フェルメールの魅力:ドレスデン国立美術館展その2
ドレスデン国立美術館展での、絵画の見物は、やはりフェルメールの「窓辺で手紙を読む若い女」でしょう。40点に満たない数しか作品が確認されていないというのですから、それだけでも貴重です。
絵をみて、まず感じたのは構図の妙味。画家はこの作品の構図を、考えぬいて書き込んだでしょうか? なんともすてきなバランスです。画面の右側にたれているカーテンが、かなりの空間を占め、絵の構図の基調を構成。いっけんベッドカバーとも見間違う、波をうつテーブルクロスとその上にのる果物。左上には風に吹かれるカーテン。開け放たれた窓には少女の顔が写っています。手紙を読む少女の表情の、不安げな横顔。少女と、各パートに置かれた小道具が、絶妙の配置となっています。みているうちに、絵の前から離れられなくなってしまいました。
一方、レンブラントがギリシャ神話の内容を描いた「ガニュメデスの誘拐」は、恐ろしい内容ながら、みていてちょっと滑稽な感じを受けました。美少年のお尻がかわいい。
また、ドイツロマン主義の絵画は、見応えのあるものが多いです。なかでもいいな、と思ったのが、リヒターの「チヴィテッラ」。日々の労働を終えて家路につく人を描いていますが、空の青さが印象的。また、小品ですが、カールスの「音楽」。ハープと天使が描かれた内容から、シュルレアリスム的なものを感じました。もちろんこの作品が描かれたのは、シュルレアリスム誕生の100年ほど前の時代です。
この美術展、かなりの点数があり、一回では十分堪能できないかもしれません。
☆フェルメールのことを書かれているブログにTBさせていただきます。
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» ヨハネス・フェルメール 「窓辺で手紙を読む若い女」 ドレスデン国立美術館展から [はろるど・わーど]
国立西洋美術館
ドレスデン国立美術館展(6/28〜9/19)
「ヨハネス・フェルメール -窓辺で手紙を読む若い女- 」(1659年頃)
輝かしい光を呼び込むように、大きく開かれた窓越しに佇むのは、姿勢を正しながらもうつむき加減に手紙へ視線を落とす一人の女性です。前景のカーテンやタペストリー、または果物や背もたれだけが見える椅子と、作品の空間は決して簡素ではありませんが、この女性にまつわる物語を排除するような、極めて静謐な雰囲気が漂ってい�... [続きを読む]
受信: 2005/08/02 00:35
» ドレスデン国立美術館展@上野 [(ほとんど)シネマ日記]
上野の西洋美術館で開催されているドレスデン国立美術館展に行って来ました。ドレスデンは旧東ドイツ側にある都市で、ザクセン王国の首都だった街です。一度だけ仕事で行ったことがあるのですが、マイセン磁器で有名な所ですね。
この展覧会は、もちろんフェルメールを目当てに行ったのですが、意外に興味深かったのがマイセン磁器の成り立ちの展示でした。マイセンは、永くヨーロッパで唯一磁器の製法を独占していたのですが、... [続きを読む]
受信: 2005/08/02 07:09
» 「ドレスデン国立美術館展」に行きました [Infocierge(インフォシェルジュ)]
こんにちは。
私もドレスデン国立美術館展の記事を書きましたので、TBさせていただきました。
よろしければご訪問ください。 [続きを読む]
受信: 2005/09/10 18:56
コメント
やまさん
こんにちは。ご来訪ありがとうございます。
私の記事など、素人美術愛好家の駄文ですので、参考にしていただけるとは恐縮です。
美術館には、気軽にいかれることをおすすめします。それぞれの楽しみかたで、鑑賞すればいいとと思います。
ブログにまた、御邪魔させてください、
投稿: 自由なランナー | 2005/08/08 08:08
トラックバックありがとうございます。
私が絵画というか美術に興味を持ったのはつい最近ですので、
絵の構図とか歴史などを絡めて鑑賞することは出来ず、
本格的な美術館に入ったのが今回が初めてでした。
それでも、やはりフェルメールの絵の前に来た時は、しばらく見入ってしまいました。
初心者が迷い込んでしまい申し訳ないのですが、
自由なランナーさんの記事やコメントを拝見させて頂いて、絵の楽しみ方の勉強になりました。
これからも、ちょこちょこ美術館まわりをしていきたいと思います。
投稿: やま | 2005/08/04 00:15
tamagoさん
こんにちは。
フェルメールの名画の背景には、ストーリーがあるんですね。
私も、日経新聞からチケットもらわなかったら、見逃していたかもしれません。でも、いって余暇たったです。おすすめですよ。(仙台からいくのは大変ですよね)
投稿: 自由なランナー | 2005/08/02 22:37
ドレスデン国立美術館展は、観にいきたいと思っているんですが…。このフェルメールの絵「窓辺で手紙を読む若い女」についての解説を以前読んだ記憶ですが、この女性が呼んでいる手紙は、不倫の手紙で、それを暗示するものが色々と散りばめられているそうです。そしてキューピッドが塗りつぶされてカーテンになった経緯にも、なにかフェルメールらしい逸話があったと思うのですが、んー思い出せない…。
投稿: tamago | 2005/08/02 17:27
はろるどさん
こんにちは。
私もフェルメールははじめてみました。巷で絶賛されている訳が、少しわかったような気がします。
カーテンを書き込むのも、経緯があったんですね。他のフェルメール作品がみたくなりました(そんな簡単にはみられないでしょうが)
投稿: 自由なランナー | 2005/08/02 08:19
こんばんは。
私はフェルメールを今回初めて見たのですが、
不思議な構図感や丁寧に描き込まれた細部の面白さなど、
ずっと見ていても飽きない魅力がありました。
カーテンは、元々あったキューピットの絵を塗りつぶして作成されたそうです。
そちらだったら、また全然異なる味わいがあったかもしれません。
>「ガニュメデスの誘拐」は、恐ろしい内容ながら、みていてちょっと滑稽
私もそう思います。
いかにも大作という感じですが、レンブラントによる主題の滑稽な処理は、とても面白いですよね。
投稿: はろるど | 2005/08/02 00:41