物館 11/3 [はろるど・わーど]
東京国立博物館(台東区上野公園) 「北斎展」 10/25〜12/4 もはやこれ以上望むことが許されないほど、質量共に極めて充実した、葛飾北斎(1760-1849)の大回顧展です。展示作品の数は、会期全体を通すと計500点。メトロポリタン美術館やアムステルダム国立美術館など、欧米からも多数集められた品々は見応え満点です。まさに「史上最強の北斎展」と呼んで良いでしょう。 会場は非常に混雑していて、作品の前に立つのもままならないほどでした。一点一点... [続きを読む]

受信: 2005/11/27 02:34

» 北斎展、満員御礼!! [やわらかい青春]
 芸術は爆発だ! と叫んでいる岡本太郎のように目玉をひんむいて、展示期間の最終日を迎えた北斎作品の数々(300点はくだらない!)を熱心に観てきた。  場所は東京・上野。上野は元々山林地帯であったため、そこかしこに紅葉が色づき、会場である国立美術館に入る前から、見事な“美しさ”をそこかしこに感じる。  30センチ近い大きさの、化け物のようなもみじの葉も見つけた。    小雨がパラついているというのに会場は満員で、あまりの来場者数に整理券がくばられ、閉館時間が通常の5時から7時まで延ばさ... [続きを読む]

受信: 2005/12/05 07:22

» 北斎展@東京国立博物館 [時計じかけの俺ん家。]
http://www.hokusaiten.jp/ ▲ランダムで「神奈川沖浪裏」と「凱風快晴」のイメージに変わる公式サイト。カクイイ! 内外から500点もの北斎作品を集め、100年に一度の規模といわれる「北斎展」。 浮世絵ファンとしてこれは行っとかなきゃなぁと思っていたが、ぼんやりしてた..... [続きを読む]

受信: 2005/12/10 11:46

コメント

マーガレットさん
こんにちは。
江戸時代の文化、芸術のレベルの高さ、いまさらばがらすごいと思います。
ドビッシーのエピソード知りませんでした。すごいことですね。北斎にまた会いたいです。

投稿: 自由なランナー | 2005/12/07 07:54

トラックバック有り難うございました。前回あまりこんでいたのでまた見に行きました。北斎の波を見て感動したドビッシーは「ラ・メール」という曲を作曲したそうです(家にCDが有りますが、曲名、作曲者名とも確認をしていないので怪しげ)。水、波の表現など独創的で、ダイナッミクで、生き生きしていて・・・・ただただすごいと思いました。あの当時、彫師、刷師の技術も高度だったのですね。過去、現在・活躍をしている日本人がいると嬉しくなります。

投稿: マーガレット | 2005/12/06 22:47

leinetsuさん
ご来訪ありがとうございます。
>「人生、変わるな」
とは、とてもいい言葉ですね。素晴らしい展示会でした。
また、ブログにお邪魔します。

投稿: 自由なランナー | 2005/12/06 07:46

自由なランナーさん、おはようございます。
初対面からすみません、TBを二重に送信してしまいました。いいかげんに朝食を摂らないとあぶないですね、ふらふらして。

俺とほぼ同時に退場して帰路についた若者が、
「人生、変わるな」
と言っていたのが印象に残りました。

投稿: leinetsu | 2005/12/05 07:32

あおさん
こんにちは。
TB削除しましたので、ご安心を。また、おいでください。

投稿: 自由なランナー | 2005/11/29 07:05

自由なランナーさん、こんばんわ。

すいません、手違いでTBを二回送信してしまいました。一件削除をお願いします。
お手数おかけしてすいませんでした。

投稿: あお | 2005/11/29 00:01

はろるどさん
こんにちは。
TBありがとございます。
あと会期は一週間ですが、なんとかもう一度いきたいと思います。

投稿: 自由なランナー | 2005/11/27 20:43

Takさん
ほんと、圧倒的な力を感じました。私も、オジサンながら90歳まで生きられるのなら、まだまだ何でもできる勇気が湧きました。

投稿: 自由なランナー | 2005/11/27 09:43

あおさん
ご来訪ありがとうございます。
私も、肉筆画に惹かれました。色彩が素晴らしかったです。

投稿: 自由なランナー | 2005/11/27 09:28

渡辺俊一さん
こんにちは。ご来訪ありがとうございます。
来週末で終わってしまいますが、なんとしてももう一度行きたいとおもってます。

投稿: 自由なランナー | 2005/11/27 09:26

kamagaiさん
こんにちは。ご来訪ありがとうございます。
>北斎の円熟〜晩年にかけては出戻り娘の存在が大きく、その娘の手によって作品が描かれたという説もあります
この説、知りませんでした。面白いですね。まだまだ、私にとって北斎は研究しなければいけないことが、たくさんあります。

投稿: 自由なランナー | 2005/11/27 09:21

自由なランナーさん、こんばんは。
私もこの展覧会には本当に圧倒されました。

>会場では、高校生から年配の方まで、幅広い年齢層の数多くの来場者が熱心にみていました。また、外人の方も多かったですね。

老若男女、人種を問わずに、
北斎は人々を魅了しているのかなと感心しました。
混雑にもうなずけます。
後期展示に、もう一度行きたいですね。

少し前の記事ですが、TBさせていただきました。

投稿: はろるど | 2005/11/27 02:33

こんにちは。
TBありがとうございます。

圧倒されますよね。
でもそれを一人の人間が
成しえたのだと思うと
更に圧倒されます。
もっと自分もがんばれそうな気がしました。

投稿: Tak | 2005/11/26 11:52

 初めまして。TBありがとうございました。私もTBさせて頂きます。
 北斎展、人の多さにびっくりし、江戸時代にこんなに素晴らしい絵を描く人がいたのにびっくりしました。肉筆画が素晴らしいですね!

 

投稿: あお | 2005/11/25 21:22

トラックバックありがとうございます。

おっしゃる通り膨大な作品数に圧倒されました。
改めて北斎の偉大さを知りうれしくなりました。

また生きかたも興味深々です。

投稿: 渡辺俊一 | 2005/11/25 16:32

マーガレットさん
こんにちは。
90回以上の引越とは、すごいですね。
私も、なんとかもう一度見にいきたいとおもっています。
また、素敵なブログにお邪魔します。

投稿: 自由なランナー | 2005/11/25 12:12

TBありがとうございました。
北斎はやはり、肉筆画が一番ですね。「賛」には山東京伝、太田蜀山人を始めとする戯作者が揃っていました。ただ、その辺の説明が間に合わなかったようで・・・・、説明不足のクレームは多かったのです。
北斎の円熟〜晩年にかけては出戻り娘の存在が大きく、その娘の手によって作品が描かれたという説もあります(私もその説の賛成派の一人です)が、その真偽はともかく、スケールの大きな展示会でした。

投稿: kamagai | 2005/11/24 22:24

コメントを有り難う。北斎にはただただ感心!このような日本の芸術家がいたことを嬉しく思います。北斎は90回以上引越しを繰り返した「引越しま」だったのだそうですね。お酒も煙草もお茶も嗜まず、ただひたすら絵を描く事に没頭し、一生貧しかったとか・・・・。2回見に行きましたが、精緻な作品が多く、見るだけで疲れ果てました。一本の線すら満足に書けない私自身を惨めに思っております。

投稿: マーガレット | 2005/11/24 18:53

ニク子さん
ご来訪ありがとうございます。
北斎は、かえって外人のほうが正しい評価をしているかもしれません。
ともあれ、素晴らしい展覧会でした。

投稿: 自由なランナー | 2005/11/24 07:50

ライムさん
こんにちは。ご来訪ありがとうございます。
500点もの作品、すべてみたかったですが、到底無理。でも、こんな展覧会、しばらくはないでしょう。

投稿: 自由なランナー | 2005/11/24 07:49

草壁さん
こんにちは。
ホント人は多かったようですね。私は金曜の夕方にいったので、すこしはゆっくりみられました。

投稿: 自由なランナー | 2005/11/24 07:43

はじめまして、ニク子といいます。
トラバどうもです。トラバ返しさせていただきました。
外国人の方はやはり好きみたいですね。
私の方のブログにも書いていますが、飛行機の中で一緒だった外国人の方も見に来ていらっしゃいました。

投稿: ニク子 | 2005/11/24 00:05

Copine-mさん
ご来訪ありがとうございます。
美味しそうなものが満載の、素敵なブログですね。
また、お邪魔じます。

投稿: 自由なランナー | 2005/11/23 23:13

はじめまして。TBありがとうございました。とにかく一人でも多くの方に、見ておいて欲しい展覧会でしたね。江戸時代にこれだけの業績を残したということに、敬意を表します!期間中に巻き替えやページ替えもあるとのことで、本当にもう一度見に行きたいのですが、、、残念!

投稿: ライム | 2005/11/23 22:59

こんばんは。
私も日曜日行って来ました。
展示品もすごいですが、人もすごかったです。(笑)
若い人が多かったのはちょっと嬉しかったですね。

投稿: 草壁 | 2005/11/23 22:52

じゅさん
こんにちは。ご来訪ありがとうございます。
ほんと、もっと長い期間やって欲しいですね。
ブログ、またお邪魔します。

投稿: 自由なランナー | 2005/11/23 22:51

トラックバックありがとうございます。
北斎展、点数が多くて見ごたえがありましたね。
何度も見に行けたらよかったのですが。
私の方でもトラックバックさせて頂きました!

投稿: Copine-m | 2005/11/23 17:51

こんにちは。トラックバックありがとうございます。大満足の美術展でした。100年に一度と言わず、またやってほしいです☆
ブログの時計便利ですね。では。

投稿: じゅ | 2005/11/23 09:05

しまてつさん
こんにちは。
北斎の浮世絵をこれだけまとめてみる機会は、ほんと主催者がいうように100年に一回かもしれませせんね。ぜひ再訪したいです。

投稿: 自由なランナー | 2005/11/22 07:38

enoさん
こんにちは。
北斎は印象派の画家にも影響を与えましたからね。ほんと偉大なアーティストだと再認識しました。

投稿: 自由なランナー | 2005/11/22 07:36

私も今回の展覧会で北斎の才能に圧倒されました。「富嶽三十六景」はあくまでも彼の一部に過ぎませんね。生の絵の色彩の鮮やかさは、本や資料で見るのとは全然違います。

投稿: しまてつ | 2005/11/22 01:34

トラックバックありがとうございました。私もトラックバックさせて頂きます。
私も多くの外国人の方が目に付きました。言わずもがなですが、北斎は本当に国際的に愛されているアーティスだと実感しました。

投稿: eno | 2005/11/21 23:50

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