見ごたえのある「アジアのキュビズム」展
久しぶりに竹橋の国立近代美術館へ。企画展の「アジアのキュビズム」をみてきました。テーマがキュビズム+アジアなので、さすがに観覧者はそんな多くはなく、ゆったりとみられました。キュビズム、というとピカソとブラックがその創始者。作品としてはピカソの「アビニョンの娘たち」がキュビズムを表現した最初の作品、くらいの知識しか持ち合わせていません。
この美術展では、アジア11ヵ国(中国、インド、インドネシア、日本、韓国、シンガポール、マレーシア、スリランカ、フィリピン、タイ、ベトナム)からキュビズムをテーマに作品が展示され、出展数は約120点。
展示も、国別ではなく美術史の観点からテーマを設定し、展示されています。テーマは「1.テーブルの上の実験」、「2.キュビスムと近代性」、「3.身体」、「4.キュビスムと国土(ネイション)」の4つ。
会場の冒頭にピカソ、ブラックのキュビズム作品があり、キュビズムの世界へと導いてくれます。キュビズムは、素人が勝手にいってしまうと、ちょっとわかりにくい表現方式。具象画でもあり、抽象画でもあり、って感じです。(時系列的には、抽象画の誕生前の運動ですね)
ということで、堅苦しくみないで、単純に面白い、刺激的?な観点で、作品をみてみました。テーマとしてやはり興味深くみたのは「身体」。キュビズムの表現方法での人物、特に女性像は印象に残る作品が多かったです。例えば、フォービズムの画家の印象があった
萬鉄五郎の「もたれて立つ人」は、キュビズムの手法+フォービズムの色彩で、心にひっかっかりました。(右の写真)
会場にピカソの言葉がありました。
私たちは芸術によって、自然とは別なものに対する私たちの根拠を表現する。
ちょっと難しいなあ。要は自分の中にいる自然を表現する、ってことですか。ピカソは生涯数多くの自画像を描いた人ですが、キュビズム運動に染まっていた時期には、一枚も自画像を描かなかったそう。なぜでしょう。
キュビズム、かなり奥が深いです。もっと勉強して再訪しなければ、と思いました。
ともあれ、これだけの作品が見られて、入場料650円はお得です(私は大学生なので350円!)。この美術展、アジア各国の美術、およびその近代化を知るためには、とてもいい企画。よく練られ、充実した展覧会だなと感じました。
余談ですが。| 固定リンク | 0
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» 「アジアのキュビズム」 東京国立近代美術館 9/24 [はろるど・わーど]
東京国立近代美術館(千代田区北の丸公園)
「アジアのキュビズム -境界なき対話- 」
8/9〜10/2
アジアにおけるキュビズムの受容と展開を概観する展覧会です。アジア11ヶ国から集まった約120点の作品が、キュビズムというキーワードの元に展示されています。
まるでアジア全域を台風のように駆け抜けていった「キュビズム」。それ自体はピカソやブラックなどによって生み出された一つの美術様式であり、また運動�... [続きを読む]
受信: 2005/09/27 23:58
» アジアのキュビスム展@東京国立近代美術館 [庭は夏の日ざかり]
例によって会期末間際の駈け込み鑑賞会。先日竹橋の近美へ行ってきました。
「アジア」かつ「キュビスム」って…。あたくしルノワールが好きですのよ〜♪的マダムたちにはいかにも人気がなさそうだし、だいいち観るまえに全然想像がつかない。近美の大冒険。出かけた時間のせいもありましょうが、この美術館でこんなに空いてる展覧会に出会うのは初めてかもしれないなあ。これ幸いとジットリ観さしてもらいました◎◎
全体は4つの章立て。
◆1.テーブルの上の実験
キュビスムのアジア伝播はやっぱり時差が10年くらいあ... [続きを読む]
受信: 2005/09/30 22:51
» 「アジアのキュビスム展」 [弐代目・青い日記帳]
東京国立近代美術館で、2日まで開催していた
「アジアのキュビスム展」ー境界なき対話ーに行って来ました。
「ゴッホ展」のようなメジャーな作家の展覧会とは
ある意味対照的な存在の今回の展覧会。
こういったどう考えてもお客さんが集まりそうにないですが
観ておく意義のある大事な企画展を開いてくれる
そんな近美が好きです。[:ハート:](告白か!)
好きになった大きな要因・きっかけは・・・
「ブラジル:ボディ・ノスタルジア」展や
「痕跡−戦後美術における身体と思考」展を
開... [続きを読む]
受信: 2005/10/05 16:58
コメント
kakokakoさん
こんにちは。
残念でしたね。
国内ではこの美術展、注目度あまり高くなかったようですが、韓国ではブームなんですね。
投稿: 自由なランナー | 2005/11/29 06:53
そうなんです。たしか、1月までやってて次はシンガポールです。東京でみるべきでしたがちょうど公募展の搬入前で行けませんでした。
投稿: kakokako | 2005/11/28 16:47
韓国現代美術館でアジアのキュビズム展を堪能するという計画がみごとにくずれてしまいました。さすがブームという感じですかチケットがとれませんでした。残念です。でも友人から図録を借りて見ています。アジアのキュビズムなんてと敬遠する見方もありますが私のように絵の勉強をするものにとっては偏見は持たないでいたいと思います。
投稿: kakokako | 2005/11/28 16:20
kakokakoさん
こんにちは。
この企画、韓国に巡回しているんですか?
キュビズムは、美術史でも重要な美術運動ですね。ぜひ、ご覧になってください。
また、お越しくださいね。
投稿: 自由なランナー | 2005/11/23 22:50
私は東京の展覧会には行けなかったので韓国に行きます。アジアのキュビズムにもそれぞれの国や画家の解釈があっておもしろそうだし・・・西洋の画家の絵、ピカソやブラックの作品の影響を知るいい機会ではないかなと。実は韓国行きの航空券がキャンセル待ちで、今月中に行けるか分からないけど、諦めないわよ。もしかしたら、シンガポールまで行くとか・・・
投稿: kakokako | 2005/11/23 00:05
Takさん
こんにちは。
記事読ませていただきます。Takさんの記事は、いつも内容が濃いので、とても勉強になります。
TBありがとうございます。
投稿: 自由なランナー | 2005/10/05 22:16
こんにちは。
会期終了してしまいました。
記事をupするのが今頃になってしまいましたが
何とか書き上げました。
TBさせていただきます。
投稿: Tak | 2005/10/05 16:59
Sonnenfleckさん
こんにちは。
この企画、美術展としてはかなり挑戦的なものかもしれませんね。でも、私としては、とても刺激になりました。
投稿: 自由なランナー | 2005/10/03 22:04
はろるどさん
すっかりコメント遅れてしまいました。
キュビズムとアジア、とても面白いテーマだと思います。改めて、アジアの美術に興味をひかれました。
投稿: 自由なランナー | 2005/10/03 22:01
azumiさん
こんにちは。はじめまして。コメント遅くなりすみません。
アジアの近現代の美術史、なかなか触れる機会がないので、この企画は大変よかったと思います。事前に、もう少しアジアの美術のこと、勉強してからいけばよかったと、ちょっと後悔しました。
投稿: 自由なランナー | 2005/10/03 08:11
自由なランナーさんお久しぶりです。
私も先日この展覧会を見まして、なかなか面白いと思ったクチです。TBさせていただきました。
ピカソの言葉、ありましたね。会場の壁面・床面を意味あるものとして展覧会に組み込んで利用していた点、好ましく思いました。
投稿: Sonnenfleck | 2005/10/01 11:38
自由なランナーさん、こんばんは。
ご無沙汰しております。
TBありがとうございました。
キュビズムは単に形として見るだけで面白いかなと、
素人的に思っているのですが、
アジアという要素が加わることで、
さらに一層刺激的に見ることが出来ました。
私は最後のコーナーが一番興味深かったのですが、
仰られる通り「身体」もキュビズムの核心のような表現で、
実に見応えがありました。
>入場料650円はお得です(私は大学生なので350円!)
本当にお得でしたよね。
この企画展と常設で650円ですから大満足です。
投稿: はろるど | 2005/09/28 00:02
はじめまして。azumiと申します。
『アジアのキュビズム』を観ましたが、
アジアの近代美術を見直す上で、
とても勉強になったと思っています。
大変恐縮ですが、私のブログで、
キュビズム展の感想を書いています。
お時間があれば、ぜひお立ち寄りください。。
http://artworld.exblog.jp/1145652
投稿: azumi | 2005/09/27 20:18